説明

導電性シリコーンゴム組成物

【課題】経時的な可塑度低下が改善された導電性シリコーンゴム組成物を提供する。
【解決手段】(A)下記(a-1)〜(a-4)を含むシリコーンゴム組成物を、(a-4)成分の分解温度より低い温度で混合後、(a-4)成分の分解温度以上に加熱処理してなるシリコーンゴム組成物100重量部と(B)過酸化物又は付加型架橋剤;必要量からなることを特徴とする導電性シリコーンゴム組成物。
(a-1)平均重合度4000〜20000 の特定のポリオルガノシロキサン100重量部
(a-2)末端が水酸基またはアルコキシ基で封鎖された、重合度が6〜700である特定のポリオルガノシロキサン0.5〜20重量部
(a-3)導電性カーボンブラック1〜200重量部
(a-4)特定の熱分解性触媒0.01〜5重量部

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経時的な可塑度低下が改善された導電性シリコーンゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
電気絶縁性ゴム状物質の一つであるシリコーンゴムは、耐熱性、耐寒性、耐候性などに優れ、電気絶縁性ゴムとして幅広く利用されているが、他のゴム状物質と同様に導電性材料を添加することで、導電性シリコーンゴムとしても実用化されている。
【0003】
導電性シリコーンゴムに添加する導電性材料としては、導電性カーボンブラック、導電性金属酸化物、金属粉などが挙げられるが、なかでも、導電性カーボンブラックが、入手が容易で、目的に応じて電気抵抗を任意に調節できることから多用されている。
【0004】
しかしながら、導電性材料として導電性カーボンブラックを配合したシリコーンゴム組成物は、導電性カーボンブラック粒子のシリコーンゴムに対する親和性や分散性などに起因して、体積抵抗率が変化しやすい、高い導電性を得るためにカーボンブラックの配合量を増大させると可塑度が高くなり成形性が低下するなどの問題があり、この問題を解決するために、各種導電性シリコーンゴム組成物が提案されている(特許文献1、2)。
【0005】
一方、最近、導電性カーボンブラックを配合したシリコーンゴム組成物を、長期間(数ヶ月程度)貯蔵保管しておくと(通常、ポリエチレンなどの袋に入れて保管されている)、予期に反して、可塑度が低下し、成形が困難になったり、あるいは、成形ができても、初期の硬度や体積抵抗率が得られない場合があることが判明し、問題となっており、この問題の対策として、導電性カーボンブラックを配合したシリコーンゴム組成物を気密容器に収容する方法が提案されている(特許文献3)。
【特許文献1】特開平8−151522号公報
【特許文献2】特公平3−47663号公報
【特許文献3】特開2008−162594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3の手法によれば、経時的な可塑度の低下は改善できるものの、使用する容器が限定され、使用する際の工程が煩雑となる等の問題がある。
【0007】
本発明は、特別な保管方法を用いなくても、経時的な可塑度低下を起こさない導電性カーボンブラック配合の導電性シリコーンゴム組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、導電性カーボンブラックを含有するポリオルガノシロキサンに対し、末端が水酸基またはアルコキシ基で封鎖されたポリオルガノシロキサンと特定の熱分解性触媒を併用配合し、これを触媒の分解温度以上に加熱してなるシリコーンゴム組成物に、過酸化物又は付加型架橋剤を配合してなる導電性シリコーンゴム組成物は、経時的な可塑度の低下、物性の変化を抑制し、長期にわたって良好な成形性、物性を保持することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち本発明は、(A)下記(a-1)〜(a-4)を含むシリコーンゴム組成物を、(a-4)成分の分解温度より低い温度で混合後、(a-4)成分の分解温度以上に加熱処理してなるシリコーンゴム組成物100重量部と(B)過酸化物又は付加型架橋剤;必要量からなることを特徴とする導電性シリコーンゴム組成物である。
(a-1)平均単位式:RaSiO(4-a)/2
(式中、R は置換または非置換の一価の炭化水素基を、aは1.98〜2.02の範囲の数を示す)で示される平均重合度4000〜20000 のポリオルガノシロキサン100重量部
(a-2)平均単位式:R1bSiO(4-b)/2
(式中、R1は置換または非置換の一価の炭化水素基を、bは1.98〜2.02の範囲の数を示す)で示され、末端が水酸基またはアルコキシ基で封鎖された、重合度が6〜700であるポリオルガノシロキサン0.5〜20重量部
(a-3)導電性カーボンブラック1〜200重量部
(a-4)平均単位式:M1O(R2cSiO)zM2
(式中、M1はテトラアルキルアンモニウム基またはテトラアルキルホスホニウム基であり、M2はM1と同一もしくは水素であり、R2は置換または非置換の一価の炭化水素基を、cは1.98〜2.02の範囲の数を示し、zは1〜1000の数である)で示される熱分解性触媒0.01〜5重量部
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明に使用する(A) 成分は、導電性カーボンブラックを含有するポリオルガノシロキサンに対し、末端が水酸基またはアルコキシ基で封鎖されたポリオルガノシロキサンと特定の熱分解性触媒を併用配合し、これを触媒の分解温度以上に加熱してなるシリコーンゴム組成物である。
【0011】
(a-1)成分の、平均単位式:RaSiO(4-a)/2(式中、R は置換または非置換の一価の炭化水素基を、aは1.98〜2.02の範囲の数を示す)で示されるポリオルガノシロキサンは、硬化性シリコーン組成物のベースポリマーとなるものであって、主として直鎖状のものが用いられるが、その一部が分岐鎖状、三次元構造を形成していてもよく、また単独重合体、共重合体またはそれらの混合物であってもよい。このポリオルガノシロキサンのケイ素原子に結合する置換または非置換の一価の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基のようなアルキル基;ビニル基、アリル基、ブタジエニル基のようなアルケニル基;フェニル基、キセニル基、ナフチル基のようなアリール基;シクロヘキシル基のようなシクロアルキル基;シクロヘキセニル基のようなシクロアルヤニル基;ベンジル基のようなアラルキル基;トリル基、キシリル基のようなアルキルアリール基等が例示される。これらのケイ素原子に結合する一価の炭化水素基としては、主にメチル基が用いられるが、例えばビニル基ならば機械的強度と架橋性の点から、有機基の全数に対して0〜5%程度含有していてもよく、特に0.05〜3%の範囲が好ましい。なお、ポリオルガノシロキサンの分子鎖末端としては、水酸基、アルコキシ基またはトリオルガノシリル基が例示され、トリオルガノシリル基がより好ましい。このトリオルガノシリル基としては、トリメチルシリル基、ジメチルビニルシリル基、メチルフェニルビニルシリル基、メチルジフェニルシリル基等が例示される。上記(a-1)成分の平均重合度は、4000〜20000の範囲であり、好ましくは6000〜10000である。この重合度が小さすぎると十分な機械的強度が得られにくく、逆に大きすぎると系への配合が困難になる。
【0012】
本発明に使用する(a-2)成分は、平均単位式:R1bSiO(4-b)/2(式中、R1は置換または非置換の一価の炭化水素基を、bは1.98〜2.02の範囲の数を示す)で示され、末端が水酸基またはアルコキシ基で封鎖された、重合度が6〜700、好ましくは10〜300、より好ましくは15〜200であるポリオルガノシロキサンであり、主として直鎖状のものが用いられるが、その一部が分岐鎖状、三次元構造を形成していてもよい。このポリオルガノシロキサンに使用される置換または非置換の一価炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基のようなアルキル基;ビニル基、アリル基、ブタジエニル基のようなアルケニル基;フェニル基、キセニル基、ナフチル基のようなアリール基;シクロヘキシル基のようなシクロアルキル基;シクロヘキセニル基のようなシクロアルヤニル基;ベンジル基のようなアラルキル基;トリル基、キシリル基のようなアルキルアリール基等が例示されるが、ベースポリマーとなる(a-1)成分のポリオルガノシロキサンとの馴染み性を考慮し、(a-1)成分で用いた一価の炭化水素基と同様な基であることが望ましい。さらにポリオルガノシロキサンの分子鎖末端は、水酸基、アルコキシ基のいずれかである。また、(a-2)成分の分子量は、高分子量になると処理剤としての効果が少なくなり、低分子量すぎると得られるコンパウンドのロール作業性が悪化するため、重合度を6〜700、好ましくは10〜300、より好ましくは15〜200の範囲とする。(a-2)成分の配合量は、多すぎると得られるコンパウンドが粘着質になり、少なすぎると本来の目的である経時的な可塑度低下の抑制効果が得られなくなるため、(a-1)成分100重量部に対して0.5〜20重量部の範囲で使用される。
【0013】
(a-3)成分の導電性カーボンブラックは、特に制限されるものではなく、例えば、アセチレンブラック、コンダクティブファーネスブラック、コンダクティブチャンネルブラックなど、この種の組成物に一般に使用されているものの中から任意に選択されてよい。アセチレンブラックとしては、デンカブラック(電気化学工業(株)製 商品名)、シャウニガンアセチレンブラック(シャウニガンケミカル社製 商品名)などが例示される。コンダクティブファーネスブラックとしては、コンチネックスCF、コンチネックスSCF(以上、コンチネンタルカーボン社製 商品名)、バルカンC、バルカンSC、バルカンP、バルカンXC−72(以上、キャボット社製 商品名)、旭HS−500(旭カーボン(株)製 商品名)などが例示される。コンダクティブチャンネルブラックとしては、コウラックスL(デグッサ社製 商品名)などが例示される。また、ファーネスブラックの一種であるケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックEC−600JD(以上、ケッチェンブラックインターナショナル社製 商品名)を使用することもできる。これらのなかでも、アセチレンブラック、ケッチェンブラックが、本発明による効果が特に顕著に得られることから好ましい。
【0014】
この(a-3)成分は、通常、(a-1)成分100重量部に対して1〜200重量部の範囲で使用される。
【0015】
本発明に使用する(a-4)成分は、平均単位式:M1O(R2cSiO)zM2(式中、M1はテトラアルキルアンモニウム基またはテトラアルキルホスホニウム基であり、M2はM1と同一もしくは水素であり、R2は置換または非置換の一価の炭化水素基を、cは1.98〜2.02の範囲の数を示し、zは1〜1000の数である)で示される熱分解性触媒である。(a-4)成分は、重合度zが1〜1000の範囲のものが使用されるが、好ましくは5〜100のものである。重合度zが1000を越えると粘度が高くなり、取扱いが困難となり作業性が低下する。この(a-4)成分は、テトラアルキルアンモニウムハイドロキサイド、テトラアルキルホスホニウムハイドロキサイドとポリオルガノシロキサンとを公知の方法で反応させることにより得られる。ここで、これらハイドロキサイドを本目的で使用することも考えられるが、これらは通常、50重量%以下の水溶液として存在しており、このためシリコーンゴムコンパウンドへの分散性が非常に悪くなり、目的とする混練時間の短縮が達成されず、また、たとえ分散させたとしても触媒作用を低下させる水を組成物中に含有させてしまうことから反応のコントロールが難しく、シリコーンゴムコンパウンドのまとまりがなくなり、ばらけてしまって製造不可能な状況に陥ることもあり、安定した特性を得るのは非常に難しい。尚、50重量%を越える水溶液は調製できず、この場合はソリッド状となってしまい、これも分散させるのが非常に困難となる。一方、本発明の(a-4)成分は、シリコーンゴムコンパウンドへの分散性が非常に良く、また水分を含まないため反応のコントロールが容易で、簡単に短時間で本目的のシリコーンゴム組成物を得ることが可能となる。尚、触媒の安定性の面からは、テトラアルキルアンモニウムシラノレートのほうが好ましい。この(a-4)成分は、(a-2)成分の水酸基またはアルコキシ基と(a-3)成分上の水酸基とを縮重合させ、フィラー処理を行なうと同時に、(a-2)成分同士の縮重合もおこし、さらに、(a-3)成分が有する微量な水分によりシリコーンゴム組成物の若干の平衡化も同時に促すと考えられる。これにより、本シリコーンゴム組成物内の残存水酸基およびアルコキシ基は非常に少なく、かつ、(a-1)成分と(a-3)成分のなじみが非常によくなり、作業性および成形性が良好で、経時的な可塑度の変化が少ない貯蔵安定性に優れたシリコーンゴム組成物を得ることができる。(a-4)成分の配合量は、(a-1)成分100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましく、0.01重量部より少ないと反応が十分に進まず、5重量部より多いと触媒分解物質の臭気が問題となる。また、(a-4)成分の分解温度に特に限定はないが、安定性の面からは70℃以上が好ましく、また、反応温度の面からは130 ℃以下が好ましい。
【0016】
(A)成分のシリコーンゴム組成物は、(a-1)高分子量ポリオルガノシロキサンと(a-2)末端が水酸基またはアルコキシ基で封鎖された低粘度のポリオルガノシロキサンと(a-3)導電性カーボンブラックを配合したシリコーンゴム組成物に、前述した(a-4)熱分解性触媒を添加し反応させるだけで得られる。(A) 成分のシリコーンゴム組成物の製造にあたっては、(a-1)〜(a-4) 成分を一括混合してもよく、または、(a-1)〜(a-3) 成分を混合した後に(a-4) 成分を添加してもよい。ただし、(a-4) 成分は、その分解温度以下で添加する必要があり、添加後は、分解温度以上にする必要がある。ただし、ここに示した製造工程は、通常のシリコーンゴム組成物の製造方法に(a-4) 成分を加えただけのものであり、当業者においては、特別に製造装置を導入したりすることなく容易に製造することが可能である。
【0017】
(B)成分の過酸化物は加硫剤である。この(B)成分の過酸化物は、通常この種のシリコーンゴム組成物に用いられているものであればよく、ベンゾイルパーオキサイド、2,4 −ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5 −ビス(t−ブチルパーオキシ)−2,5 −ジメチルヘキサン、2,5 −ビス(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキシン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートなどが例示される。これらの有機過酸化物は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。過酸化物の配合量は必要量であり、特に限定されないが、一般的には(A)成分100重量部に対して0.01〜10重量部程度である。
【0018】
また、(B)成分として付加型架橋剤を用いることもできる。付加型架橋剤としては、一分子中に少なくともケイ素原子に結合した水素原子を2個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金系触媒が挙げられ、その配合量は架橋必要量である。
【0019】
本発明の導電性シリコーンゴム組成物には、以上の成分の他に本発明による効果を阻害しない範囲で必要に応じて各種添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、充填剤、顔料、耐熱性向上剤、難燃剤などが例示される。充填剤の具体例としては、例えば、シリカヒドロゲル(含水ケイ酸)、シリカエアロゲル(無水ケイ酸)、煙霧質シリカなどの補強性シリカ、粉砕石英紛、クレイ、炭酸カルシウム、ケイソウ土、ニ酸化チタンなどが挙げられる。また、耐熱性向上剤の具体例としては、酸化鉄、酸化セリウム、水酸化セリウム、オクチル酸鉄などが挙げられる。その他、イソパラフィンなどの飽和脂肪族炭化水素、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド類などの離型剤なども配合することができる。
【0020】
また、導電性カーボンブラックの分散性などを高める目的で配合されるフェニル基含有有機ケイ素化合物や、界面活性剤、加工助剤なども使用可能である。
【0021】
本発明によれば、保管中の導電性シリコーンゴム組成物の可塑度の低下が抑制されるため、加圧成形、押出成形、射出成形、カレンダー成形などの通常の方法によって良好に成形加工することができ、所期の物性を備えた製品を安定して得ることができる。
【実施例】
【0022】
次に本発明の実施例について説明するが、本発明は、下記実施例に制限されるものではない。また、例中における部は、重量部を表す。
【0023】
実施例1
(CH3)2SiO単位99.78モル%、(CH3)(CH2=CH)SiO単位0.22モル%からなり、末端がジメチルビニルシリル基で封鎖された、重合度6000のポリオルガノシロキサン100部と、末端がシラノール基で閉鎖され、重合度が50であるポリジオルガノシロキサン0.5部、末端がアルコキシ基で閉鎖され、重合度が20であるポリジオルガノシロキサン1.5部、導電性カーボンブラック(電気化学工業株式会社製;アセチレンブラック、粒状 デンカブラック(登録商標))17部、石英30部をニーダーミキサーで均一になるまで30分混練し、テトラメチルアンモニウムシラノレート(z=20)0.05部を添加し30分混練した。このときの温度は、60℃であった。この後、150℃×2時間加熱混練処理してシリコーンゴム組成物を得た。
【0024】
次いで、シリコーンゴム組成物をポリエチレン製の袋に入れ、口部を密封することなくそのまま、温度40℃、湿度80%RHの環境下に保管した。
【0025】
120日後、シリコーンゴム組成物を取り出し、23℃における可塑度を測定した。また、シリコーンゴム組成物100部に、白金触媒TC−25A(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、商品名)1部および硬化剤TC−25C(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、商品名)2部を添加し、二本ロールで十分に混練した後、この混練物を金型に入れ、120℃で10分間プレスした後、200℃で4時間の後硬化(ポストキュア)を行い、2mm厚のシリコーンゴムシートを作製し、硬さおよび体積抵抗率を測定した。これらの測定結果を、保管前、すなわち、調製直後のシリコーンゴム組成物およびそれを用いて作製したシリコーンゴムシートについて同様に測定した可塑度、硬さおよび体積抵抗率の測定結果とともに表1に併せ示す。
【0026】
なお、シリコーンゴム組成物の可塑度、並びに、シリコーンゴムシートの硬さおよび体積抵抗率の測定方法は、次の通りである。
<可塑度>
二本ロール(8インチ、ロール間隔3mm)で50回巻き通しを行った後、JIS K 6249に準拠して測定し、規定の荷重をかけて5分後の値を可塑度とした。
<硬さ>
JIS K 6249に準拠して測定した。
<体積抵抗率>
アドバンテスト社製のマルチメータにより測定した。
実施例2〜3、比較例1〜2
各成分の配合量等を表1に示すように変化させた以外は実施例と同様に行った。この結果も併せて表1に示した。
【0027】
【表1】

【0028】
表1から明らかなように、実施例のシリコーンゴム組成物はいずれも、可塑度、硬さおよび体積抵抗率がともに120日後も初期値とほとんど変化が認められなかった。これに対し、比較例では、可塑度、硬さおよび体積抵抗率がいずれも120日の保管によって変化しており、特に、可塑度および体積抵抗率の大幅な低下が認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記(a-1)〜(a-4)を含むシリコーンゴム組成物を、(a-4)成分の分解温度より低い温度で混合後、(a-4)成分の分解温度以上に加熱処理してなるシリコーンゴム組成物100重量部と(B)過酸化物又は付加型架橋剤;必要量からなることを特徴とする導電性シリコーンゴム組成物。
(a-1)平均単位式:RaSiO(4-a)/2
(式中、R は置換または非置換の一価の炭化水素基を、aは1.98〜2.02の範囲の数を示す)で示される平均重合度4000〜20000 のポリオルガノシロキサン100重量部
(a-2)平均単位式:R1bSiO(4-b)/2
(式中、R1は置換または非置換の一価の炭化水素基を、bは1.98〜2.02の範囲の数を示す)で示され、末端が水酸基またはアルコキシ基で封鎖された、重合度が6〜700であるポリオルガノシロキサン0.5〜20重量部
(a-3)導電性カーボンブラック1〜200重量部
(a-4)平均単位式:M1O(R2cSiO)zM2
(式中、M1はテトラアルキルアンモニウム基またはテトラアルキルホスホニウム基であり、M2はM1と同一もしくは水素であり、R2は置換または非置換の一価の炭化水素基を、cは1.98〜2.02の範囲の数を示し、zは1〜1000の数である)で示される熱分解性触媒0.01〜5重量部

【公開番号】特開2010−100741(P2010−100741A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273838(P2008−273838)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000221111)モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社 (257)
【Fターム(参考)】