説明

導電性積層体及びディスプレイ

【課題】 基材に対し、高屈折率金属化合物層と金属薄膜層と高屈折透明薄膜層と低屈折率薄膜層と防汚層とが順に積層された導電性積層体を、湿った布で長時間にわたり、荷重を掛けて擦っても高屈折率金属化合物層と金属薄膜層とが剥がれてしまわない導電性積層体、該導電性積層体を有する光学機能性フィルタおよび光学表示装置及び光学物品を提供することにある。
【解決手段】 少なくとも基材上に、金属薄膜層及び金属化合物層を積層してなる導電性機能層、防汚層を有する導電性積層体であって、前記防汚層が、反応性官能基と結合している有機珪素化合物から得られた層であり、且つ純水転落角が50°以下であることあることを特徴とする導電性積層体とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性積層体に関するものであり、さらに詳しくはフラットパネルディスプレイ(FPD)等の光学表示装置の前面に用いる反射防止フィルタとして有用な導電性反射防止積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CRT、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル(PDP)等の光学表示装置においては、外光の表示画面上への写り込みによって画像を認識しづらくなるという問題がある。光学表示装置は、最近では屋内だけでなく屋外にも持ち出される機会が増加し、表示画面上への外光の写り込みは一層深刻な問題になっている。
【0003】
外光の写り込みを低減するために、可視光領域の波長の広い範囲にわたって反射率の低い反射防止積層体を光学表示装置の前面に設けることが行われている。また、反射防止積層体に導電性を持たせることにより、電磁波シールド性能を付与できる。例えば、電磁波シールド性を付与した導電性積層体をPDPの画像表示部の前面に設けることにより、PDP内部から発生する不要電磁波をシールドすることができる。
【0004】
しかしながら、金属合金酸化物層などに代表される透明薄膜層と金属薄膜層とを交互に積層するような積層体において、透明薄膜層と金属薄膜層との間の密着が良好でないことが問題となっており(例えば特許文献1参照)、例えば、湿った布で被覆表面をぬぐうことから成る簡単な摩擦試験によって立証されるとしている(例えば特許文献1参照)。一方その対策として、チタン等の金属を金属合金酸化物層と金属層の間にプライマー層として成膜することで、湿った布で長時間はげしく擦っても目で見える変化が生じなくなるとしている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
透明薄膜層と金属薄膜層とを交互に積層するような積層体を、CRT、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル(PDP)等の光学表示装置のディスプレイ最表面に設置する場合、湿った布等で表面を拭くことは容易に予想されるため、湿った布等で拭いても、透明薄膜層と金属層とが剥がれないようにしなければならない。しかし、前記した透明薄膜層と金属層との間に金属のプライマー層を成膜するような方法は、積層体の透過率を低くするという問題点がある。積層体が反射防止膜である場合などは、高い透過率を要求されるため、好ましくない。また、プライマー層を成膜することにより、全体的に層数が増えるため、実際に積層体を生産するという点では、成膜装置の設備費用や、プライマー層の材料費用が発生する上、工程が煩雑になるなどの問題点が多く発生するという点でも好ましくない。また、耐擦傷性においては、積層体における薄膜自体の緻密さ、硬度、応力といった点が重要なポイントであり、耐擦傷性において強固な薄膜を作るためには、成膜方法が限定的になるなどの問題もある。
【0006】
導電性積層体の表面には、フッ素含有珪素化合物からなる、撥水性、撥油性および低摩擦性を有する防汚層が設けられている場合がある(例えば、特許文献2参照)。しかし、フッ素含有珪素化合物からなる防汚層は、撥水、撥油効果を持つものの、湿った布で被覆表面をぬぐう試験を長時間にわたって行った場合、その効果は不十分であった。
【特許文献1】特開平2000−192227号公報
【特許文献2】特開平11−156987号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、基材に対し、高屈折率金属化合物層と金属薄膜層と高屈折透明薄膜層と低屈折率薄膜層と防汚層とが順に積層された導電性積層体を、湿った布で長時間にわたり、荷重を掛けて擦っても高屈折率金属化合物層と金属薄膜層とが剥がれてしまわない導電性積層体、該導電性積層体を有する光学機能性フィルタおよび光学表示装置及び光学物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、少なくとも基材上に、金属薄膜層及び金属化合物層を積層してなる導電性機能層、防汚層を有する導電性積層体であって、前記防汚層が、反応性官能基と結合している有機珪素化合物から得られた層であり、且つ純水転落角が50°以下であることあることを特徴とする導電性積層体である。
【0009】
請求項2の発明は、前記防汚層の表面における純水の接触角が、90゜以上であることを特徴とする請求項1に記載の導電性積層体である。
【0010】
請求項3の発明は、前記防汚層の、反応性官能基と結合している有機珪素化合物が、反応性官能基と結合している珪素原子を1つ以上有することを特徴とする請求項1または2に記載の導電性積層体である。
【0011】
請求項4の発明は、ふき取り試験を行う前と、100回行った後の純水接触角の差が5°以内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性積層体である。
【0012】
請求項5の発明は、前記導電性機能層が、高屈折率金属化合物層/金属薄膜層/高屈折率金属化合物層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性積層体である。
【0013】
請求項6の発明は、前記金属薄膜層が銀または銀を含む合金であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の導電性積層体である。
【0014】
請求項7の発明は、前記導電性機能層と防汚層の間に、低屈折率層を設けてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の導電性積層体である。
【0015】
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の導電性積層体をディスプレイの前面に設けたことを特徴とするディスプレイである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の導電性積層体は、高屈折率金属化合物層と金属薄膜層との密着を強固にするために特別に層数を増やすことなく、湿った布で長時間にわたり、荷重を掛けて擦っても、透明薄膜層と金属薄膜層とが剥がれてしまわない。
また、金属層を含む導電性機能層の有する機能が長期間持続される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を図1を例に説明する。
図1は、本発明の導電性積層体の一例を示す断面図である。この導電性積層体1は、基材2と、基材2上に設けられたハードコート層3と、ハードコート層3上に設けられたプライマー層4と、プライマー層4上に設けられた導電性機能層5と、導電性機能層5上に設けられた低屈折率透明薄膜層6と、低屈折率透明薄膜層6上に設けられた防汚層7と、基材2の他方の面に設けられた粘着層8とを有して概略構成されるものである。
【0018】
(基材)
基材2としては、透明性を有する無機化合物成形物または有機化合物成形物が挙げられる。本発明における透明性とは、可視光領域の波長の光が透過すればよいことを意味する。成形物の形状としては、表面が平滑であれば特に限定されず、板状、ロール状等が挙げられる。また、基材2は、透明性を有する無機化合物成形物または有機化合物成形物の積層体であってもよい。
【0019】
透明性を有する無機化合物成形物としては、例えば、ソーダライムガラス、硼珪酸ガラス、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、無アルカリガラス、鉛ガラス等が挙げられる。
透明性を有する有機化合物成形物としては、プラスチックが挙げられる。プラスチックとしては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリエチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリウレタン、ポリエチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース等が挙げられる。
【0020】
基材2の厚さは、目的の用途に応じて適宜選択され、通常25〜300μmである。有機化合物成形物には、公知の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等が含有されていてもよい。
【0021】
(ハードコート層)
本発明ではハードコート層3を設けても良い。ハードコート層3は、鉛筆等による引っ掻き傷、スチールウールによる擦り傷等の機械的外傷から基材2表面または基材2上に形成された各層を防護する層である。ハードコート層3を形成する材料としては、透明性、適度な硬度および機械的強度を有するものであればよく、アクリル系樹脂、有機シリコン系樹脂、ポリシロキサン等の樹脂材料が挙げられる。
【0022】
アクリル系樹脂としては、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングロコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールビスβ−(メタ)アクリロイルオキシプロピオネート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、2,3−ビス(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル[2.2.1]ヘプタン、ポリ1,2−ブタジエンジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス(メタ)アクリロイルオキシメチルヘキサン、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカンエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、10−デカンジオール(メタ)アクリレート、3,8−ビス(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.10]デカン、水素添加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、1,4−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、エポキシ変成ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0023】
有機シリコン系樹脂としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタイソプロキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0024】
ハードコート層3は、これら樹脂材料を基材2上に成膜し、熱硬化、紫外線硬化、または電離放射線硬化法によって硬化させることによって形成される。ハードコート層3の厚さは、物理膜厚で0.5μm以上、好ましくは3〜20μm、より好ましくは3〜6μmである。
【0025】
ハードコート層3に、平均粒子径が0.01〜3μmの透明微粒子を分散させて、アンチグレアと呼ばれる処理を施してもよい。ハードコート層3中の微粒子により表面が微細な凹凸状になって光の拡散性が向上し、光の反射をより低減できる。
【0026】
ハードコート層3は、表面処理が施されていることが好ましい。表面処理を施すことにより、隣接する層との密着性を向上させることができる。ハードコート層3の表面処理としては、例えば、コロナ処理法、蒸着処理法、電子ビーム処理法、高周波放電プラズマ処理法、スパッタリング処理法、イオンビーム処理法、大気圧グロー放電プラズマ処理法、アルカリ処理法、酸処理法等が挙げられる。
【0027】
(プライマー層)
また、ハードコート層3と導電性機能層5との間にプライマー層4を設けても良い。
プライマー層4は、ハードコート層3と導電性機能層5との間の密着性を向上させる層である。プライマー層4の材料としては、例えば、シリコン、ニッケル、クロム、錫、金、銀、白金、亜鉛、チタン、タングステン、ジルコニウム、パラジウム等の金属;これら金属の2種類以上からなる合金;これらの酸化物、弗化物、硫化物、窒化物等が挙げられる。酸化物、弗化物、硫化物、窒化物の化学組成は、密着性が向上するならば、化学量論的な組成と一致しなくてもよい。
【0028】
プライマー層4の厚さは、基材2の透明性を損なわない程度であればよく、好ましくは物理膜厚で0.1〜10nmである。
プライマー層4は、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、化学蒸着(CVD)法、湿式塗工法等の従来公知の方法で形成できる。
【0029】
(導電性機能層)
導電性機能層5は、導電性積層体に、電磁波シールド性を付与するものである。また、光学設計により反射防止性を付与することができる。さらには赤外線カット性を有することもできる。また、後述の低屈折率層を設ける場合、低屈折率層も合わせて光学設計することにより、反射防止性を付与することができる。
【0030】
導電性機能層5は、金属化合物層と金属薄膜層を交互に積層し、最下層、最上層が金属化合物層であるものからなる。金属化合物層は、屈折率1.9〜2.5の範囲内である高屈折率金属化合物層であることが好ましい。
図1においては、導電性機能層5は基材2側から順に、高屈折率金属化合物層11、金属薄膜層12、および高屈折率金属化合物層13から構成される。
【0031】
高屈折率金属化合物層11、13は、波長550nmの光の屈折率が1.7以上であり、かつ波長550nmの光の消衰係数が0.5以下である層である。
【0032】
高屈折率金属化合物層11、13の材料としては、インジウム、錫、チタン、シリコン、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、マグネシウム、ビスマス、セリウム、クロム、タンタル、アルミニウム、ゲルマニウム、ガリウム、アンチモン、ネオジウム、ランタン、トリウム、ハフニウム等の金属;これらの金属の酸化物、弗化物、硫化物、窒化物;酸化物、弗化物、硫化物、窒化物の混合物等が挙げられる。酸化物、弗化物、硫化物、窒化物の化学組成は、透明性を保持した化学組成であれば、化学量論的な組成と一致しなくてもよい。
【0033】
また、酸化インジウムと酸化錫との混合物(ITO)、酸化インジウムと酸化セリウムとの混合物(ICO)、酸化インジウムと酸化亜鉛との混合物、酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの混合物、酸化亜鉛と酸化ガリウムとの混合物、酸化錫と酸化アンチモンとの混合物、酸化錫中にアンチモンおよびインジウムを含んだ混合物、シリコン中にジルコニウムを含んだ混合物等が挙げられる。これらのうち、ITOおよびICOは、可視光における屈折率が2.0以上あり、かつ消衰係数がゼロに近いため、可視光領域での透明性に優れ、かつ材料による光の吸収が少ないことから、好適である。また、ITOおよびICOは、自由電子密度が高い、すなわち比抵抗が小さいため、直流電源によるスパッタ成膜を可能にする。直流電源の使用は、成膜速度を向上させ、結果として高い生産性に寄与する。
【0034】
複数の高屈折率金属化合物層は、必ずしも同一の材料でなくてもよく、目的に合わせて適宜選択される。高屈折率金属化合物層11、13は、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、CVD法、湿式塗工法等の従来公知の方法で形成できる。
【0035】
金属薄膜層12は、波長550nmの光の屈折率が1.0以下、消衰係数が10.0以下であることが好ましい。
金属薄膜層12の材料としては例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム、パラジウム等の金属;これら金属の2種類以上を含んだ合金が挙げられる。これらのうち。銀、銀を含む合金、銀を含む混合物が好適である。銀は、波長550nmの光の屈折率が0.055と小さく、一方、消衰係数は3.32と大きい。屈折率に対する消衰係数の比が他の金属に比べて大きいため金属性が高い、つまり導電性が高い。
【0036】
銀の薄膜は、酸素、硫黄、ハロゲン、アルカリ等によって腐食しやすく、結果として凝集、マイグレーション等を引き起こす。一方、銀に他の金属元素を含有させると銀の化学的安定性が向上することが知られている。銀に含有させる金属元素としては、例えば、金、銅、白金、錫、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、チタン、ビスマス、ジルコニウム、ネオジウム、パラジウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、レニウム、ロジウム等が挙げられる。これら金属元素は、2種類以上を銀に含有させてもよい。これらの金属元素を銀に含有させる場合、その含有量は、金属薄膜層12または導電性積層体1の光学性能を悪化させずに、耐腐食性に寄与する程度であればよく、0.1原子%〜20原子%程度である。
【0037】
金属薄膜層12の厚さは、物理膜厚で5〜15nmが好ましい。
金属薄膜層12は、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、CVD法、湿式塗工法等の従来公知の方法により形成できる。スパッタリング法を用いる場合は、直流電源にて成膜が可能であり、大きな成膜速度が得られるため生産性に優れる。
【0038】
なお、導電性機能層は、図示例の3層構造の導電性機能層5に限定はされず、金属化合物層と金属薄膜層とが交互に設けられ、かつ最上層および最下層が金属化合物層であるものであれば、3層の金属化合物層と2層の金属薄膜層とが交互に設けられた5層構造のもの、またはそれぞれ4層以上、3層以上づつ積層した7層以上のものであってもよい。
金属化合物層を増やすことにより、導電性積層体は、反射率が低くなる可視光領域の波長の範囲が広くすることができる。
ただし、後述の低屈折率層を設けた場合、導電性積層体は、低屈折率透明薄膜層によって反射率が低くなる可視光領域の波長の範囲が充分に広くなるので、導電性積層体の薄膜化の観点から、金属化合物層/金属薄膜層/金属化合物層の3層構造のものが好ましい。
【0039】
(低屈折率層)
導電性機能層と防汚層の間に低屈折率層6を設けても良い。低屈折率層6を設けることにより、反射率を下げ、また反射率の低くなる可視光領域の波長範囲が広くすることができる。
低屈折率層6は、波長550nmの光の屈折率が1.7未満であり、かつ波長550nmの光の消衰係数が0.5以下である層である。低屈折率透明薄膜層6を、導電性機能層5の高屈折率金属化合物層13に接するように設けることにより、導電性積層体1は、反射率が低くなる可視光領域の波長の範囲が充分に広くなる。
【0040】
低屈折率層6の材料としては例えば、酸化シリコン、窒化チタン、弗化マグネシウム、弗化バリウム、弗化カルシウム、弗化セリウム、弗化ハフニウム、弗化ランタン、弗化ナトリウム、弗化アルミニウム、弗化鉛、弗化ストロンチウム、弗化イッテリビウム等が挙げられる。
低屈折率層6の厚さは、物理膜厚で15〜70nmが好ましい。
低屈折率層6は、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、CVD法、湿式塗工法等の方法で形成できる。
【0041】
(防汚層)
防汚層7は、純水転落角が50°以下である必要がある。
擦傷試験を行う場合、薄膜表面の転落角が低いほど、布と薄膜表面との間に存在する水は、傾斜が無くとも往復する布によって押し出される。下記式(2)より、一義的ではないが、基本的に転落角が低いほうが、相互作用エネルギーEが小さく、常に水は薄膜表面より押し出されるため、水が薄膜に対し殆ど作用しない。一方、転落角が高い方が、相互作用エネルギーEが大きくなりやすく、布と薄膜表面との間に存在する水は、往復する布によって押し出されることが無く、水が薄膜に対し作用しやすい。
一般的に防汚性を向上させるため、接触角を高めるが、接触角だけを高めたとしても、転落角が低くなるとは限らない。転落角が50°以下であることにより、湿った布で長時間にわたり、荷重を掛けて擦っても高屈折率金属化合物層と金属薄膜層とが剥がれてしまわないものとなる。
【0042】
水滴が傾斜面を滑落するときの力学的平衡を下記式(1)で示す。
mg sinα=2πrE・・・(1)
m:液滴質量
g:重力の加速度
α:転落角
r:水滴接触面の半径
E:固体と液体の相互作用エネルギー
【0043】
式(1)において、Eは材料固有の値を持ち、液滴の大きさにも依存しないため、Vをその体積とすると、m=ρV(ρ:液滴の密度)としたものを下記式(2)に示す。
sinα=(2πE/ρg)(r/V)・・・(2)
【0044】
2πE/ρgは表面材料の液体が一定であれば、常数なるので、sinαを縦軸に、r/Vを横軸にプロットすると直線が得られる。このとき、2πE/ρgは、その直線の勾配をあらわす。この勾配が急になるほど液滴は滑り難く、緩やかになるほど滑りやすいことを表しており、Eが小さいほど勾配が緩やかになる。
【0045】
また、転落角が低いものの、接触角が低い場合、指紋やマジックといった外的な汚れに対し、高いレベルの撥水・撥油効果を示さなくなることがあり、指紋等の拭取り性が良好であることなど、高い防汚性を要求される場合は、防汚層7表面における純水の接触角は、防水および防汚性の観点から、90゜以上であることが好ましい。
【0046】
防汚層7は、反応性官能基と結合している有機珪素化合物から得られた層からなる。ここで本発明における反応性官能基とは、導電性機能層5の金属化合物層または低屈折率層6の材料と反応し、結合しうる基を意味する。
また、反応性官能基と結合している有機珪素化合物が、反応性官能基と結合している珪素原子を1つ以上有することが好ましい。
【0047】
防汚層の反応性官能基と、導電性機能層5の金属化合物層または低屈折率層6の材料が結合しているか否かは、分析が困難であるが、ふき取り試験を100回行った後と、ふき取り試験をやる行う前で純水接触角に差がなければ、防汚層が強固に下層である導電性機能層5の金属化合物層または低屈折率層6の材料と結合していると推測される。具体的にはその差が5°以内、好ましくは2°以内であると良い。
ふき取り試験は、テスター産業株式会社製擦傷試験機「AB−301 学振型摩擦堅牢度試験機」を用いて、200g荷重にて往復させる。なお、「AB−301 学振型摩擦堅牢度試験機」・・・JISL−0849を参考規格としている。
【0048】
具体的には、シロキサン結合を主鎖とした有機珪素化合物の反応性官能基と低屈折率透明薄膜層6の材料とを反応させ、また、珪素原子を2つ以上有するシロキサン結合を主鎖とした有機珪素化合物である場合、反応性官能基同士を反応させることにより形成される層である。
【0049】
反応性官能基としては、加水分解性基、ハロゲン原子等が挙げられる。加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基;アリロキシ基、イソプロペノキシ基等のアルケニルオキシ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシロキシ基;ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基、シクロペンタノキシム基、シクロヘキサノキシム基等のケトオキシム基;N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−シクロヘキシルアミノ基等のアミノ基;N−メチルアセトアミド基、N−エチルアセトアミド基、N−メチルベンズアミド基等のアミド基;N,N−ジメチルアミノオキシ基、N,N−ジエチルアミノオキシ基等のアミノオキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。これらのうち、メトキシ基、エトキシ基、イソプロペノキシ基が好適である。
【0050】
反応性官能基と結合している珪素原子を1つ以上有しているシロキサン結合を主鎖とした有機珪素化合物としては、例えば、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0051】
【化1】

【0052】
式(1)中、R1は、互いに同一又は異種炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロヒル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基フェニルエチル基等のアラルキル基などが挙げられ、特にメチル基、エチル基、フェニル基、フェニルエチル基が好ましく、R2、X1、X2は、反応性官能基を表し、R3は、炭化水素1〜10の1価炭化水素基であり、R1で例示したと同様のものを挙げることが出来るが、これはその炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部がフッ素原子にて置換されていてもよく、このような置換基として、トリフロロプロピル基等例示することが出来、kは0〜100の整数、mは0〜100の整数、nは0〜5の整数であり、R4、R5は、アルキレン基を表し、R6、R7は、炭素数1〜10、好ましくは1〜3の一価の炭化水素基を表し、R6、R7の一価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基等が挙げられ、p、qは、1〜3の整数を表す。
【0053】
防汚層7は、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、プラズマ重合法等の真空ドライプロセスの他、マイクログラビア法、スクリーンコート法、ディップコート法等のウェットプロセスにより形成できる。防汚層7の物理膜厚は、1〜30nm程度であり、好ましくは3〜15nm程度である。
【0054】
(粘着層)
また基材2の導電性機能層を設ける側とは反対側に粘着層8を設けても良い。
粘着層8は、可視光領域の波長の光を透過し、かつ粘着性を有するものであればよい。
粘着層8は、光学的性能の観点から、波長500〜600nmの光の屈折率が1.45〜1.7であり、消衰係数がほぼ0であることが好ましい。
粘着層8の材料としては例えば、アクリル系接着剤、シリコン系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリビニルブチラール接着剤(PVA)、エチレン−酢酸ビニル系接着剤(EVA)、ポリビニルエーテル、飽和無定形ポリエステル、メラミン樹脂等が挙げられる。
【0055】
本発明の導電性積層体は、CRT用フィルタ、液晶表示装置用フィルタ、プラズマディスプレイパネル用フィルタ、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ用フィルタ、フィールドエミッションディスプレイ(FED)用フィルタ、リアプロジェクションテレビ用フィルタ等の光学フィルタとして用いることができる。
プラズマディスプレイパネル用フィルタにおいては、本発明の導電性積層体以外に、他の層として、防眩性を確保するアンチグレア層、ニュートンリングの発生を抑制するアンチニュートンリング層、色補正層、赤外線カット層、紫外線カット層、ガスバリア層、帯電防止層、電磁波シールド層等を設けてもよい。
【0056】
また本発明の導電性積層体は、CRT、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル等の光学表示装置の前面に設けて用いることができる。
【0057】
また、本発明の導電性積層体は、液晶表示装置に用いる光源のリフレクターなどの光学物品として用いることができる。
【実施例】
【0058】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
<実施例1>
基材2である、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(波長550nmの光の屈折率1.51)(以下、TACフィルムと記す)上に、電離放射線硬化型アクリル系樹脂をウェットコーティングによって成膜し、物理膜厚5μmのハードコート層3を形成した。
【0059】
該ハードコート層成膜済TACフィルム上に、図2に示すロール・ツー・ロールの真空成膜装置にて、プライマー層4、導電性機能層5、低屈折率透明薄膜層6を形成する。
図2に示す真空成膜装置の概要を説明する。図2に示す真空成膜装置の概要を説明する。まず、スパッタ・カソード1〜5(SC1、SC2、SC3、SC4、SC5)は、デュアルマグネトロン・スパッタリング法(以下DMS法)及びパルスマグネトロン・スパッタリング法(以下PMS法)の切り替えが可能であり、本実施例1では、DMS法を用いるため、DMSカソードが配置されており、それぞれのカソードで別々の成膜気圧を設定出来るように仕切りが設けてある。該成膜装置を用いることで、巻出しローラーaにTAC原反をセットし、巻き取りローラーb方向にTACフィルムを搬送させることで、本発明にて例示した導電性積層体1におけるプライマー層4、導電性機能層5、低屈折率透明薄膜層6全てを1往路のみで積層することが可能である。
DMS法、PMS法共に、2つのカソードで正負交互に電圧印加されるため、成膜中の高エネルギー粒子による基板側へのボンバードメントが大きく、通常のDCマグネトロン・スパッタリング、RFマグネトロン・スパッタリングと比較して、イオンアシスト効果が大きく、緻密で、膜硬度、膜応力が強い膜が成膜される。
【0060】
図2に示す成膜装置を用い、TACフィルムを搬送させながら、Siターゲットが配置されたSC1にて、ハードコート層3上に、SiOをDMS法により堆積させ、物理膜厚3nmのプライマー層4を形成した。この際、スパッタガスとしてAr、反応性ガスとしてOを用い、流量はそれぞれ200sccm、30sccmであり、成膜気圧は0.3Paとして成膜を行なった。
【0061】
ついで、以下のようにして高屈折率金属化合物層11、金属薄膜層12、および高屈折率金属化合物層13からなる導電性機能層5を形成した。
図2に示す成膜装置を用い、TACフィルムを搬送させながら、SC2にて、プライマー層4上に、インジウム中にセリウム10原子%を含有する透明導電酸化物材料(ICO)をDMS法により堆積させ、物理膜厚27nmの高屈折率金属化合物層11(波長550nmの光の屈折率2.2、消衰係数0.001)を形成した。この際、スパッタガスとしてAr、反応性ガスとしてOを用い、流量はそれぞれ200sccm、3sccmであり、成膜気圧は0.3Paとして成膜を行なった。
【0062】
次に、図2に示す成膜装置を用い、TACフィルムを搬送させながら、SC3にて、高屈折率金属化合物層11上に、銀中に金1.5原子%および銅0.5原子%を含有する合金をDMS法により堆積させ、物理膜厚9nmの金属薄膜層12(波長550nmの光の屈折率0.09、消衰係数3.51)を形成した。この際、スパッタガスとしてArを用い、流量は200sccm、成膜気圧は0.3Paとして成膜を行なった。
【0063】
更に、図2に示す成膜装置を用い、TACフィルムを搬送させながら、SC4にて、金属薄膜層12上に、インジウム中にセリウム10原子%を含有する透明導電酸化物材料(ICO)をDMS法により堆積させ、物理膜厚20nmの高屈折率金属化合物層13(波長550nmの光の屈折率2.2、消衰係数0.001)を形成した。この際、スパッタガスとしてAr、反応性ガスとしてOを用い、流量はそれぞれ200sccm、3sccmであり、成膜気圧は0.3Paとして成膜を行なった。
【0064】
ついで、図2に示す装置を用いて、TACフィルムを搬送させながら、SC5にて、高屈折率金属化合物層13上に、DMS法によりSiOを堆積させ、物理膜厚40nmの低屈折率透明薄膜層6(波長550nmの光の屈折率1.46、消衰係数0)を形成した。この際、図2中のスパッタカソード5において示される2対のカソードには、それぞれSiターゲットが配置されており、該2対のSiターゲットが配置されたカソードにサイン波を正負交互に印加するが、その周波数は40kHzとした。また、スパッタガスをAr、反応性ガスをOとし、それぞれ流量は、Arが200sccm、Oが100sccmであり、成膜気圧は0.3Paとして成膜を行なった。
【0065】
さらに、低屈折率透明薄膜層6上に、下記式(2)で表される有機珪素化合物を、図2に示す真空成膜装置とは別の真空成膜装置を用いて、抵抗加熱による真空蒸着法により堆積させ、物理膜厚6nmの防汚層7を形成した。更に、TACフィルムの他方の面に、アクリル系接着剤を塗布して粘着層8を形成し、導電性積層体1を得た。
【0066】
【化2】

【0067】
<実施例2>
【0068】
該ハードコート層成膜済TACフィルム上に、図2に示すロール・ツー・ロールの真空成膜装置にて、プライマー層4、導電性機能層5、低屈折率透明薄膜層6を形成する。
図2中のスパッタ・カソード1〜5(SC1、SC2、SC3、SC4、SC5)には、それぞれPMSカソードが配置されており、それぞれのカソードで別々の成膜気圧を設定出来るように仕切りが設けてある。
【0069】
図2に示す成膜装置を用い、TACフィルムを搬送させながら、SC1にて、ハードコート層3上に、SiOをPMS法により堆積させ、物理膜厚3nmのプライマー層4を形成した。この際、スパッタガスとしてAr、反応性ガスとしてOを用い、流量はそれぞれ200sccm、30sccmであり、成膜気圧は0.3Paとして成膜を行なった。
【0070】
ついで、以下のようにして高屈折率金属化合物層11、金属薄膜層12、および高屈折率透明薄膜層13からなる導電性機能層5を形成した。
図2に示す成膜装置を用い、TACフィルムを搬送させながら、SC2にて、プライマー層4上に、インジウム中にセリウム10原子%を含有する透明導電酸化物材料(ICO)をPMS法により堆積させ、物理膜厚27nmの高屈折率金属化合物層11(波長550nmの光の屈折率2.2、消衰係数0.001)を形成した。この際、スパッタガスとしてAr、反応性ガスとしてOを用い、流量はそれぞれ200sccm、3sccmであり、成膜気圧は0.3Paとして成膜を行なった。
【0071】
次に、図2に示す成膜装置を用い、TACフィルムを搬送させながら、SC3にて、高屈折率金属化合物層11上に、銀中に金1.5原子%および銅0.5原子%を含有する合金をPMS法により堆積させ、物理膜厚9nmの金属薄膜層12(波長550nmの光の屈折率0.09、消衰係数3.51)を形成した。この際、スパッタガスとしてAr、流量は200sccmであり、成膜気圧は0.3Paとして成膜を行なった。
【0072】
更に、図2に示す成膜装置を用い、TACフィルムを搬送させながら、SC4にて、金属薄膜層12上に、インジウム中にセリウム10原子%を含有する透明導電酸化物材料(ICO)をPMS法により堆積させ、物理膜厚20nmの高屈折率金属化合物層13(波長550nmの光の屈折率2.2、消衰係数0.001)を形成した。この際、スパッタガスとしてAr、反応性ガスとしてOを用い、流量はそれぞれ200sccm、3sccmであり、成膜気圧は0.3Paとして成膜を行なった。
【0073】
ついで、図2に示す装置を用いて、TACフィルムを搬送させながら、SC5にて、高屈折率金属化合物層13上に、PMS法によりSiOを堆積させ、物理膜厚40nmの低屈折率透明薄膜層6(波長550nmの光の屈折率1.46、消衰係数0)を形成した。この際、図2中のスパッタカソード5において示される2対のカソードには、それぞれSiターゲットが配置されており、該2対のSiターゲットが配置されたカソードにDCパルス波を正負交互に印加するが、その周波数は40kHzとした。また、スパッタガスをAr、反応性ガスをOとし、それぞれ流量は、Arが200sccm、Oが100sccmであり、成膜気圧は0.3Paとして成膜を行なった。
【0074】
さらに、低屈折率透明薄膜層6上に、上記式(2)で表される有機珪素化合物を、図2に示す真空成膜装置とは別の真空成膜装置を用いて、抵抗加熱による真空蒸着法により堆積させ、物理膜厚6nmの防汚層7を形成した。更に、TACフィルムの他方の面に、アクリル系接着剤を塗布して粘着層8を形成し、導電性積層体1を得た。
【0075】
<実施例3>
該ハードコート層成膜済TACフィルム上に、図3に示すロール・ツー・ロールの真空成膜装置にて、プライマー層4、導電性機能層5、低屈折率透明薄膜層6を形成する。
図2に示す真空成膜装置の概要を説明する。図2に示す真空成膜装置の概要を説明する。まず、スパッタ・カソード1、7(SC1、SC7)にはRFマグネトロン・スパッタカソードを、スパッタ・カソード2、3、4(SC2、SC3、SC4)にはDCマグネトロン・スパッタ・カソードを、スパッタ・カソード5にはDMSカソードを、スパッタ・カソード6(SC6)にはPMSカソードを配置してあり、それぞれのカソードで成膜気圧を設定出来るように仕切りが設けてある。該成膜装置を用いることで、巻出しローラーaにTAC原反をセットし、巻き取りローラーb方向にTACフィルムを搬送させることで、本発明にて例示した導電性積層体1におけるプライマー層4、導電性機能層5、低屈折率透明薄膜層6全てを1往路のみで積層することが可能である。
【0076】
図3に示す成膜装置を用い、TACフィルムを搬送させながら、SC1にて、ハードコート層3上に、SiOをRFマグネトロン・スパッタリング法により堆積させ、物理膜厚3nmのプライマー層4を形成した。また、スパッタガスをAr、反応性ガスをOとし、それぞれ流量は、Arが200sccm、Oが30sccmであり、成膜気圧は0.3Paとして成膜を行なった。
【0077】
ついで、以下のようにして高屈折率金属化合物層11、金属薄膜層12、および高屈折率金属化合物層13からなる導電性機能層5を形成した。
図3に示す成膜装置を用い、TACフィルムを搬送させながら、SC2にて、プライマー層4上に、インジウム中にセリウム10原子%を含有する透明導電酸化物材料(ICO)をDCマグネトロン・スパッタリング法により堆積させ、物理膜厚27nmの高屈折率金属化合物層11(波長550nmの光の屈折率2.2、消衰係数0.001)を形成した。この際、スパッタガスとしてAr、反応性ガスとしてOを用い、流量はそれぞれ200sccm、3sccmであり、成膜気圧は0.3Paとして成膜を行なった。
【0078】
次に、図3に示す成膜装置を用い、TACフィルムを搬送させながら、SC3にて、高屈折率金属化合物層11上に、銀中に金1.5原子%および銅0.5原子%を含有する合金をDCマグネトロン・スパッタリング法により堆積させ、物理膜厚9nmの金属薄膜層12(波長550nmの光の屈折率0.09、消衰係数3.51)を形成した。この際、スパッタガスとしてAr、流量は200sccmであり、成膜気圧は0.3Paとして成膜を行なった。
【0079】
更に、図3に示す成膜装置を用い、TACフィルムを搬送させながら、SC4にて、金属薄膜層12上に、インジウム中にセリウム10原子%を含有する透明導電酸化物材料(ICO)をDCマグネトロン・スパッタリング法により堆積させ、物理膜厚20nmの高屈折率金属化合物層13(波長550nmの光の屈折率2.2、消衰係数0.001)を形成した。この際、スパッタガスとしてAr、反応性ガスとしてOを用い、流量はそれぞれ200sccm、3sccmであり、成膜気圧は0.3Paとして成膜を行なった。
【0080】
ついで、図3に示す装置を用いて、TACフィルムを搬送させながら、SC5にて、高屈折率金属化合物層13上に、SiOを堆積させ、物理膜厚40nmの低屈折率透明薄膜層6(波長550nmの光の屈折率1.46、消衰係数0)を形成した。図3中のスパッタカソード5において示される2対のカソードには、それぞれSiターゲットが配置されており、該2対のSiターゲットが配置されたカソードにサイン波を正負交互に印加するが、その周波数は40kHzとした。また、スパッタガスをAr、反応性ガスをOとし、それぞれ流量は、Arが200sccm、Oが100sccmであり、成膜気圧は0.3Paとして成膜を行なった。
【0081】
さらに、低屈折率透明薄膜層6上に、上記式(2)で表される有機珪素化合物を、図2に示す真空成膜装置とは別の真空成膜装置を用いて、抵抗加熱による真空蒸着法により堆積させ、物理膜厚6nmの防汚層7を形成した。更に、TACフィルムの他方の面に、アクリル系接着剤を塗布して粘着層8を形成し、導電性積層体1を得た。
【0082】
<実施例4>
実施例3と同様の手段により、プライマー層4、高屈折率金属化合物層11、金属薄膜層12、および高屈折率金属化合物層13の成膜を行ない、SC6にて、高屈折率金属化合物層13上に、PMS法を用いてSiO2を堆積させ、物理膜厚40nmの低屈折率透明薄膜層6(波長550nmの光の屈折率1.46、消衰係数0)を形成した。図2中のスパッタカソード5において示される2対のカソードには、それぞれSiターゲットが配置されており、該2対のSiターゲットが配置されたカソードに正負交互にDCパルス波の電圧を印加するが、その周波数は40kHzとした。また、スパッタガスをAr、反応性ガスをOとし、それぞれ流量は、Arが200sccm、Oが100sccmであり、成膜気圧は0.3Paとして成膜を行なった。
【0083】
さらに、低屈折率透明薄膜層6上に、上式(2)で表される有機珪素化合物を、実施例1と同様に、抵抗加熱による真空蒸着法により堆積させ、物理膜厚6nmの防汚層7を形成した。更に、TACフィルムの他方の面に、アクリル系接着剤を塗布して粘着層8を形成し、導電性積層体1を得た。
【0084】
<実施例5>
実施例3と同様の手段により、プライマー層4、高屈折率金属化合物層11、金属薄膜層12、および高屈折率金属化合物層13の成膜を行ない、SC7にて、高屈折率金属化合物層13上に、RFマグネトロン・スパッタリング法を用いてSiOを堆積させ、物理膜厚40nmの低屈折率透明薄膜層6(波長550nmの光の屈折率1.46、消衰係数0)を形成した。
RFマグネトロンスパッタリングの周波数は13.56MHzとした。また、スパッタガスをAr、反応性ガスをOとし、それぞれ流量は、Arが200sccm、Oが100sccmであり、成膜気圧は0.3Paとして成膜を行なった。
【0085】
さらに、低屈折率透明薄膜層6上に、上式(2)で表される有機珪素化合物を、実施例1と同様に、抵抗加熱による真空蒸着法により堆積させ、物理膜厚6nmの防汚層7を形成した。更に、TACフィルムの他方の面に、アクリル系接着剤を塗布して粘着層8を形成し、導電性積層体1を得た。
【0086】
<実施例6>
実施例3と同様の手段により、プライマー層4、高屈折率金属化合物層11、金属薄膜層12、および高屈折率金属化合物層13の成膜を行なった後、図2に示すロール・ツー・ロール型真空成膜装置とは別のロール・ツー・ロール型真空成膜装置を用いて、高屈折率金属化合物層13上に、電子ビーム蒸着法を用いてSiOを堆積させ、物理膜厚40nmの低屈折率透明薄膜層6(波長550nmの光の屈折率1.46、消衰係数0)を形成した。
【0087】
さらに、低屈折率透明薄膜層6上に、上式(2)で表される有機珪素化合物を、実施例1と同様に、抵抗加熱による真空蒸着法により堆積させ、物理膜厚6nmの防汚層7を形成した。更に、TACフィルムの他方の面に、アクリル系接着剤を塗布して粘着層8を形成し、導電性積層体1を得た。
【0088】
<比較例1>
実施例1と全く同様にプライマー層4、導電性機能層5、低屈折率透明薄膜層6を成膜し、防汚層7に関しては、下記式(3)で表されるシロキサン結合を主鎖としないフッ素含有珪素化合物を、抵抗加熱による真空蒸着法により堆積させ、物理膜厚6nmの防汚層7を形成した。更に、TACフィルムの他方の面に、アクリル系接着剤を塗布して粘着層8を形成し、導電性積層体1を得た。
【0089】
【化3】

【0090】
<比較例2>
実施例2と全く同様にプライマー層4、導電性機能層5、低屈折率透明薄膜層6を成膜し、防汚層7に関しては、上記式(3)で表されるシロキサン結合を主鎖としないフッ素含有珪素化合物を、抵抗加熱による真空蒸着法により堆積させ、物理膜厚6nmの防汚層7を形成した。更に、TACフィルムの他方の面に、アクリル系接着剤を塗布して粘着層8を形成し、導電性積層体1を得た。
【0091】
<比較例3>
実施例3と全く同様にプライマー層4、導電性機能層5、低屈折率透明薄膜層6を成膜し、防汚層7に関しては、上記式(3)で表されるシロキサン結合を主鎖としないフッ素含有珪素化合物を、抵抗加熱による真空蒸着法により堆積させ、物理膜厚6nmの防汚層7を形成した。更に、TACフィルムの他方の面に、アクリル系接着剤を塗布して粘着層8を形成し、導電性積層体1を得た。
【0092】
<比較例4>
実施例4と全く同様にプライマー層4、導電性機能層5、低屈折率透明薄膜層6を成膜し、防汚層7に関しては、上記式(3)で表されるシロキサン結合を主鎖としないフッ素含有珪素化合物を、抵抗加熱による真空蒸着法により堆積させ、物理膜厚6nmの防汚層7を形成した。更に、TACフィルムの他方の面に、アクリル系接着剤を塗布して粘着層8を形成し、導電性積層体1を得た。
【0093】
<比較例5>
実施例5と全く同様にプライマー層4、導電性機能層5、低屈折率透明薄膜層6を成膜し、防汚層7に関しては、上記式(3)で表されるシロキサン結合を主鎖としないフッ素含有珪素化合物を、抵抗加熱による真空蒸着法により堆積させ、物理膜厚6nmの防汚層7を形成した。更に、TACフィルムの他方の面に、アクリル系接着剤を塗布して粘着層8を形成し、導電性積層体1を得た。
【0094】
<比較例6>
実施例6と全く同様にプライマー層4、導電性機能層5、低屈折率透明薄膜層6を成膜し、防汚層7に関しては、上記式(3)で表されるシロキサン結合を主鎖としないフッ素含有珪素化合物を、抵抗加熱による真空蒸着法により堆積させ、物理膜厚6nmの防汚層7を形成した。更に、TACフィルムの他方の面に、アクリル系接着剤を塗布して粘着層8を形成し、導電性積層体1を得た。
【0095】
<評価>
実施例1〜6および比較例1〜6で得られた導電性積層体1について、以下の評価を行った。結果を表1〜4に示す。
(1)耐湿布擦傷試験−1:
実施例1〜6、比較例1〜6によって成膜したサンプルに対し、純水を十分に染み込ませたクリーンウェス(GUARDNER CO.,Ltd製CLEANROOM WIPER)を擦傷試験機(TESTER SANGYO CO.,Ltd製 学振型摩擦堅牢度試験機AB−301)に固定し、500gfの荷重を掛けて、100、200、300、400、500往復の擦傷試験を各サンプルに対して、それぞれ行ない、サンプルの磨耗状態を光学顕微鏡にて観察する。この際、高屈折率薄膜層11/金属薄膜層12界面、金属薄膜層12/高屈折率薄膜層13界面で層間剥離が起きた結果の磨耗であるかどうかについて、磨耗部をレンズ反射測定機(OLYMPUS社製USPM−RU)にて測定し、得られる分光カーブより確認した(表1)。
【0096】
(2)耐湿布擦傷試験−2:
実施例1〜6、比較例1〜6によって成膜したサンプルに対し、鉱物系油剤及び非イオン系界面活性剤を含んだ化学雑巾(大日本除虫菊株式会社製サッサ)を擦傷試験機(TESTER SANGYO CO.,Ltd製 学振型摩擦堅牢度試験機AB−301)に固定し、500gfの荷重を掛けて、100、200、300、400、500往復の擦傷試験を各サンプルに対して、それぞれ行ない、サンプルの磨耗状態を光学顕微鏡にて観察する。この際、高屈折率薄膜層11/金属薄膜層12界面、金属薄膜層12/高屈折率薄膜層13界面で層間剥離が起きた結果の磨耗であるかどうかについて、磨耗部をレンズ反射測定機(OLYMPUS社製USPM−RU)にてスポットサイズ12.5μmを測定し、得られる分光カーブより確認した(表2)。
【0097】
(3)薄膜強度試験:
特許第3562070号記載の薄膜強度評価装置を用いて、実施例1〜6、比較例1〜6によって作成したサンプルの薄膜部のヤング率(GPa)を測定する(表3)。
【0098】
(4)純水転落角及び純水接触角測定試験:
実施例1〜6、比較例1〜6によって成膜したサンプルの純水転落角及び純水接触角を、自動接触角計(協和界面化学(株)製CA−V型)を用いて測定した。
【0099】
(5)ふき取り試験:
実施例1のサンプルを、テスター産業株式会社製擦傷試験機「AB−301 学振型摩擦堅牢度試験機」を用いて、200g荷重にて100往復させた。ふき取り試験する前と、10回、30回、50回、100回試験を行ったときの純水接触角を表5に示す。
【0100】
【表1】

【0101】
【表2】

【0102】
【表3】

【0103】
【表4】

【0104】
【表5】

【0105】
(1)(2)の評価における比較例1〜6のサンプルについて、磨耗が発生した箇所をレンズ反射測定機(OLYMPUS社製USPM−RU)にて測定した結果、得られる分光カーブより、表1、表2にて「傷多数」「膜剥離」と示した条件では、高屈折率薄膜層11/金属薄膜層12界面、金属薄膜層12/高屈折率薄膜層13界面で層間剥離が起きていることが確認出来た。また、特に「膜剥離」と示した条件では、高屈折率薄膜層11/金属薄膜層12界面での層間剥離が完全に起きており、分光カーブからは、ハードコート層3ないしプライマー層4ないし高屈折率薄膜層11までしか確認されなかった。
【0106】
一方、(1)(2)の評価における実施例1〜6のサンプルについては、膜自体に傷がついておらず、高屈折率薄膜層11/金属薄膜層12界面、金属薄膜層12/高屈折率薄膜層13界面で層間剥離が起きいないことが確認出来た。
【0107】
また、評価(3)の測定結果より各実施例の導電性積層体1における薄膜のヤング率測定結果より確認することが出来る。実施例1〜6に関しては、低屈折率透明薄膜層6をRFマグネトロン・スパッタリング法、電子ビーム蒸着法により成膜した実施例5、実施例6の薄膜のヤング率は、低屈折率透明薄膜層6のみをDMS法、PMS法で成膜した実施例3、実施例4の薄膜のヤング率より低く、プライマー層4、導電性機能層5、低屈折率透明薄膜層6全てをDMS法、PMS法で成膜した実施例1、実施例2のヤング率が最も高いことが確認出来る。しかし、評価(2)(3)の耐湿布擦傷試験においては、各実施例ともに傷が入っておらず、金属層12と高屈折率金属化合物層12、13との界面での剥離は観察されなかった。
【0108】
一方、評価(3)の測定結果より各比較例の導電性積層体1における薄膜のヤング率測定結果より確認することが出来る。実施例の場合と同様に、低屈折率透明薄膜層6をRFマグネトロン・スパッタリング法、電子ビーム蒸着法により成膜した比較例5、比較例6の薄膜のヤング率は、低屈折率透明薄膜層6のみをDMS法、PMS法で成膜した比較例3、比較例4の薄膜のヤング率より低く、プライマー層4、導電性機能層5、低屈折率透明薄膜層6全てをDMS法、PMS法で成膜した比較例1、比較例2のヤング率が最も高いことが確認出来る。また、実施例と比較して防汚層7のみが違う材料であるが、プライマー層4、導電性機能層5、低屈折率薄膜層6に関しては、同様であるため、得られたヤング率もほぼ同等である。しかし、評価(2)(3)の耐湿布擦傷試験においては、擦傷条件によっては、金属層12と高屈折率金属化合物層12、13との界面での剥離が観察された。これは、上式(2)の防汚層7と、上式(3)の防汚層7とで、耐湿布擦傷性に関して、上式(2)のシロキサン結合を主鎖とした有機珪素化合物の方が、明らかに優れていることが確認された。
【0109】
また、評価(5)の測定結果により、実施例1のサンプルは、ふき取り試験をする前と、100回ふき取りを行った後で、純水接触角がほとんど変わらなかった。これは、防汚層の反応性官能基が低屈折率層と化学的に結合しているため、100回ふき取り試験を行っても純水接触角の値がほとんど変わらなかったと推測される。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の導電性積層体の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の導電性積層体の成膜に用いる装置の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の導電性積層体の成膜に用いる装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0111】
1 導電性積層体
2 基材
3 ハードコート層
4 プライマー層
5 導電性機能層
6 低屈折率層
7 防汚層
8 粘着層
11 高屈折率金属化合物層
12 金属薄膜層
13 高屈折率金属化合物層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基材上に、金属薄膜層及び金属化合物層を積層してなる導電性機能層、防汚層を有する導電性積層体であって、前記防汚層が、反応性官能基と結合している有機珪素化合物から得られた層であり、且つ純水転落角が50°以下であることあることを特徴とする導電性積層体。
【請求項2】
前記防汚層の表面における純水の接触角が、90゜以上であることを特徴とする請求項1に記載の導電性積層体。
【請求項3】
前記防汚層の、反応性官能基と結合している有機珪素化合物が、反応性官能基と結合している珪素原子を1つ以上有することを特徴とする請求項1または2に記載の導電性積層体。
【請求項4】
ふき取り試験を行う前と、100回行った後の純水接触角の差が5°以内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性積層体。
【請求項5】
前記導電性機能層が、高屈折率金属化合物層/金属薄膜層/高屈折率金属化合物層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性積層体。
【請求項6】
前記金属薄膜層が銀または銀を含む合金であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の導電性積層体。
【請求項7】
前記導電性機能層と防汚層の間に、低屈折率層を設けてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の導電性積層体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の導電性積層体をディスプレイの前面に設けたことを特徴とするディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−168218(P2007−168218A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−367728(P2005−367728)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】