説明

導電性部材の製造方法

【課題】長期にわたって感光体との空隙を精度良く一定に保ち続けることができ、耐久性の高い導電性部材の製造方法を提供する。
【解決手段】軸部材をなす導電性支持体10の両端部を除く中間部の周面に電気抵抗調整層11を設け、導電性支持体10の両端部で、電気抵抗調整層11と異なる材質からなる空隙調整部材12,12をその一端面を電気抵抗調整層11の端面にそれぞれ当接固定させて取り付け、この後、空隙調整部材12,12のそれぞれの外周面が感光体ドラム4の外表面4aに当接した状態で、電気抵抗調整層11の外面と感光体ドラム4の外面との間に空隙が形成されるように、一方の空隙調整部材12の他端から電気抵抗調整層11および他方の空気調整部材12の他端まで除去加工して、各空隙調整部材12,12の電気抵抗調整層11に接する側に、感光体ドラム4の外面に接しない少なくとも一つの小径部12dを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軸部材をなす導電性支持体の両端部を除く中間部の周面に電気抵抗調整層を設けた導電性部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置には、感光体ドラム(像担持体)に対して帯電処理を行う帯電部材や、感光体ドラム上のトナーに対して転写処理を行う転写部材として導電性部材が用いられている。
【0003】
図1は、導電性部材を帯電部材として用いた一例を示したものであり、画像形成装置1における帯電ローラ2が帯電部材として用いられている。この画像形成装置1は、静電潜像が形成される感光体ドラム4と、感光体ドラム4に対して帯電処理を行う帯電ローラ2と、帯電ローラ2に電圧を印可するためのパワーパック(電圧印加電源)3と、感光体ドラム4の表面電位を測定する表面電位計5と、感光体ドラム4の静電潜像にトナーを付着させる現像ローラ6と、感光体ドラム4上のトナー像を記録紙Sに転写処理する転写ローラ7と、転写処理後の感光体ドラム4をクリーニングするためのクリーニング装置8とを備えている。なお、図2に示すように、感光体ドラム4、帯電ローラ2、現像ローラ6、クリーニング装置8を包括するプロセスカートリッジ9が画像形成装置1内に設置される場合もある。
【0004】
帯電ローラ2はパワーパック3より電源供給を受け、感光体ドラム4を所望の電位に帯電させる。この感光体ドラム4は図示を略す駆動機構により矢印A方向に回転する。表面電位計5はその回転方向に沿って帯電ローラ2の直後に設けられ、感光体ドラム4の表面4aの電位を測定する。
【0005】
現像ローラ6は帯電した感光体ドラム4にトナーを付着させ、転写ローラ7は感光体ドラム4に付着したトナーを記録紙Sに転写する。クリーニング装置8は感光体ドラム4に残留したトナーを除去し、感光体ドラム4をクリーニングする。
【0006】
この画像形成装置1による画像形成過程では、まず、帯電ローラ2により感光体ドラム4の表面4aが負の高電位に帯電する。続いて、その帯電した表面4aに原稿からの反射光やレーザー光からなる露光Lが照射される。この露光Lは、形成しようとする画像の黒/白に応じた光量分布を有し、表面4aの各部の電位(負の電位)が受光量に合わせて低下することによって表面4aには光量分布に対応する電位分布、すなわち、静電潜像が形成される。
【0007】
感光体ドラム4が回転してその表面4aの静電潜像が形成された部分が現像ローラ6を通過すると、表面4aには電位分布に応じたトナーが付着して静電潜像がトナー像として可視化される。このトナー像は所定のタイミングで給送される記録紙Sに転写ローラ7により転写され、記録紙Sは図示を略す定着ユニットに向かって矢印B方向に搬送される。
【0008】
一方、転写後の感光体ドラム4は、表面4aに残留するトナーがクリーニング装置8により除去されてクリーニングされるとともに、図示を略すクエンチングランプにより残留電荷が除去されて次回の作像処理に移行する。
【0009】
上記の画像形成装置1における一般的な帯電方式として帯電ローラ2を感光体ドラム4に接触させる接触帯電方式が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、一般的な画像形成装置の構成を示した概略図である。
【図2】図2は、プロセスカートリッジを備えた画像形成装置の構成を示した概略図である。
【図3】図3は、本発明に係る帯電ローラ(導電性部材)を示した断面図である。
【図4】図4は、本発明に係る帯電ローラと感光体ドラムとの配設関係を示した断面図である。
【図5】図5は、本発明に係る帯電ローラにおける抵抗調整層と空隙保持部材との取り付け工程を示した断面図である。
【図6】図6は、抵抗調整層と空隙保持部材とが設置された帯電ローラにおいて除去加工を行う工程を示した断面図である。
【図7】図7は実施例1に係る帯電ローラの除去加工の工程を示した断面拡大図であり、(a)は除去加工前を示し、(b)は除去加工後を示している。
【図8】図8は、実施例1に係る帯電ローラの端部を示した拡大断面図である。
【図9】図9は実施例2に係る帯電ローラの除去加工の工程を示した断面拡大図であり、(a)は除去加工前を示し、(b)は除去加工後を示している。
【図10】図10は、実施例2に係る帯電ローラの端部を示した拡大断面図である。
【図11】図11は、実施例3に係る帯電ローラの端部を示した拡大断面図である
【図12】図12は、実施例4に係る帯電ローラの端部を示した拡大断面図である。
【図13】図13は、実施例5に係る帯電ローラの端部を示した拡大断面図である。
【図14】図14は、実施例6に係る帯電ローラの端部を示した拡大断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る導電性部材を、図面を用いて詳細に説明する。
【0025】
図3は、画像形成装置1の帯電ローラ2として使用される導電性部材の構成を示した断面図である。なお、具体的な画像形成装置1の構成は、図1を用いて背景技術において説明した内容と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0026】
帯電ローラ2は、近接帯電方式の帯電ローラであって、導電性支持体10と、抵抗調整層11と、空隙保持部材12とを備えている。導電性支持体10は、長尺の円柱形状を呈しており、この端部には帯電ローラ2に電圧を印可するためのパワーパック(電圧印加電源)3が接続される。
【0027】
抵抗調整層11は、導電性支持体10を中心軸として導電性支持体10の周面部に設置された円筒状を呈している。空隙保持部材12も、導電性支持体10を中心軸として導電性支持体10の周面部に設置された円筒状を呈している。
【0028】
図4は図3に示す帯電ローラ2を感光体ドラム4に隣接設置した様子を示した模式図である。帯電ローラ2は感光体ドラム4に対して任意の圧力で当接されて配置される。この帯電ローラ2は、近接帯電方式となっており、抵抗調整層11の外径が空隙保持部材12の外径に対して僅かに小径に形成され、帯電ローラ2の空隙保持部材12の外周面12aは感光体ドラム4の外周面4aに当接するが、抵抗調整層11の外表面11aと感光体ドラムの外表面4aとの間には空隙15が形成されている。さらに、帯電ローラ2は、空隙保持部材12が感光体ドラム4の画像形成領域以外の領域(非画像形成領域)に当接するようにして設置されている。この状態で帯電ローラ2に電圧を印加することにより、感光体ドラム4を帯電させることが可能となる。
【0029】
また、感光体ドラム4は、円筒形状を呈している。このため、帯電ローラ2と感光体ドラム4とを回転駆動させることによって、互いに対向する面を回転に伴って変化させることができるので通電ストレスによる表面の化学的劣化が生じにくくなり、製品寿命を高めることが可能となる。なお、感光体ドラム4と帯電ローラ2とは互いに円筒形状を呈している必要は必ずしもなく、楕円筒状等であっても良い。
【0030】
帯電ローラ2は、近接帯電方式を採用するため、空隙15の間隔を所定間隔に保つ必要がある。このため、図4に示すように感光体ドラム4の画像形成領域と非画像形成領域との外表面が同一高さ(面一)である場合は、空隙保持部材12における感光体ドラム4との当接部分の高さ(導電性支持体の中心軸からの外径)が抵抗調整層11の外表面の高さ(同中心軸からの外形)よりも高いことが必要であり、その高低差、つまり空隙15間隔は、0.1mm以下であることが望ましい。空隙15が大きくなると帯電ローラに対する電圧印加条件を高くする必要があり、感光体ドラム4の電気的劣化や異常放電が発生しやすくなるためである。
【0031】
また、空隙保持部材12の抵抗調整層11と隣接する部分の高さを、他の部分に較べて低く加工することによって、空隙保持部材12の外表面12aと感光体ドラム4の外表面4aとの接触幅が低減され、導電性部材11と感光体ドラム4との空隙15間隔を高精度に保つことが可能となる。
【0032】
次に、帯電ローラ2における空隙の形成方法を説明する。まず、帯電ローラは、図5に示すように、円柱状を呈する抵抗調整層11の挿通孔11oに対して導電性支持体10を挿通させ、その後に空隙保持部材12を抵抗調整層11の両端から嵌め込む。ここで、空隙保持部材12の端面12bと抵抗調整層11の端面11bおよび導電性支持体10の周面部と空隙保持部材12における挿通孔内面12cとの間に接着剤を塗布することで、空隙保持部材12が使用によって容易に脱離することを防止することが可能となる。
【0033】
次に、導電性支持体10に抵抗調整層11と空隙保持部材12とが取り付けられた帯電ローラ2に対して、空隙保持部材12の外表面12aと抵抗調整層11の外表面11aとに対して連続して除去加工を施す。ここで、除去加工とは切削処理又は研磨処理等により外表面の表面調整処理を行う加工を意味するものであり、空隙保持部材12の外表面12aの高さと抵抗調整層11の外表面11aの高さとの高低差を所望の空隙間隔に応じて調整する作業を意味する。この除去加工によって高低差のばらつきを±0.01mm以下に抑えることが可能となる。
【0034】
具体的には、図6に示すように、まず空隙保持部材12の端部から一定距離Lだけ水平に外表面12aを切削刃16で切削処理し、その後、抵抗調整層側11に隣接する空隙保持部材12の端部12dを更に深く除去する。抵抗調整層11に隣接する空隙保持部材12の端部12dを抵抗調整層11の外表面11aと面一又は僅かに低くなるよう除去加工した後に、抵抗調整部11の外表面11aに対して空隙保持部材12の外表面12aが一定高低差を保つようにして除去加工を施す。反対側端部に設けられる空隙保持部材12に対しても同様に除去加工を施す。
【0035】
このように加工を行うことによって、空隙保持部材12の外表面12aと抵抗調整層11の外表面11aとの間に空隙15が形成される。また、空隙保持部材12の抵抗調整層11側の端部12dの外表面が空隙保持部材12の外表面12aに対して低くなるので、空隙保持部材12の抵抗調整層11側端部12dの外表面が感光体ドラム4に当接することを防止することができ、この端部12dを介して隣接する抵抗調整層11が感光体ドラム4に接触してショート電流が発生してしまうことを防止することが可能となる。また、空隙保持部12の抵抗調整層11側の端部12dを低く加工することによって、この部分を、除去加工を行う際の切削刃16等の逃げシロ(逃げ加工)とすることができる。さらに、空隙保持部材12の端部12dが感光体ドラム4に当接しないことによって、空隙保持部材12の外表面12aと感光体ドラム4の外表面4aとの当接幅が狭くなり、当接箇所の変化に伴う空隙間隔の変化が少なくなるので空隙の精度より一層高く保つことが容易となる。
【0036】
なお、逃げシロ(逃げ加工)の形状は、空隙保持部12の端部12dの外表面が感光体ドラム4に当接しないような形状であるならばどのような形状であっても良い。
【0037】
空隙保持部材12は、感光体ドラム4との当接時に基層とショートしてショート電流が発生することを防止するために絶縁性材料であることが好ましく、特に、体積固有抵抗で1013Ω・cm以上であることが望ましい。また、空隙保持部材12の全部が絶縁性材料である必要はなく、少なくとも抵抗調整層11との当接部分等が絶縁性を備えているものであるならばショート電流の発生を防止することが可能となる。
【0038】
また、空隙保持部材12の材料は、絶縁性の他に特に限定されるものではないが、感光体ドラム4を傷つけない程度に軟らかく、また成形加工が容易であること等の理由から、高密度ポリエチレン等の熱可塑性樹脂等であることが好ましい。
【0039】
抵抗調整層11は、高分子型イオン導電材料が分散された熱可塑性樹脂組成物により形成されている。抵抗調整層11の体積固有抵抗は、109Ωcmを越えると、帯電能力や転写能力が不足してしまい、106Ωcmよりも体積固有抵抗が低いと、感光体ドラム4全体への電圧集中によるリークが生じてしまうので、106〜109Ωcmであることが望ましい。
【0040】
また、抵抗調整層11に用いられる熱可塑性樹脂は特に限定されるものではないが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)およびその共重合体(AS、ABS)等の汎用樹脂であれば、成形加工が容易でありより好ましい。その熱可塑性樹脂に分散させる高分子型イオン導電材料としては、ポリエーテルエステルアミド成分を含有する高分子化合物が好ましい。ポリエーテルエステルアミドはイオン導電性の高分子材料であり、マトリクスポリマー中に分子レベルで均一に分散・固定化される。したがって、導電性顔料を分散した組成物に見られるような分散不良に伴う抵抗値のバラツキが生じない。また高分子材料であるため、ブリードアウトが生じ難い。配合量については、抵抗値を所望の値にする必要があることから、熱可塑性樹脂が30〜70重量%、高分子型イオン導電材が70〜30重量%とする必要がある。
【0041】
樹脂組成物の製造方法に関しては特に制限はなく、各材料の混合物を二軸混練機、ニーダー等で溶融混練することによって、容易に製造できる。抵抗調整層11を導電性支持体10の周面部に形成する工程は、押出成形や射出成形等の手段で導電性支持体10に上記半導電性樹脂組成物を被覆することによって、容易に行うことができる。
【0042】
また、導電性支持体10上に抵抗調整層11のみを形成して帯電ローラ2を構成すると、抵抗調整層11にトナー等が固着して性能低下を招くおそれがある。このような不具合を防止するために、抵抗調整層11の外表面にはトナーの固着を防止する表面層が形成されている。表面層の形成によって、感光体ドラム4表面のトナーが抵抗調整層11の表面に付着することにより発生する不具合を防止することができ、帯電ローラ2の製品寿命を高めることが可能となる。
【0043】
なお、表面層の抵抗値は抵抗調整層11の抵抗値よりも大きくなるように形成されており、この抵抗値の差により感光体ドラムの欠陥部への電圧集中、異常放電(リーク)を回避することが可能となる。なお、表面層の抵抗値を高くしすぎると帯電能力や転写能力が不足してしまうため、表面層と抵抗調整層11との抵抗値の差は103Ωcm以下であることが好ましい。
【0044】
表面層を形成する材料としては、製膜性が良好であるという点で熱可塑性樹脂組成物が好適である。樹脂材料としては、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等が非粘着性に優れ、トナー固着防止の面で好ましい。また樹脂材料は電気的に絶縁性であるため、樹脂に対して各種導電材料を分散することによって表面層の抵抗を調整することが可能である。表面層を抵抗調整層11上へ形成する工程は、上記表面層構成材料を有機溶媒に分散して塗料を作製し、スプレー塗装、ディッピング等によってコーティングすることによって行う。膜厚については、0.01〜0.03mm程度であることが望ましい。
【0045】
以下、上記した帯電ローラであって使用される材料等が異なる複数の実施例1〜実施例6と比較例1〜3を用いて、画像形成処理の比較を行った。
【実施例】
【0046】
〈実施例1〉
ステンレスからなる芯軸(導電性支持体10:外径8mm)に対して、抵抗調整層11としてABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業製)50重量%、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%からなる樹脂組成物(体積固有抵抗:2×108Ωcm)を、射出成形により被覆した。次いでこの両端部に、高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなるリング状の空隙保持部材12を挿入接着し、切削によって図7に示すように空隙保持部材の外径(最大径)を12.12mm、抵抗調整層の外径を12.00mmにして同時に仕上げを行い、図8に示す形状とした。次いで抵抗調整層11の外表面に、アクリルシリコン樹脂(3000VH-P、川上塗料製)、イソシアネート系硬化剤、及びカーボンブラック(全固形分に対して35重量%)からなる混合物(表面抵抗:2×109Ω)により膜厚約0.01mmの表面層を形成した。
〈実施例2〉
ステンレスからなる芯軸(導電性支持体10:外径8mm)に、抵抗調整層11としてABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業製)50重量%、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%からなる樹脂組成物(体積固有抵抗:2×108Ωcm)を、射出成形により被覆した。次いでこの両端部に、高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなるリング状の空隙保持部材12を挿入接着し、切削によって図9に示すように空隙保持部材12の外径(最大径)を12.12mm、抵抗調整層11の外径を12.00mmにして同時に仕上げを行い、図10に示す形状とした。次いで抵抗調整層11の表面に、アクリルシリコン樹脂(3000VH-P、川上塗料製)、イソシアネート系硬化剤、及びカーボンブラック(全固形分に対して35重量%)からなる混合物(表面抵抗:2×109Ω)により膜厚約0.01mmの表面層を形成した。
〈実施例3〉
ステンレスからなる芯軸(導電性支持体10:外径8mm)に、抵抗調整層11としてABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業製)50重量%、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%からなる樹脂組成物(体積固有抵抗:2×108Ωcm)を、射出成形により被覆した。次いでこの両端部に、高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなるリング状の空隙保持部材12を挿入接着し、切削によって空隙保持部材12の外径(最大径)を12.12mm、抵抗調整層11の外径を12.00mmにして同時に仕上げを行い、図11に示す形状とした。次いで抵抗調整層11の表面に、アクリルシリコン樹脂(3000VH-P、川上塗料製)、イソシアネート系硬化剤、及びカーボンブラック(全固形分に対して35重量%)からなる混合物(表面抵抗:2×109Ω)により膜厚約0.01mmの表面層を形成した。
〈実施例4〉
ステンレスからなる芯軸(帯電性支持体10:外径8mm)に、抵抗調整層としてABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業製)50重量%、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%からなる樹脂組成物(体積固有抵抗:2×108Ωcm)を、射出成形により被覆した。次いでこの両端部に、高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなるリング状の空隙保持部材12を挿入接着し、切削によって空隙保持部材12の外径(最大径)を12.12mm、抵抗調整層11の外径を12.00mmにして同時に仕上げを行い、図12に示す形状とした。次いで抵抗調整層の表面に、アクリルシリコン樹脂(3000VH-P、川上塗料製)、イソシアネート系硬化剤、及びカーボンブラック(全固形分に対して35重量%)からなる混合物(表面抵抗:2×109Ω)により膜厚約0.01mmの表面層を形成した。
〈実施例5〉
ステンレスからなる芯軸(耐電性支持体10:外径8mm)に、抵抗調整層11としてABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業製)50重量%、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%からなる樹脂組成物(体積固有抵抗:2×108Ωcm)を、射出成形により被覆した。次いでこの両端部に、高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなるリング状の空隙保持部材12を挿入接着し、切削によって空隙保持部材12の外径(最大径)を12.12mm、抵抗調整層11の外径を12.00mmに同時仕上げを行い、図13に示す形状とした。次いで抵抗調整層11の表面に、アクリルシリコン樹脂(3000VH-P、川上塗料製)、イソシアネート系硬化剤、及びカーボンブラック(全固形分に対して35重量%)からなる混合物(表面抵抗:2×109Ω)により膜厚約0.01mmの表面層を形成した。
〈実施例6〉
ステンレスからなる芯軸(導電性支持体10:外径8mm)に、抵抗調整層11としてABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業製)50重量%、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%からなる樹脂組成物(体積固有抵抗:2×108Ωcm)を、射出成形により被覆した。次いでこの両端部に、高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなるリング状の空隙保持部材12を挿入接着し、切削によって空隙保持部材12の外径(最大径)を12.12mm、抵抗調整層11の外径を12.00mmにして同時に仕上げを行い、図14に示す形状とした。次いで抵抗調整層11の表面に、アクリルシリコン樹脂(3000VH-P、川上塗料製)、イソシアネート系硬化剤、及びカーボンブラック(全固形分に対して35重量%)からなる混合物(表面抵抗:2×109Ω)により膜厚約0.01mmの表面層を形成した。
〈比較例1〉
ステンレスからなる芯軸(外径8mm)に、抵抗調整層としてエピクロルヒドリンゴム(エピクロマーCG、ダイソー社製)100重量部に過塩素酸アンモニウム3重量部を配合したゴム組成物(体積固有抵抗:4×108Ωcm)を、押出成形、加硫工程を経て被覆し、研削により外径12mmに仕上げた。次いでこの表面に、ポリビニルブチラール樹脂(デンカブチラール3000−K、電気化学工業社製)、イソシアネート系硬化剤、及び酸化スズ(全固形分に対して60重量%)からなる混合物(表面抵抗:2×1010Ω)により膜厚0.01mmの表面層を形成した。次いでこの両端部周囲に厚さ0.05mmのテープ状部材(ダイタックPF025−H、大日本インキ社製)を貼り付け、帯電ローラを形成した。
〈比較例2〉
ステンレスからなる芯軸(外径8mm)に、抵抗調整層としてABS樹脂(GR−0500、電気化学工業製)50重量%、四級アンモニウム塩基を含有するイオン導電性の高分子化合物(レオレックスAS−1720、第一工業製薬製)50重量%からなる樹脂組成物(体積固有抵抗:2×108Ωcm)を、射出成形により被覆し、切削加工によって外径12.0mmに仕上げた。次いで抵抗調整層の表面に、フッ素樹脂(ルミフロンLF−600、旭硝子社製)、イソシアネート系硬化剤、及び酸化スズ(全固形分に対して60重量%)からなる混合物(表面抵抗:2×1010Ω)により膜厚約0.01mmの表面層を形成した。次いでこの両端部に、ステンレス鋼からなるリング状の空隙保持部材(外径12.12mm)を挿入接着し、帯電ローラを形成した。
〈比較例3〉
ステンレスからなる芯軸(外径8mm)に、抵抗調整層としてABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業製)50重量%、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%からなる樹脂組成物(体積固有抵抗:2×108Ωcm)を、射出成形により被覆し外径を12.0mmとした。次いで抵抗調整層の表面に、フッ素樹脂(ルミフロンLF−600、旭硝子社製)、イソシアネート系硬化剤、及び酸化スズ(全固形分に対して60重量%)からなる混合物(表面抵抗:2×1010Ω)により膜厚約0.01mmの表面層を形成した。次いでこの両端部に、ポリアミド樹脂(ノバミッド1010C2、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)からなるリング状の空隙保持部材(外径12.12mm)を挿入接着し、帯電ローラを形成した。
〈試験〉
上述した帯電ローラを、図1に示した画像形成装置に搭載し、帯電ローラと感光体間との間に形成される空隙の間隔を測定した。
【0047】
次いで、印加する電圧をDC=−800V、AC=2400Vpp(周波数=2kHz)に設定し、600,000枚通紙してから帯電ローラと感光体との空隙の間隔、空隙保持部材の状態、及び印刷された画像について評価を行った。評価環境は23℃、60%RHである。
以上の評価結果を表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
表1より明らかなように、実施例1〜実施例6により形成された帯電ローラは全項目で良好な結果が得られたが、比較例1〜比較例4により形成された帯電ローラはでは不具合が見られた。
【0050】
以上、本発明に係る導電性部材を帯電ローラとして用いた実施例を、図面を用いて説明したが、本発明に係る導電性部材は帯電ローラ等の帯電部材に限定されるものではなく、転写ローラ等の転写部材に使用するものであっても良い。導電性部材を転写部材として使用する場合であっても、同様の実施形態で使用することによって同様の効果を奏することが可能である。
【0051】
また、本発明に係る帯電性部材を用いた画像形成装置用のプロセスカートリッジや画像形成装置自体も同様の効果を奏することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部材をなす導電性支持体の両端部を除く中間部の周面に電気抵抗調整層を設け、
前記導電性支持体の両端部で、前記電気抵抗調整層と異なる材質からなる空隙調整部材をその一端面を前記電気抵抗調整層の端面にそれぞれ当接固定させて取り付け、
この後、前記空隙調整部材のそれぞれの外周面が感光体の外周面に当接した状態で、前記電気抵抗調整層の外面と感光体の外面との間に空隙が形成されるように、前記一方の空隙調整部材の他端から前記電気抵抗調整層および他方の空気調整部材の他端まで除去加工して、
前記各空隙調整部材の前記電気抵抗調整層に接する側に、前記感光体の外面に接しない少なくとも一つの小径部を形成することを特徴とする導電性部材の製造方法。
【請求項2】
前記除去加工後に、前記電気抵抗調整層の表面にトナーの付着を防止する表面層を形成することを特徴とする請求項1に記載の導電性部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−134322(P2009−134322A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69531(P2009−69531)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【分割の表示】特願2003−325716(P2003−325716)の分割
【原出願日】平成15年9月18日(2003.9.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】