説明

導電部品

【課題】自動実装装置を利用して表面実装でき、接点と他の物との接触を抑制でき、自動実装装置の吸引ノズルを使って包装容器から取り出す際にも接点が邪魔になりにくい導電部品を提供すること。
【解決手段】導電部品1は、金属製の導電部3と、エラストマー材料製のエラストマー部5とを備えている。エラストマー部5の上端には、自動実装装置での実装を行う際に吸引ノズルによって吸着される吸着面31が形成されており、この吸着面31は、エラストマー部5が弾性変形していない状態においては、接点23A〜23Cよりも上方にある第一の位置にあり、導電部品1が第一の部材と第二の部材との間に挟み込まれてエラストマー部5が弾性変形した際には、その弾性変形に伴って接点23A〜23Cと第二の部材との接触を妨げない第二の位置へと変位する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動実装装置によって第一の部材に対して表面実装されるとともに、前記第一の部材と第二の部材との間に挟み込まれることにより、両部材を電気的に接続する導電部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動実装装置によって第一の部材(例えば、プリント配線板)に対して表面実装されるとともに、その第一の部材と第二の部材(例えば、筐体のパネル)との間に挟み込まれることにより、両部材を電気的に接続する導電部品が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、上記特許文献1に記載された導電部品の場合、金属部分とエラストマー部分の双方を備えているので、二部材間に介装された際、二部材間にある空隙が過剰に狭められるのをエラストマー部が阻止し、これにより、導電部が損傷するのを防止することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3978174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来技術の場合、導電部品の上端に接点となる金属部分が存在する構造になっていたため、何らかの物が導電部品に当たった場合に、そのような物が接点となる金属部分に当たったり、そのような物で接点となる金属部分を引っ掛けたりしやすい、という問題があった。
【0006】
より具体的な例を交えて説明すると、例えば、導電部品をエンボスキャリアテープ等の包装容器に収納して自動実装装置への供給を行う際、何らかの外力がエンボスキャリアテープに作用すると、エンボスキャリアテープの開口側を封止する封止フィルムに導電部品が当たることがある。そのような場合に、上端にある接点が封止フィルムに当たることがあるため、封止フィルムで接点を傷つける、あるいは、接点で封止フィルムを傷つける、といった状況になるおそれがある。また、接点の形状によっては、上端にある接点が封止フィルムとエンボスキャリアテープ本体との隙間に入り込む可能性もある。
【0007】
また、例えば、導電部品が第一の部材に対して表面実装された後、第一の部材と第二の部材との間に挟み込まれるまでの間に、何らかの作業を行っている作業者が、誤って指先や工具の先を導電部品に当ててしまうことがある。そのような場合に、導電部材の上端に接点が設けられていると、指先や工具の先を接点に引っ掛けてしまい、接点を損傷させてしまうおそれがある。
【0008】
さらに、自動実装装置を利用して導電部品の表面実装を行う際には、導電部品の上端側にある吸着面を吸引ノズルで吸引して、導電部品をエンボスキャリアテープから取り出すが、このような吸着面の近傍から上方に向かって接点が突出しているようなものにおいては、吸引ノズルで導電部品を取り出す際に接点が邪魔になることもあるため、自動実装装置用の部品としては使い勝手が悪かったり、使える場合でも導電部品の取り出しに失敗する頻度が高くなるなど、実装エラーの発生を誘発する原因になることがあった。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、自動実装装置を利用して表面実装を行うことができ、特に接点と他の物との接触を抑制でき、自動実装装置の吸引ノズルを使って包装容器から取り出す際にも接点が邪魔になりにくい導電部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、本発明において採用した構成について説明する。
請求項1に記載の導電部品は、自動実装装置によって第一の部材に対して表面実装されるとともに、前記第一の部材と第二の部材との間に挟み込まれることにより、両部材を電気的に接続する導電部品であって、導電性を有する材料によって形成され、前記第一の部材に対してはんだ接合されるはんだ接合面と、前記第二の部材に接触する接点とを有し、前記第一の部材と前記第二の部材との間に挟み込まれた際には前記はんだ接合面から前記接点に至る導電経路となる導電部と、エラストマー材料によって形成され、前記第一の部材と前記第二の部材との間に挟み込まれた際には弾性変形しつつ前記第一の部材と前記第二の部材との間にある空隙が過剰に狭められるのを阻止するエラストマー部とを備え、前記はんだ接合面を下端面とした場合の相対的な位置関係で、前記エラストマー部の上端には、前記自動実装装置での実装を行う際に前記自動実装装置が備える吸引ノズルによって吸着される吸着面が形成されており、しかも、前記吸着面は、前記エラストマー部が弾性変形していない状態においては、前記接点よりも上方にある第一の位置にあり、前記導電部品が前記第一の部材と前記第二の部材との間に挟み込まれて前記エラストマー部が弾性変形した際には、当該弾性変形に伴って前記接点と前記第二の部材との接触を妨げない第二の位置へと変位することを特徴とする。
【0011】
このように構成された導電部品によれば、第一の部材と第二の部材との間にある空隙が過剰に狭められるのを、エラストマー部が阻止する。そのため、上記のような空隙が過剰に狭められたことが原因で、導電部が損傷するのを防止することができる。
【0012】
また、この導電部品においては、はんだ接合面を下端面とした場合の相対的な位置関係で、エラストマー部の上端となる位置に吸着面が形成されていて、この吸着面は、エラストマー部が弾性変形していない状態においては、接点よりも上方にある第一の位置にある。
【0013】
そのため、このような導電部品であれば、例えば、導電部品をエンボスキャリアテープ等に収納して自動実装装置への供給を行う際、何らかの外力がエンボスキャリアテープに作用して、エンボスキャリアテープの開口側を封止する封止フィルムに導電部品が当たったとしても、吸着面が封止フィルムに当たることにより、接点が封止フィルムに当たったり、接点が封止フィルムとテープ本体との隙間に入り込んだりするのを防ぐことができる。
【0014】
また、例えば、導電部品が第一の部材に対して表面実装された後、第一の部材と第二の部材との間に挟み込まれるまでの間に、何らかの作業を行っている作業者が、誤って指先や工具の先を導電部品に当ててしまったとしても、指先や工具の先が吸着面に当たることで、指先や工具の先を接点に引っ掛けてしまうのを防ぐことができる。
【0015】
したがって、上記のような様々な状況において、導電部品の接点は適切に保護されることになり、吸着面が接点よりも上方にある構造を採用していない場合に比べ、接点の損傷を防止ないし抑制することができる。
【0016】
また、この導電部品においては、吸着面が接点よりも上方の上端にあるので、吸着面よりも上方に接点がある構造を採用しているものとは異なり、吸引ノズルの移動を妨げる障害物となり得る部分が吸着面よりも上方にいっさい存在しない構造とすることができる。
【0017】
さらに、この導電部品においては、吸着面がエラストマー部の上端に形成されているので、吸引ノズルで吸引したときに、吸引ノズルの開口端に対する密着性が高く、きわめて吸着しやすい吸着面となる。したがって、硬質な材料(例えば、金属)で吸着面が形成されている部品に比べ、導電部品を吸引ノズルでより確実に取り出すことができるとともに、より確実に第1の部材上に配置することができ、これにより、実装エラーの発生を抑えることができる。
【0018】
請求項2に記載の導電部品は、請求項1に記載の導電部品において、前記はんだ接合面は、前記第一の部材に接する位置に配置される全領域のうち、一部又は全部の領域が前記第一の部材に対してはんだ接合される面であり、前記吸着面は、前記はんだ接合面の前記全領域よりも面積が小さい面となっていることを特徴とする。
【0019】
このように構成された導電部品によれば、はんだ接合面を下方に向けた場合、下端側にあるはんだ接合面が相対的に大きくて、上端側にある吸着面が相対的に小さい構造となるので、はんだ接合面と吸着面が同等な大きさ又は吸着面の方が大きいものなどに比べ、はんだ接合面を下方に向けた状態にしたとき形態が、倒れたりひっくり返ったりしにくい安定した形態となる。
【0020】
したがって、例えば、導電部品をエンボスキャリアテープ等に収納した際、あるいは、自動実装装置を利用して導電部品を第一の部材上に配置した際に、吸着面を上に向けた状態で安定するので、導電部品を吸引ノズルでより確実に取り出すことができるとともに、より確実に第1の部材上に配置することができ、これにより、実装エラーの発生を抑えることができる。
【0021】
請求項3に記載の導電部品は、請求項1又は請求項2に記載の導電部品において、前記エラストマー材料は、絶縁性エラストマー材料であることを特徴とする。
このように構成された導電部品によれば、エラストマー部そのものが導電経路となることは無いので、エラストマー部が第一の部材と第二の部材との間で圧縮されて弾性変形しても、導電部品のインピーダンスが大幅に変化することが無い。したがって、導電部品の電気的特性が安定し、回路設計をする上で扱いやすい導電部品とすることができる。
【0022】
請求項4に記載の導電部品は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の導電部品において、前記接点は、前記吸着面を挟んで両側にある位置を含む複数の位置に配置されていることを特徴とする。
【0023】
このように構成された導電部品によれば、例えば、第二の部材の表面形状や、第一の部材と第二の部材との相対的な位置関係に起因して、第二の部材と接点との相対的な位置についての精度が十分に高くない場合でも、吸着面を挟んで両側にある接点のいずれかが第二の部材に接触することで、第一の部材と第二の部材を電気的に接続することができる。
【0024】
したがって、吸着面を挟んで両側にある位置のうち、片側にしか接点が無いものに比べ、第二の部材との接点をより確実に確保することができ、ひいては、第二の部材と接点との相対的な位置について過剰に高い精度が要求されなくなるので、第二の部材を利用した製品の生産性向上や製造コスト抑制を図ることができる。
【0025】
請求項5に記載の導電部品は、請求項4に記載の導電部品において、前記導電部は、金属の薄板に対して打ち抜き加工及び曲げ加工を施してなるプレス加工品によって構成されたものであり、しかも、一方の面が前記はんだ接合面となっている基部と、前記基部から連続する金属の薄板を、前記基部を挟んで前記はんだ接合面側とは反対側となる方向に折り曲げることによって前記基部から延出する形態とされており、その延出方向先端部を前記基部に接近する方向へ移動させると弾性変形するばね部とを備えており、前記ばね部は、その延出方向先端部分が複数の延出片に分かれた形態になっていて、各延出片の上面側が前記接点となっており、前記エラストマー部の一部は、その両側にある一対の延出片間に挟まれた位置に配置されていて、その挟まれた位置にある部分の上端に前記吸着面が形成されていることを特徴とする。
【0026】
このように構成された導電部品によれば、ばね部が有する複数の延出片それぞれの上面側が接点となっている。そのため、例えば、第二の部材の表面形状や、第一の部材と第二の部材との相対的な位置関係に起因して、第二の部材と接点との相対的な位置についての精度が十分に高くない場合でも、各延出片がそれぞれ弾性変形することで、各延出片にある接点が第二の部材に接触する。したがって、同様の延出片が一つだけしか無い場合とは異なり、第二の部材との接点をより確実に確保することができ、第一の部材と第二の部材の電気的接続をより一層確実なものとすることができる。
【0027】
また、エラストマー部の一部は、一対の延出片間に挟まれた位置に配置されているので、仮にエラストマー部が変形した場合であっても、エラストマー部が延出片に当接すれば、それ以上大きく延出片側へ変形することが無く、エラストマー部そのものが適正な位置から大きくずれたり、その上端にある吸着面が適正な位置から大きくずれたりするのを、延出片によって防ぐことができる。したがって、例えば、自動実装装置の吸引ノズルで吸着面を吸引しようとしたときに、吸着面が適正な位置からずれた位置に変位したことが原因となって、導電部品の取り出しに失敗したり、あるいは、取り出した導電部品を適正な吸着位置で保持できていない状態のまま、その導電部品を第一の部材上へと配置しようとして、その配置に失敗したりするといったトラブルを招きにくくなる。
【0028】
請求項6に記載の導電部品は、請求項5に記載の導電部品において、前記エラストマー部は、前記一対の延出片間の間隔方向について、前記一対の延出片間に挟まれた位置に配置されている部分の寸法が、上端側から下端側に向かって多段階又は無段階に大きくなる形態になっていることを特徴とする。
【0029】
このように構成された導電部品によれば、ばね部が下方へ変位すると、それに伴って一対の延出片間では、延出片間にあるエラストマー部分の寸法が徐々に大きくなってゆく。
そのため、下方へと変位する一対の延出片は、エラストマー部に接触していない状態から接触する状態に変化する。あるいは、エラストマー部に低い接触圧で接触する状態から高い接触圧で接触する状態に変化することになる。また、最終的には、エラストマー部が障害物となって、それ以上延出片が下方へ変位できない状態にもなり得る。そして、これらの現象のいくつかが起こる結果、延出片の下方への変位を妨げる力は、ばね部が下方へ変位するほど増大することになる。
【0030】
さらには、延出片がエラストマー部に接触する状態になった後、一対の延出片が下方へ変位するのに伴い、延出片間にあるエラストマー部分の寸法が徐々に大きくなると、延出片がエラストマー部の接触箇所を下方へと押圧する傾向が徐々に強まる。その結果、エラストマー部が下方へと圧縮されて、その圧縮方向に垂直な側方に向かって膨出する。このときの側方への膨出量は、延出片が下方へと変位するほど増大するので、これにより、延出片とエラストマー部との接触圧も、延出片が下方へと変位するほど増大することになる。
【0031】
すなわち、延出片とエラストマー部との接触圧は、上端側から下端側に向かって多段階又は無段階に大きくなる形態になっていることと、接触圧の増大に伴って側方への膨出量が増大すること、双方が原因で増大することとなり、これらの相乗効果により、延出片が下方へと変位するほど急激に増大することになる。
【0032】
したがって、例えば、導電部品が第一の部材と第二の部材との間に挟み込まれた後、それら両部材のいずれかに強い衝撃が伝わったことなどが原因で、ばね部を急激に下方へ変位させるような強い外力が加わったとしても、延出片が下方へ変位するのに伴って延出片とエラストマー部との接触圧が急激に増大することで、延出片にはブレーキがかかることとなる。
【0033】
その結果、ばね部が下方に向かって過剰に変位して塑性変形してしまうような事態に至ることが無く、弾性変形するばね部の性能を劣化させることなく適切に維持することができる。また、そのようなばね部の過剰な変位が起きないので、過剰に変位したばね部が基部に接触して導電部のインピーダンスを変化させてしまう、といった問題も招くことが無い。
【0034】
請求項7に記載の導電部品は、請求項5又は請求項6に記載の導電部品において、前記エラストマー部は、前記ばね部が下方へ変位した際に、前記一対の延出片の付け根間において前記ばね部に押圧されて、当該ばね部と同方向へ倒れるように湾曲変形することを特徴とする。
【0035】
このように構成された導電部品によれば、ばね部は、エラストマー部を上下方向に真っ直ぐ圧縮するのではなく、エラストマー部をばね部と同方向へ倒れるように湾曲変形させながらエラストマー部を圧縮することになる。
【0036】
したがって、エラストマー部を上下方向に真っ直ぐ圧縮するには、エラストマー部を中空構造にするなどの工夫をしないとエラストマー部を圧縮することが困難になる場合があるが、エラストマー部をばね部と同方向へ倒れるように湾曲変形させながらエラストマー部を圧縮すれば、エラストマー部を中空構造にしなくてもエラストマー部を適切に圧縮することができる。
【0037】
請求項8に記載の導電部品は、請求項5〜請求項7のいずれか一項に記載の導電部品において、前記基部には、前記はんだ接合面とは反対側へ突出していて、その突出部分と前記基部との間には隙間が形成されるとともに、前記突出部分の両端は前記基部に連設されたブリッジ部が設けられ、前記エラストマー部は、前記ブリッジ部の突出部分の周囲を取り囲むかたちで一体成形されることにより、前記ブリッジ部又は前記エラストマー部の破壊を伴うことなく前記ブリッジ部から分離させることが不可能とされた固定構造によって前記基部に固定されていることを特徴とする。
【0038】
このように構成された導電部品によれば、エラストマー部が、ブリッジ部の突出部分の周囲を取り囲むかたちで一体成形されているので、ブリッジ部又はエラストマー部が破壊するほどの強大な力が加わらない限り、エラストマー部が基部から外れたり基部に対して位置を起こしたりすることが無く、エラストマー部を設計通りに機能させることができる。
【0039】
請求項9に記載の導電部品は、請求項5〜請求項8のいずれか一項に記載の導電部品において、前記基部には、上下方向に貫通する貫通孔が形成されていて、外力を受けた際には、前記貫通孔が形成されていない箇所よりも、前記貫通孔が形成された箇所において、前記基部が折れ曲がりやすい構造になっていて、前記はんだ接合面は、前記貫通孔を挟む位置にある領域において前記第一の部材にはんだ接合されることを特徴とする。
【0040】
このように構成された導電部品によれば、例えば、ばね部に強大な力が加わったことなどが原因で基部に外力が作用し、その結果、貫通孔を挟む位置にあるはんだ接合領域のうち、一方のはんだ接合領域で接合部分が剥がれたとしても、他方のはんだ接合領域については、貫通孔が形成された箇所において基部が折れ曲がることにより、他方のはんだ接合領域の接合部分に伝わる負荷を逃がす。その結果、このような折れ曲がりが発生しない基部を採用した場合に比べ、同程度の外力を受けてもはんだ接合部分が完全に剥がれてしまう可能性は低くなるので、導電部品が第一の部材から脱落してしまうようなトラブルが起こりにくくなり、ひいては、その脱落した導電部品が他の電子部品や電気回路に接触するといったトラブルも未然に防ぐことができる。
【0041】
請求項10に記載の導電部品は、請求項5〜請求項9のいずれか一項に記載の導電部品において、前記エラストマー部の一部を挟んで両側にある前記一対の延出片は、その先端部が略V字状をなす形態で下方側へ折り返されることにより、各延出片の先端に補助ばね部が形成された形態になっており、前記エラストマー部には、前記ばね部が弾性変形して下方へと変位した際に、前記補助ばね部が当接する段差部が形成されていることを特徴とする。
【0042】
このように構成された導電部品によれば、ばね部が弾性変形して下方へと変位した際に、エラストマー部に形成された段差部に補助ばね部が当接するので、この補助ばね部と段差部との当接に伴って急激にばね部のばね性が増強されることになる。
【0043】
したがって、例えば、導電部品が第一の部材と第二の部材との間に挟み込まれた後、それら両部材のいずれかに強い衝撃が伝わったことなどが原因で、ばね部を急激に下方へ変位させるような強い外力が加わったとしても、ばね部が下方へ変位するのに伴って補助ばね部と段差部が当接すれば、ばね部にはブレーキがかかることとなる。
【0044】
その結果、ばね部が下方に向かって過剰に変位して塑性変形してしまうような事態に至ることが無く、弾性変形するばね部の性能を劣化させることなく適切に維持することができる。また、そのようなばね部の過剰な変位が起きないので、過剰に変位したばね部が基部に接触して導電部のインピーダンスを変化させてしまう、といった問題も招くことが無い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1実施形態として例示した導電部品の斜視図。
【図2】第1実施形態として例示した導電部品を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその左側面図、(c)はその正面図、(d)はその右側面図、(e)はその底面図。
【図3】第1実施形態として例示した導電部品を示す図であり、(a)は二部材間に挟み込まれた状態を示す説明図、(b)〜(g)は貫通孔の具体的形態を例示した説明図。
【図4】第2実施形態として例示した導電部品を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)はその右側面図、(d)はA−A線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0046】
次に、本発明の実施形態について、いくつかの具体例を挙げて説明する。なお、本明細書においては、導電部品が有するはんだ接合面を下端面とした場合の相対的な位置関係で、導電部品各部の相対的な位置関係を説明する。ただし、このような導電部品各部の相対的な位置関係は、説明を簡潔にするための便宜的な措置に過ぎず、この導電部品を実際に使用する際に、導電部品がはんだ接合面を鉛直方向下方に向けた状態でのみ使用されることを意味するものではないことはもちろんである。
【0047】
図1に示す導電部品1は、自動実装装置によって第一の部材(例えば、プリント配線板)に対して表面実装されるとともに、その第一の部材と第二の部材(例えば、筐体のパネル)との間に挟み込まれることにより、両部材を電気的に接続する部品である。
【0048】
この導電部品1は、金属の薄板に対して打ち抜き加工及び曲げ加工を施してなるプレス加工品によって構成された導電部3と、絶縁性のエラストマー材料によって形成されたエラストマー部5とを備えている。
【0049】
これらのうち、導電部3は、図2(a)〜同図(c)に示す通り、基部11と、この基部11から連続する金属の薄板を折り曲げることによって基部11から延出する形態とされたばね部13とを備えている。
【0050】
基部11は、下面側がはんだ接合面15となっている。また、基部11には、基部11を上下に貫通する貫通孔17が形成されている。さらに、基部11には、上方へ突出していて、その突出部分と基部11との間に隙間が形成されるとともに、その突出部分の両端が基部11に連設されたブリッジ部19が形成されている。
【0051】
はんだ接合面15は、導電部品1を表面実装する際、第一の部材に接する位置に配置されるが、その第一の部材に接する全領域のうち、図2(e)において図中網掛け部として示す一部の領域が、第一の部材に対してはんだ接合される。
【0052】
貫通孔17は、基部11の一部を折れ曲がりやすい構造とするために設けたもので、基部11が強い外力を受けた場合、貫通孔17の両側で前後方向の幅が狭くなっている部分において、基部11は折れ曲がりやすくなっている。
【0053】
ブリッジ部19は、導電部3とエラストマー部5とを相互に固定する部分で、エラストマー部5の下端は、ブリッジ部19の突出部分の周囲を取り囲むかたちで一体成形されている。これにより、ブリッジ部19又はエラストマー部5の破壊を伴うことなくブリッジ部19から分離させることが不可能となっており、このような固定構造によってエラストマー部5は基部11に対して強固に固定されている。
【0054】
ばね部13は、その延出方向先端部を基部11に接近する方向へ移動させると弾性変形して上向きの圧接力を発生させる形態になっている。また、ばね部13は、その延出方向先端部分が複数の延出片21A〜21Cに分かれた形態になっていて、各延出片21A〜21Cの上面側が、第二の部材に接触する接点23A〜23Cとなっている。
【0055】
また、延出片21A〜21Cは、その先端部が略V字状をなす形態で下方側へ折り返されることにより、各延出片21A〜21Cの先端に補助ばね部25A〜25Cが形成されている。
【0056】
エラストマー部5は、第一の部材と第二の部材との間に挟み込まれた際に、弾性変形しつつ第一の部材と第二の部材との間にある空隙が過剰に狭められるのを阻止するスペーサとして機能する部材である。
【0057】
また、エラストマー部5の一部は、その両側にある一対の延出片21A,21C間に挟まれた位置に配置されていて、その挟まれた位置にある部分の上端に吸着面31が形成されている。
【0058】
この吸着面31は、自動実装装置での実装を行う際に自動実装装置が備える吸引ノズルによって吸着される面である。上述の接点23A,23Cは、吸着面31を挟んで両側にある。また、この吸着面31は、はんだ接合面15の全領域よりも面積が小さい面となっている 。
【0059】
また、吸着面31は、エラストマー部5が弾性変形していない状態においては、接点23A〜23Cよりも上方にある第一の位置にある。一方、図3(a)に示すように、導電部品1が第一の部材P1と第二の部材P2との間に挟み込まれた際、エラストマー部5は、ばね部13が下方へ変位するのに伴い、一対の延出片21A,21Cの付け根間においてばね部13(=延出片21B)に押圧されて、ばね部13と同方向へ倒れるように湾曲変形する。そして、このような湾曲した形態にエラストマー部5が弾性変形した際には、その弾性変形に伴い、吸着面31は、接点23A〜23Cと第二の部材との接触を妨げない第二の位置へと変位する。
【0060】
さらに、エラストマー部5は、上記一対の延出片21A,21C間の間隔方向について、一対の延出片21A,21C間に挟まれた位置に配置されている部分の寸法(図2(d)に表れる方向から見える横方向寸法)が、上端側から下端側に向かって2段階に大きくなる段差が付けられ、その段差部33の上下にある部分は、上端側から下端側に向かって無段階に大きくなる傾斜が付けられた形態になっている。
【0061】
以上のように構成された導電部品1によれば、第一の部材と第二の部材との間にある空隙が過剰に狭められるのを、エラストマー部5が阻止する。そのため、上記のような空隙が過剰に狭められたことが原因で、導電部が損傷するのを防止することができる。
【0062】
また、この導電部品1においては、エラストマー部5の上端となる位置に吸着面31が形成されていて、この吸着面31は、エラストマー部5が弾性変形していない状態においては、接点23A〜23Cよりも上方にある第一の位置にある。
【0063】
そのため、このような導電部品1であれば、例えば、導電部品1をエンボスキャリアテープ等に収納して自動実装装置への供給を行う際、何らかの外力がエンボスキャリアテープに作用して、エンボスキャリアテープの開口側を封止する封止フィルムに導電部品1が当たったとしても、吸着面31が封止フィルムに当たることにより、接点23A〜23Cが封止フィルムに当たるのを防ぐことができる。
【0064】
また、例えば、導電部品1が第一の部材に対して表面実装された後、第一の部材と第二の部材との間に挟み込まれるまでの間に、何らかの作業を行っている作業者が、誤って指先や工具の先を導電部品1に当ててしまったとしても、指先や工具の先が吸着面31に当たることで、指先や工具の先を接点23A〜23Cに引っ掛けてしまうのを防ぐことができる。
【0065】
したがって、上記のような様々な状況において、導電部品1の接点23A〜23Cは適切に保護されることになり、吸着面が接点よりも上方の上端にある構造を採用していない場合に比べ、接点23A〜23Cの損傷を防止ないし抑制することができる。
【0066】
また、この導電部品1においては、吸着面31が接点23A〜23Cよりも上方にあるので、吸着面よりも上方に接点がある構造を採用しているものとは異なり、吸引ノズルの移動を妨げる障害物となり得る部分が吸着面31よりも上方にいっさい存在しない構造とすることができる。
【0067】
さらに、この導電部品1においては、吸着面31がエラストマー部5の上端に形成されているので、吸引ノズルで吸引したときに、吸引ノズルの開口端に対する密着性が高く、きわめて吸着しやすい吸着面となる。したがって、硬質な材料(例えば、金属)で吸着面が形成されている部品に比べ、導電部品1を吸引ノズルでより確実に取り出すことができるとともに、より確実に第1の部材上に配置することができ、これにより、実装エラーの発生を抑えることができる。
【0068】
さらに、この導電部品1において、はんだ接合面15が相対的に大きくて、吸着面31が相対的に小さい構造となるので、導電部品1をエンボスキャリアテープ等に収納した際、あるいは、自動実装装置を利用して導電部品1を第一の部材上に配置した際に、吸着面31を上に向けた状態で導電部品1の姿勢が安定する。したがって、このことも、導電部品1を吸引ノズルでより確実に取り出すことができる要因となり、また、確実に第1の部材上に配置することができる要因になるので、実装エラーの発生を抑えるのに寄与する。
【0069】
また、この導電部品1によれば、エラストマー部5が絶縁性材料で形成されているので、エラストマー部5が第一の部材と第二の部材との間で圧縮されて弾性変形しても、導電部品1のインピーダンスが大幅に変化することが無い。したがって、導電部品1の電気的特性が安定し、回路設計をする上で扱いやすい導電部品1とすることができる。
【0070】
また、この導電部品1によれば、接点23A〜23Cがいくらか独立に上下動して、各接点23A〜23Cが第二の部材に接触可能な構造となっていて、特に、接点23A,23Cが吸着面31の両側にあるので、例えば、第二の部材の表面形状や、第一の部材と第二の部材との相対的な位置関係に起因して、第二の部材と接点との相対的な位置についての精度が十分に高くない場合でも、吸着面31を挟んで両側にある接点23A,23Cのいずれかが第二の部材に接触することで、第一の部材と第二の部材を電気的に接続することができる。
【0071】
また、この導電部品1において、エラストマー部5の一部は、一対の延出片21A,21C間に挟まれた位置に配置されているので、仮にエラストマー部5が変形した場合であっても、エラストマー部5が延出片21A,21Cに当接すれば、それ以上大きく延出片21A,21C側へ変形することが無い。したがって、エラストマー部5そのものが適正な位置から大きくずれたり、その上端にある吸着面31が適正な位置から大きくずれたりするのを、延出片21A,21Cによって防ぐことができる。
【0072】
よって、例えば、自動実装装置の吸引ノズルで吸着面を吸引しようとしたときに、吸着面31が適正な位置からずれた位置に変位したことが原因で導電部品1の取り出しに失敗したり、あるいは取り出した導電部品を適正な吸着位置で保持できていない状態のまま導電部品1を第一の部材上へと配置しようとして、その配置に失敗したりするようなトラブルを招きにくくなる。
【0073】
また、この導電部品1によれば、ばね部13が下方へ変位すると、それに伴って一対の延出片21A,21C間では、延出片21A,21C間にあるエラストマー部分の寸法が徐々に大きくなってゆく。
【0074】
そのため、下方へと変位する一対の延出片21A,21Cは、エラストマー部5に接触していない状態から接触する状態に変化、さらにエラストマー部5に低い接触圧で接触する状態から高い接触圧で接触する状態に変化することになる。また、エラストマー部5の段差部33に延出片21A,21Cが当接すると、補助ばね部25A,25Cも略V字状の折り返し部分の間隔を狭める形態に圧縮変形されるなど、延出片21A,21Cの下方への変位を妨げる力は、ばね部13が下方へ変位するほど増大することになる。
【0075】
さらには、延出片21A,21Cがエラストマー部5に接触する状態になった後、一対の延出片21A,21Cが下方へ変位するのに伴い、延出片21A,21C間にあるエラストマー部分の寸法が徐々に大きくなると、延出片21A,21Cがエラストマー部5の接触箇所を下方へと押圧する傾向が徐々に強まる。その結果、エラストマー部5が下方へと圧縮されて、その圧縮方向に垂直な側方に向かって膨出する。このときの側方への膨出量は、延出片21A,21Cが下方へと変位するほど増大するので、これにより、延出片21A,21Cとエラストマー部5との接触圧も、延出片21A,21Cが下方へと変位するほど増大することになる。
【0076】
したがって、例えば、導電部品1が第一の部材と第二の部材との間に挟み込まれた後、それら両部材のいずれかに強い衝撃が伝わったことなどが原因で、ばね部13を急激に下方へ変位させるような強い外力が加わったとしても、延出片21A,21Cが下方へ変位するのに伴って延出片21A,21Cとエラストマー部5との接触圧が急激に増大することで、延出片21A,21Cにはブレーキがかかることとなる。
【0077】
その結果、ばね部13が下方に向かって過剰に変位して塑性変形してしまうような事態に至ることが無く、弾性変形するばね部13の性能を劣化させることなく適切に維持することができる。また、そのようなばね部13の過剰な変位が起きないので、過剰に変位したばね部13が基部11に接触して導電部3のインピーダンスを変化させてしまう、といった問題も招くことが無い。
【0078】
さらに、この導電部品1によれば、ばね部13は、エラストマー部5を上下方向に真っ直ぐ圧縮するのではなく、エラストマー部5をばね部13と同方向へ倒れるように湾曲変形させながらエラストマー部5を圧縮することになる。
【0079】
したがって、エラストマー部5を上下方向に真っ直ぐ圧縮するには、エラストマー部5を中空構造にするなどの工夫をしないとエラストマー部5を圧縮することが困難になる場合があるが、エラストマー部5をばね部13と同方向へ倒れるように湾曲変形させながらエラストマー部5を圧縮すれば、エラストマー部5を中空構造にしなくてもエラストマー部5を適切に圧縮することができる。
【0080】
また、この導電部品1によれば、エラストマー部5が、ブリッジ部19の突出部分の周囲を取り囲むかたちで一体成形されているので、ブリッジ部19又はエラストマー部5が破壊するほどの強大な力が加わらない限り、エラストマー部5が基部11から外れたり基部11に対して位置ずれを起こしたりすることが無く、エラストマー部5を設計通りに機能させることができる。
【0081】
加えて、この導電部品1によれば、ばね部13に強大な力が加わったことなどが原因で基部11に外力が作用し、その結果、貫通孔17を挟む位置にあるはんだ接合領域のうち、一方のはんだ接合領域(例えば、図2(e)において左側にある二つのはんだ接合領域)で接合部分が剥がれたとしても、他方のはんだ接合領域(例えば、図2(e)において右側にある一つのはんだ接合領域)については、貫通孔17が形成された箇所において基部11が折れ曲がることにより、他方のはんだ接合領域の接合部分に伝わる負荷を逃がす。
【0082】
その結果、このような折れ曲がりが発生しない基部11を採用した場合に比べ、同程度の外力を受けてもはんだ接合部分が完全に剥がれてしまう可能性は低くなるので、導電部品1が第一の部材から脱落してしまうようなトラブルが起こりにくくなり、ひいては、その脱落した導電部品が他の電子部品や電気回路に接触するといったトラブルも未然に防ぐことができる。
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態では、貫通孔17について、具体的な形状の一例を示したが、貫通孔の形状は、過大な外力を受けたときに基部11がうまく折れ曲がるような形態になっていればよく、例えば、図3(b)〜同図(g)に例示したような、様々な形態の貫通孔17A〜17Fをどれでも採用することができる。
【0084】
また、上記実施形態では、導電部品1が、プレス加工によって形成された導電部3と、エラストマー材料で形成されたエラストマー部5とを備えていたが、本発明の最も重要な特徴部分は、エラストマー材料で形成された吸着面が、保護対象となる接点よりも上にある構造になっている点にあり、そのような特徴的構造を備えていれば、その具体的形態は任意である。
【0085】
一例を挙げれば、図4に示す導電部品41のように、導電性フィルムで形成された導電部43を、エラストマー材料で形成されたエラストマー部45の外周に巻いて、そのエラストマー部45の上端に吸着面51を設け、この吸着面51の両側にある導電部43の一部が接点53A,53Bとして機能する構造にしても、先に説明した実施形態同様、上端に吸着面51によって接点53A,53Bが様々な物と接触するのを阻止することができる。
【0086】
また、上記実施形態では、エラストマー材料が絶縁性のものであったが、用途によっては、エラストマー材料は、導電性エラストマー材料であってもよい。このような構成を採用すると、導電部が導電経路を形成するほか、エラストマー部も導電経路を形成するので、導電部とエラストマー部の双方を介して第一の部材と第二の部材を電気的に接続することができる。
【0087】
しかも、導電部が金属材料、エラストマー部が導電性エラストマー材料となっている場合、これら双方が導電経路を構成すると、エラストマー部を介して高周波が流れやすく、導電部を介して低周波が流れやすい特性を付与することができ、より広帯域に対応した特性を持つ導電部品とすることができる。
【符号の説明】
【0088】
1,41・・・導電部品、3,43・・・導電部、5,45・・・エラストマー部、11・・・基部、13・・・ばね部、15・・・はんだ接合面、17・・・貫通孔、19・・・ブリッジ部、21A〜21C・・・延出片、23A〜23C,53A,53B・・・接点、25A〜25C・・・補助ばね部、31,51・・・吸着面、33・・・段差部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動実装装置によって第一の部材に対して表面実装されるとともに、前記第一の部材と第二の部材との間に挟み込まれることにより、両部材を電気的に接続する導電部品であって、
導電性を有する材料によって形成され、前記第一の部材に対してはんだ接合されるはんだ接合面と、前記第二の部材に接触する接点とを有し、前記第一の部材と前記第二の部材との間に挟み込まれた際には前記はんだ接合面から前記接点に至る導電経路となる導電部と、
エラストマー材料によって形成され、前記第一の部材と前記第二の部材との間に挟み込まれた際には弾性変形しつつ前記第一の部材と前記第二の部材との間にある空隙が過剰に狭められるのを阻止するエラストマー部と
を備え、
前記はんだ接合面を下端面とした場合の相対的な位置関係で、前記エラストマー部の上端には、前記自動実装装置での実装を行う際に前記自動実装装置が備える吸引ノズルによって吸着される吸着面が形成されており、
しかも、前記吸着面は、前記エラストマー部が弾性変形していない状態においては、前記接点よりも上方にある第一の位置にあり、前記導電部品が前記第一の部材と前記第二の部材との間に挟み込まれて前記エラストマー部が弾性変形した際には、当該弾性変形に伴って前記接点と前記第二の部材との接触を妨げない第二の位置へと変位する
ことを特徴とする導電部品。
【請求項2】
前記はんだ接合面は、前記第一の部材に接する位置に配置される全領域のうち、一部又は全部の領域が前記第一の部材に対してはんだ接合される面であり、
前記吸着面は、前記はんだ接合面の前記全領域よりも面積が小さい面となっている
ことを特徴とする請求項1に記載の導電部品。
【請求項3】
前記エラストマー材料は、絶縁性エラストマー材料である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導電部品。
【請求項4】
前記接点は、前記吸着面を挟んで両側にある位置を含む複数の位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の導電部品。
【請求項5】
前記導電部は、
金属の薄板に対して打ち抜き加工及び曲げ加工を施してなるプレス加工品によって構成されたものであり、しかも、
一方の面が前記はんだ接合面となっている基部と、
前記基部から連続する金属の薄板を、前記基部を挟んで前記はんだ接合面側とは反対側となる方向に折り曲げることによって前記基部から延出する形態とされており、その延出方向先端部を前記基部に接近する方向へ移動させると弾性変形するばね部と
を備えており、
前記ばね部は、その延出方向先端部分が複数の延出片に分かれた形態になっていて、各延出片の上面側が前記接点となっており、
前記エラストマー部の一部は、その両側にある一対の延出片間に挟まれた位置に配置されていて、その挟まれた位置にある部分の上端に前記吸着面が形成されている
ことを特徴とする請求項4に記載の導電部品。
【請求項6】
前記エラストマー部は、前記一対の延出片間の間隔方向について、前記一対の延出片間に挟まれた位置に配置されている部分の寸法が、上端側から下端側に向かって多段階又は無段階に大きくなる形態になっている
ことを特徴とする請求項5に記載の導電部品。
【請求項7】
前記エラストマー部は、前記ばね部が下方へ変位した際に、前記一対の延出片の付け根間において前記ばね部に押圧されて、当該ばね部と同方向へ倒れるように湾曲変形する
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の導電部品。
【請求項8】
前記基部には、前記はんだ接合面とは反対側へ突出していて、その突出部分と前記基部との間には隙間が形成されるとともに、前記突出部分の両端は前記基部に連設されたブリッジ部が設けられ、
前記エラストマー部は、前記ブリッジ部の突出部分の周囲を取り囲むかたちで一体成形されることにより、前記ブリッジ部又は前記エラストマー部の破壊を伴うことなく前記ブリッジ部から分離させることが不可能とされた固定構造によって前記基部に固定されている
ことを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか一項に記載の導電部品。
【請求項9】
前記基部には、上下方向に貫通する貫通孔が形成されていて、外力を受けた際には、前記貫通孔が形成されていない箇所よりも、前記貫通孔が形成された箇所において、前記基部が折れ曲がりやすい構造になっていて、
前記はんだ接合面は、前記貫通孔を挟む位置にある領域において前記第一の部材にはんだ接合される
ことを特徴とする請求項5〜請求項8のいずれか一項に記載の導電部品。
【請求項10】
前記エラストマー部の一部を挟んで両側にある前記一対の延出片は、その先端部が略V字状をなす形態で下方側へ折り返されることにより、各延出片の先端に補助ばね部が形成された形態になっており、
前記エラストマー部には、前記ばね部が弾性変形して下方へと変位した際に、前記補助ばね部が当接する段差部が形成されている
ことを特徴とする請求項5〜請求項9のいずれか一項に記載の導電部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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