説明

小便器洗浄システム

【課題】 節水と清潔感とを両立することができる小便器洗滌システムを提供する。
【解決手段】小便器3の使用者を検知する人検知装置6と、洗浄水を制御する制御弁2と、洗浄水の流量を検知する流量検知装置12と、人検知装置6及び流量検知装置12からの情報を受信するとともに制御弁2に指示信号を出力する制御装置5と、を備え、制御装置5は、制御弁2から第1設定水量が小便器3に供給された後に第1設定時間が経過すると制御弁2に第1設定水量の放流を指示し、小便器3の使用を検知した際に、制御弁2から第1設定水量が小便器3に供給された後の小便器使用回数が第1設定回数未満の場合は第1設定水量よりも少量の第2設定水量の放流を制御弁2に指示し、制御弁2から第1設定水量が小便器3に供給された後の小便器使用回数が第1設定回数以上の場合は第1設定水量の放流を制御弁2に指示する小便器洗浄システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は小便器の水洗式洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
水洗式便器においては種々の水洗方式があるが、男子用小便器においては、自動水洗装置を備えたものが一般的となっている。これは、赤外線を利用した人センサを小便器の上部に設け、人センサからの信号により、小便器の利用の都度給水用電磁弁を制御して洗浄するようにしたものである。なお、一般に小便器の一回の洗浄には5ないし6リットル程度の水を使用している。
【0003】
この方式では利用の都度自動的に水洗されるため、洗浄効果に優れている。また、この方式とは別に一定時間毎(例えば10分ないし15分程度)に給水用電磁弁を制御して小便器を洗浄するようにしたものがある。この方式では特定時間毎に洗浄がなされるため、トータルとして洗浄水の量が少なくて済み、また、利用者が少ない場合でも常に清涼感を維持することができるという利点がある。
【0004】
しかし、前記した従来の洗浄装置においては、それぞれの方式固有の問題がある。すなわち、前者の使用毎に洗浄する方式では、屎尿等を迅速確実に洗い流すことができるものの、小便器の利用が立て込んだ場合には利用の都度5リットル程度の水が必要となるため、結果として大量の水が浪費されて経済性に欠けるという問題がある。
【0005】
一方、後者の一定時間毎に洗浄する方式では、小便器の利用が立て込んだ場合には洗浄が不十分となるため、清涼感に欠けるという問題がある。
そして、これらの問題を解決した洗浄システムとして、両方式の利点を合わせたシステムが考えられた。
【0006】
すなわち、小便器の使用毎に比較的少量の洗浄水を小便器に供給する第1制御弁と、一定時間毎に便器を完全に洗浄できる量の洗浄水を供給する第2制御弁とを設けた洗浄システムである(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−18718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願の発明者等は、前記両方式の利点を合わせた小便器用洗浄システムに関して鋭意研究の結果、さらに改善すべき点を見いだした。すなわち、使用毎の洗浄動作と、一定時間毎の洗浄動作が近時する帯域における、節水効率の向上に関してである。また、本出願の発明者等は、前記両方式の利点を合わせた小便器用洗浄システム及び周辺機器のメンテナンス性の向上について着眼した。
本発明は前記事項に鑑みなされたものであり、節水と清潔感とを両立することができる小便器洗滌システムを提供することを課題とする。また、節水と清潔感を両立するとともに、排水管の劣化を抑制できる小便器洗滌システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、小便器の洗滌を行うシステムであって、小便器の使用者を検知する人検知装置と、小便器に供給する洗浄水を制御する制御弁と、この制御弁を通過する洗浄水の流量を検知する流量検知装置と、前記人検知装置からの人検知情報及び流量検知装置からの流量検知情報を受信するとともに前記制御弁に指示信号を出力する制御装置と、を備え
、前記制御装置は、前記制御弁から第1設定水量が小便器に供給された後に第1設定時間が経過すると前記制御弁に第1設定水量の放流を指示し、小便器の使用を検知した際に、前記制御弁から第1設定水量が小便器に供給された後の小便器使用回数が第1設定回数未満の場合は第1設定水量よりも少量の第2設定水量の放流を前記制御弁に指示し、前記制御弁から第1設定水量が小便器に供給された後の小便器使用回数が第1設定回数以上の場合は第1設定水量の放流を前記制御弁に指示する小便器洗浄システムとした。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記制御装置は、小便器の使用を検知した際に、前記制御弁から第1設定水量が小便器に供給された後の小便器使用回数が第1設定回数よりも少数の第2設定回数以上で第1設定回数未満であり、かつ、第1設定時間よりも短い第2設定時間と第1設定時間の間であった場合、第1設定水量の放流を前記制御弁に指示する小便器洗浄システムとした。ここで、前記第2設定時間は、例えば、第2設定水量を第1設定水量にて除した値pに、第1設定時間を乗じて値sを求め、さらに第1設定時間から値sを減じて得ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、清潔感及び節水効果に優れた小便器用洗浄システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の小便器用洗滌システムを図1〜図3に示される実施形態について更に詳細に説明する。
【0012】
図1に示すように、駅構内等のトイレに設置された小便器3は、基端を上水道本管1側に連通する配水管4に接続している。
【0013】
この排水管4の途中には、小便器3方向への給水の供給及び停止を制御する制御弁ユニット2が介挿されている。この制御弁ユニット2は、電磁弁を備えており、制御装置5からの指令により電磁弁を開閉して給水制御を行う。
【0014】
また、制御弁ユニット2は、配水管4内を通過する洗滌水の流量を検出する流量検出部12を備えている。この流量検出部12は、管内を通過する水流によって駆動される回転翼車を有しており、この回転翼車の回転数を検出することにより、通過流量を検出できるようになっている。通過流量は、回転翼車の1回転毎に送信されるパルス信号を制御装置5が受信し、単位時間当たりの回転数に基づき計算される。
【0015】
なお、流量検出部としては、回転翼車を設けずに、タイマー部のみの構成とすることもできる。すなわち、予め、単位時間あたりの制御弁ユニット2を通過する流量を算出しておき、予定流量に相応する時間だけ電磁弁を開放するものである。
【0016】
ここで、制御装置5の構成を説明する。制御装置5は、制御弁ユニット2の電磁弁に信号を出力すると共に流量検出部12及び人検知センサ6からの信号を入力するI/0部と、各種データ処理を行うマイクロプロセッサと、このマイクロプロセッサを動作させるために必要なデータを収容するRAM(randum access memory)及びROM(read only memory)と、これらを接続するバスとを備えている。
【0017】
次に、制御装置5の制御を中心に、図2及び図3のフローチャートに基づき本システムの動作を説明する。
本システムが起動されると、図2に示すように、制御装置5は、予め設定した第1設定時間T1(例えば15分)が経過したか否かを判断する(ステップS101)。ステップ
S101の肯定枝はステップS102に移行し、否定枝はステップS101の処理を繰り返す。
【0018】
ステップ102では、制御装置5は、制御弁ユニット2の電磁弁に指示信号を出力し、電磁弁を開放して、配水管4の洗滌水を小便器3に供給する。この際、制御装置5は、制御弁ユニット2の流量検出部12からの信号に基づき、第1の設定流量(例えば5リットル)が制御弁ユニット2を通過したと判断したときに、電磁弁を閉鎖して、小便器3への洗滌水の供給を停止する。そして、制御装置5は、ステップ103にて時間tを0に更新して、ステップ101からの処理を繰り返す。すなわち、制御装置5は、15分毎に5リットルの洗浄水を小便器3に供給するものである。
【0019】
次に、図3のフローチャートに基づき、本システムの動作をさらに説明する。
制御装置5は、人検知センサ6からの信号をセンシングすることにより、使用者が小便器3の前方に位置したか否かを判断する(ステップ201)。制御装置5は、例えば5秒間人検知センサ6が小便器3前方の所定範囲内に物体(人)を検知した場合に、使用者を検知したものと判断し、単に小便器3の前を通過した人を検知する等の誤作動を防止している。
【0020】
制御装置5が、小便器3が使用されていると判断した場合は、小便器3の使用回数nに「1」を加算して、新たなカウント値nを得る(ステップ202)。そして、制御装置5は、人検知センサ6からの信号が停止したことを受けて排尿が終了したものと判断する(ステップ203)。
【0021】
次に、制御装置5は、ステップ202において得たカウント値nが、予め設定した回数である第1設定回数N1(例えば10回)となったか否かを判断する(ステップ204)。制御装置5は、カウント値nが第1設定回数N1であった場合は、ステップ208に移行して、第1の設定水量(例えば5リットル)を小便器3に供給するよう制御弁ユニット2を制御する。そして、カウント値nを0に戻す(ステップ209)と共に、経過時間tを0に戻す(ステップ210)。
【0022】
また、ステップ204においてカウント値がN1でなかった場合は、ステップ205に移行して、予め設定した回数である第2設定回数N2(例えば9回)以上であるか否かを判断する。カウント値nが第2設定回数N2未満(例えば8回以下)であった場合は、制御装置5は、比較的少量の第2設定水量(例えば1リットル)が小便器3に供給されるように、制御弁ユニット2の電磁弁を制御する(ステップ206)。
【0023】
一方、ステップ205において、カウント値nがN2以上(例えば9回)であった場合は、ステップ207に移行して、さらに経過時間tについて判断する。制御装置5は、第1設定水量が小便器3に供給された後に経過した時間tが、第2設定時間(例えば14分)以上で第1設定時間(例えば15分)未満であると判断した場合(ステップ207の肯定枝)は、第1の設定水量(5リットル)が小便器3に供給されるように制御弁ユニット2の電磁弁を制御する(ステップ208)。そして、カウント値nを0に戻す(ステップ209)と共に、経過時間tを0に戻す(ステップ210)。
【0024】
また、制御装置5は、ステップ207において、経過時間tが第2設定時間以上で第1設定時間未満でなかった場合(すなわち第2設定時間未満であった場合。例えば10分)、ステップ206に移行して、第2の設定水量(例えば1リットル)を小便器3に供給するよう制御弁ユニット2の電磁弁を制御する。
【0025】
そして、ステップ206及びステップ210の後段は、ステップ201にループする。
このように本実施形態の小便器用洗滌システムによれば、小便器3の使用の都度に少量の洗浄水を流して清潔感を保つと共に、一定時間毎に充分な水量を小便器3に流して確実な洗浄を行う。
【0026】
さらに、本小便器用洗浄システムによれば、使用者が立て込んだ場合は、設定時間に若干満たない場合であっても、排便終了後の洗浄水量を充分な水量(5リットル)としたうえで、経過時間tを積算しなおすので、短時間内に続けて洗浄水が放流(例えば1分以内に(1+5リットル))されることを防止でき、長時間でみた場合の使用水量を抑制することができる。また、本小便器用洗浄システムは、設定時間とならなくても、一定の使用回数に至った場合は充分な水量を小便器3に供給するので、小便器3に接続する排水管内の残存屎尿が概ね一定量(所定人数分の残存屎尿量)となる前に、排水本管側に排出することができ、節水効果を維持しつつ排水管の劣化を抑制することができる。
【0027】
また、本実施形態では、所定時間毎に小便器の洗滌が行われるようにしたが、例えば利用者数が少ない時間帯には、第1設定時間を長めに設定してもよい。また、第1設定回数は、例えば、20回、30回等、任意の回数に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態における小便器洗滌システムの構成図。
【図2】本実施形態の制御装置における第1のフローチャート図。
【図3】本実施形態の制御装置における第2のフローチャート図。
【符号の説明】
【0029】
2 制御弁ユニット
3 小便器
5 制御装置
6 人検知センサ
12 流量検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小便器の洗滌を行うシステムであって、小便器の使用者を検知する人検知装置と、小便器に供給する洗浄水を制御する制御弁と、この制御弁を通過する洗浄水の流量を検知する流量検知装置と、前記人検知装置からの人検知情報及び流量検知装置からの流量検知情報を受信するとともに前記制御弁に指示信号を出力する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記制御弁から第1設定水量が小便器に供給された後に第1設定時間が経過すると前記制御弁に第1設定水量の放流を指示し、
小便器の使用を検知した際に、前記制御弁から第1設定水量が小便器に供給された後の小便器使用回数が第1設定回数未満の場合は第1設定水量よりも少量の第2設定水量の放流を前記制御弁に指示し、前記制御弁から第1設定水量が小便器に供給された後の小便器使用回数が第1設定回数以上の場合は第1設定水量の放流を前記制御弁に指示する小便器洗浄システム。
【請求項2】
前記制御装置は、小便器の使用を検知した際に、前記制御弁から第1設定水量が小便器に供給された後の小便器使用回数が第1設定回数よりも少数の第2設定回数以上で第1設定回数未満であり、かつ、第1設定時間よりも短い第2設定時間と第1設定時間の間であった場合、第1設定水量の放流を前記制御弁に指示する請求項1記載の小便器洗浄システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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