説明

小切手読み取り情報の改竄判別方法

【課題】小切手処理装置で読み取られた小切手の画像情報がサーバに転送される途中で改竄されたか否かを判別することが可能な小切手処理システムを提案すること。
【解決手段】小切手処理装置10で読み取った小切手2の画像情報に、小切手処理装置10において、その小切手2から読み取った磁気文字情報を電子透かしとして埋め込む。しかる後に電子透かし入りの画像情報および磁気文字情報をホストコンピュータ20を介してサーバ30に送信する。ホストコンピュータ20で画像情報の改竄が行われた場合には、サーバ30が受信した画像情報から磁気文字情報を抽出することができない。また、抽出することができたとしても、その磁気文字情報はサーバ30が受信している磁気文字情報とは異なる情報になっている。従って、画像情報の改竄の有無を判別することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小切手処理装置で読み取った小切手の画像情報や磁気文字情報を、この小切手処理装置が接続されている上位機器に送信して管理するようになっている小切手処理システムに関するものである。更に詳しくは、上位機器で小切手の画像情報や磁気文字情報の改竄が行われたか否かを判別することが可能な小切手読み取り情報の改竄判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
支払いの際に顧客が振り出した小切手は、小切手処理装置に掛けられて、その表面に印刷された磁気インク文字の磁気文字情報および表面の画像情報が読み取られる。また、読み取られた磁気文字情報から特定される決済機関の口座番号等に基づいて、電子決済が行なわれる。電子決済処理が終わった小切手自体は決済機関へ持ち込む必要がなくなっているので、必要な表書および裏書がされたのち顧客に返却されている。ここで、小切手をそのまま顧客に返却してしまうと店舗側には小切手によって決済が行なわれたという証拠が残らないので、読み取った画像を決済の証拠として保存するようにしている。
【0003】
通常、小切手処理装置はホストコンピュータ(上位機器)にケーブル接続された状態で店舗の会計カウンタなどに設置されている。また、ホストコンピュータは通信回線を介してサーバ(上位機器)に接続されており、小切手処理装置が読み取った磁気文字情報および画像情報は、ホストコンピュータを介してサーバに転送され、サーバにおいて一括管理されるようになっている。特許文献1には、このような小切手処理システムに用いることができる小切手処理装置が開示されている。
【0004】
店舗において不正な取引が行われる場合には、小切手処理装置で得られた画像情報や磁気文字情報がサーバに転送されるまでの間に改竄され、額面の情報などが変更されている可能性がある。そこで、ホストコンピュータからサーバに画像情報を転送する場合に、送信する画像情報に改竄を判別するための情報を電子透かしとして埋め込んでおいて、画像情報を受信するサーバで画像情報に改竄が行われたか否かを判別することが考えられる。電子透かしを用いて画像情報の改竄の有無を判別する方法は、例えば、特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開2004−206362号公報
【特許文献2】特開2001−78013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ホストコンピュータに悪意のあるソフトウエアがインストールされている場合には、電子透かしを入れる前に画像情報の改竄が行われてしまう。このような場合には、サーバで受信した電子透かし入りの画像情報に基づいて改竄の有無を判別することができないので、店舗で行なわれた不正な取引を発見することはできない。
【0006】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、小切手処理装置で読み取られた画像情報や磁気文字情報がホストコンピュータを介してサーバに転送される途中で改竄された場合に、その改竄の有無を判別することができる小切手読み取り情報の改竄判別方法を提供することにある。また、そのような改竄判別方法によって小切手読み取り情報の改竄を判別する小切手処理システムを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、小切手読み取り情報の改竄判別方法であって、
小切手の表面を画像情報として小切手処理装置で読み取り、
前記小切手処理装置において、前記画像情報に所定の改竄判別情報を電子透かしとして埋め込み、
前記電子透かし入りの画像情報を、上位機器に送信し、
前記上位機器で受信した前記電子透かし入りの画像情報から前記改竄判別情報を抽出し、
前記抽出された改竄判別情報に基づいて、前記電子透かし入りの画像情報が改竄されているか否かを判別することを特徴とする。
【0008】
本発明は、小切手処理装置で読み取った小切手の画像情報に改竄判別情報を埋め込んだ後に、上位機器に送信する。小切手処理装置において画像情報に改竄判別情報を埋め込んでいるので、画像情報の転送経路の途中にあるホストコンピュータで画像情報の改竄が行われた場合には、サーバで受信した画像情報からは改竄判別情報を抽出することができない。また、改竄判別情報を抽出することができたとしても、その情報は所望の情報とは異なる情報になっている。従って、小切手処理装置からサーバに至る転送経路の途中で画像情報に改竄が行われたか否かを判別することができる。
【0009】
次に、本発明は、小切手読み取り情報の改竄判別方法であって、
小切手の表面を画像情報として小切手処理装置で読み取り、
前記小切手の磁気インク文字から磁気文字情報を前記小切手処理装置で読み取り、
前記小切手処理装置において、前記画像情報に前記磁気文字情報を電子透かしとして埋め込み、
前記電子透かし入りの画像情報および前記磁気文字情報を、上位機器に送信し、
前記上位機器で受信した前記電子透かし入りの画像情報から前記磁気文字情報を抽出し、
前記抽出された磁気文字情報と受信した前記磁気文字情報とが一致する場合には、前記電子透かし入りの画像情報及び前記磁気文字情報が改竄されていないと判定することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、小切手処理装置で読み取った小切手の画像情報に、その小切手から読み取った磁気文字情報を電子透かしとして埋め込んでいる。小切手処理装置で画像情報に磁気文字情報を埋め込むので、画像情報の転送経路の途中にあるホストコンピュータで画像情報の改竄が行われた場合には、サーバで受信した画像情報からは磁気文字情報を抽出することができない。また、磁気文字情報を抽出することができたとしても、その磁気文字情報はサーバが受信している磁気文字情報とは異なる情報になっている。従って、抽出された磁気文字情報と受信した磁気文字情報とが一致する場合には、小切手処理装置からホストコンピュータを介してサーバに送信されてきた画像情報及び磁気文字情報に改竄がないと判定することができる。また、改竄を判別するための情報として小切手の電子決済に必要な磁気文字情報を利用しているので、改竄を判別するための情報を別途用意する必要がない。
【0011】
次に、本発明は、小切手読み取り情報の改竄判別方法であって、
上位機器からの時刻同期情報に基づいて小切手処理装置のRTC(Real Time Clock)回路の時刻を修正し、
小切手の表面を画像情報として前記小切手処理装置で読み取り、
前記小切手処理装置において、前記画像情報に前記RTC回路が出力している時刻を電子透かしとして埋め込み、
前記電子透かし入りの画像情報を、前記上位機器に送信し、
前記電子透かし入りの画像情報を前記サーバが受信した受信時刻を記憶し、
前記電子透かし入りの画像情報から前記時刻を抽出し、
前記抽出した時刻と前記受信時刻との時刻の差が所定の時間内にある場合には、前記電子透かし入りの画像情報が改竄されていないと判定することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、小切手処理装置の時刻とサーバの時刻とを同期させておいて、小切手処理装置で読み取った小切手の画像情報に、その画像情報を取得した時刻を電子透かしとして埋め込んでいる。小切手処理装置で画像情報の読み取り時刻を埋め込むので、画像情報の転送経路の途中にあるホストコンピュータで画像情報の改竄が行われた場合には、サーバで受信した画像情報からは時刻を抽出することができない。また、画像情報から時刻を抽出することができたとしても、改竄行為にかかった時間が抽出された時刻と受信時刻との時間差として現れる。従って、抽出した時刻と受信時刻との時刻の差が所定の時間内にある場合には、小切手処理装置からホストコンピュータを介してサーバに送信されてきた画像情報に改竄がないと判定することができる。
【0013】
次に、本発明は、小切手読み取り情報の改竄判別方法であって、
サーバからの時刻同期情報に基づいて小切手処理装置のRTC回路の時刻を修正し、
小切手の表面を画像情報として前記小切手処理装置で読み取り、
前記小切手の磁気インク文字から磁気文字情報を前記小切手処理装置で読み取り、
前記小切手処理装置において、前記画像情報に、前記磁気文字情報および前記RTC回路が出力している時刻を電子透かしとして埋め込み、
前記電子透かし入りの画像情報および前記磁気文字情報を、上位機器に送信し、
前記電子透かし入りの画像情報を前記上位機器が受信した受信時刻を記憶し、
前記電子透かし入りの画像情報から前記磁気文字情報および前記時刻を抽出し、
前記抽出された磁気文字情報と受信した前記磁気文字情報とが一致しており、かつ、前記抽出した時刻と前記受信時刻との時刻の差が所定の時間内にある場合には、前記電子透かし入りの画像情報及び前記磁気文字情報が改竄されていないと判定することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、小切手処理装置の時刻とサーバの時刻とを同期させておいて、小切手処理装置で読み取った小切手の画像情報に、その画像情報を取得した時刻を電子透かしとして埋め込む。また、その小切手から読み取った磁気文字情報を電子透かしとして埋め込んでいる。小切手処理装置で画像情報の読み取り時刻および磁気文字情報を埋め込むので、画像情報の転送経路の途中にあるホストコンピュータで画像情報の改竄が行われた場合には、サーバで受信した画像情報からは時刻および磁気文字情報を抽出することができない。また、画像情報から時刻および磁気文字情報を抽出することができたとしても、改竄行為にかかる時間が、抽出された時刻と受信時刻との時間差として現れる。さらに、抽出された磁気文字情報は、サーバが受信している磁気文字情報とは異なる情報になっている。従って、抽出された磁気文字情報と受信した磁気文字情報とが一致しており、かつ、抽出した時刻と受信時刻との時刻の差が所定の時間内にある場合には、小切手処理装置からホストコンピュータを介してサーバに送信されてきた画像情報及び前記磁気文字情報に改竄がないと判定することができる。
【0015】
ここで、小切手処理装置、上位機器の間で正常な通信が行なわれていない場合に小切手による電子決済を中止するために、前記上位機器からの時刻同期情報に基づいて前記小切手処理装置のRTC回路の時刻を修正することができない場合には、前記小切手の表面の読み取りを行わないことが望ましい。
【0016】
次に、本発明は、小切手処理装置で読み取った小切手の画像情報を上位機器に送信し、前記上位機器で一元的に管理する小切手処理システムにおいて、
上記の小切手読み取り情報の改竄判別方法を用いて、前前記小切手処理装置から前記上位機器に送信されてくる画像情報の改竄を判別することを特徴とする小切手処理システムとすることができる。
【0017】
また、本発明は、小切手処理装置であって、小切手の表面を読み取って画像情報を出力する画像読取手段と、前記画像情報に所定の改竄判別情報を電子透かしとして埋め込む情報埋め込み手段と、前記電子透かし入りの画像情報を、接続されている上位機器に送信する送信手段とを有することを特徴とする。
【0018】
本発明の小切手処理装置によれば、小切手の画像情報に改竄判別情報を電子透かしとして埋め込み、しかる後に上位機器に送信する。画像情報から改竄判別情報を抽出することによって、上位機器に送信された後に画像情報の改竄が行われたか否かを判別することができる。
【0019】
ここで、改竄判別情報として磁気インク文字から読み取った磁気文字情報を用いるためには、前記小切手に印刷されている磁気インク文字を読み取って磁気文字情報を出力する磁気インク文字読取手段を有し、前記情報埋め込み手段は、前記磁気文字情報を前記改竄判別情報として前記画像情報に埋め込むものであり、前記送信手段は、前記電子透かし入り画像情報とともに前記磁気文字情報を送信することが望ましい。
【0020】
また、改竄判別情報として画像情報を取得した時刻を用いるためには、接続されている上位機器からの時刻同期情報に基づいて時刻を修正するRTC回路を有し、前記情報埋め込み手段は、前記画像読取手段が画像を読み取った時にRTC回路から出力されている時刻を前記改竄判別情報として前記画像情報に埋め込むことが望ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、小切手処理装置で読み取った小切手の画像情報に改竄判別情報を埋め込んだ後に、ホストコンピュータを介してサーバに送信する。小切手処理装置において画像情報に改竄判別情報を埋め込んでいるので、画像情報の転送経路の途中にあるホストコンピュータで画像情報の改竄が行われた場合には、サーバで受信した画像情報からは改竄判別情報を抽出することができない。また、例え改竄判別情報を抽出することができたとしても、その情報は、所望の情報とは異なる情報になっている。従って、小切手処理装置からサーバに至る転送経路の途中で画像情報に改竄が行われたか否かを判別することができる。よって、小切手を利用した電子決済において、取引の安全を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した小切手処理システムの実施の形態を説明する。
【0023】
(小切手処理システムの構成)
図1は本例の小切手処理システムの概略ブロック図である。図1に示すように、小切手処理システム1は、小切手2の表面2aの画像情報および磁気インク文字3で印刷された決済機関の口座番号等の磁気文字情報を読み取るための小切手処理装置10と、この小切手処理装置10にケーブル接続されているホストコンピュータ20と、このホストコンピュータ20に通信回線を介して接続されているサーバ30を備えている。小切手処理装置10およびホストコンピュータ20は、例えば、店舗の会計カウンタなどに設置されており、サーバ30は本社に設置されている。小切手処理装置10によって小切手2から読み取られた磁気文字情報は、店舗と決済機関或いは本社と決済機関との間で行なわれる電子決済に用いられる。また、小切手処理装置10によって小切手2から読み取られた磁気文字情報および画像情報は、ホストコンピュータ20を介してサーバ30に送信され、サーバ30で一括して管理される。
【0024】
小切手処理装置10は、画像読取手段11、磁気インク文字読取手段12、RTC回路13および制御手段15を備えている。画像読取手段11は、小切手処理装置10に形成されている搬送路を搬送されてくる小切手2の表面2aを読み取って画像情報として出力するものであり、イメージスキャナを備えている。磁気インク文字読取手段12は、搬送路を搬送されてくる小切手2の表面2aに印刷されている磁気インク文字3を認識して磁気文字情報として出力するものであり、磁気インク文字3を読み取るためのMICR(Magnetic Ink Character Recognition)磁気ヘッドと、このMICR磁気ヘッドから出力される信号に基づいて磁気インク文字3を認識する文字認識手段とを備えている。RTC回路13は時刻を出力するものであり、サーバ30から送信されてくる時刻同期情報に基づいて内部時刻を修正し、サーバ30の時刻との同期を図っている。
【0025】
制御手段15は、画像読取手段11から出力された画像情報に、磁気インク文字読取手段12から出力された磁気文字情報および/またはRTC回路13から出力された時刻を電子透かしとして埋め込む情報埋め込み手段16と、この電子透かし入りの画像情報をホストコンピュータ20に送信する送信手段17を備えている。また、送信手段17は、磁気文字情報をホストコンピュータ20に送信するようになっている。
【0026】
ホストコンピュータ20は、レジスタ装置またはパーソナルコンピュータである。小切手処理装置10から電子透かし入りの画像情報および磁気文字情報を受信すると、これらをサーバ30へ転送する。また、サーバ30から送信された時刻同期情報を受信すると、これを小切手処理装置10へ転送する。
【0027】
サーバ30は、電子透かし入りの画像情報を受信すると受信時刻を記憶する記憶手段31と、受信した画像情報から電子透かしとして埋め込まれている情報を抽出する情報抽出手段32と、抽出された情報に基づいて画像情報の改竄の有無を判別する改竄判別手段33と、ホストコンピュータ20へ向けて時刻同期情報を送信している時刻同期情報送信手段34を備えている。
【0028】
改竄判別手段33は、情報抽出手段32によって抽出された磁気文字情報と、受信している磁気文字情報とが一致している場合には、サーバ30が受信した画像情報は改竄されていないと判定する。また、情報抽出手段32によって抽出された時刻と記憶手段31が記憶している受信時刻との時刻の差が所定の時間内にある場合には、画像情報が改竄されていないと判定する。所定の時間とは、ホストコンピュータ20において画像の改竄が行われた場合にかかる時間を考慮して決定される。
【0029】
ここで、小切手2は、その表面2aの下端部分に磁気インク文字3が印刷されている。磁気インク文字3は決済機関や口座番号を特定している。また、表面2aには、所定の模様の背景に、金額、振出人、番号、サインなどが記載されている。裏面2bには裏書き欄などが設けられている。
【0030】
(磁気文字情報を利用して改竄の有無を判別する動作)
図2は、画像情報に電子透かしとして磁気文字情報を埋め込んでおいて、その磁気文字情報に基づいて画像情報の改竄の有無を判別する動作を示すフローチャートである。
【0031】
顧客から振り出された小切手2が小切手処理装置10に掛けられると、小切手処理装置10は小切手2の表面2aをスキャンして、画像情報を読み取る。また、印刷されている磁気インク文字3から磁気文字情報を読み取る(ステップST11)。
【0032】
制御手段15は、画像情報に磁気文字情報を電子透かしとして埋め込んで(ステップST12)、電子透かし入りの画像情報および磁気文字情報をホストコンピュータ20へ送信する(ステップST13)。画像情報に磁気文字情報を電子透かしとして埋め込む際は、画像情報が改竄された場合に電子透かしとして埋め込まれた磁気文字情報が抽出できなくなる、又は抽出できたとしてもその値が変化するように埋め込まれる。
【0033】
電子透かし入りの画像情報および磁気文字情報を受信したホストコンピュータ20は、それらをサーバ30へ転送する(ステップST14)。サーバ30では、情報抽出手段32が、受信した電子透かし入りの画像情報から磁気文字情報を抽出する(ステップST15)。また、改竄判別手段33が、抽出された磁気文字情報と受信した磁気文字情報とを比較する(ステップST16)。
【0034】
そして、双方の情報が一致している場合には、画像情報は改竄されていないと判定する(ステップST17)。双方の情報が一致しない場合および磁気インク文字を抽出することができなかった場合には、画像情報は改竄されていると判定する(ステップST18)。
【0035】
本例によれば、小切手処理装置10で読み取った小切手2の画像情報に、その小切手2から読み取った磁気文字情報を電子透かしとして埋め込んだ後に、この電子透かし入りの画像情報および磁気文字情報をホストコンピュータ20を介してサーバ30に送信する。小切手処理装置10で画像情報に磁気文字情報を埋め込むので、ホストコンピュータ20で読み取り画像の改竄が行われた場合には、サーバ30が受信した画像情報から磁気文字情報を抽出することができない。また、磁気文字情報を抽出することができたとしても、その磁気文字情報はサーバ30が受信した磁気文字情報とは異なる情報になっている。従って、電子透かしとして埋め込まれた磁気文字情報に基づいて、小切手処理装置10からホストコンピュータ20を介してサーバ30に送信されてきた画像情報の改竄の有無を判別することができる。また、磁気文字情報の改竄の有無を判別することもできることになる。
【0036】
また、改竄を判別するために電子透かしとして埋め込む情報として、小切手2の電子決済に必要な磁気文字情報を利用しているので、改竄を判別するための情報を別途用意する必要がない。
【0037】
なお、電子透かし入りの画像情報と一緒に転送される磁気文字情報は、暗号化して送信することが好ましい。また、本例では、小切手処理装置10にRTC回路13を搭載しておく必要はない。
【0038】
(画像情報の読み取り時刻を利用して改竄の有無を判別する動作)
図3は小切手処理装置における小切手の表面の読み取り時刻を利用して改竄の有無を判別する動作を示すフローチャートである。図3(a)は小切手処理装置が小切手から情報を読み取る直前の小切手処理システム1の動作を示し、図3(b)は画像情報に電子透かしとして時刻を埋め込んでおいて、その時刻に基づいて画像情報の改竄の有無を判別する動作を示す。
【0039】
図3(a)に示すように、小切手処理装置10は、小切手2から情報を読み取る前に、RTC回路13の時刻を修正する。サーバ30はホストコンピュータ20に時刻同期情報を送信しており(ステップST21)、ホストコンピュータ20は受信した時刻同期情報を小切手処理装置10へ転送しているので(ステップST22)、顧客から振り出された小切手2が小切手処理装置10に掛けられると、小切手処理装置10は、受信した時刻同期情報に基づいてRTC回路13の内部時刻を修正し、サーバ30の時刻との同期を図る(ステップST23)。
【0040】
次に、図3(b)に示すように、小切手処理装置10は小切手2の表面2aをスキャンして画像情報を読み取る(ステップST31)。また、制御手段15は、RTC回路13が出力している時刻を取得して(ステップST32)、画像情報に時刻を電子透かしとして埋め込む(ステップST33)。しかる後に、電子透かし入りの画像情報をホストコンピュータ20へ送信する(ステップST34)。
【0041】
電子透かし入りの画像情報を受信したホストコンピュータ20は、それらをサーバ30へ転送する(ステップST35)。サーバ30の記憶手段31は、電子透かし入りの画像情報を受信するとその受信時刻を記憶する(ステップST36)。また、情報抽出手段32は、受信した電子透かし入りの画像情報から時刻を抽出する(ステップST37)。
【0042】
そして、改竄判別手段33は、抽出された時刻と受信時刻とを比較し(ステップST38)、双方の時刻の時間差が所定の時間内にある場合には、画像情報は改竄されていないと判定する(ステップST39)。双方の時刻の時間差が所定の時間を超えている場合には、画像情報は改竄されている判定する(ステップST40)。
【0043】
なお、サーバ30からホストコンピュータ20を介して送信されてくる時刻同期情報を小切手処理装置10が受信できない場合には、小切手処理システム1内で正常な通信が行なわれていない。従って、小切手処理装置10による小切手2の読み取り動作を停止して、電子決済を中止する。
【0044】
以上、本例によれば、小切手処理装置10で画像情報の読み取り時刻を埋め込むので、ホストコンピュータ20で読み取り画像の改竄が行われた場合には、画像情報から時刻を抽出することができない。また、時刻を抽出することができたとしても、ホストコンピュータ20で画像の改竄が行われている場合には、その改竄行為にかかる時間が、抽出された時刻と受信時刻との時間差として現れる。従って、電子透かしとして埋め込まれた時刻に基づいて、小切手処理装置10からホストコンピュータ20を介してサーバ30に送信されてきた画像情報の改竄の有無を判別することができる。
【0045】
(他の実施の形態)
上記の例では、小切手2の磁気文字情報と利用して改竄の有無を判別する処理動作と、画像情報の読み取り時刻を利用して改竄の有無を判別する動作とを、別々に行うものとしているが、磁気文字情報および画像情報の読み取り時刻の双方を利用して改竄の有無を判別することもできる。この場合には、小切手処理装置10の時刻とサーバ30の時刻とを同期させておいて、小切手処理装置10で読み取った小切手2の画像情報に、その画像情報を取得した時刻を電子透かしとして埋め込む。また、その小切手2から読み取った磁気文字情報を電子透かしとして埋め込んだ後に、これらの電子透かし入りの画像情報および磁気文字情報をホストコンピュータ20を介してサーバ30に送信する。そして、サーバ30の改竄判別手段33は、電子透かし入り画像情報から抽出した時刻および磁気文字情報のそれぞれに基づいて改竄が無かったものと判別された場合に、画像情報の改竄が無かったと判定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明を適用した小切手処理システムの概略ブロック図である。
【図2】磁気文字情報により改竄を判別する動作を示すフローチャートである。
【図3】小切手の読み取り時刻により改竄を判別する動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1 小切手処理システム、2 小切手、2a 表面、3 磁気インク文字、10 小切手処理装置、11 画像読取手段、12 磁気インク文字読取手段、13 RTC回路、15 制御手段、16 情報埋め込み手段、17 送信手段、20 ホストコンピュータ、30 サーバ、31 記憶手段、32 情報抽出手段、33 改竄判別手段、34 時刻同期情報送信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小切手の表面を画像情報として小切手処理装置で読み取り、
前記小切手処理装置において、前記画像情報に所定の改竄判別情報を電子透かしとして埋め込み、
前記電子透かし入りの画像情報を、上位機器に送信し、
前記上位機器で受信した前記電子透かし入りの画像情報から前記改竄判別情報を抽出し、
前記抽出された改竄判別情報に基づいて、前記電子透かし入りの画像情報が改竄されているか否かを判別することを特徴とする小切手読み取り情報の改竄判別方法。
【請求項2】
小切手の表面を画像情報として小切手処理装置で読み取り、
前記小切手の磁気インク文字から磁気文字情報を前記小切手処理装置で読み取り、
前記小切手処理装置において、前記画像情報に前記磁気文字情報を電子透かしとして埋め込み、
前記電子透かし入りの画像情報および前記磁気文字情報を、上位機器に送信し、
前記上位機器で受信した前記電子透かし入りの画像情報から前記磁気文字情報を抽出し、
前記抽出された磁気文字情報と受信した前記磁気文字情報とが一致する場合には、前記電子透かし入りの画像情報及び前記磁気文字情報が改竄されていないと判定することを特徴とする小切手読み取り情報の改竄判別方法。
【請求項3】
上位機器からの時刻同期情報に基づいて小切手処理装置のRTC回路の時刻を修正し、
小切手の表面を画像情報として前記小切手処理装置で読み取り、
前記小切手処理装置において、前記画像情報に前記RTC回路が出力している時刻を電子透かしとして埋め込み、
前記電子透かし入りの画像情報を、前記上位機器に送信し、
前記電子透かし入りの画像情報を前記上位機器が受信した受信時刻を記憶し、
前記電子透かし入りの画像情報から前記時刻を抽出し、
前記抽出した時刻と前記受信時刻との時刻の差が所定の時間内にある場合には、前記電子透かし入りの画像情報が改竄されていないと判定することを特徴とする小切手読み取り情報の改竄判別方法。
【請求項4】
上位機器からの時刻同期情報に基づいて小切手処理装置のRTC回路の時刻を修正し、
小切手の表面を画像情報として前記小切手処理装置で読み取り、
前記小切手の磁気インク文字から磁気文字情報を前記小切手処理装置で読み取り、
前記小切手処理装置において、前記画像情報に、前記磁気文字情報および前記RTC回路が出力している時刻を電子透かしとして埋め込み、
前記電子透かし入りの画像情報および前記磁気文字情報を、前記上位機器に送信し、
前記電子透かし入りの画像情報を前記上位機器が受信した受信時刻を記憶し、
前記電子透かし入りの画像情報から前記磁気文字情報および前記時刻を抽出し、
前記抽出された磁気文字情報と受信した前記磁気文字情報とが一致しており、かつ、前記抽出した時刻と前記受信時刻との時刻の差が所定の時間内にある場合には、前記電子透かし入りの画像情報及び前記磁気文字情報が改竄されていないと判定することを特徴とする小切手読み取り情報の改竄判別方法。
【請求項5】
請求項3または4において、
前記上位機器からの時刻同期情報に基づいて前記小切手処理装置のRTC回路の時刻を修正することができない場合には、前記小切手の表面の読み取りを行わないことを特徴とする小切手読み取り情報の改竄判別方法。
【請求項6】
小切手処理装置で読み取った小切手の画像情報を上位機器に送信し、前記上位機器で一元的に管理する小切手処理システムにおいて、
請求項1ないし5のうちのいずれかの項に記載された小切手読み取り情報の改竄判別方法を用いて、前記上位機器に送信されてきた前記画像情報の改竄を判別することを特徴とする小切手処理システム。
【請求項7】
小切手の表面を読み取って画像情報を出力する画像読取手段と、
前記画像情報に所定の改竄判別情報を電子透かしとして埋め込む情報埋め込み手段と、
前記電子透かし入りの画像情報を、接続されている上位機器に送信する送信手段とを有することを特徴とする小切手処理装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記小切手に印刷されている磁気インク文字を読み取って磁気文字情報を出力する磁気インク文字読取手段を有し、
前記情報埋め込み手段は、前記磁気文字情報を前記改竄判別情報として前記画像情報に埋め込むものであり、
前記送信手段は、前記電子透かし入り画像情報とともに前記磁気文字情報を送信することを特徴とする小切手処理装置。
【請求項9】
請求項7または8において、
接続されている上位機器からの時刻同期情報に基づいて時刻を修正するRTC回路を有し、
前記情報埋め込み手段は、前記画像読取手段が画像を読み取った時にRTC回路から出力されている時刻を前記改竄判別情報として前記画像情報に埋め込むことを特徴とする小切手処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−245211(P2008−245211A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86798(P2007−86798)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】