説明

小物物品の供給整列搬送装置

【課題】 簡単な構造で、錠剤等の小物物品を安定した姿勢で後段の錠剤検査装置などに受け渡すことのできる、高速搬送が可能な、小物物品の供給整列搬送装置を提供する。
【解決手段】 小物物品を整列搬送する整列用搬送路であって、前記小物物品を載せて搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルト上に配置され、小物物品を案内するガイド側面を有するガイド部材と、前記搬送ベルト上を搬送される小物物品が安定した姿勢でのみ通過できるように、前記搬送ベルトとの間で高さを規制する高さ規制ゲートと、前記搬送ベルト上を搬送される小物物品が安定した姿勢で且つ一つのみ通過できるように、前記ガイド部材のガイド側面との間で幅を規制する側面を有する幅規制ガイドとを含む整列用搬送路と、前記整列用搬送路に隣接し、前記整列用搬送路から排除された小物物品を該整列用搬送路上流に戻す還元用搬送路を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煩雑な状態で送られてくる錠剤等の小物物品を所定の姿勢で一列に整列させて後段の処理工程に供給する整列搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤等の小物物品の供給整列搬送装置としては、傾斜された搬送路を、振動を利用して小物物品を搬送する搬送装置(特許文献1参照)や平坦な搬送路を、側面ガイドを利用して高速搬送する搬送装置(特許文献2参照)などが本出願人から既に提案されている。
【0003】
例えば、特許文献2に開示される搬送装置について、図4を用いて簡単に説明する。図4は、錠剤供給整列搬送装置の概略平面図である。
【0004】
図に示されるように、錠剤供給整列搬送装置100は、概略、錠剤Tを搬送し、一列に整列させる2つの搬送路110a、110b、該2つの搬送路110a、110bの間に配置される還元用搬送路120及び、該還元用搬送路120と代わって、錠剤Tの主搬送方向(矢印X)下流において、2つの搬送路110a、110bの間に配置される中間ベルト130とから構成される。
【0005】
搬送路110a、110bは、略水平に設置され、中心に配置される還元用搬送路120を挟んで対称形をなしている。一方の搬送路110aは、錠剤Tを主搬送方向(矢印X)に搬送する搬送ベルト111a、該搬送ベルトにより主搬送方向に向かって搬送される錠剤一個分の幅にまで狭めるように搬送ベルト111aの錠剤搬送面を斜めに遮る側壁112aが形成されているガイド部材113a及び高さを規制する2つの頂壁114a、115aを含んでいる。2つの頂壁114a、115aは、搬送ベルト111aの錠剤搬送面から所定の間隔(搬送される錠剤Tの厚さより若干大きい長さ)をおいて位置するように、側壁112aを構成するガイド部材113a上に設置されている略三角形状の板部材であり、立っている錠剤や、重なっている錠剤を、搬送ベルト111aの錠剤搬送面から排除しつつ、錠剤の姿勢を横に(すなわち安定した姿勢に)させるための高さ規制部材である。
【0006】
他方の搬送路110bは、搬送路110aと対称をなしており、実質上搬送路110aと同じ構成を備えている。
【0007】
還元用搬送路120は、還元用搬送路120は、上記した通り、2つの搬送路110a、110bの間に配置されており、搬送ベルト111a、111bから漏れた錠剤を搬送装置100上流に戻し、再度2つの搬送路110a、110bに載せて搬送させるためのものであり、したがって、錠剤の搬送方向(副搬送方向)は、主搬送方向(矢印X)と逆向である。還元用搬送路120は、該還元用搬送路120の錠剤副搬送方向(矢印Xと逆の方向)に向かって高くなるように傾斜している。すなわち、還元用搬送路120の錠剤搬送方向上流端は、中間ベルト130の下に位置し、下流端は、ホッパー(不図示)と錠剤整列搬送装置100をつなぐ搬送装置(F)の上に位置する。
【0008】
中間ベルト130は、その搬送面が2つの搬送路110a、110bを構成する搬送ベルト111a、111bの搬送面と面一となるように、搬送ベルト111a、111b間に配置される。中間ベルト130は、搬送ベルト111a、111bとの間にそれぞれ微少な隙間131a、131bを形成し、該隙間131a、131bの上を錠剤が一列になって搬送され、後段の錠剤検査処理装置Cへ受け渡される。このとき、該隙間131a、131bを介して錠剤は、真空吸引され、それにより安定した状態で搬送される。
【0009】
搬送装置Fから適宜振り分けられて供給された錠剤Tは、2つの搬送路110a、110bをそれぞれ構成する搬送ベルト111a又は111bに載って、矢印X方向に搬送される。錠剤Tは、側壁112a、112bに当たり、中央、すなわち還元用搬送路120、に向かって寄せられながら下流に搬送される。2つの搬送路110a、110bをそれぞれ構成する高さを規制する頂壁114a、114bにより、立っていたり重なっていたりする錠剤は、横にされあるいは還元用搬送路120に排除される。その後、錠剤Tは、搬送ベルト111a、111bのそれぞれの搬送面がそれぞれの側壁112a、112bにより錠剤一個分の幅にまで狭められるので、側壁112a、112bに沿って搬送されてきた錠剤のみが一列となって中間ベルト130とともに下流に搬送され、その余は、還元用搬送路120に排出され、搬送装置Fに戻される。
【0010】
【特許文献1】特開平8−258959号公報
【特許文献2】特開2003−128233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図4に示される従来例においては、後段の錠剤検査処理装置Cへ受け渡すために、錠剤の姿勢を安定化すべく、搬送ベルト111a、111bと中間ベルト130との間の隙間131a、131bを利用して真空吸引しながら錠剤を一列状態で搬送している。このような構成を備えることにより、この供給整列搬送装置は、錠剤等の小物物品の高速搬送が可能である。
【0012】
しかしながら、例えば、搬送される小物物品としての錠剤の大きさが小さくなると、搬送ベルト111a、111bと中間ベルト130との間の隙間131a、131bを変えずにそのままこの小さい錠剤の搬送に使用すると、錠剤Tが隙間131a、131bに対して振れ易く、場合によっては錠剤Tが傾いたり、立ったりし、姿勢の安定化が図れなくなる恐れが生ずる。結果として、後段の錠剤検査処理装置Cへの受け渡しが円滑に行なわれない状態が生ずる。あるいは、仮に錠剤Tを受け渡せたとしても、錠剤Tの姿勢が悪く、検査処理ができない恐れが生ずる。
【0013】
また、搬送ベルト111a、111bと中間ベルト130との間の隙間131a、131bを変えるとすると、検査される錠剤Tの種類に応じた数の分だけ搬送ベルト111a、111bや中間ベルト130を用意する必要があるとともに、その取替えや調整に時間を要する。
【0014】
また、振動を利用した供給整列搬送装置(不図示)では、高速化が難しいとともに、搬送される小物物品に振動が残り、後段の錠剤検査処理装置Cでの検査に支障をきたす恐れがある。
【0015】
本発明は、上述のような問題点に鑑み、簡単な構造で、錠剤等の小物物品を安定した姿勢で後段の錠剤検査装置に受け渡すことのできる、高速搬送が可能な、小物物品の供給整列搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明に係る小物物品の供給整列搬送装置は、小物物品を整列搬送する整列用搬送路であって、前記小物物品を載せて搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルト上に配置され、小物物品を案内するガイド側面を有するガイド部材と、前記搬送ベルト上を搬送される小物物品が安定した姿勢でのみ通過できるように、前記搬送ベルトとの間で高さを規制する高さ規制ゲートと、前記搬送ベルト上を搬送される小物物品が安定した姿勢で且つ一つのみ通過できるように、前記ガイド部材のガイド側面との間で幅を規制する側面を有する幅規制ガイドとを含む整列用搬送路と、前記整列用搬送路に隣接し、前記整列用搬送路から排除された小物物品を該整列用搬送路上流に戻す還元用搬送路とを備えることを特徴とする。
【0017】
また、前記ガイド部材のガイド側面は、前記整列用搬送路を狭めるように該整列用搬送路上を前記還元用搬送路に向かって斜めに横切り、その後、該還元用搬送路側に向かって凸状に湾曲し、前記高さ規制ゲート及び前記幅規制ガイドは、前記ガイド部材のガイド側面の凸状湾曲部近傍から下流に配置されることが好ましく、さらに、前記幅規制ガイドは、小物物品搬送方向上流先端に振分ピンを備え、該振分ピンは、前記整列用搬送路から還元用搬送路側に外れた位置であって、前記前記ガイド部材のガイド側面の凸状湾曲部の頂点から下流に配置されることが好ましい。
【0018】
また、前記整列用搬送路は、さらに、前記幅規制ガイドの下流に小物物品搬送方向に平行に設けられ、前記ガイド部材のガイド側面と前記幅規制ガイドの側面との間の幅と同じ幅を有する2つのサイドガイドにより画成され、前記ガイド部材のガイド側面と前記幅規制ガイドの側面との間を通過してきた小物物品は、続いて該2つのサイドガイド間を搬送されることが好ましい。
【0019】
また、還元用搬送路にまで延在する傾斜面を有し、前記搬送ベルトとの間で高さを規制する高さ規制ゲートが、整列用搬送路の上流にさらに設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る小物物品の供給整列搬送装置は、以上のような構成を備えることにより、従来例のように中間ベルトや吸引装置などを必要としないので、構造が簡単であり且つ製造コストも安価となる。また、本発明に係る小物物品の供給整列搬送装置は、小物物品を安定した姿勢で後段の装置に受け渡すことができるとともに、小物物品を搬送路に詰まらせることなく高速に搬送することができ、信頼性の高い本発明に係る小物物品の供給整列搬送装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施例に付き図1ないし3を用いて説明する。なお、本実施例における小物物品の供給整列搬送装置は、概ね扁平の錠剤を搬送する装置として説明される。
【0022】
図1は、本発明に係る実施例としての小物物品の供給整列搬送装置の概略平面図であり、図2は、図1の供給整列搬送装置の概略立面図である。また、図3は、小物物品を一列に整列させる第2ゲート部を示し、(a)は、該第2ゲート部の拡大概略平面図であり、(b)は、(a)に示す第2ゲート部の一部拡大概略平面図である。
【0023】
錠剤Tを搬送する供給整列搬送装置10は、概略、第1の整列用搬送路10a、第2の搬送路10b、該2つの搬送路10a、10bの間に配置される還元用搬送路30とから構成される。
【0024】
2つの搬送路10a、10bは、従来例と同様に、略水平に設置され、中心に配置される傾斜した還元用搬送路30を挟んで対称形をなしている。
【0025】
第1の整列用搬送路(図1において、還元用搬送路30の下側に位置する搬送路)10aは、錠剤Tを主搬送方向(矢印X)に搬送する搬送ベルト11a、錠剤Tを案内するガイド側面12aが形成されているガイド部材13a、第1のゲート部14a及び第2のゲート部20aを含んでいる。
【0026】
搬送ベルト11aは、エンドレスのコンベアであり、錠剤Tの搬送面が搬送装置Fから後段の錠剤検査処理装置Cにまで延在するように2つのプーリー間に渡され、駆動される(図2参照)。
【0027】
ガイド部材13aは、搬送ベルト11aの直上に配置され、上述したように錠剤Tを案内するガイド側面12aを有する。このガイド側面12aは、錠剤Tの主搬送方向上流側の錠剤受け入れ部では、第1の整列用搬送路10aを搬送ベルト11aの幅に略等しく画定しているが、下流に向かって、搬送ベルト11aを斜めに遮って横断するように形成されている。すなわち、ガイド部材13aのガイド側面12aは、下流に行くにしたがい、錠剤Tを還元用搬送路30側に寄せ、結果として、漸次錠剤Tの第1の整列用搬送路10aの幅を狭めるように、該第1の整列用搬送路10aを画定している。ガイド側面12aは、さらに、図3(a)、(b)に詳細に示されるように、後述する第2ゲート部20aの入口近傍において第1の整列用搬送路10aの幅が最も狭くなり、搬送される錠剤の直径に略等しい幅にまでなるように第1の整列用搬送路10aを画定する。続いて、ガイド側面12aは、再び第1の整列用搬送路10aの幅を幾分広げるように、図3(a)、(b)において、第1の整列用搬送路10aの幅が最も狭くなった位置(点121a)を頂点として山形に(上に凸に)湾曲し、最終的には主搬送方向(矢印X)に平行になるように形成され、後述する第2ゲート20aの幅規制ガイド23aとともに、搬送される錠剤T1個分の幅、すなわち搬送される錠剤Tの直径に略等しい幅、となるように第1の整列用搬送路10aを画定する。また、ガイド部材13aは、本実施例に示されるように、水平方向であって、且つ主搬送方向(矢印X)に対して直交する方向に移動可能に構成し、位置調整ツマミ16aにより、ガイド部材13aを、したがってガイド側面12aを移動させ、搬送される錠剤Tの大きさに対応して第1の整列用搬送路10aが最も狭くなる幅を調整できるように構成されることが好ましい。なお、符号17a、17aは、ガイド部材13aを基台に固定するためのクランパである。
【0028】
第1ゲート部14aは、第1の整列用搬送路10aの略中間に、該第1の整列用搬送路10aを構成するガイド側面12aに沿って設けられている。第1ゲート部14aは、搬送されてくる錠剤Tに対応して高さを規制する第1の高さ規制ゲート15aから構成される。この第1の高さ規制ゲート15aは、その底面が第1の整列用搬送路10aの搬送面より所定の距離、例えば、錠剤の高さより若干長い距離だけ離れ、該搬送面に対して平行になるように、ガイド部材13aに取り付けられている。また、第1の高さ規制ゲート15aには、第1の整列用搬送路10aを斜めに横切るように還元用搬送路30にまで延在する側面151aが、高さ規制ゲート15aの底面に対して垂直に形成されている。第1の高さ規制ゲート15aを備える第1ゲート部材14aが第1の整列用搬送路10aの略中間に設けられていることにより、搬送されてくる錠剤Tのうち、立っていたり、重なっていたりする錠剤は、ゲート15aの側面151aにより横に倒されたり、重なりを解かれたり、言い換えれば、姿勢を安定した状態にさせられる。あるいは、該側面151aに沿って第1の整列用搬送路10aから還元用搬送路30に向けて排除される。なお、第1の高さ規制ゲート15aは、高さ調整用ツマミ19aにより、その高さ(第1の整列用搬送路10の搬送面からの距離)を調整できるようにされていることが好ましい。
【0029】
第2ゲート部20aは、第1の整列用搬送路10aの下流に、該第1の整列用搬送路10aを構成するガイド側面12aに沿って、且つ該ガイド側面12aが点121aを頂点として山形状に湾曲する部分の近傍に設けられる。第2ゲート部20aは、図3(a)に示されるように、第2の高さ規制ゲート21a、幅規制ガイド23a、第1サイドガイド26a及び第2サイドガイド27aから構成されている。
【0030】
第2の高さ規制ゲート21aは、第1の整列用搬送路10aを斜めに横切るように還元用搬送路30にまで延在し、第2の高さ規制ゲート21aの底面に対して垂直に形成されている側面211aを含むヘッド部212a、及び幅規制ガイド23aとガイド部材13aとで形成される第1の整列用搬送路10aの上を覆うように配置されるカバー部213aから構成されている。第2の高さ規制ゲート21aは、第2ゲート部20aの最上流に、具体的には、図3(b)に詳細に示されているように、第1搬送路10aの幅が最も狭くなっている位置(点121a)から若干上流の位置から2つのサイドガイド26a、27aが設けられている位置まで、ガイド部材13aのガイド側面12aに沿うように、また、上記第1の高さ規制ゲート15aと同様に、その底面が第1の整列用搬送路10aの搬送面より所定の距離、例えば、錠剤の高さより若干長い距離だけ離れ、該搬送面に対して平行になるように、ガイド部材13aに取り付けられる。第2の高さ規制ゲート21aは、依然として不安定な姿勢にある錠剤Tを、還元用搬送路30に排除する。なお、第2の高さ規制ゲート21aも、高さ調整用ツマミ22a(図1参照)により、その高さを調整できるようにされていることが好ましい。
【0031】
幅規制ガイド23aは、上流側先端部に、例えばフッ素樹脂のような表面抵抗の少ない材料からなるチューブが巻かれている振分ピン24aを備えている。幅規制ガイド23aは、上流先端部の振分ピン24aが第2の高さ規制ゲート21aのヘッド部212aの下流であって、且つ点121aの下流に位置し、さらに第1の整列用搬送路10aすなわち搬送ベルト11aの外側(図3(a)、(b)において、還元用搬送路30側)に位置するように配置されるとともに、その内側側面231aがガイド部材13aのガイド側面12aに対して所定の距離、例えば、錠剤Tの直径より若干長い距離だけ離れ、該ガイド面12aに対して平行になるように配置される。結果として、幅規制ガイド23aの内側側面231aとガイド部材13aのガイド側面12aとで錠剤Tの直径分の幅を有する第1の整列用搬送路10a、すなわち、錠剤Tを一列に整列させて搬送させる搬送路が形成される。なお、幅規制ガイド23aも、幅調整用ツマミ25a(図1参照)により、その幅を調整できるようにされていることが好ましい。
【0032】
第1サイドガイド26a、第2サイドガイド27aは、幅規制ガイド23aの内側側面231aとガイド部材13aのガイド側面12aとで画成される搬送路から送られてくる錠剤Tを後段の錠剤検査処理装置Cへ受け渡すための構成要素である。したがって、第1サイドガイド26aと第2サイドガイド27aとは、錠剤Tの直径より若干長い距離だけ離れ、かつ互いに対して平行になるように配置されて、第1の整列用搬送路10aを画成するように、ガイド部材13aに取り付けられる。この第1サイドガイド26aと第2サイドガイド27aとで画成される搬送路は、錠剤Tの主搬送方向(矢印X)にも平行に形成される。また、図3(a)に示されるように、この第1サイドガイド26aと第2サイドガイド27aとで画成される搬送路は、後段の錠剤検査処理装置Cへ受け渡すべく第2の高さ規制ガイド21aには覆われていない。なお、第1サイドガイド26aと第2サイドガイド27aも、その幅を調整できるようにされていることが好ましい。
【0033】
ここで、第2ゲート部材20aにおいて、錠剤Tが安定した姿勢で一列に整列される作用について図3(b)を用いて詳細に説明する。
【0034】
上述したように、ガイド部材13aのガイド側面12aは、図3(b)に示されるように、点121aを頂点として還元用搬送路30に向けて山形形状をしている。したがって、ガイド側面12は、頂点121aより下流においては、外側に向けて(図において下方に向けて)傾斜している。また、該頂点121aは、幅規制ガイド23aの振分ピン24aの上流に配置されている。さらに、幅規制ガイド23aの内側側面231aは、外側に向けて傾斜するガイド側面12aに略平行に配置されている。
【0035】
第1の整列用搬送路10a、より具体的には、搬送ベルト11aの搬送面、に載って搬送されてきた錠剤Tは、安定した姿勢(本実施例では、横になった状態)をとる錠剤のみが搬送ベルト11aの搬送面と第2の高さ規制ガイド21aとの間に入り込む。さらに搬送される錠剤Tは、ガイド側面12aの頂点121aを越えると、振り分けピン24aの存在により、ガイド面12aと規制ガイド23の内側側面231aとで画成される第1の整列用搬送路10aへと進むものと、還元用搬送路30へ排除されるものとに振り分けられる。
【0036】
ガイド側面12aに沿って搬送されてくる錠剤Tは、若干の慣性力が働き、振分ピン24aに当たったとしても、その瞬間において錠剤Tの中心が振分ピン24aの中心を通りガイド側面12の外側に向く傾斜面に対して45度をなす線分Pよりガイド側面12a側に位置するので、ガイド側面12aに沿って後から搬送されてくる錠剤Tにより挟まれるようになっても、該ガイド側面12a側に錠剤T側に逃げることができ、したがって、これらの錠剤Tは、詰まることなくガイド側面12aと規制ガイド23の内側側面231aとで画成される第1の整列用搬送路10aを幅規制ガイド23aの内側側面231aに沿って搬送される。
【0037】
しかしながら、ガイド側面12aから離れて搬送されてくる錠剤Tは、第1の整列用搬送路10aがガイド側面12aにより略錠剤Tの直径にまで幅を狭められているので、ガイド側面12aに沿って搬送されてくる錠剤Tの存在により第1の整列用搬送路10aから還元用搬送路30に押し出され、あるいは、振分ピン24aに当たって、還元用搬送路30側に排除される。
【0038】
このようにして、振分部材24aを通過し、ガイド側面12aと規制ガイド23の内側側面231aとで画成される第1の整列用搬送路10aに搬送されてきた錠剤Tは、一列に整列され、第1サイドガイド26aと第2サイドガイド27aとで画成される第1の整列用搬送路10aへ送られる。
【0039】
第2の整列用搬送路(図1において、還元用搬送路30の上側に位置する搬送路)10bは、上記第1の整列用搬送路10aと対をなしており、実質的に同じ構造をしているので説明は省略する(各構成要素は、第1の整列用搬送路の構成要素と同じ数字にアルファベットのaに代えてbを付している)。
【0040】
還元用搬送路30は、図1に示されるように、対称形状を有する第1の整列用搬送路10aと第2の整列用搬送路10bとの間に配置され、第1、第2の整列用搬送路10a、10bから排除される錠剤Tを、供給整列搬送装置10の上流に配置される搬送装置Fに戻し、再度第1の整列用搬送路10a又は第2の整列用搬送路10bを通過させ、整列させるためのものである。
【0041】
還元用搬送路30は、搬送ベルト31及び該ベルト31に所定の間隔をおいて配置される滑り止め31を含んでいる。還元用搬送路30は、また、図2に示されるように、錠剤Tの主搬送方向(矢印X)に対し上流側に向かって上昇するように傾斜しており、上流側は、整列用搬送路10a、10bの上方であって、搬送装置Fの上にまで延在し、下流側は、整列用搬送路10a、10bの下方であって、第2ゲート部20a、20bを過ぎる位置にまで延在するように配置される。したがって、還元用搬送路30が整列用搬送路10a、10bより上に位置する部分では、整列用搬送路10a、10bから還元用搬送路30の下に錠剤Tが落ちないように、また、還元用搬送路30が整列用搬送路10a、10bより下に位置する部分では、整列用搬送路10a、10bから還元用搬送路30の上に錠剤Tが落ちるに、ガイド壁(図1の33a、33bなど参照)が設けられる必要があることは言うまでもない。
【0042】
次に、本実施例の供給整列搬送装置における錠剤Tの搬送動作を説明する。
ホッパなどから定量的に放出される錠剤Tは、搬送装置Fで振動を与えられ、搬送装置F下流に設けられるフィンF1a、F1bにより適宜振り分けられ、本実施例の供給整列搬送装置10の整列用搬送路10a、10bに送られてくる。この時、フィンF1a、F1bにより、錠剤Tは、整列用搬送路10a、10bのそれぞれのガイド側面12a、12bに向けられるように案内される。搬送路10a、10bを搬送される錠剤Tは、第1ゲート部14a、14bで安定した姿勢の錠剤のみ通過するように取捨選択され、第2ゲート部20a、20bで、安定した姿勢で且つ一個の錠剤のみが取捨選択され、結果として一列に整列される。第2ゲート部20a、20bの第1サイドガイド26a、26bと第2サイドガイド27a27bとでそれぞれ画成される搬送路10a、10bに到達した錠剤Tは、供給整列装置10全体としては二列に整列されて後段の錠剤検査処理装置Cに受け渡される。
【0043】
以上、本発明に係る小物物品の供給整列搬送装置の実施例として、錠剤の供給整列搬送装置につき説明したが、本発明は、これに限られないことは言うまでもない。また、本実施例の小物物品の供給整列搬送装置では、2つの整列用搬送路と1つの還元用搬送路を備えているが、1つの整列用搬送路と1つの還元用搬送路とを備えたものであってもよいし、その他の組み合わせであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る実施例としての小物物品の供給整列搬送装置の概略平面図である。
【図2】図1の供給整列搬送装置の概略立面図である。
【図3】小物物品を一列に整列させる第2ゲート部を示し、(a)は、該第2ゲート部の拡大概略平面図であり、(b)は、(a)に示す第2ゲート部のさらに拡大した一部概略平面図である。
【図4】従来の錠剤供給整列搬送装置の概略平面図である。
【符号の説明】
【0045】
10 供給整列搬送装置
10a 第1の整列用搬送路
10b 第2の整列用搬送路
11a、11b 搬送ベルト
13a、13b ガイド部材
14a、14b 第1ゲート部
15a、15b 第1の高さ規制ゲート
20a、20b 第2ゲート部
21a、21b 第2の高さ規制ゲート
23a、23b 幅規制ガイド
C 錠剤検査処理装置
F 上流搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小物物品を整列搬送する整列用搬送路であって、前記小物物品を載せて搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルト上に配置され、小物物品を案内するガイド側面を有するガイド部材と、前記搬送ベルト上を搬送される小物物品が安定した姿勢でのみ通過できるように、前記搬送ベルトとの間で高さを規制する高さ規制ゲートと、前記搬送ベルト上を搬送される小物物品が安定した姿勢で且つ一つのみ通過できるように、前記ガイド部材のガイド側面との間で幅を規制する側面を有する幅規制ガイドと、を含む整列用搬送路と、
前記整列用搬送路に隣接し、前記整列用搬送路から排除された小物物品を該整列用搬送路上流に戻す還元用搬送路と、
を備えることを特徴とする小物物品の供給整列搬送装置。
【請求項2】
前記ガイド部材のガイド側面は、前記整列用搬送路を狭めるように該整列用搬送路上を前記還元用搬送路に向かって斜めに横切り、その後、該還元用搬送路側に向かって凸状に湾曲し、
前記高さ規制ゲート及び前記幅規制ガイドは、前記ガイド部材のガイド側面の凸状湾曲部近傍から下流に配置されることを特徴とする請求項1に記載の小物物品の供給整列搬送装置。
【請求項3】
前記幅規制ガイドは、小物物品搬送方向上流先端に振分ピンを備え、
該振分ピンは、前記整列用搬送路から還元用搬送路側に外れた位置であって、前記前記ガイド部材のガイド側面の凸状湾曲部の頂点から下流に配置されることを特徴とする請求項2に記載の小物物品の供給整列搬送装置。
【請求項4】
前記整列用搬送路は、さらに、前記幅規制ガイドの下流に小物物品搬送方向に平行に設けられ、前記ガイド部材のガイド側面と前記幅規制ガイドの側面との間の幅と同じ幅を有する2つのサイドガイドにより画成され、前記ガイド部材のガイド側面と前記幅規制ガイドの側面との間を通過してきた小物物品は、続いて該2つのサイドガイド間を搬送されることを特徴とする請求項2又は3に記載の小物物品の供給整列搬送装置。
【請求項5】
還元用搬送路にまで延在する傾斜面を有し、前記搬送ベルトとの間で高さを規制する高さ規制ゲートが、整列用搬送路の上流にさらに設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の小物物品の供給整列搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−131355(P2006−131355A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−322727(P2004−322727)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(000209751)池上通信機株式会社 (123)
【Fターム(参考)】