説明

少なくとも一本の永久折り目を備えるように作られた布地と該折り目を備えるために使用する方法

少なくとも一本の収縮糸が織り込まれている、少なくとも一本の永久折り目を備えるように作られた布地であって、
前記一本または複数の収縮糸が、折り目形成領域を横断する方向に織り込まれている、
ことを特徴とする布地である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布地に関する。
【0002】
より詳しくは、本発明は少なくとも一本の永久折り目を備えた布地に関する。
【背景技術】
【0003】
場合によっては、布地が一本または複数の折り目を備えることが望ましいかまたは必要である。たとえば、ある場合には、ジグザグに折られた布地が必要である。
【0004】
ベルギー国特許出願BE 2002/0267号明細書には、少なくとも一本の永久折り目を備えるように作られた布地が開示されている。この場合、たて糸で束縛されたよこ糸から成る布地が基材としてとられ、折り目が作られる折り目形成領域において、折り目形成糸が、たて糸をジグザグに配置する技術を使用して、収縮糸を用いてたて糸の方向に織り込まれる。
【0005】
この布地に作られる折り目は質の高いものであるが、折り目形成糸を織り込むこの方法は時間がかかり、かつ難しいので、製造費が比較的に大きくなる。
【0006】
さらに、実施においては、たて糸をジグザグに配置する技法により収縮糸を織り込むときに発生する欠陥は見つけ出すのが難しく、したがって通常は補整されない、ということがわかっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、前記その他の欠点を排除する解決策による布地を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的に対応して、本発明は、
少なくとも一本の収縮糸が織り込まれている、少なくとも一本の永久折り目を備えるように作られた布地であって、前記一本または複数の収縮糸が、折り目形成領域を横断する方向に織り込まれていることを特徴とする布地、
に関する。
【0009】
好ましくは、前記折り目形成領域において、収縮糸は、前記折り目形成領域の外部におけるよりも、布地の片側で大きな距離にわたって延びている。
【0010】
本発明による布地の利点は、収縮糸を簡単かつ迅速なやり方で織り込むことができ、したがって製造速度を速くし、製造費を低下させることができる、ということである。
【0011】
この布地のもう一つの利点は、収縮糸が折り目形成領域をまっすぐ延びているので、折り目形成の前に、不整に織り込まれた収縮糸を簡単に見つけることができる、ということである。
【0012】
本発明は、少なくとも一本の永久折り目を備えた布地を製造する方法にも関する。
【0013】
この方法は、布地に、少なくとも折り目を作るべき場所において、一本または複数の収縮糸が少なくとも前記折り目形成領域で収縮するようにする処理が加えられることを特徴とする方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の特徴をさらに十分に説明するために、本発明による布地と、少なくとも一本の永久折り目を備えた布地を作る方法との好ましい実施形態について、添付の図面を参照しつつ、説明する。これらは単なる例であり、本発明を限定するものではない。
【0015】
図1および2には、本発明による布地1の部分を示す。この場合、布地1は、たて糸3によって束縛されたよこ糸2によって織られているが、収縮糸4が、よこ糸方向に一定の間隔で並んでおり、これらの収縮糸は、折り目形成領域5においては、布地1の他の部分におけるパターンとは異なるパターンにしたがって織り込まれている。ここでは、折り目形成領域5はたて糸の方向に延びている。
【0016】
この織り込みパターンの違いは、折り目形成領域5において、収縮糸4が、布地1の他の部分におけるよりも、大きな距離にわたって布地1の片側すなわちたて糸3の片側を延びている、という点にある。
【0017】
図1に示す例の場合、折り目形成領域5は、三本のたて糸3にわたって広がっており、収縮糸4は、折り目形成領域5において、これらの三本のたて糸3の片側を延びているが、この折り目形成領域5の外部では、収縮糸4は他のよこ糸2と同じ通常のやり方で、たて糸3の上下を交互に通るように織られている。
【0018】
ここで、‘糸’という言葉は、広い意味に解釈すべきである。すなわち、‘糸’は、スレッド、モノフィラメント、ヤーン、またはこれらの複合物を意味する。
【0019】
ヤーンは、テクスチャード加工するかまたはより合わせていない紡績糸またはフィラメント糸、さらには弾性糸とすることができる。
【0020】
糸は、天然材料および合成材料またはこれらの複合体から成ることができ、また場合によってはコーティングすることができる。
【0021】
よこ糸2およびたて糸3は、異なる材料で作られたものとすることができる。
【0022】
収縮糸4は、熱的、機械的/熱的、超音波、高周波、その他の適当な処理によって、永久長さ方向収縮、好ましくは5%以上の収縮を起こす材料で作られる。より正確には、収縮糸4が作られる材料は、適当な処理によって、この収縮糸4に平行な方向に織られる他の糸2、3を作る材料よりも5%以上大きく収縮するものである。ここで、この収縮率は糸2~4が織られていない状態で評価することができる。
【0023】
これらの収縮糸4は、好ましくは紡績糸(spun of yarn)であり、これは、一部または全部が、一つ以上の合成繊維、一つ以上の合成フィラメントから成る連続フィラメント糸、一つ以上の合成基材から成るモノフィラメント、または弾性糸もしくは弾性フィラメントから成る。
【0024】
一例として、布地1は、ポリエチレンよこ糸2で織ることができる。このよこ糸は、熱処理により、長さが約5~7%収縮する。この場合、前記熱処理により約30~35%だけ長さが収縮する別のポリエチレン材料の紡績糸(spun)から成る収縮糸4を使用して、これを前記よこ糸2に平行な方向に織り込むことができる。
【0025】
永久折り目6を作るために、布地1に、収縮糸4を少なくとも必要な折り目形成領域5で収縮させるための前記処理を加える。
【0026】
明らかに、収縮糸4のこの収縮の結果、前記折り目形成領域5の両側の、折り目形成領域5に隣接するたて糸3が、図3に示すように、互いに引き寄せられて、よこ糸2が折り曲げられる。
【0027】
この収縮は不可逆的であり、したがって永久折り目6が得られる。
【0028】
明らかに、よこ糸2が布地1のどちらの側に折り曲げられるかは、収縮糸4が折り目形成領域5のどちらの側に沿って延びているかによって決定される。
【0029】
図4および5は、本発明の前記方法によって得られる布地1を示す。これは、布地1から出発して、収縮糸4が交互に折り目形成領域5の異なる側を通るようにすることによって得られる。
【0030】
これは、連続する折り目6の基底部にある布地1の収縮糸4が、布地1の折り目形成領域5の片側したがってたて糸3の片側では交互に束縛されずに延びているということを意味する。
【0031】
収縮の程度と距離B、すなわち収縮糸4が束縛されずにたて糸3の片側を延びているために重なるたて糸3の数により、折り目6の開きが決定される。すなわち、折り目形成領域5の片側でたて糸3がどの程度強く引き寄せられ、したがって隣接する、折り目形成領域間の部分がなす角Aの大きさが、自由な場合にどの程度であるが決定される。
【0032】
当然のことながら、折り目6は、連続する折り目形成領域5間の布地1の部分がくっついて前記角Aが実質的にゼロになるように、押し付けることができる。
【0033】
図6は、本発明による布地1の部分の変形を示す。この場合、たて糸3は、折り目形成領域5において互いに離して織られ、その結果、この折り目形成領域5における収縮糸4が、自動的に、布地1の片側で、一つまたは複数の折り目形成領域5の外部の布地1の任意の部分におけるよりも、大きな距離Bにわたって延びることになる。
【0034】
このやり方により、この場合にも、収縮糸4を収縮させる処理を加えることによって、永久折り目6を備えた布地1が得られる。
【0035】
前記実施形態のすべてにおいて、寸法の安定した折り目6を備えた布地1が得られ、この折り目は、この場合、たて糸の方向に形成され、これらの折り目6は柔軟に開いているようにすることができる。
【0036】
布地1は、よこ糸2とたて糸3とについて任意の織り方をした任意の織物(fabric)たとえばガーゼその他とすることができる。
【0037】
布地1は必ずしも織物である必要はない。編み物とすることもでき、あるいは不織布(non-woven)とすることもできる。後者の場合、収縮糸4は不織布が作られたあとに備えつけなければならない。
【0038】
折り目6を備えた布地1は、防虫網、日よけ幕、カーテン、梱包材料、買い物袋、アタッシュケースもしくはその部分、スーツケースの裏張り、ろ過布、または、一つ以上の永久折り目6を備えた織物材料から成る事実上すべての物品とすることができる。
【0039】
明らかに、本発明による別の実施形態においては、必要ならば、収縮糸4をたて糸の方向に織ることができ、このとき、折り目形成領域5はよこ糸の方向に延びる。
【0040】
本発明は、添付の図面に示し、上で説明した実施形態のみに限定されるものではない。逆に、少なくとも一本の永久折り目を備えた前記布地とそれを作る前記方法とは、本発明の範囲を逸脱することのない、すべての種類の変形によって実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による布地の部分を示す図である。
【図2】図1の線II−IIに沿う断面を拡大して示す図である。
【図3】本発明の方法によって永久折り目が形成されたあとの、図2と同じ部分を示す図である。
【図4】本発明の方法によって作られた折り目を備えた布地の模式斜視図である。
【図5】図4の線V−Vに沿う断面図である。
【図6】図1に示すものの変形を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1 布地
2 よこ糸
3 たて糸
4 収縮糸
5 折り目形成領域
6 永久折り目
A 折り目形成領域間の部分がなす角
B 折り目形成領域におけるたて糸間の距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一本の収縮糸(4)が織り込まれている、少なくとも一本の永久折り目を備えるように作られた布地(1)であって、
前記一本または複数の収縮糸(4)が、折り目形成領域(5)を横断する方向に織り込まれている、
ことを特徴とする布地。
【請求項2】
一本または複数の収縮糸(4)がよこ糸の方向に織り込まれていることを特徴とする請求項1に記載の布地。
【請求項3】
一本または複数の収縮糸(4)がたて糸の方向に織り込まれていることを特徴とする請求項1に記載の布地。
【請求項4】
複数の収縮糸(4)が折り目形成領域(5)上を互いにある距離だけ離れて延びていることを特徴とする請求項1に記載の布地。
【請求項5】
折り目形成領域(5)において、収縮糸(4)が、一つまたは複数の折り目形成領域(5)の外部の布地(1)の他の部分におけるよりも布地(1)の片側で大きな距離(B)にわたって延びていることを特徴とする請求項1に記載の布地。
【請求項6】
収縮糸(4)が布地(1)の片面において延びている大きな距離(B)が、収縮糸(4)が折り目形成領域(5)において連続する数本の糸上を横断して束縛されずに延びていることによって生じることを特徴とする請求項5に記載の布地。
【請求項7】
収縮糸(4)が布地(1)の片側において延びている大きな距離(B)が、折り目形成領域(5)の長さ方向に延びる糸が折り目形成領域(5)に平行に延びる布地の他の領域の糸よりも互いに大きく離して織ってあることによって生じることを特徴とする請求項5に記載の布地。
【請求項8】
収縮糸(4)が、適当な処理の使用によって、前記収縮糸(4)に平行な方向に織られている残りの糸(2、3)を作っている材料よりも少なくとも5%だけ大きく収縮するようにされた材料から作られていることを特徴とする請求項1に記載の布地。
【請求項9】
請求項1から8の中のいずれか1つに記載の布地(1)に少なくとも一本の永久折り目(6)を備えるための方法であって、
布地(1)に、少なくとも一本の折り目(6)が作られるべき場所において、一本または複数の収縮糸(4)が少なくとも前記折り目形成領域(5)で収縮するようにする処理が加えられる、
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
布地(1)全体に、一本または複数の収縮糸(4)が収縮するようにする処理が加えられることを特徴とする請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−525434(P2006−525434A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504044(P2006−504044)
【出願日】平成16年5月7日(2004.5.7)
【国際出願番号】PCT/BE2004/000066
【国際公開番号】WO2004/099478
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(505412487)
【Fターム(参考)】