説明

少なくとも1つのカレンダローラを備えた、連続的に製作された品物をカレンダリングするための装置

少なくとも1つのカレンダローラ(1,2)を備えた、連続的に製作された品物をカレンダリングするための装置であって、カレンダローラ(1,2)が、少なくとも1つの駆動装置(3)によって回転運動させられるようになっており、少なくとも1つのカレンダローラ(1,2)が温度調整可能であり、該カレンダローラ(1,2)の温度調整が、温度調整媒体によって行われる形式のものにおいて、特に簡単且つ廉価な構造に関して、温度調整媒体が中空軸回転ガイド(4)を通って、カレンダローラ(1,2)を駆動する駆動軸(3)にもたらされるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのカレンダローラを備えた、連続的に製作された品物をカレンダリングするための装置であって、カレンダローラが、少なくとも1つの駆動装置によって回転運動可能であり、少なくとも1つのカレンダローラが温度調整可能であり、カレンダローラの温度調整が温度調整媒体によって行われる形式のものに関する。
【0002】
エラストマ(ゴム混合物)又は熱可塑性プラスチックを、例えば成形又は非成形ウェブ又はシートのような扁平製品等の品物にカレンダリングするための装置は、実地では以前から公知である。この場合はしばしば押出カレンダ装置であり、この押出カレンダ装置によって、エラストマ又は熱可塑性プラスチックが加工される。エラストマから成形ウェブを製作するか、又は熱可塑性プラスチックからエンボスされたシートを製作しようとする場合は、しばしば前記のような装置が使用され、この場合、カレンダは所定の成形部を備えたローラを有している。このような装置は、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第2856096号明細書に記載されている。この公知の装置では、可塑性の材料が押出機によって可塑化され且つカレンダによって後加工される。この場合、このカレンダは可塑化された材料を加工するローラを有している。更に、ドイツ連邦共和国特許第4412882号明細書から公知のローラ交換装置は、高負荷状態でも極めて良好な製作誤差を保持するために、カレンダにおいて迅速なローラ交換を行うことを可能にする。
【0003】
従来技術から公知の別の構成では、カレンダのローラは、手間のかかるジョイントカップリングと中空軸特殊伝動装置とによって駆動される。この場合、ローラの温度調整は回転ガイドを介して、特殊伝動装置とジョイントカップリングとを通る二重管によって行われる。この構成も、既に上で述べた問題を有している。更に、温度調整媒体回路のシールに問題があり、この場合、駆動装置とカレンダローラとは、互いに極めて正確に位置調整されねばならない。
【0004】
本発明の課題は、冒頭で述べた形式のカレンダリング装置を改良して、簡単且つ廉価な構造が可能なカレンダリング装置を提供することである。
【0005】
この課題は本発明に基づき、請求項1の特徴部に記載の構成、即ち、温度調整媒体が中空軸回転ガイドを通って、カレンダローラを駆動する駆動軸にもたらされるようになっていることにより解決される。これに基づき、当該装置は、温度調整媒体が中空軸回転ガイドにより、カレンダローラを駆動する駆動軸内へもたらされるように構成及び改良されている。
【0006】
本発明ではまず、カレンダローラの確実且つ廉価な温度調整を達成するためには、従来の実地から離れて、温度調整媒体を駆動軸を介して中空軸回転ガイドを通してカレンダローラにもたらす必要があるだけでなく、温度調整媒体を中空軸回転ガイドを介して分配してカレンダローラにもたらすことが可能であるということが認識されていた。この場合の温度調整とは、ローラの加熱又は冷却であると理解される。温度調整媒体を中空軸回転ガイドを介してもたらすことにより、比較的高価な特殊伝動装置が必要になるということが回避される。
【0007】
特に廉価な構成に関して、駆動軸が中空軸及び/又は枢着軸として構成されていてよい。このことは、ローラの組込みを簡単にする。それというのも、シール性を保証するために、駆動装置とカレンダとを最早正確に位置調整せずに済むからである。
【0008】
特に簡単な構成に関して、中空軸回転ガイドに温度調整媒体分配部が設けられていてよい。このことは、駆動軸に温度調整媒体を特に簡単にもたらすことを可能にする。
【0009】
特に簡単な構造の枠内で、温度調整媒体の分配は、中空軸回転ガイドに設けられたリングギャップを介して行うことができる。付加的又は択一的に、中空軸回転ガイドにはカレンダローラの駆動軸に対する開口が設けられていてよい。これにより、例えばリングギャップ内に位置し且つ中空軸回転ガイドの周りを通流する温度調整媒体を、特に簡単に駆動軸内へもたらすことが可能である。
【0010】
この場合、駆動軸は、温度調整媒体をカレンダローラ内へ案内可能であるように構成されていてよい。特に簡単な構成の枠内で、温度調整媒体のカレンダローラへの導入は、少なくとも部分的に駆動軸内及び/又はカレンダローラ内に延在しており、有利には駆動軸及び/又はカレンダローラの回転軸線に対して同心的に配置された導管を介して行うことができる。この導管は種々様々に、つまり例えば駆動軸内で同心的にカレンダローラ内へ延びる導管として構成されていてよい。この駆動軸内の導管は、中空軸回転ガイドの開口に対して開口を有しているので、中空軸回転ガイドを通って駆動軸に導入される温度調整媒体を、当該導管によって収容することができる。
【0011】
駆動軸は、付加的又は択一的に、温度調整媒体をカレンダローラ内から案内可能であるように構成されていてよい。特に簡単な構成に関して、温度調整媒体のカレンダローラからの導出は、少なくとも部分的に駆動軸及び/又はカレンダローラの内部に延在し且つ有利には駆動軸及び/又はカレンダローラの回転軸線に対して同心的に配置された少なくとも1つの導管を介して行うことができる。特に有利な構成に関して、温度調整媒体の導出用の導管は、温度調整媒体の導入用の導管を巡るように、カレンダローラに組み込まれていてよい。即ちこの導管は二重導管として構成されていてよく、この二重導管の内側では温度調整媒体がローラに導入され且つ二重導管の外側部分では温度調整媒体がカレンダローラから導出される。
【0012】
温度調整媒体を交換するためには、又は温度調整媒体回路を形成できるようにするためには、中空軸回転ガイドが温度調整媒体の流出部に対する別の開口を有していてよい。これにより、カレンダローラから導出される温度調整媒体は、ローラ・導管・中空軸回転ガイドシステムを介して導出可能であり、例えば温度調整媒体を温度調整することのできる温度調整ユニットが設けられていてよい。この場合は、所望の温度を有する温度調整媒体がカレンダローラに供給されるので、温度調整回路が可能となっている。このためには、前記の温度調整媒体の流出部に対する別の開口が、駆動軸内の温度調整媒体と流体接続して設けられていてよい。
【0013】
更に、温度調整媒体を搬送するためのポンプが装置内に設けられていてよい。このポンプは市販のどんな構成を有していてもよい。
【0014】
特に廉価な構成に関して、カレンダローラは交換スリーブを備えて構成されていてよい。この場合、交換スリーブを交換する側に特に簡単に到達可能であることが特に有利である。それというのも、カレンダローラの温度調整はカレンダローラの駆動側を介して行われるので、スリーブを交換しようとする場合に、手間のかかる取付け作業及び/又は取外し作業が不要だからである。付加的又は択一的に、カレンダローラの温度調整は出力側から行うことができる。このことは、当該装置が交換スリーブカレンダであると、特に有利である。それというのも、この場合はスリーブが非駆動側で交換されるからである。この非駆動側における汎用の回転ガイドの使用は困難である。
【0015】
本発明の理論を有利に構成し且つ改良する手段は種々様々に存在する。
【0016】
以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【0017】
実施例で図示したカレンダリング装置は2つのカレンダローラ1,2を有しており、これらのカレンダローラ1,2は駆動装置3によって回転運動させられる。この場合、カレンダローラ1,2は温度調整可能に構成されており、この温度調整は所定の温度調整媒体によって行われる。
【0018】
本発明では、温度調整媒体が中空軸回転ガイド4を通って、カレンダローラ1を駆動する駆動軸5にもたらされる。有利には、この駆動軸5は枢着軸として構成されている。
【0019】
中空軸回転ガイド4内には、温度調整媒体を分配するための温度調整媒体分配部6が設けられており、この温度調整媒体分配部6は、本実施例ではリングギャップ6として構成されている。中空軸回転ガイド4は、カレンダローラ1の駆動軸5に対する開口7を有している。この開口7を介して、中空軸回転ガイド4のリングギャップ6を通流する温度調整媒体を中空軸回転ガイド4から導出することができる。
【0020】
この場合、駆動軸5は、温度調整媒体をカレンダローラ1の内部へ案内可能であるように構成されている。このことは、駆動軸5及びカレンダローラ1内に延在する導管8によって行われる。この導管8は、駆動軸5及びカレンダローラ1の回転軸線に対して同心的に延びている。この場合、駆動軸5は更に、温度調整媒体をカレンダローラ1の内部から導出可能であるように構成されている。
【0021】
温度調整媒体のカレンダローラ1からの導出は、導管9によって行われる。この導管9は、駆動軸5及びカレンダローラ1の内部に延在しており且つ駆動軸5及びカレンダローラ1の回転軸線に対して同心的に配置されている。この具体的な実施例では、導管8,9は2つのフルード経路を備えた1つの導管として、即ち二重導管として構成されているので、この二重導管の内側、即ち導管8内の温度調整媒体はカレンダローラ1に導入され、導管9は、内部に導管8が延在する中空導管として構成されているので、当該二重導管の外側部分の温度調整媒体は、カレンダローラ1から導出される。有利には、複数の半径方向孔の間の中間に配置されたブシュが設けられている。このブシュは、本実施例では二重導管の駆動軸側に配置されているが、異なって配置されていてもよい。
【0022】
中空軸回転ガイド4は更に別の開口10を有しており、この開口10は、中空軸回転ガイド4からの温度調整媒体の流出に役立つ。この場合、この別の開口10は、駆動軸5内の温度調整媒体と流体接続されている。
【0023】
更に詳しくは、重複を避けるために一般的な説明を参照されたい。
【0024】
最後に述べておくと、上で説明した実施例は、単に請求した理論の詳論に役立つに過ぎず、当該理論は前記実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明によるカレンダリング装置の1実施例を概略的に示した図である。
【図2】図1に示した実施例の概略的な断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのカレンダローラ(1,2)を備えた、連続的に製作された品物をカレンダリングするための装置であって、カレンダローラ(1,2)が、少なくとも1つの駆動装置(3)によって回転運動させられるようになっており、少なくとも1つのカレンダローラ(1,2)が温度調整可能であり、該カレンダローラ(1,2)の温度調整が、温度調整媒体によって行われる形式のものにおいて、
温度調整媒体が中空軸回転ガイド(4)を通って、カレンダローラ(1,2)を駆動する駆動軸(3)にもたらされるようになっていることを特徴とする、少なくとも1つのカレンダローラを備えた、連続的に製作された品物をカレンダリングするための装置。
【請求項2】
駆動軸(3)が、中空軸及び/又は枢着軸として構成されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
中空軸回転ガイド(4)に温度調整媒体分配部(6)が設けられている、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
温度調整媒体の分配(6)が、中空軸回転ガイド(4)内に設けられたリングギャップ(6)を介して行われるようになっている、請求項3記載の装置。
【請求項5】
中空軸回転ガイド(4)内に、カレンダローラ(1,2)の駆動軸に対する開口(7)が設けられている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
駆動軸(5)が、温度調整媒体をカレンダローラ(1,2)内へ案内可能であるように構成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
温度調整媒体のカレンダローラ(1,2)への導入が、少なくとも部分的に駆動軸(5)及び/又はカレンダローラ(1,2)内に延在し且つ有利には駆動軸(5)及び/又はカレンダローラ(1,2)の回転軸線に対して同心的に配置された少なくとも1つの導管(9)を介して行われる、請求項6記載の装置。
【請求項8】
駆動軸(5)が、温度調整媒体をカレンダローラ(1,2)内から案内可能であるように構成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
温度調整媒体のカレンダローラ(1,2)からの導出が、少なくとも部分的に駆動軸(5)及び/又はカレンダローラ(1,2)内に延在し且つ有利には駆動軸(5)及び/又はカレンダローラ(1,2)の回転軸線に対して同心的に配置された少なくとも1つの導管(9)を介して行われる、請求項8記載の装置。
【請求項10】
中空軸回転ガイド(4)が、温度調整媒体の流出部に対する別の開口(10)を有している、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
温度調整媒体の流出部に対する別の開口(10)が、駆動軸(5)内の温度調整媒体と流体接続している、請求項10記載の装置。
【請求項12】
温度調整媒体を搬送するために少なくとも1つのポンプが設けられている、請求項1から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
カレンダローラ(1,2)に交換スリーブが装備されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−526569(P2008−526569A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550785(P2007−550785)
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050118
【国際公開番号】WO2006/074994
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(507241436)クラウスマッファイ ベルシュトルフ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (2)
【氏名又は名称原語表記】KraussMaffei Berstorff GmbH
【住所又は居所原語表記】An der Breiten Wiese 3−5, D−30625 Hannover, Germany
【Fターム(参考)】