局所加熱装置
【課題】製造コストの削減が図れ、加熱時のエネルギーロスを低減するとともに、塗布液または熱硬化性の部材を均一に乾燥させることができる、局所加熱装置を提供する。
【解決手段】基板13を搬送する搬送手段と、基板13に非接触な状態で加熱する非接触加熱手段1と、基板13の加熱対象となる局所位置の下面側から、複数の点で基板13と接触して基板13を支持する支持部材2により、基板13を持ち上げて基準高さに設定する高さ調節手段3と、非接触加熱手段1および高さ調節手段3を基板13の局所位置に位置決めする移動手段とを備える。
【解決手段】基板13を搬送する搬送手段と、基板13に非接触な状態で加熱する非接触加熱手段1と、基板13の加熱対象となる局所位置の下面側から、複数の点で基板13と接触して基板13を支持する支持部材2により、基板13を持ち上げて基準高さに設定する高さ調節手段3と、非接触加熱手段1および高さ調節手段3を基板13の局所位置に位置決めする移動手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に局所的に形成された塗布液または熱硬化性の部材を、加熱して乾燥させることにより、膜を形成させる局所加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体あるいは熱硬化性の部材を基板上に塗布し、乾燥させることで薄膜を形成する技術は、従来から多くの生産装置で利用されている。その中でも近年注目されているのは、基板上の任意の箇所に必要量だけ液体を塗布し、乾燥させることで膜を形成させるパターニング技術である。このような技術には、ディスペンサやインクジェットを用いた技術がある。これらは、従来のフォトリソグラフィーによる、真空プロセスを用いたパターン生成方法に代わり、脱真空プロセスに使用可能な技術として注目が高まっている。
【0003】
たとえば、インクジェットによるパターニング技術を用いた生産装置としては、カラーフィルタ(CF)パネルを形成する装置がある。この装置では、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色からなるインクをガラス基板上に形成されているRGB用画素領域内に着弾させる。そして、各画素を埋めることによって、カラーフィルタ(CF)が形成される。ここで、画素領域内に塗布されたインクは、オーブンなどによって基板全体が加熱されることによって、乾燥されて膜を形成する。
【0004】
このようなパターニング技術は、全面印刷技術としてのみならず、混色、夾雑物の混入または付着といった欠陥部を修復するための技術としても広く用いられている。たとえば、CFパネルにおいて、インクの混色が発生した欠陥画素や夾雑物が混入した欠陥画素の場合に、欠陥領域のインク層膜を除去し、除去部分に再度インクを塗布して加熱乾燥することで画素を再形成する技術がある。
【0005】
基板上の塗布液の加熱乾燥方法としては、従来から、オーブンまたはホットプレートなどで基板全体を加熱して乾燥させる方法が用いられていた。基板全体を加熱する場合、専用の大型加熱装置や耐熱性に優れた搬送ロボットが必要である。また、加熱された基板を次工程に進めるために、冷却する場所や時間も必要となり、製造コストの上昇やタクトが長くなるといった問題があった。特に、加熱乾燥箇所が少ない場合には、局所的に加熱し乾燥させる方が、製造コストおよび製造時間を削減することができる。さらに、CO2排出量の削減が図れるため、環境面からも局所的に加熱乾燥させる技術への期待は高い。
【0006】
このような局所的に加熱して乾燥させる技術としては、ホットプレートなどで使用される発熱体を基板に近接させて乾燥させる方法が考えられる。それ以外にも、レーザや赤外ランプ(赤外ヒータ)などを用いて、基板を加熱する方法を開示した先行文献として、特許文献1または特許文献2がある。また、基板を加熱する方法として、基板上の半田を溶解するために、基板の上下両面からヒータなどで加熱する方法を開示した先行文献として、特許文献3がある。さらに、熱輻射を用いて基板を加熱する場合に、基板外周部を下面側から昇降ピンで支持し、基板の熱履歴を面内で均一なものとする方法を開示した先行文献として、特許文献4がある。
【特許文献1】特開2004−95356号公報
【特許文献2】特開2004−165140号公報
【特許文献3】特開2005−223000号公報
【特許文献4】特開2001−267217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1から3に記載された加熱方法では、加熱対象が基板上の一部分の狭い範囲である場合にも、加熱時に基板を搭載して支持するステージは、基板全体を支持しているため、基板と同程度かそれ以上の大きさを必要とする。そのため、基板が大型化すれば、加熱装置も大型化して装置コストが増大するという問題があった。また、基板と基板を支持するステージとの接触面積が大きいため、加熱時の熱が熱伝導によってステージ側に奪われ、大きなエネルギーロスが発生するとともに、基板上の加熱範囲における温度均一性が損なわれるという問題もあった。特許文献4に記載された加熱方法は、基板と基板を支持するピンとの接触面積が小さいため、エネルギーロスは少なくすることができる。しかし、基板の外周部をピンで支持しているため、大型の基板の場合には基板が自重によりたわみ、基板の中央部と外周部とで熱履歴を均一にすることができず、均質な加熱処理を実現することができないという問題があった。
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑みなされたものであって、製造コストの削減が図れ、加熱時のエネルギーロスを低減するとともに、塗布液または熱硬化性の部材を均一に乾燥させることができる、局所加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る局所加熱装置は、基板を局所的に加熱する装置であって、基板を搬送する搬送手段と、基板に非接触な状態で加熱する非接触加熱手段と、基板の加熱対象となる局所位置の下面側から、複数の点で基板と接触して基板を支持する支持部材により、基板を持ち上げて基準高さに設定する高さ調節手段と、非接触加熱手段および高さ調節手段を基板の局所位置に位置決めする移動手段とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基板を局所加熱位置の周辺部のみ支持して加熱乾燥を行なうため、加熱装置の小型化による、製造コストの削減を図ることができる。さらに、基板を少ない接触面積で支持する支持部材を有する高さ調節手段を備えることにより、基板と非接触加熱手段とのギャップを安定させて加熱を行なうことができる。この結果、加熱時のエネルギーロスを低減するとともに、塗布液または熱硬化性の部材を均一に乾燥させることが可能な、局所加熱装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明に基づいた本発明の実施の形態における局所加熱装置について、図を参照しながら説明する。
【0012】
実施の形態1
図1は、本発明の実施の形態1に係る局所加熱装置の構造を示す斜視図である。本発明の実施の形態1に係る局所加熱装置では、図1に示すように、基板を搬送する搬送ローラ9が、ローラ軸10の軸方向に所定の間隔を置いて設けられている。ローラ軸10は、基板搬送方向に2列平行に配置されるローラ軸支持部材11の間において、基板搬送方向に所定の間隔を置いて配置されている。2本のローラ軸支持部材11の両外側に、スライド装置支持部材12が基板搬送方向と垂直方向に2本並列に配置されている。スライド装置支持部材12の上部には、上面側スライド装置8が橋渡しされている。上面側スライド装置8の側面に、上面側スライド装置8の長手方向に移動可能な可動子7が設けられている。可動子7の正面に、基板を非接触な状態で加熱する非接触加熱手段1が接続されている。スライド装置支持部材12の下部には、下面側スライド装置6が橋渡しされている。下面側スライド装置6の側面に、下面側スライド装置6の長手方向に移動可能な可動子5が設けられている。可動子5の正面に、昇降装置4を介して、基板を持ち上げて基準高さに設定する高さ調節手段3が接続されている。高さ調節手段3には、基板を下面側から支持する複数の支持部材2が形成されている。
【0013】
基板の搬送は、図示しないモータードライブの駆動力がベルトまたはギアなどを介してローラ軸10に伝達され、基板が載置された搬送ローラ9を回転させることにより行なわれる。他の基板の搬送方法として、たとえば、インクが塗布されていない基板のエッジ部を直接クランプするか、または基板を額縁状に囲った基板ホルダの一部分をクランプして、搬送方向と平行にスライドするスライド軸によって基板を搬送する方法を用いてもよい。
【0014】
図2は、本実施の形態に係る局所加熱装置の非接触加熱手段を側面から見た断面図である。基板13が所定の位置に搬送された後、下面側スライド装置6の可動子5を移動させることにより、高さ調節手段3は、基板13上の塗布液または熱硬化性の部材が形成された局所位置の直下に位置決めされる。なお、基板13上の塗布液または熱硬化性の部材は、局所加熱装置に基板13が投入される前に形成されている。たとえば、塗布液とは、有機EL材料インクであり、熱硬化性の部材とは、熱硬化性ポリイミドインクである。その塗布液または熱硬化性の部材の形成された面積および中心位置の座標などの情報は既知であるものとして説明する。高さ調節手段3は、モータードライブおよびボールねじなどを組み合わせて高さを調整する昇降装置4に接続されることにより、昇降可能な構造となっている。この昇降装置4が作動することにより、基板13は、位置決めされた高さ調節手段3により基準高さまで持ち上げられる。基準高さは、基板13の自重によるたわみを、基板13を下面から支えることにより補正した際の基準となる高さである。基板13と下面側から接する高さ調節手段3の支持部材2は、接触面積が小さくなるように、たとえば、平面的に見て、複数の点で基板13と接触するような、複数の棒状部から形成されている。
【0015】
基板13を基準高さに設定した状態で、上面側スライド装置8の可動子7が移動することにより、非接触加熱手段1は、基板13上の塗布液または熱硬化性の部材が形成された局所位置の略直上に位置決めされる。非接触加熱手段1が基板13の表面側に直接触れると、基板13自体および基板13の表面に形成された薄膜に、機械的ダメージおよびストレス、付着物の残留および転写などの問題が発生し易く好ましくない。そのため、非接触加熱手段1としては、非接触で加熱ができ、かつ加熱効率の良好な、熱風ヒータ、ランプヒータおよびレーザなどが好ましい。なかでも比較的取り扱いが容易で、消耗品の交換を含めたランニングコストを低く抑えることができる熱風ヒータが特に好ましい。また、熱風ヒータ、ランプヒータおよびレーザから選択した2以上組合わせたものを使用してもよい。以下の実施形態においては、非接触加熱手段1として熱風ヒータを使用した場合について説明する。
【0016】
非接触加熱手段1が、所定の位置に位置決めされた後、図示しない電源から電力、または、熱源から熱輸送媒体としての気体が非接触加熱手段1に供給され、基板13の局所加熱が行なわれる。基板13の加熱乾燥が終了した後、昇降装置4により高さ調節手段3とともに基板13は降下され、搬送ローラ9上に載置される。その後、基板13は搬送ローラ9により搬送されて、同一基板上の別の箇所において、または処理済みの基板を払い出した後、新たな基板を搬入して次の加熱処理が行なわれる。
【0017】
図3は、局所加熱装置における搬送ローラ、非接触加熱手段および基板の位置関係を説明する概略図であり、(A)は斜視図、(B)は側面図である。局所加熱装置に高さ調節手段3を設けない場合、基板14は搬送ローラ9の頂点9aに接触して支持される。非接触加熱手段1は、隣り合うローラ軸10同士の中間に配置される。基板14と非接触加熱手段1との間隔は、所定のギャップdになるように設定される。ギャップdは、基板13の板厚、基板13上に形成される塗布液または熱硬化性の部材の種類および非接触加熱手段1の種類などにより決定される。たとえば、非接触加熱手段1が一般的な熱風ヒータの場合、ギャップdが小さすぎると、基板14の加熱範囲において温度勾配が急になって、均質な加熱を行なうことができない。ギャップdが大きすぎると、基板14の温度を上昇させることができず、加熱が不十分となる。ギャップdが、基板14上の局所加熱位置周辺において一定でない場合には、基板温度にばらつきが発生し、形成される膜の品質が低下する。ギャップdがばらつく原因としては、各部品の加工誤差、基板14の自重によるたわみ、ローラ軸10の自重によるたわみ、ローラ軸10同士間の高さのずれ、搬送ローラ9の偏心などが主要なものとして挙げられる。なお、ギャップdは、基板14と非接触加熱手段1との位置を、レーザ変位計などを用いて計測することにより確認することができる。
【0018】
図4は、基板中央部を加熱する際の、高さ調節手段を有さない局所加熱装置における搬送ローラ、加熱手段および基板の位置関係を説明する概略図であり、(A)は斜視図、(B)は側面図である。図4に示すように、基板14にたわみおよび反りなどが発生すると、非接触加熱手段1と基板14とのギャップdにばらつきが発生する。たわみなどの無い真直ぐな基板13の位置を二点鎖線で示している。図5は、基板端部を加熱する際の、高さ調節手段を有さない局所加熱装置における搬送ローラ、加熱手段および基板の位置関係を説明する概略図であり、(A)は斜視図、(B)は側面図である。図5に示すように、基板端部13aを加熱する場合、搬送ローラ9のみで基板13を支持すると、基板13の自重によってたわみが発生し、基板端部13aと非接触加熱手段1とのギャップdが大きくなる。この基板13のたわみは、図5(B)に示した基板搬送方向だけではなく、基板13の幅方向についても同様のたわみが発生する。そのため、基板13の四隅部13bでは、非接触加熱手段1とのギャップdがさらにばらつきやすくなる。
【0019】
図6は、本実施の形態に係る局所加熱装置における高さ調節手段を示した概略図である。図6に示すように、基板13を支持する棒状の支持部材2は、基板13に接触する先端部2aが曲面となっており、各先端部2aの頂点が非接触加熱手段1と対向する平面上にあるように設定されている。基板13が基板13の下面側から支持部材2により搬送ローラ9よりも上方に持ち上げられた状態になるようにすることで、非接触加熱手段1と基板13とのギャップdは常に一定に維持される。また、先端部2aを曲面にして基板との接触面積を小さくすることにより、基板13から支持部材2への放熱によるエネルギーロスおよび基板13上の加熱範囲における温度ムラの発生が低減される。局所加熱位置に熱影響が及ばない範囲において、基板13と先端部2aとが接触するようにすると、加熱範囲内における基板13上の温度分布がさらに均一に維持される。
【0020】
図7,8は、本実施の形態に係る局所加熱装置における支持部材の配置例を示した概略図である。基板と対向する面と垂直方向に、基板上の局所加熱位置を通る軸を中心軸Oとして、この中心軸Oを通り基板搬送方向と平行な面を面A、中心軸Oを通り基板搬送方向と直角な面を面Bと定義する。図7に示すように、支持部材2は、面Aおよび面Bにより区切られる四つの領域にそれぞれ3つ、かつ面Aおよび面Bのそれぞれに対して対称に配置されている。図8は、支持部材2の別の配置例であり、支持部材2が、面Aおよび面Bにより区切られる四つの領域にそれぞれ4つ、かつ面Aおよび面Bのそれぞれに対して対称に配置されている。このように支持部材2を配置することにより、面Aおよび面Bにより区切られる四つの領域の内のどの領域においても、支持部材2が基板を3点以上から構成される面で支えることになり、基板を安定して保持することができる。
【0021】
図9は、本実施の形態に係る局所加熱装置について、加熱位置が基板の中央部であるときの高さ調節手段の配置を示した概略図であり、(A)は基板のたわみ状態を表した斜視図、(B)は上面図である。図10は、本実施の形態に係る局所加熱装置について、加熱位置が基板の端部であるときの高さ調節手段の配置を示した概略図であり、(A)は基板のたわみ状態を表した斜視図、(B)は上面図である。図11は、本実施の形態に係る局所加熱装置について、加熱位置が基板の四隅部であるときの高さ調節手段の配置を示した概略図であり、(A)は基板のたわみ状態を表した斜視図、(B)は上面図である。図9に示すように、加熱位置が基板13の中央部にあるときは、設けられた支持部材2の全体が基板13と接触して高さ調節を行なうことができる。図10に示すように、加熱位置が基板13の端部にあるときは、設けられた支持部材2の半分が基板13と接触して高さ調節を行なうことになる。図11に示すように、加熱位置が基板13の四隅部にあるときは、設けられた支持部材2の四分の一が基板13と接触して高さ調節を行なうことになる。
【0022】
図12は、加熱位置が図9に示すように基板の中央部であるときの、基板搬送方向に平行なA軸上における基板の高さの変化を示したグラフである。縦軸に基板13の基準高さからのずれを、横軸に加熱位置から最も近くに位置する搬送ローラ9と基板13との接触位置からの距離を示している。高さ調節手段3により基板13を持ち上げた際の基板13の高さを実線で、高さ調節手段3により基板13を持ち上げる前の基板13の高さを破線で示している。200mm間隔に搬送ローラを設けているため、高さ調節手段3により持ち上げる前の基板13の高さは、基板13と搬送ローラ9が接触して支持される、搬送ローラ9の位置から0mmと200mmの地点で最も高くなっている。一方、局所加熱する範囲では、基板13のたわみにより基板13の高さが低くなっている。基板13が支持される搬送ローラ9上の位置においても、搬送ローラ9の偏芯またはローラ軸10のアライメント精度などの要因により、基板13の高さには基準高さからのずれが発生している。このように、局所加熱位置における基板13の高さにばらつきが発生すると、非接触加熱手段1と基板13との距離にもばらつきが発生する。その結果、基板13上の局所加熱する範囲における温度分布にばらつきが発生して、乾燥後に形成される膜の品質が安定しない。
【0023】
図12に示すように、高さ調節手段3により基板13を持ち上げることにより、局所加熱する範囲の近傍の基板13の高さを基準高さに補正することができる。高さ調節手段3の支持部材2は、基板13上の局所加熱位置の直下に配置すると、基板13から支持部材2に熱が伝播することにより、局所加熱する範囲の温度分布にばらつきが発生してしまう。そのため、高さ調節手段3の支持部材2は、局所加熱位置に熱影響が及びにくくするために、基板13上の局所加熱位置の直下の周辺に設けられる。その結果、基板13と支持部材2とが接する位置では、基板13の高さが基準高さに補正され、局所加熱位置における基板13の高さには、わずかに基板13の自重によるたわみによる低下が認められる。しかし、この場合の基板13の高さのばらつきはわずかであり、局所加熱位置の加熱温度に影響が現れない程度である。よって、高さ調節手段3により基板13を持ち上げて基準高さに設定することにより、局所加熱する範囲の基板13の高さを精度よく維持することができるため、乾燥後に基板13上に形成される膜の品質を安定させることができる。
【0024】
図13は、加熱位置が図10に示すように基板の端部であるときの、基板搬送方向に平行なB軸上における基板の高さの変化を示したグラフである。縦軸に基板13の基準高さからのずれを、横軸に加熱位置から最も近くに位置する搬送ローラ9と基板13との接触位置からの距離を示している。高さ調節手段3により基板13を持ち上げた際の基板13の高さを実線で、高さ調節手段3により基板13を持ち上げる前の基板13の高さを破線で示している。図13に示すように、高さ調節手段3により持ち上げる前の基板13の高さは、基板13と搬送ローラ9が接触して支持される、搬送ローラ9の位置から0mmの地点で最も高くなっている。一方、局所加熱する範囲では、基板13の自重によるたわみにより基板13の高さが低くなっているが、局所加熱位置が基板13の端部であるため、基板13は片持ち状態になって基準高さからのずれが大きくなっている。この場合にも、高さ調節手段3により基板13を持ち上げることにより、局所加熱する範囲の基板13の高さを精度よく維持することができるため、乾燥後に基板13上に形成される膜の品質を安定させることができる。
【0025】
図14は、加熱位置が図11に示すように基板の四隅部であるときの、基板搬送方向に平行なC軸上における基板の高さの変化を示したグラフである。縦軸に基板13の基準高さからのずれを、横軸に加熱位置から最も近くに位置する搬送ローラ9と基板13との接触位置からの距離を示している。高さ調節手段3により基板13を持ち上げた際の基板13の高さを実線で、高さ調節手段3により基板13を持ち上げる前の基板13の高さを破線で示している。図14に示すように、高さ調節手段3により持ち上げる前の基板13の高さは、基板13と搬送ローラ9が接触して支持される、搬送ローラ9の位置から0mmの地点で最も高くなっている。一方、局所加熱する範囲では、基板13の自重によるたわみにより基板13の高さが低くなっているが、局所加熱位置が基板13の四隅部であるため、基板13は最もたわみやすく基準高さからのずれが大きくなっている。この場合にも、高さ調節手段3により基板13を持ち上げることにより、局所加熱する範囲の基板13の高さを精度よく維持することができるため、乾燥後に基板13上に形成される膜の品質を安定させることができる。
【0026】
図15は、本実施の形態に係る、高さ調節手段の支持部材の配置位置の一例を示した概略図である。図15に示すように、基板13と対向する面と垂直方向に、基板13の局所加熱位置を通る軸を中心軸Oとして、この中心軸Oを通り、基板搬送方向と平行な面を面A、中心軸Oを通り基板搬送方向と直角な面を面Bとする。互いに直交する面A、面Bによって区切られる四つのエリアに支持部材2を三つ以上配置する。中心軸Oから最も遠い支持部材2と中心軸Oとの間の距離Rは、支持部材2の配置、間隔および数量などのパラメータから適宜決定される。また、各エリアに配置される支持部材2は、全てが等間隔でなくてもよい。図16から19は、本実施の形態に係る、高さ調節手段の支持部材の別の配置位置を示した概略図である。図16に示すように、各エリアに支持部材2を四つずつ配置してもよい。図17に示すように、各エリア内で支持部材2が等間隔となるよう配置してもよい。しかし、図18および図19に示すように、各エリア内において支持部材2が一直線上に並ぶように配置すると、局所加熱位置が基板13の四隅部にある場合に、1つのエリアに存在する一直線上に並んだ支持部材2のみで基板13を支持することになる。この場合、基板13の支持が安定しないため、基板13の高さのばらつきが生じ易くなるため好ましくない。
【0027】
高さ調節手段3の支持部材2の基板13に接触する先端部に使用される材料としては、たとえば、以下の熱伝導性の低い材料が好ましい。ガラスまたはセラミックスなどの無機物。ポリイミド樹脂、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)またはフェノール樹脂などの耐熱性樹脂。金属の中では比較的低熱伝導性を有するステンレスまたはニッケル合金などの金属材料。これらの材料から選ばれた1つまたは2以上組合わせた材料から支持部材2の先端部を構成してもよい。熱伝導性の低い材料で支持部材2の先端部を構成することにより、基板13から支持部材2へ伝播する熱を低減することができ、基板13上の加熱範囲における温度分布のばらつきを少なくすることができる。同じ理由から、支持部材2の先端部の形状は、基板13との接触面積が小さくなるような形状が好ましい。支持部材2の形状を、たとえば、球状、または搬送ローラ9と同程度の曲率を有する湾曲面などの形状にしてもよい。
【0028】
図20は、本実施の形態に係る、高さ調節手段に設けられる支持部材の先端部の一例を示した概略図であり、(A)は基板と支持部材とが接触した状態、(B)は基板が支持部材に持ち上げられている際の状態、(C)は基板と支持部材とが降下している際の状態である。図20に示すように、高さ調節手段3の支持部材2の先端部に球状部2bを設けてもよい。このような構成にした場合、高さ調節手段3により基板13が持ち上げられる際、基板13と支持部材2とは転がり接触することになる。図20(B),(C)に示すように、球状部2bが自由に回転することができるため、球状部2bと基板13との接触点が接触しながら連動して移動する。そのため、球状部2bが設けられていない場合のすべり接触と異なり、基板13の下面側に傷が付くことを防ぐことができる。
【0029】
図21は、本実施の形態に係る、高さ調節手段に設けられる支持部材の先端部の別の一例を示した概略図である。図21に示すように、高さ調節手段3の内部に流路3aが、支持部材2の内部に流路2cが設けられている。このような構成にすることにより、図示しない排気ポンプなどで流路3aおよび2c内を減圧し、支持部材2の先端部2aの開口部から基板13を吸着することができる。この結果、高さ調節手段3の支持部材2により確実に基板13を支持することができ、安定して基板13の高さを設定することができる。
【0030】
本実施の形態によれば、局所加熱する範囲の基板13の高さ位置を精度よく、かつ効率的に補正することが可能となる。この補正は、基板13の自重によるものだけでなく、たとえば、各部品の加工誤差、ローラ軸10の自重によるたわみ、ローラ軸10同士間のアライメントのずれ、搬送ローラ9の偏心などの要因による、基板13の高さのばらつきを低減することにも有効である。
【0031】
実施の形態2
図22は、本発明の実施の形態2に係る局所加熱装置の非接触加熱手段を側面から見た断面図である。本発明の実施の形態2に係る局所加熱装置は、図22に示すように、基板13を加熱する際に、基板13上の局所加熱位置を下面側から加熱する別の非接触加熱手段15が、高さ調節手段3に備えられている。このような構成にすることにより、加熱乾燥時に基板13の上下両面から基板13を加熱することができる。そのため、局所加熱位置の基板13の温度を早期に昇温することができ、乾燥時間を短縮させることができる。非接触加熱手段15が基板13の下面側に直接触れると、基板13自体に機械的ダメージやストレスなどを与えてしまうため好ましくない。非接触加熱手段15としては、非接触で加熱ができ、かつ加熱効率の良好な、熱風ヒータ、ランプヒータおよびレーザなどが好ましい。なかでも比較的取り扱いが容易で、消耗品の交換を含めたランニングコストを低く抑えることができる熱風ヒータが特に好ましい。また、熱風ヒータ、ランプヒータおよびレーザから選択した2以上組合わせたものを使用してもよい。他の構成は、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0032】
実施の形態3
図23は、本発明の実施の形態3に係る局所加熱装置の非接触加熱手段を側面から見た断面図である。本発明の実施の形態3に係る局所加熱装置は、図23に示すように、基板13上の局所加熱位置を下面側から加熱する非接触加熱手段15が高さ調節手段3に備えられている。基板13の上面側には、加熱手段を設けていないため、局所加熱装置の小型化および装置コストの削減を図ることができる。他の構成については、実施形態1,2と同様であるため、説明を省略する。
【0033】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態1に係る局所加熱装置の構造を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態に係る局所加熱装置の非接触加熱手段を側面から見た断面図である。
【図3】局所加熱装置における搬送ローラ、非接触加熱手段および基板の位置関係を説明する概略図である。
【図4】基板中央部を加熱する際の、高さ調節手段を有さない局所加熱装置における搬送ローラ、加熱手段および基板の位置関係を説明する概略図であり、(A)は斜視図、(B)は側面図である。
【図5】基板端部を加熱する際の、高さ調節手段を有さない局所加熱装置における搬送ローラ、加熱手段および基板の位置関係を説明する概略図であり、(A)は斜視図、(B)は側面図である。
【図6】同実施の形態に係る局所加熱装置における高さ調節手段を示した概略図である。
【図7】同実施の形態に係る局所加熱装置における高さ調節手段の支持部材の配置例を示した概略図である。
【図8】同実施の形態に係る局所加熱装置における高さ調節手段の支持部材の配置例を示した概略図である。
【図9】同実施の形態に係る局所加熱装置について、加熱位置が基板の中央部であるときの高さ調節手段の配置を示した概略図であり、(A)は基板のたわみ状態を表した斜視図、(B)は上面図である。
【図10】同実施の形態に係る局所加熱装置について、加熱位置が基板の端部であるときの高さ調節手段の配置を示した概略図であり、(A)は基板のたわみ状態を表した斜視図、(B)は上面図である。
【図11】同実施の形態に係る局所加熱装置について、加熱位置が基板の四隅部であるときの高さ調節手段の配置を示した概略図であり、(A)は基板のたわみ状態を表した斜視図、(B)は上面図である。
【図12】加熱位置が図9に示すように基板の中央部であるときの、基板搬送方向に平行なA軸上における基板の高さの変化を示したグラフである。
【図13】加熱位置が図10に示すように基板の端部であるときの、基板搬送方向に平行なB軸上における基板の高さの変化を示したグラフである。
【図14】加熱位置が図11に示すように基板の四隅部であるときの、基板搬送方向に平行なC軸上における基板の高さの変化を示したグラフである。
【図15】同実施の形態に係る、高さ調節手段の支持部材の配置位置の一例を示した概略図である。
【図16】同実施の形態に係る、高さ調節手段の支持部材の別の配置位置を示した概略図である。
【図17】同実施の形態に係る、高さ調節手段の支持部材の別の配置位置を示した概略図である。
【図18】同実施の形態に係る、高さ調節手段の支持部材の別の配置位置を示した概略図である。
【図19】同実施の形態に係る、高さ調節手段の支持部材の別の配置位置を示した概略図である。
【図20】同実施の形態に係る、高さ調節手段に設けられる支持部材の先端部の一例を示した概略図であり、(A)は基板と支持部材とが接触した状態、(B)は基板が支持部材に持ち上げられている際の状態、(C)は基板と支持部材とが降下している際の状態である。
【図21】同実施の形態に係る、高さ調節手段に設けられる支持部材の先端部の別の一例を示した概略図である。
【図22】本発明の実施の形態2に係る局所加熱装置の非接触加熱手段を側面から見た断面図である。
【図23】本発明の実施の形態3に係る局所加熱装置の非接触加熱手段を側面から見た断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 非接触加熱手段、2 支持部材、2a 先端部、2b 球状部、2c 流路、3 調節手段、3a 流路、4 昇降装置、5,7 可動子、6 下面側スライド装置、8 上面側スライド装置、9 搬送ローラ、9a 頂点、10 ローラ軸、11 ローラ軸支持部材、12 スライド装置支持部材、13,14 基板、13a 基板端部、13b 四隅部、15 非接触加熱手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に局所的に形成された塗布液または熱硬化性の部材を、加熱して乾燥させることにより、膜を形成させる局所加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体あるいは熱硬化性の部材を基板上に塗布し、乾燥させることで薄膜を形成する技術は、従来から多くの生産装置で利用されている。その中でも近年注目されているのは、基板上の任意の箇所に必要量だけ液体を塗布し、乾燥させることで膜を形成させるパターニング技術である。このような技術には、ディスペンサやインクジェットを用いた技術がある。これらは、従来のフォトリソグラフィーによる、真空プロセスを用いたパターン生成方法に代わり、脱真空プロセスに使用可能な技術として注目が高まっている。
【0003】
たとえば、インクジェットによるパターニング技術を用いた生産装置としては、カラーフィルタ(CF)パネルを形成する装置がある。この装置では、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色からなるインクをガラス基板上に形成されているRGB用画素領域内に着弾させる。そして、各画素を埋めることによって、カラーフィルタ(CF)が形成される。ここで、画素領域内に塗布されたインクは、オーブンなどによって基板全体が加熱されることによって、乾燥されて膜を形成する。
【0004】
このようなパターニング技術は、全面印刷技術としてのみならず、混色、夾雑物の混入または付着といった欠陥部を修復するための技術としても広く用いられている。たとえば、CFパネルにおいて、インクの混色が発生した欠陥画素や夾雑物が混入した欠陥画素の場合に、欠陥領域のインク層膜を除去し、除去部分に再度インクを塗布して加熱乾燥することで画素を再形成する技術がある。
【0005】
基板上の塗布液の加熱乾燥方法としては、従来から、オーブンまたはホットプレートなどで基板全体を加熱して乾燥させる方法が用いられていた。基板全体を加熱する場合、専用の大型加熱装置や耐熱性に優れた搬送ロボットが必要である。また、加熱された基板を次工程に進めるために、冷却する場所や時間も必要となり、製造コストの上昇やタクトが長くなるといった問題があった。特に、加熱乾燥箇所が少ない場合には、局所的に加熱し乾燥させる方が、製造コストおよび製造時間を削減することができる。さらに、CO2排出量の削減が図れるため、環境面からも局所的に加熱乾燥させる技術への期待は高い。
【0006】
このような局所的に加熱して乾燥させる技術としては、ホットプレートなどで使用される発熱体を基板に近接させて乾燥させる方法が考えられる。それ以外にも、レーザや赤外ランプ(赤外ヒータ)などを用いて、基板を加熱する方法を開示した先行文献として、特許文献1または特許文献2がある。また、基板を加熱する方法として、基板上の半田を溶解するために、基板の上下両面からヒータなどで加熱する方法を開示した先行文献として、特許文献3がある。さらに、熱輻射を用いて基板を加熱する場合に、基板外周部を下面側から昇降ピンで支持し、基板の熱履歴を面内で均一なものとする方法を開示した先行文献として、特許文献4がある。
【特許文献1】特開2004−95356号公報
【特許文献2】特開2004−165140号公報
【特許文献3】特開2005−223000号公報
【特許文献4】特開2001−267217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1から3に記載された加熱方法では、加熱対象が基板上の一部分の狭い範囲である場合にも、加熱時に基板を搭載して支持するステージは、基板全体を支持しているため、基板と同程度かそれ以上の大きさを必要とする。そのため、基板が大型化すれば、加熱装置も大型化して装置コストが増大するという問題があった。また、基板と基板を支持するステージとの接触面積が大きいため、加熱時の熱が熱伝導によってステージ側に奪われ、大きなエネルギーロスが発生するとともに、基板上の加熱範囲における温度均一性が損なわれるという問題もあった。特許文献4に記載された加熱方法は、基板と基板を支持するピンとの接触面積が小さいため、エネルギーロスは少なくすることができる。しかし、基板の外周部をピンで支持しているため、大型の基板の場合には基板が自重によりたわみ、基板の中央部と外周部とで熱履歴を均一にすることができず、均質な加熱処理を実現することができないという問題があった。
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑みなされたものであって、製造コストの削減が図れ、加熱時のエネルギーロスを低減するとともに、塗布液または熱硬化性の部材を均一に乾燥させることができる、局所加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る局所加熱装置は、基板を局所的に加熱する装置であって、基板を搬送する搬送手段と、基板に非接触な状態で加熱する非接触加熱手段と、基板の加熱対象となる局所位置の下面側から、複数の点で基板と接触して基板を支持する支持部材により、基板を持ち上げて基準高さに設定する高さ調節手段と、非接触加熱手段および高さ調節手段を基板の局所位置に位置決めする移動手段とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基板を局所加熱位置の周辺部のみ支持して加熱乾燥を行なうため、加熱装置の小型化による、製造コストの削減を図ることができる。さらに、基板を少ない接触面積で支持する支持部材を有する高さ調節手段を備えることにより、基板と非接触加熱手段とのギャップを安定させて加熱を行なうことができる。この結果、加熱時のエネルギーロスを低減するとともに、塗布液または熱硬化性の部材を均一に乾燥させることが可能な、局所加熱装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明に基づいた本発明の実施の形態における局所加熱装置について、図を参照しながら説明する。
【0012】
実施の形態1
図1は、本発明の実施の形態1に係る局所加熱装置の構造を示す斜視図である。本発明の実施の形態1に係る局所加熱装置では、図1に示すように、基板を搬送する搬送ローラ9が、ローラ軸10の軸方向に所定の間隔を置いて設けられている。ローラ軸10は、基板搬送方向に2列平行に配置されるローラ軸支持部材11の間において、基板搬送方向に所定の間隔を置いて配置されている。2本のローラ軸支持部材11の両外側に、スライド装置支持部材12が基板搬送方向と垂直方向に2本並列に配置されている。スライド装置支持部材12の上部には、上面側スライド装置8が橋渡しされている。上面側スライド装置8の側面に、上面側スライド装置8の長手方向に移動可能な可動子7が設けられている。可動子7の正面に、基板を非接触な状態で加熱する非接触加熱手段1が接続されている。スライド装置支持部材12の下部には、下面側スライド装置6が橋渡しされている。下面側スライド装置6の側面に、下面側スライド装置6の長手方向に移動可能な可動子5が設けられている。可動子5の正面に、昇降装置4を介して、基板を持ち上げて基準高さに設定する高さ調節手段3が接続されている。高さ調節手段3には、基板を下面側から支持する複数の支持部材2が形成されている。
【0013】
基板の搬送は、図示しないモータードライブの駆動力がベルトまたはギアなどを介してローラ軸10に伝達され、基板が載置された搬送ローラ9を回転させることにより行なわれる。他の基板の搬送方法として、たとえば、インクが塗布されていない基板のエッジ部を直接クランプするか、または基板を額縁状に囲った基板ホルダの一部分をクランプして、搬送方向と平行にスライドするスライド軸によって基板を搬送する方法を用いてもよい。
【0014】
図2は、本実施の形態に係る局所加熱装置の非接触加熱手段を側面から見た断面図である。基板13が所定の位置に搬送された後、下面側スライド装置6の可動子5を移動させることにより、高さ調節手段3は、基板13上の塗布液または熱硬化性の部材が形成された局所位置の直下に位置決めされる。なお、基板13上の塗布液または熱硬化性の部材は、局所加熱装置に基板13が投入される前に形成されている。たとえば、塗布液とは、有機EL材料インクであり、熱硬化性の部材とは、熱硬化性ポリイミドインクである。その塗布液または熱硬化性の部材の形成された面積および中心位置の座標などの情報は既知であるものとして説明する。高さ調節手段3は、モータードライブおよびボールねじなどを組み合わせて高さを調整する昇降装置4に接続されることにより、昇降可能な構造となっている。この昇降装置4が作動することにより、基板13は、位置決めされた高さ調節手段3により基準高さまで持ち上げられる。基準高さは、基板13の自重によるたわみを、基板13を下面から支えることにより補正した際の基準となる高さである。基板13と下面側から接する高さ調節手段3の支持部材2は、接触面積が小さくなるように、たとえば、平面的に見て、複数の点で基板13と接触するような、複数の棒状部から形成されている。
【0015】
基板13を基準高さに設定した状態で、上面側スライド装置8の可動子7が移動することにより、非接触加熱手段1は、基板13上の塗布液または熱硬化性の部材が形成された局所位置の略直上に位置決めされる。非接触加熱手段1が基板13の表面側に直接触れると、基板13自体および基板13の表面に形成された薄膜に、機械的ダメージおよびストレス、付着物の残留および転写などの問題が発生し易く好ましくない。そのため、非接触加熱手段1としては、非接触で加熱ができ、かつ加熱効率の良好な、熱風ヒータ、ランプヒータおよびレーザなどが好ましい。なかでも比較的取り扱いが容易で、消耗品の交換を含めたランニングコストを低く抑えることができる熱風ヒータが特に好ましい。また、熱風ヒータ、ランプヒータおよびレーザから選択した2以上組合わせたものを使用してもよい。以下の実施形態においては、非接触加熱手段1として熱風ヒータを使用した場合について説明する。
【0016】
非接触加熱手段1が、所定の位置に位置決めされた後、図示しない電源から電力、または、熱源から熱輸送媒体としての気体が非接触加熱手段1に供給され、基板13の局所加熱が行なわれる。基板13の加熱乾燥が終了した後、昇降装置4により高さ調節手段3とともに基板13は降下され、搬送ローラ9上に載置される。その後、基板13は搬送ローラ9により搬送されて、同一基板上の別の箇所において、または処理済みの基板を払い出した後、新たな基板を搬入して次の加熱処理が行なわれる。
【0017】
図3は、局所加熱装置における搬送ローラ、非接触加熱手段および基板の位置関係を説明する概略図であり、(A)は斜視図、(B)は側面図である。局所加熱装置に高さ調節手段3を設けない場合、基板14は搬送ローラ9の頂点9aに接触して支持される。非接触加熱手段1は、隣り合うローラ軸10同士の中間に配置される。基板14と非接触加熱手段1との間隔は、所定のギャップdになるように設定される。ギャップdは、基板13の板厚、基板13上に形成される塗布液または熱硬化性の部材の種類および非接触加熱手段1の種類などにより決定される。たとえば、非接触加熱手段1が一般的な熱風ヒータの場合、ギャップdが小さすぎると、基板14の加熱範囲において温度勾配が急になって、均質な加熱を行なうことができない。ギャップdが大きすぎると、基板14の温度を上昇させることができず、加熱が不十分となる。ギャップdが、基板14上の局所加熱位置周辺において一定でない場合には、基板温度にばらつきが発生し、形成される膜の品質が低下する。ギャップdがばらつく原因としては、各部品の加工誤差、基板14の自重によるたわみ、ローラ軸10の自重によるたわみ、ローラ軸10同士間の高さのずれ、搬送ローラ9の偏心などが主要なものとして挙げられる。なお、ギャップdは、基板14と非接触加熱手段1との位置を、レーザ変位計などを用いて計測することにより確認することができる。
【0018】
図4は、基板中央部を加熱する際の、高さ調節手段を有さない局所加熱装置における搬送ローラ、加熱手段および基板の位置関係を説明する概略図であり、(A)は斜視図、(B)は側面図である。図4に示すように、基板14にたわみおよび反りなどが発生すると、非接触加熱手段1と基板14とのギャップdにばらつきが発生する。たわみなどの無い真直ぐな基板13の位置を二点鎖線で示している。図5は、基板端部を加熱する際の、高さ調節手段を有さない局所加熱装置における搬送ローラ、加熱手段および基板の位置関係を説明する概略図であり、(A)は斜視図、(B)は側面図である。図5に示すように、基板端部13aを加熱する場合、搬送ローラ9のみで基板13を支持すると、基板13の自重によってたわみが発生し、基板端部13aと非接触加熱手段1とのギャップdが大きくなる。この基板13のたわみは、図5(B)に示した基板搬送方向だけではなく、基板13の幅方向についても同様のたわみが発生する。そのため、基板13の四隅部13bでは、非接触加熱手段1とのギャップdがさらにばらつきやすくなる。
【0019】
図6は、本実施の形態に係る局所加熱装置における高さ調節手段を示した概略図である。図6に示すように、基板13を支持する棒状の支持部材2は、基板13に接触する先端部2aが曲面となっており、各先端部2aの頂点が非接触加熱手段1と対向する平面上にあるように設定されている。基板13が基板13の下面側から支持部材2により搬送ローラ9よりも上方に持ち上げられた状態になるようにすることで、非接触加熱手段1と基板13とのギャップdは常に一定に維持される。また、先端部2aを曲面にして基板との接触面積を小さくすることにより、基板13から支持部材2への放熱によるエネルギーロスおよび基板13上の加熱範囲における温度ムラの発生が低減される。局所加熱位置に熱影響が及ばない範囲において、基板13と先端部2aとが接触するようにすると、加熱範囲内における基板13上の温度分布がさらに均一に維持される。
【0020】
図7,8は、本実施の形態に係る局所加熱装置における支持部材の配置例を示した概略図である。基板と対向する面と垂直方向に、基板上の局所加熱位置を通る軸を中心軸Oとして、この中心軸Oを通り基板搬送方向と平行な面を面A、中心軸Oを通り基板搬送方向と直角な面を面Bと定義する。図7に示すように、支持部材2は、面Aおよび面Bにより区切られる四つの領域にそれぞれ3つ、かつ面Aおよび面Bのそれぞれに対して対称に配置されている。図8は、支持部材2の別の配置例であり、支持部材2が、面Aおよび面Bにより区切られる四つの領域にそれぞれ4つ、かつ面Aおよび面Bのそれぞれに対して対称に配置されている。このように支持部材2を配置することにより、面Aおよび面Bにより区切られる四つの領域の内のどの領域においても、支持部材2が基板を3点以上から構成される面で支えることになり、基板を安定して保持することができる。
【0021】
図9は、本実施の形態に係る局所加熱装置について、加熱位置が基板の中央部であるときの高さ調節手段の配置を示した概略図であり、(A)は基板のたわみ状態を表した斜視図、(B)は上面図である。図10は、本実施の形態に係る局所加熱装置について、加熱位置が基板の端部であるときの高さ調節手段の配置を示した概略図であり、(A)は基板のたわみ状態を表した斜視図、(B)は上面図である。図11は、本実施の形態に係る局所加熱装置について、加熱位置が基板の四隅部であるときの高さ調節手段の配置を示した概略図であり、(A)は基板のたわみ状態を表した斜視図、(B)は上面図である。図9に示すように、加熱位置が基板13の中央部にあるときは、設けられた支持部材2の全体が基板13と接触して高さ調節を行なうことができる。図10に示すように、加熱位置が基板13の端部にあるときは、設けられた支持部材2の半分が基板13と接触して高さ調節を行なうことになる。図11に示すように、加熱位置が基板13の四隅部にあるときは、設けられた支持部材2の四分の一が基板13と接触して高さ調節を行なうことになる。
【0022】
図12は、加熱位置が図9に示すように基板の中央部であるときの、基板搬送方向に平行なA軸上における基板の高さの変化を示したグラフである。縦軸に基板13の基準高さからのずれを、横軸に加熱位置から最も近くに位置する搬送ローラ9と基板13との接触位置からの距離を示している。高さ調節手段3により基板13を持ち上げた際の基板13の高さを実線で、高さ調節手段3により基板13を持ち上げる前の基板13の高さを破線で示している。200mm間隔に搬送ローラを設けているため、高さ調節手段3により持ち上げる前の基板13の高さは、基板13と搬送ローラ9が接触して支持される、搬送ローラ9の位置から0mmと200mmの地点で最も高くなっている。一方、局所加熱する範囲では、基板13のたわみにより基板13の高さが低くなっている。基板13が支持される搬送ローラ9上の位置においても、搬送ローラ9の偏芯またはローラ軸10のアライメント精度などの要因により、基板13の高さには基準高さからのずれが発生している。このように、局所加熱位置における基板13の高さにばらつきが発生すると、非接触加熱手段1と基板13との距離にもばらつきが発生する。その結果、基板13上の局所加熱する範囲における温度分布にばらつきが発生して、乾燥後に形成される膜の品質が安定しない。
【0023】
図12に示すように、高さ調節手段3により基板13を持ち上げることにより、局所加熱する範囲の近傍の基板13の高さを基準高さに補正することができる。高さ調節手段3の支持部材2は、基板13上の局所加熱位置の直下に配置すると、基板13から支持部材2に熱が伝播することにより、局所加熱する範囲の温度分布にばらつきが発生してしまう。そのため、高さ調節手段3の支持部材2は、局所加熱位置に熱影響が及びにくくするために、基板13上の局所加熱位置の直下の周辺に設けられる。その結果、基板13と支持部材2とが接する位置では、基板13の高さが基準高さに補正され、局所加熱位置における基板13の高さには、わずかに基板13の自重によるたわみによる低下が認められる。しかし、この場合の基板13の高さのばらつきはわずかであり、局所加熱位置の加熱温度に影響が現れない程度である。よって、高さ調節手段3により基板13を持ち上げて基準高さに設定することにより、局所加熱する範囲の基板13の高さを精度よく維持することができるため、乾燥後に基板13上に形成される膜の品質を安定させることができる。
【0024】
図13は、加熱位置が図10に示すように基板の端部であるときの、基板搬送方向に平行なB軸上における基板の高さの変化を示したグラフである。縦軸に基板13の基準高さからのずれを、横軸に加熱位置から最も近くに位置する搬送ローラ9と基板13との接触位置からの距離を示している。高さ調節手段3により基板13を持ち上げた際の基板13の高さを実線で、高さ調節手段3により基板13を持ち上げる前の基板13の高さを破線で示している。図13に示すように、高さ調節手段3により持ち上げる前の基板13の高さは、基板13と搬送ローラ9が接触して支持される、搬送ローラ9の位置から0mmの地点で最も高くなっている。一方、局所加熱する範囲では、基板13の自重によるたわみにより基板13の高さが低くなっているが、局所加熱位置が基板13の端部であるため、基板13は片持ち状態になって基準高さからのずれが大きくなっている。この場合にも、高さ調節手段3により基板13を持ち上げることにより、局所加熱する範囲の基板13の高さを精度よく維持することができるため、乾燥後に基板13上に形成される膜の品質を安定させることができる。
【0025】
図14は、加熱位置が図11に示すように基板の四隅部であるときの、基板搬送方向に平行なC軸上における基板の高さの変化を示したグラフである。縦軸に基板13の基準高さからのずれを、横軸に加熱位置から最も近くに位置する搬送ローラ9と基板13との接触位置からの距離を示している。高さ調節手段3により基板13を持ち上げた際の基板13の高さを実線で、高さ調節手段3により基板13を持ち上げる前の基板13の高さを破線で示している。図14に示すように、高さ調節手段3により持ち上げる前の基板13の高さは、基板13と搬送ローラ9が接触して支持される、搬送ローラ9の位置から0mmの地点で最も高くなっている。一方、局所加熱する範囲では、基板13の自重によるたわみにより基板13の高さが低くなっているが、局所加熱位置が基板13の四隅部であるため、基板13は最もたわみやすく基準高さからのずれが大きくなっている。この場合にも、高さ調節手段3により基板13を持ち上げることにより、局所加熱する範囲の基板13の高さを精度よく維持することができるため、乾燥後に基板13上に形成される膜の品質を安定させることができる。
【0026】
図15は、本実施の形態に係る、高さ調節手段の支持部材の配置位置の一例を示した概略図である。図15に示すように、基板13と対向する面と垂直方向に、基板13の局所加熱位置を通る軸を中心軸Oとして、この中心軸Oを通り、基板搬送方向と平行な面を面A、中心軸Oを通り基板搬送方向と直角な面を面Bとする。互いに直交する面A、面Bによって区切られる四つのエリアに支持部材2を三つ以上配置する。中心軸Oから最も遠い支持部材2と中心軸Oとの間の距離Rは、支持部材2の配置、間隔および数量などのパラメータから適宜決定される。また、各エリアに配置される支持部材2は、全てが等間隔でなくてもよい。図16から19は、本実施の形態に係る、高さ調節手段の支持部材の別の配置位置を示した概略図である。図16に示すように、各エリアに支持部材2を四つずつ配置してもよい。図17に示すように、各エリア内で支持部材2が等間隔となるよう配置してもよい。しかし、図18および図19に示すように、各エリア内において支持部材2が一直線上に並ぶように配置すると、局所加熱位置が基板13の四隅部にある場合に、1つのエリアに存在する一直線上に並んだ支持部材2のみで基板13を支持することになる。この場合、基板13の支持が安定しないため、基板13の高さのばらつきが生じ易くなるため好ましくない。
【0027】
高さ調節手段3の支持部材2の基板13に接触する先端部に使用される材料としては、たとえば、以下の熱伝導性の低い材料が好ましい。ガラスまたはセラミックスなどの無機物。ポリイミド樹脂、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)またはフェノール樹脂などの耐熱性樹脂。金属の中では比較的低熱伝導性を有するステンレスまたはニッケル合金などの金属材料。これらの材料から選ばれた1つまたは2以上組合わせた材料から支持部材2の先端部を構成してもよい。熱伝導性の低い材料で支持部材2の先端部を構成することにより、基板13から支持部材2へ伝播する熱を低減することができ、基板13上の加熱範囲における温度分布のばらつきを少なくすることができる。同じ理由から、支持部材2の先端部の形状は、基板13との接触面積が小さくなるような形状が好ましい。支持部材2の形状を、たとえば、球状、または搬送ローラ9と同程度の曲率を有する湾曲面などの形状にしてもよい。
【0028】
図20は、本実施の形態に係る、高さ調節手段に設けられる支持部材の先端部の一例を示した概略図であり、(A)は基板と支持部材とが接触した状態、(B)は基板が支持部材に持ち上げられている際の状態、(C)は基板と支持部材とが降下している際の状態である。図20に示すように、高さ調節手段3の支持部材2の先端部に球状部2bを設けてもよい。このような構成にした場合、高さ調節手段3により基板13が持ち上げられる際、基板13と支持部材2とは転がり接触することになる。図20(B),(C)に示すように、球状部2bが自由に回転することができるため、球状部2bと基板13との接触点が接触しながら連動して移動する。そのため、球状部2bが設けられていない場合のすべり接触と異なり、基板13の下面側に傷が付くことを防ぐことができる。
【0029】
図21は、本実施の形態に係る、高さ調節手段に設けられる支持部材の先端部の別の一例を示した概略図である。図21に示すように、高さ調節手段3の内部に流路3aが、支持部材2の内部に流路2cが設けられている。このような構成にすることにより、図示しない排気ポンプなどで流路3aおよび2c内を減圧し、支持部材2の先端部2aの開口部から基板13を吸着することができる。この結果、高さ調節手段3の支持部材2により確実に基板13を支持することができ、安定して基板13の高さを設定することができる。
【0030】
本実施の形態によれば、局所加熱する範囲の基板13の高さ位置を精度よく、かつ効率的に補正することが可能となる。この補正は、基板13の自重によるものだけでなく、たとえば、各部品の加工誤差、ローラ軸10の自重によるたわみ、ローラ軸10同士間のアライメントのずれ、搬送ローラ9の偏心などの要因による、基板13の高さのばらつきを低減することにも有効である。
【0031】
実施の形態2
図22は、本発明の実施の形態2に係る局所加熱装置の非接触加熱手段を側面から見た断面図である。本発明の実施の形態2に係る局所加熱装置は、図22に示すように、基板13を加熱する際に、基板13上の局所加熱位置を下面側から加熱する別の非接触加熱手段15が、高さ調節手段3に備えられている。このような構成にすることにより、加熱乾燥時に基板13の上下両面から基板13を加熱することができる。そのため、局所加熱位置の基板13の温度を早期に昇温することができ、乾燥時間を短縮させることができる。非接触加熱手段15が基板13の下面側に直接触れると、基板13自体に機械的ダメージやストレスなどを与えてしまうため好ましくない。非接触加熱手段15としては、非接触で加熱ができ、かつ加熱効率の良好な、熱風ヒータ、ランプヒータおよびレーザなどが好ましい。なかでも比較的取り扱いが容易で、消耗品の交換を含めたランニングコストを低く抑えることができる熱風ヒータが特に好ましい。また、熱風ヒータ、ランプヒータおよびレーザから選択した2以上組合わせたものを使用してもよい。他の構成は、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0032】
実施の形態3
図23は、本発明の実施の形態3に係る局所加熱装置の非接触加熱手段を側面から見た断面図である。本発明の実施の形態3に係る局所加熱装置は、図23に示すように、基板13上の局所加熱位置を下面側から加熱する非接触加熱手段15が高さ調節手段3に備えられている。基板13の上面側には、加熱手段を設けていないため、局所加熱装置の小型化および装置コストの削減を図ることができる。他の構成については、実施形態1,2と同様であるため、説明を省略する。
【0033】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態1に係る局所加熱装置の構造を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態に係る局所加熱装置の非接触加熱手段を側面から見た断面図である。
【図3】局所加熱装置における搬送ローラ、非接触加熱手段および基板の位置関係を説明する概略図である。
【図4】基板中央部を加熱する際の、高さ調節手段を有さない局所加熱装置における搬送ローラ、加熱手段および基板の位置関係を説明する概略図であり、(A)は斜視図、(B)は側面図である。
【図5】基板端部を加熱する際の、高さ調節手段を有さない局所加熱装置における搬送ローラ、加熱手段および基板の位置関係を説明する概略図であり、(A)は斜視図、(B)は側面図である。
【図6】同実施の形態に係る局所加熱装置における高さ調節手段を示した概略図である。
【図7】同実施の形態に係る局所加熱装置における高さ調節手段の支持部材の配置例を示した概略図である。
【図8】同実施の形態に係る局所加熱装置における高さ調節手段の支持部材の配置例を示した概略図である。
【図9】同実施の形態に係る局所加熱装置について、加熱位置が基板の中央部であるときの高さ調節手段の配置を示した概略図であり、(A)は基板のたわみ状態を表した斜視図、(B)は上面図である。
【図10】同実施の形態に係る局所加熱装置について、加熱位置が基板の端部であるときの高さ調節手段の配置を示した概略図であり、(A)は基板のたわみ状態を表した斜視図、(B)は上面図である。
【図11】同実施の形態に係る局所加熱装置について、加熱位置が基板の四隅部であるときの高さ調節手段の配置を示した概略図であり、(A)は基板のたわみ状態を表した斜視図、(B)は上面図である。
【図12】加熱位置が図9に示すように基板の中央部であるときの、基板搬送方向に平行なA軸上における基板の高さの変化を示したグラフである。
【図13】加熱位置が図10に示すように基板の端部であるときの、基板搬送方向に平行なB軸上における基板の高さの変化を示したグラフである。
【図14】加熱位置が図11に示すように基板の四隅部であるときの、基板搬送方向に平行なC軸上における基板の高さの変化を示したグラフである。
【図15】同実施の形態に係る、高さ調節手段の支持部材の配置位置の一例を示した概略図である。
【図16】同実施の形態に係る、高さ調節手段の支持部材の別の配置位置を示した概略図である。
【図17】同実施の形態に係る、高さ調節手段の支持部材の別の配置位置を示した概略図である。
【図18】同実施の形態に係る、高さ調節手段の支持部材の別の配置位置を示した概略図である。
【図19】同実施の形態に係る、高さ調節手段の支持部材の別の配置位置を示した概略図である。
【図20】同実施の形態に係る、高さ調節手段に設けられる支持部材の先端部の一例を示した概略図であり、(A)は基板と支持部材とが接触した状態、(B)は基板が支持部材に持ち上げられている際の状態、(C)は基板と支持部材とが降下している際の状態である。
【図21】同実施の形態に係る、高さ調節手段に設けられる支持部材の先端部の別の一例を示した概略図である。
【図22】本発明の実施の形態2に係る局所加熱装置の非接触加熱手段を側面から見た断面図である。
【図23】本発明の実施の形態3に係る局所加熱装置の非接触加熱手段を側面から見た断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 非接触加熱手段、2 支持部材、2a 先端部、2b 球状部、2c 流路、3 調節手段、3a 流路、4 昇降装置、5,7 可動子、6 下面側スライド装置、8 上面側スライド装置、9 搬送ローラ、9a 頂点、10 ローラ軸、11 ローラ軸支持部材、12 スライド装置支持部材、13,14 基板、13a 基板端部、13b 四隅部、15 非接触加熱手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を局所的に加熱する装置であって、
前記基板を搬送する搬送手段と、
前記基板に非接触な状態で加熱する非接触加熱手段と、
前記基板の加熱対象となる局所位置の下面側から、複数の点で前記基板と接触して前記基板を支持する支持部材により、前記基板を持ち上げて基準高さに設定する高さ調節手段と、
前記非接触加熱手段および前記高さ調節手段を前記基板の前記局所位置に位置決めする移動手段と、
を備える、局所加熱装置。
【請求項2】
前記基板と対向する面と垂直方向に、前記基板の前記局所位置を通る軸を中心軸Oとして、この中心軸Oを通り基板搬送方向と平行な面を面A、中心軸Oを通り基板搬送方向と直角な面を面Bとすると、
前記支持部材が、前記面Aおよび面Bにより区切られる四つの領域にそれぞれ3つ以上、かつ面Aおよび面Bのそれぞれに対して対称に配置される、請求項1に記載の局所加熱装置。
【請求項3】
前記非接触加熱手段が、熱風ヒータ、ランプヒータおよびレーザから選ばれた1つまたは2以上組み合わせたものである、請求項1または2に記載の局所加熱装置。
【請求項4】
前記非接触加熱手段が前記基板の上方および下方のいずれか一方または両方に設けられる、請求項1から3のいずれかに記載の局所加熱装置。
【請求項5】
前記支持部材の基板に接触する先端部が湾曲面を有する、請求項1から4のいずれかに記載の局所加熱装置。
【請求項6】
前記支持部材の先端部が、前記搬送手段に備えられる搬送ローラと略等しい曲率を有する、請求項1から5のいずれかに記載の局所加熱装置。
【請求項7】
前記支持部材の先端部に開口部が設けられ、該開口部に負圧を発生させて基板を吸着させる、請求項1から6のいずれかに記載の局所加熱装置。
【請求項8】
前記支持部材の先端部に球状部が形成され、該球状部が自由に回転できる、請求項1から4のいずれかに記載の局所加熱装置。
【請求項9】
前記非接触加熱手段および前記高さ調節手段が、少なくとも一軸方向に移動可能である、請求項1から8のいずれかに記載の局所加熱装置。
【請求項1】
基板を局所的に加熱する装置であって、
前記基板を搬送する搬送手段と、
前記基板に非接触な状態で加熱する非接触加熱手段と、
前記基板の加熱対象となる局所位置の下面側から、複数の点で前記基板と接触して前記基板を支持する支持部材により、前記基板を持ち上げて基準高さに設定する高さ調節手段と、
前記非接触加熱手段および前記高さ調節手段を前記基板の前記局所位置に位置決めする移動手段と、
を備える、局所加熱装置。
【請求項2】
前記基板と対向する面と垂直方向に、前記基板の前記局所位置を通る軸を中心軸Oとして、この中心軸Oを通り基板搬送方向と平行な面を面A、中心軸Oを通り基板搬送方向と直角な面を面Bとすると、
前記支持部材が、前記面Aおよび面Bにより区切られる四つの領域にそれぞれ3つ以上、かつ面Aおよび面Bのそれぞれに対して対称に配置される、請求項1に記載の局所加熱装置。
【請求項3】
前記非接触加熱手段が、熱風ヒータ、ランプヒータおよびレーザから選ばれた1つまたは2以上組み合わせたものである、請求項1または2に記載の局所加熱装置。
【請求項4】
前記非接触加熱手段が前記基板の上方および下方のいずれか一方または両方に設けられる、請求項1から3のいずれかに記載の局所加熱装置。
【請求項5】
前記支持部材の基板に接触する先端部が湾曲面を有する、請求項1から4のいずれかに記載の局所加熱装置。
【請求項6】
前記支持部材の先端部が、前記搬送手段に備えられる搬送ローラと略等しい曲率を有する、請求項1から5のいずれかに記載の局所加熱装置。
【請求項7】
前記支持部材の先端部に開口部が設けられ、該開口部に負圧を発生させて基板を吸着させる、請求項1から6のいずれかに記載の局所加熱装置。
【請求項8】
前記支持部材の先端部に球状部が形成され、該球状部が自由に回転できる、請求項1から4のいずれかに記載の局所加熱装置。
【請求項9】
前記非接触加熱手段および前記高さ調節手段が、少なくとも一軸方向に移動可能である、請求項1から8のいずれかに記載の局所加熱装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2010−78652(P2010−78652A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243907(P2008−243907)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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