説明

局所投与のための麻酔用組成物

リドカインと、プリロカインと、テトラカイン、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩を混合して含有する。好適な組成物は、およそのw/wパーセントで表す以下の成分を含有する:リドカイン基剤、1.5%;プリロカイン基剤、1.5%;テトラカイン基剤、4%;メチルピロリドン、10%;ジメチルスルホキシド、2%;局所ヒアルロニダーゼ、0.08%;グアーガム、1.5%;ツイーン-20、1%;ツイーン-80、0.5%、および100%にするのに必要な水。該組成物は、皮膚上で高い濃度を示し、深い麻酔効果を示し、比較する経皮麻酔剤より速効性の高い麻酔効果の発現を呈する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、ヒト医療の分野、特に多種類の麻酔剤を混合して含む局所麻酔用製剤に関する。
【0002】
(発明の背景)
非常に感度が高い皮膚の神経終末を麻酔したあとにのみ、外科的手技を行うことができる。麻酔剤は、治療的有効量を適用すると、感覚および運動神経線維の神経衝撃伝導を遮断(ブロック)する薬理学的活性作用剤である。その作用は可逆的であり、その使用後は神経線維又は神経細胞に構造的損傷を与えることなく神経機能が回復する。
効果的にするために、局所麻酔剤は麻酔効果を生じさせるために十分な濃度で活性剤を含有し、治療用量を運搬するために十分に無処置の皮膚に浸透させ、麻酔作用を迅速に出現させ、麻酔効果を延長させなければならない。臨床状況での麻酔剤の有効性は、神経線維に達する能力と内因性の遮断活性の両方に依存する。神経浸透、脈管吸収および局所的組織結合性などの要因は、すべて麻酔剤有効性に関する決定要素である。
一般的に局所麻酔は注射器を用いて所望の部位に注射する。ほとんどの局所麻酔の剤形は、組織、神経周辺あるいは硬膜外腔への注射用に液体溶液である。針自体が貫通時に痛みを引き起こし、麻酔剤溶解量により部位での拉筋を引き起こし(痛みの原因ともなる)、さらには液体溶解物に含まれる保存剤により創傷部位に刺痛を起こしうるので、注射の使用には不利益な点がある。痛みの軽減は小児科の分野では特に重要であり、痛みが最小のものであっても患者を心配させ、非協力的にする。
【0003】
局所麻酔剤の使用が知られている。経皮的投与は非経口的処置に伴う危険性を回避し、薬理学的活性成分、保存剤などによる胃腸系副作用を除くため、静脈投与より利点がある。しかしながら、経皮麻酔剤(すなわち皮膚を介する)の使用は問題があることがあり、液体およびジェル状の組成物は成功しないことがある。
リドカインとして知られる式(I)のアミドは、68−69℃の融点を持ち、特に塩酸溶解液の剤形で最も一般的に局所麻酔に用いられ、経静脈的に、又はジェル、軟膏ないしスプレー剤として局所的に投与される(US2.441.498を参照)。残念なことに、局所的に投与する場合、これらの製剤は効率よく経皮的に吸収されず、粘膜表面に吸収される。

【0004】
プリロカインとして知られている式(II)のアミドは、37−38℃の融点を持つ針状結晶形態をとる局所麻酔剤である(英国特許出願公開第839943号参照)。その塩酸塩はエタノールおよびイソプロピルエーテルから結晶化し、水に直ぐに溶解する。不幸なことに、他の局所麻酔剤の場合よりもプリロカインの場合にメトヘモグロビン血症およびチアノーゼがより頻繁に生じるようである。メトヘモグロビン血症は赤血球のヘムタンパク質中に酸化された鉄化合物を形成することからなる赤血球の疾患症状である。通常、プリロカイン塩酸塩の用量が約8mg/kg体重を超えると症状が顕れるが、非常に若い人は罹患しやすい。この事実のため麻酔をかけられる領域のサイズは大きく制約を受ける。
皮膚を通しての薬剤吸収の亢進は長年にわたって研究者が挑戦していることである。また、麻酔効果の速やかな発現と長時間にわたる作用をもたらす麻酔剤の効果的な局所用製剤の発見に研究の焦点が当てられてきている。現在入手できる局所的に使用される麻酔製剤は、無処置の皮膚に塗布すると、一般に効果がないか、部分的な効果があるだけである。
【0005】
麻酔の長時間化に対する一つのアプローチ法は局所麻酔剤を血管収縮剤と併用することであるが、またかなりの副作用を生じる。他のアプローチ法は幾つかの麻酔剤と異なった局所用賦形剤を併用することである(例えば欧州特許出願公開第43738号、国際公開第9633706号参照)。実際、現在、経皮麻酔のための最も成功している市販製剤は、Astra Lakemedel AB(Sweden)のEMLA(ある国では登録された商標)と呼ばれるリドカイン-プリロカインクリームである(米国特許第4562060号参照)。幾つかの臨床試験では、EMLAクリームはリドカイン又は塩化エチルよりも好ましいことが見出されている。EMLAは、カルボマー(カルボポール(Carbopol(登録商標))で増粘された水中にリドカインおよびプリロカイン基剤(2.5重量%および2.5重量%)の共晶混合物である有機相がある水中油型エマルションである。共晶混合物はその成分の何れか一つのものよりも低い融点を有している。EMLAクリームは、皮膚を通して速やかな吸収を誘導するための閉鎖又は半閉鎖包帯の下に厚い層として塗布される。
【0006】
EMLAの主要な不具合は、その麻酔発現までの時間が比較的長く、およそ1時間かそれ以上かかることである。この発現時間は幾つかの臨床施術の場合はあまり実用的ではない。裂けた皮膚の移植収集(split skin graft harvesting)のようなより観血的な施術では、EMLAは外科手術の少なくとも2時間前に塗布されなければならない。そのような遅延は、特に小児科の分野で、患者と医療スタッフの両者に対して問題である。さらに、EMLAは麻酔剤を塩基形態で導入するためにpH9.0で製剤されている。酸性pH(5から約5.5)を有する皮膚はそのような高塩基性pHに感受性であり、顕著な皮膚の痒みが生じうる。EMLAの経皮適用は、一過性の局所的発赤または紅斑が続く一過性の局所的青白化を引き起こす場合がある。EMLAの他の欠点は、深部への浸透効果を得るには、クリームを閉鎖包帯の下に適用する必要があることである。
EMLAクリームを改良する幾つかの試みがなされている。一例は、血管拡張剤をさらに含む局所用麻酔組成物である。リドカイン基剤、プリロカイン塩酸塩、ジブカイン、血管拡張剤および担体を含む製剤は特許出願国際公開第01/54679号に記載されている。他の例は、米国特許第5993836号に記載された親油基剤中にリドカイン及びプリロカインの共晶混合物を含有する局所麻酔用組成物である。この麻酔製剤は、EMLAクリームのような類似の経皮麻酔剤よりも有意に速やかな発現作用を有していることが報告されている。
【0007】
テトラカイン塩酸塩(アメソカイン)は式(III)のエステルタイプの局所麻酔剤である(米国特許第1889645号参照)。市場にはテトラカイン塩酸塩を含む多くの局所用製剤が存在しており、その一つがT.J. Smith & Nephew Limited(英国)のAMETOP(英国特許出願公開第2258397号参照)であり、これは40mgの活性成分(4w/w%)、水性ゲル化剤及び薬学的に受容される塩を含んでいる。
しかして、皮膚上で高濃度で、速やかでかつ深い麻酔をもたらす局所用麻酔組成物があることが非常に望ましいと思われる。特に、リドカインとプリロカインの利点を持つが、それに付随する上述の制約を持たない局所麻酔剤があることが望ましい。
【0008】
(発明の概要)
意外にも、リドカイン、プリロカイン及びテトラカインの混合物を含む局所投与用麻酔組成物が、EMLAクリームのような類似の経皮麻酔薬よりも有意に速やかな麻酔効果の発現を示すことが見出された。
従って、本発明の一態様は、(i)治療上安全で有効な量のリドカイン又はその薬学的に受容可能な塩;(ii)治療上安全で有効な量のプリロカイン又はその薬学的に受容可能な塩;および(iii)治療上安全で有効な量のテトラカイン又はその薬学的に受容可能な塩を含んでなる、局所投与用医薬組成物に関する。
特定の実施態様では、組成物は水をさらに含んでなる。テトラカインがその塩酸塩として存在している場合、それは水に溶解し得、あらかじめ調製されたリドカインとプリロカインの混合物に添加することができる。テトラカインがそのままの場合には、水は必要ではないので、テトラカインはリドカインとプリロカインの混合物に直接加えることができる。場合によっては、リドカイン、プリロカイン及びテトラカインの混合物をアルコール(例えばエタノール、イソプロパノール及びその混合物)に溶解させることもできる。
【0009】
他の実施態様では、一方ではリドカイン又はその塩と、他方ではプリロカイン又はその塩が共晶混合物を形成する。共晶混合物として、組成物は室温で液体のままであり、皮膚を通しての浸透が亢進される結果、短い時間での効果の達成、より高い効率、少ない副作用を達成できる。特に、リドカイン又はその塩は約0.5w/w%〜約5w/w%の量であり、プリロカイン又はその塩は約0.5%〜約5%の量でありうる。より詳細には、リドカイン、プリロカイン又はその塩は約1.5w/w%の量である。他方、テトラカイン又はその塩は約0.5w/w%〜約8%w/wの量であり得、より詳細には、約4w/w%の量でありうる。
他の実施態様では、医薬組成物は局所用製剤を構成するために適当な量の薬学的に受容可能な賦形剤をさらに含んでなる。組成物は異なったタイプの賦形剤を含有しうる:皮膚浸透促進剤、展着剤(spreading agents)、粘性増強剤、界面活性剤及び保存料である。場合によっては、当業者には明らかなように、他の成分を、その薬学的に受容性を高めるのに適切な量で本発明の組成物に添加することができる。
【0010】
組成物は、皮膚の障壁を可逆的に改変することによって活性成分の経皮吸収を亢進する少なくとも一種の皮膚浸透促進剤を含有しうる。使用することができる好適な皮膚浸透促進剤は、皮膚を通して速やかに吸収され多くの他の化学物質の経皮吸収を亢進させるメチルピロリドンやジメチルスルホキシド(DMSO)のような双極子非プロトン性溶媒である。特定の実施態様では、メチルピロリドンは約5w/w%〜約20w/w%の量である。より好ましい実施態様では、メチルピロリドンは約10w/w%の量である。他の特定の実施態様では、皮膚浸透促進剤はジメチルスルホキシド(DMSO)であり、約0.5w/w%〜約5%w/wの量であり、より詳細には、約2w/w%の量である。
組成物は、麻酔剤の均一な伸展を容易にする、少なくとも一の展着剤を含みうる。特定の実施態様では、展着剤は、ヒアルロニダーゼおよび/またはムコポリサッカリダーゼの誘導体から選択される。それらは、細胞外組織圧の上昇を防止し、十分に高いレベルでは神経毒損傷を生じうる局所麻酔剤の巣状滞留をまた防止する。
【0011】
組成物は増粘剤としても知られている少なくとも一種の粘性増強剤を含みうる。使用することができる増粘剤には当業者に知られているものが含まれ、例えば化粧品、食品及び医薬製剤に頻繁に使用される親水性及び水アルコール性ゲル化剤である。好ましくは、カルボポールN-940のような市販のカルボマーが使用される。他の好適なゲル化ポリマーはグアーガムである。特定の実施態様では、粘性増強剤は約0.5w/w%〜約2w/w%の量である。
組成物はまた乳化剤としても知られている少なくとも一種の界面活性剤を含有しうる。これらの化合物は安定な医薬、化粧品及び食品用エマルションの調製に広く使用されている。好適な実施態様では、界面活性剤は非イオン性界面活性剤であり、より特定の実施態様では、ポリソルベートが使用される(例えばポリソルベート20及び80)。
【0012】
本発明の組成物は滅菌条件下で調製され包装されうる。あるいは、少なくとも一種の好適な抗菌剤を保存料として製剤中に導入することができる。本発明において有用な既知の保存料の幾つかにはその酸性形態またはナトリウム塩としてのメチルパラベン及びプロピルパラベンが含まれる。
本発明の局所用製剤は、当該分野でよく知られているように、非常に種々の製品形態にすることができる。これらには、とりわけ、ローション、クリーム、ゲル(ジェル)、スティック状、スプレー、軟膏およびペーストが含まれる。組成物の適用を容易にするために、それらは、例えばディスペンサーに入れるか又は包帯、パッチ又はパッドの表面に施与することができる。これらの製品形態は、とりわけ、崩壊剤(dissolutions)、エアロゾル、エマルションゲル、固形物及びリポソームを含む幾つかのタイプの担体を含みうる。
本発明の他の態様は、示したおよそのw/wパーセントの以下の成分を含有する局所投与用医薬組成物に関する:リドカイン基剤、1.5%;プリロカイン基剤、1.5%;テトラカイン基剤、4%;メチルピロリドン、10%;ジメチルスルホキシド、2%;局所ヒアルロニダーゼ、0.08%;グアーガム、1.5%;ツイーン(Tween)-20、1%;ツイーン-80、0.5%、および100%にするのに必要な水。
【0013】
本発明の組成物の適用(塗布)は、皮膚のある領域を組成物の薄層に接触させることを含む。静脈用器具が使用される場合、本発明の組成物の適用は好ましくはその挿入部位に対してなされる。組成物は麻酔効果発現の適切な時間の間、作用するようになされる。「麻酔効果発現」という用語は神経終末に対するピーク効果までの時間を意味する。本発明の組成物では、この時間は他の市販の組成物の場合よりも短い。好適な使用方法では、3回の連続した適用がなされうる:最初の適用の後に10分間休止時間をおいて麻酔効果を達成する;第二回目の適用後にさらに10分間、そして第三回目の適用後に5分間の休止時間をおく。この合計で25分の後に、組成物を取り除くことができ、外科手術を行うか又は医療器具を挿入することができる。本発明の組成物の麻酔効果は、患者の代謝に応じて、約1時間から約5時間続く。他の利用できる組成物と比較すること、効果はより長く続き、時間的に増大する。
【0014】
速やかな発現に加えて、本発明の製剤は、皮膚を通しての速やかな吸収を達成するために閉鎖又は半閉鎖包帯の適用に依存しない点で有利である。必要ではないが、閉鎖を適用してもよい。本発明の組成物は、皮膚に直接に塗布されるか、あるいは表面に活性化合物が塗布されている半透膜のパッチまたはパッドを含む経皮処置系を使用して塗布されうる。
本発明の組成物は表層の皮膚の処置の前に特に有用である。これらには、とりわけ、表面疣贅摘出、浸潤又は軟属腫摘出が含まれる。同じことが美容的(エステティック的)処置、例えばピーリング、皺のマイクロパンクチュアー充填、レーザ又はフェイシャルフィリングの適用の前;および医療器具の挿入の前に適用される。
【0015】
ここで使用される「安全で有効な量」という用語は、所望の皮膚の恩恵を得るのに十分に多いが、医療判断の範囲で深刻な副作用を避けるのに十分に低い活性成分または組成物の量を意味する。ここで使用される「医薬的に受容可能な」という用語は、過度の毒性、痒み、不耐性、不安定性、アレルギー反応等がなく、組織へ接触させて使用するのに適していることを意味する。ここで使用される全ての数値範囲はその上限値と下限値を含むことを意味する。別段の記載がない限り、本発明の組成物における全てのパーセントは重量対重量基準である。明細書および特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という語句は他の技術的特徴、添加剤、成分、または工程を除外するものではない。本出願の要約書は明細書に援用される。本発明のさらなる目的、利点および特徴は明細書の精査に基づき当業者には自明でありまたは本発明の実施により知得されうる。次の特定の実施例は例証のために提供するものであって、本発明を限定することを意図するものではない。
【0016】
(特定の実施例の詳細な説明)
組成物の調製
以下の表に示す組成物(1チューブ当たり)を用いて30gのチューブを調製した:

【0017】
リドカイン基剤およびプリロカイン基剤は計量して、2mmのメッシュにてふるい分けた。溶解物A、B、D、E、FおよびGの成分は別々に計量した。また、各々の溶解物に必要な量の蒸留水を100mL容器に準備した。溶解物Aの蒸留水を適当な容器中で加熱し、溶解するまでニパギン(Nipagin)とニパゾル(Nipasol)を加えた。混合物を放置して冷ました。ついで、ツイーン-20を加え、混合物を泡立たせないようにストリッピングナイフを用いて撹拌した。グアーガムを混合物に加えて、ガラス棒にて10分間撹拌した。蒸留水を含む100mL容器に、テトラカインHClを加え、規則的な速度の磁気撹拌機にて15分間の溶解を行った。テトラカイン溶解物を溶解物Aに加えて、均質になるまで10分間撹拌した。リドカイン基剤とプリロカイン基剤を、15分間乳鉢中で混合して液化させ、結果として完全に融合した共晶混合物を得た。共晶混合物を前述の混合物に加えて、完全に均質になるまで10分間撹拌した。結果として生じた生成物を、100mL容器へ移した。ヒアルロニダーゼを等量の蒸留水と混合して、ガラス棒で撹拌した。この溶解物を前述の混合物に加えた。最後に、溶解物E、FおよびGを連続的に加え、完全に均質になるまで撹拌した。結果として生じた生成物30gをアルミニウム管へ移した。
【0018】
本発明の局所麻酔用組成物とEMLAクリームの比較臨床研究:効果と副作用
本研究の目的は、本発明の局所投与用組成物とEMLAクリームとの効果を比較することである。また、両組成物の副作用についても評価した。本研究は、2年間でのべ2700人の15〜65歳の個人集団に対して行った。表層いぼ摘出、浸潤、フェイシャルフィリングの適用、レーザー又は皺のマイクロパンクチュアー充填などの種々の表在性皮膚科的処置を行った。
本発明の局所麻酔用組成物は、半分の個人集団を対象に外科的手術前に閉鎖せずに30分間塗布した。EMLAは、残る半分の個人集団を対象に外科的手術前に閉鎖して60分間塗布した。痛みの程度は、最小値(痛みのない状態に相当)「0」と最大値(最大の痛みに相当)「10」とする視覚的アナログスケール(VAS)を用いて患者自身に評価してもらった。痛みの程度は皮膚科的処置の間に評価する一方で、副作用の危険度は麻酔適用から皮膚科的処置の終わりまでの間に評価した。
表1に麻酔効果についての結果を示す。
表2および3は、両クリーム適用中および適用後の副作用危険度の評価の結果を示す。表2は本発明の組成物の副作用について、表3はEMLAの副作用についての結果である。両ケースにおいて副作用を示す患者がわずかにいたが、EMLAのケースではその副作用はより急性で、本発明の組成物のケースではその副作用はより短期間で自然に回復する程度の穏やかなものであった。



表に示す結果から、本発明の組成物は、同じタイプの皮膚科学的および/または皮膚麻酔処置を行ったEMLAと比較して、より効果が大きく効果の発現までが短いことが明らかとなった。EMLAの有効性は適用に2倍の時間を要する点で実質的に半分である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 治療上安全で有効な量のリドカイン又はその薬学的に受容可能な塩;
(ii) 治療上安全で有効な量のプリロカイン又はその薬学的に受容可能な塩;および、
(iii)治療上安全で有効な量のテトラカイン又はその薬学的に受容可能な塩
を含んでなる、局所投与用医薬組成物。
【請求項2】
水をさらに含んでなる、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項3】
一方のリドカイン又はその塩と、他方のプリロカイン又はその塩とが共晶混合物を形成する、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
リドカイン又はその塩が約0.5w/w%〜約5w/w%の量であり、プリロカイン又はその塩が約0.5%〜約5%の量である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
リドカイン又はその塩が約1.5w/w%の量であり、プリロカイン又はその塩が約1.5%の量である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
テトラカイン又はその塩が約0.5w/w%〜約8w/w%の量である、請求項3ないし5の何れか一に記載の医薬組成物。
【請求項7】
テトラカイン又はその塩が約4w/w%の量である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
局所用製剤を構成するために適当な量の薬学的に受容可能な賦形剤をさらに含んでなる、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項9】
賦形剤が少なくとも一の皮膚浸透促進剤を含む、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
皮膚浸透促進剤がメチルピロリドンである、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
メチルピロリドンが約5w/w%〜約20w/w%の量である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
メチルピロリドンが約10w/w%の量である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
皮膚浸透促進剤がジメチルスルホキシド(DMSO)である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項14】
ジメチルスルホキシドが約0.5w/w%〜約5w/w%の量である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
ジメチルスルホキシドが約2w/w%の量である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
賦形剤が少なくとも一の展着剤を含む、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項17】
展着剤がヒアルロニダーゼおよびムコポリサッカリダーゼ誘導体から選択される、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
賦形剤が少なくとも一の粘性増強剤を含む、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項19】
粘性増強剤がグアーガムおよびカルボマーから選択される、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
粘性増強剤が約0.5w/w%〜約2w/w%の量である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項21】
賦形剤が少なくとも一の界面活性剤を含む、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項22】
界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
賦形剤が少なくとも一の保存料を含む、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項24】
局所用製剤がローション、クリーム、ゲル、スティック状、スプレー、軟膏およびペーストからなる群から選択される、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項25】
およそのw/wパーセントで表す以下の成分:リドカイン基剤、1.5%;プリロカイン基剤、1.5%;テトラカイン基剤、4%;メチルピロリドン、10%;ジメチルスルホキシド、2%;局所ヒアルロニダーゼ、0.08%;グアーガム、1.5%;ツイーン-20、1%;ツイーン-80、0.5%、および100%にするのに必要な水を含んでなる、局所投与用医薬組成物。
【請求項26】
リドカイン、プリロカインおよびテトラカインを、そのもの又はそれらの薬学的に受容可能な塩として含む混合物の局所麻酔薬組成物の調製への使用。

【公表番号】特表2006−527734(P2006−527734A)
【公表日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516126(P2006−516126)
【出願日】平成16年6月1日(2004.6.1)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050967
【国際公開番号】WO2004/110423
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(505467971)
【Fターム(参考)】