説明

局所用口腔組成物

【課題】薬学的に許容可能なキャリアを混合した安全かつ有効な量の抗菌剤を提供。
【解決手段】抗菌剤として、スズイオン、亜鉛イオン及び銅イオンからなる群から選択される一つ以上の薬剤とポリホスフェート抗歯石剤と医薬的に許容可能な口腔キャリアとを含有する局所用口腔組成物を使用する、ヒトおよび動物における身体の健康増進に関するものであり、前記組成物は、口腔の細菌媒介性疾患および状態の管理、ならびに、口内病原菌と関連細菌毒素および内毒素、およびそれに起因する炎症性サイトカインおよびメディエータの血中への広がりの防止に有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、口腔内の細菌媒介性疾患および口腔内の状態を管理し、かつ、口腔歯周病原体、関連細菌毒素および内毒素、ならびにこれらの口腔病原菌が広がるす炎症性サイトカイン類およびメディエータが広がるのを防ぐのに有効な、1種の抗菌剤または抗菌剤の混合物を含む局所用口腔組成物の使用による、ヒトおよびその他の動物における全身の健康または総体的な全身性の健康の増進および/または向上に関する。より詳細には、本発明は、本局所用口腔組成物を使用して口腔の疾患および状態を治療かつ予防することにより、心臓血管疾患、脳卒中、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、重度呼吸器感染、早産および出産時低体重、神経と発育機能の分娩後機能不全が発生する危険性、ならびに関連する高まる死亡危険性を低減させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
近年の研究により、歯周病(歯肉疾患)は、総体的な全身性の健康に対し、それまで理解されていたよりもはるかに深刻な脅威となり得ることが明らかになった。歯周病の一般的な形である歯周炎は、病原菌が歯肉縁に沿って集積した結果としてこれらの病原体に対して起こる組織破壊的な生体反応に起因する、組織破壊的なプロセスである。歯周炎を患うと、血中への病原菌および/または細菌毒素の放出が起こることがある。血流におけるこのような病原菌および/または毒素の存在に対する宿主反応は、アテローム性動脈硬化症(心臓疾患)の発生、早産、低体重児のリスクの増加の原因となる可能性があり、糖尿病、呼吸器感染、卒中および菌血症(血中に細菌)によって健康が冒されている人々に深刻な脅威となる可能性がある。
【0003】
長い間、細菌が心臓に影響を及ぼす可能性があることが知られてきた。今日では、細菌媒介性疾患である歯周炎患者が、歯周炎を患っていない人より心臓疾患の危険性が高く、かつ胎児の心臓麻痺を起こす危険性が顕著に高い可能性があることを示唆する証拠が増えている。心臓疾患は、ほとんどの先進国の主な死亡原因であり、歯周炎は、ヒトの細菌媒介性疾患の最も主要な原因の1つである。したがって、歯周炎が心臓麻痺の危険性を増加させる影響がほんのわずかであるとしても、全体の患者数では、その罹患率が心臓疾患の危険性に顕著に寄与する可能性がある。
【0004】
歯周病と心臓疾患の関連を説明する、いくつかの理論が存在する。理論の1つは、病原菌が炎症を起こした歯肉を介して血液に入り、冠状動脈(心臓の血管)における脂肪のプラークに接着し、動脈閉塞に寄与する小さな血栓を生じるというものである。研究者らは、頚動脈を塞ぎ脳卒中を引き起こす脂肪斑の70%が細菌を含むことを見出した。それらの細菌の40%が口からのものである。冠状動脈疾患は、脂肪蛋白の集積による冠状動脈壁の肥厚を特徴とする。血栓は、正常な血流を妨げ、心臓を正しく機能させるために必要な栄養素および酸素の量を制限し得る。これが心臓麻痺を引き起こすことがある。他の可能性は、歯肉炎によって引き起こされた全身的な炎症性メディエータの変化が、アテローム斑の発生を増加させ、それが動脈壁の肥厚に寄与するというものである。
【0005】
研究により、糖尿病の患者は糖尿病でない人よりも歯周炎を患う可能性が高く、歯周炎を患うと、糖尿病の血糖値管理が困難になる可能性があることも示唆された。歯周炎を患うと、血糖が増加し、高血糖状態で体が機能する時間を増加させ、その結果糖尿病患者が糖尿病合併症を起こす危険性を増加させ得ることが知られている。したがって、歯周炎の管理は、糖尿病の管理に役立つ可能性がある。近年の研究(「高脂血症の2型糖尿病患者における重度の歯肉炎症および付着喪失(Heightened Gingival Inflammation and Attachment Loss in Type 2 Diabetics with Hyperlipidemia)」、歯周病学雑誌(Journal of Periodontology)、1999年11月)により、管理不十分な2型糖尿病患者は、良く管理された糖尿病患者より歯周病を患いやすいことがわかった。それに加え、その研究はさらに、糖尿病患者が重度の歯周病を患いやすい理由について説明している。その研究は、管理が不十分な糖尿病患者が、歯肉線における細菌性の歯垢に対して、良く管理された糖尿病患者および糖尿病でない人と異なる反応をするのは、恐らくは血清トリグリセリドが高いためであると結論している。管理が不十分な糖尿病患者は、歯肉組織中に有害な蛋白質(サイトカイン類)を多く含み、それが歯肉の破壊的な炎症を引き起こす。有益な蛋白質(成長因子類)が減少すると、感染に対する治癒反応が妨げられる。その研究の研究主任であるクリストファー・カトラー博士(Christopher Cutler,D.D.S.,Ph.D.)は、「管理されていない糖尿病患者における血清トリグリセリドレベルの増加は、歯周病の指標である付着喪失および歯周ポケットの深さの重症度に関係するように思われる」と述べた。
【0006】
歯周炎を患う妊婦が、早産による低体重児を出産する可能性が顕著に高い可能性を示唆する証拠も増加している。歯周炎、および/または血流においてそれに付随する病原菌/毒素の存在によって刺激される炎症反応は、それらが胎児の健康にリスクをもたらすので、妊婦の心配事である。歯周炎を患うと胎児の成長が遅れるように思われるが、これは、妊婦の血中に細菌毒素が放出され、細菌毒素が胎盤に達し、早産を引き起こし得る炎症性メディエータの全身的なレベルを増加させて胎児の成長を妨げることによるものである。科学者らはまた、軽度の炎症が起こると、傷ついた細胞が影響を受けて炎症性化学物質を放出することがあり、その物質は妊娠中絶を誘発させるために使用するものと同様で、子宮頚管の拡張を引き起こし子宮収縮を開始させ得る物質であることも示した。低体重児を早産する危険性は、重度の歯周病患者では少なくとも7.5倍の高さであり、妊娠者の5%で発生し、1年で57億USドルが費やされた。[オッフェンバッカー(Offenbacher)・S、歯周病学雑誌(J.Periodontol.)(1996年10月)、67(10Suppl):1103−13]
研究によって、歯周病が、肺炎、気管支炎、気腫、および慢性閉塞性肺疾患のような重度の呼吸器疾患の危険性を増加させる可能性があることがさらに示唆されている。
【0007】
VA歯科長期試験(DLS)および規範加齢試験(NAS)は、歯周病とあらゆる予後死亡率との関係を調べ、ベースラインにおける歯周の状況は、有意かつ独立した死亡率の予測因子であると結論付けた[アナルスオブペリオドントロジー(Annals of Periodontology)1998年7月号第3(1)巻の339〜49ページ]。試験は、医学的に良好な健康状態の男性について1960年代中盤に開始し、25年を超えて追跡して行われた。口全体の平均ABL(歯根尖端周囲フィルム(periapical film)の全口内用シリーズを使用したスケイ・ルーラ(Schei ruler)によって測定した歯槽骨喪失)の20%の増分ごとに、患者の死の危険性が51%増加することがわかった。死の危険性はまた、歯周ポケットの深さによって臨床的に測定される歯周の状態に関係することもわかった。歯周ポケットの平均深さが最も深い群の対象者は、危険性が74%高いことがわかった。
シカゴ大学の内科医で麻酔医のマイケル・ロイゼン博士(Dr.Michael Roizen)によれば、歯と歯肉の健康を維持すれば、寿命が6.4年延びるということである。実際、米国歯周病学会(American Academy of Periodontology)(AAP)は、ビタミン類を摂取し、喫煙をやめ、ストレスを減らして歯と歯肉の健康度を改善し維持することが、人が寿命を延ばすためにできる最上の方法の1つであることに同意している。
【0008】
歯周病(「歯肉疾患」)は、歯肉と、歯をその下で支える歯槽骨を侵食する疾患を述べるのに使用される、広義の用語である。その疾患は、ヒトやイヌなどの温血動物の多数の種に存在し、疾患の段階または状態、あるいは患者の年齢に応じて、それぞれ異なる様々な症候群を示す一連の疾患を含む。その用語は、初めは周辺の歯肉の部位で発生して歯槽骨にも影響を及ぼし得る、炎症性疾患に対して使用される。歯周病は、歯の周りの組織を取り巻き支える歯周組織(すなわち、歯周靭帯、歯肉、および歯槽骨)に影響を及ぼす。主な歯周病の2つが、歯肉炎(歯肉の炎症)、ならびに歯周炎(歯槽骨の進行性吸収、歯の移動性の増加、および進行段階における歯の喪失を示す歯周靭帯の炎症)である。炎症と変性状態の併発は、複雑性歯周炎と呼ばれる。歯周病の様々な側面に対して使用される他の用語は、「若年性歯周炎」、「急性壊死性潰瘍性歯肉炎」、および「歯槽膿漏」である。
【0009】
歯周病は、以下の症状、すなわち、歯肉の炎症、歯周ポケットの形成、歯周ポケットからの出血および/または膿の排出、歯槽骨の吸収、歯の緩みおよび歯の喪失のうちの1つまたは複数を含むことがある。歯周病は、一般に、歯の表面上および歯周ポケット内に形成される歯垢中に一般的に存在する細菌によって引き起こされ/関連すると考えられている。したがって、歯周病を治療するための既知の方法は、しばしば抗菌剤および/または抗炎症薬の使用を含むものである。
歯槽骨吸収は、歯を支える特殊化した骨性構造からの骨組織の喪失である。このような吸収には多くの原因があり、これらに限られるものではないが、抜歯後の自然な再形成、骨手術、歯周剥離掻爬手術、歯科インプラント、歯石除去および歯根掻爬、ならびに歯周病の進行が挙げられる。
【0010】
歯周病は、成人のヒトの歯の喪失の主な原因である。歯周病による歯の喪失は、35歳で始まる深刻な問題であるが、15歳でも5人中4人が既に歯肉炎で、10人中4人が歯周炎であると推測されている。洗浄用歯磨きで歯を磨くことによって実現される良い口腔衛生状態は、歯周病の発生を減少させるのに役立つ可能性があるが、必ずしもその発生を妨げ、または発生しないようにするものではない。これは、微生物が歯周病の発生と進行の両方に寄与するからである。したがって、歯周病を予防または治療するためには、これらの微生物を、単純な機械的こすり洗い以外の何らかの手段によって抑制しなければならない。この目的のために、これらの微生物を抑制するのに有効な治療用歯磨き、うがい薬、ならびに歯周病の治療方法の開発を目標とする多くの研究がなされてきた。
これらの研究には、二酸化塩素または二酸化塩素発生化合物を含有する口腔ケア組成物および方法を対象としてきたものもある。二酸化塩素は非常に強い酸化剤であり、広範囲の抗菌剤として知られている。
【0011】
従来技術には、二酸化塩素を使用した、さまざまな口腔ケア状態を治療するための組成物および方法が開示されている。これらの従来技術の参照のほとんどが、効果を示すには二酸化塩素の放出が不可欠であると記載している。
従来技術には、口腔ケア組成物中の二酸化塩素を口腔に放出するための様々な方法が記載されている。例えば、全てペリー・A・ラトクリフ(Perry A.Ratcliff)に発行された、米国特許US4,689,215(1987年8月25日発行)、同4,837,009(1989年6月6日発行)、同4,696,811(1987年9月29日発行)、同4,808,389号(1989年2月28日発行)、同4,786,492(1988年11月22日発行)、同4,788,053(1988年11月29日発行)、同4,792,442(1988年12月20日発行)、同4,818,519(1989年4月4日発行)、同4,851,21(1989年7月25日発行)、同4,855,135(1989年8月8日発行)、同4,793,989(1988年12月27日発行)、同4,886,657(1989年12月12日発行)、同4,889,714(1989年12月26日発行)、同4,925,656(1990年5月15日発行)、同4,975,285(1990年12月4日発行)、同4,978,535(1990年12月18日発行)、同5,200,171(1993年4月6日発行)、同5,348,734(1994年9月20日発行)、同5,618,550(1997年4月8日発行)、および同5,489,435(1996年2月6日発行)は、安定化二酸化塩素を使用する口腔ケア組成物および治療方法について記載している。
【0012】
他の従来技術の参照には、プロトン酸や還元糖活性物質などの活性化化合物による二酸化塩素の生成および放出について記載されており、それには、米国特許US5,281,412(ルカコヴィック(Lukacovic)他、1994年1月25日発行、プロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Co.))、同5,110,652(クロス(Kross)他、1992年3月31日発行、アルシド・コーポレーション(Alcide Corporation))、同5,019,402(クロス(Kross)他、1991年5月28日発行、アルシド(Alcide))、同4,986,990(デヴィッドソン(Davidson)他、1991年1月22日発行、アルシド(Alcide))、同4,891,216(クロス(Kross)他、1990年1月2日発行、アルシド(Alcide))、同4,330,531(アリゲール(Alliger)、1982年5月18日発行)、DE2,329,753(1973年12月13日公開、ナショナル・パテント・デベロップメント・コーポレーション(National Patent Development Corp.))、欧州特許EP287,074(クロス(Kross)他、1988年10月19日公開、アルシド(Alcide))、欧州特許EP565,134(クロス(Kross)他、1993年10月13日公開、アルシド(Alcide))、およびPCT国際公開特許WO/95/27472(リヒター(Richter)、1995年10月19日公開)が挙げられる。
【0013】
二酸化塩素組成物に関する他の従来技術の参照としては、GB2,289,841(メーメット(Mehmet)、1995年6月12日公開、ジャニナ・インターナショナル(Janina International))、GB2,290,233(ドレイソン(Drayson)他、1995年12月20日公開、メディカル・エクスプレス・リミテッド(Medical Express Limited))、PCT国際公開特許WO96/25916(ヴァン・デン・ボッシュ(Van Den Bosch)他、1996年8月29日公開、ダイアモンド・ホワイト(Diamond White))、日本特許JP054,311(ツチクラ(Tsuchikura)、1985年3月28日公開)、日本特許JP105,610(ツチクラ(Tsuchikura)、1985年6月11日公開)、およびPCT国際公開特許WO/89/03179(パートロー(Partlow)他、1989年4月20日公開、ニュー・ジェネレーション・プロダクツ(New Generation Products))が挙げられる。
【0014】
二酸化塩素に関する従来技術とは対照的に、PCT国際公開特許WO99/43290、PCT国際公開特許WO99/43294、およびPCT国際公開特許WO99/43295(全て1999年9月2日公開、プロクター・アンド・ギャンブル社(Procter & Gamble Company))は、亜塩素酸イオン自体を口腔に放出して様々な口腔ケア状態に効果を与えることを焦点としてきた。これらの公報に開示された口腔ケア組成物は、亜塩素酸イオンを含有するが、使用時にはその口腔ケア組成物中で二酸化塩素または亜塩素酸を生成せずまたは含有しない(あるいはほんのわずかだけ生成または含有する)。さらに、その亜塩素酸イオン含有組成物は、pHが比較的アルカリ性で、例えば7より高いpHであり、組成物中での二酸化塩素または亜塩素酸の生成を妨げるかまたは最小限に抑えるように特異的に設計される。前述の参照の全体を、参照により本明細書に組み込む。
【0015】
口腔ケア組成物に組み込まれてきた他の抗菌剤は、スズイオンである。スズイオンは、一般に歯磨き剤に添加されるスズの塩を由来とするものである。スズは、歯肉炎、歯垢、および過敏性の軽減と、口臭利益の改善に役立つことがわかっている。クレスト・ガム・ケア(Crest Gum Care)などの歯磨き組成物中のスズは、例えば、歯垢解糖再生モデル(Plaque Glycolysis Regrowth Model)(PGRM)によって測定される歯肉炎量の顕著な減少など、歯磨き剤を使用する対象者に効果を与える。スズの塩、特にフッ化スズおよび塩化スズを含有する歯磨き剤については、米国特許US5,004,597(マジェティ(Majeti)他)に記載されており、その全体を本明細書に組み込む。スズの塩の歯磨き剤については、他に、米国特許US5,578,293に記載されている。
さらに研究は、抗炎症剤のような作用剤を含む口腔ケア組成物に焦点を当ててきた。歯周組織の破壊は、主に、歯周組織および歯肉溝中の細菌に対する生体反応により媒介される間接的な効果によって引き起こされる。細菌代謝は白血球の遊走を誘発し、それが細菌の課題の場所における炎症性細胞の集積を引き起こす。
【0016】
さらに細菌代謝は、白血球細胞、特に単球による、炎症性メディエータの産生を誘発する。中には、アラキドン酸の代謝産物、例えば、ロイコトリエン、プロスタグランジン、トロンボキサンなど、局所疾患のメディエータがある。プロスタグランジンは、組織と歯槽骨の代謝および破壊に特に重要であることがわかっている。実際、歯周組織内におけるプロスタグランジンの産生が、歯周組織内の歯槽骨喪失の重要なメディエータであることがわかっており、歯周が破壊された患者は、歯肉組織および歯肉溝滲出液中のプロスタグランジンE2レベルの上昇を示す。プロスタグランジンおよびトロンボキサンは、酵素カスケードによってアラキドン酸から生成されるものであり、その第1ステップは、シクロオキシゲナーゼと呼ばれる酵素によるシクロオキシゲン化である。シクロオキシゲナーゼを阻害することは、プロスタグランジンの生成を阻害し、その結果歯槽骨喪失を低減させることであり、実際、あるシクロオキシゲナーゼ阻害物質、特にインドメタシンやフルルビプロフェンなどの非ステロイド系抗炎症薬が、歯槽骨吸収を顕著に低減させることがわかっている。
【0017】
しかしながら、R・C・ウイリアムズ(Williams)およびS・オフェンベイカー(Offenbacher)が歯周病学(Periodontology)の2000年第23巻の9〜12ページ(2000年6月)において結論付けているように、全身性疾患の予後における歯周治療の有益な効果を実証する試験はない。さらに、その著者らは、全身的な健康を改善するために特異的に設計された、利用可能な歯周治療プロトコルがないことを報告している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明者らは、口腔の細菌媒介性疾患および状態を効果的に管理し、かつ口内病原菌、関連細菌毒素および内毒素、ならびにそれに起因する炎症性サイトカインおよびメディエータが血中に広がるのを防ぐのに有効な、抗菌剤を含有する局所用口腔組成物が、ヒトおよびその他の動物における身体の健康を増進かつ/または向上させるのに有効であることを見出した。したがって、本発明は、1種の抗菌剤または抗菌剤の混合物を含む局所用口腔組成物と、ヒトおよびその他の動物における全身の健康を増進かつ/または向上させるための、これらの局所用抗菌剤組成物の使用方法に関する。
前述のように、前記参照のいずれも、前述の指針によって測定される、ヒトおよびその他の動物における身体の健康を増進させるための、口腔への局所投与による歯周用治療組成物の使用については開示または提案していない。他の参照としては、共にペトリュス(Petrus)に発行された、米国特許US5,875,798および同5,875,799(1999年3月2日発行)が挙げられ、それぞれ、亜鉛の塩を含浸させたまたはコーティングした、爪楊枝およびデンタルフロスについて開示している。亜鉛を含有する爪楊枝およびフロスの処方は、全身性疾患を治療するのに十分な量の亜鉛イオンを歯周組織から血中に吸収することによる全身性疾患の治療に有用と記載されている。同一所有者のPCT国際公開特許WO97/47292、PCT国際公開特許WO98/17237、およびPCT国際公開特許WO98/17270は、口腔用組成物を使用して、風邪に罹りやすい対象者の歯肉または口腔粘膜組織に適用することにより、インフルエンザなど、風邪および同様の軽微な疾患を予防かつ管理する方法に関する。これらの同時係属出願に開示の口腔用組成物は、H2−拮抗物質、グルコン酸スズ、およびクエン酸亜鉛の塩を、それぞれ活性成分として含有する。米国特許US5,830,511および同6,004,587(ミュレラット(Mullerat)他)は、共に、ハロゲンイオンおよびオキシハロゲンイオンを含有するpH緩衝酸化還元安定化組成物の食用動物(ニワトリ、七面鳥、ブタなど)への全身投与方法、具体的には動物の飲用水を介した投与方法について開示している。その組成物は、動物に免疫刺激効果を与えるフリーラジカルオキシハロゲン中間体を生成し、それが、可能性のある感染と闘う能力の向上、飼料利用の増加、死亡率の低下、窒素排出の低減、および全体的な健康の増進となると言われている。これらの全ての引用文献の全体を、本明細書に組み込む。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(発明の概要)
本発明は、薬学的に許容可能なキャリアを混合した安全かつ有効な量の抗菌剤を含有する局所用口腔組成物を使用する、ヒトおよび動物における身体の健康増進に関するものであり、前記組成物は、口腔の細菌媒介性疾患および状態の管理、ならびに、口内病原菌と関連細菌毒素および内毒素、およびそれに起因する炎症性サイトカインおよびメディエータの血中への広がりの防止に有効である。本発明はまた、安全かつ有効な量の抗菌剤を口腔に局所適用することによる、ヒトおよびその他の動物における身体の健康を増進かつ/または向上させるための、これらの組成物の使用方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(発明の詳細な説明)
本発明は、ヒトおよび動物の身体の健康を増進する局所用口腔組成物に関し、前記組成物は、効果的に、口腔内の細菌媒介性疾患および口腔内状態を管理し、口内病原菌、関連細菌毒素および内毒素、ならびにそれに起因する炎症性サイトカインおよびメディエータが血中に広がるのを防止する、安全かつ有効な量の抗菌剤を含有する。抗菌剤を、亜塩素酸イオン剤;スズイオン剤;トリクロサン(5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)−フェノール);トリクロサン一リン酸;クロルヘキシジン;アレキシジン;ヘキセチジン;サンギナリン;塩化ベンザルコニウム;サリチルアニリド;臭化ドミフェン;塩化セチルピリジニウム(CPC);塩化テトラデシルピリジニウム(TPC);N−テトラデシル−4−エチルピリジニウムクロリド(TDEPC);オクテニジン;デルモピノール;オクタピノールおよび他のピペリジノ誘導体;ナイシン製剤;亜鉛イオン剤;銅イオン剤;芳香油(チモール;メチルサリチラート;オイカリプトール;メンソールを含む);フラノン、リゾチームなどの細胞壁溶解酵素、デキストラナーゼやムタナーゼ(mutanase)などの歯垢マトリックス阻害物質、および、バクテリオシン、ヒスタチン、デフェンシン、セクロピンなどのペプチドを含めたバイオフィルム阻害剤;ならびに、これらの類似体および塩、およびこれらの混合物から選択することが好ましい。
【0021】
本発明はまた、口腔に局所適用することにより、ヒトおよびその他の動物における身体の健康を増進/かつまたは向上させるための、これらの組成物の使用方法にも関する。より詳細には、本発明は、本組成物を使用して口腔の疾患および状態を治療かつ予防することにより、心臓血管疾患、脳卒中、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、呼吸器感染、早産および出産時低体重、神経と発育機能の分娩後機能不全が発生する危険性、ならびに関連する死亡危険性を低減させる方法に関する。好ましい方法では、本組成物は、歯周病を含めた口腔の疾患および症状を治療かつ防止するために使用され、その結果として、以下の健康指標または生体マーカーによって明示するように、治療する個体に関して全身の健康を増進かつ向上させる。
【0022】
1)心臓発作、脳卒中、糖尿病、重篤な呼吸器感染、低体重児出産、および神経/発達機能における出生後の機能不全、ならびにそれに付随する死亡率のリスク増加が発生するリスクの低減
2)動脈の脂肪線条、アテローム斑、斑発生の進行、アテローム斑上の繊維性被膜の薄化、アテローム斑の破裂、およびその後の血液凝固の発生の低減
3)頚動脈(内膜)壁の厚み低減(例えば超音波技術によって評価する)
4)口腔病原体および/またはその毒素成分への血液および体循環暴露の低減、具体的には、動脈斑、動脈構造、および/または離れた臓器(例えば、心臓、肝臓、膵臓、腎臓)中に見られる、口内細菌、リポ多糖体(LPS)および/または口内病原体の発生、および/またはそれらの成分の血中レベルの低減の誘導
5)病原菌の吸入に対する低呼吸追跡(lower respiratory track)の暴露、ならびにその後の肺炎の発生および/または慢性閉塞性肺疾患の悪化の軽減
6)循環ヘマトクリット、ヘモグロビン、白血球数、および/または血小板数の変化の軽減
7)TNF−α、IL−6、CD−14、IL−1などの炎症性メディエータ/サイトカインの、血中/血清中レベルの調節障害発生の低減
8)C反応型蛋白、フィブリノゲン、ハプトグロビンを含めて急性期反応物質の血中/血清中レベルの調節障害発生の低減
9)ホモシステイン、グリコシル化ヘモグロビン、8−イソ−PGF−2α、および尿酸を含めた代謝調節障害の血中/血清中マーカの調節障害発生の低減
10)通常、低下グルコース負荷試験、空腹時血中グルコースレベルの増加、および異常な空腹時インスリンレベルによって評価される、グルコース代謝調節障害の発生の低減
11)血中脂質レベルの調節障害、具体的には、血中または血清コレステロール、トリグリセリド、LDL、HDL、VLDL、アポリポプロテインB、および/またはアポリプロテインA−1を含めた調節障害の軽減
【0023】
本明細書で使用するとき、「身体の健康」とは、心臓血管疾患、脳卒中、糖尿病、重度呼吸器感染、早産および出産時低体重児(関連した神経/発育機能の分娩後機能不全を含む)を含めて、重大な全身性の疾患の発生の危険性、ならびに関連する高い死亡危険性を低減させることを特徴とする、全体的な身体の健康を意味する。
【0024】
本明細書で使用するとき、「口腔の疾患または状態」とは、歯周病、歯肉炎、歯周炎、歯周症、成人および若年性歯周炎、口腔内組織の他の炎症状態、虫歯、壊死性潰瘍性歯肉炎、これらの疾患に起因する口内または口臭の悪臭などの状態、ヘルペス疾患などの他の状態、ならびに、骨手術、抜歯、歯周剥離掻爬手術、歯科インプラントおよび歯石除去と歯根掻爬などの歯科処置後に発生し得る感染症を含めた口腔の疾患を意味する。また特に、歯槽感染症、歯の膿瘍(例えば顎蜂巣炎や顎骨髄炎)、急性壊死性潰瘍性歯肉炎(すなわちワンサン感染症(Vincent's infection))、口内炎感染(すなわち口内粘膜の急性炎症)、および水癌(すなわち壊疽性口内炎または口腔壊疽(cancrum oris))も挙げられる。口腔および歯の感染症については、ファインゴールド(Finegold)の、ヒトの疾患における嫌気性細菌(Anaerobic Bacteria in Human Diseases)、第4章78〜104ページ、および第6章115〜154ページ(1977年、アカデミックプレス社(Academic Press,Inc.)、米国ニューヨーク)に、より詳細に開示されており、その開示の全体を参照により本明細書に組み込む。 本発明の組成物および治療方法は、歯周病(歯肉炎および/または歯周炎)ならびにそれに起因する口臭に特に有効である。
【0025】
本明細書で使用するとき、「局所用口腔組成物」とは、通常の使用過程では、特定の治療用薬剤を全身投与する目的で飲み込むことを意図したものでなく、口腔活性を目的として、口腔内で実質的に全ての歯の表面および/または口腔組織に十分に接触する時間保持する製品を意味する。
本明細書で使用するときには、「安全かつ有効な量」とは、口腔の硬組織および軟組織に安全である一方で所望の利益を提供する、物質の十分な量を意味する。
【0026】
安全かつ有効な量の抗菌剤は、治療する特定の状態、治療する患者の年齢および身体状態、状態の重症度、治療期間、併用療法の性質、使用する抗菌剤の固有形態(すなわち塩)、ならびに抗菌剤をそれによって適用する特定のビヒクルによって異なる。
本明細書で使用するとき、用語「含有」とは、列記した物質がその意図された働きをする間、本発明の組成物中で様々な追加成分を同時に使用できることを意味する。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「キャリア」とは、薬学的に許容可能で、口腔内に本組成物を投与するために使用できる好適なビヒクル(賦形剤および希釈剤を含む)を意味する。
本明細書で使用するとき、「歯磨き剤」とは、特に指定しない限り、練り歯磨き、歯磨き粉、および歯磨きゲルの形態を意味する。
本明細書で使用するとき、「バイオフィルム阻害剤」とは、口内における、細菌の付着、コロニー形成、あるいは、細菌群の互いのおよび/または表面あるいは中間面への付着として定義されるバイオフィルムへの成熟を妨げる薬剤を意味する。
【0028】
本組成物は、歯垢、歯肉炎、歯周病、ヘルペス疾患、ならびに、骨手術、抜歯、歯周剥離掻爬手術、歯科インプラント、歯石除去および歯根掻爬などの歯科的処置後に罹り得る感染症などの、局所的に治療可能な口腔の感染症および疾患を引き起こす微生物を殺し、かつ/または、その細菌代謝および/または長期的な細菌成長の抑制期間、接着性および常在性を変性させるのに効果的である。好ましい抗菌剤は、P.ジンジバーリス(P.gingivalis)、B.フォルシサス(B.forsythus)、A.アクチノミセテムコミタンス(A.actinomycetemcomitans)、T.デンティコーラ(T.denticola)、T.ソクランスキー(T.socranskii)、F.ヌクレアタム(F.nucleatum)、P.インテルメディア(P.intermedia)など、歯周病に関与することで知られる、グラム陰性嫌気性菌に対して選択性のあるものである。L.アシドフィラス(L.acidophilus)、L.カセイ(L.casei)、A.ビスコサス(A.viscosus)、S.ソブリナス(S.sobrinus)、S.サングイス(S.sanguis)、S.ビリダンス(S.viridans)、S.ミュータンス(S.mutans)などの、他の口腔内菌株に有効な抗菌剤も好ましい。
【0029】
口腔の感染症は、全身性の感染症を引き起こし得ると考えられている。細菌は、口から血中に入り、体の他の部分に広がって、ヒトの健康を危険にさらすことがある。最近の研究によって、歯周炎などの口内細菌媒介性疾患は、心臓疾患、糖尿病、重篤な呼吸器疾患および早産、低体重児出産を含めた多数の深刻な症状の発生の一因になる可能性があることがわかった。
今日では、慢性的な歯周感染症が、アテローム性動脈硬化症および血栓塞栓状態の発生ならびに悪化を引き起こし得る、生物学的負荷である細菌内毒素および炎症性サイトカインを産生することは、十分に確立されたことである。さらに、アテローム斑からは、既知の歯周病原体であるポルフィルモナス・ジンジバーリス(Porphyromonas gingivalis)が単離された。歯周病はまた、重度の菌血症、ならびに菌血症に続いて起こり得る心筋梗塞や脳卒中などの血栓塞栓状態の発生を誘発することもわかっている。歯周病に関連する細菌、ストレプトコッカス・サングイス(Streptococcus sanguis)およびポルフィロモナス・ジンジバーリス(Porphyromonas gingivalis)がこれらの細菌に接触すると、血小板の凝集が起こることが実証されている。結果として起こる、細菌が誘発した血小板凝集は、急性心筋梗塞または脳卒中の原因となる塞栓を形成し得る。
【0030】
理論により制限されることを望むものではないが、本組成物は、口腔の細菌媒介性疾患および状態を管理して、その結果、口内病原菌、細菌毒素、および炎症性メディエータ/サイトカインの血中および体の他の部分への広がりを妨げることにより、全体的な体の健康を増進すると考えられている。
一態様では、本発明は、治療用洗浄剤、特にうがい薬、ならびに練り歯磨き、歯磨きゲル、歯磨き粉、非研磨性ゲル(歯肉縁化ゲルを含む)、チューインガム、口腔スプレー、口内錠(口臭予防用ミントを含む)、歯科用器具(デンタルフロス、デンタルテープなど)、およびペットケア製品(栄養用サプリメント、食品、飲用水添加剤、咀嚼用製品、玩具など)を含めて、ヒトまたはその他の動物で使用するための局所用口腔ケア組成物であって、
(a)安全かつ有効な量の、好ましくは必要最低限の有効量の抗菌剤と、
(b)薬学的に許容可能な局所用口腔キャリアとを含有する組成物に関する。
【0031】
好ましい実施形態では、本組成物は、抗菌剤として亜塩素酸イオンを含有し、本質的に次亜塩素酸イオンまたは次亜塩素酸塩を含まず、その最終的なpHが好ましくは7.5より大きく、さらに好ましくは約8〜12であり、最終組成物が本質的に二酸化塩素または亜塩素酸を含まない。本組成物に、亜塩素酸イオンの重量で約0.02%〜約6.0%を含有する量で、亜塩素酸イオン剤が組み込まれることが好ましい。
他の好ましい実施形態では、本組成物は、抗菌剤として、有効な量の約3,000ppm〜約15,000ppmのスズイオンを含有する。3,000ppm未満のスズの効力は、有意ではない。スズイオンが、約5,000ppm〜約13,000ppmの量存在することが好ましく、約7,000ppm〜約10,000ppmの量存在することがより好ましい。これは、歯の表面に放出されるスズイオンの総量である。
【0032】
好ましいスズの塩は、フッ化スズ、および二水和塩化スズである。他のスズの塩としては、酢酸スズが挙げられる。合成したスズの塩は、一般に、最終組成物の重量で約0.25%〜約11%の量で存在する。スズの塩が、約0.5%〜約7%、より好ましは約1%〜約5%、最も好ましくは1.5%〜約3%の量で存在することが好ましい。
【0033】
本組成物および本方法で使用できる他の抗菌剤としては、ハロゲン化ジフェニルエーテル、フェノールおよびその同族体を含めたフェノール化合物、モノおよびポリ−アルキルならびに芳香族ハロフェノール、レゾルシノールおよびその誘導体、ビスフェノール化合物およびハロゲン化サリチルアニリド、安息香酸エステル、ハロゲン化カルバニリドなどの、水不溶性で陽イオン性ではない抗菌剤が挙げられる。水溶性抗菌剤としては、特に四級アンモニウム塩、およびビス−ビクアニド塩などが挙げられる。トリクロサン一リン酸は、追加の水溶性抗菌剤である。四級アンモニウム剤には、四級窒素上の1つまたは2つの置換基が炭素原子約8〜約20個、通常約10〜約18個の炭素鎖長(通常はアルキル基)であり、残りの置換基(通常アルキル基またはベンジル基)が炭素原子約1〜約7個など、炭素原子数が少なく、通常メチル基またはエチル基であるものが含まれる。臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルピリジニウム、臭化ドミフェン、塩化N−テトラデシル−4−エチルピリジニウム、臭化ドデシルジメチル(2−フェノキシエチル)アンモニウム、塩化ベンジルジメチルステアリルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、四級化5−アミノ−1,3−ビス(2−エチル−ヘキシル)−5−メチルヘキサヒドロピリミジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、および塩化メチルベンゼトニウムは、典型的な四級アンモニウム抗菌剤の例である。他の化合物には、1980年6月3日ベイリー(Bailey)に発行の米国特許第4,206,215に開示のビス[4−(R−アミノ)−1−ピリジニウム]アルカンがある。なお、この特許を参照により本明細書に組み込む。銅ビスグリシネート、銅グリシネート、クエン酸亜鉛、乳酸亜鉛などの抗菌剤も含めることができる。エンドグリコシダーゼ、パパイン、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、およびこれらの混合物を含めた抗菌酵素も有用である。このような薬剤については、米国特許第2,946,725号(ノリス(Norris)他、1960年6月26日発行)、および米国特許第4,051,234号(ジェスケ(Gieske)他、1977年9月27発行)に開示されており、これらを参照により本明細書に組み込む。好ましい抗菌剤としては、クロルヘキシジン、トリクロサン、トリクロサン一リン酸、セチルピリジニウムクロリド、ならびに、チモール、メチルサリチラート、オイカリプトール、メンソールなどの芳香油が挙げられる。トリクロサンならびにこのタイプの薬剤については、米国特許第5,015,466号(パラン・ジュニア(Parran, Jr.)他、1991年5月14日発行)、および米国特許第4,894,220号(ナビ(Nabi)他、1990年1月16日発行)に開示されており、これらを参照により本明細書に組み込む。これらの薬剤は、本組成物の重量で少なくとも約0.01%の濃度で存在することができる。
【0034】
本組成物が、抗炎症剤(シクロオキシゲナーゼ阻害物質およびリポキシゲナーゼ阻害物質を含む)、H2−拮抗物質、メタロプロテナーゼ阻害物質、サイトカイン受容体拮抗物質、リポ多糖体錯化剤、組織成長因子、免疫刺激剤、細胞酸化還元変性剤(酸化防止剤)、鎮痛剤、ホルモン類、ビタミン類、およびミネラル類から成る群から選択される、1つまたは複数の治療用添加剤をさらに含むことが好ましい。
【0035】
(亜塩素酸イオン含有組成物)
本発明は、組成物および組成物の使用方法に、抗菌剤として亜塩素酸イオンを含むことができる。亜塩素酸イオンは、どのようなタイプの亜塩素酸塩を由来とすることもできる。その例としては、アルカリ金属の亜塩素酸塩、アルカリ土類金属の亜塩素酸塩、および任意の他の遷移金属類、内部遷移金属の亜塩素酸塩、および/またはポリマー塩が挙げられる。水溶性の亜塩素酸塩が好ましい。好適な金属亜塩素酸塩の例としては、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、および亜塩素酸カリウムが挙げられる。亜塩素酸ナトリウムおよび亜塩素酸カリウムが好ましい。
【0036】
特に、亜塩素酸ナトリウムが好ましい。2つまたはそれ以上の亜塩素酸塩源の混合物を使用してもよい。
本発明の歯磨き組成物では、亜塩素酸イオン濃度は、組成物の重量で約0.02%より多く、好ましくは約0.4%より多く、より好ましくは約0.6%より多く、さらに好ましくは約0.75%より多く、最も好ましくは約1%〜約2%である。
本発明の口内リンス剤組成物では、亜塩素酸イオン濃度は、組成物の重量で約0.02%より多く、好ましくは約0.075%より多く、より好ましくは約0.15%より多い。
【0037】
本発明の口内錠または口臭予防用ミントでは、亜塩素酸イオンの量は、単位当たり約0.1mg〜約12mg、好ましくは約1mg〜約6mgである。
本発明のガム組成物では、亜塩素酸イオンの量は、1個当たり約0.1mg〜約12mg、好ましくは約1mg〜約6mgである。
歯肉炎の治療または予防では、本組成物が、その重量で約0.1%〜約6%の亜塩素酸イオンを含むことが好ましい。
亜塩素酸塩は、様々な業者から亜塩素酸ナトリウムとして入手可能である。亜塩素酸ナトリウムは、粉またはフレーク状の工業銘柄として、また、ある濃度範囲の水溶液濃縮物として市販されている。亜塩素酸ナトリウム源の例としては、アラゴネサス(Aragonesas)およびバルカン(Vulcan)から入手可能な亜塩素酸ナトリウムが挙げられる。これらの亜塩素酸源は、一般に、さらに4%を超える塩素酸ナトリウムは含有しない。
【0038】
亜塩素酸イオン源が、例えば70%以上の高純度であることが好ましい。さらに、本発明の組成物が、次亜塩素酸金属塩または次亜塩素酸イオン、ジクロロイソシアヌレート、あるいはそれらの塩を本質的に含まないことが好ましい。
亜塩素酸イオン濃度は、ダイオネクス・コーポレーション(Dionex Corporation)(米国カリフォルニア州サニーベール)から入手可能なIon Pac ASII交換カラムを使用して、無機および有機酸の陰イオンを勾配分離させることによって測定することが好ましい。
本発明の最終組成物が、二酸化塩素または亜塩素酸を少量含有するか、または本質的に二酸化塩素または亜塩素酸を含まない(二酸化塩素または亜塩素酸を、約2ppm未満、好ましくは約1ppm未満含む)ことが好ましい。
2相組成物では、二酸化塩素または亜塩素酸の濃度は、その2相を共に混合した後、約2〜3分以内に測定する。
【0039】
本発明の組成物中の二酸化塩素または亜塩素酸濃度の分析的測定方法は、当該技術分野において既知である。例えば、L・S・クレセリ(Clesceri)、A・E・グリーンベルグ(Greenberg)、R・R・トラッセル(Trussel)、『水および排水の標準検査方法(Standard Methods for the Examination of Water and Wastewater)』、第17版、アメリカ公衆保健協会(米国ワシントンD.C.1989年)、4−75〜4−83ページ;E・M・アイエタ(Aieta)、P・V・ロバーツ(Roberts)、M・ヘルナンデス(Hernandez)、アメリカ水道協会誌(J. Am. Water Works Assoc.)、76(1)、64〜70ページ(1984年);J・D・パフ(Pfaff)、C・A・ブロックホフ(Brockhoff)、アメリカ水道協会誌(J. Am. Water Works Assoc.)、82(4)、192〜195ページ(1990年);G・ゴードン(Gordon)、W・J・クーパー(Cooper)、R・G・ライス(Rice)、G・E・パセイ(Pacey)、アメリカ水道協会誌(J. Am. Water Works Assoc.)、80(9)、94〜108ページ(1988年);D・L・ハープ(Harp)、R・L・クライン(Klein)、D・J・スヌーバー(Schoonover)、アメリカ水道協会誌(J. Am. Water Works Assoc.)、73(7)、387〜389ページ(1981年);G・ゴードン(Gordon)、W・J・クーパー(Cooper)、R・G・ライス(Rice)、G・E・パセイ(Pacey)、アメリカ水道協会基礎研究(Am. Water Works Assoc. Res. Foundation)(米国コロラド州デンバー、1987年)、815ページ;E・リンチ(Lynch)他、フリーラジカル研究(Free Radical Research)、26(3)、209〜234ページ(1997年)、R・S・キース(Keyes)、A・M・ボブスト(Bobst)、生体磁気共鳴(Biological Magnetic Resonance)、14、283〜338ページ(1998年)がある。なお、これらの全ての参照の全体を、参照により本明細書に組み込む。
【0040】
本発明の亜塩素酸塩含有最終組成物(単相または2相組成物のどちらも)のpHは、7より大きく、好ましくは7.5より大きく、より好ましくは8〜12で、さらに好ましくは9〜10である。
好ましくは、亜塩素酸塩を含有するうがい薬の場合、最終組成物のpHが7.5より大きく、好ましくは8〜12、より好ましくは9〜10である。
好ましくは、亜塩素酸塩を含有する歯磨き剤の場合、最終組成物のpHが7.5より大きく、好ましくは8〜12、より好ましくは9〜10である。
2相組成物では、pHはその2相を共に混合した後で測定し、混合前の単相のpHをベースにするものではない。
最終歯磨き組成物のpHは、例えば練り歯磨き1に対して水が3である、練り歯磨きの3:1水性スラリーから測定する。
【0041】
(薬学的に許容できるキャリア)
本明細書で使用するとき、「薬学的に許容できるキャリア」とは、1以上の相容性の固体または液体の充填希釈溶剤、賦形剤を含む、または局所口腔投与に好適な物質を内包する好適なビヒクルを意味する。本明細書で使用するとき、「適合性のある」とは、組成物の構成成分が、本発明の組成物および方法による組成物の安定性および/または効果を実質的に低下させる相互作用なしに混合できることを意味する。
本発明のキャリアとしては、以下により詳細に記載する、練り歯磨き(ゲルおよび歯肉縁下適用のためのゲルを含む)、口内洗浄剤、口内スプレー、洗浄液を含む歯科用溶液、チューインガム、および口内錠(口臭予防用ミントキャンディを含む)の通常および従来の成分が挙げられる。
【0042】
本発明の組成物は、2相または単相組成物とすることができる。例えば、亜塩素酸塩含有の2相組成物は、第1の相と第2の相、すなわち、
(a)亜塩素酸イオンを含有する第1の相と、
(b)薬学的に許容可能な局所用口腔キャリアを含有し、亜塩素酸塩を含有しない第2の相とを含む。
これらの2相組成物は2つの相を有し、亜塩素酸イオンは第1の相中にあり、第1の相は第2の相とは分離させておく。亜塩素酸イオンを含有する第1の相は、さらに、亜塩素酸イオンと適合性のある、薬学的に許容可能な局所用口腔キャリアを含有することができる。第1の相が、亜塩素酸塩に加えて、1つ(または複数)の適合性のある結合剤、保湿剤、緩衝剤、および/または防腐剤を含有することが好ましい。亜塩素酸塩を含有しない第2の相が、着香剤、界面活性剤、フッ化物イオン、および/または研磨剤を含有することが好ましい。
【0043】
通常、これら2相組成物中の各相は、別個の容器、または2つのチャンバーを備える単独容器中に入れる。消費者が2相組成物を使用する前に、2つの分離相を好ましくは体積比1:1で同時に押し出して混合し、調製後すぐ、すなわち約5分以内にその組成物を使用することが好ましい。
ただし、組成物を使用する約1分〜約1時間前、あるいは使用中に、その2相を混合することもできる。
2相の容器については、米国特許US5,052,590(ラクトクリフ(Ratcliffe)、1991年10月1日発行)、同4,330,531(アリゲール(Alliger)、1982年5月18日発行)に開示されている。
【0044】
亜塩素酸塩含有組成物の好ましい実施形態では、使用直前まで、亜塩素酸塩は実質的に無水である。例えば、うがい薬溶液は、実質的に無水濃縮物の亜塩素酸塩を、使用直前に本発明の治療方法で使用するのに必要な濃度まで水に溶解させることによって調製する。
本発明の亜塩素酸塩含有組成物が、本質的に有機溶媒を含まないことが好ましく、本質的に過酸化化合物も含まないことが好ましい。
【0045】
本抗菌剤含有組成物で使用するキャリアの選択は、基本的に、組成物を口腔キャリアに導入する方法によって決まる。練り歯磨き(歯磨きゲルなどを含む)を使用する場合、例えば米国特許US3,988,433(ベネディクト(Benedict))に開示されている「練り歯磨きトキャリア」(例えば、研磨材料、発泡剤、結合剤、保湿剤、着香剤、甘味剤など)を選択する。なお、その開示を参照により本明細書に組み込む。うがい薬を使用する場合、例えば米国特許US3,988,433(ベネディクト(Benedict))に開示されている「うがい薬キャリア」(例えば、水、着香剤、甘味剤など)を選択する。同様に、口腔スプレーを使用する場合には「口腔スプレーキャリア」を選択し、トローチ剤を使用する場合には「口内錠キャリア」(例えばキャンディベース)を選択する。このキャンディベースについては、米国特許US4,083,955(グレーベンステッター(Grabenstetter)他)に開示されており、これを参照により本明細書に組み込む。チューインガムを使用する場合には、例えば米国特許US4,083,955(グレーベンステッター(Grabenstetter)他)に開示されている「チューインガムキャリア」(例えば、ガムベース、着香剤、甘味剤など)を選択する。なおこれを参照により本明細書に組み込む。におい袋(sachet)を使用する場合、「におい袋キャリア」(例えば、におい袋用バッグ、着香剤、甘味剤など)を選択する。歯肉縁下ゲルを使用する場合(歯周ポケットまたは歯周ポケット周りに活性物質を放出させるため)には、例えば米国特許US5,198,220(ダマニ(Damani)、1993年3月30日発行、P&G)、同5,242,910(ダマニ(Damani)、1993年9月7日発行、P&G)に開示されている「歯肉縁下ゲルキャリア」を選択する。なお、これら全てを参照により本明細書に組み込む。本発明の組成物の調製に好適なキャリアは、当該技術分野で既知である。それは、味、コスト、貯蔵性などのような副次的事項に応じて選択される。
【0046】
本発明の組成物は、歯肉縁下ゲルを含めた非研磨性ゲルの形にすることができ、水性または非水性のいずれでもよい。水性ゲルは、一般に、増粘剤(約0.1%〜約20%)、保湿剤(約10%〜約55%)、着香剤(約0.04%〜約2%)、甘味剤(約0.1%〜約3%)、着色剤(約0.01%〜約0.5%)、および残部に水を含む。その組成物は、虫歯予防剤(フッ化物イオンとして約0.05%〜約0.3%)、および抗歯石剤(約0.1%〜約13%)を含むこともできる。
【0047】
本発明による歯肉縁下ゲルは、ヒトまたはその他の動物の口腔内での使用ならびに傷に対して安全なポリマー材料を含めた様々なタイプのポリマーを含有する、ポリマーのキャリア系を用いて調製することができる。このようなポリマーは既知であり、それには例えば、ポリ乳酸(「PLA」)、ポリグリコール酸(「PLG」)、乳酸/グリコール酸コポリマー(「PLGA」)などのポリマーおよびコポリマー、ポリアスパルテーム、キトサン、コラーゲン、ポリアルブミン(polyalburrin)、ゼラチン、および加水分解動物蛋白などのポリアミノ酸、ポリビニルピロリドンキサンタンゴムおよび他の水溶性ゴム、ポリ無水物、およびポリオルトエステルが挙げられる。ポリ乳酸(「PLA」)、ポリグリコール酸(「PLG」)、および乳酸とグリコール酸のコポリマー(「PLGA」)の、ポリマーおよびコポリマーが好ましい。本発明に有用な特に好ましいポリマーは、ラクチドおよびグリコリドのモノマーの混合物を含有するコポリマーである。ラクチドモノマー種は、モルベースで、ポリマーを好ましくは約15%〜約85%、最も好ましくは約35%〜約65%含有し、グリコリドモノマー種は、モルベースで、ポリマーを約15%〜約85%、好ましくは約35%〜約65%含有する。コポリマーの分子量は、通常、約1000〜約120,000(数平均)の範囲にある。これらのポリマーについては、米国特許US4,443,430(マテイ(Mattei)、1984年4月17日)に詳細に記載されており、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0048】
そのような特定のコポリマーを含有する液体ゲル組成物の特徴は、水、水性緩衝液、血清、歯肉溝滲出液、他の体液などの水性流体の存在下で、近接する固体相に転換することである。これは、水中の乳酸/グリコール酸コポリマーなどのポリマーが不溶性であるため、ならびに傷または歯肉溝滲出液の中に存在し得るような関連水性溶媒のためと考えられている。したがって、そのような流体組成物は、注射器状の器具から投与できるので都合良く、また、近接する固体に対して硬化した後は治療部位で容易に維持することができる。さらに、そのようなポリマー材料が加水分解によって緩やかに分解されるので、治療剤が組成物から持続して放出されつづけ、その組成物を後で外科的に除去する必要がない。
【0049】
ポリマーキャリア系は、一般に、前記ポリマー材料を約1%〜約90%含有し、好ましくは本発明の方法に有用な組成物を約10%〜約70%含有する。一般に、ラクチドおよびグリコリドを含有する最も好ましいコポリマーに関しては、ラクチドの量が増加するにつれてポリマーを少なくする必要がある。ポリマーキャリア系はまた、プロピレンカーボネートなどの溶媒も含む。この材料は販売されており、本組成物をゲルまたは液体の形に形成するために、本組成物中で約25%〜約90%の濃度で使用する。
【0050】
本発明の好ましい組成物は、練り歯磨き、歯磨きゲル、歯磨き粉など、歯磨き剤の形にしてもよい。このような練り歯磨きおよび歯磨きゲルの成分は、一般に1つまたは複数の、歯の研磨剤(約10%〜約50%)、界面活性剤(約0.5%〜約10%)、増粘剤(約0.1%〜約5%)、保湿剤(約10%〜約55%)、着香剤(約0.04%〜約2%)、甘味剤(約0.1%〜約3%)、着色剤(約0.01%〜約0.5%)、および水(約2%〜約45%)を含む。このような練り歯磨きまたは歯磨きゲルはまた、1つまたは複数の、虫歯防止剤(フッ化物イオンとして約0.05%〜約0.3%)、および抗歯石剤(約0.1%〜約13%)も含むことができる。歯磨き粉はもちろん、実質的に全て非液体成分を含有する。
【0051】
本発明の他の好ましい組成物は、口腔スプレーを含めたうがい薬である。このようなうがい薬および口腔スプレーの成分は、一般に1つまたは複数の、水(約45%〜約95%)、エタノール(約0%〜約25%)、保湿剤(約0%〜約50%)、界面活性剤(約0.01%〜約7%)、着香剤(約0.04%〜約2%)、甘味剤(約0.1%〜約3%)、および着色剤(約0.001%〜約0.5%)を含む。
このようなうがい薬および口腔スプレーはまた、1つまたは複数の、虫歯予防剤(フッ化物イオンとして約0.05%〜約0.3%)、および抗歯石剤(約0.1%〜約3%)も含むことができる。
【0052】
本発明の他の好ましい組成物は、洗浄流体を含めた歯科用溶液である。このような歯科用溶液の成分は、一般に1つまたは複数の、水(約90%〜約99%)、防腐剤(約0.01%〜約0.5%)、増粘剤(0%〜約5%)、着香剤(約0.04%〜約2%)、甘味剤(約0.1%〜約3%)、および界面活性剤(0%〜約5%)を含む。
チューインガム組成物は、一般に1つまたは複数の、ガムベース(約50%〜約99%)、着香剤(約0.4%〜約2%)、および甘味剤(約0.01%〜約20%)を含む。
【0053】
本明細書で使用するとき、用語「口内錠」には、口臭予防用ミント、トローチ剤、芳香錠剤、マイクロカプセル、ならびに、フリーズドライした形(ケーキ、ウェハ、薄膜、タブレット)を含めた急速溶解性の固体形態、および圧縮タブレットを含めた急速溶解性の固体形態が含まれる。本明細書で使用するとき、「急速溶解性の固体形態」とは、口腔内に置いた後、約60秒未満、好ましくは約15秒未満、より好ましくは約5秒未満で溶解する固体剤形を意味する。急速溶解性の固体形態については、同時係属の米国特許出願US−A−08/253,890(ブリドー(Brideau)、1994年6月3日出願)、米国特許US4,642,903、米国特許US4,946,684、米国特許US4,305,502、米国特許US4,371,516、米国特許US5,188,825、米国特許US5,215,756、米国特許US5,298,261、米国特許US3,882,228、米国特許US4,687,662、米国特許US4,642,903に開示されている。これらの全ての特許の全体を、参照により本明細書に組み込む。
【0054】
口内錠には、着香剤ベースの治療用薬剤を含有する円板形状の固体が含まれる。そのベースは、硬いシュガーキャンディー、グリセリンゼラチン、または糖とそれを成形するための十分な粘液の組合せとすることができる。これらの剤形については、概ね、レミントン(Remington)の、製薬学の科学と実際(The Science and Practice of Pharmacy)、第19版(1995年)、第II巻、第92章に記載されている。口内錠組成物(圧縮タブレットタイプ)は、通常1つまたは複数の、フィラー(圧縮可能な糖)、着香剤、および滑沢剤を含む。本明細書で考えられるタイプのマイクロカプセルについては、米国特許US5,370,864(ピーターソン(Peterson)他、1994年12月6日発行)に開示されており、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0055】
さらに他の態様では、本発明は、抗菌剤組成物を含浸させた歯科用器具を含む。歯科用器具は、安全かつ治療に有効な量の亜塩素酸イオンを含浸させた、口腔内の歯および他の組織に接触させるための器具を含む。歯科用器具は、デンタルフロスまたはテープ、チップまたはストリップ、およびポリマー繊維を含めて、含浸させた繊維とすることができる。デンタルフロスまたはテープは、通常、材料1cmにつき0.01mg〜0.1mgの抗菌剤を含有する。歯科用器具はまた、爪楊枝やラバーチップなど、歯周組織を刺激するために使用される歯科用具とすることもできる。
本発明の組成物中に含むことができるタイプのキャリアまたは口腔ケア賦形剤の、特定の非限定的な例を以下に挙げる。
【0056】
(研磨剤)
本発明の組成物の局所用口腔キャリアで有用な歯科用研磨剤には、多くの様々な材料が含まれる。選択する材料は、関心組成物中で適合性があり、象牙質を過度に削らないものにすべきである。好適な研磨剤としては、例えば、ゲルおよび沈殿物を含むシリカ、不溶性のポリメタリン酸ナトリウム、水和アルミナ、炭酸カルシウム、オルトリン酸二カルシウム二水和物、ピロリン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ポリメタリン酸カルシウム、ならびに尿素およびホルムアルデヒドの微粒子縮合生成物などの樹脂性研磨剤材料が挙げられる。
【0057】
本組成物で使用するための他の分類の研磨剤は、米国特許US3,070,510(クーレー(Cooley)およびグレーベンシュテッター(Grabenstetter)、1962年12月25日発行)に記載されている微粒子熱硬化性重合樹脂である。好適な樹脂としては、例えば、メラミン類、フェノール類、尿素類、メラミン・尿素類、メラミン・ホルムアルデヒド類、尿素・ホルムアルデヒド類、メラミン・尿素・ホルムアルデヒド類、架橋エポキシド類、および架橋ポリエステル類が挙げられる。研磨剤の混合物を使用してもよい。
【0058】
様々なタイプのシリカ歯科用研磨剤は、歯のエナメル質または象牙質を過度に研磨させない、優れた歯科洗浄および研磨性能という独特の利益があるので好ましい。本明細書のシリカ研磨剤ならびに他の研磨剤は、一般に平均粒子サイズが、約0.1〜約30ミクロン、好ましくは約5〜約15ミクロンの範囲である。研磨剤は、沈殿シリカ、あるいは米国特許US3,538,230(パダー(Pader)他、1970年3月2日発行)、および米国特許US3,862,307(ディジューリオ(DiGiulio)、1975年1月21日発行)に記載されているシリカキセロゲルなどのシリカゲルとすることができ、この両方を参照により本明細書に組み込む。W.R.グレース・アンド・カンパニー(W.R.Grace & Company)のダビソン化学部門(Davison Chemical Division)から、商標名「シロイド(Syloid)」として販売されているシリカキセロゲルが好ましい。J・M・ヒューバー・コーポレーション(J. M. Huber Corporation)から商品名ゼオデント(Zeodent)(登録商標)として市販されているもの、特に、ゼオデント(Zeodent)119(登録商標)の名称のシリカなどの沈殿シリカも好ましい。本発明の練り歯磨きに有用なタイプのシリカ歯科用研磨剤については、米国特許US4,340,583(ウェイソン(Wason)、1982年7月29日発行)に、より詳細に記載されている。本明細書で述べた練り歯磨き組成物中の研磨剤は、一般に組成物の重量で約6%〜約70%の濃度で存在する。練り歯磨きが、組成物の重量で約10%〜約50%の研磨剤を含むことが好ましい。
【0059】
特に好ましい沈殿シリカは、全てプロクター・アンド・ギャンブル社(Procter & Gamble Co.)に譲渡された、米国特許US5,603,920(1997年2月18日発行)、同5,589,160(1996年12月31日発行)、同5,658,553(1997年8月19日発行)、同5,651,958(1997年7月29日発行)に開示されているシリカである。これらの全ての特許の全体を、参照により本明細書に組み込む。
研磨剤の混合物を使用することができる。歯科用研磨剤に関する前述の特許の全てを、参照により本明細書に組み込む。本発明の歯磨き組成物中の研磨剤の合計量が、重量で約6%〜約70%の範囲であることが好ましく、練り歯磨きが組成物の重量で約10%〜約50%の研磨剤を含有することが好ましい。本発明の、溶液、口腔スプレー、うがい薬、および非研磨性ゲル組成物は、通常研磨剤を含有しない。
【0060】
(発泡剤(界面活性剤))
好適な発泡剤とは、広いpH範囲にわたって、非常に安定で、泡を形成するものである。発泡剤としては、非イオン性、陰イオン性、両性、陽イオン性、双極性、合成洗剤、およびそれらの混合物が挙げられる。好適な非イオン性および両性界面活性剤については、米国特許US3,988,433(ベネディクト(Benedict))、米国特許US4,051,234(1977年9月27日発行)に数多く開示されており、好適な非イオン性界面活性剤については、米国特許US3,959,458(アグリコラ(Agricola)他、1976年5月25日発行)に数多く開示されており、共にその全体を参照により本明細書に組み込む。
【0061】
a)非イオン性および両性界面活性剤
本発明の組成物で使用できる非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシド基類(本質的に親水性)と、本質的に脂肪族またはアルキル芳香族とすることができる有機疎水性化合物との縮合によって生成される化合物として、広く定義することができる。好適な非イオン性界面活性剤の例としては、ポロキサマー類(商標名プルロニック(Pluronic)として販売)、ポリオキシエチレンソルビタンエステル類(商標名ツイーンズ(Tweens)として販売)、エトキシル化脂肪族アルコール類、アルキルフェノール類のポリエチレンオキシド縮合物、エチレンオキシドと、プロピレンオキシドおよびエチレンジアミンの反応生成物との縮合物から得られる生成物、脂肪族アルコールのエチレンオキシド縮合物、長鎖第三級アミンオキシド類、長鎖第三級ホスフィンオキシド類、長鎖ジアルキルスルホキシド類、およびこれらの物質の混合物が挙げられる。
【0062】
本発明に有用な両性界面活性剤は、脂肪族の二級および三級アミン類の誘導体として広く定義することができ、その脂肪族基は直鎖状または分岐鎖状でよく、脂肪族置換基の1つが約8〜約18個の炭素原子を含有し、かつ1つが陰イオン水溶性基、例えばカルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩を含有する。他の好適な両性界面活性剤は、ベタイン類、特にコカミドプロピルベタインである。両性界面活性剤の混合物を使用してもよい。
本組成物は、通常、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、あるいは非イオン性界面活性剤と両性界面活性剤の混合物を、それぞれ約0.025%〜約5%、好ましくは約0.05%〜約4%、最も好ましくは約0.1%〜約3%含有することができる。
【0063】
b)陰イオン性界面活性剤
本明細書で有用な陰イオン性界面活性剤としては、アルキル基に8〜20個の炭素原子を有するアルキル硫酸塩の水溶性塩(たとえば、アルキル硫酸ナトリウム)、および8〜20個の炭素原子を有する脂肪酸のスルホン化モノグリセリドの水溶性塩が挙げられる。ラウリル硫酸ナトリウムおよびココナツモノグリセリドスルホン酸ナトリウムは、このタイプの陰イオン性界面活性剤の例である。他の好適な陰イオン性界面活性剤は、ラウロイルサルコシン酸ナトリウムなどのサルコシネート類、タウレート類、ラウリルスルホアセテートナトリウム、ラウロイルイセチオネートナトリウム、ラウレスカルボン酸ナトリウム、およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。陰イオン性界面活性剤の混合物を使用してもよい。本組成物は、通常、約0.025%〜約9%、好ましくは約0.05%〜約7%、最も好ましくは約0.1%〜約5%の濃度で陰イオン性界面活性剤を含有する。
【0064】
(フッ化物イオン)
本発明には、遊離フッ化物イオンも組み込むことができる。好ましい遊離フッ化物イオンは、フッ化ナトリウム、フッ化スズ、フッ化インジウム、およびモノフルオロリン酸ナトリウムから得ることができる。最も好ましい遊離フッ化物イオンは、フッ化ナトリウムである。米国特許US2,946,725(ノリス(Norris)他、1960年7月26日発行)および米国特許US3,678,154(ウィダー(Widder)他、1972年7月18日発行)は、このような塩、ならびにその他の材料を開示している。これらの特許の全体を、参照により本明細書に組み込む。
本組成物は、約50ppm〜約3500ppm、好ましくは約500ppm〜約3000ppmの遊離フッ化物イオンを含有することができる。
【0065】
(増粘剤)
練り歯磨きまたは歯磨きゲルの調製では、組成物の望ましい粘度を与えるため、使用時の亜塩素酸塩の望ましい放出特性を与えるため、貯蔵安定性を与えるため、組成物の安定性を与えるためなどの理由で、いくらかの増粘剤を加える必要がある。好ましい増粘剤は、カルボキシビニルポリマー類、カラゲナン、ヒドロキシエチルセルロース、ラポナイト(laponite)、ならびにカルボキシメチルセルロースナトリウムやカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウムなどのセルロースエーテル類の水溶性塩である。インドゴム、キサンタンゴム、アラビアゴム、トラガカントゴムなどの天然ゴムも使用することができる。さらに感触を改善するために、コロイド状ケイ酸マグネシウムアルミニウムまたは微粒子シリカを、増粘剤の一部として使用することができる。
【0066】
しかし、高分子ポリエーテル化合物、例えばポリエチレンまたはポリプロピレンオキシド(分子量300〜1,000,000)を除き、1〜約18個の炭素原子を含有するアルキル基またはアシル基でキャップした増粘剤には、亜塩素酸塩と反応する可能性があるものもある。亜塩素酸塩が2相組成物中で別個に配合されるときには、好ましい増粘剤は、ヒドロキシエチルセルロース、ならびにカルボキシメチルセルロースナトリウムやカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウムなどのセルロースエーテル類の水溶性塩である。
増粘剤またはゲル化剤の好ましい分類としては、ペンタエリスリトールのアルキルエーテル、あるいはスクロースまたはカルボマー類のアルキルエーテルで架橋した、アクリル酸のホモポリマー類の分類が挙げられる。カルボマー類は、カルボポール(登録商標)シリーズとしてB.F.グッドリッチ(Goodrich)から市販されている。特に好ましいカルボポールとしては、カルボポール934、940、941、956、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0067】
ラクチドおよびグリコリドのモノマーのコポリマーである、分子量が約1,000〜約120,000(数平均)の範囲のコポリマーは、「歯肉縁下ゲルキャリア」として歯周ポケットの中または歯周ポケットの周囲に活性物質を送達するのに有用である。このようなポリマーは、米国特許US5,198,220号(ダマニ(Damani)、1993年3月30日発行、P&G)、同5,242,910(ダマニ(Damani)、1993年9月7日発行、P&G)、および同4,443,430(マテイ(Mattei)、1984年4月17日発行)に記載されており、そのすべてを参照により本明細書に組み込む。
練り歯磨きまたは歯磨きゲル組成物の総重量で約0.1%〜約15%、好ましくは約2%〜約10%、より好ましくは約4%〜約8%の量の増粘剤を使用することができる。チューインガム、口内錠(口臭予防用ミントを含む)、におい袋、非研磨性ゲル、および歯肉縁化ゲルには、より高濃度で使用することができる。
【0068】
(保湿剤)
本発明の組成物の局所用口腔キャリアの他の任意成分は、保湿剤である。保湿剤は、口に対する潤い感を組成物に与えるために、また特定の保湿剤については練り歯磨き組成物に望ましい甘い香りを付与するために、練り歯磨き組成物が空気にさらされて硬化しないようにする働きをする。保湿剤は、一般に純保湿剤を基準にすると、本明細書の組成物の重量で約0%〜約70%、好ましくは約5%〜約25%含有する。本発明の組成物における使用に好適な保湿剤としては、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコールなどの食用多価アルコール類、特にソルビトールおよびグリセリンが挙げられる。
【0069】
(着香剤および甘味剤)
本組成物には着香剤も加えることができる。好適な着香剤としては、ウインターグリーン油、ペパーミント油、スペアミント油、クローブの芽油、メンソール、アネトール、メチルサリチラート、オイカリプトール、カッシア、1−メンチルアセテート、セージ、オイゲノール、オランダセリ油、オキサノン(oxanone)、α−イリソン、マジョラム、レモン、オレンジ、プロペニルグエトール、シナモン、バニリン、チモール、リナロール、CGAとして知られるシンナムアルデヒドグリセロールアセタール、およびそれらの混合物が挙げられる。着香剤は、一般に組成物中に、組成物の重量で約0.001%〜約5%の量を使用する。
【0070】
使用できる甘味剤としては、スクロース、グルコース、サッカリン、デキストロース、果糖、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、フルクトース、マルト−ス、キシリトール、サッカリン塩、タウマチン、アスパルテーム、D−トリプトファン、ジヒドロカルコン、アセスルファムおよびシクラメート塩、特にシクラメートナトリウムおよびサッカリンナトリウム、ならびにこれらの混合物が挙げられる。組成物がその重量で約0.1%〜約10%、好ましくは約0.1%〜約1%のこれらの剤を含有することが好ましい。
本発明の組成物では、任意成分として、着香剤および甘味剤に加え、冷却剤、唾液分泌剤、加温剤、局部麻酔剤を使用することができる。これらの剤は、組成物の重量で約0.001%〜約10%、好ましくは約0.1%〜約1%の量で本組成物中に存在する。
【0071】
冷却剤は、多種多様な材料のいずれにすることもできる。このような物質には、カルボキシアミド類、メンソール、ケタール類、ジオール類、およびそれらの混合物が含まれる。本組成物で好ましい冷却剤は、「WS−3」として知られ市販されているN−エチル−p−メンタン−3−カルボキシアミド、「WS−23」として知られ市販されているN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、およびそれらの混合物などのパラメンタンカルボキシアミド剤である。その他の好ましい冷却剤は、メンソール、高砂(Takasago)製のTK−10として知られる3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、ハーマン・アンド・ライマー(Haarmann and Reimer)製のMGAとして知られるメントングリセロールアセタール、およびハーマン・アンド・ライマー(Haarmann and Reimer)製のフレスコラト(Frescolat)(登録商標)として知られるメンチルラクテートから成る群から選択される。本明細書で使用するとき、メンソールおよびメンチルという用語には、これらの化合物の右旋性異性体および左旋性異性体、ならびにそれらのラセミ混合物が含まれる。TK−10については、米国特許US4,459,425(アマノ(Amano)他、1984年7月10日発行)に記載されている。WS−3およびその他の薬剤については、米国特許US4,136,163(ワトソン(Watson)他、1979年1月23日発行)に記載されており、両方の開示の全体を参照により本明細書に組み込む。
【0072】
本発明の好ましい唾液分泌剤としては、高砂(Takasago)製のジャンブ(Jambu)(登録商標)が挙げられる。好ましい加温剤としては、トウガラシ、および、ベンジルニコチネートなどのニコチネートエステルが挙げられる。好ましい局部麻酔剤としては、ベンゾカイン、リドカイン、クローブの芽油、およびエタノールが挙げられる。
【0073】
(抗歯石剤)
本発明はまた、抗歯石剤、好ましくはピロリン酸塩由来のピロリン酸イオン源も含む。本発明の組成物に有用なピロリン酸塩としては、ピロリン酸二アルカリ金属塩、ピロリン酸四アルカリ金属塩、およびこれらの混合物が挙げられる。好ましい種は、無水和ならびに水和の形の、二水素ピロリン酸二ナトリウム(Na2H2P2O7)、ピロリン酸四ナトリウム(Na4P2O7)、およびピロリン酸四カリウム(K4P2O7)である。本発明の組成物において、ピロホスフェート塩は次の3通りのうちの1つの形態で存在することができる。すなわち、主に溶解した形態、主に溶解していない形態、または溶解した形態と溶解していない形態のピロホスフェートの混合物のいずれかである。
優位に溶解したピロリン酸を含む組成物とは、少なくとも1つのピロリン酸イオン源の量が、少なくとも約1.0%の遊離ピロリン酸イオンを提供するのに十分な量である組成物を指す。遊離ピロリン酸イオンの量は、約1%〜約15%、好ましくは約1.5%〜約10%、最も好ましくは約2%〜約6%とすることができる。遊離ピロリン酸イオンは、組成物のpHに応じて様々なプロトン化状態で存在することができる。
【0074】
優位に溶解していないピロリン酸を含む組成物とは、組成物中に溶解しているピロリン酸塩の合計が、約20%未満、好ましくは約10%未満である組成物を指す。ピロリン酸四ナトリウム塩は、これらの組成物中の好ましいピロリン酸塩である。ピロリン酸四ナトリウムは、歯磨き組成物中で、無水塩または十水和物の形、あるいは固体形態の安定な任意のその他の種であってよい。塩は、固体粒子状の形態であり、好ましくはその粒子径が審美的に許容可能かつ使用時に容易に溶解するように十分小さい、結晶性および/または非晶性状態とすることができる。これらの組成物の生成に有用なピロリン酸塩の量は、歯石予防に有効な任意の量であり、一般に歯磨き組成物の重量で約1.5%〜約15%、好ましくは約2%〜約10%、最も好ましくは約3%〜約8%である。
【0075】
組成物はまた、溶解したピロリン酸塩と溶解していないピロリン酸塩の混合物も含むことができる。前述のどのピロリン酸を使用してもよい。
ピロリン酸塩については、カーク・アンド・オスマー(Kirk & Othmer)、化学技術百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)、第3版、第17巻、ワイリー・インターサイエンス出版(Wiley−Interscience Publishers)(1982年)に、より詳細に記載されており、カーク・アンド・オスマー(Kirk &
Othmer)に組み込まれた全ての参照を含めて、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0076】
ピロリン酸塩に代えて、またはピロリン酸塩と組み合わせて使用する任意の剤としては、ポリアクリレート類、および無水マレイン酸またはマレイン酸とメチルビニルエーテル(例えばガントレ(Gantrez))のコポリマーを含めて、例えば米国特許US4,627,977(ガファル(Gaffar)他)に記載の合成陰イオン性ポリマーとして知られる材料、ならびに、例えばポリアミノプロパンスルホン酸(polyamino propoane sulfonic acid)(AMPS)、クエン酸亜鉛三水和物、ポリホスフェート類(例えば、トリポリホスフェート、ヘキサメタホスフェート)、ジホスホネート類(例えば、EHDP、AHP)、ポリペプチド類(ポリアスパラギンおよびポリグルタミン酸など)、およびこれらの混合物が挙げられる。なお、前記開示の全体を参照により本明細書に組み込む。
【0077】
(アルカリ金属重炭酸塩)
本発明はまた、アルカリ金属重炭酸塩を含むこともできる。アルカリ金属炭酸塩は水溶性であり、安定化していない場合には、水和系で二酸化炭素を放出する傾向にある。重曹としても知られる重炭酸ナトリウムは、好ましいアルカリ金属重炭酸塩である。本組成物は、約0.5%〜約30%、好ましくは約0.5%〜約15%、最も好ましくは約0.5%〜約5%のアルカリ金属重炭酸塩を含むことができる。
【0078】
(その他のキャリア)
市販に適した口腔組成物の調製に用いる水は、イオン含量が少なく有機不純物を含まないことが好ましい。水は、一般に、本明細書の組成物の重量で約5%〜約70%、好ましくは約20%〜約50%含まれる。これらの水の量には、添加される遊離水に加えてソルビトールなど他の材料と共に導入される水が含まれる。
本組成物には、二酸化チタンも加えることができる。二酸化チタンは、組成物に不透明度を与える白色粉末である。二酸化チタンは、一般に歯磨き組成物の重量で約0.25%〜約5%含まれる。
【0079】
他の任意の薬剤としては、その遊離酸の形で使用される合成陰イオン性ポリマーのポリカルボキシレート、あるいは、部分的にまたは好ましくは完全に中和された水溶性アルカリ金属(例えば、カリウム、好ましくはナトリウム)、またはアンモニウム塩が挙げられ、これらについては、米国特許US4,152,420(ガファル(Gaffar))、米国特許US3,956,480(ディヒター(Dichter)他)、米国特許US4,138,477(ガファル(Gaffar)他)、米国特許US4,183,914(ガファル(Gaffar)他)、および米国特許US4,906,456(ガファル(Gaffar)他)に開示されている。無水マレイン酸またはマレイン酸と、他のエチレン性重合可能な不飽和モノマー、好ましくは分子量(M.W.)が約30,000〜約1,000,000のメチルビニルエーテル(メトキシエチレン)との、1:4〜4:1のコポリマーが好ましい。これらのコポリマーは、例えばGAFコーポレーション(GAF Corporation)の、ガントレ(Gantrez)AN139(分子量500,000)、A.N.119(分子量250,000)、好ましくはS−97医薬品等級(分子量70,000)として入手可能である。
【0080】
(追加の治療剤)
ある形の療法では、同じデリバリーシステム中で治療用剤を組合せることが、最適な効果を得るのに有用な可能性があることが認識されている。したがって、例えば本組成物は、抗炎症剤(シクロオキシゲナーゼ阻害物質およびリポキシゲナーゼ阻害物質を含む)、H2−拮抗物質、メタロプロテナーゼ阻害物質、サイトカイン受容体拮抗物質、リポ多糖体錯化剤、組織成長因子、免疫刺激剤、細胞酸化還元変性剤(酸化防止剤)、鎮痛剤、ホルモン類、ビタミン類、ミネラル類などの追加の薬剤を含むことができる。組合せ効果を得るために、単独デリバリーシステム中で、抗菌剤をこれらの薬剤の1つまたは複数と組み合わせることができる。
【0081】
本発明の口腔組成物は、抗炎症剤を含むことができる。これらに限るものではないが、そのような薬剤としては、アスピリン、ケトロラク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、アスピリン、ケトプロフェン、ピロキシカムおよびメクロフェナム酸、ロフェコキシブ、セレコキシブ、およびそれらの混合物などの、非ステロイド系抗炎症剤が挙げられる。含有する場合には、一般に本発明の組成物の約0.001重量%〜約5重量%の抗炎症剤を含む。ケトロラクについては、米国再発行特許USRE036,419(1999年11月30日発行)、米国特許US5,785,951(1998年7月28日発行)、および米国特許US5,464,609(1995年11月7日発行)に記載されている。これらの全ての参照の全体を、参照により本明細書に組み込む。
【0082】
本発明はまた、任意で、シメチジン、エチンチジン(etintidine)、ラニチジン、ICIA−5165、チオチジン、ORF−17578、ルピチジン(lupitidine)、ドネチジン(donetidine)、ファモチジン、ロキサチジン、ピファチジン(pifatidine)、ラムチジン(lamtidine)、BL−6548、BMY−25271、ザルチジン(zaltidine)、ニザチジン、ミフェンチジン(mifentidine)、BMY−25368(SKF−94482)、BL−6341A、ICI−162846、ラミキソチジン(ramixotidine)、Wy−45727、SR−58042、BMY−25405、ロクスチジン(loxtidine)、DA−4634、ビスフェンチジン(bisfentidine)、スホチジン(sufotidine)、エブロチジン(ebrotidine)、HE−30−256、D−16637、FRG−8813、FRG−8701、インプロミジン、L−643728、およびHB−408から成る群から好ましくは選択される、選択的H−2拮抗物質を含むこともできる。本明細書で使用するとき、選択的H−2拮抗物質とは、H−2受容体を阻害するが、ヒスタミン−1(H−1またはH1)受容体の阻害には重要な働きをしない化合物である。これらの選択的H−2拮抗物質化合物を含む局所用口腔組成物については、プロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Co.)に譲渡されたシンガー(Singer)他の米国特許US5,294,433(1994年3月15日発行)および同5,364,616(1994年11月15日発行)に開示されており、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0083】
含有する場合には、一般に本発明の組成物の約0.001重量%〜約20重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約15重量%、さらに好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、いっそう好ましくは約1重量%〜約5重量%のH−2拮抗物質を含む。H−2拮抗物質が、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ロキサチジン、ニザチジン、およびミフェンチジン(mifentidine)を含むことが特に好ましい。
【0084】
本発明の口腔組成物中は、メタロプロテナーゼ阻害物質も含むことができる。メタロプロテナーゼ(MP)類は、しばしば細胞間マトリックスに作用する酵素であり、したがって組織の破壊および再形成に関与し、歯周病を含めて多数の疾患の症候学的媒介に重要と考えられている。MP阻害物質の潜在的な治療上の指標については、リウマチ様関節炎(rheumatoidarthritis)(ミューリン(Mullins)・D・E他、『生物化学・生物物理学公報(Biochim.Biophys.Acta.)』(1983年)695:117〜214);変形性関節症(osteoarthritis)(ヘンダーソン(Henderson)・B他、『これからの薬(Drugs of the Future)』(1990)15:495〜508);癌細胞の転移(the metastasis of tumor cells)(同書、ブロードハースト(Broadhurst)・M・J他、欧州特許出願276,436(1987年公開)(ライヒ(Reich)・R他)、48『癌研究(Cancer Res.)』3307〜3312(1988);および組織の様々な潰瘍形成または潰瘍状態の治療を含めた文献に記載されている。例えば、アルカリ火傷、あるいはシュードモナス菌(Pseudomonas aeruginosa)、アカントアメーバ、単純ヘルペス、およびワクシニアウィルスによる感染の結果として、角膜に潰瘍状態が起こり得る。望ましくないメタロプロテアーゼ活性を特徴とする状態の他の例としては、歯周病、表皮水疱症、発熱、炎症、および強膜炎が挙げられる(デチッコ(DeCicco)他、PCT国際公開特許WO95/29892(1995年11月9日公開))。
【0085】
本組成物に有用なメタロプロテナーゼ阻害物質としては、これらに限るものではないが、ヒドロキサム酸誘導体、ホスフィン酸アミド類、ならびにヘテロ原子含有の環式および非環式構造が挙げられ、全てプロクター・アンド・ギャンブル社(Procter& Gamble Company)に譲渡された、米国特許US6,015,912(2000年1月18日発行)、米国特許US5,830,915(1998年11月3日発行)、米国特許US5,672,598(1997年9月30日発行)、米国特許US5,639,746(1997年6月17日発行)、PCT国際公開特許WO99/52868、PCT国際公開特許WO99/06340、PCT国際公開特許WO98/08827、PCT国際公開特許WO98/08825、PCT国際公開特許WO98/08823、PCT国際公開特許WO98/08822、PCT国際公開特許WO98/08815、およびPCT国際公開特許WO98/08814に記載されており、これらの全体を参照により本明細書に組み込む。含有する場合には、一般に本発明の組成物で少なくとも約0.001重量%のメタロプロテナーゼ阻害物質を含む。
【0086】
他の任意の治療剤としては、オーグメンチン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、メトロニダゾール、ネオマイシン、カナマイシン、およびクリンダマイシンなどの抗生物質;メトトレキサートレバマゾールなどの免疫抑制または刺激剤;塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、フッ化スズ、フッ化ナトリウムなどの歯用除痛剤;ペパーミント油やクロロフィルなどの臭気マスキング剤;免疫グロブリンや抗原などの免疫刺激剤;リドカインまたはベンゾカインなどの局所麻酔剤;アミノ酸、必須脂肪、ビタミンC、ミネラル類などの栄養剤;αトコフェロール(ビタミンE)、補酵素Q10、ピロロキノネリンキノン(pyrroloquinoneline quinone)(PQQ)、ビタミンC、ビタミンA、葉酸、N−アセチルシステイン、没食子酸、ブチル化ヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤;ポリミキシンなどのリポ多糖体錯化剤;過酸化尿素などの過酸化物が挙げられる。
【0087】
(組成物の使用)
本発明の組成物の安全かつ有効な量は、いくつかの従来の方法で、口腔の粘膜組織、口腔の歯肉組織、および/または歯の表面に局所適用することができる。
例えば、抗菌剤含有溶液(例えば、口内洗浄剤、口内スプレー)で歯肉組織または粘膜組織をすすいでもよく、あるいは、組成物が歯磨き剤の形態(例えば、練り歯磨き、歯磨きジェル、歯磨き粉)の形態の場合には、液体および/または歯をブラッシングして生じた泡の中で歯肉/粘膜組織または歯を洗浄する。
【0088】
他の非限定的な例としては、以下に述べる口腔ケア器具を使用してまたは使用せずに、歯肉/粘膜組織または歯に直接適用する、非研磨性ゲルまたはペースト、抗菌剤含有チューインガム、抗菌剤含有の噛むまたは舐める口臭予防タブレットまたは口内錠の適用が挙げられる。歯肉/粘膜組織および/または歯に抗菌剤を適用する好ましい方法は、うがい薬液による洗浄、および歯磨きによるブラッシングを介する方法である。歯肉/粘膜組織ならびに歯の表面に抗菌剤を局所適用する他の方法は、当業者には明らかである。
本発明の組成物中の抗菌剤濃度は、歯肉/粘膜組織および/または歯に抗菌剤を適用するために使用される組成物のタイプ(例えば、練り歯磨き、うがい薬、口内錠、ガムなど)によって異なり、これは、組織および歯に接触する組成物の有効性の違いと、さらにその組成物が一般に使用される量のためである。その濃度は、治療する疾患または状態にも依存する。
【0089】
口腔に入れるうがい薬の抗菌剤濃度が、組成物の約0.02重量%〜約0.4重量%の範囲、より好ましくは約0.075重量%〜約0.2重量%、さらに好ましくは約0.075重量%〜約0.15重量%であることが好ましい。約15mlの洗浄量を使用するときに、本発明のうがい薬組成物が3.75〜22.5mgの抗菌剤を口腔に放出することが好ましい。
口腔スプレーが、組成物の約0.15重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約4重量%、さらに好ましくは約0.75重量%〜約3.5重量%の濃度の抗菌剤を含むことが好ましい。
好ましくは、歯磨き剤(練り歯磨きおよび歯磨き用ジェルを含む)および非研磨性ゲルについては、抗菌剤の濃度が、組成物の約0.2重量%〜約3.0重量%の範囲であり、重量で約0.75重量%〜約2.5重量%が好ましく、重量で約1.5重量%〜約2重量%がさらに好ましい。
【0090】
チューインガムおよび口内錠(口臭予防用ミントを含む)は、一般に個々の単位サイズの組成物に配合され、口腔内で使用する単位当たり(すなわち、ガム、口内錠、口臭予防用ミントなどのスティック当たり)、約0.1mg〜約12mg、好ましくは約1mg〜約6mgの抗菌剤を含むことが好ましい。
咀嚼用製品、玩具などのペットケア製品は、一般に単位製品当たり0.2mg〜200mgの抗菌剤を含むように配合される。抗菌剤は、生皮、天然繊維または合成繊維製のロープ、ナイロン製のポリマー製品、ポリエステルまたは熱可塑性ポリウレタンなど、比較的柔軟性があり、強く丈夫な材料に組み込む。動物が製品を噛み、舐め、またはかじると、抗菌剤および組み込まれた他の活性成分が、動物の口腔内の唾液培地中に放出され、これはブラッシングや洗浄に匹敵する効果がある。
【0091】
本抗菌剤組成物は、栄養サプリメント、飼料、および飲用水添加剤を含め、他のペットケア製品に組み込むこともできる。
本発明は、抗菌剤を含有する本組成物を人の口腔に放出させる方法だけでなく、その他の動物、例えば家庭のペット、他の家畜、動物園で飼われている動物などの口腔にこれらの組成物を放出させる方法にも関することを理解されたい。
二重相または多重相の組成物については、抗菌剤の上記濃度は、通常、消費者による使用の直前である、相が一緒に混合された後の抗菌剤の濃度を表す。したがって、抗菌剤含有相中の抗菌剤の濃度は、使用のための最終製品を得るために抗菌剤含有相と混合する、第2の相または追加の相の量によって変化する。
【0092】
口腔の疾患または状態の治療による本発明の身体の健康増進方法では、抗菌剤の安全かつ有効な量を、歯肉/粘膜組織および/または歯に、好ましくは少なくとも約10秒、より好ましくは約20秒〜約10分、さらに好ましくは約30秒〜約60秒(例えば、口内リンス剤による洗浄、器具を使用するまたは使用しない非研磨性ゲルの直接適用、歯ブラシによる歯磨きまたは歯磨きゲルの適用、口内錠や口臭予防ミントを舐めるまたは噛むことによって)適用することが好ましい。この方法は、このような接触後に組成物のほとんどを吐き出すことも包含する。その使用頻度は、好ましくは週に1度程度〜1日に4度程度、より好ましくは週に3度程度〜1日に3度程度、さらに好ましくは1日に1度程度〜1日に2度程度である。このような治療の期間は、通常1日程度から一生涯である。特定の口腔ケアの疾患または状態では、その治療期間は、治療する口腔の疾患または状態の重症度、使用する特定の放出形態、ならびに患者の治療に対する感度によって異なる。歯周病の治療など、歯周ポケットへの放出が望ましい場合には、注射器または水噴射器を使用して口内リンス剤を歯周ポケットに放出させることができる。これらの器具は、当業者には既知である。このタイプの器具としては、テレダイン・コーポレーション(Teledyne Corporation)の「ウォーター・ピック(Water Pik)」が挙げられる。洗浄後、舌の裏側および他の歯肉、ならびに粘膜組織にも適用するために、対象者は口内で洗浄液を動かすことができる。それに加えて、練り歯磨き、非研磨性ゲル、歯磨きゲルなどを、舌の表面、口腔の他の歯肉、および粘膜組織上でこすることができる。
【0093】
本組成物は、計量装置、目標適用用装置、および洗浄または総合的な口内衛生システムなどの電気器具を使用して、口腔内の組織および/または空間に放出させることもできる。
口内組織の傷の治療や組織再生の補助には、歯周の空洞などの治療が必要な領域に注射器あるいは針やカテーテルを介して直接挿入できる、流体歯肉縁下用ゲル組成物が、非常に有用で都合がよい。好ましいゲル状流体組成物は、水や歯肉溝滲出液など水性流体の存在下で近隣の固体相に転換されるものであり、そのようなゲルは、通常乳酸/グリコール酸コポリマーならびにプロピレンカーボネートなどの溶媒を含むキャリア系に抗菌剤を含む。その結果、硬化した組成物が適用部位で保持され、ポリマー性キャリアが加水分解を介して緩やかに分解されるので、そのような組成物から抗菌剤および他の活性剤が持続して放出される。
【0094】
以下の非限定的な例により、本発明の範囲内の好ましい実施形態についてさらに説明する。本発明の範囲から逸脱することなく、これらの例の多くの変形形態が可能である。
特に指定しない限り、本明細書で使用される割合は全て組成物の重量によるものである。
【実施例】
【0095】
以下の例は、従来の方法によって、以下を混合して作製する。
実施例1−2相スズ歯磨き剤
【0096】
【表1】

【0097】
実施例2−2相亜塩素酸塩歯磨き剤
【0098】
【表2】

【0099】
体積比1:1で相を混合した後のpHは約7.5
1アクアロン(Aqualon)のグレード7M8SF
2B.F.グッドリッチ(Goodrich)から入手可能
【0100】
実施例3−単相歯磨き剤
【0101】
【表3】

【0102】
実施例4−歯肉縁下用ゲル
【0103】
【表4】

【0104】
上記組成物は、プロペラミキサーを用いて、まずコポリマーをプロピレンカーボネートに溶解することによって調製することができる。粉末化した薬剤活性物質を徐々に加え、ポリマー溶液に混合して均一な濃度にする。注射器を介して、得られたゲル状の液体を歯周ポケットの中またはその周りまたは歯肉領域に挿入することができる。
【0105】
実施例5−うがい薬組成物
【0106】
【表5】

【0107】
実施例6
【0108】
【表6】

【0109】
前述のスプレー製剤のpHは、約10である。ビーグル犬で実施した動物臨床試験では、実施例6による30mlのスプレー溶液を1日に2回、イヌの口内全体に均等に適用する(n=10)。9か月後、プラセボ(n=30)、すなわち亜塩素酸ナトリウムを含まない実施例12と同じ成分を含有するスプレー溶液で処置したものに比べ、実施例6によるスプレー溶液を処置した動物では付着物の喪失が顕著に減少した。
本発明について詳細に述べてきたが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができ、本発明が本明細書に記載した事項に制限されるものではないことは、当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトおよびその他の動物対象の口腔内の病原菌により媒介される全身性疾患および状態の発生の危険性を低減する局所用口腔組成物であって、
前記組成物が、
(a)安全かつ有効な量の、スズイオン剤、亜鉛イオン剤および銅イオン剤から成る群から選択される1つ以上の抗菌剤と、
(b)ポリホスフェート抗歯石剤と、
(c)医薬的に許容可能な口腔キャリアと
を含み、
口腔内の病原菌により媒介される前記全身性疾患および状態が、心臓血管疾患、脳卒中、糖尿病、肺炎、気管支炎、気腫、慢性閉塞性肺疾患、早産および低体重児出産から選択される、局所用口腔組成物。
【請求項2】
前記組成物が、口内リンス剤、練り歯磨き、歯磨き用ゲル、歯磨き粉、非研磨性ゲル、チューインガム、口内スプレー、口内錠、およびペット用咀嚼製品から選択される形態である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ヒトおよびその他の動物対象の口腔内の病原菌により媒介される全身性疾患および状態の発生の危険性を低減する薬剤を製造するための、請求項1または2に記載の組成物の使用であって、その際、前記組成物は前記対象の口腔への投与に好適である前記使用。

【公開番号】特開2008−143910(P2008−143910A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13660(P2008−13660)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【分割の表示】特願2002−506749(P2002−506749)の分割
【原出願日】平成13年6月28日(2001.6.28)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】