局所的な誤り検出符号を備えた誤り訂正符号化の方法、それに対応する復号化の方法、送信装置、受信装置、および、記憶装置、およびプログラム
本発明は、冗長データをソースデータに対応させ、かつ、少なくとも1つのラベル語および少なくともいくつかの前記語に適用される置換に基づいて、少なくとも1つの出力状態語を少なくとも1つの入力状態語に対応させることを確立する複数の局所的符号を提供する符号化方法に関し、前記局所的符号は、検出符号ではあるが、所定の符号化文字内における誤り訂正符号ではなく、前記局所的符号は、それらの状態語によって互いに接続され、それによって、少なくとも1つの符号化トレリスを構成し、それぞれのトレリスは、基本符号を定義する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.技術分野
本発明の分野は、特に、ディジタルデータの送信または記憶を鑑みて、そのディジタルデータを符号化する分野である。より詳細には、本発明は、誤り訂正符号に関する。
【0002】
本発明は、誤り訂正符号を有することが必要なあるいは少なくとも望ましい全ての分野に適用されてもよい。したがって、本発明は、例えば、
- 例えば、DECTシステム、GSMシステム、UMTSシステム、ローカルホームオートメーションネットワーク、衛星通信のような無線通信システムにおいて使用するために、物理的な送信チャンネルに固有の雑音および干渉による誤りからの保護(典型的な誤り訂正符号化および複数アンテナシステムのための空間時間符号)、
- CDMA符号化、
- 画像、音、信号、データ、などの情報源から到来する信号の圧縮、
- コンピュータディスクまたはマイクロプロセッサーのような大容量記憶装置にデータを記憶する際の誤りからの保護、
に適用されてもよい。
【背景技術】
【0003】
2.背景技術
誤り訂正のための多くの符号化技術が、既知である。この主題に関する最初の研究は、1940年代にさかのぼる。なぜなら、それは、シャノンが、今日いまだに使用されている情報理論の基礎を提出した時であるからである。
【0004】
そして、多くの種類の符号化が、提案された。現在の最先端の誤り訂正符号は、最新のターボ符号およびLDPC符号によってうまく表現される。
【0005】
ターボ符号は、1991年にBerrouおよびGlavieux[3]によって考案された(引用された参考文献は、説明の最後の第9節にまとめられている)。
【0006】
図1に示されるように、ターボ符号は、最初に、小さな数の状態(一般的には、8〜16)を有するトレリスによって表現される畳み込み符号化(畳み込み符号化)11によって情報ブロック(Xビットブロック)を符号化し(すなわち、冗長ビットY1のブロックを計算する)、そして、別の順序(12)で情報ブロックを置換(permutate)しあるいは組み合わせ、再度、それらの情報ブロックを符号化し(13)、冗長ビットY2のブロックを提供する。
【0007】
したがって、送信される符号化ブロックは、X、Y1、およびY2によって構成され、それどころか、置換されたその他のブロック14またはさらなる冗長ビットYiの符号化ブロック15によって構成される。
【0008】
1990年代における大規模な民生用アプリケーションに使用される電子チップ技術と互換性を有する復号化の小さな複雑さのためのターボ符号の公表およびそれらのターボ符号の性能特性の発見は、誤り訂正符号およびそれらの軟判定反復復号化(soft-decision iterative decoding)に関する多くの論文を生み出した。最終的に、1948年に公表されたシャノンの限界に近づき、電気的な有線リンク、光ファイバーリンク、または、無線リンクのいずれにせよ、使用される通信路の最大ボーダーライン容量に近いビット率で情報を送信することができつつある。
【0009】
情報理論の分野におけるこのリニューアルは、Gallager[1]によって1960年に考案されたLDPC(「低密度パリティー検査」)の1995年における再発見、および、これらの符号を一般化するTanner[2]による1981年における研究、そして、様々なLDPC符号、すなわち、DivsalarおよびMcElieceによる1998年におけるRA(「反復積算」Repeat-Accumulate)符号[4]の公表をもたらした。
【0010】
LDPC符号は、パリティー検査マトリックスHによって定義され、そのHは、まばらであり、すなわち、少数の1と多数の0を備える(バイナリ符号の場合)。例えば、整数モジュロ4{0、1、2、3}の環Z4のような4つの要素からなる文字を使用するような非バイナリLDPC符号の場合、制御マトリックスは、多くの0ときわめて少ない非0のシンボル{1、2、3}とを有する。
【0011】
マトリックスの定義をわかりやすくするために、初期バイナリLDPCまたは「正則LDPC」は、パラメータ[n=12、k=8、dmin=2]を備えた以下のLDPC符号(4、2)の例の場合と同様に行あたりの《1》の数dcおよび列あたりの《1》の数dvを有するまばらなパリティー検査マトリックスによって定義される(すなわち、それぞれの行に4つの「1」およびそれぞれの列に2つの「1」を有する検査マトリックスを備えた長さ12の符号)。
【数1】
【0012】
LDPC符号の別の表現は、それらの二部(bipartite)Tannerグラフであり、それは、グラフの左側に配置されたノード(または、頂点vertices)によって変数を表現し、また、このグラフの右側に配置されかつバイナリ変数にアーム(または、稜線ridge)によって結合されたノードによって表現されるXOR値によって検査式(または、制約constraints)を表現する。
【0013】
図2は、上述したマトリックスに対応する二部Tannerグラフを示す。i=0、1、...、11を備えた12個の変数xiの頂点は、黒い点21によって表現される。6つの制約22(モジュロ和2)が、右側に配置され、Cjによって参照され、j=0、1、...,5である。置換(permutation)23は、変数と制約とを相互接続するアームによって示される。
【0014】
符号の検査マトリックスHの1行における4に等しい1の数はまた、それぞれのXOR制約の入力の数であることがわかる。この数はまた、制約の次数または局所的符号の次数と呼ばれ、dcによって参照される。また、同様に、符号の検査マトリックスHの1列における2に等しい1の数は、それぞれの変数の反復の回数である。また、この数は、変数の次数と呼ばれ、dvによって参照される。符号全体の率r=k/nは、下限値:
【数2】
を有する。
【0015】
一般的には、次数は、一方の変数から他方の変数へ変化してもよく、かつ、符号は、異なってもよい。XOR制約が、「局所的」符号として知られている小さな符号に置き換えられるならば、符号全体は、Tanner符号と呼ばれる。
【0016】
図3は、LDPC符号のアーキテクチャーよりも一般的なTanner符号のアーキテクチャーを示す。符号Ci31は、LDPC符号の場合と同様にXOR演算によって得られる簡単なパリティー符号よりもはるかに複雑な符号であってもよい。
【0017】
3.これらの従来技術の欠点
ターボ符号、LDPC符号、および、それらの変形は、誤り訂正の点において、少なくとも数千かまたは数万の情報ビットを有する大きなブロックサイズに対してだけでなく、復号化するときの計算の大きな複雑さに対しても注目すべき性能特性を提供するが、その復号化は、今日のマイクロプロセッサーの絶え間なく増大する計算容量に依存したままである。
【0018】
しかしながら、復号化の複雑さを大きく減少させることが、これらの誤り訂正符号化復号化機能を実施するコンポーネントの製造業者によって強く望まれている。なぜなら、それは、それらの機能を実施する電子チップのシリコン表面積、したがって、それらの製造コストを減少させ、その結果として、より安いコストを消費者に提供するからである。
【0019】
また、この複雑さの減少は、全ての消費者によって望まれる。なぜなら、それは、また、例えば、携帯電話電池または移動無線通信ネットワークに接続されたラップトップ型パソコンによって提供される電力のより少ない消費をもたらし、それによって、携帯端末のより大きな自律性をもたらし、あるいは、より軽い端末をもたらすからである。
【0020】
一般的なターボ符号は、長さの最良の対数で最小距離dminを有し、また、通信路の容量に近づくLDPCは、符号の長さの最良の対数で最小距離dminを有する。すなわち、
【数3】
【0021】
多くの種類の符号は、符号の最小距離が符号の長さとともに線形に増加すれば、漸近的に良好(AG)であると言われる。すなわち、
【数4】
【0022】
したがって、今日既知の符号の性能は、誤り訂正能力および復号化の複雑さを減少させることの両方の点において、最適なものではなく、さらに改善されてもよい。
【0023】
さらに、今日の符号の既知の構造は、約百ビットから千ビット程度の小さなブロックサイズに対する誤り訂正の点において、きわめて低い性能を呈する。小さなパケットのディジタル通信伝送に対する広範囲にわたるきわめて大きな需要が、これらの短い長さの符号に興味を持たせる理由である。
【0024】
バイナリ誤り率の点における性能の向上は、特に、ユーザに提供されるサービスの品質の向上をもたらすかもしれない。すなわち、
− 基地局の改善されたレンジ、
− 雑音の少ないデータ伝送、
− 得ることのできるより高い最大情報スループット率、
− 基地局によってカバーされる同一領域において同時に存在するより大きな数のユーザ。
【0025】
4.本発明の目的
本発明は、特に、従来技術の様々な欠点を克服するように設計される。
【0026】
より詳細には、本発明の目的は、従来技術の符号、特に、ターボ型符号またはLDPC型符号よりも実施するのが簡単かつ効率的な誤り訂正符号化技術を提供することである。
【0027】
したがって、本発明の目的は、符号の複雑さを減少させるのに使用することのできるこの種の符号化技術(したがって、それに対応する復号化演算)を提供することであり、それによって、例えば、コンポーネントに使用されるシリコン表面積および必要とされるエネルギー消費量を減少させる。
【0028】
より詳細には、本発明の目的は、今日の最良の訂正符号の場合よりも複雑さと誤り訂正能力との有効な妥協点を提供する符号を組み立てるのを可能にすることである。それによって達成される目的の1つは、所与の通信路、すなわち、バイナリ対称通信路(BSC)、バイナリ消失通信路(BEC)、ガウス通信路、などに対してより小さな複雑さを得るための既存の最良のLDPC符号およびターボ符号の情報伝送能力を最適化する際に、それらのLDPC符号およびターボ符号の誤り訂正性能をさらに改善する誤り訂正符号を得ることである。
【0029】
本発明のさらなる目的は、理論的な限界にできるだけ近づくきわめて良好な誤り訂正品質を有するこの種の符号化技術を提供することである。
【0030】
より詳細には、本発明の目的は、小さなサイズのブロックにさえも有効な誤り訂正符号を提供することである。
【0031】
したがって、本発明の目的は、最小距離dminを増加させることによって「error−floor」現象を実際に除去するきわめて効率的な短い誤り訂正符号を組み立てるのを可能にすることである。「error−floor」という用語は、バイナリ誤り率(BER)が高い信号対雑音比の場合には低い信号対雑音比の場合よりもそれほど急速には減少しないことを指し、BET曲線のその部分は、「waterfall」とも呼ばれる。
【0032】
5.本発明の主たる特徴
これらの目的および以下でより明確になるその他のことは、冗長データをソースデータに対応させ、かつ、少なくとも1つのラベル語および少なくともいくつかの前記語に適用される置換に基づいて、少なくとも1つの出力状態語を少なくとも1つの入力状態語に対応させることを確立する複数の局所的符号を提供する符号化方法によって達成される。本発明によれば、局所的符号は、検出符号ではあるが、所定の符号化文字内における誤り訂正符号ではなく、そして、前記局所的符号は、それらの状態語によって互いに接続され、それによって、少なくとも1つの符号化トレリスを構成し、それぞれのトレリスは、基本符号を定義する。
【0033】
きわめて簡単な基本符号を使用することに頼るこの新しい進歩性のあるアプローチは、当業者の先入観に逆らうものである。包括的な誤り訂正符号(「全体符号」と呼ばれる)を組み立てるための、単なる誤り検出器符号である簡単な符号の使用は、自明のことではない。
【0034】
しかしながら、この直観でわかるものではないアプローチは、意外にもきわめて良好な結果を得るのを可能にし、それらの結果は、上述した従来技術による符号のものよりも良好なものであり、それと同時に、複雑さを減少させる。以下からわかるように、本発明は、シャノン限界に近づくのを可能にする。
【0035】
さらに、本発明は、多くの種類の符号に有効であり、特に、「error−floor」現象として既知の現象を厳しく制限する短い誤り訂正器符号に有効である。
【0036】
有利には、前記置換は、前記ラベル語に適用され、前記状態語には適用されない。
【0037】
したがって、処理される変数の数を減少させる簡単なシステムが得られる。
【0038】
第1の実施態様によれば、前記局所的符号は、2状態トレリスまたは4状態トレリスによって表現されるバイナリ符号である。
【0039】
第2の実施態様によれば、前記局所的符号は、2n個の要素を備えた符号化文字に関して定義され、かつ、2n状態,2n+1状態、または、2n+2状態を備えたトレリスによって表現される(nは、2よりも大きな整数である)。例えば、4要素符号化の場合、それは、4状態トレリス、8状態トレリス、または、16状態トレリスによって表現されてもよい。
【0040】
いずれの場合においても、きわめて簡単な局所的符号が存在し、そのために、実施するのがきわめて容易であることに留意されたい。
【0041】
好ましくは、前記基本符号のそれぞれは、m個のシンボルからなる長さを備えた符号語を提供し、それぞれのシンボルは、符号化文字の少なくとも1つのビットに対応し、符号化文字は、
有意性2を備えた符号語の数は、m/2よりも小さいかまたはm/2に等しく、
有意性3を備えた符号語の数は、0でない、
ように定義され、符号語の有意性は、それが含む0と異なるシンボルの数である。
【0042】
この構造は、きわめて良好な符号化結果を提供する。
【0043】
有利には、前記基本符号語の少なくとも1つは、少なくとも2つの符号セクションによって構成される。
【0044】
本発明によれば、間引きを前記基本符号の少なくとも1つに実施することもできる。
【0045】
この間引きは、変数に適用されてもよく、および/または、符号のブランチに適用されてもよい。
【0046】
本発明の有利な態様によれば、トレリスの少なくとも1つは、巡回的トレリスである。
【0047】
また、トレリスの少なくとも1つは、入力状態および出力状態が所定の値にセットされたトレリスであってもよい。
【0048】
本発明の第1の実施形態によれば、前記局所的符号の少なくとも1つは、6つのラベルビットに応じて出力状態ビットを入力状態ビットに対応させることを確立する2状態符号(6、4、2)であり、
6は、前記局所的符号の長さであり、あるいは、前記局所的符号のラベルビットの数であり、
4は、前記局所的符号のサイズであり、
2は、前記基本符号からの最小距離である。
【0049】
この場合、前記基本符号は、有利には、前記符号(6、4、2)の3つのセクションによって構成される。
【0050】
本発明の第2の実施形態によれば、前記局所的符号の少なくとも1つは、4つのラベルビットに応じて出力状態ビットを入力状態ビットに対応させることを確立する2状態符号(4、3、2)であり、
4は、前記局所的符号の長さであり、あるいは、前記局所的符号のラベルビットの数であり、
3は、前記局所的符号のサイズであり、
2は、前記基本符号からの最小距離である。
【0051】
この場合、前記基本符号は、有利には、前記符号(4、3、2)の2つのセクションによって構成される。
【0052】
本発明の第3の実施形態によれば、前記局所的符号の少なくとも1つは、6つのラベルビットに応じて出力状態ビットを入力状態ビットに対応させることを確立する2状態符号(6、5、2)であり、
6は、前記局所的符号の長さであり、あるいは、前記局所的符号のラベルビットの数であり、
5は、前記局所的符号のサイズであり、
2は、前記基本符号からの最小距離である。
【0053】
この場合、前記基本符号は、有利には、前記符号(6、5、2)の3つのセクションによって構成される。
【0054】
本発明の第4の実施形態によれば、前記局所的符号の少なくとも1つは、8つのラベルビットに応じて出力状態ビットを入力状態ビットに対応させることを確立する4状態符号(8、7、2)であり、
8は、前記局所的符号の長さであり、あるいは、前記局所的符号のラベルビットの数であり、
7は、前記局所的符号のサイズであり、
2は、前記基本符号からの最小距離である。
【0055】
本発明の第5の実施形態によれば、前記局所的符号の少なくとも1つは、8つのラベルビットに応じて出力状態ビットを入力状態ビットに対応させることを確立する2状態符号(8、7、2)であり、
8は、前記局所的符号の長さであり、あるいは、前記局所的符号のラベルビットの数であり、
7は、前記局所的符号のサイズであり、
2は、前記基本符号からの最小距離である。
【0056】
最後の2つの場合においては、前記基本符号は、有利には、前記符号(8、7、2)の8つのセクションによって構成される。
【0057】
本発明は、また、上述した符号化方法によるデータを復号化するための方法に関する。
【0058】
この種の復号化方法は、少なくとも1つのラベル語および少なくともいくつかの前記語に適用される置換に基づいて、少なくとも1つの出力状態語を少なくとも1つの入力状態語に対応させることを確立する複数の局所的符号を符号化と対称的に提供し、前記局所的符号は、検出符号ではあるが、所定の符号化文字における誤り訂正符号ではなく、前記局所的符号は、それらの状態語によって互いに接続され、それによって、少なくとも1つの符号化トレリスを構成し、それぞれのトレリスは、基本符号を定義する。
【0059】
本発明はまた、上述した符号化方法を実行する符号化されたデータを送信するための装置、符号化と対称的に動作する復号化手段を実行する、この符号化方法によって符号化されたデータを受信するための装置、および、上述した方法に基づいた符号化手段および/または復号化手段を含む符号化データ記憶装置に関する。
【0060】
本発明は、また、上述した符号化方法および/または復号化方法を実行するコンピュータプログラムに関する。
【0061】
本発明のその他の特徴および利点が、限定するものではない単なる例として提供される以下の本発明の好ましい実施形態の説明および添付の図面からより明確となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
7.発明の好ましい実施形態の説明
7.1 序論
上述したように、本発明は、きわめて簡単な局所的符号を実施する誤り訂正器符号への新しいアプローチに頼るものであり、それらの局所的符号は、ただ単に誤り検出器符号であり、従来技術による符号よりも簡単かつ効率的な最終的な全体符号を提供するように組み合わせられる。
【0063】
したがって、本発明の符号は、少ない数の状態(2つの状態および4つの状態)を備えたバイナリトレリスを使用することによる複雑さの減少によって区別されてもよい。これらの2つの状態(および、4つの状態)のトレリスによって組み立てられた符号の複雑さは、すでに標準的なものである16個の状態を有するターボ符号および同等のLDPC符号と比較すれば、1/8(および、1/4)ほどに減少することを推定することができる。
【0064】
これらのトレリスの小さな複雑さにもかかわらず、得られる符号は、最良のターボ符号および現在使用されているLDPC符号の複雑さ、誤り訂正能力、および、「error−floor」の点において、より良好な妥協点を提供する。なぜなら、これらの新しい符号は、誤り率の点において少なくとも同じように効率的に実行し、かつ、実際に使用するのが同じように容易な「error−floor」を有するからである。
【0065】
以下の表は、以下に詳細に説明されるいくつかの達成される符号の性能特性および複雑さをまとめたものである。
【0066】
局所的符号のパラメータは、(ラベルビットの数、寸法、この符号によって組み立てられた基本符号の最大ボーダーラインdmin)である。
【0067】
【表1】
【0068】
また、バイナリ消失通信路(BEC)に対する所与の消失訂正利得は、ガウス通信路において無視できない利得をもたらすことに留意されたい。
【0069】
7.2 本発明の主たる技術的要素
本発明による符号の組み立ては、トレリスセクションを「局所的符号」として知られる小さな符号Cjのきわめて少ない数の状態と連結することによって得られるトレリスによって記述される長さmを有する「基本符号」に頼るものである。記述における曖昧さを回避するために、組み立てられた符号は、「全体符号」と呼ばれる。
【0070】
このために、符号は、以下のようにして組み立てられる:
局所的符号の状態ビットが、互いに接続され、
変数の少なくとも大部分のビット(冗長ビットだけでなく、情報ビットも含む)が、反復され、そして、変数(新しくない)のそれらの反復されたビットの順序を変更する置換によって基本符号に接続される。
【0071】
本発明の有利なアプローチは、以下の基準を満足するように、特定の局所的符号セクションを選択することである:
有意性2のmビットの長さを有する基本符号語(大きなトレリス)の数は、m/2よりも小さいかまたはm/2に等しい。
有意性3のmビットの長さを有する基本符号語の数は、非ゼロである。
【0072】
このアプローチは、以下に説明される6つの局所的符号に適用された。
【0073】
これらの高性能特性の説明が、以下でなされる。きわめて小さい距離(それは、直観でわかるものではない)の誤り訂正符号を得ることが必要であり、最小値は、2である。この場合、符号は、訂正器符号ですらなく、1つの誤りだけを検出してもよい。
【0074】
したがって、それらは、伝送雑音の存在下において最小可能閾値である情報抽出閾値を有する。有意性3の多数の語は、最小の大きな距離を有する「全体」訂正符号を得るのに使用されてもよい。したがって、誤り訂正符号が得られ、それは、シャノンの限界容量を達成してもよく、したがって、最小距離は、符号の長さに応じて線形に増加してもよい。
【0075】
したがって、なされなければならないことは、ただ単に検出器符号である小さな符号を連結することである。
【0076】
それぞれの局所的符号Cjは、小さな数のラベルビットdCjを有する:
【数5】
これらのmビットの順序は、mビットの置換によって変更され、そして、結合され、次数dxiの変数xi(i=0、1、n−1)のビットを構成する。
【0077】
したがって、基本的な技術的要素は、図4に示されるように接続された小さな局所的符号Cjによって構成されるトレリスの使用である。
【0078】
局所的符号Cj41のこの系列は、トレリスによって説明される基本符号42を構成し、トレリスがループを形成すれば、そのトレリスは巡回的である、または《tail−biting》であると言われる。
【0079】
変数xi(i=0、1、n−1)とも呼ばれるn個の符号ビット43は、典型的には、図4に示される符号のTannerグラフの左側に配置される。これらの変数は、互いに異なってもよい次数dxiによって反復され、これらの次数dxiのベクトルは、変数の反復プロフィールと呼ばれる。
【0080】
置換44は、ターボ符号、LDPC符号、および、RA符号の場合と同様に、これらのビットの順序を変更する。図4の置換の右側には、いくつかのラベルシンボルdCjおよび入力状態ビットviおよび出力状態ビットvi+1を有する局所的符号Cjによって構成された基本符号42のトレリスが、配置される。
【0081】
図5は、本発明のこの種の全体符号の例を表現するTannerのグラフであり、4つのラベルビットを備えた4つの局所的符号トレリスセクションに分解された長さm=16ビットの基本符号とともに一定の長さn=8ビットの2次変数を有する。
【0082】
局所的符号Ci間の1つ以上の「状態」ビットが、構成によってゼロに「セット」されていれば、「tail−biting」トレリスは、典型的な非巡回的トレリスに関連づけられてもよい。ゼロ状態トレリス終結のこの技術は、復号化処理を簡素化するのに使用されてもよい周知の技術である。
【0083】
図6からわかるように、トレリスをいくつかのサブトレリス61および62に分割することが可能である。これは、サブトレリスのそれぞれに対する復号化計算を並列処理するのを可能にし(これらの並列計算が統合される前に)、かつ、サブトレリスのそれぞれにおける相当な数のセクションを取り込むときに性能の大きな損失を伴うことなくなされる。
【0084】
したがって、図6は、基本符号が2つのサブトレリス61および62に分割された「全体」符号を説明し、上部のサブトレリス(局所的符号C0〜Cj)61は、終結状態611および612が0に等しい典型的なトレリスとして知られているトレリスであり、また、下部のサブトレリス(局所的符号Cj+1〜Cnc−1)62は、終結条件が開始状態が到達状態に等しくなければならないということである「tail−biting」トレリスである。
【0085】
重要な組み立て要素は、高性能な置換、すなわち、最小の大きな距離を有する符号を与える置換を達成することである。これらの置換は、小さな局所的符号の「パターン」(または、いくつかのビットからなる部分集合、それらは、符号語内におけるそれらの位置に対して不変である)の特別な特性を使用する。
【0086】
Tannerのグラフのこの特定の構造をきわめて小さな状態数(バイナリシンボルの場合には2または4)を備えた小さな局所的符号のトレリスと組み合わせること、および、対応するそれらの置換は、全ての最良の敵対する符号よりも効率的な妥協点{複雑さ、誤り訂正性能}を提供する誤り訂正符号を提供する。
【0087】
8.局所的符号の例
8.1 2状態局所的符号(6、4、2)のトレリスセクション
図7に説明されるセクションは、ビットによってラベルを付されたブランチを通って開始状態の1つから到達状態の1つまで延びる一組のパスによって、パラメータの局所的符号からなる一組の符号語を表現する。
【0088】
したがって、局所的符号(6、4、2)71は、3つのトレリスセクション72、73、および、74に分解され、それらのそれぞれは、2つのラベルビットを備える。
【0089】
図8A〜図8Cは、それぞれ、典型的な表現によってこれらの3つのセクションを示す。
【0090】
トレリスセクションの概略的な表現は、入力状態0から出力状態0への遷移はラベルビットが00または11に等しい場合に達成できることを意味する。これは、2重ラベルブランチであると言われる。
【0091】
同じブランチのラベル(複数であろうとなかろうと)は、同じ入力状態に対応する同じ線上の括弧の中に配置され、連続する括弧は、同じ順序で、連続する到達状態に対応する。
【0092】
図8Bのトレリスセクションをさらに説明すると、入力状態0から出力状態0への遷移は、ラベルビットが00または11に等しい場合になすことができ、そして、入力状態0から出力状態1への遷移は、ラベルビットが01または10に等しい場合になすことができる。
【0093】
2つの状態しか達成されないので、トレリスセクションは、きわめて小さな複雑さで軟判定反復器が復号化するのを可能にする。
【0094】
さらに、有意性の遷移の代数的性質は、単独で考えれば、この符号はどのような誤りも訂正できるのではなく誤りをただ単に検出できるようなものである。しかしながら、トレリス内において集合的に組み立てられると、この符号は、それらのハミング重みパターンに適合された置換を備えた優れた符号となる。
【0095】
図9は、2状態トレリス符号セクション(6、4、2)からなるトレリスによって組み立てられたこの基本符号の情報伝達曲線を示す。
【0096】
8.2 2状態局所的符号(4、3、2)のトレリスセクション
図10は、上述したものと同じ原理に基づいて、局所的符号(4、3、2)を2つのトレリスセクションに分解することを示し、それらのトレリスセクションのそれぞれは、2つのラベルビットを備え、そして、図11Aおよび図11Bは、2つの対応する状態を備えた局所的符号(4、3、2)からなるトレリスの2つのセクションを示す。
【0097】
図12からわかるように、情報伝達曲線は、原点において45.3%の傾きを有する直線に対して接線方向にあり、これは、レート1/2符号に対する50%の可能最大理論値に対して全体符号の消失を45.3%だけ訂正する能力があることを意味する。
【0098】
8.3 2状態局所的符号(6、5、2)のトレリスセクション
図13は、上述したものと同じ原理に基づいて、局所的符号(6、3、2)を2つのトレリスセクションに分解することを示し、それらのトレリスセクションのそれぞれは、3つのラベルビットを備え、そして、図14Aおよび図14Bは、2つの対応する状態を備えた局所的符号(6、3、2)からなるトレリスの2つのセクションを示す。
【0099】
この場合にも、図15から、以下の情報伝達曲線は、原点において30%の傾きを有する直線に対して接線方向にあることがわかり、これは、レート2/3符号に対する33.33%の可能最大理論値に対して全体符号の消失を30%だけ訂正する能力があることを意味する。
【0100】
8.4 4状態局所的符号(8、7、2)のトレリスセクション
図16は、8つのセクションに「爆発的に増加した」トレリスを説明し、それらのそれぞれは、1つのラベルビットを有する。ビット(b0、b1、b2、b3)およびビット(b4、b5、b6、b7)は、2つのセクションにグループとしてまとめられてもよく、それらのそれぞれは、図17、図18A、および、図18Bからわかるように、4つの入力状態および4つの出力状態を有する。
【0101】
図19の情報伝達曲線は、原点において21.5%の傾きを有する直線に対して接線方向にあり、これは、レート3/4(=0.75)符号に対する25%の可能最大理論値に対して全体符号の消失を21.5%だけ訂正する能力があることを意味する。これは、2状態局所的符号(8、7、2)の22.15%よりも小さいが、この種類の符号は、漸近的に良好(AG)である。
【0102】
8.5 2状態局所的符号(8、7、2)のトレリスセクション
図20は、上述したものと同じ原理に基づいて、局所的符号(8、7、2)を2つのトレリスセクションに分解することを示し、それらのトレリスセクションのそれぞれは、4つのラベルビットを備え、そして、図21Aおよび図21Bは、2つの対応する状態を備えた局所的符号(6、3、2)からなるトレリスの2つのセクションを示す。
【0103】
図22の情報伝達曲線は、原点において22.15%の傾きを有する直線に対して接線方向にあり、これは、レート3/4(=0.75)符号に対する25%の可能最大理論値に対して全体符号の消失を22.15%だけ訂正する能力があることを意味する。
【0104】
8.6 別の局所的符号(n,k,2)を構成するためのトレリスセクションの組み合わせ
パラメータ(6、4、2)および(4、3、2)を有する符号からなるトレリスを構成する2状態トレリスセクションをそれぞれ説明するこれまでの節に説明されるように、セクション1は、両方の符号において同一であり、また、符号(4、3、2)のセクション3と同一であり、同様に、セクション2は、両方の符号において同一であることがわかる。
【0105】
したがって、これまでに説明した様々な符号を構成する全てのセクションとそれらのセクション上においてラベルビットが間引かれまたは重複する可能性とを、全体符号の符号レートに関して多種多様な選択を可能にするパラメータ(n,k,2)を有する新しい局所的符号を組み立てるのに使用することができる。
【0106】
8.7 Z4上における4状態符号(4、3、2)の例
Z4は、加算モジュロ4を備えた一組の整数{0、1、2、3}である。符号のこの例は、その他の文字に容易に一般化することができる。なぜなら、それは、「Z4への加算」法則を、考察される新しい文字への加算に関する法則に置き換えることを満足するからである。
【0107】
組み立てる方法は、文字、この場合には、Z4上における反復符号によって開始することからなる:
Z4への反復符号={00、11、22、33}
【0108】
図23は、この符号を2つのセクションに分解することを示し、そして、図24Aおよび図24Bは、2つの対応するセクションを示す。
【0109】
複数のブランチのラベルは、同じ長さの語(横方向クラスを表現する「コセットリーダ」または語)を加算することによって、この反復符号から得られる。例えば、複数のブランチ(または、マルチブランチ)01は、{01、12、23、30}をラベルとして有する。
【0110】
当然ながら、同じ一般化が、Z8、Z16、...に適用されてもよい。
【0111】
9.参考文献
[1]Gallager,《Low Density Parity Check codes》,Ph.D.Thesis,MIT,July 1963.
[2]R.M.Tanner,《A recursive approach to low complexity codes》,IEEE Transactions on Information Theory,vol IT−27,pp.533−547,Sept 1981.
[3]C.Berrou,A.Glavieux and P.Thitimajshima,《Near Shannon limit error−correcting coding and decoding:Turbo codes》,pp.1064−1070,Proceedings of the International Communications Conference(ICC),May 1993,Geneva.
[4]D.Divsalar and R.J.McEliece,《Coding theorems for turbo−like codes》,Proceedings of the Allerton Conference(Allerton,Illinois,USA),pp.201−210,Sept.1998.
[5]T.Richardson and R.Urbanke,「The Capacity of Low−Density Parity Check Codes under Message−Passing Decoding,」IEEE Transactions on Information Theory,vol.47,pp.599−681,February 2001.
[6]T.Richardson,A.Shokrollahi and R.Urbanke,「Design of Capacity Approaching Irregular Low−Density Parity Check Codes,」IEEE Transactions on Information Theory,vol.47,pp.619−637,February 2001.
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】序文において説明され、ターボ符号の原理の概略図を提供する。
【図2】同様に、序文において説明され、TannerグラフによるLDPC符号(4、2)の表現を提供する。
【図3】同様に、序文において説明され、TannerグラフによるTanner符号の概略図を提供する。
【図4】本発明による誤り訂正符号の原理を説明するTannerグラフである。
【図5】4つのラベルビットを備えた4つのセクションの局所的トレリス符号に分解された長さm=16ビットの基本符号とともに一定の長さn=8ビットの2次変数を有する、本発明による典型的な符号のTannerグラフである。
【図6】本発明による別の典型的な符号のTannerグラフであり、基本符号のトレリスは、2つのサブトレリスに分割されており、一方は、ゼロ状態終結を備え、他方は、「tail−biting」を備える。
【図7】本発明による全体符号において使用することのできる第1の局所的符号(6、4、2)を3つのトレリスセクションに分解することを示す図であり、それぞれのトレリスセクションは、2つのラベルビットを備える。
【図8A】図7の局所的符号(6、4、2)のセクションを示す図である。
【図8B】図7の局所的符号(6、4、2)のセクションを示す図である。
【図8C】図7の局所的符号(6、4、2)のセクションを示す図である。
【図9】2状態トレリス符号セクション(6、4、2)からなるトレリスによって組み立てられた基本符号に関する情報伝達曲線である。
【図10】本発明による全体符号において使用することのできる第2の局所的符号(4、3、2)を2つのトレリスセクションに分解することを示す図であり、それぞれのトレリスセクションは、2つのラベルビットを備える。
【図11A】図10の局所的符号(4、3、2)のセクションを示す図である。
【図11B】図10の局所的符号(4、3、2)のセクションを示す図である。
【図12】2状態トレリス符号セクション(4、3、2)からなるトレリスによって組み立てられた基本符号に関する情報伝達曲線である。
【図13】本発明による全体符号において使用することのできる第3の局所的符号(6、5、2)を2つのトレリスセクションに分解することを示す図であり、それぞれのトレリスセクションは、3つのラベルビットを備える。
【図14A】図13の局所的符号(6、5、2)のセクションを示す図である。
【図14B】図13の局所的符号(6、5、2)のセクションを示す図である。
【図15】2状態トレリス符号セクション(6、5、2)からなるトレリスによって組み立てられた基本符号に関する情報伝達曲線である。
【図16】本発明による全体符号において使用することのできる第4の局所的4状態符号(8、7、2)の《爆発的に増加した》非セクション化トレリスを示す図である。
【図17】本発明による全体符号において使用することのできる第5の局所的符号(8、7、2)を2つのトレリスセクションに分解することを示す図であり、それぞれのトレリスセクションは、4つのラベルビットを備える。
【図18A】図17の局所的符号(8、7、2)のセクションを示す図である。
【図18B】図17の局所的符号(8、7、2)のセクションを示す図である。
【図19】4状態トレリス符号セクション(8、7、2)からなるトレリスによって組み立てられた基本符号に関する情報伝達曲線である。
【図20】局所的符号(8、7、2)を2つのトレリスセクションに別の方法で分解することを示す図であり、それぞれのトレリスセクションは、4つのラベルビットを備える。
【図21A】図20の局所的符号のセクションを示す図である。
【図21B】図20の局所的符号のセクションを示す図である。
【図22】2状態トレリス符号セクション(8、7、2)からなるトレリスによって組み立てられた基本符号に関する情報伝達曲線である。
【図23】第6の局所的符号(4、3、2)を分解することを示す図であり、Z4上において4つの状態を備える。
【図24A】図23のトレリスセクションを示す図である。
【図24B】図23のトレリスセクションを示す図である。
【技術分野】
【0001】
1.技術分野
本発明の分野は、特に、ディジタルデータの送信または記憶を鑑みて、そのディジタルデータを符号化する分野である。より詳細には、本発明は、誤り訂正符号に関する。
【0002】
本発明は、誤り訂正符号を有することが必要なあるいは少なくとも望ましい全ての分野に適用されてもよい。したがって、本発明は、例えば、
- 例えば、DECTシステム、GSMシステム、UMTSシステム、ローカルホームオートメーションネットワーク、衛星通信のような無線通信システムにおいて使用するために、物理的な送信チャンネルに固有の雑音および干渉による誤りからの保護(典型的な誤り訂正符号化および複数アンテナシステムのための空間時間符号)、
- CDMA符号化、
- 画像、音、信号、データ、などの情報源から到来する信号の圧縮、
- コンピュータディスクまたはマイクロプロセッサーのような大容量記憶装置にデータを記憶する際の誤りからの保護、
に適用されてもよい。
【背景技術】
【0003】
2.背景技術
誤り訂正のための多くの符号化技術が、既知である。この主題に関する最初の研究は、1940年代にさかのぼる。なぜなら、それは、シャノンが、今日いまだに使用されている情報理論の基礎を提出した時であるからである。
【0004】
そして、多くの種類の符号化が、提案された。現在の最先端の誤り訂正符号は、最新のターボ符号およびLDPC符号によってうまく表現される。
【0005】
ターボ符号は、1991年にBerrouおよびGlavieux[3]によって考案された(引用された参考文献は、説明の最後の第9節にまとめられている)。
【0006】
図1に示されるように、ターボ符号は、最初に、小さな数の状態(一般的には、8〜16)を有するトレリスによって表現される畳み込み符号化(畳み込み符号化)11によって情報ブロック(Xビットブロック)を符号化し(すなわち、冗長ビットY1のブロックを計算する)、そして、別の順序(12)で情報ブロックを置換(permutate)しあるいは組み合わせ、再度、それらの情報ブロックを符号化し(13)、冗長ビットY2のブロックを提供する。
【0007】
したがって、送信される符号化ブロックは、X、Y1、およびY2によって構成され、それどころか、置換されたその他のブロック14またはさらなる冗長ビットYiの符号化ブロック15によって構成される。
【0008】
1990年代における大規模な民生用アプリケーションに使用される電子チップ技術と互換性を有する復号化の小さな複雑さのためのターボ符号の公表およびそれらのターボ符号の性能特性の発見は、誤り訂正符号およびそれらの軟判定反復復号化(soft-decision iterative decoding)に関する多くの論文を生み出した。最終的に、1948年に公表されたシャノンの限界に近づき、電気的な有線リンク、光ファイバーリンク、または、無線リンクのいずれにせよ、使用される通信路の最大ボーダーライン容量に近いビット率で情報を送信することができつつある。
【0009】
情報理論の分野におけるこのリニューアルは、Gallager[1]によって1960年に考案されたLDPC(「低密度パリティー検査」)の1995年における再発見、および、これらの符号を一般化するTanner[2]による1981年における研究、そして、様々なLDPC符号、すなわち、DivsalarおよびMcElieceによる1998年におけるRA(「反復積算」Repeat-Accumulate)符号[4]の公表をもたらした。
【0010】
LDPC符号は、パリティー検査マトリックスHによって定義され、そのHは、まばらであり、すなわち、少数の1と多数の0を備える(バイナリ符号の場合)。例えば、整数モジュロ4{0、1、2、3}の環Z4のような4つの要素からなる文字を使用するような非バイナリLDPC符号の場合、制御マトリックスは、多くの0ときわめて少ない非0のシンボル{1、2、3}とを有する。
【0011】
マトリックスの定義をわかりやすくするために、初期バイナリLDPCまたは「正則LDPC」は、パラメータ[n=12、k=8、dmin=2]を備えた以下のLDPC符号(4、2)の例の場合と同様に行あたりの《1》の数dcおよび列あたりの《1》の数dvを有するまばらなパリティー検査マトリックスによって定義される(すなわち、それぞれの行に4つの「1」およびそれぞれの列に2つの「1」を有する検査マトリックスを備えた長さ12の符号)。
【数1】
【0012】
LDPC符号の別の表現は、それらの二部(bipartite)Tannerグラフであり、それは、グラフの左側に配置されたノード(または、頂点vertices)によって変数を表現し、また、このグラフの右側に配置されかつバイナリ変数にアーム(または、稜線ridge)によって結合されたノードによって表現されるXOR値によって検査式(または、制約constraints)を表現する。
【0013】
図2は、上述したマトリックスに対応する二部Tannerグラフを示す。i=0、1、...、11を備えた12個の変数xiの頂点は、黒い点21によって表現される。6つの制約22(モジュロ和2)が、右側に配置され、Cjによって参照され、j=0、1、...,5である。置換(permutation)23は、変数と制約とを相互接続するアームによって示される。
【0014】
符号の検査マトリックスHの1行における4に等しい1の数はまた、それぞれのXOR制約の入力の数であることがわかる。この数はまた、制約の次数または局所的符号の次数と呼ばれ、dcによって参照される。また、同様に、符号の検査マトリックスHの1列における2に等しい1の数は、それぞれの変数の反復の回数である。また、この数は、変数の次数と呼ばれ、dvによって参照される。符号全体の率r=k/nは、下限値:
【数2】
を有する。
【0015】
一般的には、次数は、一方の変数から他方の変数へ変化してもよく、かつ、符号は、異なってもよい。XOR制約が、「局所的」符号として知られている小さな符号に置き換えられるならば、符号全体は、Tanner符号と呼ばれる。
【0016】
図3は、LDPC符号のアーキテクチャーよりも一般的なTanner符号のアーキテクチャーを示す。符号Ci31は、LDPC符号の場合と同様にXOR演算によって得られる簡単なパリティー符号よりもはるかに複雑な符号であってもよい。
【0017】
3.これらの従来技術の欠点
ターボ符号、LDPC符号、および、それらの変形は、誤り訂正の点において、少なくとも数千かまたは数万の情報ビットを有する大きなブロックサイズに対してだけでなく、復号化するときの計算の大きな複雑さに対しても注目すべき性能特性を提供するが、その復号化は、今日のマイクロプロセッサーの絶え間なく増大する計算容量に依存したままである。
【0018】
しかしながら、復号化の複雑さを大きく減少させることが、これらの誤り訂正符号化復号化機能を実施するコンポーネントの製造業者によって強く望まれている。なぜなら、それは、それらの機能を実施する電子チップのシリコン表面積、したがって、それらの製造コストを減少させ、その結果として、より安いコストを消費者に提供するからである。
【0019】
また、この複雑さの減少は、全ての消費者によって望まれる。なぜなら、それは、また、例えば、携帯電話電池または移動無線通信ネットワークに接続されたラップトップ型パソコンによって提供される電力のより少ない消費をもたらし、それによって、携帯端末のより大きな自律性をもたらし、あるいは、より軽い端末をもたらすからである。
【0020】
一般的なターボ符号は、長さの最良の対数で最小距離dminを有し、また、通信路の容量に近づくLDPCは、符号の長さの最良の対数で最小距離dminを有する。すなわち、
【数3】
【0021】
多くの種類の符号は、符号の最小距離が符号の長さとともに線形に増加すれば、漸近的に良好(AG)であると言われる。すなわち、
【数4】
【0022】
したがって、今日既知の符号の性能は、誤り訂正能力および復号化の複雑さを減少させることの両方の点において、最適なものではなく、さらに改善されてもよい。
【0023】
さらに、今日の符号の既知の構造は、約百ビットから千ビット程度の小さなブロックサイズに対する誤り訂正の点において、きわめて低い性能を呈する。小さなパケットのディジタル通信伝送に対する広範囲にわたるきわめて大きな需要が、これらの短い長さの符号に興味を持たせる理由である。
【0024】
バイナリ誤り率の点における性能の向上は、特に、ユーザに提供されるサービスの品質の向上をもたらすかもしれない。すなわち、
− 基地局の改善されたレンジ、
− 雑音の少ないデータ伝送、
− 得ることのできるより高い最大情報スループット率、
− 基地局によってカバーされる同一領域において同時に存在するより大きな数のユーザ。
【0025】
4.本発明の目的
本発明は、特に、従来技術の様々な欠点を克服するように設計される。
【0026】
より詳細には、本発明の目的は、従来技術の符号、特に、ターボ型符号またはLDPC型符号よりも実施するのが簡単かつ効率的な誤り訂正符号化技術を提供することである。
【0027】
したがって、本発明の目的は、符号の複雑さを減少させるのに使用することのできるこの種の符号化技術(したがって、それに対応する復号化演算)を提供することであり、それによって、例えば、コンポーネントに使用されるシリコン表面積および必要とされるエネルギー消費量を減少させる。
【0028】
より詳細には、本発明の目的は、今日の最良の訂正符号の場合よりも複雑さと誤り訂正能力との有効な妥協点を提供する符号を組み立てるのを可能にすることである。それによって達成される目的の1つは、所与の通信路、すなわち、バイナリ対称通信路(BSC)、バイナリ消失通信路(BEC)、ガウス通信路、などに対してより小さな複雑さを得るための既存の最良のLDPC符号およびターボ符号の情報伝送能力を最適化する際に、それらのLDPC符号およびターボ符号の誤り訂正性能をさらに改善する誤り訂正符号を得ることである。
【0029】
本発明のさらなる目的は、理論的な限界にできるだけ近づくきわめて良好な誤り訂正品質を有するこの種の符号化技術を提供することである。
【0030】
より詳細には、本発明の目的は、小さなサイズのブロックにさえも有効な誤り訂正符号を提供することである。
【0031】
したがって、本発明の目的は、最小距離dminを増加させることによって「error−floor」現象を実際に除去するきわめて効率的な短い誤り訂正符号を組み立てるのを可能にすることである。「error−floor」という用語は、バイナリ誤り率(BER)が高い信号対雑音比の場合には低い信号対雑音比の場合よりもそれほど急速には減少しないことを指し、BET曲線のその部分は、「waterfall」とも呼ばれる。
【0032】
5.本発明の主たる特徴
これらの目的および以下でより明確になるその他のことは、冗長データをソースデータに対応させ、かつ、少なくとも1つのラベル語および少なくともいくつかの前記語に適用される置換に基づいて、少なくとも1つの出力状態語を少なくとも1つの入力状態語に対応させることを確立する複数の局所的符号を提供する符号化方法によって達成される。本発明によれば、局所的符号は、検出符号ではあるが、所定の符号化文字内における誤り訂正符号ではなく、そして、前記局所的符号は、それらの状態語によって互いに接続され、それによって、少なくとも1つの符号化トレリスを構成し、それぞれのトレリスは、基本符号を定義する。
【0033】
きわめて簡単な基本符号を使用することに頼るこの新しい進歩性のあるアプローチは、当業者の先入観に逆らうものである。包括的な誤り訂正符号(「全体符号」と呼ばれる)を組み立てるための、単なる誤り検出器符号である簡単な符号の使用は、自明のことではない。
【0034】
しかしながら、この直観でわかるものではないアプローチは、意外にもきわめて良好な結果を得るのを可能にし、それらの結果は、上述した従来技術による符号のものよりも良好なものであり、それと同時に、複雑さを減少させる。以下からわかるように、本発明は、シャノン限界に近づくのを可能にする。
【0035】
さらに、本発明は、多くの種類の符号に有効であり、特に、「error−floor」現象として既知の現象を厳しく制限する短い誤り訂正器符号に有効である。
【0036】
有利には、前記置換は、前記ラベル語に適用され、前記状態語には適用されない。
【0037】
したがって、処理される変数の数を減少させる簡単なシステムが得られる。
【0038】
第1の実施態様によれば、前記局所的符号は、2状態トレリスまたは4状態トレリスによって表現されるバイナリ符号である。
【0039】
第2の実施態様によれば、前記局所的符号は、2n個の要素を備えた符号化文字に関して定義され、かつ、2n状態,2n+1状態、または、2n+2状態を備えたトレリスによって表現される(nは、2よりも大きな整数である)。例えば、4要素符号化の場合、それは、4状態トレリス、8状態トレリス、または、16状態トレリスによって表現されてもよい。
【0040】
いずれの場合においても、きわめて簡単な局所的符号が存在し、そのために、実施するのがきわめて容易であることに留意されたい。
【0041】
好ましくは、前記基本符号のそれぞれは、m個のシンボルからなる長さを備えた符号語を提供し、それぞれのシンボルは、符号化文字の少なくとも1つのビットに対応し、符号化文字は、
有意性2を備えた符号語の数は、m/2よりも小さいかまたはm/2に等しく、
有意性3を備えた符号語の数は、0でない、
ように定義され、符号語の有意性は、それが含む0と異なるシンボルの数である。
【0042】
この構造は、きわめて良好な符号化結果を提供する。
【0043】
有利には、前記基本符号語の少なくとも1つは、少なくとも2つの符号セクションによって構成される。
【0044】
本発明によれば、間引きを前記基本符号の少なくとも1つに実施することもできる。
【0045】
この間引きは、変数に適用されてもよく、および/または、符号のブランチに適用されてもよい。
【0046】
本発明の有利な態様によれば、トレリスの少なくとも1つは、巡回的トレリスである。
【0047】
また、トレリスの少なくとも1つは、入力状態および出力状態が所定の値にセットされたトレリスであってもよい。
【0048】
本発明の第1の実施形態によれば、前記局所的符号の少なくとも1つは、6つのラベルビットに応じて出力状態ビットを入力状態ビットに対応させることを確立する2状態符号(6、4、2)であり、
6は、前記局所的符号の長さであり、あるいは、前記局所的符号のラベルビットの数であり、
4は、前記局所的符号のサイズであり、
2は、前記基本符号からの最小距離である。
【0049】
この場合、前記基本符号は、有利には、前記符号(6、4、2)の3つのセクションによって構成される。
【0050】
本発明の第2の実施形態によれば、前記局所的符号の少なくとも1つは、4つのラベルビットに応じて出力状態ビットを入力状態ビットに対応させることを確立する2状態符号(4、3、2)であり、
4は、前記局所的符号の長さであり、あるいは、前記局所的符号のラベルビットの数であり、
3は、前記局所的符号のサイズであり、
2は、前記基本符号からの最小距離である。
【0051】
この場合、前記基本符号は、有利には、前記符号(4、3、2)の2つのセクションによって構成される。
【0052】
本発明の第3の実施形態によれば、前記局所的符号の少なくとも1つは、6つのラベルビットに応じて出力状態ビットを入力状態ビットに対応させることを確立する2状態符号(6、5、2)であり、
6は、前記局所的符号の長さであり、あるいは、前記局所的符号のラベルビットの数であり、
5は、前記局所的符号のサイズであり、
2は、前記基本符号からの最小距離である。
【0053】
この場合、前記基本符号は、有利には、前記符号(6、5、2)の3つのセクションによって構成される。
【0054】
本発明の第4の実施形態によれば、前記局所的符号の少なくとも1つは、8つのラベルビットに応じて出力状態ビットを入力状態ビットに対応させることを確立する4状態符号(8、7、2)であり、
8は、前記局所的符号の長さであり、あるいは、前記局所的符号のラベルビットの数であり、
7は、前記局所的符号のサイズであり、
2は、前記基本符号からの最小距離である。
【0055】
本発明の第5の実施形態によれば、前記局所的符号の少なくとも1つは、8つのラベルビットに応じて出力状態ビットを入力状態ビットに対応させることを確立する2状態符号(8、7、2)であり、
8は、前記局所的符号の長さであり、あるいは、前記局所的符号のラベルビットの数であり、
7は、前記局所的符号のサイズであり、
2は、前記基本符号からの最小距離である。
【0056】
最後の2つの場合においては、前記基本符号は、有利には、前記符号(8、7、2)の8つのセクションによって構成される。
【0057】
本発明は、また、上述した符号化方法によるデータを復号化するための方法に関する。
【0058】
この種の復号化方法は、少なくとも1つのラベル語および少なくともいくつかの前記語に適用される置換に基づいて、少なくとも1つの出力状態語を少なくとも1つの入力状態語に対応させることを確立する複数の局所的符号を符号化と対称的に提供し、前記局所的符号は、検出符号ではあるが、所定の符号化文字における誤り訂正符号ではなく、前記局所的符号は、それらの状態語によって互いに接続され、それによって、少なくとも1つの符号化トレリスを構成し、それぞれのトレリスは、基本符号を定義する。
【0059】
本発明はまた、上述した符号化方法を実行する符号化されたデータを送信するための装置、符号化と対称的に動作する復号化手段を実行する、この符号化方法によって符号化されたデータを受信するための装置、および、上述した方法に基づいた符号化手段および/または復号化手段を含む符号化データ記憶装置に関する。
【0060】
本発明は、また、上述した符号化方法および/または復号化方法を実行するコンピュータプログラムに関する。
【0061】
本発明のその他の特徴および利点が、限定するものではない単なる例として提供される以下の本発明の好ましい実施形態の説明および添付の図面からより明確となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
7.発明の好ましい実施形態の説明
7.1 序論
上述したように、本発明は、きわめて簡単な局所的符号を実施する誤り訂正器符号への新しいアプローチに頼るものであり、それらの局所的符号は、ただ単に誤り検出器符号であり、従来技術による符号よりも簡単かつ効率的な最終的な全体符号を提供するように組み合わせられる。
【0063】
したがって、本発明の符号は、少ない数の状態(2つの状態および4つの状態)を備えたバイナリトレリスを使用することによる複雑さの減少によって区別されてもよい。これらの2つの状態(および、4つの状態)のトレリスによって組み立てられた符号の複雑さは、すでに標準的なものである16個の状態を有するターボ符号および同等のLDPC符号と比較すれば、1/8(および、1/4)ほどに減少することを推定することができる。
【0064】
これらのトレリスの小さな複雑さにもかかわらず、得られる符号は、最良のターボ符号および現在使用されているLDPC符号の複雑さ、誤り訂正能力、および、「error−floor」の点において、より良好な妥協点を提供する。なぜなら、これらの新しい符号は、誤り率の点において少なくとも同じように効率的に実行し、かつ、実際に使用するのが同じように容易な「error−floor」を有するからである。
【0065】
以下の表は、以下に詳細に説明されるいくつかの達成される符号の性能特性および複雑さをまとめたものである。
【0066】
局所的符号のパラメータは、(ラベルビットの数、寸法、この符号によって組み立てられた基本符号の最大ボーダーラインdmin)である。
【0067】
【表1】
【0068】
また、バイナリ消失通信路(BEC)に対する所与の消失訂正利得は、ガウス通信路において無視できない利得をもたらすことに留意されたい。
【0069】
7.2 本発明の主たる技術的要素
本発明による符号の組み立ては、トレリスセクションを「局所的符号」として知られる小さな符号Cjのきわめて少ない数の状態と連結することによって得られるトレリスによって記述される長さmを有する「基本符号」に頼るものである。記述における曖昧さを回避するために、組み立てられた符号は、「全体符号」と呼ばれる。
【0070】
このために、符号は、以下のようにして組み立てられる:
局所的符号の状態ビットが、互いに接続され、
変数の少なくとも大部分のビット(冗長ビットだけでなく、情報ビットも含む)が、反復され、そして、変数(新しくない)のそれらの反復されたビットの順序を変更する置換によって基本符号に接続される。
【0071】
本発明の有利なアプローチは、以下の基準を満足するように、特定の局所的符号セクションを選択することである:
有意性2のmビットの長さを有する基本符号語(大きなトレリス)の数は、m/2よりも小さいかまたはm/2に等しい。
有意性3のmビットの長さを有する基本符号語の数は、非ゼロである。
【0072】
このアプローチは、以下に説明される6つの局所的符号に適用された。
【0073】
これらの高性能特性の説明が、以下でなされる。きわめて小さい距離(それは、直観でわかるものではない)の誤り訂正符号を得ることが必要であり、最小値は、2である。この場合、符号は、訂正器符号ですらなく、1つの誤りだけを検出してもよい。
【0074】
したがって、それらは、伝送雑音の存在下において最小可能閾値である情報抽出閾値を有する。有意性3の多数の語は、最小の大きな距離を有する「全体」訂正符号を得るのに使用されてもよい。したがって、誤り訂正符号が得られ、それは、シャノンの限界容量を達成してもよく、したがって、最小距離は、符号の長さに応じて線形に増加してもよい。
【0075】
したがって、なされなければならないことは、ただ単に検出器符号である小さな符号を連結することである。
【0076】
それぞれの局所的符号Cjは、小さな数のラベルビットdCjを有する:
【数5】
これらのmビットの順序は、mビットの置換によって変更され、そして、結合され、次数dxiの変数xi(i=0、1、n−1)のビットを構成する。
【0077】
したがって、基本的な技術的要素は、図4に示されるように接続された小さな局所的符号Cjによって構成されるトレリスの使用である。
【0078】
局所的符号Cj41のこの系列は、トレリスによって説明される基本符号42を構成し、トレリスがループを形成すれば、そのトレリスは巡回的である、または《tail−biting》であると言われる。
【0079】
変数xi(i=0、1、n−1)とも呼ばれるn個の符号ビット43は、典型的には、図4に示される符号のTannerグラフの左側に配置される。これらの変数は、互いに異なってもよい次数dxiによって反復され、これらの次数dxiのベクトルは、変数の反復プロフィールと呼ばれる。
【0080】
置換44は、ターボ符号、LDPC符号、および、RA符号の場合と同様に、これらのビットの順序を変更する。図4の置換の右側には、いくつかのラベルシンボルdCjおよび入力状態ビットviおよび出力状態ビットvi+1を有する局所的符号Cjによって構成された基本符号42のトレリスが、配置される。
【0081】
図5は、本発明のこの種の全体符号の例を表現するTannerのグラフであり、4つのラベルビットを備えた4つの局所的符号トレリスセクションに分解された長さm=16ビットの基本符号とともに一定の長さn=8ビットの2次変数を有する。
【0082】
局所的符号Ci間の1つ以上の「状態」ビットが、構成によってゼロに「セット」されていれば、「tail−biting」トレリスは、典型的な非巡回的トレリスに関連づけられてもよい。ゼロ状態トレリス終結のこの技術は、復号化処理を簡素化するのに使用されてもよい周知の技術である。
【0083】
図6からわかるように、トレリスをいくつかのサブトレリス61および62に分割することが可能である。これは、サブトレリスのそれぞれに対する復号化計算を並列処理するのを可能にし(これらの並列計算が統合される前に)、かつ、サブトレリスのそれぞれにおける相当な数のセクションを取り込むときに性能の大きな損失を伴うことなくなされる。
【0084】
したがって、図6は、基本符号が2つのサブトレリス61および62に分割された「全体」符号を説明し、上部のサブトレリス(局所的符号C0〜Cj)61は、終結状態611および612が0に等しい典型的なトレリスとして知られているトレリスであり、また、下部のサブトレリス(局所的符号Cj+1〜Cnc−1)62は、終結条件が開始状態が到達状態に等しくなければならないということである「tail−biting」トレリスである。
【0085】
重要な組み立て要素は、高性能な置換、すなわち、最小の大きな距離を有する符号を与える置換を達成することである。これらの置換は、小さな局所的符号の「パターン」(または、いくつかのビットからなる部分集合、それらは、符号語内におけるそれらの位置に対して不変である)の特別な特性を使用する。
【0086】
Tannerのグラフのこの特定の構造をきわめて小さな状態数(バイナリシンボルの場合には2または4)を備えた小さな局所的符号のトレリスと組み合わせること、および、対応するそれらの置換は、全ての最良の敵対する符号よりも効率的な妥協点{複雑さ、誤り訂正性能}を提供する誤り訂正符号を提供する。
【0087】
8.局所的符号の例
8.1 2状態局所的符号(6、4、2)のトレリスセクション
図7に説明されるセクションは、ビットによってラベルを付されたブランチを通って開始状態の1つから到達状態の1つまで延びる一組のパスによって、パラメータの局所的符号からなる一組の符号語を表現する。
【0088】
したがって、局所的符号(6、4、2)71は、3つのトレリスセクション72、73、および、74に分解され、それらのそれぞれは、2つのラベルビットを備える。
【0089】
図8A〜図8Cは、それぞれ、典型的な表現によってこれらの3つのセクションを示す。
【0090】
トレリスセクションの概略的な表現は、入力状態0から出力状態0への遷移はラベルビットが00または11に等しい場合に達成できることを意味する。これは、2重ラベルブランチであると言われる。
【0091】
同じブランチのラベル(複数であろうとなかろうと)は、同じ入力状態に対応する同じ線上の括弧の中に配置され、連続する括弧は、同じ順序で、連続する到達状態に対応する。
【0092】
図8Bのトレリスセクションをさらに説明すると、入力状態0から出力状態0への遷移は、ラベルビットが00または11に等しい場合になすことができ、そして、入力状態0から出力状態1への遷移は、ラベルビットが01または10に等しい場合になすことができる。
【0093】
2つの状態しか達成されないので、トレリスセクションは、きわめて小さな複雑さで軟判定反復器が復号化するのを可能にする。
【0094】
さらに、有意性の遷移の代数的性質は、単独で考えれば、この符号はどのような誤りも訂正できるのではなく誤りをただ単に検出できるようなものである。しかしながら、トレリス内において集合的に組み立てられると、この符号は、それらのハミング重みパターンに適合された置換を備えた優れた符号となる。
【0095】
図9は、2状態トレリス符号セクション(6、4、2)からなるトレリスによって組み立てられたこの基本符号の情報伝達曲線を示す。
【0096】
8.2 2状態局所的符号(4、3、2)のトレリスセクション
図10は、上述したものと同じ原理に基づいて、局所的符号(4、3、2)を2つのトレリスセクションに分解することを示し、それらのトレリスセクションのそれぞれは、2つのラベルビットを備え、そして、図11Aおよび図11Bは、2つの対応する状態を備えた局所的符号(4、3、2)からなるトレリスの2つのセクションを示す。
【0097】
図12からわかるように、情報伝達曲線は、原点において45.3%の傾きを有する直線に対して接線方向にあり、これは、レート1/2符号に対する50%の可能最大理論値に対して全体符号の消失を45.3%だけ訂正する能力があることを意味する。
【0098】
8.3 2状態局所的符号(6、5、2)のトレリスセクション
図13は、上述したものと同じ原理に基づいて、局所的符号(6、3、2)を2つのトレリスセクションに分解することを示し、それらのトレリスセクションのそれぞれは、3つのラベルビットを備え、そして、図14Aおよび図14Bは、2つの対応する状態を備えた局所的符号(6、3、2)からなるトレリスの2つのセクションを示す。
【0099】
この場合にも、図15から、以下の情報伝達曲線は、原点において30%の傾きを有する直線に対して接線方向にあることがわかり、これは、レート2/3符号に対する33.33%の可能最大理論値に対して全体符号の消失を30%だけ訂正する能力があることを意味する。
【0100】
8.4 4状態局所的符号(8、7、2)のトレリスセクション
図16は、8つのセクションに「爆発的に増加した」トレリスを説明し、それらのそれぞれは、1つのラベルビットを有する。ビット(b0、b1、b2、b3)およびビット(b4、b5、b6、b7)は、2つのセクションにグループとしてまとめられてもよく、それらのそれぞれは、図17、図18A、および、図18Bからわかるように、4つの入力状態および4つの出力状態を有する。
【0101】
図19の情報伝達曲線は、原点において21.5%の傾きを有する直線に対して接線方向にあり、これは、レート3/4(=0.75)符号に対する25%の可能最大理論値に対して全体符号の消失を21.5%だけ訂正する能力があることを意味する。これは、2状態局所的符号(8、7、2)の22.15%よりも小さいが、この種類の符号は、漸近的に良好(AG)である。
【0102】
8.5 2状態局所的符号(8、7、2)のトレリスセクション
図20は、上述したものと同じ原理に基づいて、局所的符号(8、7、2)を2つのトレリスセクションに分解することを示し、それらのトレリスセクションのそれぞれは、4つのラベルビットを備え、そして、図21Aおよび図21Bは、2つの対応する状態を備えた局所的符号(6、3、2)からなるトレリスの2つのセクションを示す。
【0103】
図22の情報伝達曲線は、原点において22.15%の傾きを有する直線に対して接線方向にあり、これは、レート3/4(=0.75)符号に対する25%の可能最大理論値に対して全体符号の消失を22.15%だけ訂正する能力があることを意味する。
【0104】
8.6 別の局所的符号(n,k,2)を構成するためのトレリスセクションの組み合わせ
パラメータ(6、4、2)および(4、3、2)を有する符号からなるトレリスを構成する2状態トレリスセクションをそれぞれ説明するこれまでの節に説明されるように、セクション1は、両方の符号において同一であり、また、符号(4、3、2)のセクション3と同一であり、同様に、セクション2は、両方の符号において同一であることがわかる。
【0105】
したがって、これまでに説明した様々な符号を構成する全てのセクションとそれらのセクション上においてラベルビットが間引かれまたは重複する可能性とを、全体符号の符号レートに関して多種多様な選択を可能にするパラメータ(n,k,2)を有する新しい局所的符号を組み立てるのに使用することができる。
【0106】
8.7 Z4上における4状態符号(4、3、2)の例
Z4は、加算モジュロ4を備えた一組の整数{0、1、2、3}である。符号のこの例は、その他の文字に容易に一般化することができる。なぜなら、それは、「Z4への加算」法則を、考察される新しい文字への加算に関する法則に置き換えることを満足するからである。
【0107】
組み立てる方法は、文字、この場合には、Z4上における反復符号によって開始することからなる:
Z4への反復符号={00、11、22、33}
【0108】
図23は、この符号を2つのセクションに分解することを示し、そして、図24Aおよび図24Bは、2つの対応するセクションを示す。
【0109】
複数のブランチのラベルは、同じ長さの語(横方向クラスを表現する「コセットリーダ」または語)を加算することによって、この反復符号から得られる。例えば、複数のブランチ(または、マルチブランチ)01は、{01、12、23、30}をラベルとして有する。
【0110】
当然ながら、同じ一般化が、Z8、Z16、...に適用されてもよい。
【0111】
9.参考文献
[1]Gallager,《Low Density Parity Check codes》,Ph.D.Thesis,MIT,July 1963.
[2]R.M.Tanner,《A recursive approach to low complexity codes》,IEEE Transactions on Information Theory,vol IT−27,pp.533−547,Sept 1981.
[3]C.Berrou,A.Glavieux and P.Thitimajshima,《Near Shannon limit error−correcting coding and decoding:Turbo codes》,pp.1064−1070,Proceedings of the International Communications Conference(ICC),May 1993,Geneva.
[4]D.Divsalar and R.J.McEliece,《Coding theorems for turbo−like codes》,Proceedings of the Allerton Conference(Allerton,Illinois,USA),pp.201−210,Sept.1998.
[5]T.Richardson and R.Urbanke,「The Capacity of Low−Density Parity Check Codes under Message−Passing Decoding,」IEEE Transactions on Information Theory,vol.47,pp.599−681,February 2001.
[6]T.Richardson,A.Shokrollahi and R.Urbanke,「Design of Capacity Approaching Irregular Low−Density Parity Check Codes,」IEEE Transactions on Information Theory,vol.47,pp.619−637,February 2001.
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】序文において説明され、ターボ符号の原理の概略図を提供する。
【図2】同様に、序文において説明され、TannerグラフによるLDPC符号(4、2)の表現を提供する。
【図3】同様に、序文において説明され、TannerグラフによるTanner符号の概略図を提供する。
【図4】本発明による誤り訂正符号の原理を説明するTannerグラフである。
【図5】4つのラベルビットを備えた4つのセクションの局所的トレリス符号に分解された長さm=16ビットの基本符号とともに一定の長さn=8ビットの2次変数を有する、本発明による典型的な符号のTannerグラフである。
【図6】本発明による別の典型的な符号のTannerグラフであり、基本符号のトレリスは、2つのサブトレリスに分割されており、一方は、ゼロ状態終結を備え、他方は、「tail−biting」を備える。
【図7】本発明による全体符号において使用することのできる第1の局所的符号(6、4、2)を3つのトレリスセクションに分解することを示す図であり、それぞれのトレリスセクションは、2つのラベルビットを備える。
【図8A】図7の局所的符号(6、4、2)のセクションを示す図である。
【図8B】図7の局所的符号(6、4、2)のセクションを示す図である。
【図8C】図7の局所的符号(6、4、2)のセクションを示す図である。
【図9】2状態トレリス符号セクション(6、4、2)からなるトレリスによって組み立てられた基本符号に関する情報伝達曲線である。
【図10】本発明による全体符号において使用することのできる第2の局所的符号(4、3、2)を2つのトレリスセクションに分解することを示す図であり、それぞれのトレリスセクションは、2つのラベルビットを備える。
【図11A】図10の局所的符号(4、3、2)のセクションを示す図である。
【図11B】図10の局所的符号(4、3、2)のセクションを示す図である。
【図12】2状態トレリス符号セクション(4、3、2)からなるトレリスによって組み立てられた基本符号に関する情報伝達曲線である。
【図13】本発明による全体符号において使用することのできる第3の局所的符号(6、5、2)を2つのトレリスセクションに分解することを示す図であり、それぞれのトレリスセクションは、3つのラベルビットを備える。
【図14A】図13の局所的符号(6、5、2)のセクションを示す図である。
【図14B】図13の局所的符号(6、5、2)のセクションを示す図である。
【図15】2状態トレリス符号セクション(6、5、2)からなるトレリスによって組み立てられた基本符号に関する情報伝達曲線である。
【図16】本発明による全体符号において使用することのできる第4の局所的4状態符号(8、7、2)の《爆発的に増加した》非セクション化トレリスを示す図である。
【図17】本発明による全体符号において使用することのできる第5の局所的符号(8、7、2)を2つのトレリスセクションに分解することを示す図であり、それぞれのトレリスセクションは、4つのラベルビットを備える。
【図18A】図17の局所的符号(8、7、2)のセクションを示す図である。
【図18B】図17の局所的符号(8、7、2)のセクションを示す図である。
【図19】4状態トレリス符号セクション(8、7、2)からなるトレリスによって組み立てられた基本符号に関する情報伝達曲線である。
【図20】局所的符号(8、7、2)を2つのトレリスセクションに別の方法で分解することを示す図であり、それぞれのトレリスセクションは、4つのラベルビットを備える。
【図21A】図20の局所的符号のセクションを示す図である。
【図21B】図20の局所的符号のセクションを示す図である。
【図22】2状態トレリス符号セクション(8、7、2)からなるトレリスによって組み立てられた基本符号に関する情報伝達曲線である。
【図23】第6の局所的符号(4、3、2)を分解することを示す図であり、Z4上において4つの状態を備える。
【図24A】図23のトレリスセクションを示す図である。
【図24B】図23のトレリスセクションを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冗長データをソースデータに対応させ、かつ、少なくとも1つのラベル語と少なくともいくつかの前記ラベル語に適用される置換とに基づいて、少なくとも1つの出力状態語を少なくとも1つの入力状態語に対応させることを確立する複数の局所的符号を提供する符号化方法であって、
前記局所的符号が、検出符号ではあるが、所定の符号化文字内における誤り訂正符号ではなく、前記局所的符号が、それらの状態語によって互いに接続されて少なくとも1つの符号化トレリスを構成し、それぞれのトレリスが基本符号を定義する、
ことを特徴とする符号化方法。
【請求項2】
前記置換が、前記ラベル語には適用されるが、前記状態語には適用されないことを特徴とする請求項1に記載の符号化方法。
【請求項3】
前記局所的符号が、2状態トレリスかまたは4状態トレリスによって表現されるバイナリ符号であることを特徴とする請求項1および2の一項に記載の符号化方法。
【請求項4】
前記局所的符号が、2n個の要素を備えた符号化文字に関して定義され、かつ、2n状態,2n+1状態、または、2n+2状態を備えたトレリスによって表現されることを特徴とする請求項1および2の一項に記載の符号化方法。
【請求項5】
前記基本符号のそれぞれが、m個のシンボルからなる長さを備えた符号語を提供し、それぞれが、符号化文字の少なくとも1つのビットに対応し、符号化文字が、
有意性2を備えた符号語の数が、m/2よりも小さいかまたはm/2に等しく、
有意性3を備えた符号語の数が、0でない、
ように定義され、
符号語の有意性が、それが含む0と異なるシンボルの数である、
ことを特徴とする請求項1〜4の一項に記載の符号化方法。
【請求項6】
前記基本符号語の少なくとも1つが、少なくとも2つの符号セクションによって構成されることを特徴とする請求項1〜5の一項に記載の符号化方法。
【請求項7】
間引きが、前記基本符号の少なくとも1つに実施されることを特徴とする請求項1〜6の一項に記載の符号化方法。
【請求項8】
トレリスの少なくとも1つが、巡回的トレリスであることを特徴とする請求項1〜7の一項に記載の符号化方法。
【請求項9】
トレリスの少なくとも1つが、入力状態および出力状態が所定の値にセットされたトレリスであることを特徴とする請求項1〜8の一項に記載の符号化方法。
【請求項10】
前記局所的符号の少なくとも1つが、6つのラベルビットに応じて出力状態ビットを入力状態ビットに対応させることを確立する2状態符号(6、4、2)であり、
6が、前記局所的符号の長さであり、あるいは、前記局所的符号のラベルビットの数であり、
4が、前記局所的符号のサイズであり、
2が、前記基本符号からの最小距離である、
ことを特徴とする請求項1〜9の一項に記載の符号化方法。
【請求項11】
前記基本符号が、前記符号(6、4、2)の3つのセクションによって構成されることを特徴とする請求項10に記載の符号化方法。
【請求項12】
前記局所的符号の少なくとも1つが、4つのラベルビットに応じて出力状態ビットを入力状態ビットに対応させることを確立する2状態符号(4、3、2)であり、
4が、前記局所的符号の長さであり、あるいは、前記局所的符号のラベルビットの数であり、
3が、前記局所的符号のサイズであり、
2が、前記基本符号からの最小距離である、
ことを特徴とする請求項1〜9の一項に記載の符号化方法。
【請求項13】
前記基本符号が、前記符号(4、3、2)の2つのセクションによって構成されることを特徴とする請求項12に記載の符号化方法。
【請求項14】
前記局所的符号の少なくとも1つが、6つのラベルビットに応じて出力状態ビットを入力状態ビットに対応させることを確立する2状態符号(6、5、2)であり、
6が、前記局所的符号の長さであり、あるいは、前記局所的符号のラベルビットの数であり、
5が、前記局所的符号のサイズであり、
2が、前記基本符号からの最小距離である、
ことを特徴とする請求項1〜9の一項に記載の符号化方法。
【請求項15】
前記基本符号が、前記符号(6、5、2)の3つのセクションによって構成されることを特徴とする請求項14に記載の符号化方法。
【請求項16】
前記局所的符号の少なくとも1つが、8つのラベルビットに応じて出力状態ビットを入力状態ビットに対応させることを確立する4状態符号(8、7、2)であり、
8が、前記局所的符号の長さであり、あるいは、前記局所的符号のラベルビットの数であり、
7が、前記局所的符号のサイズであり、
2が、前記基本符号からの最小距離である、
ことを特徴とする請求項1〜9の一項に記載の符号化方法。
【請求項17】
前記局所的符号の少なくとも1つが、8つのラベルビットに応じて出力状態ビットを入力状態ビットに対応させることを確立する2状態符号(8、7、2)であり、
8が、前記局所的符号の長さであり、あるいは、前記局所的符号のラベルビットの数であり、
7が、前記局所的符号のサイズであり、
2が、前記基本符号からの最小距離である、
ことを特徴とする請求項1〜9の一項に記載の符号化方法。
【請求項18】
前記基本符号が、前記符号(8、7、2)の8つのセクションによって構成されることを特徴とする請求項16および17の一項に記載の符号化方法。
【請求項19】
請求項1〜18の一項に記載の符号化方法によって符号化されたデータを復号化するための方法であって、
少なくとも1つのラベル語および少なくともいくつかの前記語に適用される置換に基づいて、少なくとも1つの出力状態語を少なくとも1つの入力状態語に対応させることを確立する複数の局所的符号を符号化と対称的に提供し、
前記局所的符号が、検出符号ではあるが、所定の符号化文字内における誤り訂正符号ではなく、前記局所的符号が、それらの状態語によって互いに接続され、それによって、少なくとも1つの符号化トレリスを構成し、それぞれのトレリスが、基本符号を定義する、
ことを特徴とする復号化するための方法。
【請求項20】
符号化されたデータを送信するための装置であって、
少なくとも1つのラベル語および少なくともいくつかの前記語に適用される置換の手段に基づいて、少なくとも1つの出力状態語を少なくとも1つの入力状態語に対応させることを確立する複数の局所的符号を提供する、請求項1〜18の一項に記載の符号化方法に基づいた手段を備え、
前記局所的符号が、検出符号ではあるが、所定の符号化文字内における誤り訂正符号ではなく、
前記局所的符号が、それらの状態語によって互いに接続され、それによって、少なくとも1つの符号化トレリスを構成し、それぞれのトレリスが、基本符号を定義する、
ことを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項1〜18の一項に記載の符号化方法によって符号化されたデータを受信するための装置であって、
少なくとも1つのラベル語および少なくともいくつかの前記語に適用される置換の手段に基づいて、少なくとも1つの出力状態語を少なくとも1つの入力状態語に対応させることを確立する複数の局所的符号によって符号化と対称的に動作する復号化手段を提供し、
前記局所的符号が、検出符号ではあるが、所定の符号化文字内における誤り訂正符号ではなく、
前記局所的符号が、それらの状態語によって互いに接続され、それによって、少なくとも1つの符号化トレリスを構成し、それぞれのトレリスが、基本符号を定義する、
ことを特徴とする装置。
【請求項22】
符号化されたデータを記憶するための装置であって、
少なくとも1つのラベル語および少なくともいくつかの前記語に適用される置換の手段に基づいて、少なくとも1つの出力状態語を少なくとも1つの入力状態語に対応させることを確立する複数の局所的符号を提供する請求項1〜19までのいずれかに記載の符号化方法および/または復号化方法の手段を備え、
前記局所的符号が、検出符号ではあるが、所定の符号化文字内における誤り訂正符号ではなく、前記局所的符号が、それらの状態語によって互いに接続され、それによって、少なくとも1つの符号化トレリスを構成し、それぞれのトレリスが、基本符号を定義する、
ことを特徴とする装置。
【請求項23】
コンピュータプログラムプロダクトであって、
少なくとも1つのラベル語および少なくともいくつかの前記語に適用される置換の手段に基づいて、少なくとも1つの出力状態語を少なくとも1つの入力状態語に対応させることを確立する複数の局所的符号を提供する、請求項1〜19までのいずれかに記載の符号化方法および/または復号化方法のためのプログラム命令を備え、
前記局所的符号が、検出符号ではあるが、所定の符号化文字内における誤り訂正符号ではなく、前記局所的符号が、それらの状態語によって互いに接続され、それによって、少なくとも1つの符号化トレリスを構成し、それぞれのトレリスが、基本符号を定義する、
ことを特徴とするコンピュータプログラムプロダクト。
【請求項1】
冗長データをソースデータに対応させ、かつ、少なくとも1つのラベル語と少なくともいくつかの前記ラベル語に適用される置換とに基づいて、少なくとも1つの出力状態語を少なくとも1つの入力状態語に対応させることを確立する複数の局所的符号を提供する符号化方法であって、
前記局所的符号が、検出符号ではあるが、所定の符号化文字内における誤り訂正符号ではなく、前記局所的符号が、それらの状態語によって互いに接続されて少なくとも1つの符号化トレリスを構成し、それぞれのトレリスが基本符号を定義する、
ことを特徴とする符号化方法。
【請求項2】
前記置換が、前記ラベル語には適用されるが、前記状態語には適用されないことを特徴とする請求項1に記載の符号化方法。
【請求項3】
前記局所的符号が、2状態トレリスかまたは4状態トレリスによって表現されるバイナリ符号であることを特徴とする請求項1および2の一項に記載の符号化方法。
【請求項4】
前記局所的符号が、2n個の要素を備えた符号化文字に関して定義され、かつ、2n状態,2n+1状態、または、2n+2状態を備えたトレリスによって表現されることを特徴とする請求項1および2の一項に記載の符号化方法。
【請求項5】
前記基本符号のそれぞれが、m個のシンボルからなる長さを備えた符号語を提供し、それぞれが、符号化文字の少なくとも1つのビットに対応し、符号化文字が、
有意性2を備えた符号語の数が、m/2よりも小さいかまたはm/2に等しく、
有意性3を備えた符号語の数が、0でない、
ように定義され、
符号語の有意性が、それが含む0と異なるシンボルの数である、
ことを特徴とする請求項1〜4の一項に記載の符号化方法。
【請求項6】
前記基本符号語の少なくとも1つが、少なくとも2つの符号セクションによって構成されることを特徴とする請求項1〜5の一項に記載の符号化方法。
【請求項7】
間引きが、前記基本符号の少なくとも1つに実施されることを特徴とする請求項1〜6の一項に記載の符号化方法。
【請求項8】
トレリスの少なくとも1つが、巡回的トレリスであることを特徴とする請求項1〜7の一項に記載の符号化方法。
【請求項9】
トレリスの少なくとも1つが、入力状態および出力状態が所定の値にセットされたトレリスであることを特徴とする請求項1〜8の一項に記載の符号化方法。
【請求項10】
前記局所的符号の少なくとも1つが、6つのラベルビットに応じて出力状態ビットを入力状態ビットに対応させることを確立する2状態符号(6、4、2)であり、
6が、前記局所的符号の長さであり、あるいは、前記局所的符号のラベルビットの数であり、
4が、前記局所的符号のサイズであり、
2が、前記基本符号からの最小距離である、
ことを特徴とする請求項1〜9の一項に記載の符号化方法。
【請求項11】
前記基本符号が、前記符号(6、4、2)の3つのセクションによって構成されることを特徴とする請求項10に記載の符号化方法。
【請求項12】
前記局所的符号の少なくとも1つが、4つのラベルビットに応じて出力状態ビットを入力状態ビットに対応させることを確立する2状態符号(4、3、2)であり、
4が、前記局所的符号の長さであり、あるいは、前記局所的符号のラベルビットの数であり、
3が、前記局所的符号のサイズであり、
2が、前記基本符号からの最小距離である、
ことを特徴とする請求項1〜9の一項に記載の符号化方法。
【請求項13】
前記基本符号が、前記符号(4、3、2)の2つのセクションによって構成されることを特徴とする請求項12に記載の符号化方法。
【請求項14】
前記局所的符号の少なくとも1つが、6つのラベルビットに応じて出力状態ビットを入力状態ビットに対応させることを確立する2状態符号(6、5、2)であり、
6が、前記局所的符号の長さであり、あるいは、前記局所的符号のラベルビットの数であり、
5が、前記局所的符号のサイズであり、
2が、前記基本符号からの最小距離である、
ことを特徴とする請求項1〜9の一項に記載の符号化方法。
【請求項15】
前記基本符号が、前記符号(6、5、2)の3つのセクションによって構成されることを特徴とする請求項14に記載の符号化方法。
【請求項16】
前記局所的符号の少なくとも1つが、8つのラベルビットに応じて出力状態ビットを入力状態ビットに対応させることを確立する4状態符号(8、7、2)であり、
8が、前記局所的符号の長さであり、あるいは、前記局所的符号のラベルビットの数であり、
7が、前記局所的符号のサイズであり、
2が、前記基本符号からの最小距離である、
ことを特徴とする請求項1〜9の一項に記載の符号化方法。
【請求項17】
前記局所的符号の少なくとも1つが、8つのラベルビットに応じて出力状態ビットを入力状態ビットに対応させることを確立する2状態符号(8、7、2)であり、
8が、前記局所的符号の長さであり、あるいは、前記局所的符号のラベルビットの数であり、
7が、前記局所的符号のサイズであり、
2が、前記基本符号からの最小距離である、
ことを特徴とする請求項1〜9の一項に記載の符号化方法。
【請求項18】
前記基本符号が、前記符号(8、7、2)の8つのセクションによって構成されることを特徴とする請求項16および17の一項に記載の符号化方法。
【請求項19】
請求項1〜18の一項に記載の符号化方法によって符号化されたデータを復号化するための方法であって、
少なくとも1つのラベル語および少なくともいくつかの前記語に適用される置換に基づいて、少なくとも1つの出力状態語を少なくとも1つの入力状態語に対応させることを確立する複数の局所的符号を符号化と対称的に提供し、
前記局所的符号が、検出符号ではあるが、所定の符号化文字内における誤り訂正符号ではなく、前記局所的符号が、それらの状態語によって互いに接続され、それによって、少なくとも1つの符号化トレリスを構成し、それぞれのトレリスが、基本符号を定義する、
ことを特徴とする復号化するための方法。
【請求項20】
符号化されたデータを送信するための装置であって、
少なくとも1つのラベル語および少なくともいくつかの前記語に適用される置換の手段に基づいて、少なくとも1つの出力状態語を少なくとも1つの入力状態語に対応させることを確立する複数の局所的符号を提供する、請求項1〜18の一項に記載の符号化方法に基づいた手段を備え、
前記局所的符号が、検出符号ではあるが、所定の符号化文字内における誤り訂正符号ではなく、
前記局所的符号が、それらの状態語によって互いに接続され、それによって、少なくとも1つの符号化トレリスを構成し、それぞれのトレリスが、基本符号を定義する、
ことを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項1〜18の一項に記載の符号化方法によって符号化されたデータを受信するための装置であって、
少なくとも1つのラベル語および少なくともいくつかの前記語に適用される置換の手段に基づいて、少なくとも1つの出力状態語を少なくとも1つの入力状態語に対応させることを確立する複数の局所的符号によって符号化と対称的に動作する復号化手段を提供し、
前記局所的符号が、検出符号ではあるが、所定の符号化文字内における誤り訂正符号ではなく、
前記局所的符号が、それらの状態語によって互いに接続され、それによって、少なくとも1つの符号化トレリスを構成し、それぞれのトレリスが、基本符号を定義する、
ことを特徴とする装置。
【請求項22】
符号化されたデータを記憶するための装置であって、
少なくとも1つのラベル語および少なくともいくつかの前記語に適用される置換の手段に基づいて、少なくとも1つの出力状態語を少なくとも1つの入力状態語に対応させることを確立する複数の局所的符号を提供する請求項1〜19までのいずれかに記載の符号化方法および/または復号化方法の手段を備え、
前記局所的符号が、検出符号ではあるが、所定の符号化文字内における誤り訂正符号ではなく、前記局所的符号が、それらの状態語によって互いに接続され、それによって、少なくとも1つの符号化トレリスを構成し、それぞれのトレリスが、基本符号を定義する、
ことを特徴とする装置。
【請求項23】
コンピュータプログラムプロダクトであって、
少なくとも1つのラベル語および少なくともいくつかの前記語に適用される置換の手段に基づいて、少なくとも1つの出力状態語を少なくとも1つの入力状態語に対応させることを確立する複数の局所的符号を提供する、請求項1〜19までのいずれかに記載の符号化方法および/または復号化方法のためのプログラム命令を備え、
前記局所的符号が、検出符号ではあるが、所定の符号化文字内における誤り訂正符号ではなく、前記局所的符号が、それらの状態語によって互いに接続され、それによって、少なくとも1つの符号化トレリスを構成し、それぞれのトレリスが、基本符号を定義する、
ことを特徴とするコンピュータプログラムプロダクト。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【公表番号】特表2008−501266(P2008−501266A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513995(P2007−513995)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001238
【国際公開番号】WO2006/000666
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(591034154)フランス テレコム (290)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001238
【国際公開番号】WO2006/000666
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(591034154)フランス テレコム (290)
【Fターム(参考)】
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