屈折率変化を有する自由形成レンズ
重合された架橋可能な材料の複数のボクセル(1704)を含むレンズの少なくとも一部分を有する眼科レンズ。更に、本出願は、異なる屈折率の1つ又は2つ以上の領域、並びに隆起した凸領域及び凹領域の1つ又は両方を有する領域を有するレンズを生成するための装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年3月23日出願の米国特許出願番号第12/729,334号及び2009年3月31日出願の同第61/164,995号の優先権を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、眼科レンズの製造、より具体的には、いくつかの実施形態において、自由形成表面及び異なる屈折率の領域を有する眼科レンズの形成のための装置を説明する。
【背景技術】
【0003】
モノマー材料が、2つ以上の対向する鋳型部分の光学表面の間に画定されるキャビティ内に配置される、注型成形技法を介して、眼科レンズを製造することは既知である。ヒドロゲルを有用な物品(例えば眼科レンズ)に作るために用いる多部分鋳型は、例えば、眼科レンズの後側湾曲部に対応する凸部部分を伴う第1の鋳型部分と、眼科レンズの前側湾曲部に対応する凹部部分を伴う第2の鋳型部分とを備えることができる。
【0004】
かかる鋳型部分を使用してレンズを調製するために、未硬化ヒドロゲルレンズ配合物が、プラスチック製の使い捨て前側湾曲鋳型部分と、プラスチック製の使い捨て後側湾曲鋳型部分との間に置かれ、重合される。しかしながら、そこから派生する眼科レンズの設計は、使用される鋳型の設計に制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、特定の患者若しくは目的の一方又は両方のためにカスタマイズすることができるように、所定の寸法及び形状の眼科レンズの形成につながる更なる方法及び装置を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、重合された架橋可能な材料の複数のボクセルを含む第1部分と、ゲル化点の上で重合された架橋可能な材料の層状体積を有する第2部分と、を含む眼科レンズを目的とする。更に、本発明に従って形成されるレンズの異なる領域は、視力補正を更に促進するために、異なる屈折率を含んでもよい。
【0007】
一般に、光吸収性成分を含む反応性混合物は、弓状の表面を有する基材を介して化学放射線の源に暴露される。弓状の表面の少なくとも一部は、光学品質表面を含むことができる。化学放射線は、所定のパターンで反応性混合物の一部を硬化させるように制御可能である。所定のパターンは、光学品質基材表面に沿って形成された1つの表面と、反応性混合物の体積内に自由形成された第2表面と、を含むことができる。
【0008】
本発明に係るレンズは、光吸収性成分を含むことができる。光吸収性成分は複数のボクセルの形成に有用であり得る。各ボクセルは、第1端部及び第2端部を含んでもよく、第2部分は、各第2端部を本質的に被覆する、ゲル化点より上で重合された架橋可能な材料の層状体積を含んでもよい。様々な実施形態は、第1部分及び第2部分の一方、又は両方において光学表面を含むことができる。
【0009】
重合されたレンズ材料のボクセルは、複数の化学放射線への架橋可能な材料の暴露を介して形成することができ、化学放射線の各放射線は、1つの源から生じており、反応性混合物の所定の部分に向けて所定の時間反射される。反応性混合物の所定の部分に向けて所定の時間反射することができる化学放射線の各放射線は、所定の波長を含む。いくつかの実施形態では、第2部分は、複数点から生じる複数の化学放射線への反応性混合物の暴露によって形成される。
【0010】
いくつかの更なる実施形態は、1つ又は2つ以上の特徴(例えば、重合された架橋可能な材料のボクセルによって形成されたトラフ;重合された架橋可能な材料のボクセルによって形成された1つ又は2つ以上の凸領域)を有するレンズを含んでもよい。
【0011】
本発明に従って形成されたレンズは、球状であってもよく、又は非球状であってもよい。第1表面は、光学品質光学ゾーンを含んでもよく、第2表面は、アーチファクトを含んでもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、レンズは、流動性かつ構造的の両方の領域を含むレンズ前駆体から形成され得る。好ましい実施形態では、構造領域は、主にボクセルリソグラフィセクションの動作によって決定されるが、しかしながら、流動域は、ボクセルリソグラフィセクションによっても影響を受けるが、数々の方法で決定することができる。別の実施形態は、レンズ前駆体中間生成物を介することなく、ボクセルリソグラフィセクションの効果からレンズを形成し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のいくつかの実施形態を実践するために使用され得る方法工程を図示する。
【図2】本発明のいくつかの実施形態を実践するために使用され得る追加方法工程を図示する。
【図3】形成及び固定化放射線の吸光度と透過率との間の関係の一例を図示する。
【図4】本明細書に開示される発明によって生成されるレンズの一実施例を図示する。
【図5】ボクセルに基づいたリソグラフィを含む、本発明のいくつかの実施形態を実践するのに有用であり得る、装置構成要素を図示する。
【図6】本発明のいくつかの実施形態を実践するのに有用であり得る、例示的な光源装置構成要素を図示する。
【図7】本発明のいくつかの実施形態を実践するのに有用であり得る、例示的な光学装置構成要素を図示する。
【図8】本発明のいくつかの実施形態を実践するのに有用であり得る、例示的なデジタルミラー装置構成要素を図示する。
【図9】本発明のいくつかの実施形態を実践するのに有用であり得る、追加装置構成要素を図示する。
【図10】本発明のいくつかの実施形態を実践するのに有用であり得る、例示的な形成光学機器を図示する。
【図11】本発明のいくつかの実施形態を実践するのに有用であり得る、例示的なモノマーリザーバを図示する。
【図12】本発明のいくつかの実施形態を実践するのに有用であり得る、例示的な材料除去装置を図示する。
【図13】本発明のいくつかの実施形態を実践するのに有用であり得る、例示的な材料除去装置の全体的動作システムを図示する。
【図14】本発明のいくつかの実施形態を実践するのに有用であり得る、例示的な安定化及び固定化装置を図示する。
【図15】本発明のいくつかの実施形態を実践するのに有用であり得る、例示的な計測システムを図示する。
【図16】本発明のいくつかの実施形態を実践するのに有用であり得る、例示的な水和及び除去システムを図示する。
【図17】ボクセル形成及び流動性レンズ反応性媒体の層状体積を有する、レンズ前駆体の例示的な断面図を図示する。
【図18】例示的なチャネルアーチファクトを有するレンズ前駆体を図示する。
【図19】化学放射線へのレンズ前駆体の暴露によって形成されたレンズを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、レンズを形成するための、及びレンズ前駆体を形成するための方法及び装置を提供する。以下の項において、本発明の実施形態がより詳細に説明される。好ましい実施形態及び代替の実施形態の両方の説明は、完全ではあるが、例示的な実施形態に過ぎず、変形、修正、及び代替が当業者にとって明白であり得ることが理解される。したがって、例示的な実施形態は、請求項によって定義される、基礎となる発明の態様の幅を制限しない。
【0015】
用語解説
本発明を目的とする本説明及び特許請求の範囲において、以下の定義が適用される、様々な用語が使用され得る。
【0016】
本明細書で使用される場合、「化学放射線」は、化学反応を起こすことができる放射線を指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、「弓状の」は、弓のような曲線又は屈曲を指す。
【0018】
本明細書に言及される「ベールの法則」(「ランベルト・ベールの法則」と称される場合もある)は、I(x)/I0=exp(−αcx)であり、式中、I(x)は、照射される表面からの距離xの関数としての強度であり、I0は、表面での入射強度であり、αは、吸収成分の吸収係数であり、cは、吸収成分の濃度である。
【0019】
本明細書で使用される場合、「コリメートする」は、入力として放射線を受信する装置からの出力として進行する、光等の放射線の円錐角を限定することを意味し、いくつかの実施形態では、円錐角は、進行する光線が平行となるように制限され得る。したがって、「コリメーター」は、この機能を実施する装置を含み、「コリメートされた」は、放射線に対する効果を説明する。
【0020】
本明細書で使用される場合、「DMD」、デジタルマイクロミラーデバイスは、CMOS SRAMの全体に機能的に実装された移動可能なマイクロミラーのアレイからなる双安定空間光変調器である。それぞれのミラーは、反射光を誘導するために、ミラーの下のメモリセルにデータを読み込むことによって独立して制御され、ビデオデータのピクセルをディスプレイ上のピクセルに空間的にマッピングする。データは、ミラーの状態が+X度(オン)又は−X度(オフ)のいずれかである2進数方式で、ミラーの傾斜角を静電気的に制御する。現在のデバイスは、Xを、10度又は12度(公称)のいずれかにすることができる。(オン)ミラーによって反射される光は、次いで投影レンズを通過してスクリーン上へ進む。光は、反射されて暗視野を生成し、画像の黒レベルフロアを画定する。画像は、観測者によって統合されるのに十分な速い速度でのオンレベルとオフレベルとの間のグレースケール変調によって生成される。DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)は、DLP投影システムである場合がある。
【0021】
本明細書で使用される場合、「DMDスクリプト」は、空間光変調器のための制御プロトコル、及びまた、例えば、いずれかがその時点の一連のコマンドシーケンスを含み得る、光源又はフィルタホイール等の、いずれかのシステム構成要素の制御信号を指すものとする。頭文字DMDの使用は、この用語の使用を、空間光変調器のいずれか1つの特定種類又は寸法に限定することを意味しない。
【0022】
本明細書で使用される場合、「固定化放射線」は、レンズ前駆体又はレンズを含む、本質的に全ての反応性混合物の1つ又は2つ以上の重合及び架橋への十分な化学放射線を指す。
【0023】
本明細書で使用される場合、「流動性レンズ反応性媒体」は、天然の形態、反応した形態、又は部分的に反応した形態のいずれかで流動性であり、更なる処理を受けて眼科レンズの一部に形成される、反応性混合物を意味する。
【0024】
「自由形成」が本明細書で使用される場合、「自由形成された」又は「自由形成」は、反応性混合物の架橋によって形成され、注型成形に従って成形されない表面を指す。
【0025】
「ゲル化点」は、本明細書で使用される場合、ゲル又は不溶分画が最初に観測される点を指すものとする。「ゲル化点」は、液体の重合混合物が、それが固体化する範囲内で架橋される変換の範囲である。ゲル化点は、ポリマー反応を異なる時点で停止させ、結果として生じるポリマーを分析して残留不溶性ポリマーの重量分画を決定する、ソックスレー実験を使用して決定することができる。ゲルが存在しない点のデータを推定することができる。ゲルが存在しないこの点が、ゲル化点である。また、ゲル化点は、反応中の反応混合物の粘度を分析することによって決定することもできる。粘度は、反応混合物がプレート間にある状態で、平行プレートレオメーターを使用して測定することができる。少なくとも1つのプレートは、重合に使用される波長の放射線に対して透明であるべきである。粘度が無限大に到達する点が、ゲル化点である。ゲル化点は、所与のポリマー系及び具体的な反応条件と同一の変換度で生じる。
【0026】
「レンズ」が本明細書で使用される場合、「レンズ」は、眼内又は眼上にある、いずれかの眼科デバイスを指す。これらの装置は光学補正をもたらすことができるか、又は美容用であっても良い。例えば、レンズという用語は以下のものを指すことができる。コンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼用挿入物、光学挿入物、又は他の同様の、視力が補正若しくは変更される装置か、又は視力を妨げることなく目の生理機能が美容的に拡張される(例えば、虹彩色)装置。いくつかの実施形態では、本発明の好ましいレンズは、シリコーンヒドロゲル類、及びフルオロヒドロゲル類を含むが、これらに限定されない、シリコーンエラストマー類又はヒドロゲル類から製造される、ソフトコンタクトレンズである。
【0027】
本明細書で使用される場合、「レンズ前駆体」は、レンズ前駆体形態、及びレンズ前駆体形態と接触する流動性レンズ反応性混合物からなる複合物体を意味する。例えば、いくつかの実施形態では、流動性レンズ反応性媒体は、反応性混合物の体積内でレンズ前駆体形態を生成する過程で形成される。レンズ前駆体形態、及び接着した流動性レンズ反応性媒体を、レンズ前駆体形態を生成するために使用される反応性混合物の体積から分離することによって、レンズ前駆体を作り出すことができる。更に、レンズ前駆体は、相当量の流動性レンズ反応性混合物を除去するか、又は相当量の流動性レンズ反応性媒体を非流動性組み込み材料に変換するか、のいずれかによって、異なる実体に変換することができる。
【0028】
本明細書で使用される場合、「レンズ前駆体形態」は、眼科レンズへの更なる処理を受けて組み込まれるものと一致する、少なくとも1つの光学品質表面を有する、非流動性物体を意味する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「レンズ形成混合物」は、「反応性混合物」、「反応性モノマー混合物」、又は「架橋可能な材料」と互換的に使用されてもよく、眼科レンズ又は眼科レンズの部分を形成するために、硬化及び/又は架橋され得るモノマー又はプレポリマー材料指す。様々な実施形態は、UV遮断剤、染料、光開始剤、又は触媒、及びコンタクト若しくは眼内レンズ等の眼科レンズに望まれ得る他の添加剤等の1つ又は2つ以上の添加剤を有するレンズ形成混合物を含むことができる。
【0030】
本明細書で使用される場合、「鋳型」は、未硬化配合物からレンズを形成するために使用され得る、剛性又は半剛性の物体を指す。いくつかの好ましい鋳型は、前側湾曲鋳型部分及び後側湾曲鋳型部分を形成する、2つの鋳型部分を含む。
【0031】
「放射線吸収成分」が本明細書で使用される場合、この用語は、反応性モノマー混合配合物に組み込むことができ、特定の波長帯の放射線を吸収することができる、放射線吸収成分を指す。
【0032】
「反応性混合物」(また、本明細書において、レンズ形成混合物、架橋可能媒体、又は反応性モノマー混合物と称される場合もあり、「レンズ形成混合物」と同一の意味を有する。
【0033】
「鋳型から取り外す」が本明細書で使用される場合、「鋳型から取り外す」は、レンズが、鋳型から完全に分離した状態、又は穏やかな振動によって取り外すか、若しくは綿棒を用いて押し外すことができるように、ほんの軽く付着した状態のいずれかとなることを意味する。
【0034】
本明細書で使用される場合、「ステレオリソグラフィレンズ前駆体」は、レンズ前駆体形態が、ステレオリソグラフィ技術を使用することによって形成された、レンズ前駆体を意味する。
【0035】
「基材」:上に他の実体が定置又は形成される物理的実体。
【0036】
本明細書で使用される場合、「過渡レンズ反応性媒体」は、流動性又は非流動性形態でレンズ前駆体形態上に残存し得る、反応性混合物を意味する。しかしながら、過渡レンズ反応性媒体は、眼科レンズに組み込まれる前に、洗浄、溶媒和、及び水和工程の1つ又は2つ以上によって大幅に除去される。したがって、明確化のため、レンズ前駆体形態及び過渡レンズ反応性混合物の組み合わせは、レンズ前駆体を構成しない。
【0037】
「ボクセル」が本明細書で使用される場合、「ボクセル」又は「化学放射線ボクセル」は、3次元空間の規則的な格子上の値を示す体積要素である。ボクセルは、3次元ピクセルと考えることができるが、しかしながら、ピクセルが2D画像データを示す一方、ボクセルは、第3の次元を含む。更に、ボクセルは、医療及び科学的データの視覚化並びに分析にしばしば使用される一方、本発明では、ボクセルは、反応性混合物の特定体積に到達する、ある量の化学放射線の境界を画定し、それによって具体的な反応性混合物の体積の架橋又は重合の速度を制御するために使用される。例として、ボクセルは、本発明では、化学放射線が、それぞれのボクセルの共通軸次元内の2D表面に対して垂直に向けられ得る、2D鋳型表面に対して等角である単一層内に存在すると見なされる。一実施例として、具体的な反応性混合物の体積は、768×768ボクセルに従って、架橋又は重合されてもよい。
【0038】
「ボクセルに基づいたレンズ前駆体」が本明細書で使用される場合、「ボクセルに基づいたレンズ前駆体」は、レンズ前駆体形態がボクセルに基づいたリソグラフィ技術を使用することによって形成された、レンズ前駆体を意味する。
【0039】
「Xゲル」が本明細書で使用される場合、Xゲルは、ゲル分画がゼロを超えるようになる、架橋可能な反応性混合物の化学変換の程度である。
【0040】
図1を参照すると、本発明のいくつかの実施形態のブロック図100が図示される。様々な態様は、例えば、ボクセルに基づいたリソグラフィ手順110、別の形成手順120、レンズ前駆体処理手順130、後処理手順140、並びに計測及びフィードバック手順150を含む。レンズ前駆体160及び眼科レンズ170を含む2つの物品が、ブロック図で特定されている。
【0041】
レンズ前駆体及び眼科レンズ170を形成する方法及び装置は、同時係属の米国特許出願に詳細に記載されており、レンズ前駆体及び眼科レンズ170を形成するための方法及び装置は、同時係属の米国特許出願第12/194,981号、表題「Apparatus for Formation of an Ophthalmic Lens Precursor and Lens」(2008年8月20日出願)、及び米国特許出願第12/195,132号、表題「Methods for Formation of an Ophthalmic Lens Precursor and Lens」(2008年8月20日出願)、及び米国特許出願第12/363,138号、表第「Ophthalmic Lens Precursor and Lens」(2009年1月30日出願)、及び米国特許出願第12/396,019号、表題「Free Form Ophthalmic Lens」(2009年3月2日出願)に詳細に記載されており、それぞれの内容は信頼され、ここに援用するものである。
【0042】
示されているように、単一方向に進む矢印は、いくつかの実施形態がとり得る一般的な方向を含み得、2つの頭を有する矢印は、材料、データ、及び情報のいくつか又は全てが、様々な手順セクションから中心的測定及びフィードバックセクションへ、及びその逆へ流れることができることを示す。
【0043】
ボクセルに基づいたリソグラフィ手順
ここで図1のボクセルに基づいたリソグラフィ方法110を再び参照すると、本発明のいくつかの実施形態に従ってレンズを作製する最初の工程は、アルゴリズム計算を実施するために、レンズパラメーターをコンピュータ又は他のプロセッサに入力することを含む。いくつかの実施形態では、このようなパラメーターは、患者の目の光学表面上の光学収差、又は患者の視覚システムの他の物理的若しくは神経学的態様を測定することによって入手され得る。これらの測定値は、形成されるレンズに要求される波面特性に変化させることができる。他の実施形態では、レンズ製造パラメーターを決定するために、アルゴリズムに入力され得る理論上のレンズ波面特性が存在し得る。
【0044】
115において、アルゴリズムは、上述される入力パラメーターを受け取り、いくつかの実施形態では、パラメーターを以前に製造されたレンズに関連付ける。ここで、空間光変調器に通信される暴露「動画」又はスクリプトのための一連の「フレーム」が決定されてもよい。
【0045】
「DMD」スクリプトを含む、特定のボクセル要素のアルゴリズム出力を、その時点で予定される光反射プロファイルに変換するために使用することができる数々の手順も存在し得る。例として、アルゴリズムが望む全強度値は、全時間中に光照明システムの入力強度が反射される一連の時間刻みとして、反応性混合物のボクセル位置に供給されてもよい。全「オン」工程の積分強度は、次いで、ミラー要素に部分値が書き込まれ、したがってミラーが、全オンレベル未満であるデューティーサイクル「オン」レベルを有する、別の時間刻みによって補完されてもよく、全体として反応性混合物に暴露される残りの時間刻みでは、この特定のボクセル要素は、結果として残りの持続時間の間、「オフ」となり得る。別の手順は、供給される多数の刻み又は「フレーム」の強度の平均値を取得する工程と、その値を使用して、DMDに送信されるフレームのバルクに値を設定する工程と、を含み得る。前述の装置の記述に記載される、一般的な空間光変調器も同様に、この強度及び時間暴露制御を作り出す意図と関連させるための手順の実施形態を有することが、当業者にとって明らかであり得る。
【0046】
前述の方法が、空間的照明デバイスの動作によって空間的照明デバイスに適用される固定強度を変調する工程に関連する所与の実施例である一方、より高度な手順により、光源からの強度が、光濾過を用いて源又は光学機器システム内のいずれかで変調されるかどうかが導かれ得る。更なる実施形態は、照明システム構成要素内及び空間的照明変調器内の両方での強度制御の組み合わせに由来し得る。更なる実施形態は、照明の波長の制御に由来し得る。
【0047】
一般的な意味で、いずれかの寸法のいずれかの空間光変調器への制御信号、及びまた、例として、光源、フィルタホイール等のいずれかのシステム構成要素の制御信号と関連すると見なされるべき「DMD」スクリプトを形成する方法は、したがって、広くは、その時点で一連のプログラムされたコマンドシーケンスを作成する工程を含み得る。化学放射線の詳細、採用される光学機器システムの詳細、及び反応性混合物を含む材料の詳細の多くの実施形態を包含する、制御信号プログラムを作成する方法に関連する、数々の実施形態が存在することが、当業者にとって明らかであり得る。
【0048】
「DMD」スクリプト及びアルゴリズムの詳細は、処理後に得られる結果との関係を有し得ることが留意され得る。決定的に重要なパラメーターのフィードバックは、後述され、かかる詳細な記述は、したがって保留される。そうは言うものの、ボックス115に示されるDMDスクリプトを作成する方法に関して、ボクセルに基づいたリソグラフィ手順、並びにフィードバック及び計測手順を指す、及びそれとは逆を指す双頭矢印は、一部において、DMDスクリプトを作成するための方法でのこの情報交換における役割を指す。
【0049】
レンズ前駆体を形成する手順への他のインプットは、システムのための反応性混合物の形成及び調製を含む。例えば、反応性混合物内でモノマー単位として作用する化学構成成分は、実施形態のうちのいくつかに記載されたように、紫外スペクトルの光に対して光反応性である化学物質を含んでもよい。しかしながら、ブゲール・ランベルト・ベールの法則の効果を考慮しない、いくつかの他の方法とは異なり、本発明における反応性混合物は、化学放射線を光反応的に吸収する分子を含む。同様に、システム内の構成要素は、電磁スペクトルの別の部分と整合させるために調整されてもよい。したがって、分子は、電磁スペクトルの大きな部分にわたって、化学放射線に対して感受性が高い。
【0050】
いくつかの実施形態では、反応性混合物は、他の化学的構成成分と混合される、化学線に対して反応性の1つ又は2つ以上のモノマータイプを含む。非限定的な実施例を通じて、吸収化合物として、他の化学物質が含まれてもよい。反応性混合物へのかかる添加剤は、例えば、ボクセル要素によって画定される経路に沿った化学放射線の強度が、ブゲール・ランベルト・ベールの法則によってモデル化され得る方式で、ボクセルに基づいたリソグラフィを動作させる実施形態において重要であり得る。1つ又は2つ以上のかかる構成成分は、ボクセル要素内の形成プロセスの厚さの感度を概ね定義する更に、いくつかの実施形態は、関連のスペクトラル領域内で光を吸収する反応性混合物への、構成成分の添加を含むことができる。
【0051】
他の実施形態では、反応性混合物の吸収成分は、上述したものに更なる複雑性を含め得る。例えば、化学放射線吸収体構成要素が、異なる方式で及び/又は異なる波長の光を吸収する、複数の分子を含むのは、本発明のいくつかの実施形態の範囲内である。追加の実施形態は、それら自体が複数の関連する吸収帯域を有する分子で構成される吸収体要素に由来し得る。手順の更なる実施形態は、モノマー及び吸収体を組み合わせた役割を有する、反応性混合物に構成要素を添加する工程を含み得る。同様に、この組み合わせられた役割は、いくつかの実施形態では、モノマーに化学反応が生じた後でさえ、吸収役割を継続できるようにする。あるいは、更なる実施形態は、化学線の反応が発生する時に、変更された吸収体の1つ又は2つ以上の特性を有する反応性混合物に添加された化学物質を含んでもよい。一般的な観点から、1つ又は2つ以上の関連スペクトル帯域で放射線を吸収するための成分と共に、反応性混合物を含む手順のための多くの実施形態は、本発明の範囲内であり得ることが、明らかであり得る。
【0052】
反応性混合物を調製する方法に阻害物質成分の添加が含まれる場合、追加の実施形態が導かれ得る。この意味で、阻害物質化合物は、反応性混合物内に形成された化学生成物との反応における役割を有し得る。いくつかの実施形態では、化学放射線の吸収は、1つ又は2つ以上のフリーラジカル化学種を発生させ得る。阻害物質は、フリーラジカル種との反応において作用し、それによって、重合反応経路を終了させ得る。かかる実施形態の1つの効果は、光化学重合反応の持続時間を制限すること、又は他の方法で、重合反応が元の光吸収反応開始剤事象から離れて起こり得る距離を制限することであり得る。反応性混合物に阻害物質を添加するいくつかの実施形態は、したがって、ボクセル要素内での光子の収集が、開始する反応の空間的局所化に最終的に反映される、空間解像度に関連し得ることが明白であり得る。広くは、阻害物質の作用は、当該技術に関連する数々の実施形態を含み得る。
【0053】
阻害するように作用し得る反応性混合物の化学種又は構成要素の種類は、当該技術の数々の他の実施形態を含む。吸収体と同様に、複数の重合経路の阻害において、阻害物質が二重の役割を有することは、本発明の範囲内である。更に、阻害物質は、モノマー分子自体の一部を含み得る。阻害物質は、温度又は光反応性感度を有してもよい。更に他の実施形態は、混合物内に溶存形態を含み得るが、純形態で気体、液体、又は固体特性を呈するため、純化学状態の阻害物質の性質に由来し得る。
【0054】
反応性混合物を調製する方法は、反応開始剤成分の添加に関して、追加の実施形態を有し得る。反応性混合物は、光子の吸収において重合反応を促進する化学種を生成する、光吸収性成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、反応開始剤はまた、特定の帯域で一著しく吸収する分子を含んでもよい。更なる実施形態は、装置の複数の関連帯域で光吸収性である反応開始剤分子によって生じ得る。その吸収は、関連周波数の比較的広い帯域も含み得る。反応性混合物の反応開始剤成分が、反応性混合物内のモノマー分子種類の1つ又は2つ以上の中に存在する化学反応開始剤反応性に由来する場合、更なる実施形態も可能である。
【0055】
ここで図1を再び参照すると、112において、反応性混合物の量は、形成光学機器によってアクセスされ得るリザーバ内への注入であってもよい。いくつかの実施形態では、リザーバは、開放された容器であり、他の実施形態では、リザーバは、他の鋳型部分との嵌合に好適な鋳型部分を含んでもよい。複数の鋳型部分を有する実施形態は、注型成形システムと類似している場合があるが、しかしながら、注型成形とは異なり、本発明は、成形システムを含む鋳型部分の少なくとも1つの曲率に従わない、自由成形方式において得られるレンズ表面の少なくとも一部分を形成する。
【0056】
いくつかの実施形態では、開放されているか、又は閉鎖されているかに関わらず、リザーバに含まれた反応性混合物は、所望の濃度の溶存酸素又は他の気体を有するように平衡化され得る。いくつかの実施形態では、溶存した時に所望の濃度に均衡化するように存在する所定の酸素(又は他の気体)を含む雰囲気を有するエンクロージャ内に、反応性混合物の体積を含む導管を保管することによって、平衡が達成されてもよい。更なる実施形態は、膜技術を介して的確な量の酸素を、流動する反応性混合物に交換し得る、自動化器具を含み得る。反応性混合物の投与を、所望のレベルの組み込まれた気体に組み込む他の方法は、本発明の範囲に一致している。
【0057】
いくつかの実施形態では、注入された反応性混合物の体積はここで、手動手段で、形成光学機器表面の付近に混合物を収容するための容器を含むリザーバに移動されてもよい。他の実施形態は、リザーバを反応性混合物で充填するための自動化機構を含んでもよい。本発明の更なる実施形態は、レンズ形成プロセスで必要に応じて使用され得る、充填使い捨て容器を含んでもよい。本発明の範囲は、全ての処理後に形成されるレンズを含む材料の量を超える、少なくともある量の反応性混合物で、形成光学機器表面の付近のリザーバを充填するためのある種の手順を使用することを含む。
【0058】
116において、レンズが形成される。いくつかの実施形態においてベールの法則方式を用いてモデル化され得るように、反応性混合物は、画像化された化学放射線が通過した深さを基にして反応性混合物へ向けられた化学放射線の強度の著しい吸収性の減少があるように、吸収性要素を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、化学放射線のDMDスクリプトへの大量の反応性混合物の暴露に続いて、それを通じて、スクリプトが再生される形成光学機器は、残っている反応性混合物の体積から取り除かれる。いくつかの実施形態は、反応性混合物のリザーバから形成光学機器を単に持ち上げる工程を含んでもよい。他の実施形態では、リザーバは、形成光学機器から離して引き下げられてもよい。様々な実施形態はまた、反応性混合物の体積から形成光学機器に取り付けられた構造体の取り外しを含んでもよい。構造体には、例えばレンズ前駆体形態、レンズ前駆体、又はレンズを挙げることができる。
【0060】
更なる実施形態は、ある程度の精度でかかる取り出しの速度を制御することができる器具を用いて、引き下げ又は持ち上げ工程のいずれかを自動化することに由来し得る。別の実施形態では、反応性混合物のリザーバは、いくつかの方式で排出され、結果として、取り付けられたレンズ前駆体形態を有する形成光学機器が反応性混合物から分離されてもよい。
【0061】
本発明は、1つの光学ゾーンに含まれる複数のゾーンを有する眼科レンズを形成する装置及び方法を提供する。複数のゾーンは、屈折率における変化、及び光学ゾーンにおけるレンズ領域の形状によってもたらされる光学特性の1つ又は両方を含む。いくつかの実施形態では、異なる屈折率の領域は、患者の視力補正の必要性と一致するために、光学ゾーン内に空間的に分散される。
【0062】
本発明は、化学放射線の変調を使用して、異なる硬化に基づいて、異なる屈折率の、1つ又は2つ以上の領域作ることができ、また、反応性混合物の光吸収性特性に従って、化学放射線を調節し、光学品質を有する表面を形成することができる。本発明は、更なる態様では、バルクの反応性混合物質の異なる硬化を達成するために、紫外線を調整するか、又は減衰させる方法を提供する。したがって、いくつかの実施形態は、2つ又はそれ以上の光学ゾーンを含み、ここで、それぞれの光学ゾーンは、異なる屈折率及び異なる光学曲率の1つ又は両方によって形成され得る。
【0063】
特に定義しない限り、本明細書で使用される技術的及び科学的用語はすべて、発明が属する当業者によって一般的に解釈されるものと同じ意味を有するものである。一般的に、本明細書で使用される命名法は、当該技術分野において既知であり一般的に使用されている。従来の方法は、例えば当該技術分において提供されるようなもの及び様々な一般的な参照文献など、これらの手順で使用される。用語が単数系で提供されるところでは、本発明者らは用語の複数形もまた考慮している。
【0064】
「架橋可能及び/又は重合可能材料」は、生体適合性である架橋された及び/又は重合された材料を得るために、化学放射線によって重合され得る及び/又は架橋され得る材料を指す。化学放射線の例は、紫外線放射、イオン放射(例えばガンマ線又はX線放射)、マイクロ波照射等である。
【0065】
「ポリマー」は、1つ又は2つ以上のモノマーを重合することによって形成される材料を意味する。
【0066】
「プレポリマー」は、開始ポリマーよりもはるかに高い分子量を有する架橋されたポリマーを得るために、化学線放射によって、重合される及び/又は架橋されることができる開始ポリマーを指す。
【0067】
本発明は一般的に、コンタクトレンズの製造及び設計に関する。一態様では、本発明は、照明スキームに従って、変動する光の強度を作るようにエネルギー源を調整することによって、所望の度を有するレンズの光学ゾーンを製造する方法を提供する。本発明に従って、照明スキームは、反応性混合物の光吸収特性と組み合わされてもよい。多様な光強度は、別個に反応性混合物を硬化して、硬化されたレンズ内のレンズの光学ゾーンにおける屈折率の空間分布を作る。エネルギー源(例えば、紫外線など)の強度は、例えば、光学波面を操作するために様々である。光学波面は、特定のパターン、例えばゼルニケ多項式基底セット又は老眼収差パターンに従って操作されてもよい。光学波面は、波面収差データ(aberrometry data)、角膜トポグラフィデータから導かれてもよく、又は老眼補正波面と共に計算されてもよい。
【0068】
本発明のソフトコンタクトレンズは、例えば、シリコーン又はフッ素含有ヒドロゲル、又は屈折率の変調を可能にする材料特性を有するHEMAなど、反応性混合物から作製されるのが好ましい。反応性混合物は、本発明のコンタクトレンズの製造において使用され得るということが理解される。本出願に好ましい材料及び配合物は、純粋又は特別に編成されたヒドロゲル、好ましくは、特定の波長に暴露された時に光開始され得る放射線活性化架橋官能基含有のポリビニルアルコール(PVA)からなることが好ましい。
【0069】
いくつかの実施形態に従って、眼科レンズは、自由形態方法と組み合わされた両面成形(DSM)プロセス、及び光吸収性プロセスを利用する装置、例えばベールの法則に関して明細書に記載されているようなものによって作製されてもよい。
【0070】
レンズの設計は、レンズ形状内の材料バルク内ゾーン又は複数のゾーンの作製を含んでもよい。必要とされる補正のタイプによって、レンズ形状は、レンズの光学ゾーンにおいて単一の屈折率又は複数の屈折率を含んでもよい。一般に、最新のレンズは実質的に均一な屈折率を有する。
【0071】
本発明は、単一の屈折率/複数の屈折率の空間分布を有するレンズを提供する。更に、レンズは、変動する屈折率勾配を有するゾーンを含んでもよい。表面形状光学設計と組み合わせた、又はこれの代わりに単一の屈折率又は複数の屈折率は、レンズの屈折率を作ることが好ましい。これらのゾーンの位置は、レンズの所望の光学設計によって決定される。一定の若しくは変動する屈折率勾配を有する1つのゾーン又は複数のゾーンは、単焦点レンズ、トーリックレンズ、二焦点レンズ、マルチフォーカルレンズ、又はこれらの任意の組み合わせを製造するために使用され得る。
【0072】
レンズの度は、前面及び後面の曲率の関数である。特に、レンズの度は、ジオプターで測定され、これはレンズの焦点距離の逆数として考えることができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、レンズの表面は、焦点距離を変えるために変えられてもよく、これは視力を補正する。更に本発明は、屈折率の変更を提供し、眼科レンズの表面は、レンズを通過する光の焦点距離を変えるように作られる。
【0074】
本発明は、球面又は非球面の表面である光学表面又は形状を提供する。球面は、光軸上に中心があってもよい。標準的な球面の「サグ」即ち「Z座標」は、標準的な球面z=cr2 1+1−(1+k)×c2×r2によって与えられ、ここで[0055]c=曲率(半径の逆数)[0056]r=レンズユニットにおける動径座標[0057]k=円錐定数;円錐定数は双曲線に関しては−1未満、放物線に関しては−1、楕円に関しては−1〜0、球面に関しては0、及び扁平楕円体に関しては0超である。
【0075】
本発明に含まれるいくつかのレンズの設計は、光学収差及び焦点ずれを無効にする又は補正してもよい。焦点ずれを補正する2つの基本的な方法は、レンズの表面プロファイルを設計すること、又は硬化によって、1つの屈折率若しくは複数の屈折率を変えることを伴う。本発明は、1つのレンズ内でレンズ表面の欠点及び設計を補正するために、レンズの光学ゾーンにおいて、1つ又は複数の屈折率の空間的な分散を提供する。レンズ設計は、ジェネリックレンズとして事前に設計されてもよく、あるいは、ユーザーのために特別に設計されてもよい。ユーザーのために眼科レンズが設定されている具体的な実施形態では、例えばShack−Hartmann式波面センサなど、眼科用波面センサを使用して、眼の上の凹凸を測定してもよい。
【0076】
網膜から始まり、理想的な波面が生成され、これは眼の光路を通過する。波面センサは、狭ビーム光源、一般的にはレーザダイオード(即ちLED)で窩を照明し、レンズレットアレイを通って分散した光の位置を記録する。波面(光学素子からの電磁波の光学波面)が眼を出るとき、それはセンサによる分析のための、眼の収差の完全なマップを含む。レンズレットアレイは、ほとんどコリメートされたビームをデジタルカメラ、典型的にCCD又はCMOS画像機器上の点に細分化させる。いったん波面がセンサによって受信されると、複雑な一連の解析が実施され、眼の光路のより完全な写真を提供することができる。データは次いで、Zernikeの基底セットに当てはめられ得る。
【0077】
コンタクトレンズのための光学及び機械的設計が完了すると、レンズ設計は、中間フィルフォーマット、例えばIGES若しくはVDA、又は専用ファイルフォーマットであることが好ましい。既知の欠陥が、Zernike又は同様な数学的表現にあてはめられた後、数学的表現は光出力によって変換される。
【0078】
本発明の好ましい実施形態では、反応性混合物、例えばヒドロゲルが硬化して屈折率の空間分布を生成する。この空間分布は、光の強度及び照明スキームと同等であるパターンにおいて作られるのが好ましい。屈折率における差は、放射照度分布に比例し、したがって、光学密度(OD)に反比例する。材料の屈折率が大きいほど、レンズの様々な光学ゾーンにおける度の差が大きくなる。前述のように、視力の補正を提供するために、瞳孔にわたる屈折率は均一でなければならない。補正されていない眼に見出される、既知の欠陥を補正するために、レンズの特定の既知の領域においてレンズの屈折率を変えることによって、屈折率は正規化される。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態では、エネルギー源の調整は、グレースケールマスクを介して提供されてもよい。グレースケールマスク、マスクは、異なる屈折率(単数又は複数)勾配を形成しながら、鋳型内へ紫外線又は他のエネルギー源の強度を制御する、変動光学密度(OD)を含むことができる。いくつかの実施形態では、グレースケールマスクを使用して、マスクは、マスク設計内で高い精度を可能にするステレオリソグラフィック技法を使用して作製されてもよい。光エネルギーの浸透をおおよそ可能にするマスクの設計及びマスクの特定の部分の能力は、設計及び製造プロセスの関数であってもよい。マスクの設計は、本件のレンズの所望の設計に一致することが好ましく、ここでは、材料に付与される所望の屈折率は、マスクが、レンズの鋳型キャビティ内に浸透させることができる光エネルギーの量によって決定される。マスクはまた、光の強度によって影響される場合がある。
【0080】
いくつかの実施形態では、材料の修正は、PVA配合物をベースとする材料配合物を含んでもよい。第2材料配合物は、ヒドロゲル主鎖に化学的に付着した屈折率向上変性剤を含有していることが好ましく、これはPVAのヒドロキシ基と反応して環状アセタールになる置換されたベンズアルデヒドであってもよい。マトリックスの全体的な屈折率を上昇させるために、ポリマーマトリックスへの芳香族部分の組み込みが使用されてもよくこれは、異なるポリマー密度の領域間の屈折率差の増加につながる。
【0081】
屈折率差の更なる増加は、芳香族(aromat)/ポリマーの相互作用によって促進される場合があり、これは高密度領域におけるポリマー鎖のパッキング順序を向上させ、並びにより高度な効率を達成する。変性剤はポリマーマトリックスに化学的に固着しているため、材料は生体適合性のままであり、レンズ製造の後に、更なる抽出工程を必要としない。
【0082】
他の好ましい実施形態では、架橋可能及び/又は重合可能な流体材料は、1つ又は2つ以上のプレポリマーと、所望により、1つ又は2つ以上のビニル性モノマーの水溶液であり、この水溶液は低分子量の添加剤(例えばNaCl)を含み、これは架橋可能及び/又は重合可能な流体材料から得られるポリマーと、限定された適合性を呈するが、水とは良好な適合性を示す。限定された適合性によって、添加剤は浸透圧勾配を生じさせ、これは得られるポリマーマトリックスの収縮を誘発する。
【0083】
ここで図2を参照すると、本発明のいくつかの実施形態の他の態様では、眼科レンズの形成は、計測学及びフィードバックを介して強化されてもよい。図2に示される工程及び関連手順の説明は、例示であり、本発明の範囲を限定する意図はないことに留意されたい。例えば、205において、外部のソースから1つ又は2つ以上の所望のレンズパラメーターが入力されてもよい。例示的な目的のために、レンズ表面のモデルは、患者の眼に適用される眼用測定デバイスによってもたらされてもよい。他の実施形態では、理論上の入力パラメーターは、工程205の手順を含み得る。かかる入力は、それらをボクセルに基づいたリソグラフィ210の入力要件と一致させるためのいくつかの手順で処理される。様々な装置はかかる入力を受信し、いくつかの実施形態では、アルゴリズム方法を用いて、この入力を変換し、ボクセルに基づいたリソグラフィシステム211において使用可能なパラメーターに変換する。
【0084】
図2において更に進み、レンズ前駆体はボクセル単位202上で形成されてもよい。レンズ及び/又はレンズ前駆体は、その後に、レンズ前駆体処理手順230で処理されて、眼科レンズ240の「乾燥」形態を作ることができる。乾燥眼科レンズは、計測工程250で測定されてもよい。例示的な目的のために、この工程は、レーザー変位センサの使用を含み得る。
【0085】
アルゴリズムは、結果とレンズが工程205からの入力パラメーターと一致する場合に予測されるものとを比較するために、このデータをアイテム251及び252に示されるように処理し得る。いくつかの実施形態では、入力パラメーターからの差は処理され、ボクセルに基づいたリソグラフィシステム211内のレンズを処理するために使用されるパラメーターを変更する必要性に対応し得る。データ及びパラメーター情報のこのフィードバックループは、アイテム253のフィードバックループに示される。また、データは、処理され、レンズ前駆体処理手順252に所望されるパラメーターの変更に対応し得る。このシステム252内のパラメーターへの所望の変更のフィードバックは、フィードバックループ254によって示される。様々なコンピュータによる手順及び制御手順が、メインフレーム、個人用コンピュータ、工業用コンピュータ、及び他の同様のコンピュータ環境を含むが、これらに限定されない、様々なデータ処理機器上で実施され得ることが明らかであり得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、計測工程250並びにデータ251及び252の様々な処理の結果は、生成されるレンズ240がアイテム205の入力パラメーター前後の一組の許容可能な限界内であるかを判断する能力を含み得る。このレンズに関する判断は、次いでアイテム251に示され、ここでレンズは、変更されたパラメーターを有する別のレンズが生成されるように、廃棄され得る。あるいは、レンズは、許容可能な限界内であり、したがって後処理手順及び装置の実施形態で処理するために、工程260へ進み得る。次いでレンズが膨張され、取り外された後、これに対してアイテム270に示される別の計測手順が行われてもよい。いくつかの実施形態では、この計測の結果は、本実施形態の工程250に示されたものと同様のフィードバック実施形態を有し得る。
【0087】
280で眼科レンズ生成物が実現された後、処理フローは、乾燥レンズが破棄されるフローに連結してもよい。その後、全フローは、290の条件戻り工程によって示される工程内の工程205にループして戻ることが可能である。本発明の様々な生成物に計測工程を実施し、次いで測定結果を組み込み、システムパラメーターを調節するフィードバックループを策定する工程における数々の修正、追加、及び代替が存在することは、当業者にとって明白であり得る。
【0088】
いくつかのわずかに異なる実施形態では、追加の測定の種類は、全体的な器具フィードバックのために、レンズの品質態様を評価してもよい。非限定的な実施例として、いくつかの実施形態では、生成されたレンズ前駆体内のかかる欠陥の存在を判定するために、微粒子検出スキームが展開されてもよい。かかる判定が、微粒子問題を警告する結果をもたらす場合、いくつかの実施形態では、警告された問題を改善するために、装置及び手順の操作者にフィードバックすることを伴い得る、フィードバックループが存在し得る。数々の計測の実施形態が、測定結果が操作者にフィードバックされる、本発明の範囲内の技術を含み得ることは、当業者にとって明らかであり得る。
【0089】
ここで、図3を参照して、チャート300は、Etafilcon A(眼科レンズの製造に一般的に使用される反応性混合物)を含む、例示の反応性混合物における放射線の透過率と、放射線の周波数及び吸光度との関係を図示する。Etafilcon Aは、重合下で固形及びゲルの一方又は両方を形成することができる、モノマー成分を含む。また、Etafilcon Aは、より低い波長を含む帯域の紫外線を吸収する吸収体分子、Norblocを含む。放射線320の形成は周波数帯域として示されており、固定化放射線330もまた周波数帯域として示される。反応開始剤の吸光度は工程340として示されており、吸収体310はプラトー部分に示される。例示されるEtafilcon混合物中で、溶存気体酸素の存在は、阻害物質の役割を含む。したがって、反応性混合物は、固体及び液体成分の一方又は両方の混合物の配合の両方を含むことができ、溶存酸素濃度を制御する工程を更に含む。本実施形態の説明は例示であり、したがって、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0090】
反応性混合物を調製する手順では、発生混合物に実施される処理から、追加の実施形態が確定され得る。非限定的な実施例として、混合物は、真空環境にさらされてもよく、これは、特定の溶存気体種の脱離をもたらし得る。別の実施形態では、反応性混合物は、後続の化学線処理工程で使用される前に、多量の混合物を化学放射線への暴露にさらすことによって処理され、したがって混合物中の多重結合成分の度合い及び母集団分布が変化されてもよい。反応性混合物を処理して変化した特性をもたらすための数々の追加の実施形態が可能であり得、結果として生じる混合物は、眼科レンズ前駆体及びレンズを生成するという更なる目的において有用であることが、当業者にとって明らかであり得る。
【0091】
例示の放射線吸収はチャートに例示されており、ここでは、特定のボクセル要素上に向けられる化学線照射の波長が、反応性混合物に含まれる反応開始剤に積極的に吸収される波長域内であり、かつ吸収体の急速に変化する吸収域にある。また、非限定的な実施例として、反応性混合物は阻害物質を含むと考える。これは、実施形態を実施するための方法として提示されるが、本発明の範囲及び使用され得る他のモデルを限定する意図はない。
【0092】
微視的レベルでは、提示された例示的な実施形態は、入射化学線照射が、特定の要素内の化学放射線によって開始される化学反応が、高濃度の阻害物質がその促進を阻害する能力を超える速度で起こる非常に限られた局所域を、それ自体の周囲に画定するという特性を有し得る。いくつかの空間光変調器システムが、それぞれの個々の変調要素間に、変調要素と同一の方式で光を反射しない、「不感」空間としてのそれらの表面の部分を有するという事実のため、本実施形態では、形成光学機器表面上に形成される、結果として生じる材料は、隔離されたボクセルに基づいた円柱状要素の形態をとり得、これは、いくつかの実施形態では、互いと結合しない場合があることが明白であり得る。他の実施形態は、架橋材料の重なるボクセルを含むことができる。
【0093】
化学放射線を形成光学機器に向けるのに使用されるDMD又は他の装置の制御は、重合されたボクセルの空隙部に作用するために、したがって重合されたボクセル間の重なり又は分離の発生率に作用するために使用されてもよい。
【0094】
更に、いくつかの実施形態では、阻害物質の濃度は、化学線の照明パラメーターの所望のセット関して空間的伝搬に作用する場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、ボクセル要素は、ボクセル要素間のいずれかの境界が重なるように進む化学線活性を画定する。微視的基準でのかかる場合は、個々の円柱状要素は、近隣のボクセルが著しい強度条件を確定する照明条件で、互いに溶け込む傾向にあってもよい。いくつかの実施形態では、光学画像化システムは、個々の円柱状要素が混ざり合うのを促進するために、別の方法の実施形態のように、焦点がぼけるモードで稼動されてもよい。更なる実施形態では、空間中でのレンズ形成光学機器及びホルダの振動又は揺動移動は、ボクセル要素が互いに重なり、連続形状部を形成する、同様の効果を促進し得る。
【0095】
本発明の他の態様では、特定のボクセル要素の「DMDスクリプト」は、形成光学機器表面から離れたボクセル要素の深さに反応を生じさせる積分強度又は暴露時間を確定し得ることが明白であり得る。いくつかの特定の例示的な深さで、この条件は、反応度がゲル化点を確定する、反応性混合物の強度促進反応条件を含み得る。
【0096】
この深さより浅い深さでは、反応生成物は3次元態様を形成していてもよいが、しかしながら、この深さより深い深さでは、反応生成物はゲル化点に到達していない場合があり、生じたある程度のモノマー反応により、依然として周囲の発生反応性混合物より粘稠な構成成分の混合物を含む場合がある。
【0097】
かかる実施形態では、十分な体積の発生反応性混合物は、反応がゲル化点よりも高い度に発生している領域と、材料が、部分的反応と未反応の混合物であり得る、非ゲル化層を含む領域と、を含む場合がある。いくつかの実施形態の下で、この層のいくつかは、流動性レンズ反応性媒体と称されるものを含み得る。顕微鏡的レベルでは、それは反応性混合物の体積空間内に形成されるが、2つの鋳型部分間の全体の体積には必要ではない。
【0098】
他の実施形態では、「DMDスクリプト」は、ゲル化点を超えて反応したボクセル画定層に局所設計要素を画定するのに有用であり得る。この実体は、いくつかの実施形態では、レンズ前駆体形態と見なされ得る。非限定的な実施例として、幅方向の複数のボクセル要素、及び長さ方向の多くのボクセル要素であり、それが含む全てのボクセル要素における低積分強度特性を有する、DMDスクリプトに本質的に線形の特徴を組み込む効果を熟考する。実施例3に記載される実施形態を使用することによって、非限定的な実施例として、かかる線形特徴がレンズ前駆体形態内に物理的に画定されることが想定される。微視的スケールでは、近隣のボクセル要素は、いくつかの有意なレベルでレンズ前駆体形態における厚さを確定する強度を含み得る。線形特徴の第1の近隣ボクセル要素で、形成厚さは低下し、結果として、DMDスクリプト内に画定される線形特徴に関連する輪郭特徴をもたらす。
【0099】
ここで図4を参照すると、本発明のいくつかの実施形態に従って形成されたレンズ400が図示されている。この例では、レンズは、レンズにわたる複数のボクセル要素に延在する線形特徴440を図示する。推測の結果として、本発明の態様は、レンズの光学表面画定形状に加えて、画定され得る形状及び輪郭特徴の多くの異なる実施形態を含むことが明らかであり得る。可能な多くの実施形態の中で、例として、整合機能、隆起表面部分、及びレリーフにおける表面部分が存在し得る。追加の実施形態は、1つ又は2つ以上のプロファイル特徴、例えば、排出チャネル、本質的に放射状経路に沿ってレンズ前駆体形態の縁部に向かって延在する線形特徴を画定する輪郭特徴と、様々な形状及び寸法のウェル又は閉止された穴と、近隣の平均トポロジーと比較して上又は下である切形段差と、レンズ画定域のサブセットにわたる平坦域又は本質的に平らな特徴とを含み得る。これらの実施例は、形成工程手順と関連し得ることが当業者にとって明白であり得る数々の実施形態のうちのいくつかである。
【0100】
ここで図5を参照して、レンズ形成装置500は光源520を含む。この光源520によって作り出される光は、定義された帯域内の波長であり、かつ、強度及び方向において空間的変化の光として生じる。いくつかの実施形態では、波長の定義された帯域は、レンズを形成するのに使用される反応性混合物のための化学放射線を含む。
【0101】
空間的強度制御器530又はコリメーターは光源320からの光を濃縮し、拡散し、並びにいくつかの実施形態ではコリメートし、光540のビームを作り、これは強度において高度に均一である。更に、いくつかの実施形態では、ビーム540は、それぞれにデジタルのオン又はオフ値を割り当てることができる強度のピクセル要素にビームを分割する、デジタルミラーデバイス(「DMD」)510に衝突する。それぞれのピクセルにおけるミラーは、光を、2つの経路のうちの1つに反射する。「オン」経路、つまりアイテム550は、光子を反応性化学媒体に向かって導く経路である。
【0102】
反対に、いくつかの実施形態では、「オフ」状態は、アイテム516及び517として示される経路間にある、異なる経路に沿って反射されている光を含む。「オフ」経路は、光子を、それに向けられる光子を機能的に吸収し、ないしは別の方法で取り込む、ビームダンプ515に、衝突するように向けるために使用されてもよい。
【0103】
ここで再び「オン」経路550を参照すると、このオン経路に示される光は、実際には、「オン」値に設定され、ピクセル位置に対応する個々の経路に沿って空間的に向けられる、多くの異なる潜在的ピクセル値を含んでもよい。それらのそれぞれの経路550に沿ったピクセル要素のそれぞれの時間平均強度は、DMD510によって画定される空間的格子にわたり、空間的強度プロファイル560として示すことができる。あるいは、それぞれのミラーに衝突する一定の強度で、アイテム560は、空間的時間暴露プロファイルを示し得る。
【0104】
「オン」状態におけるピクセル要素は、それらの対応経路550に沿って向けられた光子を有する。いくつかの実施形態では、光ビーム、即ち光線は、焦点合わせ要素によって集光されてもよい。例として、光路550は、形成光学機器580の光学表面上の表面に実質的に垂直(normal)又は垂直(perpendicular)な方式でそれらが衝突するように、画像化されてもよい。画像化された光は、形成光学機器580通って、反応性レンズ混合物590を収容するリザーバ内へと進む場合がある。
【0105】
所与のピクセル位置に関連する光線の相互作用は、反応性媒体の体積、又はリザーバ590に収容される架橋可能な材料、及び形成光学機器580の周囲のオン状態のボクセル要素を画定する。反応性媒体の、この体積内の光子は、吸収され、それを吸収する分子内の化学線反応を促進し、分子の略周辺内のモノマーの重合状態変化をもたらし得る。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態に従って、ボクセルに基づいたリソグラフィシステムは、眼科レンズを形成するために使用されてもおい。そのような形成されたレンズの波面の表面の図式表示は、図4に図示される。
【0107】
いくつかの実施形態では、装置500の周囲を取り囲む、温度及び湿度を含む周囲環境を制御することができる。周囲気体環境の性質は、例えば、気体状窒素のパージを使用することによって制御することができる。パージを実施して、酸素分圧を所定のレベルに増加又は減少させることができる。また、湿度は、オフィス環境より比較的低いレベル等、比較的所定のレベルに維持され得る。
【0108】
個々の装置構成要素と相互作用することができる振動エネルギーのレベルは、いくつかの実施形態において制御され得る別の環境パラメーターである。いくつかの実施形態では、大きな塊状支持構造体は、相対低振動環境を画定する。他の実施形態は、能動振動支持体上に支持されるボクセルに基づいたリソグラフィシステム500のいくつか又は全てを含み得る。一般的に考えられる溶液を制限することなく、空気袋支援ピストンは、絶縁されたシステムへの振動伝達を大幅に減少させることができることが当該技術分野において周知である。振動絶縁の他の標準的手段もまた、本発明の範囲に従い得る。
【0109】
装置の環境内の微粒子は、生成物レンズ前駆体及びレンズへの組み込みを含む、様々な種類の望ましくない欠陥モードをもたらし得る。例えば、光学機器経路内で、微粒子は、1つ又は2つ以上のボクセル要素の実際の強度を変調する、及び又は特定のミラー要素の機能に影響を与える可能性がある。これらの理由のため、少なくとも、環境内の微粒子状物質を制御する手段を提供することは、本発明の範囲内である。これを達成するための一実施形態の一実施例は、装置本体の環境内への高性能微粒子エア(HEPA)フィルタの組み込み、及び装置の暴露される部分内で層流様式を確立するのに十分なフィルタに空気を透過させる手段であり得る。そうは言うものの、装置内及びその周囲の微粒子レベルを大いに制限するいかなる実施形態も、本発明の意図される範囲内である。
【0110】
本発明に従う光学装置のための詳細な環境支持体の別の態様は、周辺光及びそれを制御するための方式を含む。いくつかの実施形態では、間接照明は、化学放射線を提供し、したがって漂遊光子エネルギー源を制限することが賢明である。
【0111】
したがって、いくつかの実施形態では、装置500は、前述される環境要求事項に従う不透明な材料内に封入することができる。好ましい実施形態は、装置の作動部分が汚染環境照明に暴露されるのを防止するのに十分であり得る、フィルタ処理した光源を装置の環境内に使用すること採用してもよい。
【0112】
ここで、図6を参照し、強調形態600に示される光源を熟考する。光エネルギーの具体的な態様は、いずれかのリソグラフィシステムの基本的な態様と見なすことができ、ボクセルに基づいたリソグラフィ光学装置を使用する本発明の実施形態では、システムの光源の性質は、重要であり得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、光源620が狭いスペクトル帯域の光を提供することが望ましい。例示的な光システム600の構成要素は、前記狭いスペクトル特性を達成する手段を提供する。好ましい実施形態では、光源は、環境支持体及び筐体610内に存在する、発光ダイオード620を含む。例示的な目的のために、いくつかの実施形態では、発光ダイオード源620は、Digital Light Lab Inc.(Knoxville,TN USA)のコントローラを有するモデル、AccuCure ULM−2−365光源を含むことができる。このモデルは、約365nmを中心とする狭い帯域の光を放出し、更に、約9nmの半値全幅の特性を有する。したがって、この市販されている光源構成要素は、更なる装置なしで、既に所望の狭い帯域の光を放出する。また、いずれかのLED又は他の類似特性を有する発光製品が利用されてもよいことが明らかであり得る。
【0114】
別の方法としては、また、例えば、炭素アークランプ又はキセノンランプ620等、より広いスペクトルの光源も使用され得る。この別の方法では、広帯域源620を利用することができる。光は、環境コンテナ610から放出され、光源620上に配置されるフィルタホイール630を通って進む。フィルタホイール630は、異なる動作位置に複数の異なるフィルタ631を含むことができ、これらのフィルタ631は、例えば、365nmを中心とし、類似する10nm性能の半値全幅を有する光を透過する帯域通過フィルタを含み得る。本実施形態では、フィルタホイールは、フィルタホイールを異なるフィルタへ動かすことができる電動式作動装置610によって作動させることができ、したがって、例示的なボクセルリソグラフィシステム実施形態500が、複数の選択可能な波長で動作できるようにする。
【0115】
数々の別の実施形態は、フィルタ631が、広帯域光源620に近接して固定方式で実装され、適切な実施形態を提供し得るという、非制限的な観点を含む事実を容易に導き得ることが明らかであり得る。別の態様では、複数の波長能力は、異なる波長に対して個々に作動される環境610内に複数のLED光源620が存在する、別の実施形態から導かれ得る。
【0116】
より一般的に、いくつかの実施形態は、様々な種類のフィルタを有するか、又は有さない、例えば、白熱灯、レーザー、発光及び他の類似製品を含む様々な光源を含み得ることが明白である。更に、いくつかの実施形態では、制御されたスペクトル帯域内の光を放出することが可能であり得る光源を利用することができ、これは、本発明の範囲内である。
【0117】
光源600は、更に、安定、均一、かつ比較的強烈であるという特性を有してもよい。いくつかの好ましい実施形態では、AccuCure LED光源620は、強烈な光を出力し、期間にわたって安定した強度を維持するために、内部監視フィードバックループを含む。
【0118】
光源620は、定義されたデューティーサイクルで源をオン及びオフに変調することを含む、制御された方式で強度を変調するための手段を含むことができる。したがって、総合期間にわたり、強度制御のこのモードは、選択可能な時間平均強度レベルをもたらす。あるいは、追加の動作実施形態では、LED源は、非時間依存性レベルの放出される強度に対して強度の変化が生じる電圧制御動作モードを介して、強度を変調することができる。
【0119】
いずれかの光源構成要素620の出力の安定性に関して、光源の環境内の追加の特徴は、追加の実施形態定義を含み得る。本態様の実施例は、冷却システムを介する温度制御手段を含むことができる。他の環境制御は、本発明の意図に従う、異なる実施形態定義を含んでもよい。
【0120】
異なる態様では、光源装置600は、強度を変調するための別の実施形態を提供する。個々の光源620は、所与の強度を放出するように動作してもよく、フィルタホイール630は、電動式要素610によって、減光フィルタ631を用いて放出される光を遮断するように作動されてもよい。したがって、ボクセルリソグラフィシステム500の残りの部分に提供される光の強度は、より低い強度に変調される。一般的な観点から、個々の光フィルタ631の設計は、数々の自由度を伴い、それ自体で、異なる実施形態態様を含み得ることが留意され得る。非限定的な実施例として、フィルタは、本体を通る1つの経路に沿って別の経路より高い強度を確定するように、空間的に画定される方式で、強度を変調するように設計されてもよい。第2の非限定的な実施例では、フィルタホイールは、DMDの動作と同期化され、それによってそれぞれのフィルタホイールセグメントの密度値によって確定されるピクセル及び強度を調整できるようにする方式で、強度を変調するように設計されてもよい。これらの動作モードを組み合わせることによって、別の実施形態が提供され、また、これまでに記載されたように特性の光強度を制御するいかなる手段も、本発明の範囲内であることが明白である。
【0121】
いくつかの実施形態では、フィルタホイール630は、それが光学システム500の残りからの照射を遮断するように、フィルタ要素631を閉じることができる。下流光学機器構成要素の安定性及び寿命を含む、かかる機能を組み込むことの数々の利点が存在し得る。更に、いくつかの実施形態では、光源構成要素620の安定性は、連続的に動作させる場合に改善され得る。遮断フィルタ631は、光源600からの光をなくす必要がある、動作システムの残りの部分の工程を実施する手段を可能にし得る。フィルタホイール630の特定の位置が記載されてきたが、実施形態は、光学経路に沿った、他の適切な位置を含んでもよい。
【0122】
他の態様において、いくつかの実施形態では、ボクセルに基づいたリソグラフィ光学装置は光を均質化する及び/又はコリメートすることを含んでもよい。本装置は、光源520の光出力を受け取り、強度がより均一であり、DMD 510上に集光される、出力放射線540を生成するように設計される。
【0123】
ここで図7を参照すると、いくつかの好ましい実施形態が示されている。上記のように、装置は光源520からの光をコリメートすることができ、かつその光を強度に対して均質化することもできる。いくつかの特定の実施形態は、光学構成要素に取り付けられて、光源620を出力のコリメーションを実施するために、AccuCure 365nmのLED光源620を含む。
【0124】
コリメート装置は、コリメーション構成要素及び均質化構成要素を含んでもよい。好ましい実施形態では、光は、光源620によって十分にコリメートされ、700内へ進み、一組のおよそ2.54cm(1インチ)の集光光学機器710に衝突する。光学710は、CVI Laser,Inc,(Albuquerque,NM USA)から入手可能なレンズ構成要素を含んでもよい。
【0125】
1つ又は2つ以上のレンズ710は、源光を光パイプ720の上で集光するために使用されてもよい。光パイプ720は、入射光を均質化し、空間的強度における不均一性を平滑化する役割をする。光パイプ720は、UV等級アクリル材料で作製される、六角形状の光学機器パイプを含んでもよい。代替の実施形態は、源光の空間的均一性を均質化するための光学装置を含んでもよい。
【0126】
光パイプ720からの均質化された光出力は、この場合も同様に、例えば、CVI Laser Inc.(Albuquerque,NM USA)から入手可能な種類の、容易に入手できる等級の光学機器要素730によって集光される。集光された光は、開口絞り740を通って、一組の約5.08cm(2インチ)の集光要素750に進む。この場合も同様に、これらの集光要素は、例として、Thorlabs Inc.(Newton NJ USA)から入手可能であり得る、標準的な容易に入手できる等級の光学機器である。ここで、集光光学機器750の目的は、光を、デジタルミラーデバイス(DMD)510における光焦点位置に向けることである。これは、ボクセルに基づいたリソグラフィシステムの照明セクション内の光路で完了する。所望の中心波長及びスペクトル帯域幅の強烈かつ均一な光でDMD 510を照射することにおける同様の目的を達成するために、コリメーター及びホモジナイザー構成要素の態様を変更し得る、数々の実施形態が存在し得、これは、本発明の範囲内である。
【0127】
好ましい実施形態では、照明システムアイテム520及び530は、Texas InstrumentsのDigital Mirror Device 510を含む能動素子上及びその周囲だけに光(図8の800で820として識別される)を付与する。好ましい実施形態で使用されるDMDは、DLi(Digital Light Innovations、Austin Texas,USA)から入手可能なDMD Developer Kit:DMD Discovery 3000を用いて入手された。キットは、対角線1.78cm(0.7インチ)、任意選択のUV透過窓を有するTexas Instruments DLP(商標)XGA DMDチップ(768×1024個のミラー)を有する、A DLi DMD Discovery 3000ボードを含む。また、コンピュータからD3000へのリンクとしての機能を果たすために、D3000ボードと一緒になったALP−3高速光処理ボードが含まれる。これらの構成要素は、共に、ボクセルに基づいたリソグラフィシステムのこの好ましい実施形態の、画像化システム構成要素の図8の800の810を含む。TI DLP(商標)XGA DMDの詳細な説明は、DMD Discovery(商標)3000 Digital Controller(DDC 3000)Starter Kit Technical Reference Manualとして、TIから入手され得る。
【0128】
DMDデバイス810は、照明システムから出る光の強度の空間的変調を提供するように機能することができる。Texas InstrumentsからのDMDは、デバイスの活性領域の空間的格子内に単一アドレス可能位置を構成するマイクロミラー構成要素から光を反射することによって、デジタル方式でこの機能を実施する。したがって、DMD810から反射され、画像化システム800を更に下る光の強度は、それ自体は、変化せず、しかしながら、ミラーのデューティーサイクルをオン状態又はオフ状態に制御することによって、単一ピクセル位置から反射される時間平均強度を修正することができる。
【0129】
他の実施形態では、放射線をボクセル単位で制御するために、独国のFraunhofer Institut Photonische Microsystemeから入手可能なもの等の空間光変調器(SLM)を使用することができ、これは、強度の空間的変調機能810を含むことができる。SLMのミラー様の表面は、実際に、それぞれのミラーが、集積回路内にそれ自体の記憶セルを有する、複数の(即ち、数千の)極めて小さな移動可能なミラーで構成されてもよい。所望の強度プロファイルの画像がSLMに送信される際、個々のミラーは、屈曲されるか、又は平らなままである(マイクロミラーを回転又は傾斜させるTI DMDとは異なる)。屈曲したミラーから反射される光は、化学線に対して反応性の化学物質混合物を通過又は暴露しないように、散乱される。
【0130】
ここで、再び図8を参照すると、上述されるように、能動画像化要素DMD 810は、デジタル方式で光を処理し、2つの方向のうちの1つに反射する。オフ状態では、光の反射の経路は、化学線に対して反応性の化学物質混合物の位置を決して向かないことが意図される。確実にするために、外れる方向に向けられる光は、決してこの経路を向かず、画像化システム800の一部は、光ダンプ830を含むことができる。このダンプには、その上へのいかなる入射光も大幅に吸収し、ダンプ自体の更に深くへのみ、反射する、吸収性の高い表面が含まれる。好ましい実施形態では、非限定的な実施例として、これらの表面は、Hoya Inc.(日本東京)から入手することができる、吸収性NDガラスシートを含む。
【0131】
「オン」位置にあるミラー要素から反射される光は、異なる経路をとり、集光要素840に向かう。他の光学機器と同様に、これらの約2.54cm(1インチ)の集光レンズは、容易に入手できる構成要素であり、例えば、Thorlabs Inc.(Newton NJ USA)から入手可能であり得る。これらの集光レンズ840は、反応性モノマー混合物の光反応が生じる形成光学機器上への物体としてのDMD 810から発する「オン」状態の光を集光する。
【0132】
いくつかの実施形態では、光学機器経路の状態を、生成されるレンズの結果から推測するより、直接画像化及び監視する手段を提供することが望ましい。ボクセルに基づいたリソグラフィ光学装置の好ましい実施形態では、この直接監視のための対策が提供される。形成光学機器580上に集光され得る光は、ビーム経路内へ、又はその外へ切り替えることができるミラー850によって遮られる。そのように向けられる光は、次いで光検出画像化装置860上に入射する。
【0133】
ここで、図9を参照すると、形成装置900の構成要素は、ビームを反応性混合物の最終的な目標領域に衝突させる。上述されるように、いくつかの実施形態では、この光は、形成光学機器930自体の表面に対して垂直配向に集光されている。900に図示される実施形態では、光は、形成光学機器930の表面にほぼ垂直に衝突し得る。別の実施形態では、レンズは、前記レンズの形成光学機器930に対する的確な配向を維持し得る、921として示される保定リング又は他の締結デバイスを介して、適切な位置に保持することができる。広義の観点から、本発明は、光が光学表面930にわたるボクセル単位を通る経路に関連する数々の実施形態を含むことに留意されたい。
【0134】
図9を続けると、リザーバ及び形成光学機器の光ビームに対する相対配向は重要であるため、いくつかの実施形態では、アイテムの相互作用、つまり形成光学機器保定部材970と反応性モノマー混合物950を収容するリザーバとの相互作用によって示されるように、それらの相互連結位置の機構が画定されてもよい。また、これらの2つの部材間の整合は、リザーバ950を形成光学機器表面930の中心に置くための正の制御も提供する。また、位置制御は、いくつかの実施形態では、離間リング951の機能を用いて向上され得る。同様に、この離間は、リザーバ950に添加され得る反応性モノマー混合物体積を制御する。
【0135】
また、図9は、反応性モノマー混合物の近隣の周囲気体の制御に関連する追加の実施形態態様を示す。いくつかの実施形態では、酸素の存在は、モノマーの光化学を修正し、光生成フリーラジカルのスカベンジャとしての役割を果たす可能性があるため、いくつかの実施形態では、リザーバ950を取り囲む気体から排除する必要がある。これは、図9の900では、収容容器990によって達成される。窒素等の不活性気体を960を通して流すことによって、酸素は、環境から排除され得る。更に別の実施形態では、酸素レベルは、収容容器990を通って流れる気体960内のその希釈物を制御することによって、あるレベルに維持され得る。気体質量流コントローラを使用することによって気体960内の酸素の一定の希釈物レベルを達成する標準的手段は、周知の技術であり、本発明の趣旨内の実施形態を含む。
【0136】
反応性混合物を収容するリザーバ950は、適切な体積の前記反応性混合物の充填されなければならない。いくつかの実施形態では、この充填は、形成光学機器930がリザーバ950に関連して配置される前に実施され得る。他の実施形態では、形成光学機器930及びリザーバ950は、収容容器990の内部に定置され、気体流960によるパージが行われてもよい。また、使用前の反応性混合物の濾過が採用されてもよい。その後、反応性混合物体積945は、リザーバ950に定量的に充填されてもよい。
【0137】
手での充填、自動手段による定量的な流体移送、又はレベル検出器がリザーバ950内の反応性混合物945の適切なレベルを測定するまでの充填を含む、反応性混合物945を移送するための数々の手段が存在し得る。一般的な観点から、適切な量の反応性混合物945を移送するための数々の実施形態が実用的であり得、かかる技術は、十分に本発明の範囲内であることが当業者にとって明らかであり得る。
【0138】
光処理工程において酸素のレベルが決定的に重要である実施形態では、酸素は、溶存種として反応性モノマー混合物945内に存在し得ることが明白であり得る。かかる実施形態では、反応性モノマー混合物945内の酸素濃度を確立するための手段が必要となる。この機能を達成するためのいくつかの実施形態は、混合物をパージ気体960が通って流れる気体環境中に滞留させることを含む。別の実施形態は、モノマー混合物の供給物中の溶存気体を真空パージする工程と、混合物の分注中に、分注される液体と気体との膜交換によって所望の量の酸素を再構成する工程とを含み得る。本発明の範囲内で、適切な濃度の必要とされる溶存気体を確立するためのいかなる手段も許容可能であることが明白である。更に、より一般的な意味で、他の材料は、溶存酸素の存在下又は不在下で、適切な阻害物質としての役割を果たし得る。更により一般的な観点から、阻害物質の適切なレベルを確立し、維持するための装置を含む実施形態は、本発明の範囲内であると予測される。
【0139】
ここで、再び図10を参照すると、形成光学機器並びにその保持及び位置決め装置1000の例示的な形状が図示される。形成光学機器を保持する構造体は、平らなガラスディスク1040を含むことができる。形成光学機器は、光学的に整合性のある接着剤1020の手段によって、ディスクと形成光学機器との間を確実に整合させるためのアセンブリ治具を使用して、位置決め及び締結することができる。ディスクの平らな表面は、垂直方向の正の配向を提供し、一方、位置決めノッチ1030及び図示されない他の平らな表面は、放射状及び水平配位置御を可能にすることができる。
【0140】
ここで、図11を参照すると、ディスク1000は、リザーバシステム1100と係合する。平らな表面は、3つの係合表面1130上にある。いくつかの実施形態は、アイテム1030にしっかりと係合し、位置決めする、バネ仕掛けの位置決めピン1120を更に含んでもよい。2つの静止位置決めピン(図示せず)は、形成光学機器アセンブリ上の2つの他の平らな表面を嵌合し、組み合わせは、全ての自由度で、形成光学機器アセンブリを運動学的に位置決めするように作用し、したがって形成光学機器を光学光路内に位置決めする、繰り返し可能かつ安定した手段を確実なものにする。また、いくつかの実施形態では、反応性モノマー1110を収容するためのリザーバも含むことができる。より一般的な観点から、当業者にとって明らかであり得る、形成光学機器を中心に置くため、かかる光学機器を反応性混合物を収容するリザーバに隣接して位置決めするため、及び1つ又は2つ以上のかかる機能を周囲制御環境内に位置決めするための方法の本明細書に開示される本発明技術に従う、数々の実施形態が存在し得る。
【0141】
形成光学機器1010は、所望のスペクトルの化学放射線に対して、少なくとも部分的に透過性である。したがって、様々な実施形態では、形成光学機器1010は、例として、石英、プラスチック、ガラス、又は使用される反応性モノマー混合物を硬化させるように動作可能である光波長に対して透過性である他の材料の1つ又は2つ以上を含み得る。形成光学機器1010の形状は、形成光学機器1010を通過する形成化学放射線から生じる重合を介して表面1011に沿って形成される、レンズ又はレンズ前駆体に付与される特性を有する、表面1011のうちの1つを含むことが更に留意され得る。数々の形状実施形態は、本明細書の本発明技術を含み得る。
【0142】
形成光学機器1010の設計及び特性に採用され得る様々な実施形態内で、前記部品の個々の実施例は、例えば、その在庫材料、製造、使用履歴、及び/又は他の原因に関連する、固有の態様を有し得る。これらの態様は、ボクセルリソグラフィシステム500の全体機能と相互作用して、又はせずに、目的とする最終生成物を達成するために必要とされる、ボクセル単位強度プロファイルの固有の光学的オフセット値を生成する。したがって、いくつかの実施形態は、形成光学機器1010を調整し、それらを維持し、それらを追跡するための手段を採用し得る。例示的な理由から、一実施形態は、形成光学機器部品1040の平らな表面上の識別マークを機械可読フォーマットに符号化するためのものであってもよい。追加の実施形態は、機械可読性のために、例えば、識別マークと共に取り付けられた無線周波数識別デバイスを含むことができる。本発明の意図を含み得る、個々の形成光学機器部品1040を識別するための数々の他の実施形態が存在し得る。
【0143】
ボクセルに基づいたリソグラフィ光学器具500の産出生成物は、数々の実施形態を含み得る。一実施形態では、900に示されるように、反応性生成物940は、形成光学機器930の表面上に形成されるが、残留反応性化学物質混合物945内に依然として存在する。反応性生成物940と共に形成光学機器930を化学物質混合物945から引き離す行為は、装置の追加の実施形態を含み得る。いくつかのかかる実施形態では、形成光学機器930及び接着する反応性生成物940は、例えば、ロボット自動化の行為の下、化学物質混合物945から外へ持ち上げられてもよい。
【0144】
ここで、図12の1200を参照すると、流動性化学物質除去装置の実施形態のいくつかの態様の略図が示される。ここで、形成光学機器1250に取り付けられ、整合プレート1260がそれに取り付けられた、レンズ前駆体が示される。組み合わせは、レンズ前駆体の表面が下方を向く実施形態として示される。流動性レンズ反応性混合物1240は、重力を含む様々な力の下で移動する。浸出毛管1210は、流動性レンズ反応性混合物1240に近接して、レンズ表面に沿った低点に溜まった流動性化学物質の周囲及びその中に配置される。好ましい実施形態では、浸出毛管は、SafecritのモデルHP8U Untreated Plastic Microhematocrit管から作製されたポリマー浸出モデルを含んでもよい。別の実施例として、また、毛管は、ガラス、金属、又は流動性化学物質除去の物理及び化学/材料要求に従う他の材料を含んでもよい。
【0145】
流動性化学物質1240は、毛管1210に引き出され、レンズ前駆体から引き出される体積1241を形成する。一実施形態では、プロセスは、何度も繰り返され得る。処理後、レンズ前駆体1200は、レンズ前駆体形態1750に接着する、減少した量の流動性レンズ反応性混合物と共に残存する。
【0146】
流動性レンズ反応性混合物の様々な態様は、例えば、流動性レンズ反応性混合物内の粘度がより低い構成要素が分離及び除去され得ることを含む、この処理によって影響され得る。化学物質除去プロセスが実施され得る方法に関する、多くの異なる任意選択の実施形態が存在し、全てが本発明の範囲に従うことは当業者にとって明白である。
【0147】
広くは、任意選択の実施形態は、化学物質を表面から引き出すための数々の物理的設計を含み得る。異なる実施形態の一実施例は、流動性レンズ反応性混合物1240を引き出すことを助長するために、真空システム構成要素1220を作動させることであり得る。非限定的な実施例として、別の実施形態には、形成光学機器表面1250の形状を模倣する、それらの点に配置される、毛管装置1210の重複する複製物が含まれ得る。更に、化学物質除去は、一実施例として、スポンジのような高表面積材料、又は高表面積を有するナノスケール材料を用いて実施することができる。前述される概念を再記述すると、別の実施形態は、形成光学機器930上のレンズ前駆体を反応性混合物945から引き抜く速度を制御する工程を含んでもよい。本実施形態では、表面張力は、毛管浸出工程との類似性を有し、レンズ前駆体がもたらされる際の流動性レンズ反応性混合物1710の残存量の減少をもたらす、化学物質除去の形態を含み得る。一般的な観点から、流動性レンズ反応性混合物1240の一部を除去する機能を実施することができる装置の数々の実施形態は、本発明の範囲内の技術を含む。
【0148】
好ましい実施形態では、真空システム構成要素1220は、上記に定義した機能とは別の機能を有する。複数のレンズ前駆体の処理では、化学物質除去装置1200は、何度も化学物質除去を実施する。真空システム構成要素1220は、毛管装置1210を洗浄するため、及び空にするために使用され得る。異なる実施形態は、真空システム構成要素1220と併せて、毛管装置1210を通って流れるクレンジング溶媒を含んでもよい。
【0149】
概して、図12に示される実施形態1200は、化学物質除去システムがどのように機能することができるかを図示し、これは、関連する構成要素の詳細及び拡大図に焦点を当てる。比較して、図13は、好ましい実施形態に採用される器具及びいくつかの代替物の両方の説明を助けるために、化学物質除去システム1300実施形態のいくつかの実施形態のより全体的な図を示す。図13の1300は、毛管除去構成要素1305と、形成光学機器上に実装されたレンズ前駆体と、直下を向くレンズ前駆体を有する、類似する構成の形成光学機器プレート1306と、を含む。
【0150】
ここで、再び図13を参照すると、浸出毛管1306の定置は、別の実施形態では、形成光学機器レンズ前駆体1305の中心、つまり中心点から外れた位置に位置決めされ得ることが明白であり得る。アイテム1330は、毛管の形成光学機器に対する中央整合をオフセットするために調節が行われる、xy換算表の単一次元を示す。例として、1330は、好ましい実施形態の手動バーニア調節形態で示される。しかしながら、調節は、例えば、ステッピングモータを含む自動化によって実施されてもよく、より一般的に、XY換算表の位置での自動化器具の様々なレベルの精度向上が本発明内であると予測され得ることが、当業者にとって明らかであり得る。より一般化し、かつ以下の記述を簡略化するために、装置のいずれの移動能力も、考えられる実施形態と同様の自由度を有し得ると考えられ得る。
【0151】
アイテム1320、つまり形成光学機器保持装置は、形成光学機器を所望の安定した位置に柔軟に保持するための装置を含む。本実施形態では、前述において1000として示される形成光学機器部品は、ボクセルに基づいたリソグラフィ装置500内に位置決めされる際と類似する位置スキームを採用し得る。別の実施形態は、形成光学機器保持装置1000を自動化手段の下で移動できるようにし得る。形成光学機器を保持し、それを流動性化学物質除去装置内の適切な位置に固定する方式の数々の代替方法が、本発明に従う態様を含むことは明白である。
【0152】
これまでの記述は、概して、形成光学機器の軸が、水平面に対して垂直であり、重力の方向となるように位置決めされる実施形態を示してきた。別の実施形態は、この垂直配向を中心にある角度で軸を回転できるようにし得る。アイテム1350は、形成光学機器軸と重力がなす角度を変化させるための調節手段を含む。かかる変化の基本的な効果は、レンズ前駆体上の流動性物質1710が形成光学機器の中心から外れた位置に溜まる傾向となることである。いくつかの実施形態では、中心から外れた位置に流動性媒体を引き出す利点が存在し得る。
【0153】
図13に示される多数のアイテムは、毛管浸出装置1306のレンズ前駆体上の流動性媒体に対する垂直方式の位置に関連する。例えば1340は、垂直軸に沿って浸出毛管1306に取り付けられたステージを移動させることによって、この次元の総調節又は粗調節することを含み得る。更に、1345は、同一の移動可能性における微細レベルの調節を含む。同一の軸に沿って、形成光学機器実装ステージ1310を毛管浸出装置1306に対して調節することが同等に可能である。アイテム1370は、この目的のための微調節装置を含む。
【0154】
ここで図14を参照すると、固定化放射線1460の源は、ボクセルリソグラフィ光学システム520の文脈で前述されるものと類似の光源を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、Digital Light Lab Inc.(Knoxville,TN USA)のコントローラを有するAccuCure ULM−2−420光源1460は、固定化放射線1461の許容可能な源を構成してもよい。安定化のために適切なパラメーターが実施された後、固定化光源1460のコントローラは、レンズ前駆体及び周囲を固定化放射線1461に暴露し、一実施形態の眼科レンズを形成する、オン位置に切り替えられる。一般的な観点から、レンズ前駆体形態1730表面にわたる流動性レンズ反応性混合物を安定化ないしは別の方法で移動させ、次いでいくつかの方式で固定化放射線で照射する工程に関連する数々の実施形態が存在し得る。
【0155】
例として、固定化装置内で処理するためのいくつかの別の実施形態は、流動性材料がウォッシングシステムで洗い落とされている場合がある、レンズ前駆体形態を含み得る。固定形態のこのレンズ前駆体形態が、それ自体で特定の特性のレンズを含み得るため、安定化装置自体を必要としない方式で固定化装置を使用することを伴う実施形態を予測することは、本発明の範囲内である。より一般的な意味で、本発明は、固定化装置が、流動性材料を固定される表面上に事前に流す必要のない材料を固定し得る、材料及び形態の数々の実施形態を予測し得る。例として、ボクセルに基づいたリソグラフィ光学システムを用いて形成され、流動性レンズ反応性混合物1710が洗い落とされたレンズ前駆体形態は、依然として、固定化装置がレンズ前駆体をレンズに固定することができる実施形態を含み得る。
【0156】
いくつかの実施形態は、流動性レンズ反応性混合物1710を移動させるための別の方式を含む。例として、いくつかの実施形態では、流動性レンズ反応性混合物1710を含むレンズ前駆体表面を撹拌することによって、流動性レンズ反応性混合物1710の移動が可能となり得る。更に、例えば、いくつかの実施形態では、フィルム処理において一般的なスピンコーティング方式で、レンズ前駆体を、中心軸を中心にスピンさせることが望ましい場合がある。
【0157】
更に他の実施形態は、レンズ前駆体1410を、制御された方式で特定の距離にわたり降下させることによって、流動性レンズ反応性混合物1710が受ける重力を最小化する工程を含み得る。追加の実施形態は、上にレンズ前駆体1410、形成光学機器1420、及びホルダ1430が置かれる表面1450のレベルを変化させることによって、重力の影響を変えてもよい。異なる表面レベルによって、中心光学機器域内の流動性レンズ反応性混合物1710への力が変化し、移動を生じ得る。
【0158】
別の態様では、いくつかの実施形態は、流動性レンズ反応性混合物1710の化学又は物理変化を含み得る。例として、別の実施形態は、その流動性の性質を変化させる方式で、流動性反応性化学物質の中及び周囲に溶媒材料を導入する工程を含み得る。更に、前記添加材料は、レンズ前駆体系1700内の構成要素の表面エネルギー特性に影響を与え得る。流動性反応性化学物質1710の特性は、固定化とは異なる方式で流動性の性質を変化させるために、固定化照射(fixing irradiation)1461を使用することによって、部分的に変化されてもよい。流動性化学物質系の特性を変化させることに関連する、一般的な性質の数々の別の実施形態は、本発明の本質によって予測され得る。
【0159】
著しく基本的なレベルで、反応性化学物質混合物945の性質は、異なる結果をもたらすことができるように、装置の様々な実施形態と相互作用し得る。安定化及び固定化装置1400の性質、及び反応性化学物質混合物内の基本的な化学成分を変化させることに由来する実施形態の変形は、本発明の範囲内の実施形態を含むことが明白である。例として、これは、例えば、固定化放射線に採用される波長の変化を含むことができ、固定化放射線の前述の波長における柔軟性を有する装置の実施形態を導入してもよい。
【0160】
レンズ前駆体の材料が形成されたレンズの一部を含み得る際、安定化及び固定化装置内及びその周囲の環境制御は、重要な実施形態の態様を含み得ることが、当業者にとって明らかであり得る。例えば、例えばHEPAフィルタ処理した空気流を用いる、微粒子状物質の制御は、環境制御の一実施形態を含み得る。流動性媒体は、依然として化学放射線に対して感受性があるため、環境に入る漂遊光の制御は、追加の任意選択の実施形態を含む。同様に、湿度及び他の気体汚染物質は、レンズの品質に影響を与え得、これらの環境条件の制御は、別の実施形態を含み得る。当業者にとって明白であり得る環境制御の数々の態様は、本発明の範囲内の技術を含む。
【0161】
安定化及び固定化装置を用いていくつかの実施形態のレンズ前駆体を処理する工程の生成物は、眼科レンズと類似するか、又はその形態のデバイスを含み得る。多くの点で、この材料は、最終的な水和眼科レンズに直接関連する特性を有する。しかしながら、多くの実施形態は、レンズ安定化及び固定化の後、実体物を生成し、これは、依然として形成光学機器及びホルダ1430上にあり、非水和形態の実体に、様々な形態の計測が実施され得る。
【0162】
光学及び材料特性を測定することができる計測装置の実施形態の描写である図15が示される。計測は、前述の固定化装置1400を用いる処理の後にもたらされ得る「乾燥」レンズと、水和レンズとの両方に可能であり得ることが明らかであり得る。しかしながら、本実施形態は、好ましくは、依然として形成光学機器に取り付けられたままである、乾燥レンズの計測に焦点を当てる。図15を参照すると、乾燥レンズ1520は、依然として、形成光学機器1530及びその適切な保持構成要素1540に取り付けられたままである。一実施例では、この保持構成要素1540は、共に、レンズの中心軸を中心とする制御された回転運動を可能にする、一対のマウント1550及び1560に取り付けられる。
【0163】
いくつかの実施形態では、Keyence(日本大阪)によって製造されるモデルLT−9030等のレーザー変位センサ1510からのレーザー光1515の、レンズ試料1520の表面との相互作用は、試料1520、形成光学機器1530、及び保持クランプ1540が軸方向に回転する際に生じる。回転サーボモータ1570は、上に試料アセンブリが置かれる回転軸受運動ステージを駆動する。回転の安定性のために、レンズ試料アセンブリの質量の中心は、いくつかの実施形態では、可能な限り中心点の近くに設定される。ステージが回転する際、レーザー変位センサ1510は、レンズ1520の表面の軸リングに沿った複数の点の変位を測定する。ステージが1回転した後、変位センサ1510は、方位角方向に移動される。それぞれの移動は、レンズの表面の周囲に新たな円形輪郭を作り出す。本実施形態のプロセスは、レンズ表面全体の輪郭が描かれるまで繰り返される。レンズ試料1520のない特定の形成光学機器1530を測定することによって、形成光学機器の表面位置は、同等の球状表記形式で取得され得る。この結果を光学機器上にレンズがある結果から減算することによって、レンズ生成物の厚さマッピングがもたらされる。この場合もやはり、取り付けられたRFIDを介するか、又はいくつかの他の手段による電子フォーマットの形成光学機器の一意的識別は、装置の別の実施形態の形態を含んでもよい。
【0164】
この種類のいくつかの実施形態では、試料表面1520のセンサ1510に対する自由振動変位は、システムによって得られる変位測定値に重大な誤差を含む場合がある。そのため、振動減衰及び絶縁が含まれてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、振動効果を最小限にするために、振動絶縁マウント1590上に置かれる大きな支持テーブル1580を利用することができる。いくつかの実施形態は、他のものほど振動ノイズに対して感受性はない場合もあるが、しかしながら、一般的に言えば、検出器及び試料位置決め装置の様々な形態の周囲の環境への振動エネルギー伝達モードを最小化する様々な方法は、本発明の範囲内の実施形態を含む。
【0165】
他の実施形態は、レンズ特性を抽出するために、場合によっては、第1の記載されるレーザー変位センサに加えて、異なる測定システムを採用し得る。非限定的な実施例として、また、いくつかの実施形態では、形成されるレンズ本体の厚さを決定するために、Thorlabs Inc.(Newton,NJ,USA)から入手可能なShack−Hartmann Wavefront Sensorが使用されてもよい。
【0166】
一般的な観点から、一部において、及び例えば、屈折率、放射線吸収、及び密度を特性化するための技術を含む、本発明の範囲内であると予測される計測デバイスにおける、相当の多様性が存在し得る。また、例えば、粒子検出を含む、環境制御に関連する態様も、予測され得る。これらの様々な技術は、例示的な計測デバイス1500と同一の環境及び位置にあってもよく、又は別の実施形態では、汎用システム環境内又は外部に追加の位置を含んでもよい。
【0167】
特定の試料の生成に使用される特定の試料及び構成要素に関連する計測及び記号論理学的データの収集、記憶、及び通信は、本発明の一般的な実施形態の原理を含む。これらの様々なデータは、レンズ特性を制御するためのフィードバックループを確立するのに有用であり得る。例示的かつ好ましい実施形態では、レンズ試料1520のレーザー変位センサに基づいた計測装置1500からの出力は、算定システム内に記録及び記憶される。一実施形態1530では、個々の形成光学機器部品は、前記試料1520の生成に使用される前に、それに対して同様のレーザー変位計測が実施されていてもよい。データ算定システムを使用することによって、変位データは、レンズ試料、したがって生成されるレンズの厚さの表示を生成するために、いくつかの方式で処理され得る。
【0168】
算定システム内で、レンズ製作システムにおいて様々な構成要素の開始パラメーター設定点を提供するのに有用なレンズ試料の所望のモデルは、試料1520及び形成光学機器1530の変位データの操作と比較され得る。いくつかの実施形態では、モデル内の様々な位置点は、画像化システムの個々の構成要素に、好ましい実施形態では、ボクセルに基づいたリソグラフィ光学システム内の特定のボクセル要素にマッピングされるか、又はそれに関連付けられ得る。ボクセルのパラメーターを調節することによって、前の試料と比較して調節された性能を有する次のレンズ又はレンズ前駆体試料が生成され得る。計測及び様々な計算アルゴリズム、並びに装置の数々の実施形態内で、データの取得、処理、モデリング、フィードバック、及び通信の多くの別の実施形態が、本発明の範囲内の要素を含むことは当業者にとって明白である。
【0169】
いくつかの実施形態では、生成されたレンズ試料1520の厚さに関連する特定のシステムの計測データは、レンズ前駆体形態1720の輪郭に設計された整合機能を使用することによって、向上され得る。例示的な図4の400で、上述されるものと類似する方式で得られる厚さ計測が得られた。この400の他の記述は、本開示内の他の場所に行われるが、整合の実施形態を理解するために、440が熟考され得る。アイテム440は、レンズ試料1520の表面に、比較的深い輪郭陥凹を含み得る。かかる特徴の設計は、装置内の数々の処理工程を適応させるのに有用であり得る。一実施形態では、アルゴリズム又は計測データの操作によって、400に関連する信号が抽出又は認識され得る。かかる抽出は、整合機能440に関連する位置に近接するか、又はその位置に処理を提供する、様々な装置の部分を位置決めするのに有用であり得る。特にマーキング材料及び輪郭特徴の設計の使用を含む整合機能の数々の異なる実施形態が可能であり、本発明の範囲内の技術を含むことは、当業者にとって明白であり得る。
【0170】
計測システム1500によって生成される計測データを使用するいくつかの別の実施形態は、眼科レンズ生成システム全体又はその中のその様々な装置を診断及び制御するために、このデータを利用してもよい。非限定的な実施例として、形成光学機器1530の上述の測定値の記憶は、結果として、かかる測定値の履歴をもたらし得る。別の計算及びアルゴリズム処理によって、表面の特性は、経時的に比較することができ、急激又は一定のいずれかのこれらの特性の変化は、ある種の診断介入が必要であることを知らせるために使用されてもよい。かかる信号変化の多くの考えられる原因の一例は、形成光学機器が、その表面上にある種の表面スクラッチを受けたことを含み得る。追加の実施形態では、得られる計測結果に許容可能な限度を定めるため、及び自動化感知において測定値の有効な変化を知らせるための両方に、統計に基づくプロセス制御アルゴリズムを使用することができる。更なる追加の実施形態は、これらの知らせに自動化手段で対応するために、システム内に自動化のための手段を提供し得る。しかしながら、一般的な観点から、本発明の範囲は、システム全体を診断及び制御するために、例えば、システム1500からの計測データを使用する、これら及び数々の他の実施形態を予測する。
【0171】
これまでに記載された計測装置の実施形態は、概して、「乾燥」レンズ試料1520又はその形成光学機器1530の計測に関係し得る。より一般的な観点からは、しかしながら、同様の、又は追加の計測の実施形態は、全システム内の他の形態の特性の測定に由来し得る。非限定的な実施例として、「乾燥」レンズは、いくつかの実施形態では、続けて処理され、水和した状態となり得る。かかる新たに画定された試料1520の計測は、より一般的な実施形態の記述の一実施例を含み得る。更なる実施例は、レンズ前駆体試料1700に計測を実施する工程を含んでもよい。したがって、一般的な意味で、本発明の範囲内であると予測され、この種の眼科レンズ生成システム内の生成物を処理する、又は構成するのに使用される、様々な形態の材料に計測を実施するための数々の実施形態が存在する。
【0172】
ここで図16を参照すると、簡略化のために水和装置と称される、これらの工程を実施するための装置の実施形態が1600で示される。装置には、水和用流体1610を収容するための容器が含まれる。レンズ1630及び形成光学機器ホルダ1640が浸漬される流体浴1620、及び浴を一定の温度に維持するための熱制御ユニット1650。
【0173】
好ましい実施形態では、流体浴1620には、表面活性剤が添加された脱イオン(DI)水が含まれる。当該技術分野において予測され、本発明の範囲に従う、この浴の数々の実施形態が存在する。別の実施形態では、流体浴1620には、脱イオン水及び表面活性剤との混合物である場合がある、有機アルコールの混合物が含まれてもよい。したがって、容器1610のいくつかの実施形態には、水又は有機アルコール類の体積の収容、及びまた、温度制御ユニット1650と流体浴1620との間での熱エネルギーの透過に従う材料が含まれ得る。一般性の観点から、レンズの水和及びクレンジングの範囲内に含まれ、本発明技術の実施形態を含み、容器の材料、容器の設計、並びに容器を充填する、及び空にする手段を含む、数々の別の実施形態が存在し得る。
【0174】
いくつかの実施形態では、浴の温度は、水和、クレンジング、及び取り出し動作を加速するために上昇される。かかる一実施形態では、温度は、内部感知装置1650を有するホットプレートの存在によって維持され得る。より高度な実施形態は、別の照射及び導電性材料並びに装置を含む、流体を加熱するための別の方式を含み得る。また、追加の実施形態は、浴温度を監視し、それを温度帯内に制御するための異なる方式を含み得る。更なるより高度な実施形態は、流体浴の温度をその時点で変化させる又はプログラムする能力を含むことができる。本発明の範囲内の実施形態を含む、水和浴の温度を制御するための数々の実施形態が存在することが、当業者にとって明らかであり得る。
【0175】
レンズ1630、及び形成光学機器1640の流体浴への暴露が進行し、レンズが水和される際、いくつかの実施形態では、レンズ本体は、膨張し、最終的に形成光学機器1640から分離する。したがって、いくつかの実施形態は、アセンブリの分離したレンズを捕獲し、適切な保管及びパッケージング手段に入れる手段を含んでもよい。更なる実施形態は、分離したレンズを位置決めし、流体浴媒体1620から採取する工程を含んでもよい。あるいは、実施形態は、レンズを流体から隔離するために、排出プロセス中に、前記流体浴媒体1620を濾す能力を提供し得る。一般的な観点から、レンズを位置決めし、それを保管手段に入れるように取り扱う数々の方式は、本発明の範囲内に従う実施形態を含む。
【0176】
ここで図17を参照すると、ボクセル1704基本によってボクセル1704上に重合によって形成されたレンズ前駆体1700が図示されている。いくつかの実施形態は、ボクセル重合によるボクセルによって形成されている、流体レンズ反応性混合物又は架橋可能材料1704を含む、レンズ前駆体を含んでもよい。形成光学機器、及び反応性材料のボクセル構造体によるボクセルが、反応性混合物のリザーバから取り除かれるとき、ボクセル構造体によるボクセル又はレンズ前駆体形態の表面に付着する粘稠材料が存在する場合がある。レンズ前駆体形態と、眼科レンズデバイスの部分内への更なる処理後に、その上に形成することができる流動性レンズ反応性媒体1704との組み合わせは、レンズ前駆体を構成するものである。
【0177】
いくつかの実施形態では、レンズ前駆体は、3次元形状をとるが、しかしながら、吸収された反応性媒体の流動性の性質のため、実体は固定された3次元形状を有さない。
【0178】
レンズ前駆体は、第1表面1701も含んでもよく、これは、例えば光学品質表面を有する基材など、基材1705に沿って形成されてもよい。第1表面1701は、ゲル化点より上で少なくとも部分的に重合される第1架橋密度を有する媒体の部分を含む。レンズ前駆体1700は、第2表面1702(ほぼゲル化点又はゲル化点よりも低い点で硬化する、第2架橋密度を含む第2表面)を含む。
【0179】
いくつかの実施形態では、流動性レンズ反応性媒体は、レンズ前駆体から除去されてもよい。非限定的な実施例として、流動性レンズ反応性媒体は、毛管現象によって除去されてもよい。いくつかの実施形態では、手順は、毛管現象の工程が実施される前に、流動性レンズ反応性媒体の一部が共に留まるように、滞留させる工程を含んでもよい。更なる実施形態では、レンズ表面は、表面軸が重力の方向に対して角度をなすように配置されてもよい。毛管に基づいた装置を用いて流動性レンズ反応性媒体を除去する方法に関連する数々の実施形態が可能であり得、本発明の範囲内の技術を含み得ることが明らかであり得る。
【0180】
他の実施形態では、流動性レンズ反応性媒体を除去する手順は、毛管浸出器具とは別の装置を含んでもよい。例えば、流動性媒体を除去するために吸収性表面を使用する工程を含む方法は、いくつかの実施形態を含み得る。追加の実施形態は、詳細に記載されたものではなくむしろ、多くの毛管点を有する装置を使用する方法に関連してもよい。更なる実施形態は、流動性材料を除去するために、レンズ前駆体をスピン処理する方法を含んでもよい。流動性材料の一部を除去するために装置を使用する数々の方法のいずれかは、当業者にとって明らかであり得るように、本発明の範囲内の態様を含み得る。
【0181】
レンズ前駆体の上面から材料を除去するための異なる種類の実施形態は、この目的のためにレンズ本体にレリーフ特徴を画定する方法を含み得る。これらの種類の実施形態では、前述項に言及される排出チャネル等の特徴は、比較的低い粘度の流動性媒体が流れ出すようにし、それによって比較的高い粘度の流動性媒体が流れ込むための勾配の低い空間を作り出すための位置を作り出すように設計されてもよい。更なる実施形態では、また、レンズ本体のスピンの使用は、材料が流れ込むためのレリーフ特徴を設計することと併せて、レンズ材料を除去する実施形態も含み得る。異なるレリーフ表面設計の様々な実施形態を含む実施形態はまた、本発明の範囲内の技術を含むことが、当業者にとって明らかであり得る。
【0182】
安定化の間、流動性レンズ反応性媒体は、様々な応力下で流れることができ、レンズ前駆体形態の表面に沿って低エネルギー及び比較的安定した状態であることを見出すことができる。
【0183】
微視的レベルで、前躯体形態の表面は、ある程度の粗度を局所的に有し得ることが明白であり得る。形成実施形態の数々の態様は、この粗度の性質、かかる場合の一実施例では、反応が開始する周囲で、比較的急激に反応を停止する阻害物質の影響を決定し得る。多くの実施形態では、流動性媒体の表面力、摩擦力及び拡散力、重力、並びに他の適用される力は、合成され、トポグラフィー上全体に流れた滑らかな被膜を生成する。これらの力を決定する手順には、本発明の範囲内の数々の可能な実施形態が存在する。
【0184】
いくつかの実施形態では、レンズ前駆体は、流動性レンズ反応性媒体が重力下で流れるように構成されてもよい。これを実施する方法は、流れるのを助長するために、レンズ前駆体を異なる配向に移動させる工程を含み得る。別の実施形態は、レンズ前駆体を、できる限り移動が少ない固定状態に維持することによる、逆の方策を含み得る。更に別の実施形態は、レンズ前駆体を軸を中心にスピンさせることに関連する力を流動性材料に適用する工程を含み得る。いくつかの実施形態では、このスピンは、レンズ前駆体の中央を中心とする軸を中心に実施され得る。別の実施形態では、前記スピンは、レンズ前駆体の上面が、軸点若しくはその逆、又はその間の無数の可能な配向のいずれかを向く間、レンズ前駆体を外軸点を中心に回転させる工程を含み得る。更に他の実施形態では、レンズ前駆体は、重力の影響を最小限にするために、自由落下環境で処理され得る。安定化方法中にレンズ前駆体に流動性力を適用することに関連する数々の方法が存在し得ることは、当業者にとって明白であり得る。
【0185】
他の実施形態では、流動性媒体の流動性の性質が、手順によって変性されてもよい。いくつかの実施形態では、流動性媒体の粘度は、希釈又は溶媒化の手段によって変化されてもよい。別の実施形態は、粘度を増加させるために、希釈剤の一部を蒸発させる工程を含み得る。ある程度の化学放射線への暴露は、前記流動性フィルムの粘度を変化させるための更なる方法を含み得る。流動性媒体の粘度を変化させる工程に関連する数々の実施形態が存在し得る。
【0186】
更に他の実施形態では、流動性レンズ反応性媒体上の表面エネルギーに関連する力は、手順によって変化されてもよい。いくつかの実施形態では、これは、表面活性剤を発生反応性混合物に添加することを含み得る。別の実施形態では、表面エネルギーを変化させるために、添加剤又は化学反応体がレンズ前駆体に添加されてもよい。
【0187】
ここで図18を参照すると、いくつかの実施形態では、レンズ前駆体1801の設計は、流動性レンズ反応性媒体の流体状態を促進するためのアーチファクト1802を含んでもよい。非限定的な実施例として、チャネル1802は、流動性レンズ反応性媒体をレンズ前駆体域から排出するための手段を含んでもよい。別の実施形態では、急激な輪郭の変化に関連する設計方法は、変化した安定状態を提供するための手順を含み得る。アーチファクトは、レンズ前駆体の領域によって支持可能な、ほとんどあらゆる変形例、形状、及び各種において形成されてもよい。いくつかの実施形態では、アーチファクト1803は、例えば1つ又は2つ以上の英数字などのマーキングを含む。他のマーキングは整合マークを含んでもよい。アーチファクト1802〜1803は、DMDスクリプトに従って形成される。
【0188】
一般的な観点から、これらの様々な実施形態の種類は、安定化を含む手順において、流動性レンズ反応性媒体の完全に安定した、若しくは部分的に安定した、又は不安定な性質を生成する方法の一般性を制限するべきではない。例えば、様々な実施形態の組み合わせ、前記手順の追加の実施形態が当該技術分野の専門家にとって明らかであり得る。
【0189】
安定化の手順が実施された後、いくつかの実施形態では、流動性材料に、アイテム133として示される次の手順種類、つまり非流動性状態に変換するための固定化が行われてもよい。いくつかの実施形態では、固定化方法中に適用される化学放射線の性質は、代替を含み得る。適用されるスペクトル帯域は、一種の手順の実施形態の一例であり得る。別の実施形態は、適用される放射線の強度を含み得る。別の実施形態では、固定化照射の様々な態様の適用は、時間依存性を含み得る。非限定的な実施例として、初期の波長帯域は、次いで異なる帯域に変化される、第1の刻みを含んでもよい。当業者にとって明らかであり得る、光条件を定義する方法の実施形態の領域は本発明の範囲内である。
【0190】
アイテム133のいくつかの実施形態では、固定化方法は、照射がとり得る異なる経路を含んでもよい。実施形態の種類の一実施例では、照射は、レンズ前駆体の前面上に生じてもよく、又は別の方法として背面を透過してもよい。更に他の実施形態は、いくつかが、レンズ前駆体実体に化学放射線の異なる効果を生成するように、おそらく異なる光特性を有する、複数の照射源に由来し得る。更なる実施形態は、放射線以外のエネルギー形態を含む固定化方法に由来し得る。一般的に、固定化工程を含み得る数々の方法は、本発明の範囲内である。
【0191】
いくつかの実施形態では、固定化が生じた後、レンズ前駆体130の処理が完了する。いくつかの実施形態では、この完成生成物は、更に処理される。この生成物種類は、図1のブロック120に示される技術の種類の良例、つまり前躯体の別の形成を含む。非限定的な実施例として、固定化の生成物がボクセルに基づいたリソグラフィ手順に導入され戻される場合、第2の層の処理が発生し得る。この複数の段階がある態様は、多くの任意選択の実施形態の手順をもたらす。
【0192】
いくつかの実施形態では、複雑なレンズ前駆体は、非限定的な実施例として、眼科レンズ表面が画定される第1の工程と、輪郭特徴が表面に追加される第2の工程とを含み得る、複数回の通過から形成され得る。手順の他の複雑な実施形態は、前述の実施例のいくつかのように、例えば、レンズ前駆体形態に沿った隔離されたボクセル列を生成する、条件付きのボクセルに基づいたリソグラフィシステムの第1の通過を含み得る。次いで第2のボクセルに基づいたリソグラフィ工程は、ボクセル列と異なる特性の材料との間の特徴を充填する工程を含み得る。続くシステムの第3の通過は、眼科レンズを画定し得る。それぞれが記載される多くの異なる可能な実施形態を有し得る、システムを複数回通過する一般的な手順は、全てが本発明の範囲内である非常に多くの異なる実施形態を含み得ることが明らかであり得る。
【0193】
いくつかの他の実施形態では、レンズ前駆体は、流動性反応性媒体をレンズ前駆体形態上に適用することによって形成され得る。例えば、ボクセルに基づいたリソグラフィ方法によって形成されるレンズ前駆体は、流動性レンズ反応性媒体を除去する極端な方法として、ウォッシングシステムにさらされてもよい。レンズ前駆体形態は、ウォッシング方法に由来する。いくつかの実施形態では、次に、このレンズ前駆体形態に対して、次の流動性レンズ反応性媒体をその表面に適用する方法が行われてもよい。いくつかの実施形態では、次の流動性媒体を表面に適用する手順は、アイテム117に記載される実施形態と類似する方法で、レンズ前躯体を浸漬し、除去する工程を含んでもよい。ここで、結果として生じるレンズ前駆体は、モノマー及び多重結合分子の異なる分布を有してもよく、又はいくつかの実施形態では、レンズ前駆体形態を形成するために使用されるものとは異なるポリマーの化学的性質を有してもよい。流動性レンズ媒体を様々なレンズ前駆体形態の実施形態上に適用するための手順を含む数々の実施形態が、本発明の範囲内の技術を含むことは当業者にとって明白であり得る。
【0194】
別の組の実施形態では、レンズ前駆体形態は、ボクセルに基づいたリソグラフィとは異なる手段により形成されてもよい。第1の非限定的な実施例では、レンズ前駆体形態を形成するための原理としてステレオリソグラフィを使用することによって、様々な実施形態が可能であり得る。いくつかの実施形態では、このステレオリソグラフィによって形成されるレンズ前駆体形態は、117の取り出し手順からの流動性レンズ反応性媒体を有し得るが、他の実施形態は、流動性レンズ反応性媒体をステレオリソグラフィによって形成された基部に適用する工程を含み得る。レンズ前駆体形態を決定し、次いでそれを言及された方法で使用するために、マスクに基づいたリソグラフィプロセスを使用することによって、別の実施形態が可能であり得る。更なる実施形態は、眼科レンズの製造に一般的な標準注型成型プロセス、及び次いで言及された方法でレンズ前駆体を形成する工程によって形成されるレンズ前駆体形態の使用を含み得る。レンズ前駆体形態を形成する数々の実施形態は、レンズ前駆体を形成する方法を含み得ることが明白であり得る。
【0195】
ここで図20を参照すると、十分な化学放射線への未反応の重合化架橋可能な材料の暴露によって、レンズ前駆体から形成されているレンズ2001が図示されている。実施形態は、重合された架橋可能な材料の複数のボクセルを含む第1部分2003と、架橋可能な材料のゲル化点より上で重合される、架橋可能な材料の層状体積を有する第2部分と、を含むことができる。
【0196】
化学放射線2004の源は、例えば、架橋可能な材料に対して化学線であるには十分な強度及び波長の放射線2005を生成する光源2004を含むことができる。いくつかの実施形態では、化学放射線は、光線の複数の源の点を含んでもよい(図示したとおり)。他の実施形態は、化学線を提供する単一の光源を含んでもよい。
【0197】
いくつかの実施形態では、形成された、又は固定されたレンズは、形成光学機器の表面に付着されてもよい。いくつかの実施形態では、レンズは水和されてもよい。水和は、例えば溶液(水溶液又はIPO溶液など)内での浸漬を含んでもよい。いくつかの実施形態では、水溶液は摂氏60度〜95度の温度に加熱されてもよい。
【0198】
いくつかの実施形態では、浸漬方法は、レンズ本体を洗浄し、それを水和させてもよい。水和のプロセスでは、レンズは膨張し、それが付着している形成基材から剥離してもよい。
【0199】
〔実施の態様〕
(1) 眼科レンズであって、
光吸収性成分を含む、重合された架橋可能な材料の複数のボクセルを含む光学ゾーン部分であって、前記光学ゾーン部分が、第1屈折率を含む第1領域及び第2屈折率を含む第2領域を含む、光学ゾーン部分と、
前記架橋可能な材料のゲル化点を超えて重合された架橋可能な材料の層状体積を含む、第2部分と、を含む、眼科レンズ。
(2) 架橋可能な材料の1つ又は2つ以上の更なる層状体積を含む、第3部分を更に含む、実施態様1に記載の眼科レンズ。
(3) 前記架橋可能な材料の層状体積が、ボクセル単位以外の架橋パターンを含む、実施態様1に記載の眼科レンズ。
(4) 第1部分が光吸収性成分を更に含む、実施態様1に記載の眼科レンズ。
(5) 前記第2部分がシリコーンを更に含む、実施態様1に記載の眼科レンズ。
(6) 前記第1部分が第1光学表面を含む、実施態様4に記載の眼科レンズ。
(7) 前記第2部分が第2光学表面を含む、実施態様6に記載の眼科レンズ。
(8) 第1部分が、化学放射線の複数の放射線への反応性混合物の暴露によって形成され、前記化学放射線の各放射線は、1つの源から生じており、前記各放射線は、前記架橋可能な材料の所定の部分に向けて所定の時間反射される、実施態様3に記載の眼科レンズ。
(9) 前記架橋可能な材料の所定の部分に向けて所定の時間反射される化学放射線の各放射線が、所定の波長を含む、実施態様8に記載の眼科レンズ。
(10) 前記第2部分が、複数点から生じる化学放射線の複数の放射線への反応性混合物の暴露によって形成される、実施態様9に記載の眼科レンズ。
【0200】
(11) 前記重合された架橋可能な材料のボクセルによって形成された1つ又は2つ以上の凹領域を更に含む、実施態様8に記載の眼科レンズ。
(12) 前記重合された架橋可能な材料のボクセルによって形成された1つ又は2つ以上の凸領域を更に含む、実施態様8に記載の眼科レンズ。
(13) 前記ゲル化点を超えて重合された架橋可能な材料の層状体積が、前記重合された架橋可能な材料のボクセルによって形成された前記凹領域に対して等角である、実施態様11に記載の眼科レンズ。
(14) 前記ゲル化点を超えて重合された架橋可能な材料の層状体積が、前記重合された架橋可能な材料のボクセルによって形成された前記凹領域に対して非等角である、実施態様11に記載の眼科レンズ。
(15) 前記各ボクセルが、第1端部及び第2端部を含み、前記ゲル化点を超えて重合された架橋可能な材料の層状体積を含む前記第2部分が、本質的に前記各第2端部を被覆する、実施態様1に記載の眼科レンズ。
(16) 前記第1部分が、基材の表面に沿って形成された非隣接パターンを含む、実施態様6に記載の眼科レンズ。
(17) 前記レンズの外周部が、非円形を本質的に含む、実施態様6に記載の眼科レンズ。
(18) 前記レンズの外周部が、楕円形を本質的に含む、実施態様6に記載の眼科レンズ。
(19) 前記レンズがトーリック形状を含む、実施態様6に記載の眼科レンズ。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年3月23日出願の米国特許出願番号第12/729,334号及び2009年3月31日出願の同第61/164,995号の優先権を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、眼科レンズの製造、より具体的には、いくつかの実施形態において、自由形成表面及び異なる屈折率の領域を有する眼科レンズの形成のための装置を説明する。
【背景技術】
【0003】
モノマー材料が、2つ以上の対向する鋳型部分の光学表面の間に画定されるキャビティ内に配置される、注型成形技法を介して、眼科レンズを製造することは既知である。ヒドロゲルを有用な物品(例えば眼科レンズ)に作るために用いる多部分鋳型は、例えば、眼科レンズの後側湾曲部に対応する凸部部分を伴う第1の鋳型部分と、眼科レンズの前側湾曲部に対応する凹部部分を伴う第2の鋳型部分とを備えることができる。
【0004】
かかる鋳型部分を使用してレンズを調製するために、未硬化ヒドロゲルレンズ配合物が、プラスチック製の使い捨て前側湾曲鋳型部分と、プラスチック製の使い捨て後側湾曲鋳型部分との間に置かれ、重合される。しかしながら、そこから派生する眼科レンズの設計は、使用される鋳型の設計に制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、特定の患者若しくは目的の一方又は両方のためにカスタマイズすることができるように、所定の寸法及び形状の眼科レンズの形成につながる更なる方法及び装置を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、重合された架橋可能な材料の複数のボクセルを含む第1部分と、ゲル化点の上で重合された架橋可能な材料の層状体積を有する第2部分と、を含む眼科レンズを目的とする。更に、本発明に従って形成されるレンズの異なる領域は、視力補正を更に促進するために、異なる屈折率を含んでもよい。
【0007】
一般に、光吸収性成分を含む反応性混合物は、弓状の表面を有する基材を介して化学放射線の源に暴露される。弓状の表面の少なくとも一部は、光学品質表面を含むことができる。化学放射線は、所定のパターンで反応性混合物の一部を硬化させるように制御可能である。所定のパターンは、光学品質基材表面に沿って形成された1つの表面と、反応性混合物の体積内に自由形成された第2表面と、を含むことができる。
【0008】
本発明に係るレンズは、光吸収性成分を含むことができる。光吸収性成分は複数のボクセルの形成に有用であり得る。各ボクセルは、第1端部及び第2端部を含んでもよく、第2部分は、各第2端部を本質的に被覆する、ゲル化点より上で重合された架橋可能な材料の層状体積を含んでもよい。様々な実施形態は、第1部分及び第2部分の一方、又は両方において光学表面を含むことができる。
【0009】
重合されたレンズ材料のボクセルは、複数の化学放射線への架橋可能な材料の暴露を介して形成することができ、化学放射線の各放射線は、1つの源から生じており、反応性混合物の所定の部分に向けて所定の時間反射される。反応性混合物の所定の部分に向けて所定の時間反射することができる化学放射線の各放射線は、所定の波長を含む。いくつかの実施形態では、第2部分は、複数点から生じる複数の化学放射線への反応性混合物の暴露によって形成される。
【0010】
いくつかの更なる実施形態は、1つ又は2つ以上の特徴(例えば、重合された架橋可能な材料のボクセルによって形成されたトラフ;重合された架橋可能な材料のボクセルによって形成された1つ又は2つ以上の凸領域)を有するレンズを含んでもよい。
【0011】
本発明に従って形成されたレンズは、球状であってもよく、又は非球状であってもよい。第1表面は、光学品質光学ゾーンを含んでもよく、第2表面は、アーチファクトを含んでもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、レンズは、流動性かつ構造的の両方の領域を含むレンズ前駆体から形成され得る。好ましい実施形態では、構造領域は、主にボクセルリソグラフィセクションの動作によって決定されるが、しかしながら、流動域は、ボクセルリソグラフィセクションによっても影響を受けるが、数々の方法で決定することができる。別の実施形態は、レンズ前駆体中間生成物を介することなく、ボクセルリソグラフィセクションの効果からレンズを形成し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のいくつかの実施形態を実践するために使用され得る方法工程を図示する。
【図2】本発明のいくつかの実施形態を実践するために使用され得る追加方法工程を図示する。
【図3】形成及び固定化放射線の吸光度と透過率との間の関係の一例を図示する。
【図4】本明細書に開示される発明によって生成されるレンズの一実施例を図示する。
【図5】ボクセルに基づいたリソグラフィを含む、本発明のいくつかの実施形態を実践するのに有用であり得る、装置構成要素を図示する。
【図6】本発明のいくつかの実施形態を実践するのに有用であり得る、例示的な光源装置構成要素を図示する。
【図7】本発明のいくつかの実施形態を実践するのに有用であり得る、例示的な光学装置構成要素を図示する。
【図8】本発明のいくつかの実施形態を実践するのに有用であり得る、例示的なデジタルミラー装置構成要素を図示する。
【図9】本発明のいくつかの実施形態を実践するのに有用であり得る、追加装置構成要素を図示する。
【図10】本発明のいくつかの実施形態を実践するのに有用であり得る、例示的な形成光学機器を図示する。
【図11】本発明のいくつかの実施形態を実践するのに有用であり得る、例示的なモノマーリザーバを図示する。
【図12】本発明のいくつかの実施形態を実践するのに有用であり得る、例示的な材料除去装置を図示する。
【図13】本発明のいくつかの実施形態を実践するのに有用であり得る、例示的な材料除去装置の全体的動作システムを図示する。
【図14】本発明のいくつかの実施形態を実践するのに有用であり得る、例示的な安定化及び固定化装置を図示する。
【図15】本発明のいくつかの実施形態を実践するのに有用であり得る、例示的な計測システムを図示する。
【図16】本発明のいくつかの実施形態を実践するのに有用であり得る、例示的な水和及び除去システムを図示する。
【図17】ボクセル形成及び流動性レンズ反応性媒体の層状体積を有する、レンズ前駆体の例示的な断面図を図示する。
【図18】例示的なチャネルアーチファクトを有するレンズ前駆体を図示する。
【図19】化学放射線へのレンズ前駆体の暴露によって形成されたレンズを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、レンズを形成するための、及びレンズ前駆体を形成するための方法及び装置を提供する。以下の項において、本発明の実施形態がより詳細に説明される。好ましい実施形態及び代替の実施形態の両方の説明は、完全ではあるが、例示的な実施形態に過ぎず、変形、修正、及び代替が当業者にとって明白であり得ることが理解される。したがって、例示的な実施形態は、請求項によって定義される、基礎となる発明の態様の幅を制限しない。
【0015】
用語解説
本発明を目的とする本説明及び特許請求の範囲において、以下の定義が適用される、様々な用語が使用され得る。
【0016】
本明細書で使用される場合、「化学放射線」は、化学反応を起こすことができる放射線を指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、「弓状の」は、弓のような曲線又は屈曲を指す。
【0018】
本明細書に言及される「ベールの法則」(「ランベルト・ベールの法則」と称される場合もある)は、I(x)/I0=exp(−αcx)であり、式中、I(x)は、照射される表面からの距離xの関数としての強度であり、I0は、表面での入射強度であり、αは、吸収成分の吸収係数であり、cは、吸収成分の濃度である。
【0019】
本明細書で使用される場合、「コリメートする」は、入力として放射線を受信する装置からの出力として進行する、光等の放射線の円錐角を限定することを意味し、いくつかの実施形態では、円錐角は、進行する光線が平行となるように制限され得る。したがって、「コリメーター」は、この機能を実施する装置を含み、「コリメートされた」は、放射線に対する効果を説明する。
【0020】
本明細書で使用される場合、「DMD」、デジタルマイクロミラーデバイスは、CMOS SRAMの全体に機能的に実装された移動可能なマイクロミラーのアレイからなる双安定空間光変調器である。それぞれのミラーは、反射光を誘導するために、ミラーの下のメモリセルにデータを読み込むことによって独立して制御され、ビデオデータのピクセルをディスプレイ上のピクセルに空間的にマッピングする。データは、ミラーの状態が+X度(オン)又は−X度(オフ)のいずれかである2進数方式で、ミラーの傾斜角を静電気的に制御する。現在のデバイスは、Xを、10度又は12度(公称)のいずれかにすることができる。(オン)ミラーによって反射される光は、次いで投影レンズを通過してスクリーン上へ進む。光は、反射されて暗視野を生成し、画像の黒レベルフロアを画定する。画像は、観測者によって統合されるのに十分な速い速度でのオンレベルとオフレベルとの間のグレースケール変調によって生成される。DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)は、DLP投影システムである場合がある。
【0021】
本明細書で使用される場合、「DMDスクリプト」は、空間光変調器のための制御プロトコル、及びまた、例えば、いずれかがその時点の一連のコマンドシーケンスを含み得る、光源又はフィルタホイール等の、いずれかのシステム構成要素の制御信号を指すものとする。頭文字DMDの使用は、この用語の使用を、空間光変調器のいずれか1つの特定種類又は寸法に限定することを意味しない。
【0022】
本明細書で使用される場合、「固定化放射線」は、レンズ前駆体又はレンズを含む、本質的に全ての反応性混合物の1つ又は2つ以上の重合及び架橋への十分な化学放射線を指す。
【0023】
本明細書で使用される場合、「流動性レンズ反応性媒体」は、天然の形態、反応した形態、又は部分的に反応した形態のいずれかで流動性であり、更なる処理を受けて眼科レンズの一部に形成される、反応性混合物を意味する。
【0024】
「自由形成」が本明細書で使用される場合、「自由形成された」又は「自由形成」は、反応性混合物の架橋によって形成され、注型成形に従って成形されない表面を指す。
【0025】
「ゲル化点」は、本明細書で使用される場合、ゲル又は不溶分画が最初に観測される点を指すものとする。「ゲル化点」は、液体の重合混合物が、それが固体化する範囲内で架橋される変換の範囲である。ゲル化点は、ポリマー反応を異なる時点で停止させ、結果として生じるポリマーを分析して残留不溶性ポリマーの重量分画を決定する、ソックスレー実験を使用して決定することができる。ゲルが存在しない点のデータを推定することができる。ゲルが存在しないこの点が、ゲル化点である。また、ゲル化点は、反応中の反応混合物の粘度を分析することによって決定することもできる。粘度は、反応混合物がプレート間にある状態で、平行プレートレオメーターを使用して測定することができる。少なくとも1つのプレートは、重合に使用される波長の放射線に対して透明であるべきである。粘度が無限大に到達する点が、ゲル化点である。ゲル化点は、所与のポリマー系及び具体的な反応条件と同一の変換度で生じる。
【0026】
「レンズ」が本明細書で使用される場合、「レンズ」は、眼内又は眼上にある、いずれかの眼科デバイスを指す。これらの装置は光学補正をもたらすことができるか、又は美容用であっても良い。例えば、レンズという用語は以下のものを指すことができる。コンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼用挿入物、光学挿入物、又は他の同様の、視力が補正若しくは変更される装置か、又は視力を妨げることなく目の生理機能が美容的に拡張される(例えば、虹彩色)装置。いくつかの実施形態では、本発明の好ましいレンズは、シリコーンヒドロゲル類、及びフルオロヒドロゲル類を含むが、これらに限定されない、シリコーンエラストマー類又はヒドロゲル類から製造される、ソフトコンタクトレンズである。
【0027】
本明細書で使用される場合、「レンズ前駆体」は、レンズ前駆体形態、及びレンズ前駆体形態と接触する流動性レンズ反応性混合物からなる複合物体を意味する。例えば、いくつかの実施形態では、流動性レンズ反応性媒体は、反応性混合物の体積内でレンズ前駆体形態を生成する過程で形成される。レンズ前駆体形態、及び接着した流動性レンズ反応性媒体を、レンズ前駆体形態を生成するために使用される反応性混合物の体積から分離することによって、レンズ前駆体を作り出すことができる。更に、レンズ前駆体は、相当量の流動性レンズ反応性混合物を除去するか、又は相当量の流動性レンズ反応性媒体を非流動性組み込み材料に変換するか、のいずれかによって、異なる実体に変換することができる。
【0028】
本明細書で使用される場合、「レンズ前駆体形態」は、眼科レンズへの更なる処理を受けて組み込まれるものと一致する、少なくとも1つの光学品質表面を有する、非流動性物体を意味する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「レンズ形成混合物」は、「反応性混合物」、「反応性モノマー混合物」、又は「架橋可能な材料」と互換的に使用されてもよく、眼科レンズ又は眼科レンズの部分を形成するために、硬化及び/又は架橋され得るモノマー又はプレポリマー材料指す。様々な実施形態は、UV遮断剤、染料、光開始剤、又は触媒、及びコンタクト若しくは眼内レンズ等の眼科レンズに望まれ得る他の添加剤等の1つ又は2つ以上の添加剤を有するレンズ形成混合物を含むことができる。
【0030】
本明細書で使用される場合、「鋳型」は、未硬化配合物からレンズを形成するために使用され得る、剛性又は半剛性の物体を指す。いくつかの好ましい鋳型は、前側湾曲鋳型部分及び後側湾曲鋳型部分を形成する、2つの鋳型部分を含む。
【0031】
「放射線吸収成分」が本明細書で使用される場合、この用語は、反応性モノマー混合配合物に組み込むことができ、特定の波長帯の放射線を吸収することができる、放射線吸収成分を指す。
【0032】
「反応性混合物」(また、本明細書において、レンズ形成混合物、架橋可能媒体、又は反応性モノマー混合物と称される場合もあり、「レンズ形成混合物」と同一の意味を有する。
【0033】
「鋳型から取り外す」が本明細書で使用される場合、「鋳型から取り外す」は、レンズが、鋳型から完全に分離した状態、又は穏やかな振動によって取り外すか、若しくは綿棒を用いて押し外すことができるように、ほんの軽く付着した状態のいずれかとなることを意味する。
【0034】
本明細書で使用される場合、「ステレオリソグラフィレンズ前駆体」は、レンズ前駆体形態が、ステレオリソグラフィ技術を使用することによって形成された、レンズ前駆体を意味する。
【0035】
「基材」:上に他の実体が定置又は形成される物理的実体。
【0036】
本明細書で使用される場合、「過渡レンズ反応性媒体」は、流動性又は非流動性形態でレンズ前駆体形態上に残存し得る、反応性混合物を意味する。しかしながら、過渡レンズ反応性媒体は、眼科レンズに組み込まれる前に、洗浄、溶媒和、及び水和工程の1つ又は2つ以上によって大幅に除去される。したがって、明確化のため、レンズ前駆体形態及び過渡レンズ反応性混合物の組み合わせは、レンズ前駆体を構成しない。
【0037】
「ボクセル」が本明細書で使用される場合、「ボクセル」又は「化学放射線ボクセル」は、3次元空間の規則的な格子上の値を示す体積要素である。ボクセルは、3次元ピクセルと考えることができるが、しかしながら、ピクセルが2D画像データを示す一方、ボクセルは、第3の次元を含む。更に、ボクセルは、医療及び科学的データの視覚化並びに分析にしばしば使用される一方、本発明では、ボクセルは、反応性混合物の特定体積に到達する、ある量の化学放射線の境界を画定し、それによって具体的な反応性混合物の体積の架橋又は重合の速度を制御するために使用される。例として、ボクセルは、本発明では、化学放射線が、それぞれのボクセルの共通軸次元内の2D表面に対して垂直に向けられ得る、2D鋳型表面に対して等角である単一層内に存在すると見なされる。一実施例として、具体的な反応性混合物の体積は、768×768ボクセルに従って、架橋又は重合されてもよい。
【0038】
「ボクセルに基づいたレンズ前駆体」が本明細書で使用される場合、「ボクセルに基づいたレンズ前駆体」は、レンズ前駆体形態がボクセルに基づいたリソグラフィ技術を使用することによって形成された、レンズ前駆体を意味する。
【0039】
「Xゲル」が本明細書で使用される場合、Xゲルは、ゲル分画がゼロを超えるようになる、架橋可能な反応性混合物の化学変換の程度である。
【0040】
図1を参照すると、本発明のいくつかの実施形態のブロック図100が図示される。様々な態様は、例えば、ボクセルに基づいたリソグラフィ手順110、別の形成手順120、レンズ前駆体処理手順130、後処理手順140、並びに計測及びフィードバック手順150を含む。レンズ前駆体160及び眼科レンズ170を含む2つの物品が、ブロック図で特定されている。
【0041】
レンズ前駆体及び眼科レンズ170を形成する方法及び装置は、同時係属の米国特許出願に詳細に記載されており、レンズ前駆体及び眼科レンズ170を形成するための方法及び装置は、同時係属の米国特許出願第12/194,981号、表題「Apparatus for Formation of an Ophthalmic Lens Precursor and Lens」(2008年8月20日出願)、及び米国特許出願第12/195,132号、表題「Methods for Formation of an Ophthalmic Lens Precursor and Lens」(2008年8月20日出願)、及び米国特許出願第12/363,138号、表第「Ophthalmic Lens Precursor and Lens」(2009年1月30日出願)、及び米国特許出願第12/396,019号、表題「Free Form Ophthalmic Lens」(2009年3月2日出願)に詳細に記載されており、それぞれの内容は信頼され、ここに援用するものである。
【0042】
示されているように、単一方向に進む矢印は、いくつかの実施形態がとり得る一般的な方向を含み得、2つの頭を有する矢印は、材料、データ、及び情報のいくつか又は全てが、様々な手順セクションから中心的測定及びフィードバックセクションへ、及びその逆へ流れることができることを示す。
【0043】
ボクセルに基づいたリソグラフィ手順
ここで図1のボクセルに基づいたリソグラフィ方法110を再び参照すると、本発明のいくつかの実施形態に従ってレンズを作製する最初の工程は、アルゴリズム計算を実施するために、レンズパラメーターをコンピュータ又は他のプロセッサに入力することを含む。いくつかの実施形態では、このようなパラメーターは、患者の目の光学表面上の光学収差、又は患者の視覚システムの他の物理的若しくは神経学的態様を測定することによって入手され得る。これらの測定値は、形成されるレンズに要求される波面特性に変化させることができる。他の実施形態では、レンズ製造パラメーターを決定するために、アルゴリズムに入力され得る理論上のレンズ波面特性が存在し得る。
【0044】
115において、アルゴリズムは、上述される入力パラメーターを受け取り、いくつかの実施形態では、パラメーターを以前に製造されたレンズに関連付ける。ここで、空間光変調器に通信される暴露「動画」又はスクリプトのための一連の「フレーム」が決定されてもよい。
【0045】
「DMD」スクリプトを含む、特定のボクセル要素のアルゴリズム出力を、その時点で予定される光反射プロファイルに変換するために使用することができる数々の手順も存在し得る。例として、アルゴリズムが望む全強度値は、全時間中に光照明システムの入力強度が反射される一連の時間刻みとして、反応性混合物のボクセル位置に供給されてもよい。全「オン」工程の積分強度は、次いで、ミラー要素に部分値が書き込まれ、したがってミラーが、全オンレベル未満であるデューティーサイクル「オン」レベルを有する、別の時間刻みによって補完されてもよく、全体として反応性混合物に暴露される残りの時間刻みでは、この特定のボクセル要素は、結果として残りの持続時間の間、「オフ」となり得る。別の手順は、供給される多数の刻み又は「フレーム」の強度の平均値を取得する工程と、その値を使用して、DMDに送信されるフレームのバルクに値を設定する工程と、を含み得る。前述の装置の記述に記載される、一般的な空間光変調器も同様に、この強度及び時間暴露制御を作り出す意図と関連させるための手順の実施形態を有することが、当業者にとって明らかであり得る。
【0046】
前述の方法が、空間的照明デバイスの動作によって空間的照明デバイスに適用される固定強度を変調する工程に関連する所与の実施例である一方、より高度な手順により、光源からの強度が、光濾過を用いて源又は光学機器システム内のいずれかで変調されるかどうかが導かれ得る。更なる実施形態は、照明システム構成要素内及び空間的照明変調器内の両方での強度制御の組み合わせに由来し得る。更なる実施形態は、照明の波長の制御に由来し得る。
【0047】
一般的な意味で、いずれかの寸法のいずれかの空間光変調器への制御信号、及びまた、例として、光源、フィルタホイール等のいずれかのシステム構成要素の制御信号と関連すると見なされるべき「DMD」スクリプトを形成する方法は、したがって、広くは、その時点で一連のプログラムされたコマンドシーケンスを作成する工程を含み得る。化学放射線の詳細、採用される光学機器システムの詳細、及び反応性混合物を含む材料の詳細の多くの実施形態を包含する、制御信号プログラムを作成する方法に関連する、数々の実施形態が存在することが、当業者にとって明らかであり得る。
【0048】
「DMD」スクリプト及びアルゴリズムの詳細は、処理後に得られる結果との関係を有し得ることが留意され得る。決定的に重要なパラメーターのフィードバックは、後述され、かかる詳細な記述は、したがって保留される。そうは言うものの、ボックス115に示されるDMDスクリプトを作成する方法に関して、ボクセルに基づいたリソグラフィ手順、並びにフィードバック及び計測手順を指す、及びそれとは逆を指す双頭矢印は、一部において、DMDスクリプトを作成するための方法でのこの情報交換における役割を指す。
【0049】
レンズ前駆体を形成する手順への他のインプットは、システムのための反応性混合物の形成及び調製を含む。例えば、反応性混合物内でモノマー単位として作用する化学構成成分は、実施形態のうちのいくつかに記載されたように、紫外スペクトルの光に対して光反応性である化学物質を含んでもよい。しかしながら、ブゲール・ランベルト・ベールの法則の効果を考慮しない、いくつかの他の方法とは異なり、本発明における反応性混合物は、化学放射線を光反応的に吸収する分子を含む。同様に、システム内の構成要素は、電磁スペクトルの別の部分と整合させるために調整されてもよい。したがって、分子は、電磁スペクトルの大きな部分にわたって、化学放射線に対して感受性が高い。
【0050】
いくつかの実施形態では、反応性混合物は、他の化学的構成成分と混合される、化学線に対して反応性の1つ又は2つ以上のモノマータイプを含む。非限定的な実施例を通じて、吸収化合物として、他の化学物質が含まれてもよい。反応性混合物へのかかる添加剤は、例えば、ボクセル要素によって画定される経路に沿った化学放射線の強度が、ブゲール・ランベルト・ベールの法則によってモデル化され得る方式で、ボクセルに基づいたリソグラフィを動作させる実施形態において重要であり得る。1つ又は2つ以上のかかる構成成分は、ボクセル要素内の形成プロセスの厚さの感度を概ね定義する更に、いくつかの実施形態は、関連のスペクトラル領域内で光を吸収する反応性混合物への、構成成分の添加を含むことができる。
【0051】
他の実施形態では、反応性混合物の吸収成分は、上述したものに更なる複雑性を含め得る。例えば、化学放射線吸収体構成要素が、異なる方式で及び/又は異なる波長の光を吸収する、複数の分子を含むのは、本発明のいくつかの実施形態の範囲内である。追加の実施形態は、それら自体が複数の関連する吸収帯域を有する分子で構成される吸収体要素に由来し得る。手順の更なる実施形態は、モノマー及び吸収体を組み合わせた役割を有する、反応性混合物に構成要素を添加する工程を含み得る。同様に、この組み合わせられた役割は、いくつかの実施形態では、モノマーに化学反応が生じた後でさえ、吸収役割を継続できるようにする。あるいは、更なる実施形態は、化学線の反応が発生する時に、変更された吸収体の1つ又は2つ以上の特性を有する反応性混合物に添加された化学物質を含んでもよい。一般的な観点から、1つ又は2つ以上の関連スペクトル帯域で放射線を吸収するための成分と共に、反応性混合物を含む手順のための多くの実施形態は、本発明の範囲内であり得ることが、明らかであり得る。
【0052】
反応性混合物を調製する方法に阻害物質成分の添加が含まれる場合、追加の実施形態が導かれ得る。この意味で、阻害物質化合物は、反応性混合物内に形成された化学生成物との反応における役割を有し得る。いくつかの実施形態では、化学放射線の吸収は、1つ又は2つ以上のフリーラジカル化学種を発生させ得る。阻害物質は、フリーラジカル種との反応において作用し、それによって、重合反応経路を終了させ得る。かかる実施形態の1つの効果は、光化学重合反応の持続時間を制限すること、又は他の方法で、重合反応が元の光吸収反応開始剤事象から離れて起こり得る距離を制限することであり得る。反応性混合物に阻害物質を添加するいくつかの実施形態は、したがって、ボクセル要素内での光子の収集が、開始する反応の空間的局所化に最終的に反映される、空間解像度に関連し得ることが明白であり得る。広くは、阻害物質の作用は、当該技術に関連する数々の実施形態を含み得る。
【0053】
阻害するように作用し得る反応性混合物の化学種又は構成要素の種類は、当該技術の数々の他の実施形態を含む。吸収体と同様に、複数の重合経路の阻害において、阻害物質が二重の役割を有することは、本発明の範囲内である。更に、阻害物質は、モノマー分子自体の一部を含み得る。阻害物質は、温度又は光反応性感度を有してもよい。更に他の実施形態は、混合物内に溶存形態を含み得るが、純形態で気体、液体、又は固体特性を呈するため、純化学状態の阻害物質の性質に由来し得る。
【0054】
反応性混合物を調製する方法は、反応開始剤成分の添加に関して、追加の実施形態を有し得る。反応性混合物は、光子の吸収において重合反応を促進する化学種を生成する、光吸収性成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、反応開始剤はまた、特定の帯域で一著しく吸収する分子を含んでもよい。更なる実施形態は、装置の複数の関連帯域で光吸収性である反応開始剤分子によって生じ得る。その吸収は、関連周波数の比較的広い帯域も含み得る。反応性混合物の反応開始剤成分が、反応性混合物内のモノマー分子種類の1つ又は2つ以上の中に存在する化学反応開始剤反応性に由来する場合、更なる実施形態も可能である。
【0055】
ここで図1を再び参照すると、112において、反応性混合物の量は、形成光学機器によってアクセスされ得るリザーバ内への注入であってもよい。いくつかの実施形態では、リザーバは、開放された容器であり、他の実施形態では、リザーバは、他の鋳型部分との嵌合に好適な鋳型部分を含んでもよい。複数の鋳型部分を有する実施形態は、注型成形システムと類似している場合があるが、しかしながら、注型成形とは異なり、本発明は、成形システムを含む鋳型部分の少なくとも1つの曲率に従わない、自由成形方式において得られるレンズ表面の少なくとも一部分を形成する。
【0056】
いくつかの実施形態では、開放されているか、又は閉鎖されているかに関わらず、リザーバに含まれた反応性混合物は、所望の濃度の溶存酸素又は他の気体を有するように平衡化され得る。いくつかの実施形態では、溶存した時に所望の濃度に均衡化するように存在する所定の酸素(又は他の気体)を含む雰囲気を有するエンクロージャ内に、反応性混合物の体積を含む導管を保管することによって、平衡が達成されてもよい。更なる実施形態は、膜技術を介して的確な量の酸素を、流動する反応性混合物に交換し得る、自動化器具を含み得る。反応性混合物の投与を、所望のレベルの組み込まれた気体に組み込む他の方法は、本発明の範囲に一致している。
【0057】
いくつかの実施形態では、注入された反応性混合物の体積はここで、手動手段で、形成光学機器表面の付近に混合物を収容するための容器を含むリザーバに移動されてもよい。他の実施形態は、リザーバを反応性混合物で充填するための自動化機構を含んでもよい。本発明の更なる実施形態は、レンズ形成プロセスで必要に応じて使用され得る、充填使い捨て容器を含んでもよい。本発明の範囲は、全ての処理後に形成されるレンズを含む材料の量を超える、少なくともある量の反応性混合物で、形成光学機器表面の付近のリザーバを充填するためのある種の手順を使用することを含む。
【0058】
116において、レンズが形成される。いくつかの実施形態においてベールの法則方式を用いてモデル化され得るように、反応性混合物は、画像化された化学放射線が通過した深さを基にして反応性混合物へ向けられた化学放射線の強度の著しい吸収性の減少があるように、吸収性要素を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、化学放射線のDMDスクリプトへの大量の反応性混合物の暴露に続いて、それを通じて、スクリプトが再生される形成光学機器は、残っている反応性混合物の体積から取り除かれる。いくつかの実施形態は、反応性混合物のリザーバから形成光学機器を単に持ち上げる工程を含んでもよい。他の実施形態では、リザーバは、形成光学機器から離して引き下げられてもよい。様々な実施形態はまた、反応性混合物の体積から形成光学機器に取り付けられた構造体の取り外しを含んでもよい。構造体には、例えばレンズ前駆体形態、レンズ前駆体、又はレンズを挙げることができる。
【0060】
更なる実施形態は、ある程度の精度でかかる取り出しの速度を制御することができる器具を用いて、引き下げ又は持ち上げ工程のいずれかを自動化することに由来し得る。別の実施形態では、反応性混合物のリザーバは、いくつかの方式で排出され、結果として、取り付けられたレンズ前駆体形態を有する形成光学機器が反応性混合物から分離されてもよい。
【0061】
本発明は、1つの光学ゾーンに含まれる複数のゾーンを有する眼科レンズを形成する装置及び方法を提供する。複数のゾーンは、屈折率における変化、及び光学ゾーンにおけるレンズ領域の形状によってもたらされる光学特性の1つ又は両方を含む。いくつかの実施形態では、異なる屈折率の領域は、患者の視力補正の必要性と一致するために、光学ゾーン内に空間的に分散される。
【0062】
本発明は、化学放射線の変調を使用して、異なる硬化に基づいて、異なる屈折率の、1つ又は2つ以上の領域作ることができ、また、反応性混合物の光吸収性特性に従って、化学放射線を調節し、光学品質を有する表面を形成することができる。本発明は、更なる態様では、バルクの反応性混合物質の異なる硬化を達成するために、紫外線を調整するか、又は減衰させる方法を提供する。したがって、いくつかの実施形態は、2つ又はそれ以上の光学ゾーンを含み、ここで、それぞれの光学ゾーンは、異なる屈折率及び異なる光学曲率の1つ又は両方によって形成され得る。
【0063】
特に定義しない限り、本明細書で使用される技術的及び科学的用語はすべて、発明が属する当業者によって一般的に解釈されるものと同じ意味を有するものである。一般的に、本明細書で使用される命名法は、当該技術分野において既知であり一般的に使用されている。従来の方法は、例えば当該技術分において提供されるようなもの及び様々な一般的な参照文献など、これらの手順で使用される。用語が単数系で提供されるところでは、本発明者らは用語の複数形もまた考慮している。
【0064】
「架橋可能及び/又は重合可能材料」は、生体適合性である架橋された及び/又は重合された材料を得るために、化学放射線によって重合され得る及び/又は架橋され得る材料を指す。化学放射線の例は、紫外線放射、イオン放射(例えばガンマ線又はX線放射)、マイクロ波照射等である。
【0065】
「ポリマー」は、1つ又は2つ以上のモノマーを重合することによって形成される材料を意味する。
【0066】
「プレポリマー」は、開始ポリマーよりもはるかに高い分子量を有する架橋されたポリマーを得るために、化学線放射によって、重合される及び/又は架橋されることができる開始ポリマーを指す。
【0067】
本発明は一般的に、コンタクトレンズの製造及び設計に関する。一態様では、本発明は、照明スキームに従って、変動する光の強度を作るようにエネルギー源を調整することによって、所望の度を有するレンズの光学ゾーンを製造する方法を提供する。本発明に従って、照明スキームは、反応性混合物の光吸収特性と組み合わされてもよい。多様な光強度は、別個に反応性混合物を硬化して、硬化されたレンズ内のレンズの光学ゾーンにおける屈折率の空間分布を作る。エネルギー源(例えば、紫外線など)の強度は、例えば、光学波面を操作するために様々である。光学波面は、特定のパターン、例えばゼルニケ多項式基底セット又は老眼収差パターンに従って操作されてもよい。光学波面は、波面収差データ(aberrometry data)、角膜トポグラフィデータから導かれてもよく、又は老眼補正波面と共に計算されてもよい。
【0068】
本発明のソフトコンタクトレンズは、例えば、シリコーン又はフッ素含有ヒドロゲル、又は屈折率の変調を可能にする材料特性を有するHEMAなど、反応性混合物から作製されるのが好ましい。反応性混合物は、本発明のコンタクトレンズの製造において使用され得るということが理解される。本出願に好ましい材料及び配合物は、純粋又は特別に編成されたヒドロゲル、好ましくは、特定の波長に暴露された時に光開始され得る放射線活性化架橋官能基含有のポリビニルアルコール(PVA)からなることが好ましい。
【0069】
いくつかの実施形態に従って、眼科レンズは、自由形態方法と組み合わされた両面成形(DSM)プロセス、及び光吸収性プロセスを利用する装置、例えばベールの法則に関して明細書に記載されているようなものによって作製されてもよい。
【0070】
レンズの設計は、レンズ形状内の材料バルク内ゾーン又は複数のゾーンの作製を含んでもよい。必要とされる補正のタイプによって、レンズ形状は、レンズの光学ゾーンにおいて単一の屈折率又は複数の屈折率を含んでもよい。一般に、最新のレンズは実質的に均一な屈折率を有する。
【0071】
本発明は、単一の屈折率/複数の屈折率の空間分布を有するレンズを提供する。更に、レンズは、変動する屈折率勾配を有するゾーンを含んでもよい。表面形状光学設計と組み合わせた、又はこれの代わりに単一の屈折率又は複数の屈折率は、レンズの屈折率を作ることが好ましい。これらのゾーンの位置は、レンズの所望の光学設計によって決定される。一定の若しくは変動する屈折率勾配を有する1つのゾーン又は複数のゾーンは、単焦点レンズ、トーリックレンズ、二焦点レンズ、マルチフォーカルレンズ、又はこれらの任意の組み合わせを製造するために使用され得る。
【0072】
レンズの度は、前面及び後面の曲率の関数である。特に、レンズの度は、ジオプターで測定され、これはレンズの焦点距離の逆数として考えることができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、レンズの表面は、焦点距離を変えるために変えられてもよく、これは視力を補正する。更に本発明は、屈折率の変更を提供し、眼科レンズの表面は、レンズを通過する光の焦点距離を変えるように作られる。
【0074】
本発明は、球面又は非球面の表面である光学表面又は形状を提供する。球面は、光軸上に中心があってもよい。標準的な球面の「サグ」即ち「Z座標」は、標準的な球面z=cr2 1+1−(1+k)×c2×r2によって与えられ、ここで[0055]c=曲率(半径の逆数)[0056]r=レンズユニットにおける動径座標[0057]k=円錐定数;円錐定数は双曲線に関しては−1未満、放物線に関しては−1、楕円に関しては−1〜0、球面に関しては0、及び扁平楕円体に関しては0超である。
【0075】
本発明に含まれるいくつかのレンズの設計は、光学収差及び焦点ずれを無効にする又は補正してもよい。焦点ずれを補正する2つの基本的な方法は、レンズの表面プロファイルを設計すること、又は硬化によって、1つの屈折率若しくは複数の屈折率を変えることを伴う。本発明は、1つのレンズ内でレンズ表面の欠点及び設計を補正するために、レンズの光学ゾーンにおいて、1つ又は複数の屈折率の空間的な分散を提供する。レンズ設計は、ジェネリックレンズとして事前に設計されてもよく、あるいは、ユーザーのために特別に設計されてもよい。ユーザーのために眼科レンズが設定されている具体的な実施形態では、例えばShack−Hartmann式波面センサなど、眼科用波面センサを使用して、眼の上の凹凸を測定してもよい。
【0076】
網膜から始まり、理想的な波面が生成され、これは眼の光路を通過する。波面センサは、狭ビーム光源、一般的にはレーザダイオード(即ちLED)で窩を照明し、レンズレットアレイを通って分散した光の位置を記録する。波面(光学素子からの電磁波の光学波面)が眼を出るとき、それはセンサによる分析のための、眼の収差の完全なマップを含む。レンズレットアレイは、ほとんどコリメートされたビームをデジタルカメラ、典型的にCCD又はCMOS画像機器上の点に細分化させる。いったん波面がセンサによって受信されると、複雑な一連の解析が実施され、眼の光路のより完全な写真を提供することができる。データは次いで、Zernikeの基底セットに当てはめられ得る。
【0077】
コンタクトレンズのための光学及び機械的設計が完了すると、レンズ設計は、中間フィルフォーマット、例えばIGES若しくはVDA、又は専用ファイルフォーマットであることが好ましい。既知の欠陥が、Zernike又は同様な数学的表現にあてはめられた後、数学的表現は光出力によって変換される。
【0078】
本発明の好ましい実施形態では、反応性混合物、例えばヒドロゲルが硬化して屈折率の空間分布を生成する。この空間分布は、光の強度及び照明スキームと同等であるパターンにおいて作られるのが好ましい。屈折率における差は、放射照度分布に比例し、したがって、光学密度(OD)に反比例する。材料の屈折率が大きいほど、レンズの様々な光学ゾーンにおける度の差が大きくなる。前述のように、視力の補正を提供するために、瞳孔にわたる屈折率は均一でなければならない。補正されていない眼に見出される、既知の欠陥を補正するために、レンズの特定の既知の領域においてレンズの屈折率を変えることによって、屈折率は正規化される。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態では、エネルギー源の調整は、グレースケールマスクを介して提供されてもよい。グレースケールマスク、マスクは、異なる屈折率(単数又は複数)勾配を形成しながら、鋳型内へ紫外線又は他のエネルギー源の強度を制御する、変動光学密度(OD)を含むことができる。いくつかの実施形態では、グレースケールマスクを使用して、マスクは、マスク設計内で高い精度を可能にするステレオリソグラフィック技法を使用して作製されてもよい。光エネルギーの浸透をおおよそ可能にするマスクの設計及びマスクの特定の部分の能力は、設計及び製造プロセスの関数であってもよい。マスクの設計は、本件のレンズの所望の設計に一致することが好ましく、ここでは、材料に付与される所望の屈折率は、マスクが、レンズの鋳型キャビティ内に浸透させることができる光エネルギーの量によって決定される。マスクはまた、光の強度によって影響される場合がある。
【0080】
いくつかの実施形態では、材料の修正は、PVA配合物をベースとする材料配合物を含んでもよい。第2材料配合物は、ヒドロゲル主鎖に化学的に付着した屈折率向上変性剤を含有していることが好ましく、これはPVAのヒドロキシ基と反応して環状アセタールになる置換されたベンズアルデヒドであってもよい。マトリックスの全体的な屈折率を上昇させるために、ポリマーマトリックスへの芳香族部分の組み込みが使用されてもよくこれは、異なるポリマー密度の領域間の屈折率差の増加につながる。
【0081】
屈折率差の更なる増加は、芳香族(aromat)/ポリマーの相互作用によって促進される場合があり、これは高密度領域におけるポリマー鎖のパッキング順序を向上させ、並びにより高度な効率を達成する。変性剤はポリマーマトリックスに化学的に固着しているため、材料は生体適合性のままであり、レンズ製造の後に、更なる抽出工程を必要としない。
【0082】
他の好ましい実施形態では、架橋可能及び/又は重合可能な流体材料は、1つ又は2つ以上のプレポリマーと、所望により、1つ又は2つ以上のビニル性モノマーの水溶液であり、この水溶液は低分子量の添加剤(例えばNaCl)を含み、これは架橋可能及び/又は重合可能な流体材料から得られるポリマーと、限定された適合性を呈するが、水とは良好な適合性を示す。限定された適合性によって、添加剤は浸透圧勾配を生じさせ、これは得られるポリマーマトリックスの収縮を誘発する。
【0083】
ここで図2を参照すると、本発明のいくつかの実施形態の他の態様では、眼科レンズの形成は、計測学及びフィードバックを介して強化されてもよい。図2に示される工程及び関連手順の説明は、例示であり、本発明の範囲を限定する意図はないことに留意されたい。例えば、205において、外部のソースから1つ又は2つ以上の所望のレンズパラメーターが入力されてもよい。例示的な目的のために、レンズ表面のモデルは、患者の眼に適用される眼用測定デバイスによってもたらされてもよい。他の実施形態では、理論上の入力パラメーターは、工程205の手順を含み得る。かかる入力は、それらをボクセルに基づいたリソグラフィ210の入力要件と一致させるためのいくつかの手順で処理される。様々な装置はかかる入力を受信し、いくつかの実施形態では、アルゴリズム方法を用いて、この入力を変換し、ボクセルに基づいたリソグラフィシステム211において使用可能なパラメーターに変換する。
【0084】
図2において更に進み、レンズ前駆体はボクセル単位202上で形成されてもよい。レンズ及び/又はレンズ前駆体は、その後に、レンズ前駆体処理手順230で処理されて、眼科レンズ240の「乾燥」形態を作ることができる。乾燥眼科レンズは、計測工程250で測定されてもよい。例示的な目的のために、この工程は、レーザー変位センサの使用を含み得る。
【0085】
アルゴリズムは、結果とレンズが工程205からの入力パラメーターと一致する場合に予測されるものとを比較するために、このデータをアイテム251及び252に示されるように処理し得る。いくつかの実施形態では、入力パラメーターからの差は処理され、ボクセルに基づいたリソグラフィシステム211内のレンズを処理するために使用されるパラメーターを変更する必要性に対応し得る。データ及びパラメーター情報のこのフィードバックループは、アイテム253のフィードバックループに示される。また、データは、処理され、レンズ前駆体処理手順252に所望されるパラメーターの変更に対応し得る。このシステム252内のパラメーターへの所望の変更のフィードバックは、フィードバックループ254によって示される。様々なコンピュータによる手順及び制御手順が、メインフレーム、個人用コンピュータ、工業用コンピュータ、及び他の同様のコンピュータ環境を含むが、これらに限定されない、様々なデータ処理機器上で実施され得ることが明らかであり得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、計測工程250並びにデータ251及び252の様々な処理の結果は、生成されるレンズ240がアイテム205の入力パラメーター前後の一組の許容可能な限界内であるかを判断する能力を含み得る。このレンズに関する判断は、次いでアイテム251に示され、ここでレンズは、変更されたパラメーターを有する別のレンズが生成されるように、廃棄され得る。あるいは、レンズは、許容可能な限界内であり、したがって後処理手順及び装置の実施形態で処理するために、工程260へ進み得る。次いでレンズが膨張され、取り外された後、これに対してアイテム270に示される別の計測手順が行われてもよい。いくつかの実施形態では、この計測の結果は、本実施形態の工程250に示されたものと同様のフィードバック実施形態を有し得る。
【0087】
280で眼科レンズ生成物が実現された後、処理フローは、乾燥レンズが破棄されるフローに連結してもよい。その後、全フローは、290の条件戻り工程によって示される工程内の工程205にループして戻ることが可能である。本発明の様々な生成物に計測工程を実施し、次いで測定結果を組み込み、システムパラメーターを調節するフィードバックループを策定する工程における数々の修正、追加、及び代替が存在することは、当業者にとって明白であり得る。
【0088】
いくつかのわずかに異なる実施形態では、追加の測定の種類は、全体的な器具フィードバックのために、レンズの品質態様を評価してもよい。非限定的な実施例として、いくつかの実施形態では、生成されたレンズ前駆体内のかかる欠陥の存在を判定するために、微粒子検出スキームが展開されてもよい。かかる判定が、微粒子問題を警告する結果をもたらす場合、いくつかの実施形態では、警告された問題を改善するために、装置及び手順の操作者にフィードバックすることを伴い得る、フィードバックループが存在し得る。数々の計測の実施形態が、測定結果が操作者にフィードバックされる、本発明の範囲内の技術を含み得ることは、当業者にとって明らかであり得る。
【0089】
ここで、図3を参照して、チャート300は、Etafilcon A(眼科レンズの製造に一般的に使用される反応性混合物)を含む、例示の反応性混合物における放射線の透過率と、放射線の周波数及び吸光度との関係を図示する。Etafilcon Aは、重合下で固形及びゲルの一方又は両方を形成することができる、モノマー成分を含む。また、Etafilcon Aは、より低い波長を含む帯域の紫外線を吸収する吸収体分子、Norblocを含む。放射線320の形成は周波数帯域として示されており、固定化放射線330もまた周波数帯域として示される。反応開始剤の吸光度は工程340として示されており、吸収体310はプラトー部分に示される。例示されるEtafilcon混合物中で、溶存気体酸素の存在は、阻害物質の役割を含む。したがって、反応性混合物は、固体及び液体成分の一方又は両方の混合物の配合の両方を含むことができ、溶存酸素濃度を制御する工程を更に含む。本実施形態の説明は例示であり、したがって、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0090】
反応性混合物を調製する手順では、発生混合物に実施される処理から、追加の実施形態が確定され得る。非限定的な実施例として、混合物は、真空環境にさらされてもよく、これは、特定の溶存気体種の脱離をもたらし得る。別の実施形態では、反応性混合物は、後続の化学線処理工程で使用される前に、多量の混合物を化学放射線への暴露にさらすことによって処理され、したがって混合物中の多重結合成分の度合い及び母集団分布が変化されてもよい。反応性混合物を処理して変化した特性をもたらすための数々の追加の実施形態が可能であり得、結果として生じる混合物は、眼科レンズ前駆体及びレンズを生成するという更なる目的において有用であることが、当業者にとって明らかであり得る。
【0091】
例示の放射線吸収はチャートに例示されており、ここでは、特定のボクセル要素上に向けられる化学線照射の波長が、反応性混合物に含まれる反応開始剤に積極的に吸収される波長域内であり、かつ吸収体の急速に変化する吸収域にある。また、非限定的な実施例として、反応性混合物は阻害物質を含むと考える。これは、実施形態を実施するための方法として提示されるが、本発明の範囲及び使用され得る他のモデルを限定する意図はない。
【0092】
微視的レベルでは、提示された例示的な実施形態は、入射化学線照射が、特定の要素内の化学放射線によって開始される化学反応が、高濃度の阻害物質がその促進を阻害する能力を超える速度で起こる非常に限られた局所域を、それ自体の周囲に画定するという特性を有し得る。いくつかの空間光変調器システムが、それぞれの個々の変調要素間に、変調要素と同一の方式で光を反射しない、「不感」空間としてのそれらの表面の部分を有するという事実のため、本実施形態では、形成光学機器表面上に形成される、結果として生じる材料は、隔離されたボクセルに基づいた円柱状要素の形態をとり得、これは、いくつかの実施形態では、互いと結合しない場合があることが明白であり得る。他の実施形態は、架橋材料の重なるボクセルを含むことができる。
【0093】
化学放射線を形成光学機器に向けるのに使用されるDMD又は他の装置の制御は、重合されたボクセルの空隙部に作用するために、したがって重合されたボクセル間の重なり又は分離の発生率に作用するために使用されてもよい。
【0094】
更に、いくつかの実施形態では、阻害物質の濃度は、化学線の照明パラメーターの所望のセット関して空間的伝搬に作用する場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、ボクセル要素は、ボクセル要素間のいずれかの境界が重なるように進む化学線活性を画定する。微視的基準でのかかる場合は、個々の円柱状要素は、近隣のボクセルが著しい強度条件を確定する照明条件で、互いに溶け込む傾向にあってもよい。いくつかの実施形態では、光学画像化システムは、個々の円柱状要素が混ざり合うのを促進するために、別の方法の実施形態のように、焦点がぼけるモードで稼動されてもよい。更なる実施形態では、空間中でのレンズ形成光学機器及びホルダの振動又は揺動移動は、ボクセル要素が互いに重なり、連続形状部を形成する、同様の効果を促進し得る。
【0095】
本発明の他の態様では、特定のボクセル要素の「DMDスクリプト」は、形成光学機器表面から離れたボクセル要素の深さに反応を生じさせる積分強度又は暴露時間を確定し得ることが明白であり得る。いくつかの特定の例示的な深さで、この条件は、反応度がゲル化点を確定する、反応性混合物の強度促進反応条件を含み得る。
【0096】
この深さより浅い深さでは、反応生成物は3次元態様を形成していてもよいが、しかしながら、この深さより深い深さでは、反応生成物はゲル化点に到達していない場合があり、生じたある程度のモノマー反応により、依然として周囲の発生反応性混合物より粘稠な構成成分の混合物を含む場合がある。
【0097】
かかる実施形態では、十分な体積の発生反応性混合物は、反応がゲル化点よりも高い度に発生している領域と、材料が、部分的反応と未反応の混合物であり得る、非ゲル化層を含む領域と、を含む場合がある。いくつかの実施形態の下で、この層のいくつかは、流動性レンズ反応性媒体と称されるものを含み得る。顕微鏡的レベルでは、それは反応性混合物の体積空間内に形成されるが、2つの鋳型部分間の全体の体積には必要ではない。
【0098】
他の実施形態では、「DMDスクリプト」は、ゲル化点を超えて反応したボクセル画定層に局所設計要素を画定するのに有用であり得る。この実体は、いくつかの実施形態では、レンズ前駆体形態と見なされ得る。非限定的な実施例として、幅方向の複数のボクセル要素、及び長さ方向の多くのボクセル要素であり、それが含む全てのボクセル要素における低積分強度特性を有する、DMDスクリプトに本質的に線形の特徴を組み込む効果を熟考する。実施例3に記載される実施形態を使用することによって、非限定的な実施例として、かかる線形特徴がレンズ前駆体形態内に物理的に画定されることが想定される。微視的スケールでは、近隣のボクセル要素は、いくつかの有意なレベルでレンズ前駆体形態における厚さを確定する強度を含み得る。線形特徴の第1の近隣ボクセル要素で、形成厚さは低下し、結果として、DMDスクリプト内に画定される線形特徴に関連する輪郭特徴をもたらす。
【0099】
ここで図4を参照すると、本発明のいくつかの実施形態に従って形成されたレンズ400が図示されている。この例では、レンズは、レンズにわたる複数のボクセル要素に延在する線形特徴440を図示する。推測の結果として、本発明の態様は、レンズの光学表面画定形状に加えて、画定され得る形状及び輪郭特徴の多くの異なる実施形態を含むことが明らかであり得る。可能な多くの実施形態の中で、例として、整合機能、隆起表面部分、及びレリーフにおける表面部分が存在し得る。追加の実施形態は、1つ又は2つ以上のプロファイル特徴、例えば、排出チャネル、本質的に放射状経路に沿ってレンズ前駆体形態の縁部に向かって延在する線形特徴を画定する輪郭特徴と、様々な形状及び寸法のウェル又は閉止された穴と、近隣の平均トポロジーと比較して上又は下である切形段差と、レンズ画定域のサブセットにわたる平坦域又は本質的に平らな特徴とを含み得る。これらの実施例は、形成工程手順と関連し得ることが当業者にとって明白であり得る数々の実施形態のうちのいくつかである。
【0100】
ここで図5を参照して、レンズ形成装置500は光源520を含む。この光源520によって作り出される光は、定義された帯域内の波長であり、かつ、強度及び方向において空間的変化の光として生じる。いくつかの実施形態では、波長の定義された帯域は、レンズを形成するのに使用される反応性混合物のための化学放射線を含む。
【0101】
空間的強度制御器530又はコリメーターは光源320からの光を濃縮し、拡散し、並びにいくつかの実施形態ではコリメートし、光540のビームを作り、これは強度において高度に均一である。更に、いくつかの実施形態では、ビーム540は、それぞれにデジタルのオン又はオフ値を割り当てることができる強度のピクセル要素にビームを分割する、デジタルミラーデバイス(「DMD」)510に衝突する。それぞれのピクセルにおけるミラーは、光を、2つの経路のうちの1つに反射する。「オン」経路、つまりアイテム550は、光子を反応性化学媒体に向かって導く経路である。
【0102】
反対に、いくつかの実施形態では、「オフ」状態は、アイテム516及び517として示される経路間にある、異なる経路に沿って反射されている光を含む。「オフ」経路は、光子を、それに向けられる光子を機能的に吸収し、ないしは別の方法で取り込む、ビームダンプ515に、衝突するように向けるために使用されてもよい。
【0103】
ここで再び「オン」経路550を参照すると、このオン経路に示される光は、実際には、「オン」値に設定され、ピクセル位置に対応する個々の経路に沿って空間的に向けられる、多くの異なる潜在的ピクセル値を含んでもよい。それらのそれぞれの経路550に沿ったピクセル要素のそれぞれの時間平均強度は、DMD510によって画定される空間的格子にわたり、空間的強度プロファイル560として示すことができる。あるいは、それぞれのミラーに衝突する一定の強度で、アイテム560は、空間的時間暴露プロファイルを示し得る。
【0104】
「オン」状態におけるピクセル要素は、それらの対応経路550に沿って向けられた光子を有する。いくつかの実施形態では、光ビーム、即ち光線は、焦点合わせ要素によって集光されてもよい。例として、光路550は、形成光学機器580の光学表面上の表面に実質的に垂直(normal)又は垂直(perpendicular)な方式でそれらが衝突するように、画像化されてもよい。画像化された光は、形成光学機器580通って、反応性レンズ混合物590を収容するリザーバ内へと進む場合がある。
【0105】
所与のピクセル位置に関連する光線の相互作用は、反応性媒体の体積、又はリザーバ590に収容される架橋可能な材料、及び形成光学機器580の周囲のオン状態のボクセル要素を画定する。反応性媒体の、この体積内の光子は、吸収され、それを吸収する分子内の化学線反応を促進し、分子の略周辺内のモノマーの重合状態変化をもたらし得る。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態に従って、ボクセルに基づいたリソグラフィシステムは、眼科レンズを形成するために使用されてもおい。そのような形成されたレンズの波面の表面の図式表示は、図4に図示される。
【0107】
いくつかの実施形態では、装置500の周囲を取り囲む、温度及び湿度を含む周囲環境を制御することができる。周囲気体環境の性質は、例えば、気体状窒素のパージを使用することによって制御することができる。パージを実施して、酸素分圧を所定のレベルに増加又は減少させることができる。また、湿度は、オフィス環境より比較的低いレベル等、比較的所定のレベルに維持され得る。
【0108】
個々の装置構成要素と相互作用することができる振動エネルギーのレベルは、いくつかの実施形態において制御され得る別の環境パラメーターである。いくつかの実施形態では、大きな塊状支持構造体は、相対低振動環境を画定する。他の実施形態は、能動振動支持体上に支持されるボクセルに基づいたリソグラフィシステム500のいくつか又は全てを含み得る。一般的に考えられる溶液を制限することなく、空気袋支援ピストンは、絶縁されたシステムへの振動伝達を大幅に減少させることができることが当該技術分野において周知である。振動絶縁の他の標準的手段もまた、本発明の範囲に従い得る。
【0109】
装置の環境内の微粒子は、生成物レンズ前駆体及びレンズへの組み込みを含む、様々な種類の望ましくない欠陥モードをもたらし得る。例えば、光学機器経路内で、微粒子は、1つ又は2つ以上のボクセル要素の実際の強度を変調する、及び又は特定のミラー要素の機能に影響を与える可能性がある。これらの理由のため、少なくとも、環境内の微粒子状物質を制御する手段を提供することは、本発明の範囲内である。これを達成するための一実施形態の一実施例は、装置本体の環境内への高性能微粒子エア(HEPA)フィルタの組み込み、及び装置の暴露される部分内で層流様式を確立するのに十分なフィルタに空気を透過させる手段であり得る。そうは言うものの、装置内及びその周囲の微粒子レベルを大いに制限するいかなる実施形態も、本発明の意図される範囲内である。
【0110】
本発明に従う光学装置のための詳細な環境支持体の別の態様は、周辺光及びそれを制御するための方式を含む。いくつかの実施形態では、間接照明は、化学放射線を提供し、したがって漂遊光子エネルギー源を制限することが賢明である。
【0111】
したがって、いくつかの実施形態では、装置500は、前述される環境要求事項に従う不透明な材料内に封入することができる。好ましい実施形態は、装置の作動部分が汚染環境照明に暴露されるのを防止するのに十分であり得る、フィルタ処理した光源を装置の環境内に使用すること採用してもよい。
【0112】
ここで、図6を参照し、強調形態600に示される光源を熟考する。光エネルギーの具体的な態様は、いずれかのリソグラフィシステムの基本的な態様と見なすことができ、ボクセルに基づいたリソグラフィ光学装置を使用する本発明の実施形態では、システムの光源の性質は、重要であり得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、光源620が狭いスペクトル帯域の光を提供することが望ましい。例示的な光システム600の構成要素は、前記狭いスペクトル特性を達成する手段を提供する。好ましい実施形態では、光源は、環境支持体及び筐体610内に存在する、発光ダイオード620を含む。例示的な目的のために、いくつかの実施形態では、発光ダイオード源620は、Digital Light Lab Inc.(Knoxville,TN USA)のコントローラを有するモデル、AccuCure ULM−2−365光源を含むことができる。このモデルは、約365nmを中心とする狭い帯域の光を放出し、更に、約9nmの半値全幅の特性を有する。したがって、この市販されている光源構成要素は、更なる装置なしで、既に所望の狭い帯域の光を放出する。また、いずれかのLED又は他の類似特性を有する発光製品が利用されてもよいことが明らかであり得る。
【0114】
別の方法としては、また、例えば、炭素アークランプ又はキセノンランプ620等、より広いスペクトルの光源も使用され得る。この別の方法では、広帯域源620を利用することができる。光は、環境コンテナ610から放出され、光源620上に配置されるフィルタホイール630を通って進む。フィルタホイール630は、異なる動作位置に複数の異なるフィルタ631を含むことができ、これらのフィルタ631は、例えば、365nmを中心とし、類似する10nm性能の半値全幅を有する光を透過する帯域通過フィルタを含み得る。本実施形態では、フィルタホイールは、フィルタホイールを異なるフィルタへ動かすことができる電動式作動装置610によって作動させることができ、したがって、例示的なボクセルリソグラフィシステム実施形態500が、複数の選択可能な波長で動作できるようにする。
【0115】
数々の別の実施形態は、フィルタ631が、広帯域光源620に近接して固定方式で実装され、適切な実施形態を提供し得るという、非制限的な観点を含む事実を容易に導き得ることが明らかであり得る。別の態様では、複数の波長能力は、異なる波長に対して個々に作動される環境610内に複数のLED光源620が存在する、別の実施形態から導かれ得る。
【0116】
より一般的に、いくつかの実施形態は、様々な種類のフィルタを有するか、又は有さない、例えば、白熱灯、レーザー、発光及び他の類似製品を含む様々な光源を含み得ることが明白である。更に、いくつかの実施形態では、制御されたスペクトル帯域内の光を放出することが可能であり得る光源を利用することができ、これは、本発明の範囲内である。
【0117】
光源600は、更に、安定、均一、かつ比較的強烈であるという特性を有してもよい。いくつかの好ましい実施形態では、AccuCure LED光源620は、強烈な光を出力し、期間にわたって安定した強度を維持するために、内部監視フィードバックループを含む。
【0118】
光源620は、定義されたデューティーサイクルで源をオン及びオフに変調することを含む、制御された方式で強度を変調するための手段を含むことができる。したがって、総合期間にわたり、強度制御のこのモードは、選択可能な時間平均強度レベルをもたらす。あるいは、追加の動作実施形態では、LED源は、非時間依存性レベルの放出される強度に対して強度の変化が生じる電圧制御動作モードを介して、強度を変調することができる。
【0119】
いずれかの光源構成要素620の出力の安定性に関して、光源の環境内の追加の特徴は、追加の実施形態定義を含み得る。本態様の実施例は、冷却システムを介する温度制御手段を含むことができる。他の環境制御は、本発明の意図に従う、異なる実施形態定義を含んでもよい。
【0120】
異なる態様では、光源装置600は、強度を変調するための別の実施形態を提供する。個々の光源620は、所与の強度を放出するように動作してもよく、フィルタホイール630は、電動式要素610によって、減光フィルタ631を用いて放出される光を遮断するように作動されてもよい。したがって、ボクセルリソグラフィシステム500の残りの部分に提供される光の強度は、より低い強度に変調される。一般的な観点から、個々の光フィルタ631の設計は、数々の自由度を伴い、それ自体で、異なる実施形態態様を含み得ることが留意され得る。非限定的な実施例として、フィルタは、本体を通る1つの経路に沿って別の経路より高い強度を確定するように、空間的に画定される方式で、強度を変調するように設計されてもよい。第2の非限定的な実施例では、フィルタホイールは、DMDの動作と同期化され、それによってそれぞれのフィルタホイールセグメントの密度値によって確定されるピクセル及び強度を調整できるようにする方式で、強度を変調するように設計されてもよい。これらの動作モードを組み合わせることによって、別の実施形態が提供され、また、これまでに記載されたように特性の光強度を制御するいかなる手段も、本発明の範囲内であることが明白である。
【0121】
いくつかの実施形態では、フィルタホイール630は、それが光学システム500の残りからの照射を遮断するように、フィルタ要素631を閉じることができる。下流光学機器構成要素の安定性及び寿命を含む、かかる機能を組み込むことの数々の利点が存在し得る。更に、いくつかの実施形態では、光源構成要素620の安定性は、連続的に動作させる場合に改善され得る。遮断フィルタ631は、光源600からの光をなくす必要がある、動作システムの残りの部分の工程を実施する手段を可能にし得る。フィルタホイール630の特定の位置が記載されてきたが、実施形態は、光学経路に沿った、他の適切な位置を含んでもよい。
【0122】
他の態様において、いくつかの実施形態では、ボクセルに基づいたリソグラフィ光学装置は光を均質化する及び/又はコリメートすることを含んでもよい。本装置は、光源520の光出力を受け取り、強度がより均一であり、DMD 510上に集光される、出力放射線540を生成するように設計される。
【0123】
ここで図7を参照すると、いくつかの好ましい実施形態が示されている。上記のように、装置は光源520からの光をコリメートすることができ、かつその光を強度に対して均質化することもできる。いくつかの特定の実施形態は、光学構成要素に取り付けられて、光源620を出力のコリメーションを実施するために、AccuCure 365nmのLED光源620を含む。
【0124】
コリメート装置は、コリメーション構成要素及び均質化構成要素を含んでもよい。好ましい実施形態では、光は、光源620によって十分にコリメートされ、700内へ進み、一組のおよそ2.54cm(1インチ)の集光光学機器710に衝突する。光学710は、CVI Laser,Inc,(Albuquerque,NM USA)から入手可能なレンズ構成要素を含んでもよい。
【0125】
1つ又は2つ以上のレンズ710は、源光を光パイプ720の上で集光するために使用されてもよい。光パイプ720は、入射光を均質化し、空間的強度における不均一性を平滑化する役割をする。光パイプ720は、UV等級アクリル材料で作製される、六角形状の光学機器パイプを含んでもよい。代替の実施形態は、源光の空間的均一性を均質化するための光学装置を含んでもよい。
【0126】
光パイプ720からの均質化された光出力は、この場合も同様に、例えば、CVI Laser Inc.(Albuquerque,NM USA)から入手可能な種類の、容易に入手できる等級の光学機器要素730によって集光される。集光された光は、開口絞り740を通って、一組の約5.08cm(2インチ)の集光要素750に進む。この場合も同様に、これらの集光要素は、例として、Thorlabs Inc.(Newton NJ USA)から入手可能であり得る、標準的な容易に入手できる等級の光学機器である。ここで、集光光学機器750の目的は、光を、デジタルミラーデバイス(DMD)510における光焦点位置に向けることである。これは、ボクセルに基づいたリソグラフィシステムの照明セクション内の光路で完了する。所望の中心波長及びスペクトル帯域幅の強烈かつ均一な光でDMD 510を照射することにおける同様の目的を達成するために、コリメーター及びホモジナイザー構成要素の態様を変更し得る、数々の実施形態が存在し得、これは、本発明の範囲内である。
【0127】
好ましい実施形態では、照明システムアイテム520及び530は、Texas InstrumentsのDigital Mirror Device 510を含む能動素子上及びその周囲だけに光(図8の800で820として識別される)を付与する。好ましい実施形態で使用されるDMDは、DLi(Digital Light Innovations、Austin Texas,USA)から入手可能なDMD Developer Kit:DMD Discovery 3000を用いて入手された。キットは、対角線1.78cm(0.7インチ)、任意選択のUV透過窓を有するTexas Instruments DLP(商標)XGA DMDチップ(768×1024個のミラー)を有する、A DLi DMD Discovery 3000ボードを含む。また、コンピュータからD3000へのリンクとしての機能を果たすために、D3000ボードと一緒になったALP−3高速光処理ボードが含まれる。これらの構成要素は、共に、ボクセルに基づいたリソグラフィシステムのこの好ましい実施形態の、画像化システム構成要素の図8の800の810を含む。TI DLP(商標)XGA DMDの詳細な説明は、DMD Discovery(商標)3000 Digital Controller(DDC 3000)Starter Kit Technical Reference Manualとして、TIから入手され得る。
【0128】
DMDデバイス810は、照明システムから出る光の強度の空間的変調を提供するように機能することができる。Texas InstrumentsからのDMDは、デバイスの活性領域の空間的格子内に単一アドレス可能位置を構成するマイクロミラー構成要素から光を反射することによって、デジタル方式でこの機能を実施する。したがって、DMD810から反射され、画像化システム800を更に下る光の強度は、それ自体は、変化せず、しかしながら、ミラーのデューティーサイクルをオン状態又はオフ状態に制御することによって、単一ピクセル位置から反射される時間平均強度を修正することができる。
【0129】
他の実施形態では、放射線をボクセル単位で制御するために、独国のFraunhofer Institut Photonische Microsystemeから入手可能なもの等の空間光変調器(SLM)を使用することができ、これは、強度の空間的変調機能810を含むことができる。SLMのミラー様の表面は、実際に、それぞれのミラーが、集積回路内にそれ自体の記憶セルを有する、複数の(即ち、数千の)極めて小さな移動可能なミラーで構成されてもよい。所望の強度プロファイルの画像がSLMに送信される際、個々のミラーは、屈曲されるか、又は平らなままである(マイクロミラーを回転又は傾斜させるTI DMDとは異なる)。屈曲したミラーから反射される光は、化学線に対して反応性の化学物質混合物を通過又は暴露しないように、散乱される。
【0130】
ここで、再び図8を参照すると、上述されるように、能動画像化要素DMD 810は、デジタル方式で光を処理し、2つの方向のうちの1つに反射する。オフ状態では、光の反射の経路は、化学線に対して反応性の化学物質混合物の位置を決して向かないことが意図される。確実にするために、外れる方向に向けられる光は、決してこの経路を向かず、画像化システム800の一部は、光ダンプ830を含むことができる。このダンプには、その上へのいかなる入射光も大幅に吸収し、ダンプ自体の更に深くへのみ、反射する、吸収性の高い表面が含まれる。好ましい実施形態では、非限定的な実施例として、これらの表面は、Hoya Inc.(日本東京)から入手することができる、吸収性NDガラスシートを含む。
【0131】
「オン」位置にあるミラー要素から反射される光は、異なる経路をとり、集光要素840に向かう。他の光学機器と同様に、これらの約2.54cm(1インチ)の集光レンズは、容易に入手できる構成要素であり、例えば、Thorlabs Inc.(Newton NJ USA)から入手可能であり得る。これらの集光レンズ840は、反応性モノマー混合物の光反応が生じる形成光学機器上への物体としてのDMD 810から発する「オン」状態の光を集光する。
【0132】
いくつかの実施形態では、光学機器経路の状態を、生成されるレンズの結果から推測するより、直接画像化及び監視する手段を提供することが望ましい。ボクセルに基づいたリソグラフィ光学装置の好ましい実施形態では、この直接監視のための対策が提供される。形成光学機器580上に集光され得る光は、ビーム経路内へ、又はその外へ切り替えることができるミラー850によって遮られる。そのように向けられる光は、次いで光検出画像化装置860上に入射する。
【0133】
ここで、図9を参照すると、形成装置900の構成要素は、ビームを反応性混合物の最終的な目標領域に衝突させる。上述されるように、いくつかの実施形態では、この光は、形成光学機器930自体の表面に対して垂直配向に集光されている。900に図示される実施形態では、光は、形成光学機器930の表面にほぼ垂直に衝突し得る。別の実施形態では、レンズは、前記レンズの形成光学機器930に対する的確な配向を維持し得る、921として示される保定リング又は他の締結デバイスを介して、適切な位置に保持することができる。広義の観点から、本発明は、光が光学表面930にわたるボクセル単位を通る経路に関連する数々の実施形態を含むことに留意されたい。
【0134】
図9を続けると、リザーバ及び形成光学機器の光ビームに対する相対配向は重要であるため、いくつかの実施形態では、アイテムの相互作用、つまり形成光学機器保定部材970と反応性モノマー混合物950を収容するリザーバとの相互作用によって示されるように、それらの相互連結位置の機構が画定されてもよい。また、これらの2つの部材間の整合は、リザーバ950を形成光学機器表面930の中心に置くための正の制御も提供する。また、位置制御は、いくつかの実施形態では、離間リング951の機能を用いて向上され得る。同様に、この離間は、リザーバ950に添加され得る反応性モノマー混合物体積を制御する。
【0135】
また、図9は、反応性モノマー混合物の近隣の周囲気体の制御に関連する追加の実施形態態様を示す。いくつかの実施形態では、酸素の存在は、モノマーの光化学を修正し、光生成フリーラジカルのスカベンジャとしての役割を果たす可能性があるため、いくつかの実施形態では、リザーバ950を取り囲む気体から排除する必要がある。これは、図9の900では、収容容器990によって達成される。窒素等の不活性気体を960を通して流すことによって、酸素は、環境から排除され得る。更に別の実施形態では、酸素レベルは、収容容器990を通って流れる気体960内のその希釈物を制御することによって、あるレベルに維持され得る。気体質量流コントローラを使用することによって気体960内の酸素の一定の希釈物レベルを達成する標準的手段は、周知の技術であり、本発明の趣旨内の実施形態を含む。
【0136】
反応性混合物を収容するリザーバ950は、適切な体積の前記反応性混合物の充填されなければならない。いくつかの実施形態では、この充填は、形成光学機器930がリザーバ950に関連して配置される前に実施され得る。他の実施形態では、形成光学機器930及びリザーバ950は、収容容器990の内部に定置され、気体流960によるパージが行われてもよい。また、使用前の反応性混合物の濾過が採用されてもよい。その後、反応性混合物体積945は、リザーバ950に定量的に充填されてもよい。
【0137】
手での充填、自動手段による定量的な流体移送、又はレベル検出器がリザーバ950内の反応性混合物945の適切なレベルを測定するまでの充填を含む、反応性混合物945を移送するための数々の手段が存在し得る。一般的な観点から、適切な量の反応性混合物945を移送するための数々の実施形態が実用的であり得、かかる技術は、十分に本発明の範囲内であることが当業者にとって明らかであり得る。
【0138】
光処理工程において酸素のレベルが決定的に重要である実施形態では、酸素は、溶存種として反応性モノマー混合物945内に存在し得ることが明白であり得る。かかる実施形態では、反応性モノマー混合物945内の酸素濃度を確立するための手段が必要となる。この機能を達成するためのいくつかの実施形態は、混合物をパージ気体960が通って流れる気体環境中に滞留させることを含む。別の実施形態は、モノマー混合物の供給物中の溶存気体を真空パージする工程と、混合物の分注中に、分注される液体と気体との膜交換によって所望の量の酸素を再構成する工程とを含み得る。本発明の範囲内で、適切な濃度の必要とされる溶存気体を確立するためのいかなる手段も許容可能であることが明白である。更に、より一般的な意味で、他の材料は、溶存酸素の存在下又は不在下で、適切な阻害物質としての役割を果たし得る。更により一般的な観点から、阻害物質の適切なレベルを確立し、維持するための装置を含む実施形態は、本発明の範囲内であると予測される。
【0139】
ここで、再び図10を参照すると、形成光学機器並びにその保持及び位置決め装置1000の例示的な形状が図示される。形成光学機器を保持する構造体は、平らなガラスディスク1040を含むことができる。形成光学機器は、光学的に整合性のある接着剤1020の手段によって、ディスクと形成光学機器との間を確実に整合させるためのアセンブリ治具を使用して、位置決め及び締結することができる。ディスクの平らな表面は、垂直方向の正の配向を提供し、一方、位置決めノッチ1030及び図示されない他の平らな表面は、放射状及び水平配位置御を可能にすることができる。
【0140】
ここで、図11を参照すると、ディスク1000は、リザーバシステム1100と係合する。平らな表面は、3つの係合表面1130上にある。いくつかの実施形態は、アイテム1030にしっかりと係合し、位置決めする、バネ仕掛けの位置決めピン1120を更に含んでもよい。2つの静止位置決めピン(図示せず)は、形成光学機器アセンブリ上の2つの他の平らな表面を嵌合し、組み合わせは、全ての自由度で、形成光学機器アセンブリを運動学的に位置決めするように作用し、したがって形成光学機器を光学光路内に位置決めする、繰り返し可能かつ安定した手段を確実なものにする。また、いくつかの実施形態では、反応性モノマー1110を収容するためのリザーバも含むことができる。より一般的な観点から、当業者にとって明らかであり得る、形成光学機器を中心に置くため、かかる光学機器を反応性混合物を収容するリザーバに隣接して位置決めするため、及び1つ又は2つ以上のかかる機能を周囲制御環境内に位置決めするための方法の本明細書に開示される本発明技術に従う、数々の実施形態が存在し得る。
【0141】
形成光学機器1010は、所望のスペクトルの化学放射線に対して、少なくとも部分的に透過性である。したがって、様々な実施形態では、形成光学機器1010は、例として、石英、プラスチック、ガラス、又は使用される反応性モノマー混合物を硬化させるように動作可能である光波長に対して透過性である他の材料の1つ又は2つ以上を含み得る。形成光学機器1010の形状は、形成光学機器1010を通過する形成化学放射線から生じる重合を介して表面1011に沿って形成される、レンズ又はレンズ前駆体に付与される特性を有する、表面1011のうちの1つを含むことが更に留意され得る。数々の形状実施形態は、本明細書の本発明技術を含み得る。
【0142】
形成光学機器1010の設計及び特性に採用され得る様々な実施形態内で、前記部品の個々の実施例は、例えば、その在庫材料、製造、使用履歴、及び/又は他の原因に関連する、固有の態様を有し得る。これらの態様は、ボクセルリソグラフィシステム500の全体機能と相互作用して、又はせずに、目的とする最終生成物を達成するために必要とされる、ボクセル単位強度プロファイルの固有の光学的オフセット値を生成する。したがって、いくつかの実施形態は、形成光学機器1010を調整し、それらを維持し、それらを追跡するための手段を採用し得る。例示的な理由から、一実施形態は、形成光学機器部品1040の平らな表面上の識別マークを機械可読フォーマットに符号化するためのものであってもよい。追加の実施形態は、機械可読性のために、例えば、識別マークと共に取り付けられた無線周波数識別デバイスを含むことができる。本発明の意図を含み得る、個々の形成光学機器部品1040を識別するための数々の他の実施形態が存在し得る。
【0143】
ボクセルに基づいたリソグラフィ光学器具500の産出生成物は、数々の実施形態を含み得る。一実施形態では、900に示されるように、反応性生成物940は、形成光学機器930の表面上に形成されるが、残留反応性化学物質混合物945内に依然として存在する。反応性生成物940と共に形成光学機器930を化学物質混合物945から引き離す行為は、装置の追加の実施形態を含み得る。いくつかのかかる実施形態では、形成光学機器930及び接着する反応性生成物940は、例えば、ロボット自動化の行為の下、化学物質混合物945から外へ持ち上げられてもよい。
【0144】
ここで、図12の1200を参照すると、流動性化学物質除去装置の実施形態のいくつかの態様の略図が示される。ここで、形成光学機器1250に取り付けられ、整合プレート1260がそれに取り付けられた、レンズ前駆体が示される。組み合わせは、レンズ前駆体の表面が下方を向く実施形態として示される。流動性レンズ反応性混合物1240は、重力を含む様々な力の下で移動する。浸出毛管1210は、流動性レンズ反応性混合物1240に近接して、レンズ表面に沿った低点に溜まった流動性化学物質の周囲及びその中に配置される。好ましい実施形態では、浸出毛管は、SafecritのモデルHP8U Untreated Plastic Microhematocrit管から作製されたポリマー浸出モデルを含んでもよい。別の実施例として、また、毛管は、ガラス、金属、又は流動性化学物質除去の物理及び化学/材料要求に従う他の材料を含んでもよい。
【0145】
流動性化学物質1240は、毛管1210に引き出され、レンズ前駆体から引き出される体積1241を形成する。一実施形態では、プロセスは、何度も繰り返され得る。処理後、レンズ前駆体1200は、レンズ前駆体形態1750に接着する、減少した量の流動性レンズ反応性混合物と共に残存する。
【0146】
流動性レンズ反応性混合物の様々な態様は、例えば、流動性レンズ反応性混合物内の粘度がより低い構成要素が分離及び除去され得ることを含む、この処理によって影響され得る。化学物質除去プロセスが実施され得る方法に関する、多くの異なる任意選択の実施形態が存在し、全てが本発明の範囲に従うことは当業者にとって明白である。
【0147】
広くは、任意選択の実施形態は、化学物質を表面から引き出すための数々の物理的設計を含み得る。異なる実施形態の一実施例は、流動性レンズ反応性混合物1240を引き出すことを助長するために、真空システム構成要素1220を作動させることであり得る。非限定的な実施例として、別の実施形態には、形成光学機器表面1250の形状を模倣する、それらの点に配置される、毛管装置1210の重複する複製物が含まれ得る。更に、化学物質除去は、一実施例として、スポンジのような高表面積材料、又は高表面積を有するナノスケール材料を用いて実施することができる。前述される概念を再記述すると、別の実施形態は、形成光学機器930上のレンズ前駆体を反応性混合物945から引き抜く速度を制御する工程を含んでもよい。本実施形態では、表面張力は、毛管浸出工程との類似性を有し、レンズ前駆体がもたらされる際の流動性レンズ反応性混合物1710の残存量の減少をもたらす、化学物質除去の形態を含み得る。一般的な観点から、流動性レンズ反応性混合物1240の一部を除去する機能を実施することができる装置の数々の実施形態は、本発明の範囲内の技術を含む。
【0148】
好ましい実施形態では、真空システム構成要素1220は、上記に定義した機能とは別の機能を有する。複数のレンズ前駆体の処理では、化学物質除去装置1200は、何度も化学物質除去を実施する。真空システム構成要素1220は、毛管装置1210を洗浄するため、及び空にするために使用され得る。異なる実施形態は、真空システム構成要素1220と併せて、毛管装置1210を通って流れるクレンジング溶媒を含んでもよい。
【0149】
概して、図12に示される実施形態1200は、化学物質除去システムがどのように機能することができるかを図示し、これは、関連する構成要素の詳細及び拡大図に焦点を当てる。比較して、図13は、好ましい実施形態に採用される器具及びいくつかの代替物の両方の説明を助けるために、化学物質除去システム1300実施形態のいくつかの実施形態のより全体的な図を示す。図13の1300は、毛管除去構成要素1305と、形成光学機器上に実装されたレンズ前駆体と、直下を向くレンズ前駆体を有する、類似する構成の形成光学機器プレート1306と、を含む。
【0150】
ここで、再び図13を参照すると、浸出毛管1306の定置は、別の実施形態では、形成光学機器レンズ前駆体1305の中心、つまり中心点から外れた位置に位置決めされ得ることが明白であり得る。アイテム1330は、毛管の形成光学機器に対する中央整合をオフセットするために調節が行われる、xy換算表の単一次元を示す。例として、1330は、好ましい実施形態の手動バーニア調節形態で示される。しかしながら、調節は、例えば、ステッピングモータを含む自動化によって実施されてもよく、より一般的に、XY換算表の位置での自動化器具の様々なレベルの精度向上が本発明内であると予測され得ることが、当業者にとって明らかであり得る。より一般化し、かつ以下の記述を簡略化するために、装置のいずれの移動能力も、考えられる実施形態と同様の自由度を有し得ると考えられ得る。
【0151】
アイテム1320、つまり形成光学機器保持装置は、形成光学機器を所望の安定した位置に柔軟に保持するための装置を含む。本実施形態では、前述において1000として示される形成光学機器部品は、ボクセルに基づいたリソグラフィ装置500内に位置決めされる際と類似する位置スキームを採用し得る。別の実施形態は、形成光学機器保持装置1000を自動化手段の下で移動できるようにし得る。形成光学機器を保持し、それを流動性化学物質除去装置内の適切な位置に固定する方式の数々の代替方法が、本発明に従う態様を含むことは明白である。
【0152】
これまでの記述は、概して、形成光学機器の軸が、水平面に対して垂直であり、重力の方向となるように位置決めされる実施形態を示してきた。別の実施形態は、この垂直配向を中心にある角度で軸を回転できるようにし得る。アイテム1350は、形成光学機器軸と重力がなす角度を変化させるための調節手段を含む。かかる変化の基本的な効果は、レンズ前駆体上の流動性物質1710が形成光学機器の中心から外れた位置に溜まる傾向となることである。いくつかの実施形態では、中心から外れた位置に流動性媒体を引き出す利点が存在し得る。
【0153】
図13に示される多数のアイテムは、毛管浸出装置1306のレンズ前駆体上の流動性媒体に対する垂直方式の位置に関連する。例えば1340は、垂直軸に沿って浸出毛管1306に取り付けられたステージを移動させることによって、この次元の総調節又は粗調節することを含み得る。更に、1345は、同一の移動可能性における微細レベルの調節を含む。同一の軸に沿って、形成光学機器実装ステージ1310を毛管浸出装置1306に対して調節することが同等に可能である。アイテム1370は、この目的のための微調節装置を含む。
【0154】
ここで図14を参照すると、固定化放射線1460の源は、ボクセルリソグラフィ光学システム520の文脈で前述されるものと類似の光源を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、Digital Light Lab Inc.(Knoxville,TN USA)のコントローラを有するAccuCure ULM−2−420光源1460は、固定化放射線1461の許容可能な源を構成してもよい。安定化のために適切なパラメーターが実施された後、固定化光源1460のコントローラは、レンズ前駆体及び周囲を固定化放射線1461に暴露し、一実施形態の眼科レンズを形成する、オン位置に切り替えられる。一般的な観点から、レンズ前駆体形態1730表面にわたる流動性レンズ反応性混合物を安定化ないしは別の方法で移動させ、次いでいくつかの方式で固定化放射線で照射する工程に関連する数々の実施形態が存在し得る。
【0155】
例として、固定化装置内で処理するためのいくつかの別の実施形態は、流動性材料がウォッシングシステムで洗い落とされている場合がある、レンズ前駆体形態を含み得る。固定形態のこのレンズ前駆体形態が、それ自体で特定の特性のレンズを含み得るため、安定化装置自体を必要としない方式で固定化装置を使用することを伴う実施形態を予測することは、本発明の範囲内である。より一般的な意味で、本発明は、固定化装置が、流動性材料を固定される表面上に事前に流す必要のない材料を固定し得る、材料及び形態の数々の実施形態を予測し得る。例として、ボクセルに基づいたリソグラフィ光学システムを用いて形成され、流動性レンズ反応性混合物1710が洗い落とされたレンズ前駆体形態は、依然として、固定化装置がレンズ前駆体をレンズに固定することができる実施形態を含み得る。
【0156】
いくつかの実施形態は、流動性レンズ反応性混合物1710を移動させるための別の方式を含む。例として、いくつかの実施形態では、流動性レンズ反応性混合物1710を含むレンズ前駆体表面を撹拌することによって、流動性レンズ反応性混合物1710の移動が可能となり得る。更に、例えば、いくつかの実施形態では、フィルム処理において一般的なスピンコーティング方式で、レンズ前駆体を、中心軸を中心にスピンさせることが望ましい場合がある。
【0157】
更に他の実施形態は、レンズ前駆体1410を、制御された方式で特定の距離にわたり降下させることによって、流動性レンズ反応性混合物1710が受ける重力を最小化する工程を含み得る。追加の実施形態は、上にレンズ前駆体1410、形成光学機器1420、及びホルダ1430が置かれる表面1450のレベルを変化させることによって、重力の影響を変えてもよい。異なる表面レベルによって、中心光学機器域内の流動性レンズ反応性混合物1710への力が変化し、移動を生じ得る。
【0158】
別の態様では、いくつかの実施形態は、流動性レンズ反応性混合物1710の化学又は物理変化を含み得る。例として、別の実施形態は、その流動性の性質を変化させる方式で、流動性反応性化学物質の中及び周囲に溶媒材料を導入する工程を含み得る。更に、前記添加材料は、レンズ前駆体系1700内の構成要素の表面エネルギー特性に影響を与え得る。流動性反応性化学物質1710の特性は、固定化とは異なる方式で流動性の性質を変化させるために、固定化照射(fixing irradiation)1461を使用することによって、部分的に変化されてもよい。流動性化学物質系の特性を変化させることに関連する、一般的な性質の数々の別の実施形態は、本発明の本質によって予測され得る。
【0159】
著しく基本的なレベルで、反応性化学物質混合物945の性質は、異なる結果をもたらすことができるように、装置の様々な実施形態と相互作用し得る。安定化及び固定化装置1400の性質、及び反応性化学物質混合物内の基本的な化学成分を変化させることに由来する実施形態の変形は、本発明の範囲内の実施形態を含むことが明白である。例として、これは、例えば、固定化放射線に採用される波長の変化を含むことができ、固定化放射線の前述の波長における柔軟性を有する装置の実施形態を導入してもよい。
【0160】
レンズ前駆体の材料が形成されたレンズの一部を含み得る際、安定化及び固定化装置内及びその周囲の環境制御は、重要な実施形態の態様を含み得ることが、当業者にとって明らかであり得る。例えば、例えばHEPAフィルタ処理した空気流を用いる、微粒子状物質の制御は、環境制御の一実施形態を含み得る。流動性媒体は、依然として化学放射線に対して感受性があるため、環境に入る漂遊光の制御は、追加の任意選択の実施形態を含む。同様に、湿度及び他の気体汚染物質は、レンズの品質に影響を与え得、これらの環境条件の制御は、別の実施形態を含み得る。当業者にとって明白であり得る環境制御の数々の態様は、本発明の範囲内の技術を含む。
【0161】
安定化及び固定化装置を用いていくつかの実施形態のレンズ前駆体を処理する工程の生成物は、眼科レンズと類似するか、又はその形態のデバイスを含み得る。多くの点で、この材料は、最終的な水和眼科レンズに直接関連する特性を有する。しかしながら、多くの実施形態は、レンズ安定化及び固定化の後、実体物を生成し、これは、依然として形成光学機器及びホルダ1430上にあり、非水和形態の実体に、様々な形態の計測が実施され得る。
【0162】
光学及び材料特性を測定することができる計測装置の実施形態の描写である図15が示される。計測は、前述の固定化装置1400を用いる処理の後にもたらされ得る「乾燥」レンズと、水和レンズとの両方に可能であり得ることが明らかであり得る。しかしながら、本実施形態は、好ましくは、依然として形成光学機器に取り付けられたままである、乾燥レンズの計測に焦点を当てる。図15を参照すると、乾燥レンズ1520は、依然として、形成光学機器1530及びその適切な保持構成要素1540に取り付けられたままである。一実施例では、この保持構成要素1540は、共に、レンズの中心軸を中心とする制御された回転運動を可能にする、一対のマウント1550及び1560に取り付けられる。
【0163】
いくつかの実施形態では、Keyence(日本大阪)によって製造されるモデルLT−9030等のレーザー変位センサ1510からのレーザー光1515の、レンズ試料1520の表面との相互作用は、試料1520、形成光学機器1530、及び保持クランプ1540が軸方向に回転する際に生じる。回転サーボモータ1570は、上に試料アセンブリが置かれる回転軸受運動ステージを駆動する。回転の安定性のために、レンズ試料アセンブリの質量の中心は、いくつかの実施形態では、可能な限り中心点の近くに設定される。ステージが回転する際、レーザー変位センサ1510は、レンズ1520の表面の軸リングに沿った複数の点の変位を測定する。ステージが1回転した後、変位センサ1510は、方位角方向に移動される。それぞれの移動は、レンズの表面の周囲に新たな円形輪郭を作り出す。本実施形態のプロセスは、レンズ表面全体の輪郭が描かれるまで繰り返される。レンズ試料1520のない特定の形成光学機器1530を測定することによって、形成光学機器の表面位置は、同等の球状表記形式で取得され得る。この結果を光学機器上にレンズがある結果から減算することによって、レンズ生成物の厚さマッピングがもたらされる。この場合もやはり、取り付けられたRFIDを介するか、又はいくつかの他の手段による電子フォーマットの形成光学機器の一意的識別は、装置の別の実施形態の形態を含んでもよい。
【0164】
この種類のいくつかの実施形態では、試料表面1520のセンサ1510に対する自由振動変位は、システムによって得られる変位測定値に重大な誤差を含む場合がある。そのため、振動減衰及び絶縁が含まれてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、振動効果を最小限にするために、振動絶縁マウント1590上に置かれる大きな支持テーブル1580を利用することができる。いくつかの実施形態は、他のものほど振動ノイズに対して感受性はない場合もあるが、しかしながら、一般的に言えば、検出器及び試料位置決め装置の様々な形態の周囲の環境への振動エネルギー伝達モードを最小化する様々な方法は、本発明の範囲内の実施形態を含む。
【0165】
他の実施形態は、レンズ特性を抽出するために、場合によっては、第1の記載されるレーザー変位センサに加えて、異なる測定システムを採用し得る。非限定的な実施例として、また、いくつかの実施形態では、形成されるレンズ本体の厚さを決定するために、Thorlabs Inc.(Newton,NJ,USA)から入手可能なShack−Hartmann Wavefront Sensorが使用されてもよい。
【0166】
一般的な観点から、一部において、及び例えば、屈折率、放射線吸収、及び密度を特性化するための技術を含む、本発明の範囲内であると予測される計測デバイスにおける、相当の多様性が存在し得る。また、例えば、粒子検出を含む、環境制御に関連する態様も、予測され得る。これらの様々な技術は、例示的な計測デバイス1500と同一の環境及び位置にあってもよく、又は別の実施形態では、汎用システム環境内又は外部に追加の位置を含んでもよい。
【0167】
特定の試料の生成に使用される特定の試料及び構成要素に関連する計測及び記号論理学的データの収集、記憶、及び通信は、本発明の一般的な実施形態の原理を含む。これらの様々なデータは、レンズ特性を制御するためのフィードバックループを確立するのに有用であり得る。例示的かつ好ましい実施形態では、レンズ試料1520のレーザー変位センサに基づいた計測装置1500からの出力は、算定システム内に記録及び記憶される。一実施形態1530では、個々の形成光学機器部品は、前記試料1520の生成に使用される前に、それに対して同様のレーザー変位計測が実施されていてもよい。データ算定システムを使用することによって、変位データは、レンズ試料、したがって生成されるレンズの厚さの表示を生成するために、いくつかの方式で処理され得る。
【0168】
算定システム内で、レンズ製作システムにおいて様々な構成要素の開始パラメーター設定点を提供するのに有用なレンズ試料の所望のモデルは、試料1520及び形成光学機器1530の変位データの操作と比較され得る。いくつかの実施形態では、モデル内の様々な位置点は、画像化システムの個々の構成要素に、好ましい実施形態では、ボクセルに基づいたリソグラフィ光学システム内の特定のボクセル要素にマッピングされるか、又はそれに関連付けられ得る。ボクセルのパラメーターを調節することによって、前の試料と比較して調節された性能を有する次のレンズ又はレンズ前駆体試料が生成され得る。計測及び様々な計算アルゴリズム、並びに装置の数々の実施形態内で、データの取得、処理、モデリング、フィードバック、及び通信の多くの別の実施形態が、本発明の範囲内の要素を含むことは当業者にとって明白である。
【0169】
いくつかの実施形態では、生成されたレンズ試料1520の厚さに関連する特定のシステムの計測データは、レンズ前駆体形態1720の輪郭に設計された整合機能を使用することによって、向上され得る。例示的な図4の400で、上述されるものと類似する方式で得られる厚さ計測が得られた。この400の他の記述は、本開示内の他の場所に行われるが、整合の実施形態を理解するために、440が熟考され得る。アイテム440は、レンズ試料1520の表面に、比較的深い輪郭陥凹を含み得る。かかる特徴の設計は、装置内の数々の処理工程を適応させるのに有用であり得る。一実施形態では、アルゴリズム又は計測データの操作によって、400に関連する信号が抽出又は認識され得る。かかる抽出は、整合機能440に関連する位置に近接するか、又はその位置に処理を提供する、様々な装置の部分を位置決めするのに有用であり得る。特にマーキング材料及び輪郭特徴の設計の使用を含む整合機能の数々の異なる実施形態が可能であり、本発明の範囲内の技術を含むことは、当業者にとって明白であり得る。
【0170】
計測システム1500によって生成される計測データを使用するいくつかの別の実施形態は、眼科レンズ生成システム全体又はその中のその様々な装置を診断及び制御するために、このデータを利用してもよい。非限定的な実施例として、形成光学機器1530の上述の測定値の記憶は、結果として、かかる測定値の履歴をもたらし得る。別の計算及びアルゴリズム処理によって、表面の特性は、経時的に比較することができ、急激又は一定のいずれかのこれらの特性の変化は、ある種の診断介入が必要であることを知らせるために使用されてもよい。かかる信号変化の多くの考えられる原因の一例は、形成光学機器が、その表面上にある種の表面スクラッチを受けたことを含み得る。追加の実施形態では、得られる計測結果に許容可能な限度を定めるため、及び自動化感知において測定値の有効な変化を知らせるための両方に、統計に基づくプロセス制御アルゴリズムを使用することができる。更なる追加の実施形態は、これらの知らせに自動化手段で対応するために、システム内に自動化のための手段を提供し得る。しかしながら、一般的な観点から、本発明の範囲は、システム全体を診断及び制御するために、例えば、システム1500からの計測データを使用する、これら及び数々の他の実施形態を予測する。
【0171】
これまでに記載された計測装置の実施形態は、概して、「乾燥」レンズ試料1520又はその形成光学機器1530の計測に関係し得る。より一般的な観点からは、しかしながら、同様の、又は追加の計測の実施形態は、全システム内の他の形態の特性の測定に由来し得る。非限定的な実施例として、「乾燥」レンズは、いくつかの実施形態では、続けて処理され、水和した状態となり得る。かかる新たに画定された試料1520の計測は、より一般的な実施形態の記述の一実施例を含み得る。更なる実施例は、レンズ前駆体試料1700に計測を実施する工程を含んでもよい。したがって、一般的な意味で、本発明の範囲内であると予測され、この種の眼科レンズ生成システム内の生成物を処理する、又は構成するのに使用される、様々な形態の材料に計測を実施するための数々の実施形態が存在する。
【0172】
ここで図16を参照すると、簡略化のために水和装置と称される、これらの工程を実施するための装置の実施形態が1600で示される。装置には、水和用流体1610を収容するための容器が含まれる。レンズ1630及び形成光学機器ホルダ1640が浸漬される流体浴1620、及び浴を一定の温度に維持するための熱制御ユニット1650。
【0173】
好ましい実施形態では、流体浴1620には、表面活性剤が添加された脱イオン(DI)水が含まれる。当該技術分野において予測され、本発明の範囲に従う、この浴の数々の実施形態が存在する。別の実施形態では、流体浴1620には、脱イオン水及び表面活性剤との混合物である場合がある、有機アルコールの混合物が含まれてもよい。したがって、容器1610のいくつかの実施形態には、水又は有機アルコール類の体積の収容、及びまた、温度制御ユニット1650と流体浴1620との間での熱エネルギーの透過に従う材料が含まれ得る。一般性の観点から、レンズの水和及びクレンジングの範囲内に含まれ、本発明技術の実施形態を含み、容器の材料、容器の設計、並びに容器を充填する、及び空にする手段を含む、数々の別の実施形態が存在し得る。
【0174】
いくつかの実施形態では、浴の温度は、水和、クレンジング、及び取り出し動作を加速するために上昇される。かかる一実施形態では、温度は、内部感知装置1650を有するホットプレートの存在によって維持され得る。より高度な実施形態は、別の照射及び導電性材料並びに装置を含む、流体を加熱するための別の方式を含み得る。また、追加の実施形態は、浴温度を監視し、それを温度帯内に制御するための異なる方式を含み得る。更なるより高度な実施形態は、流体浴の温度をその時点で変化させる又はプログラムする能力を含むことができる。本発明の範囲内の実施形態を含む、水和浴の温度を制御するための数々の実施形態が存在することが、当業者にとって明らかであり得る。
【0175】
レンズ1630、及び形成光学機器1640の流体浴への暴露が進行し、レンズが水和される際、いくつかの実施形態では、レンズ本体は、膨張し、最終的に形成光学機器1640から分離する。したがって、いくつかの実施形態は、アセンブリの分離したレンズを捕獲し、適切な保管及びパッケージング手段に入れる手段を含んでもよい。更なる実施形態は、分離したレンズを位置決めし、流体浴媒体1620から採取する工程を含んでもよい。あるいは、実施形態は、レンズを流体から隔離するために、排出プロセス中に、前記流体浴媒体1620を濾す能力を提供し得る。一般的な観点から、レンズを位置決めし、それを保管手段に入れるように取り扱う数々の方式は、本発明の範囲内に従う実施形態を含む。
【0176】
ここで図17を参照すると、ボクセル1704基本によってボクセル1704上に重合によって形成されたレンズ前駆体1700が図示されている。いくつかの実施形態は、ボクセル重合によるボクセルによって形成されている、流体レンズ反応性混合物又は架橋可能材料1704を含む、レンズ前駆体を含んでもよい。形成光学機器、及び反応性材料のボクセル構造体によるボクセルが、反応性混合物のリザーバから取り除かれるとき、ボクセル構造体によるボクセル又はレンズ前駆体形態の表面に付着する粘稠材料が存在する場合がある。レンズ前駆体形態と、眼科レンズデバイスの部分内への更なる処理後に、その上に形成することができる流動性レンズ反応性媒体1704との組み合わせは、レンズ前駆体を構成するものである。
【0177】
いくつかの実施形態では、レンズ前駆体は、3次元形状をとるが、しかしながら、吸収された反応性媒体の流動性の性質のため、実体は固定された3次元形状を有さない。
【0178】
レンズ前駆体は、第1表面1701も含んでもよく、これは、例えば光学品質表面を有する基材など、基材1705に沿って形成されてもよい。第1表面1701は、ゲル化点より上で少なくとも部分的に重合される第1架橋密度を有する媒体の部分を含む。レンズ前駆体1700は、第2表面1702(ほぼゲル化点又はゲル化点よりも低い点で硬化する、第2架橋密度を含む第2表面)を含む。
【0179】
いくつかの実施形態では、流動性レンズ反応性媒体は、レンズ前駆体から除去されてもよい。非限定的な実施例として、流動性レンズ反応性媒体は、毛管現象によって除去されてもよい。いくつかの実施形態では、手順は、毛管現象の工程が実施される前に、流動性レンズ反応性媒体の一部が共に留まるように、滞留させる工程を含んでもよい。更なる実施形態では、レンズ表面は、表面軸が重力の方向に対して角度をなすように配置されてもよい。毛管に基づいた装置を用いて流動性レンズ反応性媒体を除去する方法に関連する数々の実施形態が可能であり得、本発明の範囲内の技術を含み得ることが明らかであり得る。
【0180】
他の実施形態では、流動性レンズ反応性媒体を除去する手順は、毛管浸出器具とは別の装置を含んでもよい。例えば、流動性媒体を除去するために吸収性表面を使用する工程を含む方法は、いくつかの実施形態を含み得る。追加の実施形態は、詳細に記載されたものではなくむしろ、多くの毛管点を有する装置を使用する方法に関連してもよい。更なる実施形態は、流動性材料を除去するために、レンズ前駆体をスピン処理する方法を含んでもよい。流動性材料の一部を除去するために装置を使用する数々の方法のいずれかは、当業者にとって明らかであり得るように、本発明の範囲内の態様を含み得る。
【0181】
レンズ前駆体の上面から材料を除去するための異なる種類の実施形態は、この目的のためにレンズ本体にレリーフ特徴を画定する方法を含み得る。これらの種類の実施形態では、前述項に言及される排出チャネル等の特徴は、比較的低い粘度の流動性媒体が流れ出すようにし、それによって比較的高い粘度の流動性媒体が流れ込むための勾配の低い空間を作り出すための位置を作り出すように設計されてもよい。更なる実施形態では、また、レンズ本体のスピンの使用は、材料が流れ込むためのレリーフ特徴を設計することと併せて、レンズ材料を除去する実施形態も含み得る。異なるレリーフ表面設計の様々な実施形態を含む実施形態はまた、本発明の範囲内の技術を含むことが、当業者にとって明らかであり得る。
【0182】
安定化の間、流動性レンズ反応性媒体は、様々な応力下で流れることができ、レンズ前駆体形態の表面に沿って低エネルギー及び比較的安定した状態であることを見出すことができる。
【0183】
微視的レベルで、前躯体形態の表面は、ある程度の粗度を局所的に有し得ることが明白であり得る。形成実施形態の数々の態様は、この粗度の性質、かかる場合の一実施例では、反応が開始する周囲で、比較的急激に反応を停止する阻害物質の影響を決定し得る。多くの実施形態では、流動性媒体の表面力、摩擦力及び拡散力、重力、並びに他の適用される力は、合成され、トポグラフィー上全体に流れた滑らかな被膜を生成する。これらの力を決定する手順には、本発明の範囲内の数々の可能な実施形態が存在する。
【0184】
いくつかの実施形態では、レンズ前駆体は、流動性レンズ反応性媒体が重力下で流れるように構成されてもよい。これを実施する方法は、流れるのを助長するために、レンズ前駆体を異なる配向に移動させる工程を含み得る。別の実施形態は、レンズ前駆体を、できる限り移動が少ない固定状態に維持することによる、逆の方策を含み得る。更に別の実施形態は、レンズ前駆体を軸を中心にスピンさせることに関連する力を流動性材料に適用する工程を含み得る。いくつかの実施形態では、このスピンは、レンズ前駆体の中央を中心とする軸を中心に実施され得る。別の実施形態では、前記スピンは、レンズ前駆体の上面が、軸点若しくはその逆、又はその間の無数の可能な配向のいずれかを向く間、レンズ前駆体を外軸点を中心に回転させる工程を含み得る。更に他の実施形態では、レンズ前駆体は、重力の影響を最小限にするために、自由落下環境で処理され得る。安定化方法中にレンズ前駆体に流動性力を適用することに関連する数々の方法が存在し得ることは、当業者にとって明白であり得る。
【0185】
他の実施形態では、流動性媒体の流動性の性質が、手順によって変性されてもよい。いくつかの実施形態では、流動性媒体の粘度は、希釈又は溶媒化の手段によって変化されてもよい。別の実施形態は、粘度を増加させるために、希釈剤の一部を蒸発させる工程を含み得る。ある程度の化学放射線への暴露は、前記流動性フィルムの粘度を変化させるための更なる方法を含み得る。流動性媒体の粘度を変化させる工程に関連する数々の実施形態が存在し得る。
【0186】
更に他の実施形態では、流動性レンズ反応性媒体上の表面エネルギーに関連する力は、手順によって変化されてもよい。いくつかの実施形態では、これは、表面活性剤を発生反応性混合物に添加することを含み得る。別の実施形態では、表面エネルギーを変化させるために、添加剤又は化学反応体がレンズ前駆体に添加されてもよい。
【0187】
ここで図18を参照すると、いくつかの実施形態では、レンズ前駆体1801の設計は、流動性レンズ反応性媒体の流体状態を促進するためのアーチファクト1802を含んでもよい。非限定的な実施例として、チャネル1802は、流動性レンズ反応性媒体をレンズ前駆体域から排出するための手段を含んでもよい。別の実施形態では、急激な輪郭の変化に関連する設計方法は、変化した安定状態を提供するための手順を含み得る。アーチファクトは、レンズ前駆体の領域によって支持可能な、ほとんどあらゆる変形例、形状、及び各種において形成されてもよい。いくつかの実施形態では、アーチファクト1803は、例えば1つ又は2つ以上の英数字などのマーキングを含む。他のマーキングは整合マークを含んでもよい。アーチファクト1802〜1803は、DMDスクリプトに従って形成される。
【0188】
一般的な観点から、これらの様々な実施形態の種類は、安定化を含む手順において、流動性レンズ反応性媒体の完全に安定した、若しくは部分的に安定した、又は不安定な性質を生成する方法の一般性を制限するべきではない。例えば、様々な実施形態の組み合わせ、前記手順の追加の実施形態が当該技術分野の専門家にとって明らかであり得る。
【0189】
安定化の手順が実施された後、いくつかの実施形態では、流動性材料に、アイテム133として示される次の手順種類、つまり非流動性状態に変換するための固定化が行われてもよい。いくつかの実施形態では、固定化方法中に適用される化学放射線の性質は、代替を含み得る。適用されるスペクトル帯域は、一種の手順の実施形態の一例であり得る。別の実施形態は、適用される放射線の強度を含み得る。別の実施形態では、固定化照射の様々な態様の適用は、時間依存性を含み得る。非限定的な実施例として、初期の波長帯域は、次いで異なる帯域に変化される、第1の刻みを含んでもよい。当業者にとって明らかであり得る、光条件を定義する方法の実施形態の領域は本発明の範囲内である。
【0190】
アイテム133のいくつかの実施形態では、固定化方法は、照射がとり得る異なる経路を含んでもよい。実施形態の種類の一実施例では、照射は、レンズ前駆体の前面上に生じてもよく、又は別の方法として背面を透過してもよい。更に他の実施形態は、いくつかが、レンズ前駆体実体に化学放射線の異なる効果を生成するように、おそらく異なる光特性を有する、複数の照射源に由来し得る。更なる実施形態は、放射線以外のエネルギー形態を含む固定化方法に由来し得る。一般的に、固定化工程を含み得る数々の方法は、本発明の範囲内である。
【0191】
いくつかの実施形態では、固定化が生じた後、レンズ前駆体130の処理が完了する。いくつかの実施形態では、この完成生成物は、更に処理される。この生成物種類は、図1のブロック120に示される技術の種類の良例、つまり前躯体の別の形成を含む。非限定的な実施例として、固定化の生成物がボクセルに基づいたリソグラフィ手順に導入され戻される場合、第2の層の処理が発生し得る。この複数の段階がある態様は、多くの任意選択の実施形態の手順をもたらす。
【0192】
いくつかの実施形態では、複雑なレンズ前駆体は、非限定的な実施例として、眼科レンズ表面が画定される第1の工程と、輪郭特徴が表面に追加される第2の工程とを含み得る、複数回の通過から形成され得る。手順の他の複雑な実施形態は、前述の実施例のいくつかのように、例えば、レンズ前駆体形態に沿った隔離されたボクセル列を生成する、条件付きのボクセルに基づいたリソグラフィシステムの第1の通過を含み得る。次いで第2のボクセルに基づいたリソグラフィ工程は、ボクセル列と異なる特性の材料との間の特徴を充填する工程を含み得る。続くシステムの第3の通過は、眼科レンズを画定し得る。それぞれが記載される多くの異なる可能な実施形態を有し得る、システムを複数回通過する一般的な手順は、全てが本発明の範囲内である非常に多くの異なる実施形態を含み得ることが明らかであり得る。
【0193】
いくつかの他の実施形態では、レンズ前駆体は、流動性反応性媒体をレンズ前駆体形態上に適用することによって形成され得る。例えば、ボクセルに基づいたリソグラフィ方法によって形成されるレンズ前駆体は、流動性レンズ反応性媒体を除去する極端な方法として、ウォッシングシステムにさらされてもよい。レンズ前駆体形態は、ウォッシング方法に由来する。いくつかの実施形態では、次に、このレンズ前駆体形態に対して、次の流動性レンズ反応性媒体をその表面に適用する方法が行われてもよい。いくつかの実施形態では、次の流動性媒体を表面に適用する手順は、アイテム117に記載される実施形態と類似する方法で、レンズ前躯体を浸漬し、除去する工程を含んでもよい。ここで、結果として生じるレンズ前駆体は、モノマー及び多重結合分子の異なる分布を有してもよく、又はいくつかの実施形態では、レンズ前駆体形態を形成するために使用されるものとは異なるポリマーの化学的性質を有してもよい。流動性レンズ媒体を様々なレンズ前駆体形態の実施形態上に適用するための手順を含む数々の実施形態が、本発明の範囲内の技術を含むことは当業者にとって明白であり得る。
【0194】
別の組の実施形態では、レンズ前駆体形態は、ボクセルに基づいたリソグラフィとは異なる手段により形成されてもよい。第1の非限定的な実施例では、レンズ前駆体形態を形成するための原理としてステレオリソグラフィを使用することによって、様々な実施形態が可能であり得る。いくつかの実施形態では、このステレオリソグラフィによって形成されるレンズ前駆体形態は、117の取り出し手順からの流動性レンズ反応性媒体を有し得るが、他の実施形態は、流動性レンズ反応性媒体をステレオリソグラフィによって形成された基部に適用する工程を含み得る。レンズ前駆体形態を決定し、次いでそれを言及された方法で使用するために、マスクに基づいたリソグラフィプロセスを使用することによって、別の実施形態が可能であり得る。更なる実施形態は、眼科レンズの製造に一般的な標準注型成型プロセス、及び次いで言及された方法でレンズ前駆体を形成する工程によって形成されるレンズ前駆体形態の使用を含み得る。レンズ前駆体形態を形成する数々の実施形態は、レンズ前駆体を形成する方法を含み得ることが明白であり得る。
【0195】
ここで図20を参照すると、十分な化学放射線への未反応の重合化架橋可能な材料の暴露によって、レンズ前駆体から形成されているレンズ2001が図示されている。実施形態は、重合された架橋可能な材料の複数のボクセルを含む第1部分2003と、架橋可能な材料のゲル化点より上で重合される、架橋可能な材料の層状体積を有する第2部分と、を含むことができる。
【0196】
化学放射線2004の源は、例えば、架橋可能な材料に対して化学線であるには十分な強度及び波長の放射線2005を生成する光源2004を含むことができる。いくつかの実施形態では、化学放射線は、光線の複数の源の点を含んでもよい(図示したとおり)。他の実施形態は、化学線を提供する単一の光源を含んでもよい。
【0197】
いくつかの実施形態では、形成された、又は固定されたレンズは、形成光学機器の表面に付着されてもよい。いくつかの実施形態では、レンズは水和されてもよい。水和は、例えば溶液(水溶液又はIPO溶液など)内での浸漬を含んでもよい。いくつかの実施形態では、水溶液は摂氏60度〜95度の温度に加熱されてもよい。
【0198】
いくつかの実施形態では、浸漬方法は、レンズ本体を洗浄し、それを水和させてもよい。水和のプロセスでは、レンズは膨張し、それが付着している形成基材から剥離してもよい。
【0199】
〔実施の態様〕
(1) 眼科レンズであって、
光吸収性成分を含む、重合された架橋可能な材料の複数のボクセルを含む光学ゾーン部分であって、前記光学ゾーン部分が、第1屈折率を含む第1領域及び第2屈折率を含む第2領域を含む、光学ゾーン部分と、
前記架橋可能な材料のゲル化点を超えて重合された架橋可能な材料の層状体積を含む、第2部分と、を含む、眼科レンズ。
(2) 架橋可能な材料の1つ又は2つ以上の更なる層状体積を含む、第3部分を更に含む、実施態様1に記載の眼科レンズ。
(3) 前記架橋可能な材料の層状体積が、ボクセル単位以外の架橋パターンを含む、実施態様1に記載の眼科レンズ。
(4) 第1部分が光吸収性成分を更に含む、実施態様1に記載の眼科レンズ。
(5) 前記第2部分がシリコーンを更に含む、実施態様1に記載の眼科レンズ。
(6) 前記第1部分が第1光学表面を含む、実施態様4に記載の眼科レンズ。
(7) 前記第2部分が第2光学表面を含む、実施態様6に記載の眼科レンズ。
(8) 第1部分が、化学放射線の複数の放射線への反応性混合物の暴露によって形成され、前記化学放射線の各放射線は、1つの源から生じており、前記各放射線は、前記架橋可能な材料の所定の部分に向けて所定の時間反射される、実施態様3に記載の眼科レンズ。
(9) 前記架橋可能な材料の所定の部分に向けて所定の時間反射される化学放射線の各放射線が、所定の波長を含む、実施態様8に記載の眼科レンズ。
(10) 前記第2部分が、複数点から生じる化学放射線の複数の放射線への反応性混合物の暴露によって形成される、実施態様9に記載の眼科レンズ。
【0200】
(11) 前記重合された架橋可能な材料のボクセルによって形成された1つ又は2つ以上の凹領域を更に含む、実施態様8に記載の眼科レンズ。
(12) 前記重合された架橋可能な材料のボクセルによって形成された1つ又は2つ以上の凸領域を更に含む、実施態様8に記載の眼科レンズ。
(13) 前記ゲル化点を超えて重合された架橋可能な材料の層状体積が、前記重合された架橋可能な材料のボクセルによって形成された前記凹領域に対して等角である、実施態様11に記載の眼科レンズ。
(14) 前記ゲル化点を超えて重合された架橋可能な材料の層状体積が、前記重合された架橋可能な材料のボクセルによって形成された前記凹領域に対して非等角である、実施態様11に記載の眼科レンズ。
(15) 前記各ボクセルが、第1端部及び第2端部を含み、前記ゲル化点を超えて重合された架橋可能な材料の層状体積を含む前記第2部分が、本質的に前記各第2端部を被覆する、実施態様1に記載の眼科レンズ。
(16) 前記第1部分が、基材の表面に沿って形成された非隣接パターンを含む、実施態様6に記載の眼科レンズ。
(17) 前記レンズの外周部が、非円形を本質的に含む、実施態様6に記載の眼科レンズ。
(18) 前記レンズの外周部が、楕円形を本質的に含む、実施態様6に記載の眼科レンズ。
(19) 前記レンズがトーリック形状を含む、実施態様6に記載の眼科レンズ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科レンズであって、
光吸収性成分を含む、重合された架橋可能な材料の複数のボクセルを含む光学ゾーン部分であって、前記光学ゾーン部分が、第1屈折率を含む第1領域及び第2屈折率を含む第2領域を含む、光学ゾーン部分と、
前記架橋可能な材料のゲル化点を超えて重合された架橋可能な材料の層状体積を含む、第2部分と、を含む、眼科レンズ。
【請求項2】
架橋可能な材料の1つ又は2つ以上の更なる層状体積を含む、第3部分を更に含む、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項3】
前記架橋可能な材料の層状体積が、ボクセル単位以外の架橋パターンを含む、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項4】
第1部分が光吸収性成分を更に含む、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項5】
前記第2部分がシリコーンを更に含む、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項6】
前記第1部分が第1光学表面を含む、請求項4に記載の眼科レンズ。
【請求項7】
前記第2部分が第2光学表面を含む、請求項6に記載の眼科レンズ。
【請求項8】
第1部分が、化学放射線の複数の放射線への反応性混合物の暴露によって形成され、前記化学放射線の各放射線は、1つの源から生じており、前記各放射線は、前記架橋可能な材料の所定の部分に向けて所定の時間反射される、請求項3に記載の眼科レンズ。
【請求項9】
前記架橋可能な材料の所定の部分に向けて所定の時間反射される化学放射線の各放射線が、所定の波長を含む、請求項8に記載の眼科レンズ。
【請求項10】
前記第2部分が、複数点から生じる化学放射線の複数の放射線への反応性混合物の暴露によって形成される、請求項9に記載の眼科レンズ。
【請求項11】
前記重合された架橋可能な材料のボクセルによって形成された1つ又は2つ以上の凹領域を更に含む、請求項8に記載の眼科レンズ。
【請求項12】
前記重合された架橋可能な材料のボクセルによって形成された1つ又は2つ以上の凸領域を更に含む、請求項8に記載の眼科レンズ。
【請求項13】
前記ゲル化点を超えて重合された架橋可能な材料の層状体積が、前記重合された架橋可能な材料のボクセルによって形成された前記凹領域に対して等角である、請求項11に記載の眼科レンズ。
【請求項14】
前記ゲル化点を超えて重合された架橋可能な材料の層状体積が、前記重合された架橋可能な材料のボクセルによって形成された前記凹領域に対して非等角である、請求項11に記載の眼科レンズ。
【請求項15】
前記各ボクセルが、第1端部及び第2端部を含み、前記ゲル化点を超えて重合された架橋可能な材料の層状体積を含む前記第2部分が、本質的に前記各第2端部を被覆する、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項16】
前記第1部分が、基材の表面に沿って形成された非隣接パターンを含む、請求項6に記載の眼科レンズ。
【請求項17】
前記レンズの外周部が、非円形を本質的に含む、請求項6に記載の眼科レンズ。
【請求項18】
前記レンズの外周部が、楕円形を本質的に含む、請求項6に記載の眼科レンズ。
【請求項19】
前記レンズがトーリック形状を含む、請求項6に記載の眼科レンズ。
【請求項1】
眼科レンズであって、
光吸収性成分を含む、重合された架橋可能な材料の複数のボクセルを含む光学ゾーン部分であって、前記光学ゾーン部分が、第1屈折率を含む第1領域及び第2屈折率を含む第2領域を含む、光学ゾーン部分と、
前記架橋可能な材料のゲル化点を超えて重合された架橋可能な材料の層状体積を含む、第2部分と、を含む、眼科レンズ。
【請求項2】
架橋可能な材料の1つ又は2つ以上の更なる層状体積を含む、第3部分を更に含む、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項3】
前記架橋可能な材料の層状体積が、ボクセル単位以外の架橋パターンを含む、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項4】
第1部分が光吸収性成分を更に含む、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項5】
前記第2部分がシリコーンを更に含む、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項6】
前記第1部分が第1光学表面を含む、請求項4に記載の眼科レンズ。
【請求項7】
前記第2部分が第2光学表面を含む、請求項6に記載の眼科レンズ。
【請求項8】
第1部分が、化学放射線の複数の放射線への反応性混合物の暴露によって形成され、前記化学放射線の各放射線は、1つの源から生じており、前記各放射線は、前記架橋可能な材料の所定の部分に向けて所定の時間反射される、請求項3に記載の眼科レンズ。
【請求項9】
前記架橋可能な材料の所定の部分に向けて所定の時間反射される化学放射線の各放射線が、所定の波長を含む、請求項8に記載の眼科レンズ。
【請求項10】
前記第2部分が、複数点から生じる化学放射線の複数の放射線への反応性混合物の暴露によって形成される、請求項9に記載の眼科レンズ。
【請求項11】
前記重合された架橋可能な材料のボクセルによって形成された1つ又は2つ以上の凹領域を更に含む、請求項8に記載の眼科レンズ。
【請求項12】
前記重合された架橋可能な材料のボクセルによって形成された1つ又は2つ以上の凸領域を更に含む、請求項8に記載の眼科レンズ。
【請求項13】
前記ゲル化点を超えて重合された架橋可能な材料の層状体積が、前記重合された架橋可能な材料のボクセルによって形成された前記凹領域に対して等角である、請求項11に記載の眼科レンズ。
【請求項14】
前記ゲル化点を超えて重合された架橋可能な材料の層状体積が、前記重合された架橋可能な材料のボクセルによって形成された前記凹領域に対して非等角である、請求項11に記載の眼科レンズ。
【請求項15】
前記各ボクセルが、第1端部及び第2端部を含み、前記ゲル化点を超えて重合された架橋可能な材料の層状体積を含む前記第2部分が、本質的に前記各第2端部を被覆する、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項16】
前記第1部分が、基材の表面に沿って形成された非隣接パターンを含む、請求項6に記載の眼科レンズ。
【請求項17】
前記レンズの外周部が、非円形を本質的に含む、請求項6に記載の眼科レンズ。
【請求項18】
前記レンズの外周部が、楕円形を本質的に含む、請求項6に記載の眼科レンズ。
【請求項19】
前記レンズがトーリック形状を含む、請求項6に記載の眼科レンズ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2012−522279(P2012−522279A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503572(P2012−503572)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/029084
【国際公開番号】WO2010/117732
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(510294139)ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド (48)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/029084
【国際公開番号】WO2010/117732
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(510294139)ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド (48)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
【Fターム(参考)】
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