屈曲角度測定器および屈曲角度測定方法
【課題】 作業エリアが小さく、作業者が一人で測定可能であり、簡易な操作で正確に屈曲角度を測定可能であって、かつ安価に製造可能な電線の屈曲角度測定器および屈曲角度測定方法を提供する。
【解決手段】 鏡102と、鏡102の表面に沿って少なくとも一方が回転可能な2つの直線指標104、106と、2つの直線指標104、106の相対角度を測定可能な角度計108とを備え、電柱10の両径間の電線20を鏡102に映し込み、鏡102に映った両径間の電線20それぞれに2つの直線指標104、106を一致させることにより、角度計108が電線20の屈曲角を示すことを特徴とする。
【解決手段】 鏡102と、鏡102の表面に沿って少なくとも一方が回転可能な2つの直線指標104、106と、2つの直線指標104、106の相対角度を測定可能な角度計108とを備え、電柱10の両径間の電線20を鏡102に映し込み、鏡102に映った両径間の電線20それぞれに2つの直線指標104、106を一致させることにより、角度計108が電線20の屈曲角を示すことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱に張架された電線の屈曲角度を測定する屈曲角度測定器および屈曲角度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配電設備を構成する電柱のうち、電線の張架の状態によって、特に、電柱両径間の電線に水平(屈曲)角度が付いているものを角度柱、電線がその電柱で引き留めされているものを末端柱と呼ばれている。なお径間とは電柱と電柱の間のことをいい、両径間とはある電柱とその両側の電柱との間のことをいう。電柱において、電線の張力は最も大きな荷重である。このため「電気設備の技術基準(経済産業省)」では、電線路中5°を越える水平角度をなす箇所(角度柱)、および全架線を引き留める箇所(末端柱)には、電線の水平荷重や不平均荷重に耐えるために、支線を設けることが定められている。
【0003】
支線は鋼線からなるワイヤーであって、水平方向に他の柱に張られたものは水平支線、周辺の地面に張られたものは地支線とよばれている。なお支線に代えて、支柱を用いる場合もある。支柱は、いわばもう1本の電柱を斜めに立てかけるように設置するものである。支柱は引張と圧縮の両方の力を受けることができるが、支柱が太いために景観に与える影響は大きい。支線と支柱は、支えるべき荷重や、設置箇所の確保の観点から適宜選択される。
【0004】
支線は鋼線であることから、経年により錆(腐食)を生じて耐力が低下する。特に沿岸の設備では海風の塩分による侵蝕が激しく、耐用年数が低下する傾向にある。仮に支線が錆により断線すると、電柱が支持を失って傾いてしまったり、落下した支線が周囲の器物を損壊してしまったりするおそれがある。このため定期的に設備を巡回して監視し、腐食の程度を確認し、適宜交換を行う必要がある。しかし、この巡回監視と交換の作業は、管理者にとって大きな負担となっている。
【0005】
ところで、上記のように支線は角度柱において電線路の屈曲角度が5°以上の場所に設置しているのであるが、上空に張架された電線の角度を測定することは難しい。このため屈曲角度が5°付近である場合、これを越えているか否かを明確に判断しにくいため、実際には5°以下である場合にも安全側の対処として支線を設置している場合が少なくない。
【0006】
このような、いわば不必要な支線を減らすことにより、巡回監視および交換すべき支線の数を減らすことができるため、労力の軽減を図ることができると考えられる。そのためには、既存および新設する電線路の屈曲角度を正確に測定する必要がある。
【0007】
電線路の屈曲角度の水平角度の測定方法としては、例えばトランシット(セオドライト)と呼ばれるものがある。トランシットは望遠鏡が鉛直軸、水平軸の2軸で回転する構成となっており、高精度に角度を測定することができる。しかしトランシットは装置が大がかりで高価であり、巡視者や設計者全員が自由に使えるほどに台数を揃えることは困難である。
【0008】
安価に屈曲角度を測定する方法としては、「6m法」がある。図12は6m法について説明する図である。電線路が屈曲している電柱10(角度柱)がある場合に、屈曲前の電線20aを屈曲位置よりも6m延長させた位置(地面)をマークし、屈曲後の電線20bの真下の屈曲位置から6mの位置をマークして、これらのマークの距離を測定したとき、1mが10°に相当する。
【0009】
また特許文献1には、方位磁石を用いて屈曲角度(線路角度)を測定する構成が記載されている。詳しくは、水平に設置した鏡の表面に方位磁石を配置してあり、鏡に映る電線を方位磁石の中心を通る基準線に一致させ、方位磁石の角度目盛を回転させて0°と針とを一致させて、基準線の角度を読み取ることにより、電線の磁北に対する角度を得ることができる。この測定作業を電柱両径間(電線路の屈曲の前後)で行い、磁北に対する角度の差分から屈曲角度を得られると記載されている。特許文献1によれば、簡単な操作で精度良く屈曲角度を測定できるとしている。
【特許文献1】特開2007−278957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記の6m法を用いた場合、屈曲位置から6mの位置にマークする必要があるため、広範囲の作業エリアを要し、作業性が低いという問題がある。例えば、6mの位置が、場所によっては車道上や宅地内である場合がある。宅地内である場合には、中にまで入り込んで測定することが容易ではない。車道上である場合には、車流量によっては作業がはかどらない場合がある。また6mを測定する際に舗装上ではメジャー先端を固定できないために作業者が2名以上必要であるが、さらに車道上でも作業する場合には交通整理員も必要になるため、多くの人員が必要となる。
【0011】
さらに、6m法においては、電線を延長させた位置や電線の真下をマークするために、真上を見上げて電線を確認しては、対応する地表の位置を見比べて探ることになる。しかし上方の電線と地表面を同時に見ることはできないため、ずれが生じやすく、正確さに欠ける。また上を見上げる姿勢は作業者に負荷が大きく、疲労感を感じ、足元が不安定になるという問題もある。
【0012】
特許文献1に記載の技術によれば、広範囲の作業エリアは必要としない。しかし、電柱の両径間で2回測定を行わなくてはならない。そして方位磁石を使うために毎回水平を出さなくてはならず、三脚の設置が不可欠である。このため作業に時間がかかり、作業性に問題がある。
【0013】
そこで本発明は、作業エリアが小さく、作業者が一人で測定可能であり、簡易な操作で正確に屈曲角度を測定可能であって、かつ安価に製造可能な電線の屈曲角度測定器および屈曲角度測定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明に係る電線の屈曲角度測定器の代表的な構成は、鏡と、鏡の表面に沿って少なくとも一方が回転可能な2つの直線指標と、2つの直線指標の相対角度を測定可能な角度計とを備え、電柱の両径間の電線を鏡に映し込み、鏡に映った両径間の電線それぞれに2つの直線指標を一致させることにより、角度計が電線の屈曲角を示すことを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、角度柱のほぼ直下に位置して、下を向いた負担のかからない姿勢で上方の電線の屈曲角度を測定することができる。したがって、作業エリアが小さく、作業者が一人で測定可能である。また鏡の中で屈曲している電線に2つの直線指標を一致させるだけの操作で測定できるため、簡単な操作で、かつ1回の測定で屈曲角度を測定することができる。また極めて簡略な構造をしていることから、安価に製造することが可能であり、取り回しも簡便である。
【0016】
2つの直線指標は1つの回転軸によって少なくとも一方が回転可能に取り付けられており、角度計は直線指標の一方に取り付けられ回転軸に中心を一致させた分度器であって、直線指標の他方は、回転軸に対し、電線に沿わせる直線部の反対側に、分度器上の角度を示す角度指示部を有していてもよい。これにより、直線指標を電線に沿わせる際に、角度計としての分度器が視界を遮ることがない。したがって、電線が屈曲する碍子の部分を2つの直線指標の交差位置に容易に一致させることができる。
【0017】
角度計は鏡またはその枠部に設けた目盛りであって、直線指標の先端に目盛りを指示する指示部を有していてもよい。これにより、2つの直線指標の交差位置近傍に分度器が配置されないため、電線を映し込むにあたって分度器が視界を遮ることがない。また鏡の外周近傍または枠部に目盛りを設けることにより、目盛りの幅を広くし、または目盛りの分割を細かくすることができるため、より正確に角度を測定することができる。
【0018】
直線指標は、電線を見通すためのスリットを有していてもよい。これにより電線に対する直線指標の傾きを敏感に観察することができ、より正確に角度を測定することができる。なお直線指標としては、定規に似た板材としてその一辺に電線を沿わせたり、時計の針に似た線材として電線が重なるように一致させたりすることができる。
【0019】
直線指標を保持して回転を停止させる回転停止部を備えていてもよい。これにより、鏡の中の電線に直線指標を合わせた後に、直線指標の回転を抑止した状態で測定器を手元に引き寄せ、角度計を見やすい位置で読み取ることができる。このとき不本意に直線指標が動いてしまうことを防止することができるため、より簡便に角度の測定をすることができる。
【0020】
鏡を設置面に対して所定角度傾けるための底面支持部を備えていてもよい。これにより、安定した角度で測定を行うことができる。なお所定角度とは、例えば3°〜5°とすることができる。
【0021】
鏡を水平面に対して所定角度傾けた状態で水平を計測する水平器を備えていてもよい。鏡は所定角度傾けた状態で観察する必要があるが、設置面(地面)が水平であるとは限らない。そのような場合には水平面を基準とすることが、正確な測定のためには望ましい。一方、安価な水平器としてよく用いられる気泡管は、水平であることは認識できるが、微妙な傾きまでは識別できない。そこで上記構成のように、鏡が所定角度傾いた状態のときに水平となるように水平器を取り付けておくことにより、簡便かつ確実に鏡を所定角度傾けることができる。
【0022】
鏡を電柱に固定するための電柱固定具を備えていてもよい。測定器は屈曲位置(碍子)の鉛直下方に設置する必要があるが、設置面(地面)が平坦であるとは限らず、砂利があったり雑草が生えていたりする場合もある。そこで上記のように測定器を電柱に固定することにより、常に確実に測定器を所望の位置に設置することが可能となる。
【0023】
鏡の背面に、三脚に取り付けるための三脚固定部を設けてもよい。これにより、設置面が平坦でなくても当該測定器を所望の位置に設置することができる。なお三脚は角度調整可能な雲台を備えていることが好ましい。
【0024】
直線指標の回転軸上に設けた照門と、2つの直線指標それぞれの先端近傍に設けた照星とからなる照準器を備えていてもよい。上空の電線の角度を測定するための構成ではなく、水平方向の位置をあわせて角度を測定するための構成である。電線路を新設するとき、まだ電柱が建設されておらず、電線も張架されていない。この状態において支線の要不要を判断する場合、対象となる電柱と両側の電柱を結ぶ2本の直線の角度を測ることにより、張架される電線の屈曲角度を知ることができる。しかし地図(設計図)のみでは正確な電柱建設位置や道路の曲がり具合が確実には把握できないため、現場検証が必要である。そこで現地において電柱建設位置に杭を打った状態で、現場検証として電線の屈曲角度を測定する必要がある。そして上記構成のように直線指標に照準器を備えることにより、当該測定器を対象となる電柱の建設位置に略水平に設置し、照準器を用いて直線指標を両側の電柱建設位置の杭に向けることにより、簡単かつ確実に電柱新設時(電線張架前)に電線の屈曲角度を測定することができる。
【0025】
また、本発明に係る電線の屈曲角度測定方法の代表的な構成は、鏡の表面を上方に向けた鏡を目線より下に配置し、上方で屈曲した電線を鏡に映し込み、2つの直線指標を鏡の中で屈曲している電線に沿わせ、2つの直線指標の相対角度を測定することにより、電線の屈曲角度を測定することを特徴とする。
【0026】
上述した屈曲角度測定器における技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該屈曲角度測定方法にも適用可能である。
【発明の効果】
【0027】
本発明にかかる電線の屈曲角度測定器および屈曲角度測定方法によれば、作業エリアが小さく、作業者が一人で測定可能であり、簡易な操作で正確に電線の屈曲角度を測定可能であって、かつ安価に測定器を製造可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0029】
図1は屈曲角度測定器の構成を説明する図、図2は角度計近傍を説明する図である。屈曲角度測定器(以下、単に「測定器100」という。)は、鏡102と、2つの直線指標104、106と、角度計108とを備えている。
【0030】
図1に示すように、2つの直線指標104、106は定規に似た板材であって、一方の直線指標104は鏡に対して固定されており、他方の直線指標106は鏡102のほぼ中心で回転可能に軸支されている。直線指標104、106の長さに限定はないが、10cm以上あると電線に沿わせる際にあわせやすい。
【0031】
図2に示すように、角度計108は図1の例では分度器(半円分度器)であって、分度器の中心を直線指標106の回転軸110と一致させており、直線指標104と一体に形成されている。直線指標106は、回転軸110の一方側に電線に沿わせる直線部106aを有し、反対側に分度器上の角度を示す角度指示部106bを有している。上記構成により、直線指標104と直線指標106がなす相対的な角度を、角度計108の目盛りを読み取ることによって得ることができる。
【0032】
また回転軸110はローレットネジとなっており、手回しにて緩めたり締め付けたりすることができる。すなわち回転軸110は、締め付けることによって直線指標106を保持して回転を停止させる回転停止部として機能する。
【0033】
鏡102の周囲には、枠部114が取り付けられている。枠部114の前面は鏡102の表面より高く形成されており、鏡102の表面に取り付けられて直線指標104、106を保護する機能を有している。枠部114は、発泡ポリウレタンなどの弾性材や緩衝材を用いて構成することにより、使用時や運搬時の鏡102に与えられる衝撃を緩和することができる。また枠部114は鏡102の周囲に限らず、背面まで保護することが好ましい。また鏡102の背面には、後述するように鏡102を設置面に対して所定角度傾けるための底面支持部116を備えている。また図示はしていないが、枠体の前面に、鏡102および直線指標104、106等を保護するためのカバーを設け、防水や外傷を保護するよう構成してもよい。
【0034】
上記構成の測定器100を用いた屈曲角度測定方法について説明する。図3は使用状態の周辺状況を説明する図、図4は屈曲角度測定器の用法を説明する図である。
【0035】
図3に示す電柱10は、腕金12上の碍子14によって電線20を張架している。電線20は碍子14において屈曲している。すなわち碍子14の位置が電線の屈曲位置である。電線20が屈曲しているため、電柱10(角度柱)には支線18(図では地支線)が取り付けられている。そして測定器100は、電線20の屈曲角度を測定するものである。
【0036】
まず図3に示すように、鏡102の表面を上方に向けた状態で、測定器100を目線より下(図では地表面)に配置する。このとき測定器100は、できるだけ屈曲位置である碍子14の概ね鉛直下方に位置するように配置する。そして作業員が鏡を覗き込むことにより、上方で屈曲した電線20を鏡102に映し込む。
【0037】
このとき、鏡102の背面に底面支持部116を設けていることにより、鏡102を設置面に対して所定角度傾けることができる。屈曲位置(碍子14の位置)の鉛直下方に鏡を設置し、鏡102を厳密に水平に設置したと仮定すると、作業者がのぞき込んだときに作業者の頭が邪魔になって電線20が鏡102に映らなくなってしまう。このため鏡102は電線20と作業者の目の間の光軸を結ぶように傾いている必要があるが、傾きが大きくなると角度の誤差も大きくなってしまう。したがって安定して浅い角度で常に一定の傾きをもって使用することが望ましい。そして上記構成のように、底面支持部116によって常に所定角度を傾けるように構成することにより、安定した角度で測定を行うことができる。なお所定角度とは、例えば3°〜5°とすることができる。
【0038】
図4(a)は鏡102の中に電線20の屈曲部分を映し込んだ状態である。ここで、屈曲位置である碍子14が回転軸110と一致するように、測定器100の位置および目線の位置を調節する。さらに、固定された直線指標104に屈曲した電線20の一方が沿うように、測定器100を回転させる。
【0039】
そして図4(b)に示すように、直線部106aと屈曲した電線20の他方が沿うように、直線指標106を回転させる。このとき、直線指標104、106の上側に電線20を沿わせるとすれば、その下側に角度計108が位置することになる。これにより、直線指標を電線に沿わせる際に、角度計としての分度器が視界を遮ることがない。したがって、電線が屈曲する碍子の部分を2つの直線指標の交差位置に容易に一致させることができ、操作を簡単かつ確実にすることができる。
【0040】
直線指標104、106が電柱両径間の電線20に沿ったところで、回転軸110を締め付けて直線指標106を固定する。これにより、鏡102の中の電線20に直線指標106を合わせた後に、不本意に直線指標106が動いてしまうことを防止することができる。
【0041】
図4(c)に示すように、直線指標106の回転を抑止した状態で、見やすいように測定器100を手にとって手元に引き寄せ、見やすい位置で角度指示部106bが示す角度計108上の目盛りを読み取る。このように2つの直線指標104、106の相対角度を測定することにより、電線20の屈曲角度を測定することができる。
【0042】
図5は実施形態の効果を検証した結果を説明する図である。図5に示す角度測定表は、トランシットを用いた場合と、本実施形態に係る測定器100を用いた場合と、従来の6m法を用いた場合について、それぞれ角度の測定を行っている。表において、測定器100による場合と6m法による場合の括弧内は、トランシットによる測量を基準としたときの誤差である。
【0043】
図に示すように、6m法による場合の誤差率は4.2%であったのに対し、測定器100を用いた場合には誤差率が3.4%であった。これにより、従来の方法に対して本実施形態に係る測定器100の方が、簡便であるにもかかわらず高い精度で測定できることが確認された。
【0044】
上記構成によれば、電柱10のほぼ直下に位置して、下を向いた自然体の姿勢で上方の電線20の屈曲角度を測定することができる。したがって、作業エリアが小さく、かつ電柱の直下であるため、常に車道や宅地を避けて測定を行うことができる。また作業者が一人で測定可能であるため、測定に係る人件費を低廉に抑えることができる。また鏡102の中で屈曲している電線20に2つの直線指標104、106を一致させるだけの操作で測定できるため、簡単な操作で、かつ1回の測定で迅速に屈曲角度を測定することができる。また測定器100は極めて簡略な構造をしていることから、安価に製造することが可能であり、取り回し(収納や運搬、取り扱う際の慎重さ)も簡便である。
【0045】
[実施形態の他の構成]
以下に、本発明にかかる屈曲角度測定器および屈曲角度測定方法の他の構成について説明する。上記実施形態と説明の重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
図6は直線指標の他の構成を説明する図であって、図6(a)はスリットを有する直線指標の例である。図6(a)に示すように、長尺板状の直線指標122は、電線20を見通すためのスリット124を有している。換言すれば、直線指標122は、鏡に映った電線20が間を通るようなスリット124を有する長尺の枠体である。このようなスリット124に電線20が沿うようにスリット124の角度を合わせることにより、わずかでも傾きがずれているとスリット124の両端いずれかにおいて電線20が見えなくなってしまうため、電線20に対する直線指標122の傾きを敏感に観察することができ、より正確に角度を測定することができる。
【0047】
図6(b)は細い線材からなる直線指標の例である。直線指標126は時計の針に似た線材であって、鏡102に映った電線20に沿わせるよう回転させると、電線20と直線指標126とが重なるように一致させることができる。わずかでも傾きがずれていると直線指標126の両端いずれかから電線20がはみ出して見えてしまうため、電線20に対する直線指標122の傾きを敏感に観察することができ、より正確に角度を測定することができる。
【0048】
図6(c)は透明な円板に描いた直線からなる直線指標の例である。図に示すように鏡102および枠部114は円形であって、この枠部114に透明な円板130が回転可能にはめ込まれている。鏡102の外周近傍には、円環状に角度を示す目盛が描かれており、角度計132を構成している。鏡102の上には、角度計132の0°の位置に、鏡102の中心を通る直線指標134が描かれている。一方、円板130にはその中心を通る直線指標136が描かれている。直線指標136は、角度計132の指標を兼ねている。このように構成することにより、鏡102の中心近傍、すなわち直線指標134と136の交差位置、すなわち鏡に映った電線20の屈曲位置の周辺には、細線からなる直線指標134,136以外に視線を遮るものがない。したがって容易に電線20に直線指標を沿わせることができ、正確に角度を測定することができる。
【0049】
図7は角度計の他の構成を説明する図である。図7において角度計140は、枠部114に設けた目盛りである。直線指標142は、目盛りの0°の位置(180°の位置でもよい)に合わせて固定されている。直線指標144は鏡102の中心を回転軸として軸支されており、その先端に角度計140の目盛りを指示する指示部144aを有している。
【0050】
このように構成することにより、2つの直線指標142、144の交差位置近傍に分度器が配置されないため、電線20を映し込むにあたって直線指標のどちら側に沿わせたとしても、分度器が視界を遮ることがない。また鏡102の枠部114に目盛りを設けることにより、目盛りの幅を最大限に広くし、または目盛りの分割を細かくすることができるため、より正確に角度を測定することができる。
【0051】
図8は、電柱固定具および水平器を備えた例を示す図である。電柱固定具152は、電柱10に巻回して固定するためのバンド152aと、バンド152aと鏡102とを連結するアーム152bとを備えている。バンド152aとアーム152b、およびアーム152bと鏡102とは、それぞれが回転及び固定可能な関節154a、154bによって連結されている。
【0052】
測定器100は屈曲位置(碍子14)のほぼ鉛直下方に設置する必要があるが、設置面(地面)が平坦であるとは限らず、砂利があったり雑草が生えていて設置できなかったりする場合もある。そこで上記のように測定器100を電柱に固定することにより、常に確実に測定器100を所望の位置に設置することが可能となる。
【0053】
ところで上述のように、鏡102は所定角度傾けた状態で観察する必要がある。しかし設置面(地面)が水平であるとは限らず、電柱固定具152による場合はさらに角度が不安定である。そのような場合には水平器を用いて水平面を基準とすることが考えられるが、安価な水平器としてよく用いられる気泡管は、水平であることは認識できるが、微妙な傾き角までは識別できない。
【0054】
そこで鏡102の角度計108側(下方、すなわち電線を映し込まない側)には、水平器150を備えている。水平器150は、鏡102を水平面に対して所定角度傾けた状態が水平となるような所定角度で取り付けられている。所定角度としては、例えば3°〜5°とすることができる。これにより、簡便かつ確実に鏡102を所定角度傾けることができる。
【0055】
なお、上記の水平器150は、電柱固定具152を備えず、地面に設置する場合であっても有効に利用することができる。このとき測定器100の角度(鏡102の角度)は、測定器100の下に物を挟むことによって調節可能である。
【0056】
図9は、鏡の背面に三脚固定部を設けた例を示す図である。図9(a)に示すように、測定器100の背面(鏡102の背面)には、三脚固定部の例としてのねじ穴160が設けられている。図9(b)は、三脚162に固定した状態の例を示している。三脚162は、足の長さによっても水平を調節することができるが、角度調整可能な雲台164を備えていることが好ましい。またこのとき、上述したように鏡面に対して所定角度で水平を測定する水平器150を備えていることが好ましい。
【0057】
図10は、測定器を首にかける構成の例を示す図である。図10(a)に示すように、測定器100の枠部114には肩掛け用のベルト170が取り付けられている。また図10(b)に示すように、直線指標106の回転軸172は直線指標106に固定され、鏡102を回転可能に貫通して、鏡102の背面側につまみ部172aを有している。したがって、鏡102の背面側においてつまみ部172aを回転させることにより、直線指標106を回転させることができる。またつまみ部172aと鏡102の背面側との間にはスプリング174が備えられており、回転軸172に摺動抵抗を与えて、直線指標106が自然には回転しないように仮留めする回転停止部として機能する。
【0058】
図10に示す測定器100を使用する際には、ベルト170を首に掛けて、測定器100を体にあてて、鏡102を略水平に保持する。そして直線指標104を屈曲した電線20の一方に沿わせた状態で、鏡102の背面側のつまみ部172aを回転させて、直線指標106を屈曲した電線20の他方に沿わせる(図10(c)参照)。このように構成することにより、電柱に近寄ることさえできれば測定をすることができるため、極めて少ない作業エリアで、また場所を選ばず測定を行うことができる。
【0059】
図11は、直線指標に照準器を備えた例を示す図である。図11(a)においては、直線指標106の回転軸110上に設けた照門182と、2つの直線指標104、106それぞれの先端近傍に設けた照星184とからなる照準器180を備えている。照準器180は、上空の電線20の角度を測定するための構成ではなく、水平方向の電柱建設位置を照準器180で合わせて、間接的に電線20の屈曲角度を測定するための構成である。
【0060】
電線路を新設するとき、まだ電柱10が建設されておらず、電線20も張架されていない。この状態において支線18の要不要を判断する場合、対象となる電柱10と両側の電柱を結ぶ2本の直線の角度を測ることにより、張架される電線20の屈曲角度を知ることができる。しかし地図(設計図)のみでは正確な電柱建設位置や道路の曲がり具合が確実には把握できないため、現場検証が必要である。
【0061】
そこで図11(b)に示すように、現地において電柱建設位置に杭22が打たれた状態で、現場検証として電線20の屈曲角度を測定する。具体的には、対象となる電柱10の建設位置に打たれた杭22の上に、三脚162を立てて、測定器100を略水平に設置する。そして照準器180の照門182と、直線指標104の照星184と、一方側の電柱の建設位置を示す杭22とが一直線に並ぶように、直線指標104の角度を調整する。同様に、直線指標106も他方側の杭22を向くように角度を調整する。そして角度計108が示す角度を読み取ることにより、これから設置される電線の屈曲角度を知ることができる。これにより、簡単かつ確実に電柱新設時(電線張架前)に電線の屈曲角度を測定することができる。
【0062】
なお、照準器180がなくても、直線指標が長ければ、離れた位置の杭に対して直線指標を正確に向けることができる。そこで図11(c)に示す直線指標186のように、伸縮式として、使用時に長く延ばせるよう構成してもよい。具体例としては、伸ばした際に1m以上の長さとなることが好ましい。
【0063】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、電柱に張架された電線の屈曲角度を測定する屈曲角度測定器および屈曲角度測定方法として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】屈曲角度測定器の構成を説明する図である。
【図2】角度計近傍を説明する図である。
【図3】使用状態の周辺状況を説明する図である。
【図4】屈曲角度測定器の用法を説明する図である。
【図5】実施形態の効果を検証した結果を説明する図である。
【図6】直線指標の他の構成を説明する図である。
【図7】角度計の他の構成を説明する図である。
【図8】電柱固定具および水平器を備えた例を示す図である。
【図9】鏡の背面に三脚固定部を設けた例を示す図である。
【図10】測定器を首にかける構成の例を示す図である。
【図11】直線指標に照準器を備えた例を示す図である。
【図12】6m法について説明する図である。
【符号の説明】
【0066】
10…電柱、12…腕金、14…碍子、18…支線、20…電線、20a…屈曲前の電線、20b…屈曲後の電線、22…杭、100…測定器、102…鏡、104、106、122、126、134、136、142、144、186…直線指標、106a…直線部、106b…角度指示部、108…角度計、110…回転軸、114…枠部、116…底面支持部、124…スリット、130…円板、132…角度計、140…角度計、144a…指示部、150…水平器、152…電柱固定具、152a…バンド、152b…アーム、154a、154b…関節、160…ねじ穴、162…三脚、164…雲台、180…照準器、182…照門、184…照星
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱に張架された電線の屈曲角度を測定する屈曲角度測定器および屈曲角度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配電設備を構成する電柱のうち、電線の張架の状態によって、特に、電柱両径間の電線に水平(屈曲)角度が付いているものを角度柱、電線がその電柱で引き留めされているものを末端柱と呼ばれている。なお径間とは電柱と電柱の間のことをいい、両径間とはある電柱とその両側の電柱との間のことをいう。電柱において、電線の張力は最も大きな荷重である。このため「電気設備の技術基準(経済産業省)」では、電線路中5°を越える水平角度をなす箇所(角度柱)、および全架線を引き留める箇所(末端柱)には、電線の水平荷重や不平均荷重に耐えるために、支線を設けることが定められている。
【0003】
支線は鋼線からなるワイヤーであって、水平方向に他の柱に張られたものは水平支線、周辺の地面に張られたものは地支線とよばれている。なお支線に代えて、支柱を用いる場合もある。支柱は、いわばもう1本の電柱を斜めに立てかけるように設置するものである。支柱は引張と圧縮の両方の力を受けることができるが、支柱が太いために景観に与える影響は大きい。支線と支柱は、支えるべき荷重や、設置箇所の確保の観点から適宜選択される。
【0004】
支線は鋼線であることから、経年により錆(腐食)を生じて耐力が低下する。特に沿岸の設備では海風の塩分による侵蝕が激しく、耐用年数が低下する傾向にある。仮に支線が錆により断線すると、電柱が支持を失って傾いてしまったり、落下した支線が周囲の器物を損壊してしまったりするおそれがある。このため定期的に設備を巡回して監視し、腐食の程度を確認し、適宜交換を行う必要がある。しかし、この巡回監視と交換の作業は、管理者にとって大きな負担となっている。
【0005】
ところで、上記のように支線は角度柱において電線路の屈曲角度が5°以上の場所に設置しているのであるが、上空に張架された電線の角度を測定することは難しい。このため屈曲角度が5°付近である場合、これを越えているか否かを明確に判断しにくいため、実際には5°以下である場合にも安全側の対処として支線を設置している場合が少なくない。
【0006】
このような、いわば不必要な支線を減らすことにより、巡回監視および交換すべき支線の数を減らすことができるため、労力の軽減を図ることができると考えられる。そのためには、既存および新設する電線路の屈曲角度を正確に測定する必要がある。
【0007】
電線路の屈曲角度の水平角度の測定方法としては、例えばトランシット(セオドライト)と呼ばれるものがある。トランシットは望遠鏡が鉛直軸、水平軸の2軸で回転する構成となっており、高精度に角度を測定することができる。しかしトランシットは装置が大がかりで高価であり、巡視者や設計者全員が自由に使えるほどに台数を揃えることは困難である。
【0008】
安価に屈曲角度を測定する方法としては、「6m法」がある。図12は6m法について説明する図である。電線路が屈曲している電柱10(角度柱)がある場合に、屈曲前の電線20aを屈曲位置よりも6m延長させた位置(地面)をマークし、屈曲後の電線20bの真下の屈曲位置から6mの位置をマークして、これらのマークの距離を測定したとき、1mが10°に相当する。
【0009】
また特許文献1には、方位磁石を用いて屈曲角度(線路角度)を測定する構成が記載されている。詳しくは、水平に設置した鏡の表面に方位磁石を配置してあり、鏡に映る電線を方位磁石の中心を通る基準線に一致させ、方位磁石の角度目盛を回転させて0°と針とを一致させて、基準線の角度を読み取ることにより、電線の磁北に対する角度を得ることができる。この測定作業を電柱両径間(電線路の屈曲の前後)で行い、磁北に対する角度の差分から屈曲角度を得られると記載されている。特許文献1によれば、簡単な操作で精度良く屈曲角度を測定できるとしている。
【特許文献1】特開2007−278957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記の6m法を用いた場合、屈曲位置から6mの位置にマークする必要があるため、広範囲の作業エリアを要し、作業性が低いという問題がある。例えば、6mの位置が、場所によっては車道上や宅地内である場合がある。宅地内である場合には、中にまで入り込んで測定することが容易ではない。車道上である場合には、車流量によっては作業がはかどらない場合がある。また6mを測定する際に舗装上ではメジャー先端を固定できないために作業者が2名以上必要であるが、さらに車道上でも作業する場合には交通整理員も必要になるため、多くの人員が必要となる。
【0011】
さらに、6m法においては、電線を延長させた位置や電線の真下をマークするために、真上を見上げて電線を確認しては、対応する地表の位置を見比べて探ることになる。しかし上方の電線と地表面を同時に見ることはできないため、ずれが生じやすく、正確さに欠ける。また上を見上げる姿勢は作業者に負荷が大きく、疲労感を感じ、足元が不安定になるという問題もある。
【0012】
特許文献1に記載の技術によれば、広範囲の作業エリアは必要としない。しかし、電柱の両径間で2回測定を行わなくてはならない。そして方位磁石を使うために毎回水平を出さなくてはならず、三脚の設置が不可欠である。このため作業に時間がかかり、作業性に問題がある。
【0013】
そこで本発明は、作業エリアが小さく、作業者が一人で測定可能であり、簡易な操作で正確に屈曲角度を測定可能であって、かつ安価に製造可能な電線の屈曲角度測定器および屈曲角度測定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明に係る電線の屈曲角度測定器の代表的な構成は、鏡と、鏡の表面に沿って少なくとも一方が回転可能な2つの直線指標と、2つの直線指標の相対角度を測定可能な角度計とを備え、電柱の両径間の電線を鏡に映し込み、鏡に映った両径間の電線それぞれに2つの直線指標を一致させることにより、角度計が電線の屈曲角を示すことを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、角度柱のほぼ直下に位置して、下を向いた負担のかからない姿勢で上方の電線の屈曲角度を測定することができる。したがって、作業エリアが小さく、作業者が一人で測定可能である。また鏡の中で屈曲している電線に2つの直線指標を一致させるだけの操作で測定できるため、簡単な操作で、かつ1回の測定で屈曲角度を測定することができる。また極めて簡略な構造をしていることから、安価に製造することが可能であり、取り回しも簡便である。
【0016】
2つの直線指標は1つの回転軸によって少なくとも一方が回転可能に取り付けられており、角度計は直線指標の一方に取り付けられ回転軸に中心を一致させた分度器であって、直線指標の他方は、回転軸に対し、電線に沿わせる直線部の反対側に、分度器上の角度を示す角度指示部を有していてもよい。これにより、直線指標を電線に沿わせる際に、角度計としての分度器が視界を遮ることがない。したがって、電線が屈曲する碍子の部分を2つの直線指標の交差位置に容易に一致させることができる。
【0017】
角度計は鏡またはその枠部に設けた目盛りであって、直線指標の先端に目盛りを指示する指示部を有していてもよい。これにより、2つの直線指標の交差位置近傍に分度器が配置されないため、電線を映し込むにあたって分度器が視界を遮ることがない。また鏡の外周近傍または枠部に目盛りを設けることにより、目盛りの幅を広くし、または目盛りの分割を細かくすることができるため、より正確に角度を測定することができる。
【0018】
直線指標は、電線を見通すためのスリットを有していてもよい。これにより電線に対する直線指標の傾きを敏感に観察することができ、より正確に角度を測定することができる。なお直線指標としては、定規に似た板材としてその一辺に電線を沿わせたり、時計の針に似た線材として電線が重なるように一致させたりすることができる。
【0019】
直線指標を保持して回転を停止させる回転停止部を備えていてもよい。これにより、鏡の中の電線に直線指標を合わせた後に、直線指標の回転を抑止した状態で測定器を手元に引き寄せ、角度計を見やすい位置で読み取ることができる。このとき不本意に直線指標が動いてしまうことを防止することができるため、より簡便に角度の測定をすることができる。
【0020】
鏡を設置面に対して所定角度傾けるための底面支持部を備えていてもよい。これにより、安定した角度で測定を行うことができる。なお所定角度とは、例えば3°〜5°とすることができる。
【0021】
鏡を水平面に対して所定角度傾けた状態で水平を計測する水平器を備えていてもよい。鏡は所定角度傾けた状態で観察する必要があるが、設置面(地面)が水平であるとは限らない。そのような場合には水平面を基準とすることが、正確な測定のためには望ましい。一方、安価な水平器としてよく用いられる気泡管は、水平であることは認識できるが、微妙な傾きまでは識別できない。そこで上記構成のように、鏡が所定角度傾いた状態のときに水平となるように水平器を取り付けておくことにより、簡便かつ確実に鏡を所定角度傾けることができる。
【0022】
鏡を電柱に固定するための電柱固定具を備えていてもよい。測定器は屈曲位置(碍子)の鉛直下方に設置する必要があるが、設置面(地面)が平坦であるとは限らず、砂利があったり雑草が生えていたりする場合もある。そこで上記のように測定器を電柱に固定することにより、常に確実に測定器を所望の位置に設置することが可能となる。
【0023】
鏡の背面に、三脚に取り付けるための三脚固定部を設けてもよい。これにより、設置面が平坦でなくても当該測定器を所望の位置に設置することができる。なお三脚は角度調整可能な雲台を備えていることが好ましい。
【0024】
直線指標の回転軸上に設けた照門と、2つの直線指標それぞれの先端近傍に設けた照星とからなる照準器を備えていてもよい。上空の電線の角度を測定するための構成ではなく、水平方向の位置をあわせて角度を測定するための構成である。電線路を新設するとき、まだ電柱が建設されておらず、電線も張架されていない。この状態において支線の要不要を判断する場合、対象となる電柱と両側の電柱を結ぶ2本の直線の角度を測ることにより、張架される電線の屈曲角度を知ることができる。しかし地図(設計図)のみでは正確な電柱建設位置や道路の曲がり具合が確実には把握できないため、現場検証が必要である。そこで現地において電柱建設位置に杭を打った状態で、現場検証として電線の屈曲角度を測定する必要がある。そして上記構成のように直線指標に照準器を備えることにより、当該測定器を対象となる電柱の建設位置に略水平に設置し、照準器を用いて直線指標を両側の電柱建設位置の杭に向けることにより、簡単かつ確実に電柱新設時(電線張架前)に電線の屈曲角度を測定することができる。
【0025】
また、本発明に係る電線の屈曲角度測定方法の代表的な構成は、鏡の表面を上方に向けた鏡を目線より下に配置し、上方で屈曲した電線を鏡に映し込み、2つの直線指標を鏡の中で屈曲している電線に沿わせ、2つの直線指標の相対角度を測定することにより、電線の屈曲角度を測定することを特徴とする。
【0026】
上述した屈曲角度測定器における技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該屈曲角度測定方法にも適用可能である。
【発明の効果】
【0027】
本発明にかかる電線の屈曲角度測定器および屈曲角度測定方法によれば、作業エリアが小さく、作業者が一人で測定可能であり、簡易な操作で正確に電線の屈曲角度を測定可能であって、かつ安価に測定器を製造可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0029】
図1は屈曲角度測定器の構成を説明する図、図2は角度計近傍を説明する図である。屈曲角度測定器(以下、単に「測定器100」という。)は、鏡102と、2つの直線指標104、106と、角度計108とを備えている。
【0030】
図1に示すように、2つの直線指標104、106は定規に似た板材であって、一方の直線指標104は鏡に対して固定されており、他方の直線指標106は鏡102のほぼ中心で回転可能に軸支されている。直線指標104、106の長さに限定はないが、10cm以上あると電線に沿わせる際にあわせやすい。
【0031】
図2に示すように、角度計108は図1の例では分度器(半円分度器)であって、分度器の中心を直線指標106の回転軸110と一致させており、直線指標104と一体に形成されている。直線指標106は、回転軸110の一方側に電線に沿わせる直線部106aを有し、反対側に分度器上の角度を示す角度指示部106bを有している。上記構成により、直線指標104と直線指標106がなす相対的な角度を、角度計108の目盛りを読み取ることによって得ることができる。
【0032】
また回転軸110はローレットネジとなっており、手回しにて緩めたり締め付けたりすることができる。すなわち回転軸110は、締め付けることによって直線指標106を保持して回転を停止させる回転停止部として機能する。
【0033】
鏡102の周囲には、枠部114が取り付けられている。枠部114の前面は鏡102の表面より高く形成されており、鏡102の表面に取り付けられて直線指標104、106を保護する機能を有している。枠部114は、発泡ポリウレタンなどの弾性材や緩衝材を用いて構成することにより、使用時や運搬時の鏡102に与えられる衝撃を緩和することができる。また枠部114は鏡102の周囲に限らず、背面まで保護することが好ましい。また鏡102の背面には、後述するように鏡102を設置面に対して所定角度傾けるための底面支持部116を備えている。また図示はしていないが、枠体の前面に、鏡102および直線指標104、106等を保護するためのカバーを設け、防水や外傷を保護するよう構成してもよい。
【0034】
上記構成の測定器100を用いた屈曲角度測定方法について説明する。図3は使用状態の周辺状況を説明する図、図4は屈曲角度測定器の用法を説明する図である。
【0035】
図3に示す電柱10は、腕金12上の碍子14によって電線20を張架している。電線20は碍子14において屈曲している。すなわち碍子14の位置が電線の屈曲位置である。電線20が屈曲しているため、電柱10(角度柱)には支線18(図では地支線)が取り付けられている。そして測定器100は、電線20の屈曲角度を測定するものである。
【0036】
まず図3に示すように、鏡102の表面を上方に向けた状態で、測定器100を目線より下(図では地表面)に配置する。このとき測定器100は、できるだけ屈曲位置である碍子14の概ね鉛直下方に位置するように配置する。そして作業員が鏡を覗き込むことにより、上方で屈曲した電線20を鏡102に映し込む。
【0037】
このとき、鏡102の背面に底面支持部116を設けていることにより、鏡102を設置面に対して所定角度傾けることができる。屈曲位置(碍子14の位置)の鉛直下方に鏡を設置し、鏡102を厳密に水平に設置したと仮定すると、作業者がのぞき込んだときに作業者の頭が邪魔になって電線20が鏡102に映らなくなってしまう。このため鏡102は電線20と作業者の目の間の光軸を結ぶように傾いている必要があるが、傾きが大きくなると角度の誤差も大きくなってしまう。したがって安定して浅い角度で常に一定の傾きをもって使用することが望ましい。そして上記構成のように、底面支持部116によって常に所定角度を傾けるように構成することにより、安定した角度で測定を行うことができる。なお所定角度とは、例えば3°〜5°とすることができる。
【0038】
図4(a)は鏡102の中に電線20の屈曲部分を映し込んだ状態である。ここで、屈曲位置である碍子14が回転軸110と一致するように、測定器100の位置および目線の位置を調節する。さらに、固定された直線指標104に屈曲した電線20の一方が沿うように、測定器100を回転させる。
【0039】
そして図4(b)に示すように、直線部106aと屈曲した電線20の他方が沿うように、直線指標106を回転させる。このとき、直線指標104、106の上側に電線20を沿わせるとすれば、その下側に角度計108が位置することになる。これにより、直線指標を電線に沿わせる際に、角度計としての分度器が視界を遮ることがない。したがって、電線が屈曲する碍子の部分を2つの直線指標の交差位置に容易に一致させることができ、操作を簡単かつ確実にすることができる。
【0040】
直線指標104、106が電柱両径間の電線20に沿ったところで、回転軸110を締め付けて直線指標106を固定する。これにより、鏡102の中の電線20に直線指標106を合わせた後に、不本意に直線指標106が動いてしまうことを防止することができる。
【0041】
図4(c)に示すように、直線指標106の回転を抑止した状態で、見やすいように測定器100を手にとって手元に引き寄せ、見やすい位置で角度指示部106bが示す角度計108上の目盛りを読み取る。このように2つの直線指標104、106の相対角度を測定することにより、電線20の屈曲角度を測定することができる。
【0042】
図5は実施形態の効果を検証した結果を説明する図である。図5に示す角度測定表は、トランシットを用いた場合と、本実施形態に係る測定器100を用いた場合と、従来の6m法を用いた場合について、それぞれ角度の測定を行っている。表において、測定器100による場合と6m法による場合の括弧内は、トランシットによる測量を基準としたときの誤差である。
【0043】
図に示すように、6m法による場合の誤差率は4.2%であったのに対し、測定器100を用いた場合には誤差率が3.4%であった。これにより、従来の方法に対して本実施形態に係る測定器100の方が、簡便であるにもかかわらず高い精度で測定できることが確認された。
【0044】
上記構成によれば、電柱10のほぼ直下に位置して、下を向いた自然体の姿勢で上方の電線20の屈曲角度を測定することができる。したがって、作業エリアが小さく、かつ電柱の直下であるため、常に車道や宅地を避けて測定を行うことができる。また作業者が一人で測定可能であるため、測定に係る人件費を低廉に抑えることができる。また鏡102の中で屈曲している電線20に2つの直線指標104、106を一致させるだけの操作で測定できるため、簡単な操作で、かつ1回の測定で迅速に屈曲角度を測定することができる。また測定器100は極めて簡略な構造をしていることから、安価に製造することが可能であり、取り回し(収納や運搬、取り扱う際の慎重さ)も簡便である。
【0045】
[実施形態の他の構成]
以下に、本発明にかかる屈曲角度測定器および屈曲角度測定方法の他の構成について説明する。上記実施形態と説明の重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
図6は直線指標の他の構成を説明する図であって、図6(a)はスリットを有する直線指標の例である。図6(a)に示すように、長尺板状の直線指標122は、電線20を見通すためのスリット124を有している。換言すれば、直線指標122は、鏡に映った電線20が間を通るようなスリット124を有する長尺の枠体である。このようなスリット124に電線20が沿うようにスリット124の角度を合わせることにより、わずかでも傾きがずれているとスリット124の両端いずれかにおいて電線20が見えなくなってしまうため、電線20に対する直線指標122の傾きを敏感に観察することができ、より正確に角度を測定することができる。
【0047】
図6(b)は細い線材からなる直線指標の例である。直線指標126は時計の針に似た線材であって、鏡102に映った電線20に沿わせるよう回転させると、電線20と直線指標126とが重なるように一致させることができる。わずかでも傾きがずれていると直線指標126の両端いずれかから電線20がはみ出して見えてしまうため、電線20に対する直線指標122の傾きを敏感に観察することができ、より正確に角度を測定することができる。
【0048】
図6(c)は透明な円板に描いた直線からなる直線指標の例である。図に示すように鏡102および枠部114は円形であって、この枠部114に透明な円板130が回転可能にはめ込まれている。鏡102の外周近傍には、円環状に角度を示す目盛が描かれており、角度計132を構成している。鏡102の上には、角度計132の0°の位置に、鏡102の中心を通る直線指標134が描かれている。一方、円板130にはその中心を通る直線指標136が描かれている。直線指標136は、角度計132の指標を兼ねている。このように構成することにより、鏡102の中心近傍、すなわち直線指標134と136の交差位置、すなわち鏡に映った電線20の屈曲位置の周辺には、細線からなる直線指標134,136以外に視線を遮るものがない。したがって容易に電線20に直線指標を沿わせることができ、正確に角度を測定することができる。
【0049】
図7は角度計の他の構成を説明する図である。図7において角度計140は、枠部114に設けた目盛りである。直線指標142は、目盛りの0°の位置(180°の位置でもよい)に合わせて固定されている。直線指標144は鏡102の中心を回転軸として軸支されており、その先端に角度計140の目盛りを指示する指示部144aを有している。
【0050】
このように構成することにより、2つの直線指標142、144の交差位置近傍に分度器が配置されないため、電線20を映し込むにあたって直線指標のどちら側に沿わせたとしても、分度器が視界を遮ることがない。また鏡102の枠部114に目盛りを設けることにより、目盛りの幅を最大限に広くし、または目盛りの分割を細かくすることができるため、より正確に角度を測定することができる。
【0051】
図8は、電柱固定具および水平器を備えた例を示す図である。電柱固定具152は、電柱10に巻回して固定するためのバンド152aと、バンド152aと鏡102とを連結するアーム152bとを備えている。バンド152aとアーム152b、およびアーム152bと鏡102とは、それぞれが回転及び固定可能な関節154a、154bによって連結されている。
【0052】
測定器100は屈曲位置(碍子14)のほぼ鉛直下方に設置する必要があるが、設置面(地面)が平坦であるとは限らず、砂利があったり雑草が生えていて設置できなかったりする場合もある。そこで上記のように測定器100を電柱に固定することにより、常に確実に測定器100を所望の位置に設置することが可能となる。
【0053】
ところで上述のように、鏡102は所定角度傾けた状態で観察する必要がある。しかし設置面(地面)が水平であるとは限らず、電柱固定具152による場合はさらに角度が不安定である。そのような場合には水平器を用いて水平面を基準とすることが考えられるが、安価な水平器としてよく用いられる気泡管は、水平であることは認識できるが、微妙な傾き角までは識別できない。
【0054】
そこで鏡102の角度計108側(下方、すなわち電線を映し込まない側)には、水平器150を備えている。水平器150は、鏡102を水平面に対して所定角度傾けた状態が水平となるような所定角度で取り付けられている。所定角度としては、例えば3°〜5°とすることができる。これにより、簡便かつ確実に鏡102を所定角度傾けることができる。
【0055】
なお、上記の水平器150は、電柱固定具152を備えず、地面に設置する場合であっても有効に利用することができる。このとき測定器100の角度(鏡102の角度)は、測定器100の下に物を挟むことによって調節可能である。
【0056】
図9は、鏡の背面に三脚固定部を設けた例を示す図である。図9(a)に示すように、測定器100の背面(鏡102の背面)には、三脚固定部の例としてのねじ穴160が設けられている。図9(b)は、三脚162に固定した状態の例を示している。三脚162は、足の長さによっても水平を調節することができるが、角度調整可能な雲台164を備えていることが好ましい。またこのとき、上述したように鏡面に対して所定角度で水平を測定する水平器150を備えていることが好ましい。
【0057】
図10は、測定器を首にかける構成の例を示す図である。図10(a)に示すように、測定器100の枠部114には肩掛け用のベルト170が取り付けられている。また図10(b)に示すように、直線指標106の回転軸172は直線指標106に固定され、鏡102を回転可能に貫通して、鏡102の背面側につまみ部172aを有している。したがって、鏡102の背面側においてつまみ部172aを回転させることにより、直線指標106を回転させることができる。またつまみ部172aと鏡102の背面側との間にはスプリング174が備えられており、回転軸172に摺動抵抗を与えて、直線指標106が自然には回転しないように仮留めする回転停止部として機能する。
【0058】
図10に示す測定器100を使用する際には、ベルト170を首に掛けて、測定器100を体にあてて、鏡102を略水平に保持する。そして直線指標104を屈曲した電線20の一方に沿わせた状態で、鏡102の背面側のつまみ部172aを回転させて、直線指標106を屈曲した電線20の他方に沿わせる(図10(c)参照)。このように構成することにより、電柱に近寄ることさえできれば測定をすることができるため、極めて少ない作業エリアで、また場所を選ばず測定を行うことができる。
【0059】
図11は、直線指標に照準器を備えた例を示す図である。図11(a)においては、直線指標106の回転軸110上に設けた照門182と、2つの直線指標104、106それぞれの先端近傍に設けた照星184とからなる照準器180を備えている。照準器180は、上空の電線20の角度を測定するための構成ではなく、水平方向の電柱建設位置を照準器180で合わせて、間接的に電線20の屈曲角度を測定するための構成である。
【0060】
電線路を新設するとき、まだ電柱10が建設されておらず、電線20も張架されていない。この状態において支線18の要不要を判断する場合、対象となる電柱10と両側の電柱を結ぶ2本の直線の角度を測ることにより、張架される電線20の屈曲角度を知ることができる。しかし地図(設計図)のみでは正確な電柱建設位置や道路の曲がり具合が確実には把握できないため、現場検証が必要である。
【0061】
そこで図11(b)に示すように、現地において電柱建設位置に杭22が打たれた状態で、現場検証として電線20の屈曲角度を測定する。具体的には、対象となる電柱10の建設位置に打たれた杭22の上に、三脚162を立てて、測定器100を略水平に設置する。そして照準器180の照門182と、直線指標104の照星184と、一方側の電柱の建設位置を示す杭22とが一直線に並ぶように、直線指標104の角度を調整する。同様に、直線指標106も他方側の杭22を向くように角度を調整する。そして角度計108が示す角度を読み取ることにより、これから設置される電線の屈曲角度を知ることができる。これにより、簡単かつ確実に電柱新設時(電線張架前)に電線の屈曲角度を測定することができる。
【0062】
なお、照準器180がなくても、直線指標が長ければ、離れた位置の杭に対して直線指標を正確に向けることができる。そこで図11(c)に示す直線指標186のように、伸縮式として、使用時に長く延ばせるよう構成してもよい。具体例としては、伸ばした際に1m以上の長さとなることが好ましい。
【0063】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、電柱に張架された電線の屈曲角度を測定する屈曲角度測定器および屈曲角度測定方法として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】屈曲角度測定器の構成を説明する図である。
【図2】角度計近傍を説明する図である。
【図3】使用状態の周辺状況を説明する図である。
【図4】屈曲角度測定器の用法を説明する図である。
【図5】実施形態の効果を検証した結果を説明する図である。
【図6】直線指標の他の構成を説明する図である。
【図7】角度計の他の構成を説明する図である。
【図8】電柱固定具および水平器を備えた例を示す図である。
【図9】鏡の背面に三脚固定部を設けた例を示す図である。
【図10】測定器を首にかける構成の例を示す図である。
【図11】直線指標に照準器を備えた例を示す図である。
【図12】6m法について説明する図である。
【符号の説明】
【0066】
10…電柱、12…腕金、14…碍子、18…支線、20…電線、20a…屈曲前の電線、20b…屈曲後の電線、22…杭、100…測定器、102…鏡、104、106、122、126、134、136、142、144、186…直線指標、106a…直線部、106b…角度指示部、108…角度計、110…回転軸、114…枠部、116…底面支持部、124…スリット、130…円板、132…角度計、140…角度計、144a…指示部、150…水平器、152…電柱固定具、152a…バンド、152b…アーム、154a、154b…関節、160…ねじ穴、162…三脚、164…雲台、180…照準器、182…照門、184…照星
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡と、
鏡の表面に沿って少なくとも一方が回転可能な2つの直線指標と、
前記2つの直線指標の相対角度を測定可能な角度計とを備え、
電柱の両径間の電線を前記鏡に映し込み、鏡に映った両径間の電線それぞれに前記2つの直線指標を一致させることにより、前記角度計が前記電線の屈曲角を示すことを特徴とする電線の屈曲角度測定器。
【請求項2】
前記2つの直線指標は1つの回転軸によって少なくとも一方が回転可能に取り付けられており、
前記角度計は前記直線指標の一方に取り付けられ前記回転軸に中心を一致させた分度器であって、
前記直線指標の他方は、前記回転軸に対し、電線に沿わせる直線部の反対側に、前記分度器上の角度を示す角度指示部を有することを特徴とする請求項1に記載の電線の屈曲角度測定器。
【請求項3】
前記角度計は前記鏡またはその枠部に設けた目盛りであって、前記直線指標の先端に前記目盛りを指示する指示部を有することを特徴とする請求項1に記載の電線の屈曲角度測定器。
【請求項4】
前記直線指標は、電線を見通すためのスリットを有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電線の屈曲角度測定器。
【請求項5】
前記直線指標を保持して回転を停止させる回転停止部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電線の屈曲角度測定器。
【請求項6】
前記鏡を設置面に対して所定角度傾けるための底面支持部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電線の屈曲角度測定器。
【請求項7】
前記鏡を水平面に対して所定角度傾けた状態で水平を計測する水平器を備えたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電線の屈曲角度測定器。
【請求項8】
前記鏡を電柱に固定するための電柱固定具を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5又は請求項7のいずれか1項に記載の電線の屈曲角度測定器。
【請求項9】
前記鏡の背面に、三脚に取り付けるための三脚固定部を設けたことを特徴とする請求項1から請求項5又は請求項7のいずれか1項に記載の電線の屈曲角度測定器。
【請求項10】
前記直線指標の回転軸上に設けた照門と、前記2つの直線指標それぞれの先端近傍に設けた照星とからなる照準器を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電線の屈曲角度測定器。
【請求項11】
鏡の表面を上方に向けた鏡を目線より下に配置し、
上方で屈曲した電線を前記鏡に映し込み、
2つの直線指標を鏡の中で屈曲している電線に沿わせ、
前記2つの直線指標の相対角度を測定することにより、前記電線の屈曲角度を測定することを特徴とする電線の屈曲角度測定方法。
【請求項1】
鏡と、
鏡の表面に沿って少なくとも一方が回転可能な2つの直線指標と、
前記2つの直線指標の相対角度を測定可能な角度計とを備え、
電柱の両径間の電線を前記鏡に映し込み、鏡に映った両径間の電線それぞれに前記2つの直線指標を一致させることにより、前記角度計が前記電線の屈曲角を示すことを特徴とする電線の屈曲角度測定器。
【請求項2】
前記2つの直線指標は1つの回転軸によって少なくとも一方が回転可能に取り付けられており、
前記角度計は前記直線指標の一方に取り付けられ前記回転軸に中心を一致させた分度器であって、
前記直線指標の他方は、前記回転軸に対し、電線に沿わせる直線部の反対側に、前記分度器上の角度を示す角度指示部を有することを特徴とする請求項1に記載の電線の屈曲角度測定器。
【請求項3】
前記角度計は前記鏡またはその枠部に設けた目盛りであって、前記直線指標の先端に前記目盛りを指示する指示部を有することを特徴とする請求項1に記載の電線の屈曲角度測定器。
【請求項4】
前記直線指標は、電線を見通すためのスリットを有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電線の屈曲角度測定器。
【請求項5】
前記直線指標を保持して回転を停止させる回転停止部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電線の屈曲角度測定器。
【請求項6】
前記鏡を設置面に対して所定角度傾けるための底面支持部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電線の屈曲角度測定器。
【請求項7】
前記鏡を水平面に対して所定角度傾けた状態で水平を計測する水平器を備えたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電線の屈曲角度測定器。
【請求項8】
前記鏡を電柱に固定するための電柱固定具を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5又は請求項7のいずれか1項に記載の電線の屈曲角度測定器。
【請求項9】
前記鏡の背面に、三脚に取り付けるための三脚固定部を設けたことを特徴とする請求項1から請求項5又は請求項7のいずれか1項に記載の電線の屈曲角度測定器。
【請求項10】
前記直線指標の回転軸上に設けた照門と、前記2つの直線指標それぞれの先端近傍に設けた照星とからなる照準器を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電線の屈曲角度測定器。
【請求項11】
鏡の表面を上方に向けた鏡を目線より下に配置し、
上方で屈曲した電線を前記鏡に映し込み、
2つの直線指標を鏡の中で屈曲している電線に沿わせ、
前記2つの直線指標の相対角度を測定することにより、前記電線の屈曲角度を測定することを特徴とする電線の屈曲角度測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−38631(P2010−38631A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199681(P2008−199681)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】
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