説明

屋外用照明器具

【課題】 つららの原因となる再凍結の問題が発生することなく、エネルギーも必要としない新たな屋外用照明器具を提供することを目的としている。
【解決手段】 器具本体100Aの内部に光源を有しており、この光源からの光を外部に照射する屋外用照明器具であって、前記器具本体100Aの上側本体110Aは上側に凸の曲面で構成されている。この上側本体110Aの稜線、すなわち上側本体110Aの上側に最も凸になった線には、雪割壁112Aが垂直に立設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路等に設置される屋外用照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
道路等に設置される屋外用照明器具は、光源と、これを内蔵する器具本体とを有している。器具本体は、光源からの光を外部に照射するための透光性を有する下側本体と、この下側本体と組み合わされて器具本体を構成する上側本体とを有している。
上側本体の上面はほぼ平坦な形状になっていることが多い。
【0003】
かかる屋外用照明器具を降雪地方に設置すると、器具本体の上に雪が積もってしまうことがある。積もった雪は光源が発する熱で溶けて、屋外用照明器具の器具本体の縁部につららとなって付着する。このつららが落下すると非常に危険なため、つららができないようにした屋外用照明器具が提案されている。
【0004】
例えば、特開2002−150807号公報記載の屋外用照明器具にあっては、『器具本体の一部に雨水や雪などが垂れ落ちる水垂れ部分』を形成し、『水垂れ部分を0℃以上に常に保持する発熱部』を設けている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−150807
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、積雪を加熱して溶かすタイプのものは、再凍結とそれに起因するつららの発生という問題が必ず発生する。また、加熱のためのエネルギーが必要となるという問題点もある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたもので、つららの原因となる再凍結の問題が発生することなく、エネルギーも必要としない新たな屋外用照明器具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る屋外用照明器具は、器具本体の内部に光源を有しており、この光源からの光を外部に照射する屋外用照明器具であって、前記器具本体の上側本体は上側に凸の曲面で構成されている。
【0009】
この屋外用照明器具では、上側に凸の曲面として構成された上側本体の稜線には垂直な雪割壁が立設されていることが望ましい。
【0010】
また、本発明に係る他の屋外用照明器具は、器具本体の内部に光源を有しており、この光源からの光を外部に照射する屋外用照明器具であって、前記器具本体の上側本体は複数の平面を上側に凸になるように組み合わせている。
【0011】
この屋外用照明器具では、平面同士の突き合わさった辺のうち、最も上方に位置する辺に垂直な雪割壁が立設されていることが望ましい。
【0012】
前記雪割壁は50mm以上の高さを有することが望ましい。
【0013】
なお、器具本体の上側本体には超親水加工が施されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る屋外用照明器具は、器具本体の上側本体が上側に凸の曲面、あるいは複数の平面を上側に凸になるように組み合わせているので、降った雪が上側本体の上を滑り落ちる。このため、上側本体の上に雪が積もらず、その結果、つららが生じない。
【0015】
また、上側本体の上側に凸の曲面の稜線、あるいは複数の平面同士の突き合わさった辺のうち、最も上方に位置する辺に垂直な雪割壁を立設しているので、万が一、雪が積もったとしても雪割壁の左右で雪塊が分断されて一体とならない。このため、雪塊は上側本体を跨ぐような形にはならず、雪塊はある程度の大きさになると、自然と雪割壁の左右に分かれて滑り落ちる。その結果、つららが生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る屋外用照明器具の概略的斜視図、図2は本発明の第1の実施の形態に係る屋外用照明器具の上側本体から雪塊が滑り落ちることを説明するための概略的正面図、図3は本発明の第2の実施の形態に係る屋外用照明器具の概略的斜視図である。
【0017】
本発明の第1の実施の形態に係る屋外用照明器具Aは、器具本体100Aの内部に光源を有しており、この光源からの光を外部に照射する屋外用照明器具であって、前記器具本体100Aの上側本体110Aは上側に凸の曲面で構成されている。
【0018】
この屋外用照明器具Aの外観を構成する器具本体100Aは、上側に凸の曲面を有する上側本体110Aと、この上側本体110Aの下方に取り付けられる透光性を有する下側本体120Aとを有している。
【0019】
前記上側本体110Aは、下方が開放された略蒲鉾状の枠体であって、一端側が傾斜面111Aとなっている。また、この上側本体110Aの他端側は、屋外用照明器具Aを支柱500等に取り付けるための取付具200が設けられている。
【0020】
この上側本体110Aの稜線、すなわち上側本体110Aの上側に最も凸になった線には、雪割壁112Aが垂直に立設されている。この雪割壁112Aは、上側本体110Aに積もった雪を雪割壁112Aの左右に分断するために設けられている。
なお、この雪割壁112Aの高さは、各種の実験の結果、少なくとも50mm以上とすることが望ましいことが判明している。
【0021】
この雪割壁112Aがない場合には以下のような問題が発生するおそれがある。
すなわち、一時期に大量の降雪があると、初期に降った雪は後から降り注ぐ雪の重さによって固められられるため、上側に凸になった曲面である上側本体110Aの上に降り積もっても上側本体110Aを跨ぐような格好で1個の雪塊になる。このような雪塊は、上側本体110A上から自然と除去されることは考えられない。
【0022】
しかしながら、雪割壁112Aがあると、雪割壁112Aを挟んだ位置に積もった雪がつながって1個の雪塊になることがない。しかも、この雪割壁112Aは稜線に垂直に立設されているため、積もった雪は必ず上側本体110Aの上から自然と滑り落ちる。この雪割壁112Aは50mm以上あれば、日本国内で観測されるどのような豪雪の場合でも、積もった雪が雪塊になる前に上側本体110Aから滑り落ちることになる。
【0023】
なお、この上側本体110Aの上側に凸になった曲面は、凹凸等があるとその部分に雪が積もりやすくなるので、複数枚の金属板を溶接等でつなぎ合わせて構成するのではなく、1枚の金属板を湾曲形成させて構成することが望ましい。
【0024】
この上側本体110Aに設けられる取付具200は、先端が開いた略凹字形状の器具側取付部材210と、この器具側取付部材210を補強するために内側に設けられる補強部材220と、前記器具側取付部材210の開口に通されて支柱に巻き付けられるベルト部材230とを有している。
【0025】
前記器具側取付部材210は、防錆処理等が施された金属板を加工して構成されている。この器具側取付部材210は、凹字の底部に相当する部分が上側本体110Aの側面部に溶接、ビス止め等の適宜な手法によって固定される。この器具側取付部材210の凹字の側部に相当する部分には、縦長の長方形状の開口が開設されている。また、この器具側取付部材210の凹字の側部に相当する部分の先端は、外方に向かって拡大している。屋外用照明器具Aが取り付けられる支柱500の形状に沿わせるためである。
【0026】
前記補強部材220は、器具側取付部材210の内側、すなわち凹字の側部に相当する部分の間に橋渡しして設けられる。なお、この補強部材220は、器具側取付部材210の開口を避けて取り付けられることはいうまでもない。
【0027】
前記ベルト部材230は、支柱500に巻き付けられる帯状の金属部材であって、両端部が前記器具側取付部材210の開口に挿入固定された状態で支柱500を緊縛して屋外用照明器具Aを支柱500に取り付ける。
【0028】
一方、前記下側本体120Aは透光性を有する合成樹脂等で形成されており、上側本体110Aの開放された下方側に取り付けられて上側本体110Aの開放された下方側を覆う。この下側本体110Aは、下側に向かった凸となっている。
【0029】
前記上側本体110Aと下側本体120Aとで囲まれた空間、すなわち器具本体100Aの内部は、光源としての複数個の発光ダイオード素子や、これらを駆動するための電子回路等が格納される空間となっている。なお、発光ダイオードを光源として使用するのは、ハロゲンランプやナトリウムランプ等の他の光源より発熱量が極めて少ないからである。発熱量が少ないと、上側本体110Aの上に降った雪が溶けないで、すなわち雪のまま上側本体110Aの上を滑り落ちることがより期待できるからである。
【0030】
このように構成された屋外用照明器具Aに雪が降った場合、降り方が少ないと、雪は上側本体110Aの上側の凸になった曲面上を滑り落ちるので、上側本体110A上には雪は積もらない。
【0031】
上側本体110Aの上を滑り落ちる間もなく、次々と雪が積もるような状態になっても、図2に示すように、雪割壁112Aの左右の雪塊は雪割壁112Aによって分断されて一体となっておらず、上側本体110Aを跨ぐような形にはならない。このため、雪塊はある程度の大きさになると、自然と雪割壁112Aの左右に分かれて滑り落ちる(図2矢印参照)。
【0032】
このように、上側本体110Aの上に雪が積もらず、積もったとしても雪塊がある程度の大きさになると自然と滑り落ちるので、積もった雪が光源からの熱で溶けることに起因するつららの付着がない。
【0033】
特に、上側本体110Aの上側の凸になった曲面や雪割壁112に二酸化チタン等を主成分とする超親水性コーティング剤を塗布しておけば、より雪塊が付着しにくくなるという効果がある。
【0034】
上述した第1の実施の形態では、上側本体110Aは上側の凸になった曲面であったが、図3に示すような第2の実施の形態に係る屋外用照明器具Bにあるように、器具本体100Bの上側本体110Bがいわゆる切り妻型であってもよい。
【0035】
この切り妻型の上側本体110Bは、2つの平面を上側が凸になるように組み合わせたものである。そして、この平面同士の突き合わさった辺のうち、最も上方に位置する辺に垂直な雪割壁112Bが立設されている。
【0036】
上側本体110Bをこのようにな切り妻型とし、かつ最も上の辺に垂直な雪割壁112Bを立設することで、上側本体110Bの上に雪が積もらなくなるし、積もったとして雪塊がある程度の大きさになる前に滑り落ちるので、積もった雪が光源からの熱で溶けることに起因するつららの付着がない。
【0037】
なお、この屋外用照明器具Bも屋外用照明器具Aと同様の略凹字形状の器具側取付部材210と、この器具側取付部材210を補強するために内側に設けられる補強部材220と、前記器具側取付部材210の開口に通されて支柱に巻き付けられるベルト部材230とからなる取付具200によって支柱500に取り付けられる。
【0038】
また、複数の平面を組み合わせるタイプのものには、切り妻型のみならず、ピラミッド型や三角錐型も含まれる。このピラミッド型や三角錐方のものにあっては、複数の平面同時が突き合わさった辺はすべて同じ高さに位置するので、全ての辺に雪割壁を形成することが望ましい。
【0039】
なお、上述した実施の形態では、器具本体100A、100Bの上側本体110A、101Bに雪割壁112A、112Bを設けたが、それほどの豪雪地帯でなければ、雪割壁112A、112Bはなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る屋外用照明器具の概略的斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る屋外用照明器具の上側本体から雪塊が滑り落ちることを説明するための概略的正面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る屋外用照明器具の概略的斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
100A 器具本体
110A 上側本体
120A 下側本体
112A 雪割壁
A 屋外用照明器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体の内部に光源を有しており、この光源からの光を外部に照射する屋外用照明器具において、前記器具本体の上側本体は上側に凸の曲面で構成されていることを特徴とする屋外用照明器具。
【請求項2】
器具本体の内部に光源を有しており、この光源からの光を外部に照射する屋外用照明器具において、前記器具本体の上側本体は複数の平面を上側に凸になるように組み合わせてなることを特徴とする屋外用照明器具。
【請求項3】
請求項1記載の屋外用照明器具において、上側本体の稜線には垂直な雪割壁が立設されていることを特徴とする屋外用照明器具。
【請求項4】
請求項2記載の屋外用照明器具において、平面同士の突き合わさった辺のうち、最も上方に位置する辺に垂直な雪割壁が立設されていることを特徴とする屋外用照明器具。
【請求項5】
請求項3又は4記載の屋外用照明器具において、雪割壁は50mm以上の高さを有することを特徴とする屋外用照明器具。
【請求項6】
請求項1乃至4記載の屋外用照明器具において、少なくとも器具本体の上側本体には超親水加工が施されていることを特徴とする屋外用照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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