説明

屋外設置槽用可動式覆蓋

【課題】開放面積及び開放位置も自由に設定でき、覆蓋の重量を軽量化すると共に、開閉が容易な屋外設置槽用可動式覆蓋を提供すること。
【解決手段】屋外設置槽例えば貯水槽1の開口部2を開閉可能に覆う屋外設置槽用可動式覆蓋において、貯水槽の開口部の一方の対向する縁部間に架設される第1の梁材10によって開口部を区画し、第1の梁材と開口部の他方の対向する縁部に配設される第2の梁材20とを互いに平行に配置すると共に、第1の梁材と第2の梁材の対向する面に複数段の棚部50を形成し、区画された開口部を閉塞すべく第1及び第2の梁材間に架設される複数の覆蓋材40を、棚部上を転動するローラ60を介して各棚部にそれぞれ開閉移動可能に配設する。これにより、覆蓋の重量を軽量化することができると共に、開閉を容易にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば浄水場に設置される浄化槽,貯水槽や上水路等の屋外設置槽の開口部を被覆する屋外設置槽用可動式覆蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、浄化槽,貯水槽や上水路等は、精製した上水に雨水等による大気の汚れやゴミの浸入を防ぐために、浄化槽,貯水槽や上水路等の開口部を平板状の覆蓋で被覆している。従来では、これらの覆蓋の材料として、軽量で作業性に優れ、長尺で幅広の面材が形成でき、かつ、リサイクル性に優れたアルミニウム製の覆蓋が提案されている。
【0003】
アルミニウム製の覆蓋として、複数の枠材にアルミニウム製板材が取付けられた屋根材(覆蓋材)が知られており、この屋根材の両側には車輪ユニットが取付けられ、槽の縁部に沿設されたレール上を移動するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−8245号公報(段落番号0012、図1,図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の特開2005−8245号公報に記載の覆蓋においては、槽の開口面積が大きい場合には覆蓋の強度を考えた場合、極めて大型の構造となり、槽を開放したい場合の開放面積、開放位置も限られるものであった。また、覆蓋材は枠材に表面板を張った構造であるために、表面板の変形が生じ屋根勾配を大きくしないと覆蓋上に水が滞留するので、大きな屋根勾配が必要であった。
【0005】
また、枠材に表面板を張った構造とするには、枠材の剛性を極めて高くしないと平面より見た形状における変形(面内変形)が生じるという問題があった。また、剛性を高くするには重量が増加するため、覆蓋を手動で開閉する場合に、一人で開閉することが困難となり、車輪構造を工夫する必要があった。
【0006】
この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、開放面積及び開放位置も自由に設定できる覆蓋を提供し、更にまた、覆蓋の重量を軽量化すると共に、開閉容易な屋外設置槽用可動式覆蓋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明の屋外設置槽用可動式覆蓋は、浄水槽,貯水槽や上水路等の屋外設置槽の開口部を開閉可能に覆う屋外設置槽用可動式覆蓋を前提とし、請求項1記載の発明は、上記屋外設置槽の開口部の一方の対向する縁部間に架設される第1の梁材によって開口部を区画し、 上記第1の梁材と上記開口部の他方の対向する縁部に配設される第2の梁材とを互いに平行に配置すると共に、第1の梁材と第2の梁材の対向する面に複数段の棚部を形成し、 区画された上記開口部を閉塞すべく上記第1及び第2の梁材間に架設される複数の覆蓋材を、上記棚部上を転動するローラを介して各棚部にそれぞれ開閉移動可能に配設してなる、ことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、上記屋外設置槽の開口部の一方の対向する縁部間に架設される互いに平行な複数の第1の梁材によって開口部を区画し、 上記第1の梁材と上記開口部の他方の対向する縁部に配設される第2の梁材とを互いに平行に配置し、 上記第1の梁材同士の対向する面及び第1の梁材と第2の梁材の対向する面に複数段の棚部を形成し、 区画された上記開口部を閉塞すべく上記第1及び第2の梁材間に架設される複数の覆蓋材を、上記棚部上を転動するローラを介して各棚部にそれぞれ開閉移動可能に配設してなる、ことを特徴とする。
【0009】
このように構成することにより、屋外設置槽の開口部の対向する縁部間に架設される1又は複数の第1の梁材によって開口部を区画し、区画された開口部を、第1の梁材及び第2の梁材の棚部上を転動するローラを介して複数の覆蓋材によって開閉可能に覆うことができる。また、各覆蓋材を、梁材の対向する面に形成された複数段の棚部に開閉移動可能に配設することで、各覆蓋材を互いに干渉させることなく段状に積層した状態で開口部を開放することができる。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の屋外設置槽用可動式覆蓋において、上記ローラを、上記覆蓋材の開閉移動方向の前後2箇所に設けると共に、両ローラの取付位置を変えて覆蓋材の上面に水勾配を設け、かつ、上記水勾配を、閉塞状態における上記覆蓋材の上段側から下段側に向かって設ける、ことを特徴とする。
【0011】
このように構成することにより、覆蓋材の開閉移動方向の前後2箇所に設けたローラを棚部上に転動させて覆蓋材の開閉移動を行うことができる。また、両ローラの取付位置を変えることで、覆蓋材の上面に容易に水勾配を設けることができる。
【0012】
また、請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の屋外設置槽用可動式覆蓋において、上記覆蓋材の端部に、上記梁材の起立片に転動可能なガイドローラを装着してなる、ことを特徴とする。
【0013】
このように構成することにより、覆蓋材の開閉移動時に開閉方向と直交する方向の覆蓋材の傾きを防止することができる。
【0014】
また、請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の屋外設置槽用可動式覆蓋において、上記覆蓋材の開閉移動方向における端部辺に水切りシートを垂下し、下段側に位置する覆蓋材における開閉移動方向における端部辺には、上記水切りシートより内側に起立する水切り片を設けてなる、ことを特徴とする。
【0015】
このように構成することにより、覆蓋材の上面に溜まった雨水等が下段の覆蓋材を伝って槽内に浸入するのを防止することができる。
【0016】
また、請求項6記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の屋外設置槽用可動式覆蓋において、上記覆蓋材に、弾性力を付勢して梁材側に突出するストッパ部材を設け、上記梁材には、上記ストッパ部材が係合可能な係止部を設け、更に、上記弾性力に抗して上記ストッパ部材と係止部との係合を解除するストッパ解除治具を具備してなる、ことを特徴とする。この場合、上記ストッパ部材を、上記覆蓋材の上面に対峙する一対の支持ブラケットに設けられた貫通孔を貫通するストッパピンにて形成し、このストッパピンに装着されるばね受け鍔部と上記覆蓋材の内方側の一方の支持ブラケットとの間にばね部材を縮設し、上記ばね部材の弾性力の付勢によって当接する上記ばね受け鍔部と他方の支持ブラケットとの当接部上面に上方に向かって拡開するテーパ面を形成し、上記ストッパ解除治具の先端に、上記テーパ面を離反する楔状解除部を設ける方が好ましい(請求項7)。
【0017】
このように構成することにより、覆蓋材を開口部の閉塞位置又は開放位置に固定することができると共に、ストッパ解除治具を用いてストッパ状態を解除して覆蓋材の開閉移動を可能にすることができる。
【0018】
また、この発明において、上記第1の梁材と第2の梁材の間に架設されて上記開口部を区画する第3の梁材を更に具備するか、あるいは、上記第1の梁材同士間及び第1の梁材と第2の梁材の間に架設されて上記開口部を区画する第3の梁材を更に具備するようにしてもよい(請求項8,9)。
【0019】
このように構成することにより、屋外設置槽の開口部を更に小面積に区画することができる。
【0020】
また、上記覆蓋材をハニカムパネルにより形成してもよい(請求項10)。
【0021】
これにより、開閉時に平面形状に変形が生じることなく、開閉の容易な覆蓋を提供できる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、上記のように構成されているので、以下のような効果が得られる。
【0023】
(1)請求項1,2記載の発明によれば、梁材によって区画された開口部を、梁材に形成された棚部上を転動するローラを介して複数の覆蓋材によって開閉可能に覆うことができるので、覆蓋材を小型軽量にすることができると共に、開閉を容易にすることができる。また、各覆蓋材を互いに干渉させることなく段状に積層した状態で開口部を開放することができるので、開放状態の開口面積を広くすることができると共に、覆蓋材の格納を容易にすることができる。
【0024】
(2)請求項3記載の発明によれば、覆蓋材の開閉移動方向の前後2箇所に設けたローラを棚部上に転動させて覆蓋材の開閉移動を行うことができるので、上記(1),(2)に加えて、更に覆蓋材の開閉移動を安定した状態で容易に行うことができる。また、両ローラの取付位置を変えることで、覆蓋材の上面に容易に水勾配を設けることができ、かつ、水勾配を、閉塞状態における覆蓋材の上段側から下段側に向かって設けるので、覆蓋材の上面に雨水等が溜まるのを防止することができ、上記(1)に加えて、更に雨水等が屋外設置槽内に浸入するのを防止することができる。
【0025】
(3)請求項4記載の発明によれば、覆蓋材の開閉移動時に開閉方向と直交する方向の覆蓋材の傾きを防止することができるので、上記(1),(2)に加えて、更に覆蓋材の開閉移動を容易かつ確実にすることができる。
【0026】
(4)請求項5記載の発明によれば、覆蓋材の上面に溜まった雨水等が下段の覆蓋材を伝って槽内に浸入するのを防止することができるので、上記(1)〜(3)に加えて、更に雨水等が槽内に浸入するのを確実に防止することができる。
【0027】
(5)請求項6,7記載の発明によれば、覆蓋材を開口部の閉塞位置又は開放位置に固定することができると共に、ストッパ解除治具を用いてストッパ状態を解除して覆蓋材の開閉移動を可能にすることができるので、上記(1)〜(4)に加えて、更に覆蓋材の閉塞状態を確実にする事ができると共に、開閉作業を容易にすることができる。
【0028】
(6)請求項8,9記載の発明によれば、屋外設置槽の開口部を更に小面積に区画することができるので、上記(1)〜(5)に加えて、更に梁材に強度をもたせることができる。
【0029】
(7)請求項10記載の発明によればハニカムパネルは面内強度が大きいので、開閉時に平面形状に変形が生じることなく、開閉の容易な覆蓋を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、この発明に係る屋外設置槽用可動式覆蓋の最良の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0031】
<第1実施形態>
図1は、この発明に係る屋外設置槽用可動式覆蓋の第1実施形態の使用状態(被覆状態)を示す概略平面図、図2は、図1のI−I線に沿う概略断面図、図3は、図2の要部断面図、図4は、図1のII−II線に沿う断面図である。
【0032】
上記屋外設置槽用可動式覆蓋(以下に、単に覆蓋という)は、屋外設置槽例えば貯水槽1の開口部2における一方の対向する縁部間に架設されて、開口部2を区画する互いに平行な複数(図面では2本の場合を示す)の第1の梁材10と、開口部2の他方の対向する縁部に配置される第1の梁材10と互いに平行な第2の梁材20と、第1の梁材10同士間及び第1の梁材10と第2の梁材20の間に架設されて開口部2を区画する第3の梁材30と、第1〜第3の梁材10,20,30によって区画された開口部2を開閉する複数(図面では、5枚の場合を示す)の覆蓋材40と、で主に構成されている。
【0033】
また、第1の梁材10同士の対向する面及び第1の梁材10と第2の梁材20の対向する面には、複数段の棚部50が形成されており、第1の梁材10間及び第1の梁材10と第2の梁材20との間に架設される複数の覆蓋材40は、棚部50上を転動するローラ60を介して各棚部50にそれぞれ開閉移動可能に配設されている。
【0034】
上記第1の梁材10は、図4に示すように、互いに平行に間隔をおいて対峙する一対の梁材本体11と、両梁材本体11の上部間に架設され、溶接又はボルト等にて固定されるプレート12とで構成されている。この場合、梁材本体11は、この梁材本体11の基部をなす起立片13の上下部にそれぞれ上部水平片14及び下部水平片15を有する断面略I字状のアルミニウム製の押出形材によって形成されている。なお、プレート12は、滑り止め機能を有する例えばアルミニウム製チェッカープレートによって形成されている。
【0035】
上記第2の梁材20は、図4に示すように、第1の梁材10の梁材本体11と同様に、起立片23の上下部にそれぞれ上部水平片24及び下部水平片25を有する断面略I字状のアルミニウム製の押出形材によって形成されている。
【0036】
上記第1の梁材10の梁材本体11と第2の梁材20の対向する起立片13,23の側面には、棚部材51が例えばボルト、ナット等の固定部材55によって多段に固定されて、棚部50が構成されている。この場合、棚部材51は、図5及び図6に示すように、ローラ60のレール面を構成する水平基部52と、この水平基部52の一端に垂下する垂下片53と、水平基部52の他端に垂下する肉厚の取付用垂下片54とを有する略チャンネル状のアルミニウム製の押出形材によって形成されており、取付用垂下片54と第1の梁材10又は第2の梁材20の起立片13,23とが固定部材55によって固定されている。
【0037】
一方、上記覆蓋材40は、図4〜図6に示すように、一対のアルミニウム製表面板41と、これら表面板41間に介在されるアルミニウム製の中空コア材42とをろう付けあるいは接着によって一体化したハニカムパネルによって形成されている。なお、この場合、覆蓋材40の縁部の表面板41間には、アルミニウム製の中空押出形材にて形成される枠材43が介在されている。このように、覆蓋材40をアルミニウム製ハニカムパネルによって形成することにより、覆蓋材40の面内強度を大きくすることができるので、開閉時の平面形状に変形が生じることなく、開閉を容易にすることができる。
【0038】
上記ローラ60は、図3〜図6に示すように、覆蓋材40の両端部の枠材43にボルト61によって固定されるローラ保持部材62に枢支軸63を介して回転自在に装着されて、棚部材51の水平基部52上を転動し得るようになっている。なお、最下段側の覆蓋材40に装着されたローラ60は、第1及び第2の梁材10,20の下部水平片15,25上を転動し得るようになっている。また、図3に示すように、ローラ60は、各覆蓋材40の開閉移動方向の前後2箇所に設けられており、この際、両ローラ60の取付位置を変えて覆蓋材40の上面に水勾配θを設け、かつ、水勾配θを、閉塞状態における覆蓋材40の上段側から下段側に向かって設けている。したがって、覆蓋材40によって開口部2を閉塞した状態においては、上段側の覆蓋材40から順次下段側の覆蓋材40に向かって水勾配θが形成されるので、覆蓋材40の上面に溜まった雨水等を貯水槽1の外側に排水することができる。
【0039】
また、各覆蓋材40の開閉移動方向の前後端部の2箇所には覆蓋材40の開閉移動を安定化させるためのガイドローラ65が装着されている。このガイドローラは、図3及び図6に示すように、覆蓋材40の枠材43にボルト66によって固定されるガイドローラ保持部材67に垂直軸68を介して回転自在に装着されて、第1の梁材10及び第2の梁材20の起立片13,23の側面に転動可能に構成されている。
【0040】
また、図3に示すように、各覆蓋材40の開閉移動方向における端部辺に、例えば合成ゴム製の水切りシート70が垂下されている。また、下段側に位置する覆蓋材40における開閉移動方向における端部辺には、水切りシート70より内側に起立する水切り片71が設けられている。このように構成することにより、覆蓋材40の上面に溜まった雨水等が下段の覆蓋材40を伝って貯水槽1内に浸入するのを防止することができる。
【0041】
なお、この場合、水切りシート70は弾力性があり変形が容易なので図3において上段側の覆蓋材40を固定した状態で、下段側の覆蓋材40を図3において右方に移動させることができ、任意の位置の覆蓋材40を任意の方向に移動できるようになる。
【0042】
また、覆蓋材40には、弾性力を付勢して例えば第1の梁材10側に突出するストッパ部材80が設けられており、第1の梁材10には、ストッパ部材80が係合可能な係止部81を設け、更に、弾性力に抗してストッパ部材80と係止部81との係合を解除するストッパ解除治具90が備えられている。なおこの場合、係止部81は、第1の梁材10の棚部50を構成する棚部材51の垂下片53に設けられる切欠き81aによって形成されている(図5及び図6参照)。
【0043】
この場合、ストッパ部材80は、覆蓋材40の上面に対峙する一対の支持ブラケット82,83に設けられた貫通孔84を貫通するストッパピンにて形成され、このストッパピンに装着されるばね受け鍔部85と覆蓋材40の内方側の一方の支持ブラケット82との間にばね部材例えば圧縮ばね86を縮設し、圧縮ばね86の弾性力の付勢によって当接するばね受け鍔部85と他方の支持ブラケット83との当接部上面に上方に向かって拡開するテーパ面87が形成されている。一方、ストッパ解除治具90の先端には、テーパ面87を離反する楔状解除部91が設けられている。
【0044】
なお、ストッパ解除治具90は、図7に示すように、第1の梁材10に立設された手摺100の笠木101に摺動可能に装着される可動保持体102によって上下移動可能に保持されるか、あるいは、可動保持体102に着脱可能に保持されている。このように構成することにより、ストッパ解除治具90を可動保持体102によって保持することができるので、ストッパ解除治具90の保管が容易となり、また、ストッパ解除治具90を使用する場合には、作業者が可動保持体102と共にストッパ解除治具90を目的の場所に容易に移動することができるので、覆蓋材40の開放作業を容易にすることができる。
【0045】
上記のように構成されるストッパ部材80とストッパ解除治具90を設けることにより、覆蓋材40を閉塞位置に移動した状態でストッパ部材80が第1の梁材10の係止部81に係合して、覆蓋材40がロックされる(図5及び図6参照)。また、覆蓋材40のロック状態を解除する場合は、図7に示すように、ストッパ解除治具90の先端に設けられた楔状解除部91を、ばね受け鍔部85と支持ブラケット83との当接部上面に設けられたテーパ面87に押し当ててテーパ面87を離反することで、ストッパ部材80が係止部81から外れて、覆蓋材40のロックを解除することができる。
【0046】
また、上下に位置する覆蓋材40同士は、上方の覆蓋材40を開放側に移動する際に、上段の覆蓋材40が連動して移動し得るように形成することもできる。すなわち、図8に示すように、上述のゴム製の水切りシート70に代えて上段の覆蓋材40における閉塞側端部辺に強度の大きい垂下係止部45を設け、下段の覆蓋材40における開放側端部辺に起立係止部46を設けることにより、上段の覆蓋材40を閉塞状態から開放方向に移動する際に、垂下係止部45が下段の覆蓋材40の起立係止部46に係合して、上段の覆蓋材40の開放に伴って下段の覆蓋材40を開放することができるようになる。
【0047】
上記のように構成されるこの発明に係る覆蓋によれば、貯水槽1を第1〜第3の梁材10,20,30によって区画し、区画された開口部2を複数のアルミニウム製ハニカムパネルによって形成される覆蓋材40によって開閉することができるので、大型の貯水槽1においても一人の作業者によって容易に開閉することができると共に、開放面積及び開放位置を自由に設定することができる。また、開放状態においては、覆蓋材40を重ねて収納することができるので、開口面積を広くとることができる。
【0048】
<その他の実施形態>
上記実施形態では、貯水槽1の区画された開口部2を開閉する覆蓋材40が5枚である場合について説明したが、5枚以外の複数枚の覆蓋材40によって覆蓋を形成してもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、貯水槽1の開口部2を2本の第1の梁材10と2本の第2の梁材20と第1の梁材10間及び第1の梁材10と第2の梁材20に架設される第3の梁材30によって区画する場合について説明したが、必ずしもこのような構造である必要はない。例えば、第3の梁材30を設けずに、1又は複数の第1の梁材10と第2の梁材20とで開口部2を区画してもよい。
【0050】
また、上記実施形態において、ローラ60をモータによって駆動させて、覆蓋材40を自動開閉式にすることも可能である。
【0051】
なお、上記実施形態では、貯水槽1の開口部2を閉塞する覆蓋について説明したが、この発明に係る覆蓋は、貯水槽以外の屋外設置槽にも適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】この発明に係る屋外設置槽用可動式覆蓋の第1実施形態の使用状態(被覆状態)を示す概略平面図である。
【図2】図1のI−I線に沿う概略断面図である。
【図3】図2の要部断面図である。
【図4】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図5】図3のIII−III線に沿う断面図である。
【図6】図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図7】この発明におけるストッパ解除治具を用いたストッパ解除状態を示す断面図である。
【図8】この発明における隣接する覆蓋材の係合状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 貯水槽(屋外設置槽)
2 開口部
10 第1の梁材
13 起立片
20 第2の梁材
23 起立片
30 第3の梁材
40 覆蓋材
41 表面板
42 中空コア材
45 垂下係止部
46 起立係止部
50 棚部
51 棚部材
60 ローラ
65 ガイドローラ
70 水切りシート
71 水切り片
80 ストッパ部材
81 係止部
82,83 支持ブラケット
84 貫通孔
85 ばね受け鍔部
86 圧縮ばね(ばね部材)
87 テーパ面
90 ストッパ解除治具
91 楔状解除部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浄水槽,貯水槽や上水路等の屋外設置槽の開口部を開閉可能に覆う屋外設置槽用可動式覆蓋において、
上記屋外設置槽の開口部の一方の対向する縁部間に架設される第1の梁材によって開口部を区画し、
上記第1の梁材と上記開口部の他方の対向する縁部に配設される第2の梁材とを互いに平行に配置すると共に、第1の梁材と第2の梁材の対向する面に複数段の棚部を形成し、
区画された上記開口部を閉塞すべく上記第1及び第2の梁材間に架設される複数の覆蓋材を、上記棚部上を転動するローラを介して各棚部にそれぞれ開閉移動可能に配設してなる、
ことを特徴とする屋外設置槽用可動式覆蓋。
【請求項2】
浄水槽,貯水槽や上水路等の屋外設置槽の開口部を開閉可能に覆う屋外設置槽用可動式覆蓋において、
上記屋外設置槽の開口部の一方の対向する縁部間に架設される互いに平行な複数の第1の梁材によって開口部を区画し、
上記第1の梁材と上記開口部の他方の対向する縁部に配設される第2の梁材とを互いに平行に配置し、
上記第1の梁材同士の対向する面及び第1の梁材と第2の梁材の対向する面に複数段の棚部を形成し、
区画された上記開口部を閉塞すべく上記第1及び第2の梁材間に架設される複数の覆蓋材を、上記棚部上を転動するローラを介して各棚部にそれぞれ開閉移動可能に配設してなる、
ことを特徴とする屋外設置槽用可動式覆蓋。
【請求項3】
請求項1又は2記載の屋外設置槽用可動式覆蓋において、
上記ローラを、上記覆蓋材の開閉移動方向の前後2箇所に設けると共に、両ローラの取付位置を変えて覆蓋材の上面に水勾配を設け、かつ、上記水勾配を、閉塞状態における上記覆蓋材の上段側から下段側に向かって設ける、ことを特徴とする屋外設置槽用可動式覆蓋。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の屋外設置槽用可動式覆蓋において、
上記覆蓋材の端部に、上記梁材の起立片に転動可能なガイドローラを装着してなる、ことを特徴とする屋外設置槽用可動式覆蓋。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の屋外設置槽用可動式覆蓋において、
上記覆蓋材の開閉移動方向における端部辺に水切りシートを垂下し、下段側に位置する覆蓋材における開閉移動方向における端部辺には、上記水切りシートより内側に起立する水切り片を設けてなる、ことを特徴とする屋外設置槽用可動式覆蓋。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の屋外設置槽用可動式覆蓋において、
上記覆蓋材に、弾性力を付勢して梁材側に突出するストッパ部材を設け、上記梁材には、上記ストッパ部材が係合可能な係止部を設け、更に、上記弾性力に抗して上記ストッパ部材と係止部との係合を解除するストッパ解除治具を具備してなる、ことを特徴とする屋外設置槽用可動式覆蓋。
【請求項7】
請求項6記載の屋外設置槽用可動式覆蓋において、
上記ストッパ部材を、上記覆蓋材の上面に対峙する一対の支持ブラケットに設けられた貫通孔を貫通するストッパピンにて形成し、このストッパピンに装着されるばね受け鍔部と上記覆蓋材の内方側の一方の支持ブラケットとの間にばね部材を縮設し、上記ばね部材の弾性力の付勢によって当接する上記ばね受け鍔部と他方の支持ブラケットとの当接部上面に上方に向かって拡開するテーパ面を形成し、上記ストッパ解除治具の先端に、上記テーパ面を離反する楔状解除部を設けてなる、ことを特徴とする屋外設置槽用可動式覆蓋。
【請求項8】
請求項1,3ないし7のいずれかに記載の屋外設置槽用可動式覆蓋において、
上記第1の梁材と第2の梁材の間に架設されて上記開口部を区画する第3の梁材を更に具備する、ことを特徴とする屋外設置槽用可動式覆蓋。
【請求項9】
請求項2ないし7のいずれかに記載の屋外設置槽用可動式覆蓋において、
上記第1の梁材同士間及び第1の梁材と第2の梁材の間に架設されて上記開口部を区画する第3の梁材を更に具備する、ことを特徴とする屋外設置槽用可動式覆蓋。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の屋外設置槽用可動式覆蓋において、
上記覆蓋材は、ハニカムパネルにより形成されてなる、ことを特徴とする屋外設置槽用可動式覆蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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