説明

屋外貯蔵設備の冷却装置および冷却方法

【課題】 真空生成設備などの大掛かりな設備を要することなく、高い冷却効率を発揮することができる屋外貯蔵設備の冷却装置および冷却方法を提供する。
【解決手段】 コンクリート骨材が貯蔵される貯蔵ビン1の周囲には、囲壁2が設けられている。囲壁2は、複数のメッシュを重ねて形成されており、通気性を備えている。さらに、貯蔵ビン1の上方には、ミストを噴射するミストノズル4が設けられている。ミストノズル4は、ミストを貯蔵ビン1と囲壁2との間における空間Sに供給する。ミストを貯蔵ビン1と囲壁2との間における空間Sに供給されたミストが貯蔵ビン1に付着して蒸発する際の気化熱によって貯蔵ビン1が冷却される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外貯蔵設備の冷却装置および冷却方法に係り、特に、ダムなどの大規模コンクリート構造物を構築する際に用いられるコンクリート骨材の貯蔵に用いて好適な屋外貯蔵設備の冷却装置および冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダムなどの大規模コンクリート構造物を構築する際には、製造したコンクリート骨材をその径に応じて分類して、それぞれ貯蔵ビンに貯蔵しておくことが行われている。このようにコンクリート骨材を貯蔵するにあたり、製造したコンクリートを冷却することが行われている。コンクリートの冷却方法として、従来、表面に水を含む状態の骨材が貯蔵された雰囲気内を真空とし、水の蒸発による蒸発潜熱によって骨材を冷却する方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、その他の冷却方法としては、コンクリート骨材を貯蔵する貯蔵ビンを日陰に配置し、太陽光による加熱を防ぐことが行われている。また、コンクリート骨材に冷却水を散水したりする方法がとられている。さらには、貯蔵中の骨材の表面に冷風を供給して送風による冷却が行われている。あるいは、これらの方法を組み合わせて冷却態様とすることもある。
【特許文献1】特開昭57−188317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に開示された冷却方法では、コンクリート骨材を冷却するにあたって貯蔵ビン内を真空状態に必要がある。このため、真空状態を生成するための真空生成設備が大掛かりとなるという問題があった。
【0005】
また、その他の冷却方法では、いずれも冷却効率が低かった。このため、コンクリート骨材を十分に冷却することが困難であるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、真空生成設備などの大掛かりな設備を要することなく、高い冷却効率を発揮することができる屋外貯蔵設備の冷却装置および冷却方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明に係る屋外貯蔵設備の冷却装置は、屋外に構築されて貯蔵対象物が貯蔵される屋外貯蔵設備の外側に、屋外貯蔵設備と離間して囲壁が配設され、囲壁の外側または囲壁と屋外貯蔵設備との間にミストを供給するミスト供給装置が設けられており、囲壁は、ミスト供給装置から供給されたミストを付着させるミスト担体を備えており、囲壁は、囲壁の外側の空気を囲壁と屋外貯蔵設備との間に通過させる通気性を備えるものである。
【0008】
本発明に係る屋外貯蔵設備においては、屋外貯蔵設備の外側に囲壁が配設されており、囲壁の外側または囲壁と屋外貯蔵設備との間にミストを供給するミスト供給手段が設けられている。このミスト供給手段によってミストを供給すると、屋外貯蔵設備と囲壁との間にミストが供給され、供給されたミストが屋外貯蔵設備の外側に接触して気化する。このミストの気化熱によって、屋外貯蔵設備を冷却することにより、高い冷却効率を発揮することができる。また、屋外貯蔵設備と離間して囲壁が配設され、囲壁と屋外貯蔵設備との間に空間が形成されている。この空間における空気もミストによって冷却され、しかも冷却された空気が屋外貯蔵設備と囲壁との間の空間から流出し難くなる。このため、屋外貯蔵設備と囲壁との間の空間に冷気が長時間とどまり、冷却効果を高い状態を長く維持することができる。
【0009】
また、囲壁はミストを付着させるミスト担体を備えており、囲壁は、囲壁の外側の空気を囲壁と屋外貯蔵設備との間に通過させる通気性を備えている。このため、ミスト担体にミストを付着させるとともに、囲壁の外側から流入する空気によって囲壁と屋外貯蔵設備との間に、ミスト担体に付着したミストを順次供給することができるので、屋外貯蔵設備付近におけるミストの量を多くすることができるので、時間当たりの蒸発量が増加し、さらに冷却効率を高めることができる。さらには、ミストを供給するにあたってミスト供給手段を設けているのみであるので、たとえば屋外貯蔵設備を真空にする真空生成設備を備えたり、冷却水を排水する排水設備を設けたりする必要がない。したがって、その分、大掛かりな設備を不要とすることができる。
【0010】
ここで、ミスト供給装置は、囲壁と屋外貯蔵設備との隙間からミストを噴射する内側ミスト噴射装置を含む態様とすることができる。
【0011】
このように、内側ミスト噴射装置によって囲壁と屋外貯蔵設備との隙間からミストを噴射することにより、囲壁と屋外貯蔵設備との間の空間に確実にミストを導入することができる。しかも、屋外貯蔵設備側に流れるミストによって屋外貯蔵設備を冷却することができる一方で、囲壁側に流れるミストを囲壁におけるミスト担体に対して確実に付着させることができる。
【0012】
また、ミスト供給装置は、囲壁の外側から囲壁に向けてミストを噴射する外側ミスト噴射装置を含む態様とすることができる。このように、外側ミスト噴射装置によって囲壁の外側から囲壁に向けてミストを噴射することにより、囲壁におけるミスト担体にミストを確実に付着させることができる。
【0013】
さらに、外側ミスト噴射装置が囲壁に取り付けられている態様とすることができる。このように、外側ミスト噴射装置が囲壁に取り付けられている態様とすることにより、外側ミスト噴射装置から供給されるミストをさらに囲壁に付着させることができるとともに、外側ミスト噴射装置の設置場所を確保することができる。したがって、その分省スペース化に寄与することができる。
【0014】
あるいは、ミスト噴射装置から噴射されたミストを囲壁方向へ送る風を供給する送風手段が設けられている態様とすることもできる。このように、ミストを囲壁方向へ送る風を供給する送風手段が設けられていることにより、ミストが蒸発する前に囲壁におけるミスト担体にミストを効率よく付着させることができる。
【0015】
また、屋外貯蔵設備と囲壁とは、平面視した状態で離間して配設されており、内側ミスト噴射装置は、屋外貯蔵設備と囲壁との間から、下方に向けてミストを噴射する態様とすることができる。このように、内側ミスト噴射装置は、屋外貯蔵設備と囲壁との間から、下方に向けてミストを噴射する態様とすることにより、ミストは、囲壁と屋外貯蔵設備との間の空間で漂いながら囲壁の内側または屋外貯蔵設備の外側に付着することになる。したがって、屋外貯蔵設備を効率よく冷却することができる。
【0016】
さらに、ミスト担体がネット、メッシュ、または繁茂植物である態様とすることができる。このように、ミスト担体としては、ネット、メッシュ、または繁茂植物など、一般的な性状として通気性を有するとともに表面積の大きなものを好適に用いることができる。
【0017】
また、ミストの径が10μm〜100μmに調整されている態様とすることができる。このように、ミストの径が10μm〜100μmに調整されていることにより、屋外貯蔵設備を効率よく冷却することができる。
【0018】
さらに、屋外貯蔵設備に、貯蔵対象物としてコンクリート骨材が貯蔵されている態様とすることができる。このように、冷却対象となる貯蔵対象物としては、コンクリート骨材である態様とするのが好適である。
【0019】
他方、上記課題を解決した本発明に係る屋外貯蔵設備の冷却方法は、屋外に構築されて貯蔵対象物が貯蔵される屋外貯蔵設備と、屋外貯蔵設備の外側に屋外貯蔵設備と離間して囲壁との間に、ミスト供給手段によってミストを供給し、囲壁の外側の空気を囲壁と屋外貯蔵設備との間に通過させるとともに、囲壁に設けられたミスト担体に、ミスト供給装置から供給されたミストを付着させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る屋外貯蔵設備の冷却装置および冷却方法によれば、真空生成設備などの大掛かりな設備を要することなく、高い冷却効率を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各実施形態において、同一の機能を有する部分については同一の符号を付し、重複する説明は省略することがある。図1は本発明の第1の実施形態に係る冷却装置が設けられる貯蔵ビンの模式的斜視図、貯蔵ビンの模式的側断面図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態に係る冷却装置が設けられる屋外貯蔵設備である貯蔵ビン1は、屋外に設けられており、中空の円柱状をなしている。この貯蔵ビン1内には貯蔵対象物であるコンクリート骨材が貯蔵されている。貯蔵ビン1に貯蔵されたコンクリート骨材は、熱くなっていないことが望まれる。このため、貯蔵ビン1は冷却することが望まれる。
【0023】
貯蔵ビン1の外側には、囲壁2が貯蔵ビン1と平面視した状態で離間して配設されており、離間距離は、たとえば1cm〜100cmの間のいずれかの距離とされている。このため、貯蔵ビン1と囲壁2との間には、空間Sが形成されている。囲壁2は、複数のメッシュを重ねて構成されており、囲壁2の外側の空気を囲壁2と貯蔵ビン1との間に通過させる通気性を備えている。囲壁2の開口率は、10%〜70%の範囲で、ミストの囲壁通過時の付着性と耐風性能を考慮して調整されている。たとえば、強風時には開口率を低くし、弱風時には開口率を高めることができる。さらに、囲壁2は、貯蔵ビン1の周囲全体を覆うようにして配設されている。
【0024】
貯蔵ビン1の上方位置には、ミスト供給装置3が設けられている。ミスト供給装置3は、複数のミストノズル4を備えており、複数のミストノズル4は、いずれもノズルホルダ5に取り付けられている。ノズルホルダ5は、環状をなしており、その周方向に略等間隔をおいてミストノズル4が取り付けられている。図2に示すように、ミストノズル4は、貯蔵ビン1と囲壁2との間から、下方に向けてミストMを噴射する。
【0025】
ミストノズル4から噴射されるミストMは、その径が10μm〜100μmに調整されている。また、ノズルホルダ5には、高圧水供給管6が配設されており、各ミストノズル4に連結されている。高圧水供給管6は高圧ポンプ7に接続されている。高圧ポンプ7を作動させることにより、清水が高圧水供給管6を介してミストノズル4に供給され、ミストノズル4からミストMが噴射される。
【0026】
また、囲壁2は、メッシュで構成されていることから、ミストノズル4から噴射したミストMを付着させるミスト担体として機能している。囲壁2は、5mm程度の厚みをもって形成されている。囲壁2の厚みによってミストMを付着させる際の付着性能や風を通す際の通気性が調整される。このときの囲壁2の厚みとしては、たとえば2mm〜500mmの範囲の幅とすることができる。
【0027】
さらに、囲壁2の厚みは、囲壁2を構成するメッシュを増減することによって適宜調整可能とされている。囲壁2の厚みが増減されることによって、囲壁2の開口率が調整され、囲壁2を通過する空気の流量が調整される。
【0028】
次に、本実施形態に係る屋外貯蔵設備の冷却装置における作用効果について説明する。本実施形態に係る屋外貯蔵設備の冷却装置では、貯蔵ビン1の上方に複数のミストノズル4が設けられており、ミストノズル4からはミストが噴射される。ミストノズル4は、貯蔵ビン1と囲壁2との間から、下方に向けてミストを噴射している。このため、ミストノズル4から噴射されたミストMは、図2に示すように、貯蔵ビン1と囲壁2との間に案内され、一部は貯蔵ビン1に付着し、他の一部は囲壁2に付着する。
【0029】
貯蔵ビン1に付着したミストMと貯蔵ビン1との間では熱交換が行われ、貯蔵ビン1が冷却されるとともに、ミストMは蒸発する。このミストMが蒸発する際の気化熱により、貯蔵ビン1からは多くの熱を奪うことになる。このため、貯蔵ビン1を効率よく冷却することができる。
【0030】
ここで、本実施形態に係る冷却装置では、ミストノズル4から噴射されるミストMの径が10μm〜100μmの間に調整されている。このため、貯蔵ビン1の冷却効率を高めることができる。いま、ミストMの径が10μm未満の小径のものであると、ミストMが噴射されてすぐに蒸発してしまい、貯蔵ビン1や囲壁2に到達する前にミストMの大部分が蒸発してしまう。このため、貯蔵ビン1から気化熱を奪うことが難しくなり、貯蔵ビン1の冷却効率を高めることができない。一方、ミストMの径が100μmを超えると、貯蔵ビン1に到達するまでに蒸発はし難くなるものの、表面張力が弱くなり貯蔵ビン1や囲壁2に衝突した際にその表面で水の膜を形成し、表面積が減少してしまう。このため、貯蔵ビン1が濡れるだけで水分は蒸発しにくく、気化熱による冷却効率を高めるのが困難になってしまう。
【0031】
また、囲壁2はメッシュからなり、ミスト担体としての機能を備えていることから、囲壁2にはミストノズル4から囲壁2に向けて噴出されたミストMの多くが付着する。さらに、囲壁2は、囲壁2の外側の空気を囲壁2と貯蔵ビン1との間に通過させる通気性を備えている。このため、囲壁2に付着したミストMを外側からの風によって再度貯蔵ビン1と囲壁2との間の空間Sは貯蔵ビン1に向けて供給することができる。空間Sに供給されたミストは、空間Sから流出しにくく空間Sにおいて長時間滞留する。このミストによって空間Sの空気も冷却され、かつ冷却された空気が空間Sに長くとどまることになる。したがって、空間Sにおける冷却された空気によっても貯蔵ビン1は冷却される。さらには、空間Sに供給されたミストMについても、貯蔵ビン1との間での熱交換によって蒸発する。このミストMが蒸発する際の気化熱によって貯蔵ビン1の熱が奪われ、その分貯蔵ビン1が効率よく冷却される。
【0032】
ここで、囲壁2の開口率は10%〜70%の範囲で適宜調整される。囲壁2の開口率が10%未満だと、貯蔵ビン1と囲壁2との間の空間Sに到達するミストMが少なくなってしまう。その一方、囲壁2の開口が70%を超えると、無風時の冷却能力は向上するものの、風がある場合には、その風が微風であってもミストMを囲壁2の外側に流出させて喪失させてしまうこととなる。したがって、囲壁2の開口率は10%〜70%の範囲で調整することにより、貯蔵ビン1と囲壁と2の間の空間SにミストMを効率よく導入することができる。
【0033】
たとえば、強風時に囲壁2の開口率が高いと、空間Sに大量の空気が流入して貯蔵ビン1や空間Sにミストがとどまりにくく、貯蔵ビン1の冷却効果が小さくなってしまう。この場合には、囲壁2の開口率を低くすることによって、空間Sにおけるミストを多く滞留させることができ、冷却効率を向上させることができる。
【0034】
逆に、弱風時に囲壁2の開口率が低いと、ミストの大部分が囲壁2にとどまった状態となり、空間Sに供給されるミストの量が減少し、その分貯蔵ビンの冷却効果が低減する。この場合には、囲壁2の開口率を高くすることによって、空間Sにおけるミストを多く流入させることができ、貯蔵ビン1の冷却効率を向上させることができる。
【0035】
このように、本実施形態に係る冷却装置では、このミストMの気化熱によって、貯蔵ビン1を冷却しているので、高い冷却効率を発揮することができる。また、囲壁2はミストMが付着するミスト担体としての機能するメッシュによって構成されている。このため、囲壁2と貯蔵ビン1との間にミストMを順次供給することができるので、さらに冷却効率を高めることができる。さらには、ミストMを供給するにあたってミストノズル4を設けているのみであるので、たとえば貯蔵ビン1を真空にする真空生成設備を備えたり、冷却水を排水する排水設備を設けたりする必要がない。したがって、その分、大掛かりな設備を不要とすることができる。
【0036】
また、本実施形態に係る冷却装置では、ミストノズル4によって囲壁2と貯蔵ビン1との隙間からミストMを噴射している。このため、囲壁2と貯蔵ビン1との間の空間Sに確実にミストMを導入することができる。しかも、貯蔵ビン1側に流れるミストMによって貯蔵ビン1を冷却することができる一方で、囲壁2側に流れるミストを囲壁2におけるミスト担体に対して確実に付着させることができる。このとき、ミストノズル4は、囲壁2と貯蔵ビン1との間の空間の上方から、下方に向けてミストMを噴射している。このため、ミストMは自重によって下方に落下するので、囲壁2と貯蔵ビン1との間の空間SにミストMを確実に導入することができる。
【0037】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る屋外貯蔵設備の冷却装置は、上記第1の実施形態と比較して、ミストノズル4の取付位置が主に異なっている。以下、その相違点を中心に本実施形態に係る冷却装置について説明する。図3は、本実施形態に係る冷却装置が設けられる貯蔵ビンの模式的斜視図である。
【0038】
図3に示すように、本実施形態に係る冷却装置では、囲壁2の外側に送風機10が設けられており、送風機10の外枠に複数のミストノズル4が取り付けられている。ミストノズル4には、高圧水供給管6を介して高圧ポンプ7が接続されており、高圧ポンプ7を作動させることにより、ミストノズル4からミストMが噴射される。その他の点については、上記第1の実施形態と同様である。
【0039】
次に、本実施形態に係る屋外貯蔵設備の冷却装置における作用効果について説明する。本実施形態に係る屋外貯蔵設備の冷却装置では、上記第1の実施形態に係る屋外貯蔵設備の冷却装置と同様に、囲壁2と貯蔵ビン1との間にミストMが供給される。このため、貯蔵ビン1に付着したミストMと貯蔵ビン1との間で熱交換が行われ、貯蔵ビン1が冷却されるとともに、ミストMが蒸発する。このミストMが蒸発する際の気化熱により、貯蔵ビン1からは多くの熱を奪うことになる。このため、貯蔵ビン1を効率よく冷却することができる。
【0040】
また、本実施形態に係る屋外貯蔵設備の冷却装置では、ミストノズル4が囲壁2の外側に設けられており、ミストノズル4は、囲壁2に向けてミストMを噴射している。このため、囲壁2にミストが付着し、付着したミストMが風によって囲壁2と貯蔵ビン1との間に案内される。こうして、囲壁2と貯蔵ビン1との間にミストMを供給することができるとともに、貯蔵ビン1に付着したミストMが蒸発することにより、ミストMの気化熱によって貯蔵ビン1が効率よく冷却される。

【0041】
さらに、本実施形態に係る屋外貯蔵設備の冷却装置は送風機10を備えており、囲壁2の外側からミストノズル4によってミストMを噴射するにあたり、送風機10によってミストノズル4が噴射したミストMを囲壁2に向けて送っている。このため、ミストノズル4から噴射されたミストMのうち、囲壁2に到達する前に蒸発してしまうミストMの量を少なくすることができる。その結果、囲壁2に付着するミストMの量を多くすることができるとともに、貯蔵ビン1の冷却効率を高いものとすることができる。
【0042】
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態に係る屋外貯蔵設備の冷却装置は、上記第1の実施形態と比較して、ミストノズル4の取付位置が主に異なっている。以下、その相違点を中心に本実施形態に係る冷却装置について説明する。図4は、本実施形態に係る冷却装置が設けられる貯蔵ビンの模式的斜視図である。
【0043】
図4に示すように、本実施形態に係る屋外貯蔵設備の冷却装置は、本実施形態に係る冷却装置では、囲壁2の外側に直線状のノズルホルダ11が取り付けられている。囲壁2には、複数のノズルホルダ11が取り付けられており、これらの複数のノズルホルダ11は、囲壁2を平面視した周方向に略等間隔で離間して配置されている。各ノズルホルダ11は、囲壁2の高さ方向に沿って配設されており、ノズルホルダ11には、ノズルホルダ11に沿って複数のミストノズル4が取り付けられている。
【0044】
ミストノズル4には、高圧水供給管6を介して高圧ポンプ7が接続されており、高圧ポンプ7を作動させることにより、ミストノズル4からミストMが噴射される。その他の点については、上記第1の実施形態と同様である。
【0045】
次に、本実施形態に係る屋外貯蔵設備の冷却装置における作用効果について説明する。本実施形態に係る屋外貯蔵設備の冷却装置では、上記第1の実施形態に係る屋外貯蔵設備の冷却装置と同様に、囲壁2と貯蔵ビン1との間にミストMが供給される。このため、貯蔵ビン1に付着したミストMと貯蔵ビン1との間で熱交換が行われ、貯蔵ビン1が冷却されるとともに、ミストMが蒸発する。このミストMが蒸発する際の気化熱により、貯蔵ビン1からは多くの熱を奪うことになる。このため、貯蔵ビン1を効率よく冷却することができる。
【0046】
また、本実施形態に係る屋外貯蔵設備の冷却装置では、ミストノズル4が囲壁2に対してノズルホルダ11によって直接取り付けられている。このため、ミストノズル4と囲壁2との間の距離が非常に短くなっている。したがって、ミストノズル4から噴射されるミストMは、噴射された直後に囲壁2に到達するので、囲壁2におけるミストMの付着量を非常に多くすることができる。その結果、囲壁2と貯蔵ビン1との間の空間SにおけるミストMの量を多くすることができ、貯蔵ビン1の冷却効率を高いものとすることができる。さらに、ミストノズル4が囲壁2に直接取り付けられていることにより、第2の実施形態と比較して、送風機10やミストノズル4を設けるスペースを別途必要とすることもない。したがって、その分省スペース化に寄与することができる。
【0047】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記各実施形態では、囲壁2をメッシュで構成することにより、囲壁2自体をミスト担体としているが、たとえば囲壁2を金網で形成し、この金網にミスト担体としてメッシュ、ネット、または繁茂植物を設ける態様とすることができる。また、ミスト担体として繁茂植物を用いる場合には、たとえばその厚さを500mm程度とするのが好適となる。繁茂植物の厚さを500mm程度とすることにより、所望の開口率とすることができる。
【0048】
また、上記各実施形態では、ミストノズル4をそれぞれ異なる位置に設けているが、ミストノズルの配設位置を上記第1の実施形態から第3の実施形態の配設位置を組み合わせた複数位置とする態様とすることもできる。さらに、上記実施形態では、貯蔵ビン1の全体を覆うようにして囲壁2を形成しているが、囲壁2の一部分を覆うようにして囲壁2を形成する態様とすることもできる。この場合、たとえば貯蔵ビン1における日射がある面を覆うように囲壁2を設ける態様とすることができる。他方、上記実施形態では屋外貯蔵設備を貯蔵ビン1としているが、その他、コルゲートビン、セメントサイロ(セメント貯蔵設備)、フライアッシュサイロ(フライアッシュ貯蔵設備)、タンクなどとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る冷却装置が設けられる貯蔵ビンの模式的斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る冷却装置が設けられる貯蔵ビンの模式的側断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る冷却装置が設けられる貯蔵ビンの模式的斜視図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る冷却装置が設けられる貯蔵ビンの模式的斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1…貯蔵ビン
2…囲壁
3…ミスト供給装置
4…ミストノズル
5…ノズルホルダ
6…高圧水供給管
7…高圧ポンプ
10…送風機
11…ノズルホルダ
S…空間
M…ミスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に構築されて貯蔵対象物が貯蔵される屋外貯蔵設備の外側に、前記屋外貯蔵設備と離間して囲壁が配設され、
前記囲壁の外側または前記囲壁と前記屋外貯蔵設備との間にミストを供給するミスト供給装置が設けられており、
前記囲壁は、前記ミスト供給装置から供給されたミストを付着させるミスト担体を備えており、
前記囲壁は、前記囲壁の外側の空気を前記囲壁と前記屋外貯蔵設備との間に通過させる通気性を備えることを特徴とする屋外貯蔵設備の冷却装置。
【請求項2】
前記ミスト供給装置は、前記囲壁と前記屋外貯蔵設備との隙間からミストを噴射する内側ミスト噴射装置を含む請求項1に記載の屋外貯蔵設備の冷却装置。
【請求項3】
前記ミスト供給装置は、前記囲壁の外側から前記囲壁に向けてミストを噴射する外側ミスト噴射装置を含む請求項1または請求項2に記載の屋外貯蔵設備の冷却装置。
【請求項4】
前記外側ミスト噴射装置が前記囲壁に取り付けられている請求項3に記載の屋外貯蔵設備の冷却装置。
【請求項5】
前記ミスト噴射装置から噴射されたミストを前記囲壁方向へ送る風を供給する送風手段が設けられている請求項3または請求項4に記載の屋外貯蔵設備の冷却装置。
【請求項6】
前記屋外貯蔵設備と前記囲壁とは、平面視した状態で離間して配設されており、
前記内側ミスト噴射装置は、前記屋外貯蔵設備と前記囲壁との間から、下方に向けてミストを噴射する請求項2に記載の屋外貯蔵設備の冷却装置。
【請求項7】
前記ミスト担体がネット、メッシュ、または繁茂植物である請求項1〜請求項6のうちのいずれか1項に記載の屋外貯蔵設備の冷却装置。
【請求項8】
前記ミストの径が10μm〜100μmに調整されている請求項1〜請求項7のうちのいずれか1項に記載の骨材貯蔵設備。
【請求項9】
前記屋外貯蔵設備に、前記貯蔵対象物としてコンクリート骨材が貯蔵されている請求項1〜請求項8のうちのいずれか1項に記載の屋外貯蔵設備の冷却装置。
【請求項10】
屋外に構築されて貯蔵対象物が貯蔵される屋外貯蔵設備と、前記屋外貯蔵設備の外側に前記屋外貯蔵設備と離間して囲壁との間に、ミスト供給手段によってミストを供給し、
前記囲壁の外側の空気を前記囲壁と前記屋外貯蔵設備との間に通過させるとともに、前記囲壁に設けられたミスト担体に、前記ミスト供給装置から供給されたミストを付着させることを特徴とする屋外貯蔵設備の冷却方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−226702(P2009−226702A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−74030(P2008−74030)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】