説明

屋根構造体およびその構築方法

【課題】軽量化を促進させかつ施工手間を削減してコスト低減を十分に図ることができる屋根構造体およびその構築方法を提供すること。
【解決手段】下向き凸に架設された上ケーブル材12および縦ケーブル材14によって、屋根材20が吊り上げ支持され、上向き凸に架設された下ケーブル材13および縦ケーブル材14によって、屋根材20に作用する強風時の吹き上げ力が自重を上回った場合の上向きの力に抵抗することができ、鉄骨製の梁等を設けなくても屋根面の安定性が確保され、かつ軽量化を十分に促進させることができる。そして、横補剛梁や、これに接続される緊張ケーブルなどを不要にできることから、これらの接合に係る作業手間を削減することができ、建設コストの低減を十分に図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根構造体およびその構築方法に関し、詳しくは、ケーブル材により屋根材が支持された屋根構造体、およびその構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、陸上競技場等の大型の建物の上部を覆って設けられる屋根構造体として、ケーブル材により屋根材が支持されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された屋根構造体は、建物外縁部の躯体から上方に突設された複数の支柱と、これら支柱のうちの対向する一対の支柱間に懸垂させて架設されたケーブル材と、このケーブル材から垂下された複数の吊りケーブルと、これら複数の吊りケーブルに支持された横補剛梁と、この横補剛梁に固定された屋根材とを備えて構成されている。このようにケーブル材を用いた吊り下げ構造とすることで、支柱間が大スパンになっても屋根構造体の重量の増加を抑制することができ、トラス構造等で屋根構造体を構成する場合と比較して建設コストを低減させることができるようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開平7−109851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、大スパンの屋根構造体では、その自重を支持することも重要であるが、強風時における吹き上げ力に対しても屋根材を安定的に支持する必要がある。このような吹き上げ力は、特に、屋根材を膜材等の軽い材料から構成して屋根構造体を軽量化するほど、自重に対して相対的に大きくなる。このため、下向きの自重よりも上向きの吹き上げ力が上回った場合には、この吹き上げ力に対してケーブル材が弛んでしまって支持できず、屋根材がばたついて不安定になってしまうことがある。
そこで、前記特許文献1に記載の屋根構造体では、鉄骨製の横補剛梁や、この横補剛梁と支柱下端部とを連結する緊張ケーブルによって吹き上げ力に抵抗するようになっている。
しかしながら、鉄骨製の横補剛梁や緊張ケーブルを用いると、軽量化の利点が損なわれるとともに、施工手間も増大してしまうため、十分なコストの低減が図れず問題であった。
【0005】
本発明の目的は、軽量化を促進させかつ施工手間を削減してコスト低減を十分に図ることができる屋根構造体およびその構築方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の屋根構造体は、所定間隔離して設けられた一対の支持体と、前記一対の支持体間に下向き凸に架設された上ケーブル材と、前記上ケーブル材の下側において前記一対の支持体間に上向き凸に架設された下ケーブル材と、前記上下のケーブル材間に架設された複数の縦材と、前記複数の縦材に支持された屋根材とを備えることを特徴とする。
【0007】
ここで、一対の支持体としては、杭等の基礎構造体から上方に突設された柱体や、所定の長さを有して形成された壁体などの任意の構造体が採用可能である。また、上下のケーブル材同士は、上下に離隔して設けられていてもよく、また互いの一部(中央部分)同士を接してあるいは交差して設けられていてもよい。さらに、一対の支持体、上下のケーブル材および縦材は、1セットあるいは複数セット設けられていてもよく、これらが1セットだけ設けられた場合には、屋根材の一方の端部を前記縦材に支持させ、他方の端部を他の構造躯体等に支持させればよい。一方、一対の支持体、上下のケーブル材および縦材が複数セット設けられた場合には、屋根材の両端部を前記縦材に支持させてもよく、また1セットの場合と同様に屋根材の一方の端部を前記縦材に支持させ、他方の端部を他の構造躯体(柱体や壁体等)等に支持させてもよい。
【0008】
以上の屋根構造体によれば、下向き凸に架設された上ケーブル材および縦材によって、屋根材が吊り上げ支持され、上向き凸に架設された下ケーブル材および縦材によって、屋根材に作用する強風時の吹き上げ力が自重を上回った場合の上向きの力に抵抗することができ、鉄骨製の梁等を設けなくても屋根面の安定性が確保でき、かつ軽量化を十分に促進させることができる。
また、従来のような横補剛梁と支柱とを接続する緊張ケーブルなども不要にできることから、接合に係る作業手間を削減することができる。
以上のように、鋼材量を削減して軽量化でき、かつ施工手間も削減できるので、建設コストの低減を十分に図ることができる。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載の屋根構造体は、請求項1に記載の屋根構造体において、前記一対の支持体、前記上ケーブル材、前記下ケーブル材、および前記複数の縦材から構成された支持架構体が複数配置され、これらの支持架構体同士の縦材間に前記屋根材が架設されていることを特徴とする。
このような構成によれば、複数配置した支持架構体同士の縦材間に屋根材を架設することで、当該屋根構造体によって覆われる空間を大きくすることができ、大型の建築物や施設に適用することができる。
【0010】
この際、本発明の請求項3に記載の屋根構造体は、請求項2に記載の屋根構造体において、前記複数の支持架構体は、互いに略平行に配置されていることを特徴とする。
このような構成によれば、複数の支持架構体を互いに略平行に配置することで、これらの間に支持される屋根材の長さ寸法(スパン)が略同一になり、部材寸法や接合部の納まり等を共通化することができ、部材の加工性や施工性を向上させることができる。
【0011】
また、本発明の請求項4に記載の屋根構造体は、請求項2に記載の屋根構造体において、前記複数の支持架構体は、互いに非平行に配置されていることを特徴とする。
このような構成によれば、建築物や施設の平面形状が不整形つまり矩形状等でない場合であっても、それらの形状に合わせて屋根構造体を構築することができる。
【0012】
さらに、本発明の請求項5に記載の屋根構造体は、請求項2から請求項4のいずれかに記載の屋根構造体において、前記複数の支持架構体は、前記一対の支持体のうちの一方を共有して配置されていることを特徴とする。
このような構成によれば、一対の支持体のうちの一方を共有して複数の支持架構体を配置することで、例えば、一対の支持体の離隔方向に複数の支持架構体を連続させて配置したり、支持架構体を交差させて配置したりする場合に、支持体を近接位置に並べて配置する必要がなくなり、構成部材を削減することができる。そして、支持体間のスパンが長大であったとしても、支持体を共有することで、ケーブル材等の構成部材の高コスト化を抑制することができ、トータルの建設コストを低減させることができる。
【0013】
一方、本発明の請求項6に記載の屋根構造体は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の屋根構造体において、前記縦材は、縦ケーブル材または縦ロッド材であることを特徴とする。
このような構成によれば、屋根材の重量は縦ケーブル材または縦ロッド材の張力として上ケーブル材に伝達され、屋根材の重量を超えた吹き上げ力は、縦ケーブル材または縦ロッド材の張力として下ケーブル材に伝達されるので、縦ケーブル材を用いた場合にも弛むことがなく、屋根面の安定性を確保することができる。さらに、縦材として縦ケーブル材を用いた場合には、縦材を鉄骨製の部材から構成する場合と比較して、屋根構造体のさらなる軽量化を促進させることができる。
【0014】
また、本発明の請求項7に記載の屋根構造体は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の屋根構造体において、前記屋根材は、前記複数の縦材に支持される複数の横架材と、これらの横架材間に渡って張り付けられた膜材とを有して構成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、横架材と膜材とで屋根材を構成することで、屋根材を一層軽量化することができ、このように屋根材を軽量化した場合でも、強風時の吹き上げ力に対しては下ケーブル材で抵抗できるため、屋根材を安定的に支持することができる。
【0015】
この際、本発明の請求項8に記載の屋根構造体は、請求項7に記載の屋根構造体において、前記複数の縦材間には、前記横架材を案内する案内部材が架け渡され、前記屋根材は、前記横架材同士を近づけて折り畳んだ状態から、前記横架材同士を所定間隔離して広げた状態まで、前記案内部材に沿って前記横架材が移動することで、伸縮可能に構成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、案内部材に沿って横架材が案内されて屋根材が伸縮可能に構成されているので、構築時には縮めた状態の屋根材を広げて屋根面を構成し、解体時には屋根材を縮めて撤去するなど、施工性や解体性を向上させることができる。さらに、屋根材を架設するための高所作業が不要になるため、作業用の足場や揚重機等が大幅に削減されて施工コストが削減できるとともに、作業時の安全性を向上させることができる。また、使用時に必要に応じて屋根材を縮めたり広げたりすることで、開閉屋根を構成することもできる。
【0016】
さらに、本発明の請求項9に記載の屋根構造体は、請求項8に記載の屋根構造体において、前記一対の支持体、前記上ケーブル材、前記下ケーブル材、および前記複数の縦材から支持架構体を形成し、この支持架構体を互いに略平行に複数配置するとともに、前記複数の縦材間に前記案内部材を架け渡しておき、前記屋根材を構成する前記複数の横架材および前記膜材を組み立てて屋根ユニットを形成し、この屋根ユニットを折り畳んだ状態で前記案内部材に支持させた後に、前記案内部材に沿って前記横架材を移動し当該屋根ユニットを広げることで構築されることを特徴とする。
また、本発明の請求項10に記載の屋根構造体の構築方法は、請求項8に記載の屋根構造体を構築する屋根構造体の構築方法であって、前記屋根構造体を構成する一対の支持体、上ケーブル材、下ケーブル材、および複数の縦材から支持架構体を形成し、この支持架構体を互いに略平行に複数配置するとともに、前記複数の縦材間に案内部材を架け渡しておき、複数の横架材間に渡って膜材を張り付けて屋根ユニットを形成し、この屋根ユニットを折り畳んだ状態で前記案内部材に支持させた後に、前記案内部材に沿って前記横架材を移動し当該屋根ユニットを広げて前記屋根構造体を構築することを特徴とする。
これらの構成によれば、先ず支持架構体を構築し、予め組み立てておいた屋根ユニットを縮めた状態で支持架構体の案内部材に支持させた後に、案内部材に沿って屋根ユニットを広げることで、支持架構体の上部で屋根材を組み立てる場合と比較し、高所での作業を少なくして施工効率および作業時安全性を高めることができる。
【0017】
また、本発明の請求項11に記載の屋根構造体は、請求項1から請求項8のいずれかに記載の屋根構造体において、前記上ケーブル材および下ケーブル材は、前記支持体に沿って上下移動自在な連結部材を介して当該支持体に連結されていることを特徴とする。
このような構成によれば、連結部材を介して連結された上下のケーブル材が支持体に沿って上下移動可能に構成されるので、上下のケーブル材および縦材、さらには屋根材を地上付近で組み立てた後に、連結部材を支持体の上部に移動させることで、上下のケーブル材、縦材、および屋根材を所定の高さ位置に持ち上げて設置することができる。従って、高所において上下のケーブル材や縦材、屋根材を組み立てなくてもよいため、施工効率および作業時安全性を高めることができる。この際、連結部材を支持体の上部に移動させる方法としては、種々の方法が採用でき、例えば、連結部材にジャッキを取り付けておいてこのジャッキで連結部材をジャッキアップさせる方法や、連結部材をクレーン等で吊り上げる方法などが採用できる。
【0018】
この際、本発明の請求項12に記載の屋根構造体は、請求項11に記載の屋根構造体において、前記一対の支持体を形成しておき、この支持体の下部において、前記連結部材に前記上ケーブル材および下ケーブル材を接続し、これら上下のケーブル材に前記縦材を接続するとともに、前記屋根材を前記縦材に支持させた後に、前記連結部材を前記支持体に沿って上方に移動し、所定位置で当該支持体に固定して構築されることを特徴とする。
このような構成によれば、予め組み立てておいた上下のケーブル材、縦材、および屋根材を支持体の所定の高さ位置に持ち上げて設置することことで、前述と同様に高所での作業を少なくして施工効率および作業時安全性を高めることができる。
【0019】
さらに、本発明の請求項13に記載の屋根構造体は、請求項11または請求項12に記載の屋根構造体において、前記一対の支持体間には、前記上下のケーブル材および前記縦材から構成されるケーブルユニットが一組で架設され、これら各ケーブルユニットごとに前記屋根材が支持されるとともに、各組の上ケーブル材および下ケーブル材ごとに前記連結部材が設けられていることを特徴とする。
このような構成によれば、一対の支持体間に架設される一組(例えば、一対の支持体の離隔方向の左右一組)のケーブルユニットのうち、一方のケーブルユニットおよびこれに支持される屋根材を支持体の所定の高さ位置に持ち上げて設置し、その後に他方のケーブルユニットおよびこれに支持される屋根材を持ち上げて設置することができる。従って、一対の支持体が複数列あって屋根材が複数スパンに設けられるような屋根構造体の場合に、各スパンごとにケーブルユニットおよび屋根材を持ち上げて設置することができ、施工手順を効率化することができる。
【0020】
一方、本発明の請求項14に記載の屋根構造体の構築方法は、請求項13に記載の屋根構造体を構築する屋根構造体の構築方法であって、前記屋根構造体を構成するケーブルユニット、および一対の支持体を形成するとともに、前記支持体に上下の連結部材を取り付けておき、前記ケーブルユニットを上下の連結部材に取り付けた後、これらの連結部材を前記支持体に沿って上昇させ、上側の連結部材を所定位置において前記支持体に固定した後、下側の連結部材を固定前に所定の力で下方に引き下げてから所定位置において前記支持体に固定することで、前記ケーブルユニットに所定の初期張力を導入することを特徴とする。
この際、事前の計算等により下側の連結部材を下方に引き下げる力の値を算定しておき、実際の施工においてはジャッキ等により下側の連結部材を下方に引き下げ、その時のジャッキの力を計測しながら算定された値になるまで引き下げることにより、ケーブルユニットに所定の初期張力を確実に導入することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のような本発明の屋根構造体およびその構築方法によれば、軽量化を促進させかつ施工手間を削減してコスト低減を十分に図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
【0023】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る屋根構造体1を示す斜視図である。図2は、屋根構造体1の支持架構体10を示す側面図である。図3は、屋根構造体1の一部を断面して示す斜視図である。図4および図5は、それぞれ屋根構造体1の一部を拡大して示す側面図である。図6は、屋根構造体1における屋根材20の接続部分を拡大して示す側面図である。図7は、屋根構造体1の施工手順を示す斜視図である。
【0024】
図1〜図5において、屋根構造体1は、所定の施設(例えば、廃棄物処分場等)における所定区画2の上方を覆って設けられるもので、複数(本実施形態では4つ)の支持架構体10と、これらの支持架構体10間に設けられた屋根材20とを備えて構成されている。
支持架構体10は、所定間隔離して設けられた一対の支持体としての柱体11と、これら一対の柱体11間に下向き凸に架設された上ケーブル材12と、この上ケーブル材12の下側において一対の柱体11間に上向き凸に架設された下ケーブル材13と、これら上下のケーブル材12,13間に架設された複数の縦材としての縦ケーブル材14とを有して構成されている。そして、複数の支持架構体10は、互いに略平行、かつ略等間隔に配置されている。
【0025】
支持架構体10の柱体11は、鋼管製や鉄筋コンクリート製、鉄骨鉄筋コンクリート製の支柱であって、地盤中に打ち込まれた杭(例えば、鋼管杭)15に固定され、地盤から上方に突設されている。そして、柱体11の上端付近に上ケーブル材12が接続されており、この上ケーブル材12と反対側の柱体11の上端付近には、斜めケーブル材16の一端が接続されている。この斜めケーブル材16の他端は、地盤に固定された基礎17に接続されており、上ケーブル材12の張力のうち、水平方向の分力が斜めケーブル材16を介して基礎17および地盤に伝達されるようになっている。
【0026】
上下のケーブル材12,13は、鋼製ワイアやPC鋼線を複数撚り合わせて形成された可撓製を有した線状部材であって、それぞれ放物線形状に下向き凸または上向き凸に懸架されている。そして、上下のケーブル材12,13の両端部は、適宜な接合部材121,131(図4)を介して柱体11に接合されており、上ケーブル材12の接合部材121には、斜めケーブル材16の一端部が接合されている。
縦ケーブル材14は、上下のケーブル材12,13と同様の線状部材であって、上下のケーブル材12,13間に渡って略垂直に接続されるとともに、複数の縦ケーブル材14同士は、互いに略等間隔に配置されている。そして、縦ケーブル材14の高さ方向略中央位置には、横連結材18が複数の縦ケーブル材14に渡って略水平に架設されており、この横連結材18に屋根材20が接合されている。
【0027】
屋根材20は、横連結材18に接合されて縦ケーブル材14に支持される複数の横架材としてのトラス体21と、これらのトラス体21間に渡って張り付けられた膜材22とを有して構成されている。トラス体21は、上弦材211と、下弦材212と、これらの上弦材211および下弦材212を連結する斜材213と、上弦材211の上側に設けられて膜材22を固定する固定横材(レーシングバー)214とを有して構成されている。そして、複数のトラス体21同士は、支持架構体10における縦ケーブル材14の2つ分の間隔だけ離隔して配置されるようになっている。また、膜材22は、トラス体21の位置で山となり、トラス体21間の中間位置で谷となるように設置されており、膜材22の谷位置には、センターロープ23(図3)が設けられている。このセンターロープ23は、膜材22の下側に取り付けられ、膜材22の谷位置を下方に引っ張った状態で両端が縦ケーブル材14に接続されており、膜材22を弛みなく張ることができるようになっている。さらに、センターロープ23は、所定間隔で交差して設けられた緊張材である引き下げベルト25により下方に向かって緊張されており、この引き下げベルト25の端部は、トラス体21の下弦材212に緩みのないように緊結されている。このように、引き下げベルト25でセンターロープ23の浮き上がりが防止されることで、膜材22の弛みが防止でき、安定性が確保できるようになっている。
【0028】
以上の屋根材20は、隣り合う支持架構体10の縦ケーブル材14間に支持されるとともに、支持架構体10位置において、図6に示すように、隣接スパンの屋根材20と連結されている。すなわち、隣り合う屋根材20のトラス体21同士は、屋根連結部材24によって互いに連結され、膜材22同士は、縫合用膜材221によって互いに連結されている。なお、図6では、隣り合う屋根材20同士の間に上下に段差がある場合を図示しているが、段差がない場合にも同様に屋根連結部材24および縫合用膜材221を用いて、隣り合う屋根材20同士が連結できることは当然である。
【0029】
以上のような支持架構体10および屋根材20において、縦ケーブル材14に架設され横連結材18は案内部材として機能し、この横連結材18の上面にはトラス体21をスライド自在に案内する案内レールが形成されている。そして、トラス体21の端部には、案内レール上を転動可能な滑車215が設けられており、トラス体21は、一対の支持架構体10間の各スパンにおいて、横連結材18に沿って移動可能に構成されている。すなわち、屋根材20は、複数のトラス体21同士を近づけて膜材22を折り畳んだ状態から、トラス体21同士を所定間隔離して膜材22を広げた状態まで、伸縮可能に構成されている。
【0030】
このような屋根構造体1は、図7に示すような施工手順で構築される。
すなわち、先ず、建設現場において、支持架構体10を構築する。この支持架構体10の構築手順としては、地盤に杭15を打ち込むとともに、基礎17を構築してから、杭15の上側に柱体11を立設する。そして、予め互いに接続しておいた上下のケーブル材12,13および縦ケーブル材14を吊り上げて、上下のケーブル材12,13を接合部材121,131を介して柱体11に接合する。さらに、上側の接合部材121と基礎17とに斜めケーブル材16を接続する。この際、上下のケーブル材12,13および斜めケーブル材16をジャッキ等で緊張することで、これらの各ケーブル材に所定の緊張力を導入して弛みが生じないようにしてもよい。その後、縦ケーブル材14間に横連結材18を架設する。以上により支持架構体10の構築が完了する。
【0031】
次に、予め加工工場等において所定のサイズごとに組み立ててユニット化しておいた屋根材20(屋根ユニット20A)を、折り畳んだ状態でトレーラ等で建設現場に運搬し、この屋根ユニット20Aを支持架構体10の横連結材18上に吊り上げて設置する。その後に、トラス体21を横連結材18に沿って所定位置まで移動させて屋根ユニット20Aを広げ、トラス体21を支持架構体10の縦ケーブル材14に固定するとともに、広げた屋根ユニット20Aの膜材22同士を連結し、センターロープ23を縦ケーブル材14に接続する。そして、隣接する支持架構体10間においても、順次同様に屋根ユニット20Aの設置を行い、支持架構体10を挟んで隣接する屋根ユニット20Aにおいて、トラス体21同士を屋根連結部材24で連結し、膜材22同士を縫合用膜材221で連結する。
以上のようにして屋根構造体1の構築が完了する。
【0032】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)すなわち、下向き凸に架設された上ケーブル材12および縦ケーブル材14によって、屋根材20が吊り上げ支持され、上向き凸に架設された下ケーブル材13および縦ケーブル材14によって、屋根材20に作用する強風時の吹き上げ力が自重を上回った場合の上向きの力に抵抗することができ、鉄骨製の梁等を設けなくても屋根面の安定性が確保でき、かつ軽量化を十分に促進させることができる。
【0033】
(2)そして、下ケーブル材13によって上向きの力に抵抗することで、従来のような横補剛梁と支柱とを接続する緊張ケーブルなども不要にできることから、接合に係る作業手間を削減することができる。従って、鋼材量を削減して軽量化でき、かつ施工手間も削減できるので、建設コストの低減を十分に図ることができる。
【0034】
(3)さらに、複数の支持架構体10を互いに略平行に配置し、これらの縦ケーブル材14間の複数スパンに屋根材20を架設することで、屋根構造体1によって覆われる空間を大きくすることができ、大型の施設に適用することができるとともに、屋根材20の長さ寸法(スパン)が略同一になり、部材寸法や接合部の納まり等を共通化することができ、部材の加工性や施工性を向上させることができる。
【0035】
(4)そして、上下のケーブル材12,13を縦ケーブル材で連結したことで、屋根材20の重量が縦ケーブル材14の張力として上ケーブル材12に伝達され、強風時の上向きの力が縦ケーブル材14の張力として下ケーブル材13に伝達され、屋根面の安定性を確保することができるとともに、屋根構造体1の軽量化を促進させることができる。
さらに、屋根材20が膜材22を有して構成されているので、屋根材20の軽量化が実現され、このように屋根材20を軽量化した場合でも、強風時の吹き上げ力に対しては下ケーブル材13で抵抗できるため、屋根材20を安定的に支持することができる。
【0036】
(5)また、ユニット化された屋根ユニット20Aが伸縮可能に構成され、縮めた状態の屋根ユニット20Aを支持架構体10に設置してから広げることにより屋根面が形成されるので、支持架構体10の上部で屋根材20を組み立てる場合と比較し、高所での作業を少なくして施工効率を高めることができる。さらに、屋根材を架設するための高所作業が不要になるため、作業用の足場や揚重機等が大幅に削減されて施工コストが削減できるとともに、作業時の安全性を向上させることができる。
【0037】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態を図8および図9に基づいて説明する。
図8は、本発明の第2実施形態に係る屋根構造体1Aを示す側面図である。図9(A),(B)は、屋根構造体1Aの一部を拡大して示す横断面図および縦断面図である。
第2実施形態の屋根構造体1Aは、前記第1実施形態と比較して支持架構体の構成および屋根材の構築方法が相違し、その他の構成は略同一である。以下に相違点について詳しく説明する。
【0038】
図8において、屋根構造体1Aは、略等間隔に設けられた3本の柱体(支持体)11、これら3本の柱体11間に架設された2本ずつの上下のケーブル材12,13、これら上下のケーブル材12,13間に架設された複数の縦ケーブル材(縦材)14を有した支持架構体10Aと、図の奥行き方向に複数並べて配置した支持架構体10A間に支持された屋根材20とを備えて構成されている。支持架構体10Aの3本の柱体11のうち、中央の柱体11には、左右両側の上下のケーブル材12,13が接続されている。換言すると、この支持架構体10Aは、前記第1実施形態の支持架構体10を2つ並べて配置するとともに、これらの支持架構体10における一対の柱体11のうちの一方(中央の柱体11)を共有して構成されたものである。そして、左右2本の柱体11上部と基礎17との間には、斜めケーブル材16が接続されている。また、屋根構造体1Aで覆った施設における所定区画2の地盤面は、中央部分が低くなっており、これにより、中央の柱体11が他の2本の柱体11よりも長く形成されている。
【0039】
支持架構体10Aにおいて、上ケーブル材12は、図9に示すように、柱体11に沿って上下移動自在な連結部材(ジャッキアップリング)122を介して柱体11に連結されている。なお、図9では、図8における中央の柱体11上部が示されているが、左右の柱体11においても同様に、上ケーブル材12は、連結部材122を介して柱体11に連結されている。連結部材122は、断面略I字形を有し、柱体11が余裕を持って挿通可能な環状の部材であって、柱体11の側面に固定されたガセットプレート111にボルト固定されている。また、連結部材122は、1本の柱体11に上下2つ一組で固定されており、上下の連結部材122各々に左右2本の上ケーブル材12(12A,12B)が接続されている。すなわち、上側の連結部材122に接続された上ケーブル材12Aには、図8における図の奥行き方向奥側の屋根材20が支持され、下側の連結部材122に接続された上ケーブル材12Bには、図8における図の奥行き方向手前側の屋根材20が支持されるようになっている。
【0040】
このような屋根構造体1Aの構築手順は、以下のようになっている。
すなわち、先ず、杭15を施工して柱体11を立設し、この柱体11に上下の連結部材122を挿通して柱体11下部に仮止めしておき、柱体11の上端部に仮設台座112を介してジャッキ113を設置する。そして、上側の連結部材122に上ケーブル材12Aを接続し、この上ケーブル材12Aに縦ケーブル材14および下ケーブル材13を接続して一方のケーブルユニットを構成するとともに、縦ケーブル材14に図8の奥行き方向奥側の屋根材20を支持させる。これと同様の作業を図8の奥行き方向奥側に対抗する支持架構体10Aにおいても行い、その後に、ジャッキ113から垂下した吊り上げ材で上側の連結部材122を柱体11に沿って上方にジャッキアップし、一方のケーブルユニットを上方に持ち上げ、上側の連結部材122をガセットプレート111に固定する。
【0041】
次に、下側の連結部材122にも同様に、上ケーブル材12Bを接続し、この上ケーブル材12Bに縦ケーブル材14および下ケーブル材13を接続して他方のケーブルユニットを構成するとともに、縦ケーブル材14に図8の奥行き方向手前側の屋根材20を支持させる。そして、図8の奥行き方向手前側に対抗する支持架構体10Aにおいても同様の作業を行い、その後に、ジャッキ113から垂下した吊り上げ材で下側の連結部材122を柱体11に沿って上方にジャッキアップし、他方のケーブルユニットを上方に持ち上げ、下側の連結部材122をガセットプレート111に固定する。上下の連結部材122を固定したら、柱体11の上端部から仮設台座112およびジャッキ113を取り外す。その後、上側の連結部材122に接続された上ケーブル材12Aに対応する下ケーブル材13、および下側の連結部材122に接続された上ケーブル材12Bに対応する下ケーブル材13のそれぞれを柱体11に接合する。
以上の作業を各スパンごとに順次実施することで屋根構造体1Aの構築が完了する。
【0042】
このような本実施形態によれば、前記した(1)〜(4)の効果に加えて以下のような効果がある。
(6)すなわち、連結部材122を介して連結された上ケーブル材12A,12Bが柱体11に沿って上下移動可能に構成されるので、上下のケーブル材12,13および縦ケーブル材14、さらには屋根材20を地上付近で組み立てた後に、連結部材122を柱体11の上部に移動させることで、上下のケーブル材12,13、縦ケーブル材14、および屋根材20を所定の高さ位置に持ち上げて設置することができる。従って、高所において上下のケーブル材12,13や縦ケーブル材14、屋根材20を組み立てなくてもよいため、施工効率を高めることができる。
【0043】
(7)また、一方のケーブルユニットおよび屋根材20を先行して持ち上げて設置した後に、他方のケーブルユニットおよび屋根材20を持ち上げて設置することで、屋根材20が複数スパンに設けられていても、各スパンごとにケーブルユニットおよび屋根材20を持ち上げて設置することができ、施工手順を効率化することができる。
【0044】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記各実施形態においては、複数の支持架構体10,10Aが互いに略平行に配置されていたが、これに限らず、例えば、支持架構体10同士が互いに非平行に配置されていてもよく、また図10に示すように、単数の支持架構体10Aを有して屋根構造体が構成されていてもよい。
【0045】
支持架構体10同士が互いに非平行に配置される屋根構造体としては、例えば、略正六角形の頂点位置に設けられた6本の柱体11と、互いに反対側の頂点位置の柱体11同士間に架設される上ケーブル材12および下ケーブル材(不図示)とを有した3つの支持架構体10を備えたものが例示できる。すなわち、3つの支持架構体10は、互いに非平行に配置され、各支持架構体10における上下のケーブル材は、六角形の略中央位置で他の支持架構体10の上下のケーブル材と交差するようになっている。そして、屋根材20は、交差した支持架構体10のうちの隣り合う支持架構体10間に支持されていればよい。
【0046】
さらに、支持架構体10同士が互いに非平行に配置される屋根構造体としては、例えば、略正六角形の頂点位置に設けられた6本の柱体11、および六角形の略中央位置に設けられた1本の柱体11と、六角形頂点位置の柱体11と中央の柱体11との間に架設される上ケーブル材12および下ケーブル材(不図示)とを有した6つの支持架構体10を備えたものでもよい。すなわち、6つの支持架構体10のうちの少なくとも5つは、互いに非平行に配置され、各支持架構体10において、六角形中央位置の柱体11は共有されていればよい。
【0047】
単数の支持架構体10Aを有した屋根構造体としては、図10に示すように、前記第2実施形態と同様の支持架構体10Aと、この単数の支持架構体10Aと壁体30との間に支持される屋根材20とを備えた屋根構造体1Dが例示できる。すなわち、本発明の屋根構造体は、複数の支持架構体が互いに対向して配置されて支持架構体間に屋根材が支持されたものに限らず、図10に示すように、屋根材20の少なくとも一方の端部が支持架構体の縦材に支持されていればよい。
【0048】
また、前記各実施形態では、支持体を柱体11で構成したが、これに限らず、壁体で構成してもよく、またトラス体等の組み立て部材で構成してもよい。さらに、支持体の曲げ強度や剛性が十分確保されるならば、前記実施形態の斜めケーブル材16および基礎17を省略することも可能である。
また、屋根材は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、各種の屋根材が採用可能であり、例えば、鋼板を折り曲げて形成された折板でもよく、トラス体と鋼板とで構成されたものでもよい。
また、屋根構造体の構築方法も前記実施形態の構成に限定されるものではなく、支持架構体を構築した後に、個々の屋根材を順次吊り上げて設置するような施工方法を採用してもよく、施設全体を覆う大きさの屋根材を地上付近で地組みしてから一度に吊り上げたり、ジャッキアップあるいはリフトアップしたりして支持架構体に設置する方法でもよい。
【0049】
また、前記第2実施形態のようにケーブルユニットをジャッキアップにおいて、上ケーブル材12および下ケーブル材13に対応した上下の連結部材122を柱体11に取り付けておき、ケーブルユニットを上下の連結部材122に取り付けた後、これらの連結部材122を柱体11に沿って上昇させ、上ケーブル材12が接続された上側の連結部材122を所定の高さ位置において柱体11に固定した後、下ケーブル材13が接続された下側の連結部材122の固定前に、この連結部材122を所定の力で下方に引き下げてから所定の高さ位置において柱体11に固定してもよい。このような方法によれば、事前の計算等により下側の連結部材122を下方に引き下げる力の値を算定しておき、実際の施工においてはジャッキ等により下側の連結部材122を下方に引き下げ、その時のジャッキの力を計測しながら算定された値になるまで引き下げることにより、ケーブルユニットに所定の初期張力を確実に導入することができる。
【0050】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1実施形態に係る屋根構造体を示す斜視図である。
【図2】前記屋根構造体の支持架構体を示す側面図である。
【図3】前記屋根構造体の一部を断面して示す斜視図である。
【図4】前記屋根構造体の一部を拡大して示す側面図である。
【図5】前記屋根構造体の一部を拡大して示す側面図である。
【図6】前記屋根構造体における屋根材の接続部分を拡大して示す側面図である。
【図7】前記屋根構造体の施工手順を示す斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る屋根構造体を示す側面図である。
【図9】(A),(B)は、前記屋根構造体の一部を拡大して示す横断面図および縦断面図である。
【図10】本発明の変形例に係る屋根構造体を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
10,10A…支持架構体、11…柱体(支持体)、12,12A,12B…上ケーブル材、13…下ケーブル材、14…縦ケーブル材(縦材)、18…横連結材(案内部材)、20…屋根材、20A…屋根ユニット、21…トラス体(横架材)、22…膜材、122…連結部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔離して設けられた一対の支持体と、
前記一対の支持体間に下向き凸に架設された上ケーブル材と、
前記上ケーブル材の下側において前記一対の支持体間に上向き凸に架設された下ケーブル材と、
前記上下のケーブル材間に架設された複数の縦材と、
前記複数の縦材に支持された屋根材とを備えることを特徴とする屋根構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の屋根構造体において、
前記一対の支持体、前記上ケーブル材、前記下ケーブル材、および前記複数の縦材から構成された支持架構体が複数配置され、これらの支持架構体同士の縦材間に前記屋根材が架設されていることを特徴とする屋根構造体。
【請求項3】
請求項2に記載の屋根構造体において、
前記複数の支持架構体は、互いに略平行に配置されていることを特徴とする屋根構造体。
【請求項4】
請求項2に記載の屋根構造体において、
前記複数の支持架構体は、互いに非平行に配置されていることを特徴とする屋根構造体。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれかに記載の屋根構造体において、
前記複数の支持架構体は、前記一対の支持体のうちの一方を共有して配置されていることを特徴とする屋根構造体。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の屋根構造体において、
前記縦材は、縦ケーブル材または縦ロッド材であることを特徴とする屋根構造体。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の屋根構造体において、
前記屋根材は、前記複数の縦材に支持される複数の横架材と、これらの横架材間に渡って張り付けられた膜材とを有して構成されていることを特徴とする屋根構造体。
【請求項8】
請求項7に記載の屋根構造体において、
前記複数の縦材間には、前記横架材を案内する案内部材が架け渡され、
前記屋根材は、前記横架材同士を近づけて折り畳んだ状態から、前記横架材同士を所定間隔離して広げた状態まで、前記案内部材に沿って前記横架材が移動することで、伸縮可能に構成されていることを特徴とする屋根構造体。
【請求項9】
請求項8に記載の屋根構造体において、
前記一対の支持体、前記上ケーブル材、前記下ケーブル材、および前記複数の縦材から支持架構体を形成し、この支持架構体を互いに略平行に複数配置するとともに、前記複数の縦材間に前記案内部材を架け渡しておき、
前記屋根材を構成する前記複数の横架材および前記膜材を組み立てて屋根ユニットを形成し、この屋根ユニットを折り畳んだ状態で前記案内部材に支持させた後に、前記案内部材に沿って前記横架材を移動し当該屋根ユニットを広げることで構築されることを特徴とする屋根構造体。
【請求項10】
請求項8に記載の屋根構造体を構築する屋根構造体の構築方法であって、
前記屋根構造体を構成する一対の支持体、上ケーブル材、下ケーブル材、および複数の縦材から支持架構体を形成し、この支持架構体を互いに略平行に複数配置するとともに、前記複数の縦材間に案内部材を架け渡しておき、
複数の横架材間に渡って膜材を張り付けて屋根ユニットを形成し、この屋根ユニットを折り畳んだ状態で前記案内部材に支持させた後に、前記案内部材に沿って前記横架材を移動し当該屋根ユニットを広げて前記屋根構造体を構築することを特徴とする屋根構造体の構築方法。
【請求項11】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の屋根構造体において、
前記上ケーブル材および下ケーブル材は、前記支持体に沿って上下移動自在な連結部材を介して当該支持体に連結されていることを特徴とする屋根構造体。
【請求項12】
請求項11に記載の屋根構造体において、
前記一対の支持体を形成しておき、この支持体の下部において、前記連結部材に前記上ケーブル材および下ケーブル材を接続し、これら上下のケーブル材に前記縦材を接続するとともに、前記屋根材を前記縦材に支持させた後に、前記連結部材を前記支持体に沿って上方に移動し、所定位置で当該支持体に固定して構築されることを特徴とする屋根構造体。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の屋根構造体において、
前記一対の支持体間には、前記上下のケーブル材および前記縦材から構成されるケーブルユニットが一組で架設され、これら各ケーブルユニットごとに前記屋根材が支持されるとともに、各組の上ケーブル材および下ケーブル材ごとに前記連結部材が設けられていることを特徴とする屋根構造体。
【請求項14】
請求項13に記載の屋根構造体を構築する屋根構造体の構築方法であって、
前記屋根構造体を構成するケーブルユニット、および一対の支持体を形成するとともに、前記支持体に上下の連結部材を取り付けておき、
前記ケーブルユニットを上下の連結部材に取り付けた後、これらの連結部材を前記支持体に沿って上昇させ、上側の連結部材を所定位置において前記支持体に固定した後、下側の連結部材を固定前に所定の力で下方に引き下げてから所定位置において前記支持体に固定することで、前記ケーブルユニットに所定の初期張力を導入することを特徴とする屋根構造体の構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−113277(P2007−113277A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306035(P2005−306035)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)