屋根用シール材の取付方法および屋根用シール材
【課題】共通の屋根用シール材を用いて全ての出隅部を適正にシールする。
【解決手段】下層階Xの屋根面Rに沿って傾斜状に配置される基部2と、上層階Yの2つの側壁面W1,W2に沿ってそれぞれ配置される第1、第2立ち上がり部3,4とを備えたシール材1を4つ用意する。シール材1の各折曲部L1,L2,L3に、その折曲線に沿って所定深さの溝10を形成し、この溝10を起点に上記第1、第2立ち上がり部3,4が基部2に対し折り返すことで、ノーマル状態のシール材1から、表裏が逆転したリバース状態のシール材1’へと変位可能とする。そして、屋根に存在する4つの出隅部P1〜P4のうち、対角関係にある2つの出隅部P1,P3に、ノーマル状態のシール材1を取り付け、残りの2つの出隅部P2,P4に、リバース状態のシール材1’を取り付ける。
【解決手段】下層階Xの屋根面Rに沿って傾斜状に配置される基部2と、上層階Yの2つの側壁面W1,W2に沿ってそれぞれ配置される第1、第2立ち上がり部3,4とを備えたシール材1を4つ用意する。シール材1の各折曲部L1,L2,L3に、その折曲線に沿って所定深さの溝10を形成し、この溝10を起点に上記第1、第2立ち上がり部3,4が基部2に対し折り返すことで、ノーマル状態のシール材1から、表裏が逆転したリバース状態のシール材1’へと変位可能とする。そして、屋根に存在する4つの出隅部P1〜P4のうち、対角関係にある2つの出隅部P1,P3に、ノーマル状態のシール材1を取り付け、残りの2つの出隅部P2,P4に、リバース状態のシール材1’を取り付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数階建ての建物における下層階の上面を覆いかつ水平面に対し傾斜した屋根面と、その屋根面上の上層階の角部を挟む2つの側壁面とからなる3平面が交差する出隅部に、所定厚みを有した可撓性のシート状体からなる屋根用シール材を取り付ける方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に示されるように、下層階の屋根面と、上層階の角部における2つの側壁面とからなる3平面が交差する部分(以下、出隅部という)に、雨水等の浸入を防止するためのシール材(雨仕舞)を取り付けることが行われている。
【0003】
具体的に、同文献に開示されたシール材は、プレス加工によって製作された金属材または合成樹脂材から構成され、上層階の角部における2つの側壁面に沿ってL字状に折曲された壁面覆板と、壁面覆板の下端部から外側に張り出し、下層階の屋根面に沿って配置される屋根面覆板とを備える。このシール材は、その壁面覆板が上層階の側壁面に釘またはビスで固定されることで、上記出隅部を覆うように取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭50−42528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、建物の屋根は、棟(屋根の頂部)を境に両方向に傾斜する、いわゆる逆V字型に形成されることが多く、水平面に対し傾斜しているのが一般的である。このため、上層階の4つの角部に対応した4つの出隅部に対し、全て同じ形状のシール材を取り付けることは不可能である。具体的には、上記4つの出隅部のうち、対角関係にある2つの出隅部と、残りの2つの出隅部とでは、出隅部の形状が異なるため、上記4つの出隅部全てにシール材を取り付けるには、形状の異なる2種類のシール材を用意する必要がある。
【0006】
しかしながら、1つの建物の出隅部に対し2種類のシール材を用意する必要があると、次のような問題が生じる。
【0007】
例えば、シール材がプレス成形により製作されるものである場合、プレス用の金型を2種類用意しなければならず、シール材の単価が増大してしまう。また、用意すべきシール材の種類とその数を間違えて、一方の種類のシール材が余り、他方の種類のシール材が不足するといった事態を招くおそれがある。
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、共通の屋根用シール材を用いて全ての出隅部を適正にシールすることが可能な屋根用シール材の取付方法および屋根用シール材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、複数階建ての建物における下層階の上面を覆いかつ水平面に対し傾斜した屋根面と、その屋根面上の上層階の角部を挟む2つの側壁面とからなる3平面が交差する出隅部に、所定厚みを有した可撓性のシート状体からなる屋根用シール材を取り付ける方法であって、上記屋根面に沿うように水平面に対し傾斜して配置される基部と、基部から上方に立ち上がり、上記角部を挟む2つの側壁面に沿ってそれぞれ配置される第1および第2の立ち上がり部とを備え、かつ、上記基部と第1立ち上がり部との折曲部、上記基部と第2立ち上がり部との折曲部、上記第1立ち上がり部と第2立ち上がり部との折曲部のそれぞれに、各折曲部の折曲線に沿って延びる所定深さの溝を有した互いに同一形状の屋根用シール材を、上記上層階の4つの角部に対応した4つの出隅部に対しそれぞれ用意する工程と、用意された上記4つの屋根用シール材のうちの2つに、上記各折曲部の溝を起点に上記第1および第2の立ち上がり部を上記基部に対し折り返す操作を施し、上記2つの屋根用シール材の表裏を逆転させる工程と、上記上層階の4つの角部に対応した4つの出隅部のうち、対角関係にある2つの出隅部に、表裏を逆転させていないノーマル状態の屋根用シール材を取り付ける工程と、残りの2つの出隅部に、表裏を逆転させたリバース状態の屋根用シール材を取り付ける工程とを含むことを特徴とするものである(請求項1)。
【0010】
本発明によれば、3平面が交差する出隅部をシールするために立体的に形成された可撓性の屋根用シール材に、その折曲部の折曲線に沿った溝を設けたことで、共通の屋根用シール材を基にして、ノーマル状態と、これを表裏裏返しにしたリバース状態という2種類の形態をつくり出すことが可能である。そして、対角関係にある2つの出隅部にノーマル状態の屋根用シール材を取り付け、残りの2つの出隅部にリバース状態の屋根用シール材を取り付けることにより、共通の屋根用シール材を用いながら、全ての出隅部に屋根用シール材を取り付けることができ、各出隅部のシールを適正に図ることができる。
【0011】
上記屋根用シール材には、オレフィン系熱可塑性エラストマーから構成されたものを用いるのが好ましい(請求項2)。
【0012】
すなわち、オレフィン系熱可塑性エラストマーは、耐水性、耐候性、耐熱老化性等に優れ、かつゴム弾性に富むという性質をもつため、屋根部という環境の厳しい場所で使用される屋根用シール材の材質として、特に好適である。
【0013】
この場合、上記屋根用シール材を出隅部に固定するために、ステープル、鋲、または釘を屋根用シール材に打ち込むようにしてもよい(請求項3)。
【0014】
このようにすれば、簡単な作業で屋根用シール材を出隅部に固定することができる。しかも、屋根用シール材がオレフィン系熱可塑性エラストマーからなるため、ステープル、鋲、または釘が上記シール材に打ち込まれたとしても、そのシール性は良好に確保される。
【0015】
また、本発明は、所定厚みを有した可撓性のシート状体からなり、複数階建ての建物における下層階の上面を覆いかつ水平面に対し傾斜した屋根面と、その屋根面上の上層階の角部を挟む2つの側壁面とからなる3平面が交差する出隅部を覆うように取り付けられる屋根用シール材であって、上記屋根面に沿うように水平面に対し傾斜して配置される基部と、基部から上方に立ち上がり、上記隣接する2つの側壁面に沿ってそれぞれ配置される第1および第2の立ち上がり部とを備え、上記基部と第1立ち上がり部との折曲部、上記基部と第2立ち上がり部との折曲部、上記第1立ち上がり部と第2立ち上がり部との折曲部のそれぞれに、各折曲部の折曲線に沿って延びる所定深さの溝が形成され、上記溝を起点に上記第1および第2の立ち上がり部が上記基部に対し折り返されることで、表裏が逆転したリバース状態と、逆転する前のノーマル状態との間で変位可能であることを特徴とするものである(請求項4)。
【0016】
本発明によれば、上述した取付方法に適用可能な屋根用シール材を提供できる。
【0017】
上記屋根用シール材の材質としては、オレフィン系熱可塑性エラストマーが好適である(請求項5)。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、共通の屋根用シール材を用いて全ての出隅部を適正にシールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態にかかる屋根用シール材の斜視図である。
【図2】図1に示したシール材の3面展開図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った拡大断面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿った拡大断面図である。
【図5】図2のV−V線に沿った拡大断面図である。
【図6】上記シール材の立ち上がり部を基部に対し折り返す前後の状態を示す図である。
【図7】図6の折り返し後の状態を上下逆転したものであり、図1、図2に示したシール材(ノーマル状態のシール材)と表裏逆転の関係にあるリバース状態のシール材を示す斜視図である。
【図8】図7に示したシール材の3面展開図である。
【図9】屋根の出隅部を示す斜視図である。
【図10】屋根の出隅部を示す平面図である。
【図11】屋根の一部にルーフィング材を施工した後の状態を示す図である。
【図12】屋根の出隅部にシール材を取り付けた後の状態を示す図である。
【図13】図12の一部拡大図である。
【図14】シール材に防水テープを貼り付けた後の状態を示す図である。
【図15】新たなルーフィング材を施工した後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の一実施形態にかかる屋根用シール材1(以下、単にシール材1という)の斜視図、図2は、シール材1の3面展開図である。これらの図に示されるシール材1は、建物の屋根部をシールするために使用される部品であり(例えば図12等参照)、所定厚みのシート状体を立体的に折曲形成したものから構成される。
【0021】
具体的に、上記シール材1は、鉛直面に沿って配置される第1立ち上がり部3と、この第1立ち上がり部3の一側辺部から面外方向に延びる第2立ち上がり部4と、これら第1、第2立ち上がり部3,4の下端部から外側に張り出すように設けられた基部2とを一体的に有している。
【0022】
上記第1立ち上がり部3は、正面視で長方形状(図例では略正方形状)に形成され、水平方向に延びる上辺部3aおよび下辺部3bと、鉛直方向に延びる一対の側辺部3c,3dとを有している。一方、上記第2立ち上がり部4は、上辺部4aおよび下辺部4bが非平行な台形状に形成されている。具体的に、第2立ち上がり部4は、水平方向に延びる上辺部4aと、水平方向に対し所定角度をなすように傾斜する下辺部4bと、鉛直方向に延びる一対の側辺部4c,4dとを有している。
【0023】
上記第1立ち上がり部3と第2立ち上がり部4とは、第2立ち上がり部4の長辺側の側辺部4cが第1立ち上がり部3の一側辺部3dにつながることで、全体として上面視逆L字状に形成されている。これら第1、第2立ち上がり部3,4の交差角度は、90度に設定されている。
【0024】
上記基部2は、上記第1、第2立ち上がり部3,4の各下辺部3b,4bとつながっており、上面視で所定幅をもった逆L字状に形成されている。この基部2は、第2立ち上がり部4の下辺部4bと平行な傾斜面に沿って配置され、その傾斜角度は、後述する屋根面R(図9等参照)の傾斜角度に対応して、例えば水平面に対し24°傾斜するように設定されている。
【0025】
上記基部2と第1立ち上がり部3との折曲部をL1、基部2と第2立ち上がり部4との折曲部をL2、第1、第2立ち上がり部3,4との折曲部をL3とすると、これら各折曲部L1,L2,L3には、その各折曲線に沿って、図3〜図5に示される溝10が形成されている。この溝10は、基部2および第1、第2立ち上がり部3,4の各表面を延長した面(仮想線で示す)よりも所定量凹むように形成され、この溝10の深さの分だけ、上記各折曲部L1,L2,L3の肉厚が薄くなっている。
【0026】
上記シール材1の材質としては、人の手で自由に屈曲させ得る程度に柔軟な可撓性材料が用いられる。例えば、シール材1の材質として、オレフィン系熱可塑性エラストマーを好適に用いることができる。
【0027】
オレフィン系熱可塑性エラストマーとは、オレフィン系樹脂(ポリエチレン系またはポリプロピレン系の樹脂)のマトリックスにオレフィン系ゴム(EPRゴムまたはEPDMゴム)を微分散させたものであり、優れたゴム弾性を有するとともに、耐水性、耐候性、耐熱老化性等に優れるといった特性を有している。このため、屋根部という環境の厳しい場所で使用されるシール材1の材質として、好適に用いることができる。
【0028】
このような可撓性の(屈曲自在な)材質からなるシール材1は、図6に示すように、第1、第2立ち上がり部3,4を基部2に対し折り返すことが可能である。すなわち、図3〜図5に示したように、シール材1は、その各折曲部L1,L2,L3に溝10を有しているため、この溝10を起点に容易に屈曲変形させる(つまり各折曲部L1,L2,L3の折り曲げ角度を変更する)ことが可能で、しかも屈曲後の状態を保持することができる。これにより、シール材1は、その立ち上がり部3,4が基部2に対し上方に立ち上がった図中上側の状態から、立ち上がり部3,4が下方に180°折り返された図中下側の状態に変位することが可能である。なお、図6では、立ち上がり部3,4を折り返した後のシール材を、符号1’で表わしている。
【0029】
折り返し後のシール材1’(図6の下側)を上下反転させたものを図7に示す。シール材1’は、この図7に示した状態で、屋根部のシールに用いられる。なお、図7のシール材1’を展開した3面展開図を、図8に示す。
【0030】
図7および図8に示したシール材1’と、元のシール材1(図1および図2等参照)とを比較すると分かるように、シール材1’は、シール材1に対して表裏裏返しの関係になっている。以下では、表裏が逆転した後のシール材1’を「リバース状態のシール材」、逆転する前のシール材1を「ノーマル状態のシール材」と称する。
【0031】
図9は、上記各シール材1,1’を用いたシールの対象である屋根の出隅部Pを示す斜視図である。図9では、複数階建ての建物の一例として、2階建ての住宅を図示している。出隅部Pは、下層階(1階)Xの屋根の下地材の上面(以下、屋根面Rという)のうち、上層階(2階)Yの角部Cとの交差部分に形成される。例えば、手前側の出隅部Pであれば、下層階Xの屋根面Rと、上層階Yの角部Cを挟む2つの側壁面W1,W2とからなる3平面が交差する部分に形成されている。
【0032】
上記のような箇所に形成される出隅部Pでは、屋根面Rと側壁面W1,W2との隙間を通じて雨水等が内部に浸入するおそれがあるため、これを防止するために、シール材1,1’が取り付けられる(図12参照)。このとき、シール材1,1’は、その基部2が屋根面Rに沿って配置され、立ち上がり部3,4が側壁面W1,W2に沿って配置される。
【0033】
なお、図9では2つの出隅部Pを図示したが、以下において、これらを区別して指すときには、図中手前側の出隅部PをP1、奥側の出隅部PをP2として表記する。各出隅部P1,P2にシール材1,1’を取り付ける際には、手前側の出隅部P1にノーマル状態のシール材1が取り付けられ、奥側の出隅部P2にリバース状態のシール材1’が取り付けられる。すなわち、手前側の出隅部P1と奥側の出隅部P2とでは、両者の形状が異なるため、表裏裏返しの関係にある上記シール材1,1’を使い分ける必要がある。
【0034】
この点について詳しく説明する。図9に例示される屋根は、その頂部(棟)を境に両方向に傾斜する、いわゆる逆V字型に形成されている。つまり、屋根面Rは、頂部から手前側に向かって傾斜する下向きの傾斜面と、頂部から奥側に向かって傾斜する下向きの傾斜面とを有している。そして、手前側の出隅部P1は、頂部から手前側に下向き傾斜する屋根面Rと、上層階Yの側壁面W1,W2との交差部分に形成されており、奥側の出隅部P2は、頂部から奥側に下向き傾斜する屋根面Rと、上層階Yの側壁面W2,W1(W1は紙面裏側の側壁面;図10参照)との交差部分に形成されている。このため、手前側の出隅部P1と、奥側の出隅部P2とでは、両者の形状が3次元的に異なっている。
【0035】
さらに、図10には、図9に図示しなかった出隅部をも含めて、屋根部に存在する全ての出隅部を平面的に示している。図10に示すように、上層階Yの側壁面としては、相対向する一対の側壁面W1,W1と、これと交差する一対の側壁面W2,W2とが存在し、各側壁面どうしの交点である4つの角部Cに対応して、4つの出隅部P1,P2,P3,P4が形成されている。これら4つの出隅部P1〜P4のうち、図9にも示した2つの出隅部P1,P2については、上述したように、互いに異なる形状を有しており、これと同様に、出隅部P3,P4の形状も異なっている。一方、対角関係にある2つの出隅部P1,P3を比較すると、両者は点対象の関係にあり、その形状は同一である。同様に、残りの2つの出隅部P2,P4についても、両者の形状は同一である。
【0036】
このため、上記対角関係の2つの出隅部P1,P3には、ともにノーマル状態のシール材1を取り付けることが可能である。一方、残りの2つの出隅部P2,P4については、リバース状態のシール材1’を取り付けることが可能である。このように、上層階Yの4つの角部に対応した4つの出隅部P1〜P4に対しては、ノーマル状態のシール材1と、リバース状態のシール材1’とをそれぞれ2つずつ用意することにより、全ての出隅部にシール材1,1’を取り付けることができる。
【0037】
なお、ノーマル状態のシール材1とリバース状態のシール材1’とをそれぞれ用意するといっても、表裏を裏返しさえすればノーマル状態のシール材1をリバース状態のシール材1’に変位させることができるので、用意すべきシール材は、物としては全て同一品である。つまり、シール材1,1’を実際に出隅部Pに取り付ける前の準備段階では、4つの出隅部P(P1〜P4)に対し、全てノーマル状態のシール材1を用意すればよく、その中の2つを表裏裏返してリバース状態のシール材1’に変位させればよい。
【0038】
次に、シール材1,1’を出隅部P(P1〜P4)に取り付ける手順について、図11〜図15に基づき説明する。
【0039】
まず、図11に示すように、屋根面Rの一部に、防水性のシートからなるルーフィング材20を施工する。ルーフィング材20とは、例えばフェルト製のシート素地にアスファルトを染み込ませたもので、屋根葺きの下地に用いられるものである。なお、屋根面Rが傾斜していることから、ルーフィング材20は、高さの低い位置から順に、部分的に重ね合わせながら施工される。これにより、屋根面Rの傾斜面に沿って雨水等の水分が落ちてきても、この水分がルーフィング材20どうしの隙間から内部に浸入することがなく、シール性が良好に確保される。
【0040】
ただし、図11の段階では、少なくとも出隅部Pよりも高さの低い領域、つまり、側壁面W1よりも外側(図中手前側)に位置する屋根面Rのみを、まずルーフィング材20で覆えばよい。このとき、側壁面W1についても、同一のルーフィング材20を用いて、所定高さの範囲にわたって覆うようにする。
【0041】
上記ルーフィング材20の施工後は、図12に示すように、出隅部Pにシール材1,1’を取り付ける。すなわち、対角関係にある出隅部P1,P3(図10)に、ノーマル状態のシール材1を取り付け、残りの出隅部P2,P4に、リバース状態のシール材1’を取り付ける。
【0042】
以下に、ノーマル状態のシール材1を出隅部P1に取り付ける際の手順についてより具体的に説明する。シール材1を取り付けるには、まず図13に示すような位置にシール材1を配置する。具体的には、シール材1の第1立ち上がり部3と第2立ち上がり部4との折曲部L3を、側壁面W1,W2が交差する角部Cのラインに一致させ、基部2と第1立ち上がり部3との折曲部L1を、側壁面W1と屋根面Rとの境界線S1に一致させ、基部2と第2立ち上がり部4との折曲部L2を、側壁面W2と屋根面Rとの境界線S2に一致させるように、シール材1を配置する。
【0043】
これにより、出隅部P1においては、側壁面W1が第1立ち上がり部3によって覆われ、側壁面W2が第2立ち上がり部4によって覆われ、屋根面Rが基部2によって覆われることになる。なお、シール材1の取り付けよりも先にルーフィング材20が施工されていることから、シール材1の第1立ち上がり部3と、基部2の一部とは、上記ルーフィング材20を間に挟み込んだ状態で側壁面W1および屋根面Rを覆うように配置される。
【0044】
そして、この状態で、ステープル、鋲、または釘を、タッカー等の工具を用いてシール材1の要所に打ち込むことにより、シール材1を出隅部P1に仮止めする。なお、ステープル、鋲、または釘をシール材1に打ち込んだ場合、シール材の材質によっては、その打ち込み部から雨水等が浸入するおそれがある。そこで、このような事態を確実に防止する観点からも、上述したオレフィン系熱可塑性エラストマーをシール材1の材質として用いることが好ましい。先にも説明したとおり、オレフィン系熱可塑性エラストマーは、優れたゴム弾性を有するとともに、耐水性および耐候性等に優れるため、上記のようなステープル、鋲、または釘をシール材1に打ち込んでも、シール性が損なわれることがなく、シール材1の性能を長期間にわたって維持することができる。
【0045】
次いで、図14に示すように、シール材1の第1、第2立ち上がり部3,4に防水テープ25を貼り付けることにより、第1、第2立ち上がり部3,4を側壁面W1(ルーフィング材20)および側壁面W2に密着させる。
【0046】
上記のようにしてシール材1を出隅部P1に取り付けた後は、図15に示すように、先に施工したルーフィング材20と交差する方向(屋根面Rの傾斜方向)に、新たなルーフィング材20を施工する。そして、このルーフィング材20により、側壁面W2の下部と、側壁面W2近傍の屋根面Rと、出隅部P1に取り付けられたシール材1の一部とを覆うようにする。このとき、ルーフィング材20の端部を角部Cよりも外側まで突出させるとともに、その突出部分に、図中のラインZに沿った切れ目を入れ、その切れ目により分割された一方を側壁面W1側に折り曲げるようにする。
【0047】
なお、図15では図示を省略しているが、新たに施工したルーフィング材20よりも側方(図中右側)の屋根面Rについては、後に施工される別のルーフィング材20によって覆われることになる。
【0048】
以上、出隅部P1へのシール材1の取付手順についてルーフィング材20の施工とともに説明したが、他の出隅部(P2,P3,P4)についても、同様の手順でシール材1,1’が取り付けられる。ただし、先にも説明したとおり、出隅部P1,P3と出隅部P2,P4とでは形状が異なるため、上記他の出隅部(P2,P3,P4)のうち、出隅部P3については、出隅部P1のときと同じノーマル状態のシール材1を取り付け、出隅部P2,P4については、リバース状態のシール材1’を取り付けるようにする。
【0049】
以上説明したように、当実施形態では、屋根の出隅部P(P1〜P4)をシールするためのシール材として、屋根面R(屋根の下地材の上面)に沿って傾斜状に配置される基部2と、上層階Yの角部Cを挟む2つの側壁面W1,W2に沿ってそれぞれ配置される第1、第2立ち上がり部3,4とを備えたシール材1(屋根用シール材)が4つ用意される。このシール材1は、基部2と第1立ち上がり部3との折曲部L1、基部2と第2立ち上がり部4との折曲部L2、第1立ち上がり部3と第2立ち上がり部4との折曲部L3のそれぞれに、各折曲部L1,L2,L3の折曲線に沿って延びる所定深さの溝10を有しており、この溝10を起点に上記第1、第2立ち上がり部3,4が基部2に対し折り返されることで、ノーマル状態のシール材1から、表裏が逆転したリバース状態のシール材1’へと変位可能である。そして、上記4つの出隅部P1〜P4に上記シール材1,1’をそれぞれ取り付ける際には、対角関係にある2つの出隅部P1,P3に、ノーマル状態のシール材1が取り付けられ、残りの2つの出隅部P2,P4に、リバース状態のシール材1’が取り付けられる。このように、ノーマル状態と、これを裏返したリバース状態との間で変位可能なシール材(1,1’)を使用することで、全ての出隅部P1〜P4に対し共通のシール材を使用することができる。
【0050】
すなわち、上記実施形態では、3平面が交差する出隅部P1〜P4をシールするために立体的に形成された可撓性のシール材1に、その折曲部L1,L2,L3の折曲線に沿った溝10を設けたことにより、共通のシール材1を基にして、そのままの形態(ノーマル状態)のシール材1と、これを表裏裏返しにしたリバース状態のシール材1’という2種類の形態をつくり出すことが可能である。そして、対角関係にある2つの出隅部P1,P3にノーマル状態のシール材1を取り付け、残りの2つの出隅部P2,P4にリバース状態のシール材1’を取り付けることにより、共通のシール材を用いながら、全ての出隅部P(P1〜P4)にシール材1,1’を取り付けることができ、各出隅部Pのシールを適正に図ることができる。
【0051】
また、共通のシール材が使用可能なことから、シール材を最初から2種類の形態に作り分ける必要がない(つまり準備段階ではノーマル状態のシール材1のみを用意すればよい)ため、例えばシール材を製造するための金型が1種類で済み、シール材の単価を効果的に低減することができる。また、シール材の種類と数を間違えるおそれがないため、現場での作業性を向上させることができる。
【0052】
なお、上記実施形態では、シール材1(1’)の材質の好適例として、オレフィン系熱可塑性エラストマーを例示したが、可撓性を有する材質であれば、必ずしもオレフィン系熱可塑性エラストマーでなくてもよい。ただし、オレフィン系熱可塑性エラストマーは、上述したように、耐水性、耐候性、耐熱老化性等に優れ、かつゴム弾性に富むという性質をもつため、屋根部という環境の厳しい場所で使用されるシール材1の材質として、特に好適である。
【0053】
また、シール材1の材質として、上記のような性質を有するオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いれば、シール材1の固定用にステープル、鋲、または釘を打ち込んでも、シール性が損なわれることがなく、シール材1の性能を長期間にわたって維持することができる。
【0054】
さらに、オレフィン系熱可塑性エラストマー製のシール材1を用いた場合、屋根面Rの勾配(傾斜角度)が多少変わっても、シール材1が柔軟に変形することで、その基部2を屋根面Rに適正に密着させることが可能である。このため、例えば屋根面Rの勾配が、いわゆる3寸勾配(3/10)〜6寸勾配(6/10)のいずれであっても、同一のシール材1を用いて問題なく出隅部Pをシールすることができる。なお、3寸勾配のときの傾斜角度は約17°、6寸勾配のときの傾斜角度は約31°である。これらの角度の中間値に基部2の傾斜角度を設定(例えば24°に設定)しておけば、3寸勾配〜6寸勾配のいずれの屋根面Rに対してもシール材1を適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 (ノーマル状態の)シール材
1’ (リバース状態の)シール材
2 基部
3 第1立ち上がり部
4 第2立ち上がり部
10 溝
L1,L2,L3 折曲部
X 下層階
Y 上層階
C 角部
W1,W2 側壁面
P(P1〜P4) 出隅部
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数階建ての建物における下層階の上面を覆いかつ水平面に対し傾斜した屋根面と、その屋根面上の上層階の角部を挟む2つの側壁面とからなる3平面が交差する出隅部に、所定厚みを有した可撓性のシート状体からなる屋根用シール材を取り付ける方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に示されるように、下層階の屋根面と、上層階の角部における2つの側壁面とからなる3平面が交差する部分(以下、出隅部という)に、雨水等の浸入を防止するためのシール材(雨仕舞)を取り付けることが行われている。
【0003】
具体的に、同文献に開示されたシール材は、プレス加工によって製作された金属材または合成樹脂材から構成され、上層階の角部における2つの側壁面に沿ってL字状に折曲された壁面覆板と、壁面覆板の下端部から外側に張り出し、下層階の屋根面に沿って配置される屋根面覆板とを備える。このシール材は、その壁面覆板が上層階の側壁面に釘またはビスで固定されることで、上記出隅部を覆うように取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭50−42528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、建物の屋根は、棟(屋根の頂部)を境に両方向に傾斜する、いわゆる逆V字型に形成されることが多く、水平面に対し傾斜しているのが一般的である。このため、上層階の4つの角部に対応した4つの出隅部に対し、全て同じ形状のシール材を取り付けることは不可能である。具体的には、上記4つの出隅部のうち、対角関係にある2つの出隅部と、残りの2つの出隅部とでは、出隅部の形状が異なるため、上記4つの出隅部全てにシール材を取り付けるには、形状の異なる2種類のシール材を用意する必要がある。
【0006】
しかしながら、1つの建物の出隅部に対し2種類のシール材を用意する必要があると、次のような問題が生じる。
【0007】
例えば、シール材がプレス成形により製作されるものである場合、プレス用の金型を2種類用意しなければならず、シール材の単価が増大してしまう。また、用意すべきシール材の種類とその数を間違えて、一方の種類のシール材が余り、他方の種類のシール材が不足するといった事態を招くおそれがある。
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、共通の屋根用シール材を用いて全ての出隅部を適正にシールすることが可能な屋根用シール材の取付方法および屋根用シール材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、複数階建ての建物における下層階の上面を覆いかつ水平面に対し傾斜した屋根面と、その屋根面上の上層階の角部を挟む2つの側壁面とからなる3平面が交差する出隅部に、所定厚みを有した可撓性のシート状体からなる屋根用シール材を取り付ける方法であって、上記屋根面に沿うように水平面に対し傾斜して配置される基部と、基部から上方に立ち上がり、上記角部を挟む2つの側壁面に沿ってそれぞれ配置される第1および第2の立ち上がり部とを備え、かつ、上記基部と第1立ち上がり部との折曲部、上記基部と第2立ち上がり部との折曲部、上記第1立ち上がり部と第2立ち上がり部との折曲部のそれぞれに、各折曲部の折曲線に沿って延びる所定深さの溝を有した互いに同一形状の屋根用シール材を、上記上層階の4つの角部に対応した4つの出隅部に対しそれぞれ用意する工程と、用意された上記4つの屋根用シール材のうちの2つに、上記各折曲部の溝を起点に上記第1および第2の立ち上がり部を上記基部に対し折り返す操作を施し、上記2つの屋根用シール材の表裏を逆転させる工程と、上記上層階の4つの角部に対応した4つの出隅部のうち、対角関係にある2つの出隅部に、表裏を逆転させていないノーマル状態の屋根用シール材を取り付ける工程と、残りの2つの出隅部に、表裏を逆転させたリバース状態の屋根用シール材を取り付ける工程とを含むことを特徴とするものである(請求項1)。
【0010】
本発明によれば、3平面が交差する出隅部をシールするために立体的に形成された可撓性の屋根用シール材に、その折曲部の折曲線に沿った溝を設けたことで、共通の屋根用シール材を基にして、ノーマル状態と、これを表裏裏返しにしたリバース状態という2種類の形態をつくり出すことが可能である。そして、対角関係にある2つの出隅部にノーマル状態の屋根用シール材を取り付け、残りの2つの出隅部にリバース状態の屋根用シール材を取り付けることにより、共通の屋根用シール材を用いながら、全ての出隅部に屋根用シール材を取り付けることができ、各出隅部のシールを適正に図ることができる。
【0011】
上記屋根用シール材には、オレフィン系熱可塑性エラストマーから構成されたものを用いるのが好ましい(請求項2)。
【0012】
すなわち、オレフィン系熱可塑性エラストマーは、耐水性、耐候性、耐熱老化性等に優れ、かつゴム弾性に富むという性質をもつため、屋根部という環境の厳しい場所で使用される屋根用シール材の材質として、特に好適である。
【0013】
この場合、上記屋根用シール材を出隅部に固定するために、ステープル、鋲、または釘を屋根用シール材に打ち込むようにしてもよい(請求項3)。
【0014】
このようにすれば、簡単な作業で屋根用シール材を出隅部に固定することができる。しかも、屋根用シール材がオレフィン系熱可塑性エラストマーからなるため、ステープル、鋲、または釘が上記シール材に打ち込まれたとしても、そのシール性は良好に確保される。
【0015】
また、本発明は、所定厚みを有した可撓性のシート状体からなり、複数階建ての建物における下層階の上面を覆いかつ水平面に対し傾斜した屋根面と、その屋根面上の上層階の角部を挟む2つの側壁面とからなる3平面が交差する出隅部を覆うように取り付けられる屋根用シール材であって、上記屋根面に沿うように水平面に対し傾斜して配置される基部と、基部から上方に立ち上がり、上記隣接する2つの側壁面に沿ってそれぞれ配置される第1および第2の立ち上がり部とを備え、上記基部と第1立ち上がり部との折曲部、上記基部と第2立ち上がり部との折曲部、上記第1立ち上がり部と第2立ち上がり部との折曲部のそれぞれに、各折曲部の折曲線に沿って延びる所定深さの溝が形成され、上記溝を起点に上記第1および第2の立ち上がり部が上記基部に対し折り返されることで、表裏が逆転したリバース状態と、逆転する前のノーマル状態との間で変位可能であることを特徴とするものである(請求項4)。
【0016】
本発明によれば、上述した取付方法に適用可能な屋根用シール材を提供できる。
【0017】
上記屋根用シール材の材質としては、オレフィン系熱可塑性エラストマーが好適である(請求項5)。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、共通の屋根用シール材を用いて全ての出隅部を適正にシールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態にかかる屋根用シール材の斜視図である。
【図2】図1に示したシール材の3面展開図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った拡大断面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿った拡大断面図である。
【図5】図2のV−V線に沿った拡大断面図である。
【図6】上記シール材の立ち上がり部を基部に対し折り返す前後の状態を示す図である。
【図7】図6の折り返し後の状態を上下逆転したものであり、図1、図2に示したシール材(ノーマル状態のシール材)と表裏逆転の関係にあるリバース状態のシール材を示す斜視図である。
【図8】図7に示したシール材の3面展開図である。
【図9】屋根の出隅部を示す斜視図である。
【図10】屋根の出隅部を示す平面図である。
【図11】屋根の一部にルーフィング材を施工した後の状態を示す図である。
【図12】屋根の出隅部にシール材を取り付けた後の状態を示す図である。
【図13】図12の一部拡大図である。
【図14】シール材に防水テープを貼り付けた後の状態を示す図である。
【図15】新たなルーフィング材を施工した後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の一実施形態にかかる屋根用シール材1(以下、単にシール材1という)の斜視図、図2は、シール材1の3面展開図である。これらの図に示されるシール材1は、建物の屋根部をシールするために使用される部品であり(例えば図12等参照)、所定厚みのシート状体を立体的に折曲形成したものから構成される。
【0021】
具体的に、上記シール材1は、鉛直面に沿って配置される第1立ち上がり部3と、この第1立ち上がり部3の一側辺部から面外方向に延びる第2立ち上がり部4と、これら第1、第2立ち上がり部3,4の下端部から外側に張り出すように設けられた基部2とを一体的に有している。
【0022】
上記第1立ち上がり部3は、正面視で長方形状(図例では略正方形状)に形成され、水平方向に延びる上辺部3aおよび下辺部3bと、鉛直方向に延びる一対の側辺部3c,3dとを有している。一方、上記第2立ち上がり部4は、上辺部4aおよび下辺部4bが非平行な台形状に形成されている。具体的に、第2立ち上がり部4は、水平方向に延びる上辺部4aと、水平方向に対し所定角度をなすように傾斜する下辺部4bと、鉛直方向に延びる一対の側辺部4c,4dとを有している。
【0023】
上記第1立ち上がり部3と第2立ち上がり部4とは、第2立ち上がり部4の長辺側の側辺部4cが第1立ち上がり部3の一側辺部3dにつながることで、全体として上面視逆L字状に形成されている。これら第1、第2立ち上がり部3,4の交差角度は、90度に設定されている。
【0024】
上記基部2は、上記第1、第2立ち上がり部3,4の各下辺部3b,4bとつながっており、上面視で所定幅をもった逆L字状に形成されている。この基部2は、第2立ち上がり部4の下辺部4bと平行な傾斜面に沿って配置され、その傾斜角度は、後述する屋根面R(図9等参照)の傾斜角度に対応して、例えば水平面に対し24°傾斜するように設定されている。
【0025】
上記基部2と第1立ち上がり部3との折曲部をL1、基部2と第2立ち上がり部4との折曲部をL2、第1、第2立ち上がり部3,4との折曲部をL3とすると、これら各折曲部L1,L2,L3には、その各折曲線に沿って、図3〜図5に示される溝10が形成されている。この溝10は、基部2および第1、第2立ち上がり部3,4の各表面を延長した面(仮想線で示す)よりも所定量凹むように形成され、この溝10の深さの分だけ、上記各折曲部L1,L2,L3の肉厚が薄くなっている。
【0026】
上記シール材1の材質としては、人の手で自由に屈曲させ得る程度に柔軟な可撓性材料が用いられる。例えば、シール材1の材質として、オレフィン系熱可塑性エラストマーを好適に用いることができる。
【0027】
オレフィン系熱可塑性エラストマーとは、オレフィン系樹脂(ポリエチレン系またはポリプロピレン系の樹脂)のマトリックスにオレフィン系ゴム(EPRゴムまたはEPDMゴム)を微分散させたものであり、優れたゴム弾性を有するとともに、耐水性、耐候性、耐熱老化性等に優れるといった特性を有している。このため、屋根部という環境の厳しい場所で使用されるシール材1の材質として、好適に用いることができる。
【0028】
このような可撓性の(屈曲自在な)材質からなるシール材1は、図6に示すように、第1、第2立ち上がり部3,4を基部2に対し折り返すことが可能である。すなわち、図3〜図5に示したように、シール材1は、その各折曲部L1,L2,L3に溝10を有しているため、この溝10を起点に容易に屈曲変形させる(つまり各折曲部L1,L2,L3の折り曲げ角度を変更する)ことが可能で、しかも屈曲後の状態を保持することができる。これにより、シール材1は、その立ち上がり部3,4が基部2に対し上方に立ち上がった図中上側の状態から、立ち上がり部3,4が下方に180°折り返された図中下側の状態に変位することが可能である。なお、図6では、立ち上がり部3,4を折り返した後のシール材を、符号1’で表わしている。
【0029】
折り返し後のシール材1’(図6の下側)を上下反転させたものを図7に示す。シール材1’は、この図7に示した状態で、屋根部のシールに用いられる。なお、図7のシール材1’を展開した3面展開図を、図8に示す。
【0030】
図7および図8に示したシール材1’と、元のシール材1(図1および図2等参照)とを比較すると分かるように、シール材1’は、シール材1に対して表裏裏返しの関係になっている。以下では、表裏が逆転した後のシール材1’を「リバース状態のシール材」、逆転する前のシール材1を「ノーマル状態のシール材」と称する。
【0031】
図9は、上記各シール材1,1’を用いたシールの対象である屋根の出隅部Pを示す斜視図である。図9では、複数階建ての建物の一例として、2階建ての住宅を図示している。出隅部Pは、下層階(1階)Xの屋根の下地材の上面(以下、屋根面Rという)のうち、上層階(2階)Yの角部Cとの交差部分に形成される。例えば、手前側の出隅部Pであれば、下層階Xの屋根面Rと、上層階Yの角部Cを挟む2つの側壁面W1,W2とからなる3平面が交差する部分に形成されている。
【0032】
上記のような箇所に形成される出隅部Pでは、屋根面Rと側壁面W1,W2との隙間を通じて雨水等が内部に浸入するおそれがあるため、これを防止するために、シール材1,1’が取り付けられる(図12参照)。このとき、シール材1,1’は、その基部2が屋根面Rに沿って配置され、立ち上がり部3,4が側壁面W1,W2に沿って配置される。
【0033】
なお、図9では2つの出隅部Pを図示したが、以下において、これらを区別して指すときには、図中手前側の出隅部PをP1、奥側の出隅部PをP2として表記する。各出隅部P1,P2にシール材1,1’を取り付ける際には、手前側の出隅部P1にノーマル状態のシール材1が取り付けられ、奥側の出隅部P2にリバース状態のシール材1’が取り付けられる。すなわち、手前側の出隅部P1と奥側の出隅部P2とでは、両者の形状が異なるため、表裏裏返しの関係にある上記シール材1,1’を使い分ける必要がある。
【0034】
この点について詳しく説明する。図9に例示される屋根は、その頂部(棟)を境に両方向に傾斜する、いわゆる逆V字型に形成されている。つまり、屋根面Rは、頂部から手前側に向かって傾斜する下向きの傾斜面と、頂部から奥側に向かって傾斜する下向きの傾斜面とを有している。そして、手前側の出隅部P1は、頂部から手前側に下向き傾斜する屋根面Rと、上層階Yの側壁面W1,W2との交差部分に形成されており、奥側の出隅部P2は、頂部から奥側に下向き傾斜する屋根面Rと、上層階Yの側壁面W2,W1(W1は紙面裏側の側壁面;図10参照)との交差部分に形成されている。このため、手前側の出隅部P1と、奥側の出隅部P2とでは、両者の形状が3次元的に異なっている。
【0035】
さらに、図10には、図9に図示しなかった出隅部をも含めて、屋根部に存在する全ての出隅部を平面的に示している。図10に示すように、上層階Yの側壁面としては、相対向する一対の側壁面W1,W1と、これと交差する一対の側壁面W2,W2とが存在し、各側壁面どうしの交点である4つの角部Cに対応して、4つの出隅部P1,P2,P3,P4が形成されている。これら4つの出隅部P1〜P4のうち、図9にも示した2つの出隅部P1,P2については、上述したように、互いに異なる形状を有しており、これと同様に、出隅部P3,P4の形状も異なっている。一方、対角関係にある2つの出隅部P1,P3を比較すると、両者は点対象の関係にあり、その形状は同一である。同様に、残りの2つの出隅部P2,P4についても、両者の形状は同一である。
【0036】
このため、上記対角関係の2つの出隅部P1,P3には、ともにノーマル状態のシール材1を取り付けることが可能である。一方、残りの2つの出隅部P2,P4については、リバース状態のシール材1’を取り付けることが可能である。このように、上層階Yの4つの角部に対応した4つの出隅部P1〜P4に対しては、ノーマル状態のシール材1と、リバース状態のシール材1’とをそれぞれ2つずつ用意することにより、全ての出隅部にシール材1,1’を取り付けることができる。
【0037】
なお、ノーマル状態のシール材1とリバース状態のシール材1’とをそれぞれ用意するといっても、表裏を裏返しさえすればノーマル状態のシール材1をリバース状態のシール材1’に変位させることができるので、用意すべきシール材は、物としては全て同一品である。つまり、シール材1,1’を実際に出隅部Pに取り付ける前の準備段階では、4つの出隅部P(P1〜P4)に対し、全てノーマル状態のシール材1を用意すればよく、その中の2つを表裏裏返してリバース状態のシール材1’に変位させればよい。
【0038】
次に、シール材1,1’を出隅部P(P1〜P4)に取り付ける手順について、図11〜図15に基づき説明する。
【0039】
まず、図11に示すように、屋根面Rの一部に、防水性のシートからなるルーフィング材20を施工する。ルーフィング材20とは、例えばフェルト製のシート素地にアスファルトを染み込ませたもので、屋根葺きの下地に用いられるものである。なお、屋根面Rが傾斜していることから、ルーフィング材20は、高さの低い位置から順に、部分的に重ね合わせながら施工される。これにより、屋根面Rの傾斜面に沿って雨水等の水分が落ちてきても、この水分がルーフィング材20どうしの隙間から内部に浸入することがなく、シール性が良好に確保される。
【0040】
ただし、図11の段階では、少なくとも出隅部Pよりも高さの低い領域、つまり、側壁面W1よりも外側(図中手前側)に位置する屋根面Rのみを、まずルーフィング材20で覆えばよい。このとき、側壁面W1についても、同一のルーフィング材20を用いて、所定高さの範囲にわたって覆うようにする。
【0041】
上記ルーフィング材20の施工後は、図12に示すように、出隅部Pにシール材1,1’を取り付ける。すなわち、対角関係にある出隅部P1,P3(図10)に、ノーマル状態のシール材1を取り付け、残りの出隅部P2,P4に、リバース状態のシール材1’を取り付ける。
【0042】
以下に、ノーマル状態のシール材1を出隅部P1に取り付ける際の手順についてより具体的に説明する。シール材1を取り付けるには、まず図13に示すような位置にシール材1を配置する。具体的には、シール材1の第1立ち上がり部3と第2立ち上がり部4との折曲部L3を、側壁面W1,W2が交差する角部Cのラインに一致させ、基部2と第1立ち上がり部3との折曲部L1を、側壁面W1と屋根面Rとの境界線S1に一致させ、基部2と第2立ち上がり部4との折曲部L2を、側壁面W2と屋根面Rとの境界線S2に一致させるように、シール材1を配置する。
【0043】
これにより、出隅部P1においては、側壁面W1が第1立ち上がり部3によって覆われ、側壁面W2が第2立ち上がり部4によって覆われ、屋根面Rが基部2によって覆われることになる。なお、シール材1の取り付けよりも先にルーフィング材20が施工されていることから、シール材1の第1立ち上がり部3と、基部2の一部とは、上記ルーフィング材20を間に挟み込んだ状態で側壁面W1および屋根面Rを覆うように配置される。
【0044】
そして、この状態で、ステープル、鋲、または釘を、タッカー等の工具を用いてシール材1の要所に打ち込むことにより、シール材1を出隅部P1に仮止めする。なお、ステープル、鋲、または釘をシール材1に打ち込んだ場合、シール材の材質によっては、その打ち込み部から雨水等が浸入するおそれがある。そこで、このような事態を確実に防止する観点からも、上述したオレフィン系熱可塑性エラストマーをシール材1の材質として用いることが好ましい。先にも説明したとおり、オレフィン系熱可塑性エラストマーは、優れたゴム弾性を有するとともに、耐水性および耐候性等に優れるため、上記のようなステープル、鋲、または釘をシール材1に打ち込んでも、シール性が損なわれることがなく、シール材1の性能を長期間にわたって維持することができる。
【0045】
次いで、図14に示すように、シール材1の第1、第2立ち上がり部3,4に防水テープ25を貼り付けることにより、第1、第2立ち上がり部3,4を側壁面W1(ルーフィング材20)および側壁面W2に密着させる。
【0046】
上記のようにしてシール材1を出隅部P1に取り付けた後は、図15に示すように、先に施工したルーフィング材20と交差する方向(屋根面Rの傾斜方向)に、新たなルーフィング材20を施工する。そして、このルーフィング材20により、側壁面W2の下部と、側壁面W2近傍の屋根面Rと、出隅部P1に取り付けられたシール材1の一部とを覆うようにする。このとき、ルーフィング材20の端部を角部Cよりも外側まで突出させるとともに、その突出部分に、図中のラインZに沿った切れ目を入れ、その切れ目により分割された一方を側壁面W1側に折り曲げるようにする。
【0047】
なお、図15では図示を省略しているが、新たに施工したルーフィング材20よりも側方(図中右側)の屋根面Rについては、後に施工される別のルーフィング材20によって覆われることになる。
【0048】
以上、出隅部P1へのシール材1の取付手順についてルーフィング材20の施工とともに説明したが、他の出隅部(P2,P3,P4)についても、同様の手順でシール材1,1’が取り付けられる。ただし、先にも説明したとおり、出隅部P1,P3と出隅部P2,P4とでは形状が異なるため、上記他の出隅部(P2,P3,P4)のうち、出隅部P3については、出隅部P1のときと同じノーマル状態のシール材1を取り付け、出隅部P2,P4については、リバース状態のシール材1’を取り付けるようにする。
【0049】
以上説明したように、当実施形態では、屋根の出隅部P(P1〜P4)をシールするためのシール材として、屋根面R(屋根の下地材の上面)に沿って傾斜状に配置される基部2と、上層階Yの角部Cを挟む2つの側壁面W1,W2に沿ってそれぞれ配置される第1、第2立ち上がり部3,4とを備えたシール材1(屋根用シール材)が4つ用意される。このシール材1は、基部2と第1立ち上がり部3との折曲部L1、基部2と第2立ち上がり部4との折曲部L2、第1立ち上がり部3と第2立ち上がり部4との折曲部L3のそれぞれに、各折曲部L1,L2,L3の折曲線に沿って延びる所定深さの溝10を有しており、この溝10を起点に上記第1、第2立ち上がり部3,4が基部2に対し折り返されることで、ノーマル状態のシール材1から、表裏が逆転したリバース状態のシール材1’へと変位可能である。そして、上記4つの出隅部P1〜P4に上記シール材1,1’をそれぞれ取り付ける際には、対角関係にある2つの出隅部P1,P3に、ノーマル状態のシール材1が取り付けられ、残りの2つの出隅部P2,P4に、リバース状態のシール材1’が取り付けられる。このように、ノーマル状態と、これを裏返したリバース状態との間で変位可能なシール材(1,1’)を使用することで、全ての出隅部P1〜P4に対し共通のシール材を使用することができる。
【0050】
すなわち、上記実施形態では、3平面が交差する出隅部P1〜P4をシールするために立体的に形成された可撓性のシール材1に、その折曲部L1,L2,L3の折曲線に沿った溝10を設けたことにより、共通のシール材1を基にして、そのままの形態(ノーマル状態)のシール材1と、これを表裏裏返しにしたリバース状態のシール材1’という2種類の形態をつくり出すことが可能である。そして、対角関係にある2つの出隅部P1,P3にノーマル状態のシール材1を取り付け、残りの2つの出隅部P2,P4にリバース状態のシール材1’を取り付けることにより、共通のシール材を用いながら、全ての出隅部P(P1〜P4)にシール材1,1’を取り付けることができ、各出隅部Pのシールを適正に図ることができる。
【0051】
また、共通のシール材が使用可能なことから、シール材を最初から2種類の形態に作り分ける必要がない(つまり準備段階ではノーマル状態のシール材1のみを用意すればよい)ため、例えばシール材を製造するための金型が1種類で済み、シール材の単価を効果的に低減することができる。また、シール材の種類と数を間違えるおそれがないため、現場での作業性を向上させることができる。
【0052】
なお、上記実施形態では、シール材1(1’)の材質の好適例として、オレフィン系熱可塑性エラストマーを例示したが、可撓性を有する材質であれば、必ずしもオレフィン系熱可塑性エラストマーでなくてもよい。ただし、オレフィン系熱可塑性エラストマーは、上述したように、耐水性、耐候性、耐熱老化性等に優れ、かつゴム弾性に富むという性質をもつため、屋根部という環境の厳しい場所で使用されるシール材1の材質として、特に好適である。
【0053】
また、シール材1の材質として、上記のような性質を有するオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いれば、シール材1の固定用にステープル、鋲、または釘を打ち込んでも、シール性が損なわれることがなく、シール材1の性能を長期間にわたって維持することができる。
【0054】
さらに、オレフィン系熱可塑性エラストマー製のシール材1を用いた場合、屋根面Rの勾配(傾斜角度)が多少変わっても、シール材1が柔軟に変形することで、その基部2を屋根面Rに適正に密着させることが可能である。このため、例えば屋根面Rの勾配が、いわゆる3寸勾配(3/10)〜6寸勾配(6/10)のいずれであっても、同一のシール材1を用いて問題なく出隅部Pをシールすることができる。なお、3寸勾配のときの傾斜角度は約17°、6寸勾配のときの傾斜角度は約31°である。これらの角度の中間値に基部2の傾斜角度を設定(例えば24°に設定)しておけば、3寸勾配〜6寸勾配のいずれの屋根面Rに対してもシール材1を適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 (ノーマル状態の)シール材
1’ (リバース状態の)シール材
2 基部
3 第1立ち上がり部
4 第2立ち上がり部
10 溝
L1,L2,L3 折曲部
X 下層階
Y 上層階
C 角部
W1,W2 側壁面
P(P1〜P4) 出隅部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数階建ての建物における下層階の上面を覆いかつ水平面に対し傾斜した屋根面と、その屋根面上の上層階の角部を挟む2つの側壁面とからなる3平面が交差する出隅部に、所定厚みを有した可撓性のシート状体からなる屋根用シール材を取り付ける方法であって、
上記屋根面に沿うように水平面に対し傾斜して配置される基部と、基部から上方に立ち上がり、上記角部を挟む2つの側壁面に沿ってそれぞれ配置される第1および第2の立ち上がり部とを備え、かつ、上記基部と第1立ち上がり部との折曲部、上記基部と第2立ち上がり部との折曲部、上記第1立ち上がり部と第2立ち上がり部との折曲部のそれぞれに、各折曲部の折曲線に沿って延びる所定深さの溝を有した互いに同一形状の屋根用シール材を、上記上層階の4つの角部に対応した4つの出隅部に対しそれぞれ用意する工程と、
用意された上記4つの屋根用シール材のうちの2つに、上記各折曲部の溝を起点に上記第1および第2の立ち上がり部を上記基部に対し折り返す操作を施し、上記2つの屋根用シール材の表裏を逆転させる工程と、
上記上層階の4つの角部に対応した4つの出隅部のうち、対角関係にある2つの出隅部に、表裏を逆転させていないノーマル状態の屋根用シール材を取り付ける工程と、
残りの2つの出隅部に、表裏を逆転させたリバース状態の屋根用シール材を取り付ける工程とを含むことを特徴とする屋根用シール材の取付方法。
【請求項2】
請求項1記載の屋根用シール材の取付方法において、
上記屋根用シール材に、オレフィン系熱可塑性エラストマーから構成されたものを用いることを特徴とする屋根用シール材の取付方法。
【請求項3】
請求項2記載の屋根用シール材の取付方法において、
上記屋根用シール材を出隅部に固定するために、ステープル、鋲、または釘を屋根用シール材に打ち込むことを特徴とする屋根用シール材の取付方法。
【請求項4】
所定厚みを有した可撓性のシート状体からなり、複数階建ての建物における下層階の上面を覆いかつ水平面に対し傾斜した屋根面と、その屋根面上の上層階の角部を挟む2つの側壁面とからなる3平面が交差する出隅部を覆うように取り付けられる屋根用シール材であって、
上記屋根面に沿うように水平面に対し傾斜して配置される基部と、基部から上方に立ち上がり、上記隣接する2つの側壁面に沿ってそれぞれ配置される第1および第2の立ち上がり部とを備え、
上記基部と第1立ち上がり部との折曲部、上記基部と第2立ち上がり部との折曲部、上記第1立ち上がり部と第2立ち上がり部との折曲部のそれぞれに、各折曲部の折曲線に沿って延びる所定深さの溝が形成され、
上記溝を起点に上記第1および第2の立ち上がり部が上記基部に対し折り返されることで、表裏が逆転したリバース状態と、逆転する前のノーマル状態との間で変位可能であることを特徴とする屋根用シール材。
【請求項5】
請求項4記載の屋根用シール材において、
屋根用シール材の材質が、オレフィン系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする屋根用シール材。
【請求項1】
複数階建ての建物における下層階の上面を覆いかつ水平面に対し傾斜した屋根面と、その屋根面上の上層階の角部を挟む2つの側壁面とからなる3平面が交差する出隅部に、所定厚みを有した可撓性のシート状体からなる屋根用シール材を取り付ける方法であって、
上記屋根面に沿うように水平面に対し傾斜して配置される基部と、基部から上方に立ち上がり、上記角部を挟む2つの側壁面に沿ってそれぞれ配置される第1および第2の立ち上がり部とを備え、かつ、上記基部と第1立ち上がり部との折曲部、上記基部と第2立ち上がり部との折曲部、上記第1立ち上がり部と第2立ち上がり部との折曲部のそれぞれに、各折曲部の折曲線に沿って延びる所定深さの溝を有した互いに同一形状の屋根用シール材を、上記上層階の4つの角部に対応した4つの出隅部に対しそれぞれ用意する工程と、
用意された上記4つの屋根用シール材のうちの2つに、上記各折曲部の溝を起点に上記第1および第2の立ち上がり部を上記基部に対し折り返す操作を施し、上記2つの屋根用シール材の表裏を逆転させる工程と、
上記上層階の4つの角部に対応した4つの出隅部のうち、対角関係にある2つの出隅部に、表裏を逆転させていないノーマル状態の屋根用シール材を取り付ける工程と、
残りの2つの出隅部に、表裏を逆転させたリバース状態の屋根用シール材を取り付ける工程とを含むことを特徴とする屋根用シール材の取付方法。
【請求項2】
請求項1記載の屋根用シール材の取付方法において、
上記屋根用シール材に、オレフィン系熱可塑性エラストマーから構成されたものを用いることを特徴とする屋根用シール材の取付方法。
【請求項3】
請求項2記載の屋根用シール材の取付方法において、
上記屋根用シール材を出隅部に固定するために、ステープル、鋲、または釘を屋根用シール材に打ち込むことを特徴とする屋根用シール材の取付方法。
【請求項4】
所定厚みを有した可撓性のシート状体からなり、複数階建ての建物における下層階の上面を覆いかつ水平面に対し傾斜した屋根面と、その屋根面上の上層階の角部を挟む2つの側壁面とからなる3平面が交差する出隅部を覆うように取り付けられる屋根用シール材であって、
上記屋根面に沿うように水平面に対し傾斜して配置される基部と、基部から上方に立ち上がり、上記隣接する2つの側壁面に沿ってそれぞれ配置される第1および第2の立ち上がり部とを備え、
上記基部と第1立ち上がり部との折曲部、上記基部と第2立ち上がり部との折曲部、上記第1立ち上がり部と第2立ち上がり部との折曲部のそれぞれに、各折曲部の折曲線に沿って延びる所定深さの溝が形成され、
上記溝を起点に上記第1および第2の立ち上がり部が上記基部に対し折り返されることで、表裏が逆転したリバース状態と、逆転する前のノーマル状態との間で変位可能であることを特徴とする屋根用シール材。
【請求項5】
請求項4記載の屋根用シール材において、
屋根用シール材の材質が、オレフィン系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする屋根用シール材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−21347(P2012−21347A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161153(P2010−161153)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000010065)フクビ化学工業株式会社 (150)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000010065)フクビ化学工業株式会社 (150)
【Fターム(参考)】
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