説明

層状系及びその製造方法

本発明は、(1)基体(S)、(2)ゾル-ゲル法によって製造され、少なくとも1つのシランに基づく重縮合物を含む塗料を少なくとも部分硬化することによって得られる耐引掻層(K)、及び(3)(a)一般式(I)M(R')m(I)[式中、M は、Si、Ti、Zr、Sn、Ce、Al、B、VO、In 及び Zn からなる群から選ばれる元素又は化合物であり、R' は、加水分解性基を表し、m は、2〜4 の整数である。]を有する化合物及び(b)一般式(II)RbSiR'a(II)[式中、基 R' 及び R は、同じ又は異なり、R' は上記で定義した通りであり、R は、少なくとも1個のハロゲン、エポキシ基、グリシジルオキシ基、アミノ基、メルカプト基、メタクリルオキシ基、又はシアノ基を伴うアルキル基、アルケニル基、アリール基又は炭化水素基を表し、a 及び b は、相互に独立に 1〜3 の値であり、a 及び b の和は 4 である。]を有する化合物を組み合わせて加水分解することによって得られる塗料を少なくとも部分硬化することによって得られるカバー層(D)からなる層状系に関する。前記層状系は、優れた耐引掻性及び耐摩耗性を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基体(S)、耐引掻層(SR)及びトップコート(T)を含む層状系、並びにこの層状系の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無機/有機複合材料は、主にケイ素、アルミニウム、チタン及びジルコニウムのアルコキシドの選択的加水分解及び縮合によるゾル-ゲル法を用いて製造できる。
【0003】
無機網状組織は、この方法により構成される。適当に誘導体化されたケイ酸エステルを使用することによって、一方では官能性向上のために、他方では所定の有機ポリマー系の形成のために使用できる有機基が組み込まれる。有機成分及び無機成分両者の可能な組み合わせ数が多く、それが製造過程を通して生成物特性に大きな影響を与えるので、この材料系は、非常に幅広い変化を提供する。特に、塗膜系をこの方法で得ることができ、幅広い要求特性に合わせることができる。
【0004】
純粋な無機材料と比較して、得られた塗膜は、比較的柔らかい。これは、系の無機成分が高い架橋作用を有するが、そのサイズが非常に小さく、力学的性質(例えば、硬度及び耐摩耗性)が有効に発揮されないためである。数マイクロメートルの粒子サイズを有するので、いわゆる充填高分子を利用した無機成分の活用は、力学的性質を好ましいものにする。しかしながら、そうすると材料の透明性が失われ、光学分野への応用はもはや不可能である。向上した耐摩耗性を有する透明な塗膜を製造するために、SiO2(例えば Aerosils(登録商標))、シリカゾル、Al2O3、ベーマイト、二酸化ジルコニウム、二酸化チタンなどからなるナノメートルスケールの小粒子を使用することは可能であるが、採用できる低濃度で達成される耐摩耗性値は、上記系の値と同等である。充填材の上限量は、凝塊形成又は過度の粘度上昇を招く小粒子の高い表面反応性によって決定される。
【0005】
耐摩耗性拡散バリア塗膜系を有する基体は、ドイツ国特許公開第 199 52 040 号から知られており、その拡散バリア塗膜系は、加水分解性エポキシシランに基づくハードベースコート及びその表面に位置するトップコートからなる。そのトップコートは、テトラエトキシシラン(TEOS)及びグリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS)からなる塗料ゾルの塗布、並びに 110 ℃未満の温度でのその硬化によって得られる。塗料ゾルは、塩酸水溶液中、溶媒としてエタノールを用いて TEOS を予備加水分解し、続いて縮合することによって調製される。次いで、GPTS を予備加水分解した TEOS に添加して撹拌し、ゾルを 50 ℃で 5 時間撹拌する。同公開公報に開示されている塗料ゾルの欠点は、貯蔵安定性(ポットライフ)が乏しいことであり、そのため、塗料ゾルを製造後数日以内に更に加工しなければならない。同公開公報に開示されている拡散バリア塗膜系のもう1つの欠点は、テーバー摩耗試験によって、自動車の艶出しへの使用には、不十分な結果を示すことである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術に記載されている材料より、硬度が著しく優れており、高い光学透明性を有する有機変性無機層状系を提供する目的に基づく。この層状系の製造は、更に、多様な物理的表面特性及び化学的表面特性(例えば、疎油性と合わせて親水性又は疎水性)を可能にし、十分な貯蔵安定性を有する、安定な塗料組成物を確立することにより可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、
(1)基体(S)、
(2)ゾル-ゲル法によって製造され、少なくとも1つのシランに基づく重縮合物を含む塗料組成物を少なくとも部分硬化することによって得られる耐引掻層(SR)、及び
(3)(a)一般式(I):
M(R')m (I)
[式中、M は、Si、Ti、Zr、Sn、Ce、Al、B、VO、In 及び Zn からなる群から選ばれる元素又は化合物であり、R' は、加水分解性基を表し、m は、2〜4 の整数である。]
を有する1つ以上の化合物を、
(b)一般式(II):
RbSiR'a (II)
[式中、基 R' 及び R は、同じ又は異なり、R' は上記で定義した通りであり、R は、1 個以上のハロゲン、エポキシ基、グリシジルオキシ基、アミノ基、メルカプト基、メタクリルオキシ基、又はシアノ基を伴うアルキル基、アルケニル基、アリール基又は炭化水素基を表し、a 及び b は、相互に独立に 1〜3 の値であり、a 及び b の和は 4 である。]
を有する1つ以上の化合物と組み合わせて、加水分解することによって得られる塗料組成物を少なくとも部分硬化することによって得られるトップコート(T)
を含む本発明の層状系によって達成される。
【0008】
本発明の層状系は、特に、以下で詳細に述べる特殊な製造方法によって製造されるトップコート(T)を特徴とする。本層状系は、優れた耐引掻性及び耐摩耗性を特徴とする。従来技術で既知の塗料組成物とは対照的に、本トップコート(T)用塗料組成物は、高い貯蔵安定性(ポットライフ)を有し、それ故、優れた加工特性を有するので、本発明の層状系の製造は、特に有利で実用的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
A)耐引掻層(SR)の製造
耐引掻層(SR)は、基体(S)上への塗料組成物の塗布によって製造され、その塗料組成物は、少なくとも1つのシランに基づく重縮合物からなり、ゾル-ゲル法によって製造され、少なくとも部分硬化している。このような基体(S)上の耐引掻層(SR)の製造は、当業者に基本的に既知である。
【0010】
塗布される基体材料(S)の選択に制限はない。この組成物は、好ましくは、木、繊維、紙、磁器、金属、ガラス、セラミック及びプラスチックの塗布、特に Becker/Braun, Kunststofftaschenbuch, Carl Hanser Verlag, Munich, Vienna 1992 で開示されているような熱可塑性物質の塗布に適している。この組成物は、透明な熱可塑性物質、好ましくはポリカーボネートの塗布に最も適している。特に、メガネレンズ、光学用レンズ、車のフロントガラス及び板ガラスは、本発明の組成物で塗布できる。
【0011】
耐引掻層(SR)を、好ましくは厚さ 0.5〜30 μm で形成する。下塗(P)を、基体(S)と耐引掻層(SR)との間に、付加的に形成することもできる。
【0012】
ゾル-ゲル法によって製造される全てのシランベース重縮合物は、耐引掻層(SR)のための塗料組成物として適当である。耐引掻層(SR)用に特に適している塗料組成物は、特に、
A.1)メチルシラン系、
A.2)シリカゾル変性メチルシラン系、
A.3)シリカゾル変性シリルアクリレート系、
A.4)他のナノ粒子(特にベーマイト)で修飾されたシリルアクリレート系及び
A.5)環状オルガノシロキサン系
である。
【0013】
耐引掻層(SR)用の上記塗料組成物を、以下においてより詳しく説明する。
A.1)メチルシラン系
例えば、既知のメチルシランに基づく重縮合物は、耐引掻層(SR)用の塗料組成物として使用できる。メチルトリアルコキシシランに基づく重縮合物を、好ましくは使用する。例えば、少なくとも1つのメチルトリアルコキシシラン、含水有機溶媒及び酸の混合物を塗布し、溶媒を蒸発させ、熱でシランを硬化させて高架橋ポリシロキサンを形成することによって、基体(S)を覆うことができる。メチルトリアルコキシシラン溶液は、好ましくは 60〜80 重量%のシランからなる。迅速に加水分解するメチルトリアルコキシシランが特に好ましく、アルコキシル基が 4 個以下の炭素原子を含む場合、特に迅速に加水分解する。メチルトリアルコキシシランのアルコキシル基の加水分解によって形成されるシラノール基の縮合反応に適した触媒は、とりわけ、硫酸及び過塩素酸のような強無機酸である。酸触媒の濃度は、好ましくは、シランに対して約 0.15 重量%である。メチルトリアルコキシシラン、水及び酸からなる系の無機溶媒として、アルコール(例えばメタノール、エタノール及びイソプロパノール)又はエーテルアルコール(例えばエチルグリコール)が特に適している。混合物は、シラン 1 mol あたり 0.5〜1 mol の水を好ましくは含む。このような塗料組成物の製造、塗布及び硬化は当業者に既知であり、例えば、ドイツ国特許公開第 2136001 号、同第 2113734 号及び米国特許第 3 707 397 号明細書に記載されており、特に言及する。
【0014】
A.2)シリカゾル変性メチルシラン系
メチルシラン及びシリカゾルに基づく重縮合物もまた、耐引掻層(SR)用の塗料組成物として使用できる。この種類の特に適当な塗料組成物は、ゾル-ゲル法によって製造される重縮合物であり、水性/有機性溶媒混合物中、実質的に 10〜70 重量%のシリカゾル及び 30〜90 重量%の部分縮合オルガノアルコキシシランからなる。特に適当な塗料組成物は、米国特許第 5 503 935 号明細書で開示されている、熱硬化性の下塗不要な未可塑化シリコーン塗料組成物であり、その重量組成を以下に示す:
(A)水性/有機性溶媒混合物中のシリコーン分散体(固形分 10〜50 重量%)形状である樹脂固体 100 部(実質的にコロイド状二酸化ケイ素 10〜70 重量%及びオルガノアルコキシシラン部分縮合物 30〜90 重量%からなる)
(B)(i)数平均分子量 400〜1500 を有し、アクリル化ポリウレタン及びメタクリル化ポリウレタンから選ばれる、アクリル化ポリウレタン接着促進剤、並びに
(ii)反応性又は相互作用性部位を有し、少なくとも 1000 の数平均分子量を有するアクリルポリマー
から選ばれる接着促進剤 1〜15 部。
【0015】
水性/有機性溶媒混合物中で、熱硬化性の下塗不要な未可塑化シリコーン塗料組成物の分散体を製造するために使用できるオルガノアルコキシシランは、式:
(R)aSi(OR1)4-a
[式中、R は、一価の C1〜6 炭化水素基、特に C1〜4 アルキル基であり、R1 は、R 又は水素であり、a は、0〜2 に含まれる整数である。]
に相当する。上記式を有するオルガノアルコキシシランは、好ましくはメチルトリメトキシシラン、メチルトリヒドロキシシラン又はそれらの混合物であり、部分縮合物を形成できる。
【0016】
このような熱硬化性の下塗不要な未可塑化シリコーン含有組成物の製造、特性及び硬化は、当業者に既知であり、例えば米国特許第 5 503 935 号明細書に詳細が開示されており、同特許の全てを引用してここに組み込む。
【0017】
水/アルコール混合物中に固形分 10〜50 重量%で分散している、メチルシラン及びシリカゾルに基づく重縮合物もまた、耐引掻層(SR)用の塗料組成物として使用できる。混合物中に分散している固体は、シリカゾルを特に 10〜70 重量%の量で、オルガノトリアルコキシシラン由来の部分縮合物を好ましくは 30〜90 重量%の量で含み、その部分縮合物は、好ましくは式:
R'Si(OR)3
[式中、R' は、1〜3 個の炭素原子を有するアルキル基及び 6〜13 個の炭素原子を有するアリール基からなる群から選ばれ、R は、1〜8 個の炭素原子を有するアルキル基及び 6〜20 個の炭素原子を有するアリール基からなる群から選ばれる。]
を有する。塗料組成物は、好ましくはアルカリ性の pH、特に 7.1〜約 7.8 の pH を有し、pH は、塗料組成物の硬化温度で揮発する塩基によって調整され得る。このような塗料組成物の製造、特性及び硬化は、当業者に既知であり、例えば米国特許第 4 624 870 号明細書に詳細が開示されており、同特許の全てを引用してここに組み込む。
【0018】
米国特許第 4 624 870 号明細書に開示されている上記塗料組成物は、多くの場合、適当な下塗(下塗は、基体(S)と耐引掻層(SR)との間に中間層を形成する)と組み合わせて使用される。適当な下塗組成物は、例えばポリアクリレートの下塗である。適当なポリアクリレートの下塗は、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル及び一般式:
【化1】

[式中、Y は、水素、メチル又はエチルを表し、R は、C1〜12 アルキル基を示す。]
を有するモノマーの共重合体に基づくものである。このポリアクリレート樹脂は、熱可塑性又は熱硬化性であり、好ましくは溶媒に溶解される。例えば、迅速に揮発する溶媒(例えばプロピレングリコールメチルエーテル)及びゆっくり揮発する溶媒(例えばジアセトンアルコール)からなる溶媒混合物中のポリメチルメタクリレート(PMMA)の溶液は、アクリレート樹脂溶液として使用され得る。特に適当なアクリレート下塗溶液は、
(A)ポリアクリル酸樹脂及び
(B)(i)標準状態で沸点 150〜200 ℃を有する強溶媒 5〜25 重量%((A)が自由に溶解できる)及び
(ii)標準状態で沸点 90〜150 ℃を有する弱溶媒 75〜95 重量%((A)が溶解できる)
を含む有機溶媒混合物の 90〜99 重量部
を含有する熱可塑性下塗組成物である。
【0019】
最後に示した熱可塑性下塗組成物の製造、特性及び乾燥は、当業者に既知であり、例えば米国特許第 5 041 313 号明細書に詳細が開示されており、同特許の全てを引用してここに組み込む。既に上記したように、下塗は、基体(S)と耐引掻層(SR)との間に位置し、それら二層間の接着を促進するように機能する。
【0020】
メチルシラン及びシリカゾルに基づく耐引掻層(SR)用の他の塗料組成物は、例えば欧州特許公開第 0 570 165 号、米国特許第 4 278 804 号明細書、同第 4 495 360 号明細書、同第 4 624 870 号明細書、同第 4 419 405 号明細書、同第 4 374 674 号明細書及び同第 4 525 426 号明細書に開示されており、これら特許の全てを引用してここに組み込む。
【0021】
A.3)シリカゾル変性シリルアクリレート系
シリルアクリレートに基づく重縮合物もまた、耐引掻層(SR)用の塗料組成物として使用できる。シリルアクリレートに加えて、これらの塗料組成物は、好ましくは、コロイド状二酸化ケイ素(シリカゾル)を含む。シリルアクリレートの適当な例は、特に、一般式:
【化2】

[式中、R3 及び R4 は、同じ又は異なった一価の炭化水素基であり、R5 は、2〜8 個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、R6 は、水素又は一価の炭化水素基であり、添字 b は、1〜3 の整数であり、添字 c は、0〜2 の整数であり、添字 d は、(4-b-c) の整数である。]
を有するアクリルオキシ官能性シラン、又は一般式:
【化3】

[式中、R7 及び R8 は、同じ又は異なった一価の炭化水素基であり、R9 は、2〜8 個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、添字 e は、1〜3 の整数であり、添字 f は、0〜2 の整数であり、添字 g は、(4-e-f) の整数である。]
を有するグリシドキシ官能性シラン、及びそれらの混合物である。
【0022】
アクリルオキシ官能性シラン及びグリシドキシ官能性シランの製造及び特性は、当業者に既知であり、例えばドイツ国特許公開第 31 26 662 号に開示されており、同特許の全てを引用してここに組み込む。
【0023】
特に適当なアクリルオキシ官能性シランは、例えば、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、2-メタクリルオキシエチルトリメトキシシラン、2-アクリルオキシエチルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、2-メタクリルオキシエチルトリエトキシシラン及び 2-アクリルオキシエチルトリエトキシシランである。特に適当なグリシドキシ官能性シランは、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン及び 2-グリシドキシエチルトリエトキシシランである。これらの化合物は、ドイツ国特許公開第 31 26 662 号に同様に開示されている。
【0024】
追加成分として、これらの塗料組成物は、他のアクリレート化合物、特にヒドロキシアクリレートを含み得る。使用できる他のアクリレート化合物は、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリルオキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート及び 1,6-ヘキサンジオールジアクリレートである。
【0025】
この種類の特に好ましい塗料組成物は、コロイド状二酸化ケイ素 100 重量部、シリルアクリレート 5〜500 重量部及び他のアクリレート 10〜500 重量部を含む組成物である。ドイツ国特許公開第 31 26 662 号で開示されているように、触媒量の光開始剤を組み合わせたこのような塗料組成物は、基体(S)に塗布後、耐引掻層(SR)を形成するため紫外線によって硬化され得る。
【0026】
塗料組成物はまた、従来の添加剤を含み得る。米国特許第 5 990 188 号明細書に開示されている放射線硬化型耐引掻性塗料も特に適当であり、この塗料は上記成分に加えて、例えばトリアジン又はジベンジルレゾルシノール誘導体のような紫外線吸収剤を含む。
【0027】
シリルアクリレート及びシリカゾルに基づく他の塗料組成物は、米国特許第 5 468 789 号明細書、同第 5 466 491 号明細書、同第 5 318 850 号明細書、同第 5 242 719 号明細書及び同第 4 455 205 号明細書に開示されており、これら特許の全てを引用してここに組み込む。
【0028】
A.4)他のナノ粒子で修飾されたシリルアクリレート系
追加成分として、ナノスケールの AlO(OH) 粒子、特にナノスケールのベーマイト粒子を含むシリルアクリレートに基づく重縮合物もまた、耐引掻層(SR)用の塗料組成物として使用できる。特に、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン及び AlO(OH) ナノ粒子を含む塗料組成物が可能である。このような塗料組成物は、例えば、国際特許公開第 98/51747 号、同第 00/14149 号、ドイツ国特許公開第 197 46 885 号、米国特許第 5 716 697 号明細書及び国際特許公開第 98/04604 号に開示されており、これら特許の全てを引用してここに組み込む。光開始剤の添加によって、基体(S)への塗布後、これらの塗料組成物は、耐引掻層(SR)を形成するため紫外線によって硬化され得る。
【0029】
A.5)環状オルガノシロキサン系
多官能性環状オルガノシロキサンに基づく重縮合物もまた、耐引掻層(SR)用の塗料組成物として使用できる。このような多官能性環状オルガノシロキサンの適当な例は、とりわけ、以下の式:
【化4】

[式中、m は 3〜6、好ましくは 3 又は 4 であり、n は 2〜10、好ましくは 2〜5、特に好ましくは 2 であり、R は、C1〜8 アルキル基及び/又は C6〜14 アリール基、好ましくは C1〜2 アルキル基であり、n 及び R は分子内では同じ又は異なり、好ましくは同じであり、他の基は以下の意味を有する:
(A)a が 1〜3 の場合、X はハロゲン、即ち Cl、Br、I 及び F、好ましくは Cl であり、a が 1 又は 2 の場合、X は OR'(ここで R' は C1〜8 アルキル基、好ましくは C1〜2 アルキル基である。)又は OH であり、或いは
(B)a が 1〜3 の場合、X は (OSiR2)p[(CH2)nSiYaR3-a](ここで、p は 0〜10、好ましくは 0 であり、Y はハロゲン、OR'(ここで、R' は C1〜8 アルキル基、好ましくは C1〜2 アルキル基である。)及び OH、好ましくは Cl、OR' 又は OH である。)であり、分子中、a は同じ又は異なり、好ましくは同じであり、或いは
(C)a が 1〜3 の場合、X は (OSiR2)p[(CH2)nSiR3-a[(CH2)nSiYaR3-a]a](ここで、p は 0〜10、好ましくは 0 であり、Y はハロゲン、OR'(ここで、R' は C1〜8 アルキル基、好ましくは C1〜2 アルキル基である。)及び OH、好ましくは Cl、OR' 又は OH である。)であり、分子中、a は同じ又は異なり、好ましくは同じである。]
を有するものである。
【0030】
特に適当なのは、n が 2、m が 4、R がメチル基、X が OH 又は OR'(ここで R' はメチル基又はエチル基である。)、及び a が 1 の化合物である。このような多官能性オルガノシロキサンの製造及び特性、並びに耐引掻性塗料組成物での使用は、基本的に当業者に既知であり、例えば、ドイツ国特許第 196 03 241 号明細書に開示されており、同特許の全てを引用してここに組み込む。環状オルガノシロキサンに基づく他の塗料組成物は、例えば、国際特許公開第 98/52992 号、ドイツ国特許公開第 197 11 650 号、国際特許公開第 98/25274 号及び同第 98/38251 号に開示されており、これら特許の全てを引用してここに組み込む。
【0031】
耐引掻層組成物の流動特性を調整するため、不活性溶媒又は不活性溶媒混合物を、製造工程のいずれの段階でも任意に添加できる。これらの溶媒は、好ましくはトップコート組成物用の溶媒である。
【0032】
耐引掻層組成物は、更に、従来の添加剤を含むことができる。従来の添加剤は、例えば、以下の項目 B)で記載するトップコート(T)用の添加剤である。
好ましくは、耐引掻層組成物の塗布及び硬化は、表面乾燥後、50〜200 ℃、好ましくは 70〜180 ℃、特に好ましくは 110〜130 ℃で熱的に行う。これらの条件下において、硬化時間は 120 分未満、好ましくは 90 分未満、特に好ましくは 60 分未満である。
硬化された耐引掻層(SR)のフィルム厚さは、0.5〜30 μm、好ましくは 1〜20 μm、特に好ましくは 2〜10 μm であるべきである。
【0033】
B)トップコート(T)の製造
トップコート(T)は、少なくとも部分硬化した耐引掻層(SR)に、トップコート塗料組成物を塗布し、少なくとも部分硬化することによって製造される。
本発明の層状系におけるトップコート(T)用塗料組成物は、上記でより詳しく記した式(I)及び(II)の化合物を組み合わせて加水分解することによって得ることができる。
式(I)及び(II)の化合物を組み合わせて加水分解することによって、トップコート(T)用塗料組成物の貯蔵安定性(ポットライフ)が相当改善され得ることが、意外にも見出された。
式(I)及び(II)の化合物の加水分解を、好ましくは、加水分解性基 R' 1 mol あたり、少なくとも 0.6 mol の水、特に 0.8〜2.0 mol の水の存在下に行う。本発明の更に好ましい態様では、加水分解性基に対して少なくとも等モル量の水を用いて、完全な加水分解を行う。
【0034】
式(I)及び(II)の化合物は、いかなる量でも使用できる。式(II)の化合物は、式(I)の化合物 1 mol に対して、好ましくは 0.7 mol 未満、特に好ましくは 0.5 mol 未満 の量で使用される。
加水分解は、好ましくは酸、特に塩酸水溶液の存在下に行われる。反応混合物の pH は、6 未満、特に 2.0〜5.0 が適している。
加水分解反応は、僅かに発熱を伴い、加熱によって好ましくは 30〜40 ℃に維持される。加水分解に続いて反応生成物を、好ましくは室温まで冷却し、しばらく(好ましくは 1〜3 時間)室温で撹拌する。得られた塗料組成物を、好ましくは 10 ℃未満、好ましくは約 4 ℃未満の温度で保存する。
全ての上記温度は±2 ℃の誤差を含む。室温とは、20〜23 ℃の温度を意味する。
【0035】
トップコート(T)用塗料ゾルは、式(I)の化合物及び/又はその加水分解生成物 100 部と、式(II)の化合物及び/又はその加水分解生成物から製造され、化合物(II)の量は、化合物(I)100 部に対して、100 部未満、好ましくは 70 部未満、特に好ましくは 50 部未満であるか、又は完全に省かれる。即用トップコート塗料組成物は、好ましくは 0.2〜15 重量%、特に好ましくは 1〜12 重量%の固形分を有する。更に好ましいトップコート組成物の固形分は、0.2〜5 重量%、特に 0.5〜3 重量%である。
【0036】
式(I)の化合物は、好ましくは、
M(R)m
[式中、M は、a)Si+4、Ti+4、Zr+4、Sn+4、Ce+4、b)Al+3、B+3、VO+3、In+3、又は c)Zn+2 を表し、R は、加水分解性基を表し、m は、4(M が四価元素の場合(ケース a))、3(M が三価元素又は三価化合物の場合(ケース b))及び 2(M が二価元素の場合(ケース c))である。]
の化合物である。好ましい元素 M は、Si+4、Ti+4、Ce+4 及び Al+3 であり、Si+4 が特に好ましい。
【0037】
加水分解性基の例は、ハロゲン(F、Cl、Br 及び I、特に Cl 及び Br)、アルコキシル基(特に、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、s-ブトキシ基又は t-ブトキシ基のような C1〜4 アルコキシル基)、アリールオキシ基(特に、例えば、フェノキシ基のような C6〜10 アリールオキシ基)、アシルオキシ基(特に、例えば、アセトキシ基及びプロピオニルオキシ基のような C1〜4 アシルオキシ基)及びアルキルカルボニル基(例えば、アセチル基)である。特に好ましい加水分解性基は、アルコキシル基であり、特にメトキシ基及びエトキシ基である。
【0038】
使用できる式(I)の化合物の特定例を、以下に列挙するが、これは、使用できる式(I)の化合物を限定するものではない。
Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、Si(O-n- 又は i-C3H7)4
Si(OC4H9)4、SiCl4、HSiCl3、Si(OOCCH3)4
Al(OCH3)3、Al(OC2H5)3、Al(O-n-C3H7)3
Al(O-i-C3H7)3、Al(OC4H9)3、Al(O-i-C4H9)3
Al(O-sec-C4H9)3、AlCl3、AlCl(OH)2、Al(OC2H4OC4H9)3
TiCl4、Ti(OC2H5)4、Ti(OC3H7)4
Ti(O-i-C3H7)4、Ti(OC4H9)4、Ti(2-エチルヘキソキシ)4
ZrCl4、Zr(OC2H5)4、Zr(OC3H7)4、Zr(O-i-C3H7)4、Zr(OC4H9)4
ZrOCl2、Zr(2-エチルヘキソキシ)4
Zr 化合物は、例えばβ-ジケトン基及びメタクリル酸基のような錯化基を有する。
BCl3、B(OCH3)3、B(OC2H5)3
SnCl4、Sn(OCH3)4
Sn(OC2H5)4
VOCl3、VO(OCH3)3
Ce(OC2H5)4、Ce(OC3H4)4、Ce(OC4H9)、Ce(O-i-C3H7)4、Ce(2-エチルヘキソキシ)4
Ce(SO4)2、Ce(ClO4)4、CeF4、CeCl4、CeAc4
In(CH3COO)3、In[CH3COCH=C(O-)CH3]3
InBr3、[(CH3)3CO]3In、InCl3、InF3
[(CH3I2)CHO]3In、InI3、m(NO3)3、In(ClO4)3、In2(SO4)3、In2S3
(CH3COO)2Zn、[CH3COCH=C(O-)CH3]2Zn、
ZnBr2、ZnCO3・2Zn(OH)2xH2O、ZnCl2
クエン酸亜鉛、ZnF2、ZnI、Zn(NO3)2・H2O、ZnSO4・H2O。
【0039】
SiR4 化合物が特に好ましく使用される。ここで、基 R は、同じ又は異なり、加水分解性基、好ましくは 1〜4 個の炭素原子を有するアルコキシル基、特にメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、s-ブトキシ基又は t-ブトキシ基を表す。
テトラアルコキシシラン、特にテトラエトキシシラン(TEOS)が最も好ましい。
【0040】
式(II):
RbSiR'a (II)
[式中、基 R 及び R' は同じ又は異なり(好ましくは同じ)、R' は、加水分解性基(好ましくは C1〜4 アルコキシル基、特に好ましくはメトキシ基及びエトキシ基)を表し、R は、1つ以上のハロゲン、エポキシ基、グリシジルオキシ基、アミノ基、メルカプト基、メタクリルオキシ基又はシアノ基を有するアルキル基、アルケニル基、アリール基又は炭化水素基を表し、a 及び b は各々 1〜3 の値であり、a 及び b の和は 4 である。]
を有する化合物が、特に好ましい化合物である。
【0041】
式(II)を有する化合物の例を以下に列挙する:
トリアルコキシシラン、トリアシルオキシシラン及びトリフェノキシシラン(例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリエトキシシラン、γ-クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、β-シアノエチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、
【0042】
α-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン及びこれらの加水分解生成物)、
【0043】
ジアルコキシシラン及びジアシルオキシシラン(例えば、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、
【0044】
α-グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α-グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β-グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β-グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、α-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ-グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルエチルジプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラン及びこれらの加水分解生成物)。
【0045】
これらの化合物は、単独で又は2つ以上の混合物として使用できる。
式(II)を有する好ましい化合物は、メチルトリアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン及び/又はメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランである。式(II)を有する特に好ましい化合物は、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS)、メチルトリエトキシシラン(MTS)及び/又はメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)である。
【0046】
組成物の流動特性を調整するために、水及び/又は不活性溶媒又は不活性溶媒混合物を、製造工程のあらゆる段階で、特に加水分解中でも、任意に添加することができる。これらの溶媒は、好ましくは室温で液体であるアルコールであり、好ましく使用されるアルコキシドの加水分解中にも付随的に生成される。トップコート(T)用塗料組成物製造のための加水分解を、好ましくは、溶媒として、120 ℃未満の沸点を有するアルコール及び/又はアルコキシアルコールの存在下に行う。特に好ましいアルコールは、C1〜8 アルコールであり、特に、メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、t-ブタノール、n-ペンタノール、i-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-オクタノールである。同様に好ましいのは、C1〜6 グリコールエーテルであり、特に、n-ブトキシエタノールである。イソプロパノール、エタノール、ブタノール及び/又は水が、溶媒として特に適している。
【0047】
組成物はまた、例えば、染料、流れ制御剤、紫外線安定剤、赤外線安定剤、充填材、光開始剤、光増感剤(組成物が光化学作用により硬化される場合)及び/又は熱重合触媒のような、従来の添加剤も含むことができる。流れ制御剤は、特に、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンに基づくものである。塗料組成物が約 0.005〜2 重量%の量で流れ制御剤を含む場合が、特に有利であることが見出された。トップコート(T)用塗料組成物の塗布のために、式(I)及び(II)の化合物の加水分解生成物を、アルコール及び/又はアルコキシアルコールで、塗料組成物中 0.02〜10 重量%、特に 0.5〜5 重量%の濃度に希釈すると、更に有利である。
【0048】
このように製造されたトップコート用塗料組成物の、少なくとも部分硬化した耐引掻層又は任意に耐引掻層上に配された中間層への塗布は、耐引掻層(SR)用塗料組成物の塗布と同様に、例えば、浸漬被覆、流し塗り、引き塗り、ブラシ塗り、ナイフ塗り、ロール塗り、吹付塗り、流下薄膜式塗布、回転塗布及び遠心流延のような、標準の塗布方法によって行われる。
塗布されたトップコート(T)の硬化を、任意に室温で予め表面乾燥した後、行う。好ましくは、硬化は、50〜200 ℃、特に 70〜180 ℃、特に好ましくは 90〜130 ℃の温度範囲で、熱的に行う。このような条件下において、硬化時間は 30〜200 分、好ましくは 45〜120 分である。硬化されたトップコートの層厚さは、好ましくは 0.05〜5 μm、特に 0.1〜3 μm である。
【0049】
不飽和化合物及び光開始剤が存在する場合、硬化は、照射によっても行うことができ、任意にその後で熱による後硬化を行うこともできる。
【0050】
本発明の層状系は、少なくとも以下の工程:
(a)基体(S)への耐引掻層塗料組成物の塗布、及び反応基がまだ存在している条件下での塗料組成物の部分硬化又は重合、
(b)このように製造した不完全硬化又は重合した耐引掻層(SR)への、本発明のトップコート塗料組成物の塗布、及びトップコート(T)を形成するためのその硬化:
を含む方法によって製造できる。
【0051】
層状系製造のために、塗布後、耐引掻層(SR)を 110 ℃超、特に 110〜130 ℃の温度で乾燥する場合が特に有利であることが分かった。層状系の優れた摩耗性が、この方法によって達成され得る。
耐引掻層塗料組成物が、流れ制御剤を 0.01〜3 重量%、特に 0.03〜1 重量%の量で含む場合が更に有利である。
トップコート塗料組成物を、相対湿度 50〜75 %、特に 55〜70 %で塗布する場合が、特に有利であることが更に分かった。
最後に、硬化した耐引掻層(SR)をトップコート塗料組成物の塗布前に活性化する場合が有利であることが分かった。可能な活性方法は、好ましくは、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理又は化学腐食である。火炎処理及びコロナ処理が、特に適している。有利な特性に関しては、実施例で述べる。
本発明を、以下の実施例によって、より詳細に説明する。
【実施例1】
【0052】
耐引掻層(SR)用塗料組成物の製造
メチルトリメトキシシラン 203 g を、氷酢酸 1.25 g に混合した。Ludox(登録商標)AS(DuPont 社製アンモニウム安定化コロイド状シリカゾル、シリケート粒子径約 22 nm の SiO2 40 %、pH 9.2)125.5 g を、脱イオン水 41.5 g で希釈して、SiO2 含有量を 30 重量%に調整した。この材料を、酸性化したメチルトリメトキシシランに撹拌しながら加えた。溶液を室温で更に 16〜18 時間撹拌し、その後、イソプロパノール/n-ブタノール(重量比 1:1)からなる溶媒混合物に添加した。最後に、紫外線吸収剤 4-[γ-{トリ-(メトキシ/エトキシ)シリル}プロポキシ]-2-ヒドロキシベンゾフェノン 32 g を添加した。混合物を室温で 2 週間撹拌した。組成物は、20 重量%の固形分を有し、固体成分に対して紫外線吸収剤を 11 重量%含んでいた。塗料組成物は、室温で約 5 センチストークの粘度を有した。
重縮合反応を促進するため、塗布前に、0.2 重量%テトラブチルアンモニウムアセテートを均一に混合した。
【実施例2】
【0053】
(下塗)
ポリメチルメタクリレート(DuPont 社製 Elvacite(登録商標)2041)3.0 部を、ジアセトンアルコール 15 部及びプロピレングリコールモノメチルエーテル 85 部と混合し、完全に溶解するまで 70 ℃で 2 時間撹拌した。
【実施例3】
【0054】
0.4 重量%シリコーン流れ制御剤及び 0.3 重量%アクリレートポリオール(ウィスコンシン州ラシーヌ在 S.C. Johnson Wax Company 製の商品名 Joncryl 587(Mn 4300))を、実施例1で製造した塗料ゾルに、撹拌して添加した。実施例1と同様に、重縮合反応を促進するため、塗布前に、0.2 重量%テトラ-n-ブチルアンモニウムアセテートを均一に混合した。
【実施例4】
【0055】
トップコート(T)用塗料組成物の製造
2-プロパノール 130.0 g、蒸留水 159.4 g 及び 37 %塩酸 2.8 g の混合物を、TEOS 200.0 g、MTS 22.0 g の 2-プロパノール 130.0 g 混合溶液に、素早く滴加した。発熱反応が起こり、加熱によって 30〜40 ℃に維持される。その後、反応生成物を室温まで冷却し、1.5 時間撹拌する。得られた塗料ゾルを、+4 ℃の冷所で保管する。塗布前、この濃縮物を 1 重量%の固形分になるまでイソプロパノールで希釈し、流れ制御剤 BYK(登録商標)347 の 1.0 重量%(固形分に対して)を添加する。
【実施例5】
【0056】
2-プロパノール 130.0 g、蒸留水 155.5 g 又は 150.4 g 及び 37 %塩酸 2.8 g の混合物を、TEOS 200.0 g 及び MPTS 22.0 g 又は 11.0 g(実施例 26 及び 29)の 2-プロパノール 130.0 g 混合溶液に、素早く滴加した。発熱反応が起こり、加熱によって 30〜40 ℃に維持される。その後、反応生成物を室温まで冷却し、1.5 時間撹拌する。得られた塗料ゾルを、+4 ℃の冷所で保管する。塗布前、この濃縮物を 1 重量%の固形分になるまでイソプロパノールで希釈し、流れ制御剤 BYK(登録商標)306 の 1.0 重量%(固形分に対して)を添加する。
【実施例6】
【0057】
2-プロパノール 130.0 g、蒸留水 156.8 g 及び 37 %塩酸 2.8 g の混合物を、TEOS 200.0 g、GPTS 22.0 g の 2-プロパノール 130.0 g 混合溶液に、一滴ずつ素早く添加した。発熱反応が起こり、加熱によって 30〜40 ℃に維持される。その後、反応生成物を室温まで冷却し、1.5 時間撹拌する。得られた塗料ゾルを、+4 ℃の冷所で保管する。塗布前、この濃縮物を 1 重量%の固形分になるまでイソプロパノールで希釈し、流れ制御剤 BYK(登録商標)347 の 1.0 重量%(固形分に対して)を添加する。
【0058】
耐引掻性塗膜系の製造
得られた塗料組成物を用い、以下のように試料を製造した。
105×150×4 mm の大きさのビスフェノール A(Tg = 147 ℃、Mw 27500)ベースポリカーボネート板を、イソプロパノールで洗浄し、任意に、下塗溶液を流し塗りすることにより下塗処理した。下塗溶液(実施例2)を、ここで表面乾燥のみ行った。
その後、下塗処理したポリカーボネート板に、ベースコート塗料組成物(実施例1又は3)を流し塗りした。板がダストドライになるまでに要した時間は、23 ℃、相対湿度 63 %で 30 分であった。ダストドライになった板を、オーブンで、130 ℃、30 分間加熱し、その後、室温まで冷却した。
そして、トップコート塗料組成物(実施例4、5又は6)を、流し塗りによって塗布した。湿潤した板は、23 ℃、相対湿度 63 %では 30 分で乾燥し、続いて、板を 130 ℃で 120 分間加熱した。
下塗不要のベースコート3を用いた場合は、下塗工程を省いた。この場合、イソプロパノールでの洗浄後、ポリカーボネート板を実施例2の塗料組成物で直接流し塗りする。その他の条件は同じである。
硬化したベースコート層の、火炎処理、コロナ処理、ブラシ研磨又は化学腐食などによる表面活性化が、トップコート塗料組成物の接着力及び流れ向上のために、特に好ましいことが分かった。硬化時間及び使用する流れ制御剤の含有量を、比較のため、更に変化させた。
硬化後、被覆した板を室温で 2 日間保管し、その後、以下で定義する試験を行った。
【0059】
これらの塗料組成物から得られた塗膜の特性を、以下のように測定した:
・碁盤目試験:EN ISO 2409:1994
・水中保管後の碁盤目試験:65 ℃、tt=0/0
被覆した板で、EN ISO 2409:1994 に従った碁盤目試験を行い、65 ℃の温水中に入れた。テープ試験で接着の剥離が初めて 0〜2 個起こるまでの保管時間(日数)を、記録した。
・テーバー摩耗試験:Abrasion test DIN 52 347;(1000 サイクル、CS10F、500 g)。
評価結果を、以下の表に示す。
【0060】
表1に、トップコートが有る場合と無い場合の耐引掻層(SR)に応じた、層状系の水中保管後の摩耗性(テーバー値)及び接着性を示す。実施例7及び8では、水中保管後の接着剥離が起こらず、耐引掻性において相当の向上を示している。
【表1】

【0061】
表2に、耐引掻層(SR)の焼成時間及び焼成温度に応じた、層状系の摩耗性(テーバー値)を示す。この結果は、焼成時間が長くなるとテーバー値が向上することを示している。
【表2】

【0062】
表3に、トップコート(T)の固形分に応じた、層状系の摩耗性(テーバー値)を示す。この結果は、トップコートの固形分が 0.5 重量%超及び 1.5 重量%未満の場合に特に優れたテーバー値に達することを示している。
【表3】

【0063】
表4に、トップコート塗料組成物中に含まれる軟化剤の種類及び含有量に応じた、層状系の摩耗性(テーバー値)を示す。使用した軟化剤は、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS)、メチルトリエトキシシラン(MTS)及びメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)である。
【表4】

【0064】
表5に、トップコート塗料組成物中の流れ制御剤 BYK 306 の量に応じた、層状系の摩耗性(テーバー値)を示す。この結果は、トップコート塗料組成物中、約 1 重量%未満の量の流れ制御剤 BYK 306 が、層状系の摩耗性に特に有利な影響を与えることを示している。
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)基体(S)、
(2)ゾル-ゲル法によって製造され、少なくとも1つのシランに基づく重縮合物を含む塗料組成物を少なくとも部分硬化することによって得られる耐引掻層(SR)、及び
(3)(a)一般式(I):
M(R')m (I)
[式中、M は、Si、Ti、Zr、Sn、Ce、Al、B、VO、In 及び Zn からなる群から選ばれる元素又は化合物であり、R' は、加水分解性基を表し、m は、2〜4 の整数である。]
を有する1つ以上の化合物を、単独で、又は
(b)一般式(II):
RbSiR'a (II)
[式中、基 R' 及び R は、同じ又は異なり、R' は上記で定義した通りであり、R は、1 個以上のハロゲン、エポキシ基、グリシジルオキシ基、アミノ基、メルカプト基、メタクリルオキシ基、又はシアノ基を伴うアルキル基、アルケニル基、アリール基又は炭化水素基を表し、a 及び b は、相互に独立に 1〜3 の値であり、a 及び b の和は 4 である。]
を有する1つ以上の化合物と組み合わせて、加水分解することによって得られる塗料組成物を少なくとも部分硬化することによって得られるトップコート(T)
からなる層状系。
【請求項2】
基体(S)が、プラスチック製、特にポリカーボネートに基づくことを特徴とする、請求項1に記載の層状系。
【請求項3】
耐引掻層(SR)用の塗料組成物が、メチルシランに基づく重縮合物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の層状系。
【請求項4】
耐引掻層(SR)用の塗料組成物が、ゾル-ゲル法によって製造される重縮合物であり、水性/有機性溶媒混合物中、実質的に 10〜70 重量%のシリカゾル及び 30〜90 重量%の部分縮合オルガノアルコキシシランからなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の層状系。
【請求項5】
耐引掻層(SR)用の塗料組成物が、少なくとも1つのシリルアクリレートに基づく重縮合物であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の層状系。
【請求項6】
耐引掻層(SR)用の塗料組成物が、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン及び AlO(OH) ナノ粒子を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の層状系。
【請求項7】
耐引掻層(SR)用の塗料組成物が、少なくとも1つの多官能性環状オルガノシロキサンに基づく重縮合物であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の層状系。
【請求項8】
トップコート(T)用塗料組成物製造のための加水分解を、加水分解性基 R' 1 mol あたり少なくとも 0.6 mol の水の存在下に行うことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の層状系。
【請求項9】
トップコート用塗料組成物製造のために、式(II)の化合物を、式(I)の化合物 1 mol あたり少なくとも 0.7 mol 未満、特に 0.5 mol 未満の量で使用することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の層状系。
【請求項10】
トップコート(T)用塗料組成物製造のための加水分解を、6.0 未満の pH で行うことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の層状系。
【請求項11】
トップコート(T)用に製造した塗料組成物の固形分が、0.2〜15 重量%、特に 0.5〜5 重量%であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の層状系。
【請求項12】
トップコート(T)用塗料組成物製造のための加水分解を、溶媒として、水、沸点が 120 ℃未満のアルコール及び/又はアルコキシアルコール、特にイソプロパノール、エタノール及び/又はブタノールの存在下に行うことを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の層状系。
【請求項13】
式(I)中、M を Si、Ti、Zr、Sn 及び Ce からなる群から選び、m=4 であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の層状系。
【請求項14】
式(I)中、M を Al、B、VO 及び In からなる群から選び、m=3 であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の層状系。
【請求項15】
式(I)中、M=Zn 及び m=2 であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の層状系。
【請求項16】
式(I)及び/又は式(II)中の加水分解性基 R' を、ハロゲン(例えば F、Cl、Br 及び I)、C1〜4 アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、s-ブトキシ基又は t-ブトキシ基)、C6〜10 アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基)、C1〜4 アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基及びプロピオニルオキシ基)及びアルキルカルボニル基(例えば、アセチル基)からなる群から選ぶことを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の層状系。
【請求項17】
一般式(I)の化合物として、テトラアルコキシシラン、特にテトラエトキシシラン(TEOS)を使用することを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の層状系。
【請求項18】
一般式(II)の化合物として、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS)、メチルトリエトキシシラン(MTS)及び/又はメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)を使用することを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の層状系。
【請求項19】
トップコート(T)用塗料組成物製造のために、加水分解終了時、少なくとも1つの添加剤(特に、流れ制御剤、染料、安定剤及び無機充填材からなる群から選ばれる)を添加し、及び/又は加水分解生成物を塗料組成物中 0.02〜15 重量%、特に 0.5〜5 重量%の濃度までアルコール、水及び/又はアルコキシアルコールで希釈することを特徴とする、請求項1〜18のいずれかに記載の層状系。
【請求項20】
耐引掻層(SR)が、厚さ 0.5〜30 μm であることを特徴とする、請求項1〜19のいずれかに記載の層状系。
【請求項21】
トップコート(T)が、厚さ 0.1〜3.0 μm であることを特徴とする、請求項1〜20のいずれかに記載の層状系。
【請求項22】
下塗(P)を、更なる層として備えることを特徴とする、請求項1〜21のいずれかに記載の層状系。
【請求項23】
(a)基体(S)への請求項1〜22のいずれかで定義した耐引掻層(SR)用塗料組成物の塗布、及び反応基がまだ存在している条件下での塗料組成物の少なくとも部分硬化又は重合、
(b)このように製造した耐引掻層(SR)への請求項1〜22のいずれかで定義したトップコート(T)用塗料組成物の塗布、及びトップコート(T)を形成するためのその少なくとも部分硬化:
の工程を特徴とする、請求項1〜22のいずれかに記載の層状系の製造方法。
【請求項24】
塗布後、耐引掻層(SR)を 110 ℃超、特に 110〜130 ℃の温度で乾燥することを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
耐引掻層(SR)用の塗料組成物が、流れ制御剤を 0.01〜3.0 重量%、特に 0.03〜1.0 重量%の量で含むことを特徴とする、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
トップコート(T)用の塗料組成物を、相対湿度 50〜75%、特に 55〜70%で塗布することを特徴とする、請求項23〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
トップコート用塗料組成物の塗布前、耐引掻層(SR)を、好ましくはコロナ処理又は火炎処理によって活性化することを特徴とする、請求項23〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
下塗(P)を基体(S)に塗布することを特徴とする、請求項23〜27のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2006−501342(P2006−501342A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−540729(P2004−540729)
【出願日】平成15年9月27日(2003.9.27)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010770
【国際公開番号】WO2004/031273
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】