説明

層間接続方式

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数の層から成るプリント配線パターンを作成する計算機援用装置における層間接続方式に関する。
【0002】複数の層から成るプリント配線パターン(以後単にパターンと称する)から構成される電気回路においては、例えば電源線、或いは地気線等の、同一の信号線が複数の層に跨がって配線される場合に、各層上のパターンを、ビアと称する接続路により接続するが、近年、パターン上を伝送される信号が高速化するに伴い、異なる層上のパターン相互も極力低インピーダンスで接続する為に、可能な限り多数のビアを設けることが要求されている。
【0003】
【従来の技術】図9は従来ある計算機援用装置の一例を示す図であり、図10は図9におけるビア作成過程の一例を示す図である。
【0004】図9に示される計算機援用装置10は、処理装置1、主記憶装置2、外部記憶装置3、キーボード4、マウス5、入出力制御装置6、ディスプレイ7、ディスプレイ制御装置8およびバス9を具備しており、外部記憶装置3内には、計算機援用装置10により設計された電気回路に関する各種データを含むデータベース(DB)が格納されている。
【0005】ここで、データベース(DB)に格納される、図10(a) に示される第一層(E1 )に設けられた地気線(E11)と、図10(b) に示される第二層(E2 )に設けられた地気線(E21)および(E22)とを接続するビア(V)を生成するものとする。
【0006】かかる場合に設計者は、データベース(DB)から第一層データ(D1 )と第二層データ(D2 )とを抽出し、図10(c) に示す如くディスプレイ7上に第一層(E1 )と第二層(E2 )とを重複して表示し、地気線(E11)と(E21)とが重なり合う重複領域(E121 )と、地気線(E11)と(E22)とが重なり合う重複領域(E122 )との中に、ビア(V1 )乃至(V4 )を所定の基準(例えば所定間隔の格子上)に基づき生成し、生成したビア(V1 )乃至(V4 )に対応するビアデータ(d1 )乃至(d4 )を登録する。
【0007】更に、第一層(E1 )と第二層(E2 )との間に、図10(d) に示される如く信号線(F31)および(F32)を有する第三層(E3 )が介在する場合には、生成したビア(V1 )乃至(V4 )と、第三層データ(D3 )とをディスプレイ7上に重複して表示し、ビア(V1 )乃至(V4 )と信号線(F31)および(F32)との間の間隙が、予め定められている設計基準を上回ているか否かを観察し、例えばビア(V4 )が信号線(F31)および(F32)に接触していることを検出すると、ビア(V4 )を設けることが不可能と判断し、最終的には間隙不良と判定されたビア(V4 )を削除してビア(V1 )乃至(V3 )のみを設けることに決定し、ビア(V1 )乃至(V3 )に対応するビアデータ(d1 )乃至(d3 )をデータベース(DB)に登録する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上の説明から明らかな如く、従来ある計算機援用装置10においては、設計者がビアの設定位置を決定する場合には、関係する層をディスプレイ7上に重複して表示し、ビアの設定位置候補を求めた後、他の信号線との間隙を更にディスプレイ7上で確認する等、総て人手により実行していた為、設計者に多大の労力を費やさせると共に、例えば重複領域の見落とし、或いはビアの設定位置候補の選択忘れ等により正常なビアの設定位置を見落とし、接続インピーダンスを極力低下させる目的を達成出来ぬ問題があった。
【0009】本発明は、異なる層上のパターン相互を可能な限り豊富な接続路で接続することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】図1は本発明の原理を示す図である。図1において、100は本発明の対象となる計算機援用装置である。
【0011】101は、本発明(請求項1乃至請求項3)により計算機援用装置100に設けられた重複領域決定手段である。102は、本発明(請求項1乃至請求項3)により計算機援用装置100に設けられた接続位置選択手段である。
【0012】103は、本発明(請求項2)により計算機援用装置100に設けられた接続位置補正手段である。104は、本発明(請求項3)により計算機援用装置100に設けられた接続位置補正手段である。
【0013】
【作用】重複領域決定手段101は、指定された複数の層上の指定されたパターン(P)が重なり合う重複領域(A)を求める。
【0014】接続位置選択手段102は、重複領域決定手段101が求めた重複領域(A)内に、各パターン(P)を異層間で相互接続する接続路の設定位置(V)の設定位置を、予め定められた基準に従って選定する。
【0015】従って、本発明(請求項1)によれば、複数の層上の指定されたパターン相互を接続する接続路が可能な限り豊富に設けることが可能となり、指定されたパターン相互が可能な限り低インピーダンスで接続可能となる。
【0016】また接続位置補正手段103は、接続位置選択手段102が選定した接続路(V)と、既存のパターン(P2 )との間隙を算出し、間隙が予め定められた基準を下回る接続路(V)を除いて接続路(V)の設定位置を決定する。
【0017】また接続位置補正手段104は、接続位置選択手段102が選定した接続路(V)と、既存のパターン(P2 )との間隙を算出し、間隙が予め定められた基準を下回る設定位置(V)が検出された場合に、間隙が前記基準を上回る如く前記既存のパターン(P2 )の修正を試み、該修正に成功しなかった設定位置(V)を除いて接続路(V)の設定位置を決定する。
【0018】従って、本発明(請求項2)によれば、複数の層上の指定されたパターン相互を接続する接続路が可能な限り豊富に設けることが可能となると共に、既存のパターンが存在する場合にも、既存のパターンとの間隙が基準値を下回る接続路を除去することが可能となり、更に本発明(請求項3)によれば、複数の層上の指定されたパターン相互を接続する接続路が可能な限り豊富に設けることが可能となると共に、既存のパターンが存在する場合にも、既存のパターンとの間隙が基準値を下回る接続路は、間隙を可能な限り修正して設けることが可能となり、指定されたパターン相互が可能な限り低インピーダンスで接続可能となる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面により説明する。図2は本発明の一実施例による計算機援用装置を示す図であり、図3は図2におけるパターンデータ抽出処理の一例を示す図であり、図4は図2における重複領域決定処理の一例を示す図であり、図5は本発明(請求項2)の一実施例によるビア生成処理を示す図であり、図6R>6は本発明(請求項3)の一実施例によるビア生成処理を示す図であり、図7は本発明(請求項2)の一実施例によるビア生成過程を示す図であり、図8は図6における間隙不良ビア救済過程の一例を示す図である。なお、全図を通じて同一符号は同一対象物を示す。
【0020】図2においては、図1における計算機援用装置100として計算機援用装置10が示され、また図1R>1における重複領域決定手段101としてパターンデータ抽出部11および重複領域決定部12が処理装置1内に設けられ、また図1における接続位置選択手段102としてビア位置選択部13が処理装置1内に設けられ、また図1における接続位置補正手段103として間隙不良処理部14が処理装置1内に設けられ、更に図1における接続位置補正手段104として間隙不良処理部15が処理装置1内に設けられている。
【0021】なお図2においても、外部記憶装置3内のデータベース(DB)には、図9に例示されるデータベース(DB)と同様に、或る電気回路を構成する三層のデータ(D1 )、(D2 )および(D3 )が格納されているものとし、また設計者は、当該電気回路の第一層(E1 )上の地気線(E11)と第二層(E2 )上の地気線(E21)および(E22)とを接続するビア(V)を設けるものとする。
【0022】また、同一の信号線(例えば地気線)が複数の層に跨がって配線される場合に、各層のパターン〔例えば地気線(E11)、(E21)および(E22)〕をネットと総称する。
【0023】最初に、本発明(請求項2)の一実施例を、図2乃至図5および図7を用いて説明する。先ずに設計者は、ビアの生成対象とするネットを指定するネットデータと、ビアの設定可能位置を指定するビア設定可能位置データとを、例えばキーボード4から指定する(図3ステップS31)。
【0024】今回は、ネットデータとしては、第一層(E1 )および第二層(E2 )における地気線を指定し、またビア設定可能位置データとしては、図7(a) に示される如き所定間隔で構成される格子の交点の座標を指定するものとする。
【0025】ネットデータおよびビア設定可能位置データが指定されると、処理装置1はパターンデータ抽出部11を起動する。起動されたパターンデータ抽出部11は、外部記憶装置3に格納されているデータベース(DB)から、対象とする電気回路〔三層(E1 )、(E2 )および(E3 )〕を構築するプリント板に関するデータ、電気回路に使用される部品に関するデータ、電気回路を構成する接続情報に関するデータ、例えば信号線相互の許容間隙寸法等の電気回路を設計する際に基準となるデータ、並びに設計されたパターン等のデータ(D1 )乃至(D3 )を読出す(ステップS32)。
【0026】次にパターンデータ抽出部11は、データベース(DB)から読出したデータ(D1 )乃至(D3 )から、指定されたネット〔第一層(E1 )および第二層(E2 )の地気線〕に所属するパターンデータ(D11)、(D21)および(D22)を抽出した後(ステップS33)、パターンデータ(D11)は第一層、パターンデータ(D21)および(D22)は第二層と、層別に分類する(ステップS34)。
【0027】以上でパターンデータ抽出部11による処理が終了すると、続いて処理装置1は重複領域決定部12を起動する。重複領域決定部12は、先ず内蔵する処理対象層数(H)に数値(=2、即ち第一層および第二層)を設定した後、処理対象層番号(h)と、処理対象層上パターン番号(j)とをそれぞれ初期設定(h=1、j=1)した後(図4ステップS41およびS42)、パターンデータ(Dhj)(=D11)を選択する(ステップS43)。
【0028】次に重複領域決定部12は、相手層番号(i)と、相手層上パターン番号(k)とをそれぞれ初期設定した後、パターンデータ(Dik)を選択する(ステップS44乃至S46)。
【0029】なお相手層番号(i)としては、処理対象層番号(h)の次の層から選択することとし、相手層番号(i)=処理対象層番号(h)+1(=2)と初期設定することとし、その結果重複領域決定部12はステップS43においてパターンデータ(D21)を選択する。
【0030】次に重複領域決定部12は、選択されたパターンデータ(D11)および(D21)の論理積演算を実行することにより、地気線(E11)と(E21)との重複領域(E121 )を示す重複領域データ(D121 )を求める(ステップS47)。
【0031】求められた重複領域データ(D121 )により表示される重複領域(E121 )は、図7(b) に示される地気線(E11)と、図7(c) に示される地気線(E21)とのそれぞれ一部として示される。
【0032】次に重複領域決定部12は、相手層上パターン番号(k)に1を加算して(ステップS48)、相手層上パターン番号(k)=2とした後、相手層上パターン番号(k)が相手層(i=2)上の指定ネットに所属するパターン総数(K)(今回はK=2)を越えていないことを確認の上(ステップS49)、再びステップS46以降を繰返す。
【0033】今回は、重複領域決定部12はステップS46においてパターンデータ(Dik)〔=(D22)〕を選択した後、ステップS47においてパターンデータ(D11)および(D22)に基づき、地気線(E11)と(E22)との重複領域(E122 )を示す重複領域データ(D122 )を求める(ステップS47)。
【0034】求められた重複領域データ(D122 )により表示される重複領域(E122 )は、図7(b) に示される地気線(E11)と、図7(c) に示される地気線(E22)とのそれぞれ一部として示される。
【0035】次に重複領域決定部12は、相手層上パターン番号(k)に1を加算して相手層上パターン番号(k)=3とした後、相手層上パターン番号(k)が相手層上の指定ネットに所属するパターン総数(K)(=2)を越えていることを確認すると(ステップS48およびS49)、相手層(i)(=2)上の指定ネット〔=地気線〕に所属する総てのパターンデータ(D21)および(D22)との重複領域データ(D121 )および(D122 )を総て求め終わったと判定し、次に相手層番号(i)に1を加算して相手層番号(i)=3とした後(ステップS410)、相手層番号(i)が処理対象層数(H)(=2)を越えていることを認識すると(ステップS411)、対象とする総ての相手層(第二層)を対象として重複領域データを求め終わったと判定し、次に処理対象層上パターン番号(j)に1を加算して処理対象層上パターン番号(j)=2とした後(ステップS412)、処理対象層上パターン番号(j)が処理対象層番号(h)(=1)により指定される第一層上の指定されたネット(地気線)に所属するパターンデータ総数(J)(=1)を越えていることを確認すると(ステップS413)、処理対象層番号(h)(=1)である第一層上の指定ネットに所属するパターンデータが(D11)の一個のみであることを認識し、処理対象層番号(h)=1で指定される第一層上の総ての指定ネットに所属するパターンデータ(D11)のみと、指定されたネットデータに所属する総ての相手層番号(i)(=2のみ)で指定される第二層上の総ての指定ネットに所属するパターンデータ(D21)および(D22)との重複領域データ(D121 )および(D122 )とを総て求め終わったことを認識する。
【0036】次に重複領域決定部12は、処理対象層番号(h)に1を加算して処理対象層番号(h)=2とした後(ステップS414)、処理対象層番号(h)が処理対象層数(H)(=2)に達していることを認識すると(ステップS415)、ネットデータで指定した総ての層(第一層および第二層)の中における二層間の重複領域データ〔即ち重複領域データ(D121 )および(D122 )〕を求め終わったと判定し、重複領域の決定処理を終了する。
【0037】以上で重複領域決定部12による重複領域決定処理が終了すると、続いて処理装置1はビア位置選択部13を起動する。起動されたビア位置選択部13は、内蔵する重複領域数(M)に数値2〔即ち重複領域(E121 )および(E122 )〕を設定した後、重複領域番号(m)を初期設定し〔(m)=1〕(図5ステップS51)、重複領域番号(m)=1に対応する重複領域データ(Dkim )(=D121 )に含まれる、パターンデータ抽出部11がステップS31において指定したビア設定可能位置を求める(ステップS52)。
【0038】ビア位置選択部13は、ステップS31において指定したビアデータ(d)〔図7(a) 〕と、重複領域決定部12が求めた重複領域データ(D121 )との論理積演算を実行することにより、図7(a) に示されるビアデータ(d)の内、図7(b) または図7(c) に示される重複領域(E121 )に対応する重複領域データ(D121 )に含まれるビアデータ(d1 )および(d2 )を求める。
【0039】ビア位置選択部13は、求めたビアデータ(d1 )および(d2 )に、一旦ビア(V1 )および(V2 )を生成した後(ステップS53)、続いて間隙不良処理部14を起動する。
【0040】起動された間隙不良処理部14は、ビア位置選択部13が生成したビア(V1)および(V2 )と、既存のパターンとの間隙が、パターンデータ抽出部11がステップS32において抽出した設計基準データにより指定されている基準値を満足しているかを調べる(ステップS54)。
【0041】ここで調査の対象となる既存のパターンとしては、第一層(E1 )および第二層(E2 )の間に介在する第三層(E3 )に設けられている信号線(F31)および(F32)とすると、間隙不良処理部14はビア位置選択部13が生成したビア(V1 )および(V2 )と、信号線(F31)および(F32)との最短距離をそれぞれ算出し、得られた最短距離が間隙の基準値を充分上回ることを確認すると、生成したビア(V1 )および(V2 )には削除すべきビアが存在しないことをビア位置選択部13に通知する(ステップS55)。
【0042】次にビア位置選択部13は、重複領域番号(m)に1を加算して重複領域番号(m)=2とした後(ステップS56)、重複領域番号(m)が重複領域決定部12により求めた重複領域数(M)(=2)を越えていないことを確認の上(ステップS57)、重複領域番号(m)=2に対応する重複領域データ(Dkim )(=D122 )を対象として、ステップS52以降を繰返した結果、重複領域データ(D122 )に含まれるビア設定可能位置としてビアデータ(d3 )および(d4 )を求める。
【0043】ビア位置選択部13は、求めたビアデータ(d3 )および(d4 )に、一旦ビア(V3 )および(V4 )を生成した後(ステップS53)、続いて間隙不良処理部14を起動する。
【0044】起動された間隙不良処理部14は、前述と同様に、ビア位置選択部13が生成したビア(V3 )および(V4 )と、信号線(F31)および(F32)との最短距離を算出した結果、ビア(V3 )と信号線(F31)および(F32)との最短距離は充分基準値を上回るが、ビア(V4 )と信号線(F31)および(F32)との最短距離は零であり、信号線(F31)および(F32)がビア(V4 )に接触していることを確認すると、ビア(V4 )が間隙不良と判定して削除し、その旨ビア位置選択部13に通知する(ステップS55)。
【0045】次にビア位置選択部13は、重複領域番号(m)に1を加算して重複領域番号(m)=3とした後(ステップS56)、重複領域番号(m)が重複領域数(M)(=2)を越えたことを確認すると(ステップS57)、ビア位置選択部13は間隙が基準値を満足するビア(V1 )、(V2 )および(V3 )を決定する。
【0046】更にビア位置選択部13は、今回生成されたビア(V1 )、(V2 )および(V3 )の中に、併合可能なビアが存在するか否かを解析する(ステップS58)。
【0047】併合可能なビアの一例としては、第一層と第二層との間にビアデータ(d1 )に対応するビアが生成され、また第二層と第三層との間にもビアデータ(d1 )に対応するビアが生成されたとすると、二個のビアは、第一層、第二層および第三層の間にビアデータ(d1 )に対応して生成された一個のビアと見做される為、第一層、第二層および第三層の間にビアデータ(d1 )に対応して生成された一個のビアに纏める。
【0048】また併合可能なビアの他の一例としては、第一層と第二層との間にビアデータ(d1 )に対応するビアが生成され、また第一層と第三層との間にもビアデータ(d1 )に対応するビアが生成されたとすると、二個のビアは、第一層、第二層および第三層の間にビアデータ(d1 )に対応して生成された一個のビアに併合されると見做し、第一層、第二層および第三層の間にビアデータ(d1 )に対応して生成された一個のビアに纏める。
【0049】然し今回は、前述の如く第一層と第二層との間のビアのみが対象である為、一つに纏められるビアは存在しない。以上により計算機援用装置10は、指定されたネット、即ち第一層および第二層に設けられた地気線を対象とするビアとして、ビア(V1 )、(V2 )および(V3 )を決定し、データベース(DB)に登録する。
【0050】以上の説明から明らかな如く、本実施例によれば、指定されたネットに所属するパターンデータ(D11)、(D21)および(D22)を総て網羅して重複領域データ(D121 )および(D122 )を求め、得られた重複領域データ(D121 )および(D122 )内で指定されたビア設定可能位置に該当するビアデータ(d1 )、(d2 )、(d3 )および(d4 )を求めた後、指定された既存信号線(F31)および(F32)との間隙が基準値を満足しないビアデータ(d4 )のみを削除し、残るビアデータ(d1 )、(d2 )および(d3 )にビアを生成することに決定する為、可能なビアが漏らさず生成可能となる。
【0051】次に、本発明(請求項3)の一実施例を、図2乃至図7を用いて説明する。今回も、設計者はネットデータとして第一層(E1 )および第二層(E2 )における地気線を指定し、またビア設定可能位置データとして図7(a) に示される如き所定間隔を有する格子の交点の座標を指定するものとすると、前述と同様の過程で、パターンデータ抽出部11および重複領域決定部12が順次起動され、第一層(E1 )上の地気線(E11)と、第二層(E2 )上の地気線(E21)および(E22)との重複領域(E121 )および(E122 )が求められる(図3ステップS31乃至S34、図4ステップS41乃至S415)。
【0052】重複領域決定処理が終了すると、続いて処理装置1はビア位置選択部13を起動する。起動されたビア位置選択部13は、前述と同様に、内蔵する重複領域数(M)に数値2〔即ち重複領域(E121 )および(E122 )〕を設定した後、重複領域番号(m)を初期設定し〔(m)=1〕(図6ステップS61)、重複領域番号(m)=1に対応する重複領域データ(Dkim )(=D121 )に含まれる、パターンデータ抽出部11がステップS31において指定したビア設定可能位置を求める(ステップS62)。
【0053】ビア位置選択部13は、ステップS31において指定したビアデータ(d)〔図7(a) 〕と、重複領域決定部12が求めた重複領域データ(D121 )との論理積演算を実行することにより、図7(a) に示されるビアデータ(d)の内、図7(b) または図7(c) に示される重複領域(E121 )に対応する重複領域データ(D121 )に含まれるビアデータ(d1 )および(d2 )を求める。
【0054】ビア位置選択部13は、求めたビアデータ(d1 )および(d2 )に、一旦ビア(V1 )および(V2 )を生成した後(ステップS53)、続いて間隙不良処理部15を起動する。
【0055】起動された間隙不良処理部15は、ビア位置選択部13が生成したビア(V1)および(V2 )と、既存のパターンとの間隙が、パターンデータ抽出部11がステップS32において抽出した設計基準データにより指定されている基準値を満足しているかを調べる(ステップS64)。
【0056】今回も、調査の対象となる既存のパターンを第一層(E1 )および第二層(E2 )の間に介在する第三層(E3 )に設けられている信号線(F31)および(F32)とすると、間隙不良処理部14はビア位置選択部13が生成したビア(V1)および(V2 )と、信号線(F31)および(F32)との最短距離を算出し、得られた最短距離が間隙の基準値を充分上回ることを確認すると、生成したビア(V1 )および(V2 )には間隙不良のビアが存在しないことをビア位置選択部13に通知する(ステップS65)。
【0057】次にビア位置選択部13は、重複領域番号(m)に1を加算して重複領域番号(m)=2とした後(ステップS611)、重複領域番号(m)が重複領域決定部12により求めた重複領域数(M)(=2)を越えていないことを確認の上(ステップS612)、重複領域番号(m)=2に対応する重複領域データ(Dkim )(=D122 )を対象として、ステップS62以降を繰返した結果、重複領域データ(D122 )に含まれるビア設定可能位置としてビアデータ(d3 )および(d4 )を求める。
【0058】ビア位置選択部13は、求めたビアデータ(d3 )および(d4 )に、一旦ビア(V3 )および(V4 )を生成した後(ステップS63)、続いて間隙不良処理部15を起動する。
【0059】起動された間隙不良処理部15は、前述と同様に、ビア位置選択部13が生成したビア(V3 )および(V4 )と、信号線(F31)および(F32)との最短距離を算出した結果、ビア(V3 )と信号線(F31)および(F32)との最短距離は充分基準値を上回るが、ビア(V4 )と信号線(F31)および(F32)との最短距離は零であり、信号線(F31)および(F32)がビア(V4 )に接触していることを確認すると(図8状態ST81)、ビア(V4 )と信号線(F31)および(F32)との間隙が基準値を満足しない間隙不良と認識する(ステップS65)。
【0060】このとき間隙不良処理部15は、間隙不良箇所であるビアデータ(d4 )を含む矩形の再配線範囲(D27)を定める(ステップS66、状態ST82)。次に間隙不良処理部15は、再配線範囲(D27)内に存在する信号線(F31)および(F32)の、パターンデータ(D31)および(D32)を仮に削除する(ステップS67、状態ST83)。
【0061】次に間隙不良処理部15は、信号線(F31)および(F32)の削除された再配線範囲(D27)を、公知の配線手順に基づき再配線する(ステップS68、状態ST84)。
【0062】今回は、信号線(F31)および(F32)の配線は、ビア(V4 )から設計基準に基づく間隙を確保した上で、状態ST84に示される如き配線経路が得られる。
【0063】以上で信号線(F31)および(F32)の再配線に成功すると、間隙不良処理部14は、再配線後の信号線(F31)および(F32)に対応するパターンデータ(D31)および(D32)をデータベース(DB)に登録し直した後(ステップS610)、ビア位置選択部13には生成したビア(V3 )および(V4 )に間隙不良のビアが存在しないと通知する(ステップS65)。
【0064】なお、ステップS68における再配線が不成功の場合には、ビア(V4 )を間隙不良と判定して削除し、その旨ビア位置選択部13に通知する(ステップS69)。
【0065】次にビア位置選択部13は、重複領域番号(m)に1を加算して重複領域番号(m)=3とした後(ステップS611)、重複領域番号(m)が重複領域数(M)(=2)を越えたことを確認すると(ステップS612)、ビア位置選択部13は間隙が基準値を満足するビア(V1 )、(V2 )、(V3 )および(V4)を決定する。
【0066】更にビア位置選択部13は、前述と同様に、今回生成されたビア(V1 )、(V2 )、(V3 )および(V4 )の中に、併合可能なビアが存在するか否かを解析する(ステップS613)。
【0067】然し今回も、前述の如く第一層と第二層との間のビアのみが対象である為、一つに纏められるビアは存在しない。以上により計算機援用装置10は、指定されたネット、即ち第一層および第二層に設けられた地気線を対象とするビアとして、ビア(V1 )、(V2 )、(V3 )および(V4 )を決定し、データベース(DB)に登録する。
【0068】以上の説明から明らかな如く、本発明(請求項3)による実施例によれば、指定されたネットに所属するパターンデータ(D11)、(D21)および(D22)を総て網羅して重複領域データ(D121 )および(D122 )を求め、得られた重複領域データ(D121 )および(D122 )内で指定されたビア設定可能位置に該当するビアデータ(d1 )、(d2 )、(d3 )および(d4 )を求めた後、指定された既存信号線(F31)および(F32)との間隙が基準値を満足しないビア(V4 )に対して信号線(F31)および(F32)を再配線し、再配線に成功した場合にはビアデータ(d4 )も含めてビア(V1 )、(V2 )、(V3 )および(V4 )を生成することに決定する為、本発明(請求項2)による実施例より更に多数のビア(V1 )、(V2 )、(V3 )および(V4 )が生成可能となる。
【0069】なお、図2乃至図8はあく迄本発明の一実施例に過ぎず、例えばビア生成は図示される第一層(E1 )の地気線(E11)と第二層(E2 )の地気線(E21)および(E22)との間に限定されることは無く、他に幾多の変形が考慮されるが、何れの場合にも本発明の効果は変わらない。また本発明の対象となる計算機援用装置100は、図示される計算機援用装置10に限定されぬことは言う迄も無い。
【0070】
【発明の効果】以上、本発明(請求項1)によれば、複数の層上の指定されたパターン相互を接続する接続路が可能な限り豊富に設けることが可能となり、指定されたパターン相互が可能な限り低インピーダンスで接続可能となり、また本発明(請求項2)によれば、複数の層上の指定されたパターン相互を接続する接続路が可能な限り豊富に設けることが可能となると共に、既存のパターンが存在する場合にも、既存のパターンとの間隙が基準値を下回る接続路を除去することが可能となり、更に本発明(請求項3)によれば、複数の層上の指定されたパターン相互を接続する接続路が可能な限り豊富に設けることが可能となると共に、既存のパターンが存在する場合にも、既存のパターンとの間隙が基準値を下回る接続路は、間隙を可能な限り修正して設けることが可能となり、指定されたパターン相互が可能な限り低インピーダンスで接続可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の原理を示す図
【図2】 本発明の一実施例による計算機援用装置を示す図
【図3】 図2におけるパターンデータ抽出処理の一例を示す図
【図4】 図2における重複領域決定処理の一例を示す図
【図5】 本発明(請求項2)の一実施例によるビア生成処理を示す図
【図6】 本発明(請求項3)の一実施例によるビア生成処理を示す図
【図7】 本発明(請求項2)の一実施例によるビア生成過程を示す図
【図8】 図6における間隙不良ビア救済過程の一例を示す図
【図9】 従来ある計算機援用装置の一例を示す図
【図10】 図9におけるビア作成過程の一例を示す図
【符号の説明】
1 処理装置
2 主記憶装置
3 外部記憶装置
4 キーボード
5 マウス
6 入出力制御装置
7 ディスプレイ
8 ディスプレイ制御装置
9 バス
10、100 計算機援用装置
11 パターンデータ抽出部
12 重複領域決定部
13 ビア位置選択部
14、15 間隙不良処理部
101 重複領域決定手段
102 接続位置選択手段
103、104 接続位置補正手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の層から成るプリント配線パターンを作成する計算機援用装置(100)において、指定された複数の層上の指定されたパターン(P)が重なり合う重複領域(A)を求める重複領域決定手段(101)と、前記重複領域決定手段(101)が求めた前記重複領域(A)内に、前記各パターン(P)を異層間で相互接続する接続路(V)の設定位置を、予め定められた基準に従って選定する接続位置選択手段(102)とを設けることを特徴とする層間接続方式。
【請求項2】 複数の層から成るプリント配線パターンを作成する計算機援用装置(100)において、指定された複数の層上の指定されたパターン(P)が重なり合う重複領域(A)を求める重複領域決定手段(101)と、前記重複領域決定手段(101)が求めた前記重複領域(A)内に、前記各パターン(P)を異層間で相互接続する接続路(V)の設定位置を、予め定められた基準に従って選定する接続位置選択手段(102)と、前記接続位置選択手段(102)が選定した前記接続路(V)と、既存のパターン(P2 )との間隙を算出し、前記間隙が予め定められた基準を下回る接続路(V)を除いて前記接続路(V)の設定位置を決定する接続位置補正手段(103)とを設けることを特徴とする層間接続方式。
【請求項3】 複数の層から成るプリント配線パターンを作成する計算機援用装置(100)において、指定された複数の層上の指定されたパターン(P)が重なり合う重複領域(A)を求める重複領域決定手段(101)と、前記重複領域決定手段(101)が求めた前記重複領域(A)内に、前記各パターン(P)を異層間で相互接続する接続路(V)の設定位置を、予め定められた基準に従って選定する接続位置選択手段(102)と、前記接続位置選択手段(102)が選定した前記接続路(V)と、既存のパターン(P2 )との間隙を算出し、前記間隙が予め定められた基準を下回る接続路(V)が検出された場合に、前記間隙が前記基準を上回る如く前記既存のパターン(P2 )の修正を試み、該修正に成功しなかった接続路(V)を除いて前記接続路(V)の設定位置を決定する接続位置補正手段(104)とを設けることを特徴とする層間接続方式。

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図9】
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【特許番号】特許第3191393号(P3191393)
【登録日】平成13年5月25日(2001.5.25)
【発行日】平成13年7月23日(2001.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−85834
【出願日】平成4年4月8日(1992.4.8)
【公開番号】特開平5−290126
【公開日】平成5年11月5日(1993.11.5)
【審査請求日】平成11年4月5日(1999.4.5)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【参考文献】
【文献】特開 平4−566(JP,A)
【文献】特開 平1−292473(JP,A)