説明

履き脱ぎ容易な靴

【課題】 最初に緊締部の締め具合を調整しておけば、それ以降はその締め具合を簡単な操作によって再現可能であって、さらに、歩行中に右と左の靴がぶつかり合っても緊締状態を維持する靴を提供。
【解決手段】 開口した甲前部4の第1趾側と第5趾側との間に緊締バンド8を架け渡して緊締する靴1の第5趾側には留具7を取り付ける。留具7は甲皮2に取り付けられる固定部71、ヒンジ部72を介して固定部71に連なる可動部73からなる。緊締バンド8がその基端部81で甲皮2に取り付けられており、中間部で折り返され、終端部で緊締バンド自体または甲皮に着脱自在に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、甲前に緊締部を有する靴に係り、最初に緊締部の締め具合を調整しておけば、それ以降は簡単な操作によってその締め具合を再現する靴に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に靴には甲前部に緊締部が設けられており、靴を履くあるいは脱ぐときに人々は、緊締部を締めたり緩めたりする動作を行っている。小さい子供、高齢者、身障者にとってはこのような動作は難しいため、このような着用者向けに緊締バンドを用いた靴が市場に多く提供されている。
【0003】
以下に、従来の緊締バンドを用いた靴について説明する。
緊締バンドは、靴の甲前部の緊締開閉部に第1趾側から第5趾側へ架け渡され、その第1趾側部分が甲皮の第1趾側部分に固定されるとともに、その第5趾側部分が甲皮の第5趾側部分に面ファスナーを用いて着脱自在にされている。そして、靴を足にフィットさせる動作は、緊締バンドの第5趾側部分をやや引っ張りながら甲皮の第5趾側部分に取り付けることで行っている。
しかしながら、上記従来例の場合は、緊締時に緊締バンドを引っ張ってその部分を甲皮の適当な位置に取り付ける必要があるが、特に小さな子供には適当な位置に取り付けるような注意力がないために、足に靴がフィットしないことがある。また、小さな子供には取り付ける力も十分にないことから面ファスナーの係合が外れてしまうというようなことがある。
【0004】
そこで、これらの問題を解決する方法として、『シューズバックル』(実開平6−3105号、以下従来例1という。)が考案されている。
【0005】
この従来例1は、『靴の上革部に固定されるベースプレートと折り返し自在に接続するフラッププレートは、折り返した状態でフラッププレートの自由端が靴のセンターより外側方向へ移動するように形成され、ベースプレートとフラッププレートには、折り返した状態でその位置が固定可能となる様に、ホックあるいはフックあるいはストッパー等の係合部分が形成され、フラッププレートには、靴紐を通す穴もしくはリングが設けられるか、または鳩目穴を有する鳩目プレートがフラッププレートの更に上面で折り返し自在に接続され、ベースプレートは、靴の上革部に対して固定されていることを特徴とするシューズバックル。』他からなり、図7および図8に表すように、靴ひもを通す紐穴のうち上部に位置される紐穴の代りにシューズバックルを該紐穴位置に固定して設ける。そして、シューズバックルはベースプレート101が靴の甲皮である靴の上革部分103に固定される。ベースプレート101の靴中心側端部からは、フラッププレート102が延設される。このように設けるフラッププレート102は、ベースプレート101の靴中心側端部を基点として回動可能となる。フラッププレート102の中間部には、靴紐を通すためのフラッププレートの穴もしくはリング103が貫通して設けてあり、靴紐を通す。
【0006】
更に、シューズバックルには、フラッププレート102を回動させてベースプレート101に固定するために係止部分を形成してある。係止部分は図8に示す例ではホック106或はフック107であり、ベースプレート101側へ回動させたフラッププレート102はホック106とフック107とによって係止される。
このように構成するシューズバックルでは、靴に足を通して履いた状態でベースプレート101およびフラッププレート102をホック106によって係止させ、靴紐を所望の強さで結ぶ。この状態では、使用者は良好な状態で靴を履いている。
この状態から靴を脱ぐために、一旦フラッププレート102のホック106を外すと共にフック107の係止を解き、フラッププレート102を回動させて起立させる。すると、靴紐を通してあるフラッププレートの穴もしくはリング103は靴のセンター114側へ移動されると共に靴の甲から上方へ移動されるので、靴紐は実質緩められ使用者は靴を容易に脱ぐことができる。
【0007】
また、該状態から靴を履く場合には、フラッププレート102がベースプレート101と係止されていない状態、即ち、靴紐が緩められた状態で靴に足を入れて履き、次いでフラッププレート102を回動させてベースプレート101へホック106およびフック107を係止させて固定させる。
すると、フラッププレートの穴もしくはリング103の位置も移動され、該穴もしくはリング103に通した靴紐の位置が、最初に結んだ適宜位置となる。
このように、従来例1では、シューズバックルを開閉することで、靴紐を緩めたり張ったりすることができるので、靴の履き脱ぎが容易となる。
【特許文献1】実開平6−3105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来例1では、最初に履いたときに、着用者にとって履き心地の良い状態となるように靴紐を結ぶ必要があり、幼少児や身障者などの着用者の場合、一旦靴紐が解けてしまうと着用者自身による対処が難しい。
この発明は、最初に緊締部の締め具合を調整しておけば、それ以降はその締め具合を簡単な操作によって再現可能であって、さらに、歩行中に緊締状態が簡単に解除されない靴を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者は、従来例1に用いるシューズバックルを靴の甲皮の第5趾側部分に取り付けて、前記バックルから第1趾側へ緊締バンドを架け渡し、面ファスナー等によって緊締バンドの第1趾側部分を甲皮の第1趾側部分に取り付けることで、紐靴が有する問題を解決するとの知見を得た。また、歩行中には左右の靴同士ぶつかり合うことがあり、面ファスナー等によって第1趾側で緊締バンドと甲皮とを取り付けた場合には、その拍子に緊締バンドが外れたりすることを予見して本発明を完成させた。
すなわちこの発明は、足の出し入れ部と連なって開口している甲前部を有する甲皮を、開口した甲前部の第1趾側と第5趾側との間に架け渡した緊締バンドで緊締する靴であって、
甲皮の第5趾側部分に、固定部とヒンジ部を介して固定部に連なる可動部とからなる開閉自在の留具が、甲前部側へヒンジ部を向けて固定部にて取り付けられており、
前記可動部には、ヒンジ部に平行で互いが縦に並んだ進入口と戻し口とを形成することで両者間に折り返し係止部が形成されており、
緊締バンドの基端部が、甲皮の第1趾側部分に取り付けられており、
緊締バンドは、進入口から入り戻し口から出る形態で折り返し係止部にて折り返されるとともに、終端部が緊締バンド自体または甲皮の第1趾側部分に位置調整可能に取り付けられることを特徴とする履き脱ぎ容易な靴、を提供する。
【0010】
またこの発明の靴において、人が靴を履く際に砂除けを靴の中に巻き込んでしまうことを防止するために、開口した甲前部を塞ぐように配された砂除けを緊締バンドと連結したことを特徴とする。
【0011】
さらにこの発明の靴において、砂除けと緊締バンドとの連結を緊密にし、留具の可動部が開状態となると砂除けも連動されて持ち上がるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、甲皮の第1趾側部分にその基端部にて取り付けられた緊締バンドは、進入口から入り戻し口から出る形態で折り返し係止部にて折り返され、緊締バンドの終端部で緊締バンド自体または甲皮の第1趾側部分に取り付けられるようにしてあるので、歩行中、万一緊締バンドの終端部が緊締バンド自体または甲皮から外れるようなことがあっても、緊締部がすぐに緩むようなことはない。なお、緊締バンドの終端部を、開口した甲前部の位置で緊締バンド自体または甲皮の第1趾側部分に取り付けるようにした靴では、左右の靴がぶつかり合っても、両者の取り付け位置にはぶつかり難いため、緊締バンドが甲皮から外れる危険性は大幅に小さくなる。
【0013】
また、この発明の靴において、緊締バンドと砂除けとを連結して構成した靴では、靴内に足を挿入するときに砂除けが靴内に巻き込まれないようにすることが可能である。また歩行中に右と左の靴がぶつかり合った拍子に緊締バンドの終端部が甲皮から外れることがあっても、緊締バンドは砂除けに連結しているので極端に緊締が緩むことはない。
さらに、例えば砂除けに設けたスリットに緊締バンドを通すようにして緊締バンドと砂除けとを緊密に連結させることで、可動部を開状態へ持ち上げると、可動部に連動して緊締バンドや砂除けが持ち上がるので、足の出し入れ部が自動的に広がることになり、足の挿入を容易にするという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この発明は、開口した甲前部すなわち甲皮の不存在の甲前部に帯状の緊締バンドを架け渡した靴において、甲前部からみたときに甲皮の第5趾側となる部分に留具を取り付け、甲皮の第1趾側部分にその基端部を取り付けた緊締バンドを、留具にて折り返し、その終端部を甲皮の第1趾側部分などに位置調整可能に取り付けてなる靴に関する発明である。さらに詳しく説明すれば、留具は開閉自在の構造を有するもので、固定部とヒンジ部を介して固定部に連なる可動部とからなる。留具は、板状体であることが好ましく、甲前部側へヒンジ部を向けて縫着や接着等で甲皮に取り付けられる。なお、固定部は甲皮と一体に成形されるようなものであっても良い。このようにして甲皮に取り付けられる留具は、可動部がヒンジ部を回動中心として回動する。また、留具は、可動部が回動して固定部と対向したときに、すなわち閉の状態となったときに固定部に可動部を掛止する係止手段を有している。可動部はヒンジ部とその対向する端(回回動端)との中間の位置に折り返し係止部を有し、緊締バンドは留具可動部の折り返し係止部にて折返されている。この折り返しを説明すると、可動部には、中央あたりにヒンジ部に平行に設けた2本の貫通孔により進入口と戻し口とが形成されて貫通孔間に折り返し係止部が形成されている。そして、緊締バンドはこれらの貫通孔に通されて、折り返し係止部に引っ掛けられることで留具の可動部にて折返されている。なお、可動部の別の例として、2本の貫通孔を設けるのではなく、可動部の外面側に開口する穴を設け、穴の内部に折り返し係止部を設けて、緊締バンドを折り返せるようにしたものでもよい。
【0015】
緊締バンドは、基端部が甲皮の第1趾側部分に縫合などで取り付けられており、中間部にて摺動可能な状態で折り返され、終端部が緊締バンド自体または甲皮の第1趾側部分に位置調整可能に取り付けられるようにされている。終端部の緊締バンド自体または甲皮の第1趾側部分への取付け手段としては、緊締部の締め具合を微調整できるようなものであれば特に限定されないが、例えば終端部と甲皮の第1趾側部分(緊締バンド自体又は甲皮部分)とに、面ファスナーの雄と雌のいずれかを対となるようにそれぞれ貼着して、終端部を甲皮に係合により取り付けるようにすれば良い。
本発明の靴では、開口した甲前部には、ここを靴の内側から塞ぐように砂除けが設けられている。砂除けの幅方向中央には、足の出し入れ部(履き口)から爪先側へかけて帯状のベルトを縫合されており、縫合の無い部分でバンド挿通部を形成している。このバンド挿通部に緊締バンドを通すことで緊締バンドと砂除けとを連結するようにしている。
【実施例1】
【0016】
以下、この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1はこの発明の靴を表す側面視説明図であり、図2はこの発明の靴を表す正面視説明図であり、図3は開状態の留具を表し(a)は斜視説明図であり(b)は側面説明図であり、図4は閉状態の留具を表し(a)は斜視説明図であり(b)は側面説明図であり、図5は緊締状態を説明する拡大説明図であり、図6は実施例2である靴の説明図である。
【0017】
1は靴である。靴1はこの実施例では幼少児用のスニーカーであるが、甲皮の第1趾側部分から第5趾側部分にかけて緊締バンド8を架け渡し、このバンド8で緊締するタイプの靴1であれば特に幼少児用のスニーカーに限定されない。
【0018】
本発明の靴1の甲皮2は、図1および図2に表すように、足の出し入れ部(履き口)3から爪先部4の手前にかけて上側が開口し、第1趾側と第5趾側とに甲皮2を分割したような開口した甲前部5を形成している。
そして靴1は、甲皮2に取り付けられた緊締バンド8によって開口した甲前部5の巾を狭めることで足に適度にフィットさせることができる。
6は砂除けである。砂除け6は、爪先側において靴1に縫合することで甲皮2に取り付けられ、履き口側において履き口3を臨むように設けられている。なお、砂除け6は、第1趾側あるいは第5趾側のいずれか一方を甲皮と縫合してもよい。砂除け6には、緊締バンド8と砂除け6とを連結するためにバンド挿通部61が設けられている。この実施例では、バンド挿通部61は、砂除け6の幅方向中央の履き口3から爪先部4にかけて帯状のベルト62を設けて形成している。すなわち、帯状のベルト62は、履き口3側と爪先部4側の位置で砂除け6と縫合されて、砂除け6とベルト62との間に緊締バンド8を挿通するようにしている。
【0019】
バンド挿通部61を形成するベルト62の縫合は、緊締バンド8がちょうど挿通するように緊締バンドの幅に合わせた縫合であることが好ましい。緊締バンド8と砂除け6とを緊密に連結した上で緊締バンドをやや硬めに形成すれば、留具の開閉操作に連動して砂除けが持ち上がるようになる。この実施例では合成樹脂で表面を形成した緊締バンド8を用いている。砂除け6は、緊締バンド8との連動によって型くずれし易いが、クッション材を布材に挿入することでその形状回復性によって型くずれを有効に防止できる。この時用いるクッション材は、好ましくは厚さ2mm乃至5mm、硬度50N乃至200N(JIS K6400D法による)程度の軟質ポリウレタンフォームがよい。
【0020】
留具7は、固定部71とヒンジ部72を介して固定部に連なる可動部73からなるもので、図1乃至図4に表すように、甲前部5から見たときに甲皮2の第5趾側となる部分に取り付けられている。留具7の向きはヒンジ部側を甲前部へ向けている。なお、図1は留具7の開状態を表し、図2は留具7の閉状態を表している。
固定部71は板状体であり、その中央あたりに係止受部74が設けられており、係止受け部74がヒンジ部72を回動中心(回動軸)として回動する可動部73の係止片77に掛止することで、留具を閉じの状態に保持するようになっている。
【0021】
可動部73は板状体であり、一端がヒンジ部72に連なって回動自在に取り付けられ、他端が回動端75を形成している。さらに可動部73には、その中央あたりにヒンジ部72に平行な貫通した孔が2本形成されており、2本の孔の間が竿状の折り返し係止部76となっている。また、可動部73には、固定部71の係止受部74に掛止するための係止片77が設けられている。そして、係止片77には、固定部の係止受け部74に引っ掛かるように突起77が設けられている。このようにして構成した留具7は、回動端75を指で操作して可動部73を回動させることで開閉する。
【0022】
緊締バンド8は、基端部81で甲皮2の第1趾側部分に縫合され、中間部で留具に引っ掛けられて折り返され、終端部82で基端部81あるいはその周辺に面ファスナー83を介して着脱自在に取り付けられるようにされている。ここで、基端部81には雄型面ファスナー83が貼着されており、終端部82には雌型面ファスナー83が貼着されている。
ところで、この実施例では、基端部81と終端部82との取付け手段として、一対の面ファスナー83を用いたが、両者の位置関係を微調整できるようなものであれば特に限定されない。
【0023】
上記のように作製された靴1は、例えば着用者が靴購入後に、最初に履くときに緊締バンド8の貼着した面ファスナー83による取り付けを外した状態で足を挿入し、次ぎに留具7を閉状態にする。そして緊締バンド8の終端部82を第1趾側へ引っ張って適度な締め付け状態で面ファスナー83を介して緊締バンドの終端部82を第1趾側の甲皮2へ取り付けることで、足に適度にフィットするようになる。
【0024】
その後、靴1を履くあるいは脱ぐときには、留具7の可動部73の回動端75を指で持ち上げる。すると、係止受け部74と係止片77との掛止が解除されてヒンジ部72を中心に可動部73が回動し、留具7は開状態となる。
留具7が開状態となると、留具7の折り返し係止部76が上方へ移動することになり、これにともない、緊締バンド8は緩んだ状態となる。
さらに、この緊締バンド8が緩んだ状態としたとき、緊締バンド8に連結した砂除け6が上方に持ち上がるので靴1の履き脱ぎが行いやすい状態となる。
【0025】
また、靴1を履いて、歩行中に右と左の靴がぶつかってしまって、万一緊締バンド8の第一趾側に設けた面ファスナー83による係合が外れてしまっても、緊締バンド8は折り返し係止部76で貫通孔を通して折り返されているので、折り返しによる摩擦抵抗が折り返し係止部76との間に作用して緊締がすぐに緩むことはない。
【実施例2】
【0026】
次いで、この発明の実施例2を説明する。
実施例2における靴1は、留具7以外の構成は、実施例1と同様である。したがって実施例2に表す留具7は実施例1のいずれへも実施可能である。よってここでは、実施例2の説明として留具7のみ説明する。
留具7は樹脂素材からなる可撓性を有する板状体、例えば塩ビレザーを用いて作製することができる。図6(a)に表すように留具7はヒンジ部72で折曲させて固定部71および可動部73を形成して作製することができる。ヒンジ部72は、断面V字型の押し型などで筋を設けることで形成することができる。そして、留具7の固定部71は実施例1に実施する場合には甲皮2に縫合あるいは接着などされて取り付けられる。可動部73は、実施例1同様に、固定部71に対してヒンジ部72を回動中心として回動自在であり、他端が回動端75を形成している。さらに可動部73は、その中央あたりにヒンジ部72に平行な貫通した孔が2本設けられて進入口と戻し口が形成されており、2本の孔の間が竿状の折り返し係止部76となっている。固定部71および可動部73のそれぞれ対向する面には係止手段79が設けられている。係止手段79は一対の面ファスナーであってよく、固定部71あるいは可動部73のいずれかの一方には雄型を、他方には雌型を設け、面ファスナーの雄と雌とが相互に係合することで留具7が閉状態となるようにしている。
【0027】
このように実施例2における留具の係止手段79を一対の面ファスナーによって形成することで、実施例1に表した留具7における係止受部74および係止片77と同様の作用および効果を有することができる。
尚、係止手段79は面ファスナーによって形成したが、例えばボタンでもよく特に限定されない。
また、留具7における折り返し係止部76は、図6(b)に表すように、別体として作製したものを可動部73に一体化させてもよい。このときの重要な点は、緊締バンド8の折り返し部位で摩擦抵抗が働くように、実質的に貫通孔が形成されたような状態にすることである。
【産業上の利用可能性】
【0028】
この発明による靴は、幼少児用の運動靴や身障者或はお年寄り用の運動靴に利用可能であり、これらに利用することで本願発明の効果を発揮できるが、運動靴以外の通常の靴や踵部を有するサンダル等にも利用可能である。
また、特に幼少児、お年寄り、或は、身障者用でなくとも、一般の運動靴或は通常の靴、踵部を有するサンダル等にも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の靴を表す側面視説明図
【図2】この発明の靴を表す正面視説明図
【図3】開状態の留具を表し(a)は斜視説明図、(b)は側面説明図
【図4】閉状態の留具を表し(a)は斜視説明図、(b)は側面説明図
【図5】緊締状態を説明する拡大説明図
【図6】実施例2である靴の説明図
【図7】従来例1を表す斜視説明図
【図8】従来例1を表す側面説明図
【符号の説明】
【0030】
1 靴
2 甲皮
3 足の出し入れ部(履き口)
4 爪先部
5 開口した甲前部
6 砂除け
61 バンド挿通部
62 ベルト
7 留具
71 固定部
72 ヒンジ部
73 可動部
74 係止受部
75 回動端
76 折り返し係止部
77 係止片
78 突起
79 係止手段
8 緊締バンド
81 基端部
82 終端部
83 面ファスナー
84 進入口、戻し口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の出し入れ部と連なって開口している甲前部を有する甲皮を、開口した甲前部の第1趾側と第5趾側との間に架け渡した緊締バンドで緊締する靴であって、
甲皮の第5趾側部分に、固定部とヒンジ部を介して固定部に連なる可動部とからなる開閉自在の留具が、甲前部側へヒンジ部を向けて固定部にて取り付けられており、
前記可動部には、ヒンジ部に平行で互いが縦に並んだ進入口と戻し口とを形成することで両者間に折り返し係止部が形成されており、
緊締バンドの基端部が、甲皮の第1趾側部分に取り付けられており、
緊締バンドは、進入口から入り、戻し口から出る形態で折り返し係止部にて折り返されるとともに、終端部が緊締バンド自体または甲皮の第1趾側部分に位置調整可能に取り付けられることを特徴とする履き脱ぎ容易な靴。
【請求項2】
前記靴において、開口した甲前部を塞ぐように配された砂除けを緊締バンドと連結したことを特徴とする請求項1に記載の履き脱ぎ容易な靴。
【請求項3】
前記靴において、砂除けと緊締バンドとが緊密に連結されることで、留具の可動部が開状態となると砂除けも連動されて持ち上がることを特徴とする請求項2に記載の履き脱ぎ容易な靴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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