説明

履修支援装置

【課題】講義等を実施する場合において、受講者が受講すべき講義であって、かつ、受講済みの講義の復習を行うことができるような講義を、受講者に対して報知することのできる技術を提供する。
【解決手段】サーバ装置1の記憶部には、1の科目について、1又は複数の講義の組み合わせで構成された講義グループを示す講義グループデータが、科目毎に複数記憶されている。制御部は、受講者IDと科目IDとを取得すると、取得した受講者IDに対応する受講履歴データを読み出し、読み出した受講履歴データの示す受講済みの講義のなかから理解レベルが所定値以下のものを特定する。制御部は、記憶部に記憶された複数の講義グループデータのなかから、特定した講義に関連する講義が含まれる講義グループデータを選定し、選定した講義グループデータを、端末2に送信することによって受講者に報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履修支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット等のネットワークを介して講義を行うシステムが知られている。このようなシステムにおいては、複数の講義を受講することによって単位を取得したり、また、複数の単位を取得することによって学士資格等の各種の資格を得たりすることができるものもある。このようなシステムによれば、受講者は、決められた時間や決められたカリキュラムに縛られることなく、自身の都合のよい時間に、所望する講義を受講することができる。また、特許文献1には、ネットワークを用いた講義システムにおいて、ダイビング講習過程の中で、ダイバとしての基礎知識の取得を目的とする講義過程において十分かつ必要な講義学習を実現するためのダイビング講習システムが提案されている。
【特許文献1】特開2002−341739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、講義システムによって提供される講義の数が多い場合には、或る科目の単位や資格等を取得するための講義の組み合わせとして、複数の組み合わせが認められる場合があり得る。このような場合、受講者は、自身が所望する科目の単位や資格等を取得するために、どの講義を受講するかを、受講者自身で思索する必要がある。講義や科目の数が多いほど、その作業はより煩雑なものとなる。また、受講者の理解度や到達レベルは講義毎に異なることが多く、講義によっては復習をすべきである項目を含むものもある。このような場合に、受講者が、別の講義を受講することによって、受講済みの講義の復習を行うことが出来れば好適である。
本発明は上述した背景の下になされたものであり、講義等(講義及びこれに類するもの)を実施する場合において、受講者が受講すべき講義であって、かつ、受講済みの講義の復習を行うことができるような講義を、受講者に対して報知することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明は、1又は複数の講義の組み合わせで構成された講義グループを示す講義グループデータを、科目を示す科目識別データ毎に複数記憶する講義グループデータ記憶手段と、複数の講義の対応関係を記憶する対応関係記憶手段と、受講者が受講済みである講義の理解レベルを示す理解レベルデータを、前記講義を示す講義識別データ毎に記憶する理解レベルデータ記憶手段と、前記科目を識別する科目識別データを取得する取得手段と、前記理解レベルデータ記憶手段に記憶された理解レベルデータが予め定められた閾値未満であるか否かを前記講義識別データ毎に判定する判定手段と、前記対応関係記憶手段に記憶された対応関係を参照して、前記判定手段による判定結果が肯定的である講義に対応する講義を特定する特定手段と、前記特定手段により特定された講義を含む講義グループを示す講義グループデータを、前記講義グループデータ記憶手段に記憶された講義グループデータのなかから選定する選定手段と、前記選定手段により選定された講義グループデータを出力する出力手段とを具備することを特徴とする履修支援装置を提供する。
【0005】
本発明の好ましい態様において、前記選定手段により選定された講義グループデータを解析し、解析結果に応じて該選定された講義グループデータを順位付けする順位付け手段と、前記順位付け手段の順位付け結果を示す順位付けデータを出力する順位付けデータ出力手段とを具備してもよい。
【0006】
本発明の更に好ましい態様において、前記講義グループデータ記憶手段は、1又は複数の講義の組み合わせで構成された講義グループを示すとともに該講義グループに含まれる各講義の属性を示す講義グループデータを、前記科目識別データ毎に複数記憶し、前記順位付け手段は、前記選定手段により選定された講義グループデータを前記属性毎に統計し、統計結果に応じて該選定された講義グループデータを順位付けしてもよい。
【0007】
また、本発明は、1又は複数の講義要素で構成される講義について、各講義に含まれる講義要素を示す講義要素データの集合を、前記講義を識別する講義識別データに対応付けて記憶する講義データ記憶手段と、受講者が受講済みである講義に含まれる講義要素のそれぞれについて、受講者の理解レベルを示す理解レベルデータを、前記講義要素を識別する講義要素識別データ毎に記憶する理解レベルデータ記憶手段と、前記理解レベルデータ記憶手段に記憶された理解レベルデータが予め定められた閾値未満であるか否かを前記講義要素識別データ毎に判定する判定手段と、前記講義データ記憶手段を参照して、前記判定手段による判定結果が肯定的である講義要素を含む講義を特定する特定手段と、前記特定手段により特定された講義を示すデータを出力する出力手段とを具備することを特徴とする履修支援装置を提供する。
【0008】
本発明の好ましい態様において、1又は複数の前記講義の組み合わせで構成された講義グループを示す講義グループデータを、科目を示す科目識別データ毎に複数記憶する講義グループデータ記憶手段と、前記科目を識別する科目識別データを取得する取得手段と、前記講義グループデータ記憶手段に記憶された講義グループデータのなかから、前記取得手段により取得された科目識別データに対応する講義グループデータであって前記判定手段による判定結果が肯定的である講義要素を含む講義グループを示す講義グループデータを選定する選定手段と、前記選定手段により選定された講義グループデータを出力する講義グループデータ出力手段とを具備してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、講義等を実施する場合において、受講者が受講すべき講義であって、かつ、受講済みの講義の復習を行うことができるような講義を、受講者に対して報知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<A:第1実施形態>
<A−1:構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るネットワーク講義システムの構成を示す図である。図において、サーバ装置1は、端末2に対して講義を示す講義データを配信するとともに、受講すべき講義を受講者に報知する装置である。端末2は、サーバ装置1と相互に通信可能な装置であり、例えばパーソナルコンピュータである。なお、端末2としては、パーソナルコンピュータに限定することなく、後述する動作を実行可能な種々の通信装置を採用し得る。端末2は、本システムにおいて講義を受講するユーザが使用する通信装置である。端末2を使用するユーザのことを、以下では「受講者」という。受講者は、本システムにおいては複数であり、各々の端末2を用いて講義を受講する。ネットワーク3は、サーバ装置1及び端末2を通信可能にするネットワークであり、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)である。なお、ネットワーク3は、サーバ装置1及び端末2を通信可能にするものであれば、その具体的な形態を問わず、例えば、いわゆるPeer to Peer型のネットワークであってもよい。また、ネットワーク3は、有線であっても無線であってもよく、これらを組み合わせたものであってもよい。
【0011】
ここで、本実施形態であるネットワーク講義システムの利用形態について説明する。受講者は、端末2を用いてサーバ装置1にアクセスし、サーバ装置1からの講義データの配信を受けることによって講義を聴取する。このシステムでは、各科目のそれぞれに予め設定された講義を受講することによって、その科目の単位を取得することが可能となっている。図2は、講義の内容の一例を示す図であり、図3は科目と講義との対応関係の一例を示す図である。図2に例示するように、このシステムにおいては各種の講義が設けられており、受講者は、これらの複数の講義のなかから、自身が所望する講義を選択して受講することができる。また、図3に例示するように、各科目のそれぞれについて、単位を取得するために受講が必要な講義の組み合わせ(以下「講義グループ」という)が1又は複数設定されている。受講者は、設定された講義グループのいずれかを選択し、選択した講義グループに含まれる講義をすべて受講することで単位を取得することができる。
【0012】
次に、サーバ装置1の構成について説明する。図4は、サーバ装置1の構成を示すブロック図である。図において、制御部11は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置やメモリを備え、予め記憶されたプログラムを実行することによってサーバ装置1の動作を制御する。通信部12は、ネットワーク3を介したデータの送受信を可能にするインタフェースであり、制御部11により供給されたデータをネットワーク3を介して送信するとともに、ネットワーク3を介して受信したデータを制御部11に供給する。情報入力部13は、各種のデータを入力するためのインタフェースである。本実施形態の情報入力部13は、音声を入力するためのマイクロホンと、文字等を入力するためのキーボードやマウスとを備える。情報出力部14は、データを出力するためのインタフェースである。本実施形態の情報出力部14は、放音するスピーカと、文字等を含む画像を表示する表示装置とを備える。なお、情報出力部14が表示する画像は、静止画であってもよいし、動画であってもよい。記憶部15は、制御部11が参照するデータを記憶する記憶手段であり、例えばハードディスクである。なお、記憶部15は、光ディスク(DVD等)のように、サーバ装置1と別体に構成されたものであってもよく、また、ネットワーク接続されたリモートストレージ装置であってもよい。
【0013】
記憶部15には、図示のように、講義データベースDB1と、科目データベースDB2と、受講者データベースDB3と、関連講義データベースDB4とが記憶されている。講義データベースDB1には、受講者が視聴する講義を記録した講義データが記憶されている。本実施形態の講義データは、予め録画及び録音されたデータである。
【0014】
科目データベースDB2には、各科目のそれぞれについて、1又は複数の講義を組み合わせて構成された講義グループを示す講義グループデータが複数記憶されている。図5は、科目データベースDB2の内容の一例を示す図である。図示のように、このデータベースは、「科目ID」と「講義グループ」との各項目が互いに関連付けて構成されている。これらの項目のうち、「科目ID」の項目には、科目を識別する科目ID(科目識別データ)が格納される。「講義グループ」の項目には、1又は複数の講義の組み合わせで構成された講義グループを示す講義グループデータが記憶されている。例えば、図5に示す例においては、科目IDが「科目01」の科目は、「講義グループ01」,「講義グループ02」,…の複数の講義グループが設定されている。本実施形態では、受講者は、これらの講義グループの中のいずれかの組み合わせで講義を受講することで、その科目の単位を取得することができる。
【0015】
受講者データベースDB3には、受講者毎の受講履歴や単位取得予定の科目を示すデータが記憶されている。図6は、受講者データベースDB3の内容の一例を示す図である。図示のように、このデータベースは、「受講者ID」と「受講履歴」と「履修予定科目」との各項目が互いに関連付けて構成されている。これらの項目のうち、「受講者ID」の項目には、受講者を識別する受講者ID(受講者識別データ)が格納される。「受講履歴」の項目には、その受講者が受講済みの講義を示す講義識別データが格納される。サーバ装置1の制御部11は、講義を配信する毎に、配信先の受講者を示す受講者IDに対応する受講履歴の項目に、配信した講義を示す講義識別データを登録する。これにより、受講者データベースDB3には、受講者毎の受講履歴が蓄積されていく。以下の説明では、「受講履歴」の項目に記憶される講義識別データの群を、「受講履歴データ」と称して説明する。「履修予定科目」の項目には、受講者が単位の取得を予定している科目の科目ID(科目識別データ)が格納される。受講者は、自身が単位の取得を希望する科目の科目IDを、端末2を用いてこの受講者データベースDB3に登録することができる。
【0016】
ここで、受講者データベースDB3に登録される講義識別データの内容の一例について図面を参照しつつ説明する。図7は、講義識別データの内容の一例を示す図である。同図に示す例においては、講義識別データは、講義を識別する講義IDに、講義の属性を示すタグが1又は複数付与されて構成されている。図7に示す例においては、講義識別データは、講師を識別する「講師タグ」、指導方法(講義、討論、等)を識別する「指導方法タグ」、講義の時間長を示す「時間タグ」、講義の料金を示す「料金タグ」、及びその講義に対する受講者の理解レベルを示す「理解レベルタグ」が、講義を識別する講義IDに付与されて構成されている。なお、この実施形態では、上述の「講師タグ」、「指導方法タグ」、「時間タグ」、「料金タグ」、「理解レベルタグ」の5種類のタグを用いるが、タグの種類はこれに限らず、例えば、講義の難易度レベルを示す「難易度レベルタグ」や、どの言語による講義かを示す「言語タグ」等、講義の属性を示すものであればよく、種々のものを用いることができる。
【0017】
関連講義データベースDB4には、複数の講義の対応関係を示すデータが格納される。図8は、関連講義データベースDB4の内容の一例を示す図である。図示のように、このデータベースは、「講義ID」と「関連講義」との各項目が互いに関連付けて構成される。これらの項目のうち、「講義ID」の項目には、講義を識別する講義IDが記憶される。「関連講義」の項目には、その講義IDの示す講義に関連する(対応する)講義(以下「関連講義」という)を示す講義IDが1又は複数記憶される。「講義ID」の項目に記憶される講義IDの示す講義と、「関連講義」の項目に記憶される講義IDの講義とは、互いに関連する(例えば、同じ内容の項目を含む、等)ものであり、その関連講義を受講することで、受講者は、以前に受講した講義の復習等を行うことができる。
【0018】
次に、端末2の構成について図面を参照しつつ説明する。図9は、端末2の構成を示すブロック図である。図において、制御部21,通信部22,情報入力部23及び情報出力部24の機能はそれぞれ、サーバ装置1の制御部11,通信部12,情報入力部13及び情報出力部14の機能とほぼ同様であり、説明を省略する。要するに、端末2は、記憶部25を除き、サーバ装置1と同様の構成である。記憶部25は制御部21が参照するデータを記憶する記憶手段であり、例えばハードディスクである。
【0019】
<A−2:動作>
次に、本実施形態の動作について説明する。
<A−2−1:講義動作>
まず、本システムの講義動作について説明する。まず、受講者は、自身の端末を操作して、自身に割り当てられた受講者IDと、受講したい講義の講義IDとを含む配信要求データを、ネットワーク3を介してサーバ装置1に送信する。サーバ装置1は、端末2から配信要求データを受信すると、受信した配信要求データの示す講義を表す講義データを、その端末2に対して配信する。端末2は、サーバ装置1から配信されてくる講義データを情報出力部24に出力する。すなわち、端末2は、講義データの表す音声をスピーカから放音するとともに、講義データの表す画像を表示装置に表示する。受講者は、端末2から放音される音声や画像を聴取することで、講義を受講する。
【0020】
講義データの配信を終えると、サーバ装置1は、配信した講義を示す講義識別データを、受講履歴として、受講者データベースDB3に登録する。このように、サーバ装置1は、講義が受講される毎に、受講された講義を示す講義識別データを、配信要求を受けた受講者IDに対応付けて、受講者データベースDB3に登録する。これにより、受講者データベースDB3には、受講者毎に受講履歴が蓄積される。
【0021】
<A−2−2:講義報知動作>
次に、サーバ装置1が行う講義報知動作について図面を参照しつつ説明する。図10は、サーバ装置1が行う報知処理の流れを示すフローチャートである。サーバ装置1は、予め定められた条件を満たしたタイミング(例えば、1ヶ月毎、1週間毎、等)で、この報知処理を実行する。なお、報知処理を実行するタイミングは、例えば、受講者からの問い合わせ、すなわち端末2から問い合わせを示す照合要求データをサーバ装置1が受信したタイミングで行うようにしてもよい。
【0022】
まず、サーバ装置1の制御部11は、受講者データベースDB3を参照して、受講者IDを取得するとともに、その受講者IDを割り当てられている受講者が単位取得を所望している科目を示す科目IDを取得する(ステップS1)。なお、この動作例では、制御部11が、受講者データベースDB3から受講者IDと科目IDとを取得するようにしたが、受講者IDと科目IDとの取得の態様はこれに限らず、例えば、サーバ装置1が、端末2から、受講者IDと科目IDとを含む照合要求データを受信することによって、受講者IDと科目IDとを取得するようにしてもよい。
【0023】
受講者IDと科目IDとを取得すると、制御部11は、取得した受講者IDに対応する受講履歴データを受講者データベースDB3から読み出し(ステップS2)、読み出した受講履歴データに含まれる講義識別データの「理解レベルタグ」を参照し、理解レベルが予め定められた閾値未満であるか否かを講義識別データ毎に判定する(ステップS3)。理解レベルが閾値以上である場合には(ステップS3;NO)、制御部11は、ステップS4に示す処理を行わず、ステップS5の処理に進む。
【0024】
一方、理解レベルが閾値未満である場合には(ステップS3;YES)、制御部11は、その講義に関連する(対応する)講義の講義IDを、関連講義データベースDB4から読み出し、読み出した講義IDを、所定のバッファ領域に記憶する(ステップS4)。次いで、制御部11は、ステップS2で読み出した受講履歴データに他の講義識別データが含まれているか否かを判定し(ステップS5)、判定結果が肯定的である場合には(ステップS5;YES)、ステップS3の処理に戻り、講義識別データ毎の理解レベル判定処理を行う。
【0025】
制御部11がステップS3からステップS5の処理を繰り返し実行することによって、記憶部15の所定のバッファ領域には、その受講者が受講済みの講義であって、理解レベルが閾値未満である講義に関連する講義を示す講義IDが蓄積される。
【0026】
ステップS2で読み出した受講履歴データに含まれる講義識別データのすべてについて理解レベル判定処理を終えると(ステップS5;NO)、制御部11は、科目データベースDB2を参照して、取得された科目IDに対応する複数の講義グループと、記憶部15の所定のバッファ領域に記憶された講義IDとを照合し、照合結果に応じて、複数の講義グループのなかから、両者の一致度が予め定められた条件を満たす講義グループを選定する(ステップS6)。この予め定められた条件としては、例えば、制御部11が、バッファ領域に記憶された講義IDを少なくとも1つは含む講義グループを全て選定するようにしてもよく、また、例えば、バッファ領域に記憶された講義IDと一致するものを予め定められた閾値以上含む講義グループを選定するようにしてもよく、要は、制御部11が、照合結果が予め定められた条件を満たす講義グループを選定するようにすればよい。
【0027】
制御部11は、選定した講義グループを示す講義グループデータを、端末2に送信することによって受講者に報知する(ステップS7)。端末2は、サーバ装置1から送信されてくる講義グループデータを、情報出力部24の表示装置に表示することによって受講者に報知する。
【0028】
図11は、端末2の表示装置に表示される画面の一例を示す図である。図示のように、表示装置には、複数の講義グループが表示される。表示される講義グループは、受講者が受講済みの講義のうちの理解レベルが低い講義に関連する講義を含むものであるから、これにより、復習に有効な講義を受講者に示すことができ、受講者に対して復習を促すことができる。
【0029】
<B:第2実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態が上述した第1の実施形態と異なる点は、サーバ装置の構成が異なる点と、サーバ装置が行う講義報知動作が異なる点であり、他の構成や動作については上述した第1の実施形態と同様である。そのため、以下の説明においては、上述した第1の実施形態と同様の構成や動作については、同一の符号を付して適宜その説明を省略する。
【0030】
図12は、本発明の第2の実施形態に係るサーバ装置1Aの構成を示すブロック図である。図12に示すサーバ装置1Aが上述の第1実施形態において図4に示したサーバ装置1と異なる点は、記憶部15Aに構成要素データベースDB5が記憶されている点と、受講者データベースDB3の内容が異なる点である。
【0031】
記憶部15Aの講義要素データベースDB5には、1又は複数の講義要素で構成される講義について、各講義に含まれる講義要素を示す講義要素IDの集合が、講義を識別する講義IDに対応付けて記憶されている。各講義は、1又は複数の講義要素で構成され、受講者は、各科目のそれぞれに予め設定された講義要素を含む講義を受講することによって、その科目の単位を取得することができる。図13は、講義要素データベースDB5の内容の一例を示す図である。図示のように、このデータベースは、「講義ID」と「講義要素ID」との各項目が互いに関連付けて構成される。これらの項目のうち、「講義ID」の項目には、講義を識別する講義IDが記憶される。「講義要素」の項目には、その講義に含まれる講義要素を示す講義要素IDの集合が記憶される。図13に例示するように、各講義は、複数の講義要素が組み合わされて構成されている。図13に示す例においては、「講義ID」が「a1」の講義には、「1−1」,「1−2」,「1−3」,「1−4」,「1−5」,「1−8」の複数の講義要素が含まれていることが示されている。また、「講義ID」が「a2」の講義には、「1−5」,「1−8」,「1−9」の講義要素が含まれることが示されている。図13示す例においては、「1−5」の講義要素は、講義a1と講義a2との両方に含まれる。このように、1つの講義要素が複数の講義に含まれる場合がある。
【0032】
次に、受講者データベースDB3には、受講者毎の受講履歴や単位取得予定の科目を示すデータが記憶されている。図14は、受講者データベースDB3の内容の一例を示す図である。図示のように、このデータベースは、「受講者ID」と「受講履歴」と「履修予定科目」と「受講済講義要素」との各項目が互いに関連付けて構成されている。これらの項目のうち、「受講者ID」、「受講履歴」及び「履修予定科目」の各項目は上述の第1実施形態で示したそれと同様であり、ここではその説明を省略する。「受講済講義要素」の項目には、その受講者が受講済みである講義に含まれる講義要素(以下「受講済講義要素」という)を示す講義要素識別データが格納される。サーバ装置1Aの制御部11は、講義を配信する毎に、配信先の受講者を示す受講者IDに対応する「受講済講義要素」の項目に、配信した講義に含まれる講義要素を示す講義要素識別データを登録する。これにより、受講者データベースDB3には、受講者毎の講義要素の受講履歴が蓄積されていく。
【0033】
次に、受講者データベースDB3に登録される講義要素識別データの内容の一例について図面を参照しつつ説明する。図15は、講義要素識別データの内容の一例を示す図である。同図に示す例においては、講義要素識別データは、講義要素を識別する講義要素IDに、その講義要素に対する受講者の理解度(理解レベル)を示す「理解レベルタグ」が、講義要素を識別する講義要素IDに付与されて構成されている。このように、本実施形態では、サーバ装置1Aは、受講者の理解レベルを講義要素毎に管理するようになっている。
【0034】
次に、本実施形態の講義報知動作について図面を参照しつつ説明する。図16は、サーバ装置1Aが行う講義報知処理の流れを示すフローチャートである。なお、図16に示すフローチャートでは、上述の第1実施形態において図10に示したフローチャートと同様の処理については同じ符号を付与して適宜その説明を省略する。
【0035】
図16において、ステップS1において受講者IDと科目IDを取得すると、制御部11は、取得した受講者IDに対応付けて「受講済講義要素」の項目に記憶された講義要素識別データを受講者データベースDB3から読み出し(ステップS12)、読み出した講義要素識別データの「理解レベルタグ」を参照し、理解レベルが予め定められた閾値未満であるか否かを講義要素識別データ毎に判定する(ステップS13)。理解レベルが閾値以上である場合には(ステップS13;NO)、制御部11は、ステップS14に示す処理を行わず、ステップS15の処理に進む。
【0036】
一方、理解レベルが閾値未満である場合には(ステップS13;YES)、制御部11は、その講義要素を示す講義要素IDを所定のバッファ領域に記憶する(ステップS14)。次いで、制御部11は、ステップS12で読み出した講義要素識別データが他にもあるか否かを判定し(ステップS15)、判定結果が肯定的である場合には(ステップS15;YES)、ステップS13の処理に戻り、講義要素識別データ毎の理解レベル判定処理を行う。制御部11がステップS13からステップS15の処理を繰り返し実行することによって、記憶部15の所定のバッファ領域には、その受講者の理解レベルが閾値未満である講義要素を示す講義要素IDが蓄積される。
【0037】
ステップS12で読み出した講義要素識別データの全てについて理解レベル判定処理を終えると(ステップS15;NO)、制御部11は、ステップS6の処理に進み、科目データベースDB2及び講義要素データベースDB5を参照して、取得された科目IDに対応する複数の講義グループのなかから、記憶部15の所定のバッファ領域に記憶された講義要素IDの示す講義要素を含む講義グループを選定する(ステップS6)。このとき、制御部11は、所定のバッファ領域に記憶された講義要素IDの示す講義要素を全て含む最低限の講義グループを選定するようにしてもよい。また、例えば、制御部11が、所定のバッファ領域に記憶された講義要素IDの示す講義要素のうちの少なくとも過半数を含む講義グループを選定するようにしてもよく、また、例えば、所定のバッファ領域に記憶された講義要素IDの示す講義要素を少なくともひとつ含む講義グループを選定するようにしてもよい。
【0038】
このように、本実施形態では、受講者が受講すべき講義(所望する科目の単位を取得するために受講する必要がある講義)であって、受講済みの講義要素のうちの理解レベルが低い講義要素を含む講義を受講者に報知することにより、復習に有益な講義を受講者に示すことができる。すなわち、本実施形態によれば、理解レベルが低い講義要素をなるべく効率的に学習させることができる。
【0039】
なお、図16において、制御部11が、ステップS6に示す講義グループの選定処理を行わずに、理解レベルが閾値未満である講義要素を含む講義(すなわち、ステップS15を終えた段階で所定のバッファ領域に記憶された講義要素IDを含む講義)を特定し、特定した講義を示すデータを端末2に送信することによって、復習に有益な講義を受講者に報知するようにしてもよい。このようにすることで、理解不足の講義要素を含む講義を報知することによって、復習に有益な講義を受講者に示すことができる。また、この場合に、制御部11が、理解レベルが閾値未満である講義要素を含む講義のうち、その受講者が未受講である講義を抽出し、抽出した講義を受講者に報知するようにしてもよい。
【0040】
<C:変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。以下にその例を示す。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
(1)上述の実施形態において、制御部11が、選定した講義グループを解析し、解析結果に応じて選定された講義グループを順位付け(ソート)し、ソートした結果を示すソートデータを、端末2に送信する等によって受講者にソート結果を報知するようにしてもよい。具体的には、例えば、制御部11が、選定した講義グループに含まれる講義識別データを属性(タグ)毎に統計し、統計結果に応じて選定された講義グループを順位付けするようにしてもよい。この場合は、例えば、「時間タグ」を用いてソートする場合には、受講に要する時間長の昇順(又は降順)に講義グループが並び替えられることにより、受講者は、受講効率を容易に比較することができる。
【0041】
(2)上述の実施形態では、講義毎の理解レベルを示す「理解レベルタグ」が付与された講義識別データを受講者データベースDB3に予め記憶させておくようにしたが、制御部11が、講義毎の理解レベルを示す理解レベルデータを、情報入力部13等を介して取得するようにしてもよい。この場合、理解レベルデータの取得の態様としては、例えば、サーバ装置1の管理者が情報入力部13を用いて手入力し、制御部11が入力される理解レベルデータを取得するようにしてもよく、また、例えば、ネットワークを用いて試験を行い、サーバ装置1が端末2から理解レベルデータを受信するようにしてもよく、要は、サーバ装置1の制御部11が理解レベルデータを取得するものであればどのようなものであってもよい。
【0042】
(3)上述の実施形態では、講義を表示装置に表示させることによって受講者に報知したが、報知の態様はこれに限らず、例えば、音声メッセージを出力することによって報知してもよく、また、生成された講義を示すデータを電子メール形式で受講者のメール端末に送信するといった形態であってもよい。また、講義を示す情報を記憶媒体に出力して記憶させるようにしてもよく、この場合、受講者はコンピュータを用いてこの記録媒体から情報を読み出させることで、それらを参照することができる。また、講義を所定の用紙に印刷出力してもよい。要は受講者に対して何らかの手段でメッセージ乃至情報を伝えられるように、講義を示す情報を出力するものであればよい。
【0043】
(4)上述の実施形態において、通信ネットワークで接続された2以上の装置が上記実施形態のサーバ装置1に係る機能を分担するようにし、それら複数の装置を備えるシステムが同実施形態のサーバ装置1を実現するようにしてもよい。例えば、講義データを配信する講義配信装置と、科目データベースDB2や受講者データベースDB3を備え、それらデータベースを参照して受講者が受講すべき講義を報知する履修支援装置とが別体として構成されていてもよい。この場合は、例えば、講義配信装置が講義データを端末2に対して配信し、履修支援装置が科目データベースDB2と受講者データベースDB3とを参照して、受講者が受講すべき講義を特定し、特定した講義を示す講義識別データを端末2に送信するようにすればよい。
【0044】
(5)上述した実施形態におけるサーバ装置1又はサーバ装置1Aの制御部11によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記録した状態で提供し得る。また、インターネットのようなネットワーク経由でサーバ装置1又はサーバ装置1Aにダウンロードさせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態であるネットワーク講義システムの構成を示す図である。
【図2】講義の内容の一例を示す図である。
【図3】科目毎の講義パターンの内容の一例を示す図である。
【図4】サーバ装置の構成を示すブロック図である。
【図5】科目データベースの内容の一例を示す図である。
【図6】受講者データベースの内容の一例を示す図である。
【図7】講義識別データの内容の一例を示す図である。
【図8】関連講義データベースの内容の一例を示す図である。
【図9】端末の構成を示すブロック図である。
【図10】サーバ装置が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
【図12】サーバ装置の構成を示すブロック図である。
【図13】講義要素データベースの内容の一例を示す図である。
【図14】受講者データベースの内容の一例を示す図である。
【図15】講義要素識別データの内容の一例を示す図である。
【図16】サーバ装置が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
1,1A…サーバ装置、2…端末、3…ネットワーク、11,21…制御部、12,22…通信部、13,23…情報入力部、14,24…情報出力部、15,15A,25…記憶部、DB1…講義データベース、DB2…科目データベース、DB3…受講者データベース、DB4…関連講義データベース、DB5…講義要素データベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の講義の組み合わせで構成された講義グループを示す講義グループデータを、科目を示す科目識別データ毎に複数記憶する講義グループデータ記憶手段と、
複数の講義の対応関係を記憶する対応関係記憶手段と、
受講者が受講済みである講義の理解レベルを示す理解レベルデータを、前記講義を示す講義識別データ毎に記憶する理解レベルデータ記憶手段と、
前記科目を識別する科目識別データを取得する取得手段と、
前記理解レベルデータ記憶手段に記憶された理解レベルデータが予め定められた閾値未満であるか否かを前記講義識別データ毎に判定する判定手段と、
前記対応関係記憶手段に記憶された対応関係を参照して、前記判定手段による判定結果が肯定的である講義に対応する講義を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された講義を含む講義グループを示す講義グループデータを、前記講義グループデータ記憶手段に記憶された講義グループデータのなかから選定する選定手段と、
前記選定手段により選定された講義グループデータを出力する出力手段と
を具備することを特徴とする履修支援装置。
【請求項2】
前記選定手段により選定された講義グループデータを解析し、解析結果に応じて該選定された講義グループデータを順位付けする順位付け手段と、
前記順位付け手段の順位付け結果を示す順位付けデータを出力する順位付けデータ出力手段と
を具備することを特徴とする請求項1に記載の履修支援装置。
【請求項3】
前記講義グループデータ記憶手段は、1又は複数の講義の組み合わせで構成された講義グループを示すとともに該講義グループに含まれる各講義の属性を示す講義グループデータを、前記科目識別データ毎に複数記憶し、
前記順位付け手段は、前記選定手段により選定された講義グループデータを前記属性毎に統計し、統計結果に応じて該選定された講義グループデータを順位付けする
ことを特徴とする請求項2に記載の履修支援装置。
【請求項4】
1又は複数の講義要素で構成される講義について、各講義に含まれる講義要素を示す講義要素データの集合を、前記講義を識別する講義識別データに対応付けて記憶する講義データ記憶手段と、
受講者が受講済みである講義に含まれる講義要素のそれぞれについて、受講者の理解レベルを示す理解レベルデータを、前記講義要素を識別する講義要素識別データ毎に記憶する理解レベルデータ記憶手段と、
前記理解レベルデータ記憶手段に記憶された理解レベルデータが予め定められた閾値未満であるか否かを前記講義要素識別データ毎に判定する判定手段と、
前記講義データ記憶手段を参照して、前記判定手段による判定結果が肯定的である講義要素を含む講義を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された講義を示すデータを出力する出力手段と
を具備することを特徴とする履修支援装置。
【請求項5】
1又は複数の前記講義の組み合わせで構成された講義グループを示す講義グループデータを、科目を示す科目識別データ毎に複数記憶する講義グループデータ記憶手段と、
前記科目を識別する科目識別データを取得する取得手段と、
前記講義グループデータ記憶手段に記憶された講義グループデータのなかから、前記取得手段により取得された科目識別データに対応する講義グループデータであって前記判定手段による判定結果が肯定的である講義要素を含む講義グループを示す講義グループデータを選定する選定手段と、
前記選定手段により選定された講義グループデータを出力する講義グループデータ出力手段と
を具備することを特徴とする請求項4に記載の履修支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−265115(P2009−265115A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110575(P2008−110575)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】