説明

履歴情報記録装置、およびこれを備えた映像表示機器

【課題】映像表示機器の履歴情報をその映像表示機器が備える画面に表示させることなく、履歴情報を確認することが可能となる履歴情報記録装置等を提供する。
【解決手段】テレビ受像機などの映像表示機器に対応して設けられ、該映像表示機器において現在までに実行された動作に応じた情報を履歴情報として記録する、履歴情報記録装置であって、外部記憶媒体が接続される接続端子を備えており、所定の指示に応じて、前記接続端子に接続されている外部記憶媒体に、前記履歴情報を伝送して記録させる履歴情報記録装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示機器の動作履歴などを記録する履歴情報記録装置、およびこれを備えた映像表示機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ受像機(テレビジョン受像機)などの映像表示機器は、機能面や性能面などにおける多様化が進んでいる。このような状況の中、映像表示機器を購入しようとする者は、自分の使用スタイル等に適合した製品を選ぶことになる。
【0003】
一方、一旦は購入された映像表示機器であっても、その製品について何らかの不満点があったという理由などにより、ユーザから返品される場合もある。このような場合、映像表示機器の製造者側としては、新製品の機能改善や品質向上などに役立てるため、ユーザがどのような点に不満を感じたか等を究明する必要がある。
【0004】
しかしながら、不満と感じた理由や返品の理由等が、ユーザから明確に示されないケースもある。そこで従来、電源オンとされた回数や通電累積時間などの動作履歴の情報(履歴情報)が、内蔵されたフラッシュメモリ等に記録されるようにした映像表示機器も存在する。
【0005】
このような映像表示機器によれば、ユーザから返品された場合、例えば特殊なキー操作を行うことにより、フラッシュメモリに記録されている履歴情報を、その映像表示機器の画面に表示させることが可能である。その結果、検査員等が、ユーザによって当該映像表示機器がどのように使用されたかといった情報を確認することが可能となり、ユーザにおける不満点などを推察或いは検討することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2004−537186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した履歴情報を表示する映像表示機器によれば、通常は履歴情報を表示させることが可能であるが、正常な画面表示ができなくなっている場合(例えば、パネルが損傷している場合等)には、履歴情報が正しく表示されないことになる。なおパネルを交換すれば表示可能な場合であっても、このような交換を実際に行うことは、新たなパネルを準備する工程や、パネルを交換する工程などが別途必要となるため、好ましいとは言えない。そのため、映像表示機器の履歴情報をその映像表示機器の画面に表示させることなく、当該履歴情報の確認が可能となっていることが望ましい。
【0008】
本発明は上述した問題点に鑑みて、映像表示機器の履歴情報をその映像表示機器が備える画面に表示させることなく、当該履歴情報の確認が可能となる履歴情報記録装置、および当該履歴情報記録装置を備えた映像表示機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る履歴情報記録装置は、テレビ受像機などの映像表示機器に対応して設けられ、該映像表示機器において現在までに実行された動作に応じた情報を履歴情報として記録する、履歴情報記録装置であって、外部記憶媒体が接続される接続端子を備えており、所定の指示に応じて、前記接続端子に接続されている外部記憶媒体に、前記履歴情報を伝送して記録させる構成とする。
【0010】
本構成によれば、履歴情報を外部記憶媒体に記録させた上で、この外部記憶媒体を別の表示装置などに接続し、この表示装置に履歴情報を表示させること等が可能となる。そのため、映像表示機器の履歴情報をその映像表示機器が備える画面に表示させることなく、履歴情報の確認が可能となる。
【0011】
また上記構成としてより具体的には、前記接続端子は、USB端子として形成されており、前記接続端子に接続されているUSBメモリに、前記履歴情報を伝送して記録させる構成としてもよい。
【0012】
また本発明に係る映像表示機器は、映像信号が入力される入力端子を複数種有しており、これらの入力端子のうち、ユーザの指示に応じて有効に設定された入力端子を用いて取得した映像情報を表示する、映像表示機器であって、該映像表示機器に対応して設けられた上記構成の履歴情報記録装置をも備え、該履歴情報記録装置は、前記入力端子の種類ごとに、その入力端子を用いて取得された映像情報の累積表示時間を、前記履歴情報として記録する構成とする。
【0013】
本構成によれば、履歴情報に基づいて、どの種類の入力端子が頻繁に用いられたかを確認することが可能となる。そのため、映像表示機器を使用していたユーザにおける不満点や返品理由等を推察或いは検討するにあたり、履歴情報を大いに役立てることが可能となる。
【0014】
また上記構成において、前記履歴情報記録装置は、前記映像情報の取得に最後に用いられた入力端子の種類をも、前記履歴情報として記録する構成としてもよい。
【0015】
本構成によれば、履歴情報に基づいて、どの種類の入力端子が最後に用いられたかを確認することが可能となる。そのため、映像表示機器を使用していたユーザにおける不満点や返品理由等を推察或いは検討するにあたり、履歴情報を大いに役立てることが可能となる。
【0016】
また上記構成において、操作を受付ける操作部を備えており、前記履歴情報記録装置は、前記操作部において特定の操作がなされたときに、前記接続端子に接続されている外部記憶媒体に、前記履歴情報を伝送して記録させる構成としてもよい。
【0017】
本構成によれば、当該特定の操作を、一般のユーザによって容易に実行されない操作(例えば、一般のユーザが入手できないような、特殊なリモコン送信機を用いた所定の操作)とすることにより、外部記憶媒体への履歴情報の記録が誤って実行されることを、極力防ぐことが可能となる。
【0018】
また本発明に係る映像表示機器は、映像信号が入力される入力端子を複数種有しており、これらの入力端子のうち、ユーザの指示に応じて有効に設定された入力端子を用いて取得した映像情報を表示する、映像表示機器であって、該映像表示機器が現在までに実行した動作に応じた情報を、履歴情報として記録する履歴情報記録部と、USB規格に準拠したUSB接続端子と、操作を受付ける操作部と、を備えており、前記履歴情報記録部は、前記入力端子の種類ごとに、その入力端子を用いて取得された映像情報の累積表示時間を、前記履歴情報として記録するとともに、前記映像情報の取得に最後に用いられた入力端子の種類をも、前記履歴情報として記録し、前記操作部において特定の操作がなされたときに、前記USB接続端子に接続されているUSBメモリに、前記履歴情報を伝送して記録させる構成とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る履歴情報記録装置によれば、履歴情報を外部記憶媒体に記録させた上で、この外部記憶媒体を別の表示装置などに接続し、この表示装置に履歴情報を表示させること等が可能となる。そのため、映像表示機器の履歴情報をその映像表示機器が備える画面に表示させることなく、履歴情報の確認が可能となる。その結果、当該映像表示機器において正常な画面表示ができなくなった場合であっても、履歴情報を容易に確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るテレビ受像機の構成図である。
【図2】履歴情報の内容に関する説明図である。
【図3】当該テレビ受像機において実行される主な動作のフローチャートである。
【図4】履歴情報の表示に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について、映像表示機器の一種であるテレビ受像機を例に挙げて、以下に説明する。
【0022】
図1は、当該テレビ受像機の構成図である。本図に示すように、テレビ受像機1は、入力端子群11、伝送路切替部12、映像音声処理部13、ディスプレイ14、スピーカ15、ユーザ用リモコン送信機16、検査用リモコン送信機17、リモコン受信部18、演算制御部19、フラッシュメモリ20、およびUSB接続端子21などを備えている。
【0023】
入力端子群11は、外部から映像信号や音声信号の入力を受付けるための、各種の入力端子から成っている。より具体的には、入力端子群11には、アナログRF信号(アナログ放送の信号)が入力されるアナログRF入力端子、デジタルRF信号(デジタル放送の信号)が入力されるデジタルRF入力端子、所定形式(例えばコンポーネント形式)のビデオ信号が入力される3個のビデオ入力端子、HDMI規格に従った映像および音声信号が入力される3個のHDMI端子、およびPC信号が入力されるPC入力端子が含まれている。
【0024】
伝送路切替部12は、前段側が入力端子群11における各種の入力端子に、後段側が映像音声処理部13に接続されている。そして伝送路切替部12は、演算制御部19の指示に応じて、入力端子群11における入力端子の何れか一つを、映像音声処理部13に、切替可能に接続する。なお後述する通り、伝送路切替部12によれば、ユーザの指示に応じて、映像音声処理部13に接続される入力端子(つまり、有効な入力端子)が切替えられ、別の入力端子を有効な入力端子に設定させることが可能となっている。
【0025】
映像音声処理部13は、入力端子側から伝送されてきた信号に、選局処理や復調処理などの必要な処理を施し、得られた映像の信号をディスプレイ14に出力するとともに、得られた音声の信号をスピーカ15に出力する。これにより、有効な入力端子に入力された信号に応じた、映像の表示や音声の出力が実現される。このようにテレビ受像機1は、映像信号が入力される入力端子を複数種有しており、これらの入力端子のうち、ユーザの指示に応じて有効に設定された入力端子を用いて取得した映像情報を、表示するようになっている。
【0026】
ユーザ用リモコン送信機16は、テレビ受像機1のユーザ(視聴者)による使用が想定されたものであり、操作に応じたリモコン信号を生成して無線送信する。ユーザはユーザ用リモコン送信機16を操作することにより、テレビ受像機1に対して各種指示(電源のオン/オフ切替、受信する放送チャンネルの切替、および有効な入力端子の切替の各指示など)を与えることが可能となっている。
【0027】
検査用リモコン送信機17は、テレビ受像機1の検査工程(製品出荷前の検査工程や、返品や回収された後の検査工程など)において、検査員等による使用が想定されたものであり、操作に応じたリモコン信号を生成して無線送信する。検査用リモコン送信機17には、ユーザ用リモコン送信機16には設けられていない特殊なキー(後述する「USB記録オンキー」など)が設けられている。
【0028】
検査用リモコン送信機17を用いることにより、検査員等は、検査工程に関わる各種指示をテレビ受像機1に与えることが可能である。なお、テレビ受像機1本体が製品として販売されるにあたっては、ユーザ用リモコン送信機16は製品に付属される(一般のユーザが入手可能である)が、検査用リモコン送信機17は製品に付属されない(一般のユーザは入手不可である)ことが想定されている。
【0029】
リモコン受信部18は、ユーザ用リモコン送信機16、もしくは検査用リモコン送信機17から送信されたリモコン信号を受取り、当該リモコン信号に含まれる情報を演算制御部19に伝送する。
【0030】
演算制御部19は、例えばCPUによって形成されており、テレビ受像機1の機能を発揮するために必要な各種処理を実行する。なお、テレビ受像機1において実行される主な処理の内容については、改めて説明する。
【0031】
フラッシュメモリ20は、書換え可能な不揮発性のメモリであり、CPUを動作させるためのプログラムや履歴情報などを記録する。なお履歴情報は、図2に示すように、テレビ受像機1のシリアル番号や型番など(モデル番号)を表す「モデル番号情報」、電源オフの状態から電源オンの状態に切替えられた回数を表す「電源オン回数情報」、用いられた入力端子の種類ごとの映像の累積表示時間を表す「入力別累積表示時間情報」、および、現在有効に設定されている入力端子を表す「有効入力フラグ」の各情報を含んでいる。
【0032】
なお図2に示す履歴情報によれば、モデル番号は「ABCD」であり、現在までに電源オフの状態から電源オンの状態に切替えられた回数は「165」回であり、現在有効に設定されている入力端子は、デジタルRF入力端子(「2」番の入力端子)であると言える。また、例えばデジタルRF入力端子が用いられて(デジタルRF入力端子から入力された映像信号によって)映像表示がなされた時間の累積は、「500」時間であると言える。
【0033】
USB接続端子21は、USB[Universal Serial Bus]規格に準拠した端子であり、テレビ受像機1に付属しているUSBメモリ、或いは一般的なUSBメモリを、着脱自在に接続することが可能となっている。なおUSB接続端子21の代わりに、他の種類の外部記憶媒体が接続可能な端子が、採用されていても構わない。また演算制御部19は、USB接続端子21に接続されたUSBメモリに対して、各種情報の読み書きを行うことが可能となっている。
【0034】
これにより、映像データ(例えば、デジタルカメラで撮影された写真などのJPEGデータ)が記録されたUSBメモリが接続されると、ディスプレイ14に、この映像データを表示させることが可能となっている。また一定の空き容量があるUSBメモリが接続されると、フラッシュメモリ20に記録されている履歴情報などを、このUSBメモリに記録させることも可能となっている。
【0035】
次に、テレビ受像機1において実行される主な動作について、図3に示すフローチャートを参照しながら、以下に説明する。
【0036】
演算制御部19は、電源オフの状態(映像表示などが実行されず、消費電力が抑えられた状態)において、電源オンの指示を待機する(ステップS11)。そして電源オンの指示がなされたら(ステップS11のY)、演算制御部19は、テレビ受像機1を電源オンの状態とし、一般モード(ユーザによる通常の使用が想定されたモード)の動作を開始させる(ステップS12)。
【0037】
一般モードにおいては、現在有効に設定されている入力端子(電源オンとなった直後は、前回の電源オンの状態のときに、最後に有効に設定された入力端子)に入力されている信号に応じた映像表示や音声出力が、継続的に実行される。またユーザ用リモコン送信機16からのリモコン信号の受信が待機され、受信されたリモコン信号の内容(つまり、ユーザの指示内容)に応じて、各種動作(受信する放送チャンネルの切替や、有効な入力端子の切替など)が実行される。
【0038】
また一般モードにおいては、演算制御部19は、現在有効に設定されている入力端子についての、入力別累積表示時間情報のカウントアップ(時間の累積)を継続的に行う。例えば、一般モードに移行した時点で、履歴情報が図2に示す通りである場合、デジタルRF入力端子(現在有効な入力端子)についての入力別累積表示時間情報が、現在の状態(500時間)からカウントアップされる。
【0039】
なお、入力別累積表示時間情報のカウントアップは、実際に映像信号が入力され、この映像信号の映像がディスプレイ14に表示されている間だけ行われる。つまり、何れかの入力端子が有効となっていても、その入力端子に映像信号が入力されていない状態では、入力別累積表示時間情報のカウントアップは行われないようになっている。これにより、入力端子の種類ごとに、その入力端子を用いて取得された映像情報の累積表示時間が、入力別累積表示時間情報として記録されることとなる。
【0040】
また演算制御部19は、一般モードの動作が行われる間、有効な入力端子が切替えられたか(ステップS13)、工程モードへの移行指示があったか(ステップS14)、および電源オフの指示があったか(ステップS15)を監視する。
【0041】
なお「工程モード」は、検査員等がテレビ受像機1の検査などを行う状況に対応した特殊なモードであり、通常、一般のユーザにとっては不要である。そのため、工程モードへの移行指示(ステップS14)は、検査用リモコン送信機17に設けられた「工程モードオンキー」の押下によって実現される一方、ユーザ用リモコン送信機16による工程モードへの移行指示は、不可となっている。
【0042】
そして有効な入力端子が切替えられた場合には(ステップS13のY)、演算制御部19は、新たに有効となった入力端子に対応するように、履歴情報における有効入力フラグを更新する(ステップS16)。例えば履歴情報が図2に示す通りである場合に、アナログRF入力端子が新たに有効となった場合には、有効入力フラグが「1」(アナログRF入力端子を表す)に更新される。その後、ステップS13の処理が繰り返される。
【0043】
なお、有効な入力端子が切替えられたため、演算制御部19は、カウントアップの対象とする入力別累積表示時間情報を、新たに有効となった入力端子に対応するものに変更する。すなわち、これまでカウントアップされていた入力別累積表示時間情報については、カウントアップが停止され、新たに有効となった入力端子に対応する入力別累積表示時間情報については、カウントアップが開始される。
【0044】
また工程モードへの移行指示がなされた場合には(ステップS14のY)、演算制御部19は、一般モードの動作を停止させ、工程モードの動作を開始させる(ステップS17)。なお工程モードにおいては、フラッシュメモリ20の記録内容は、工程モードに移行する直前の状態に維持される。工程モードにおいては、テレビ受像機1の検査等に関わる各種動作(指示に応じたテスト動作など)が実行される。
【0045】
また演算制御部19は、工程モードの動作が行われている間、検査用リモコン送信機17におけるUSB記録オンキーの押下(特定のキー操作)がなされたか(ステップS18)、および一般モードへの移行指示があったか(ステップS19)を監視する。そしてUSB記録オンキーが押下された場合、つまり当該キーに対応するリモコン信号を受信した場合には(ステップS18のY)、演算制御部19は、フラッシュメモリ20に記録されている履歴情報を、USB接続端子21に接続されているUSBメモリに伝送して記録させる(ステップS20)。
【0046】
これにより、現時点での履歴情報が当該USBメモリに複製される。なお、USB接続端子21にUSBメモリが接続されていない場合は、演算制御部19は、USBメモリが接続されるまで待機した後、ステップS20の処理を実行する。またこの待機中、USBメモリが接続されていない旨がディスプレイ14に表示されるようにしても良く、所定のアラーム音がスピーカ15から出力されるようにしても良い。
【0047】
また検査用リモコン送信機17の操作などを通じて、一般モードへの移行指示がなされた場合には(ステップS19のY)、演算制御部19は、工程モードの動作を停止させ、ステップS12の処理に戻る。なお工程モードにおいては、所定の指示に応じて、現在記録されている履歴情報がリセットされるようになっていてもよい。
【0048】
また電源オフの指示がなされた場合には(ステップS15のY)、演算制御部19は、テレビ受像機1を電源オフの状態に移行させ(ステップS21)、ステップS11の処理に戻る。なお電源オフの状態では、フラッシュメモリ20の記録内容は、電源オフの状態に移行する直前の状態に維持される。
【0049】
上述した一連の動作が実行されるテレビ受像機1によれば、USBメモリに履歴情報を記録させることが可能である。そのため検査員等は、履歴情報を記録させたUSBメモリを、テレビ受像機1とは別の表示装置に接続し、この表示装置に履歴情報を表示させて、履歴情報の内容を確認することが可能である。なお履歴情報は、例えば図4に示すように表示されることになる。
【0050】
その結果、検査員等は、履歴情報の内容を参考にして、テレビ受像機1に対するユーザの不満点や、返品理由などを推察或いは検討することができる。例えば履歴情報によれば、映像信号の入力に頻繁に用いられた(累積表示時間が長い)入力端子が判別可能であり、ひいては、どの入力端子から入力された映像や音声が、ユーザによく視聴されたか(ユーザの心証に与えた影響が大きいか)を判断することができる。そして、頻繁に用いられた入力端子に関わる何らかの事情(例えば、当該入力端子に入力された映像が、乱れやすくなっていた等)が、ユーザにおける不満点や返品理由である可能性が高いと推察される。
【0051】
また例えば履歴情報によれば、最後に有効に設定された入力端子が判別可能であり、ひいては、どの入力端子から入力された映像や音声が、ユーザが最後に視聴したものかを判断することができる。そして、この入力端子に関わる何らかの事情も、ユーザにおける不満点や返品理由である可能性が高いと推察される。このように、テレビ受像機1に対するユーザの使用状態が把握されることで、ユーザにおける不満点や返品理由等を推察或いは検討し、今後の製品改良などに活かすことが可能となる。
【0052】
なお履歴情報は、使用頻度の高い入力端子の種類を把握するための資料としても、利用可能である。これにより、今後の製品設計においては、例えば、使用頻度が高いと考えられる入力端子が、ユーザにとって利用しやすい位置に配置されるように、配慮することができる。
【0053】
またUSBメモリに履歴情報を記録させる動作(ステップS20)は、工程モードへの移行(工程モードオンキーの押下)がなされた上で、更に、USB記録オンキーが押下されることによって、実行されるようになっている。このように、一般のユーザによって当該動作が誤って実行されないようにするための、二重のガードが設けられていることにより、履歴情報がUSBメモリに意図せずに記録されることが、未然に防止される。その結果、ユーザにとって大事な情報が記録されているUSBメモリに、ユーザにとって不要な履歴情報が記録されることが回避される。
【0054】
なお、上述したテレビ受像機1における、リモコン受信部18、演算制御部19、フラッシュメモリ20、およびUSB接続端子21の各部分を有する装置は、テレビ受像機1(映像表示機器)に対応して設けられ、このテレビ受像機1において現在までに実行された動作に応じた情報を履歴情報として記録する装置(履歴情報記録装置)と見ることもできる。またこの履歴情報記録装置は、USBメモリ(外部記憶媒体)が接続されるUSB接続端子21を備えており、USB記録オンキーの押下(所定の指示)に応じて、USB接続端子21に接続されているUSBメモリに、履歴情報を伝送して記録させるものとなっている。
【0055】
そのためこの履歴情報記録装置によれば、履歴情報をUSBメモリに記録させた上で、このUSBメモリを別の表示装置などに接続し、この表示装置に履歴情報を表示させること等が可能となっている。そのため検査員等は、テレビ受像機1の履歴情報をディスプレイ14に表示させることなく、履歴情報を確認することが可能となっている。その結果、テレビ受像機1において正常な画面表示ができなくなった場合であっても、検査員等は、履歴情報を容易に確認することが可能となっている。
【0056】
またテレビ受像機1は、映像信号が入力される入力端子を複数種有しており、これらの入力端子のうち、ユーザの指示に応じて有効に設定された入力端子を用いて取得した映像情報を表示するものであり、更に、上述した履歴情報記録装置を備えていると見ることができる。そしてこの履歴情報記録装置は、入力端子の種類ごとに、その入力端子を用いて取得された映像情報の累積表示時間を、入力別累積表示時間情報(履歴情報の一つ)として記録し、映像情報の取得に最後に用いられた入力端子の種類をも、有効入力フラグ(履歴情報の一つ)として記録するようになっている。
【0057】
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。当該実施形態としては、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改変を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、テレビ受像機等の映像表示機器に利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 テレビ受像機(映像表示機器)
11 入力端子群
12 伝送路切替部
13 映像音声処理部
14 ディスプレイ
15 スピーカ
16 ユーザ用リモコン送信機(操作部)
17 検査用リモコン送信機(操作部)
18 リモコン受信部
19 演算制御部
20 フラッシュメモリ
21 USB接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビ受像機などの映像表示機器に対応して設けられ、該映像表示機器において現在までに実行された動作に応じた情報を履歴情報として記録する、履歴情報記録装置であって、
外部記憶媒体が接続される接続端子を備えており、
所定の指示に応じて、前記接続端子に接続されている外部記憶媒体に、前記履歴情報を伝送して記録させることを特徴とする履歴情報記録装置。
【請求項2】
前記接続端子は、USB規格に準拠した端子として形成されており、
前記接続端子に接続されているUSBメモリに、前記履歴情報を伝送して記録させることを特徴とする請求項1に記載の履歴情報記録装置。
【請求項3】
映像信号が入力される入力端子を複数種有しており、これらの入力端子のうち、ユーザの指示に応じて有効に設定された入力端子を用いて取得した映像情報を表示する、映像表示機器であって、
該映像表示機器に対応して設けられた請求項1または2に記載の履歴情報記録装置をも備え、
該履歴情報記録装置は、
前記入力端子の種類ごとに、その入力端子を用いて取得された映像情報の累積表示時間を、前記履歴情報として記録することを特徴とする映像表示機器。
【請求項4】
前記履歴情報記録装置は、
前記映像情報の取得に最後に用いられた入力端子の種類をも、前記履歴情報として記録することを特徴とする請求項3に記載の映像表示機器。
【請求項5】
操作を受付ける操作部を備えており、
前記履歴情報記録装置は、
前記操作部において特定の操作がなされたときに、前記接続端子に接続されている外部記憶媒体に、前記履歴情報を伝送して記録させることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の映像表示機器。
【請求項6】
映像信号が入力される入力端子を複数種有しており、これらの入力端子のうち、ユーザの指示に応じて有効に設定された入力端子を用いて取得した映像情報を表示する、映像表示機器であって、
該映像表示機器が現在までに実行した動作に応じた情報を、履歴情報として記録する履歴情報記録部と、
USB規格に準拠したUSB接続端子と、
操作を受付ける操作部と、
を備えており、
前記履歴情報記録部は、
前記入力端子の種類ごとに、その入力端子を用いて取得された映像情報の累積表示時間を、前記履歴情報として記録するとともに、
前記映像情報の取得に最後に用いられた入力端子の種類をも、前記履歴情報として記録し、
前記操作部において特定の操作がなされたときに、
前記USB接続端子に接続されているUSBメモリに、前記履歴情報を伝送して記録させることを特徴とする映像表示機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−258840(P2010−258840A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107233(P2009−107233)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】