説明

履物の中敷の構造

【課題】
中敷の足先部や踵部に形成された空間内に注入された内服液が流動するので長時間の歩行でも足が疲労しないという技術を提供する。
【解決手段】
前記2個のバリヤ(障壁)10、10の相互間Wは上、下部材9A、9Bの内部に封入した流動液体11の流れを制御する構成としてのオリフィス機構12を配設している。このオリフィス機構12の配設方法としては上、下部材9A、9Bの内面に一体形成すること又は別異の手段で固定する方法がある。該オリフィス機構12は上部材(表)9Aのオリフィス機構の上方絞部12aと下部材(裏)9Bのオリフィス機構の下方絞部12bとで構成されている。このオリフィス機構12は上部材(表)9Aの踵部分9aから隣接した位置に於ける該上部材及び下部材9A、9Bの内面にオリフィス機構の上方絞部12a、オリフィス機構の下方絞部12bのように山形状に突設して形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人が歩行するときに履くための革、ゴム、布又は木等で製作された履物であって人足の健康面を考慮し、その底面部等に敷く中敷の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種、従来の技術に於ける例としては、図7に示す特開平1−126905号公開特許公報に開示された技術がある。
これについて説明すれば、エチレン−酢酸ビニル共重合体製上下2枚の靴底形状のシート1、2の周縁部を融着してなる密封袋体3で、その内部空間4には、水5が部分的に封入されている。水の封入程度は図7に示すように、使用時に身体の重心のかけ方により足6から負荷される足の荷重部分は異なるが、この荷重部分において前記上下2枚のシート1、2が接触し、他の荷重の弱い部分に水が移動して上下2枚のシート1、2が空間を形成している。これは前記空間4全域に水を注入したり、あるいは部分的に注入しても最大荷重部分に尚水の存在する空間が存在する程度に水を注入しておくと、使用者は常に流体上にあることになるのでは、長時間使用すると疲労するからである。
また、前記密封袋体3の中央部の上面には、足6の裏の土踏まず6aに接触しており、部分的に上下2枚のシート1、2を融着して水5に対する複数のバリヤを形成する。これは、このようにして形成される中敷内の水5が、該中敷に負荷される水5によって密封袋体3内を流動する際に障壁となって、該水5を緩慢に流動させ、その間に足6の他の部位を押圧して刺激を与える。また、第7図に示すように、2枚のシート1、2の周縁融着部をその足先部7においては最周縁部だけでなく、その内側にも少なくとも1本の前記周縁部に連続して複数段の融着部を形成しておける最内側融着部で密封されるので、使用する靴の寸法に応じて切断する。そして各シート1,2を形成するエチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニルを5〜30重量%、例えば8〜20重量%含有するエチレン酢酸ビニルとの共重合体であって、その数平均分子量は10,000〜150,000例えば30,000〜100,000である。すなわち酢酸ビニル含有量が5重量%未満では柔軟性およびシール性が不十分であり、一方、30重量%を越えると、柔軟性の発現が困難となる。前記エチレン−酢酸ビニル共重合体シートの厚みは0.3〜1.0mm、例えば0.4〜0.8mmである。8はシートの後端部である。
【特許文献1】特開平1−126905号公開特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術は、叙上の構成であるので次の課題が存在した。
図7に示す従来技術に於いては、人の歩行動作で足6の踵が接触するシートの後端部8や足6の爪先部分が接触するシートの足先部7に前記密封袋体3内に注入された水5が流動せず長時間の歩行により足6の疲労が惹起されるという問題があった。
また、従来の技術に於いては、密封袋体3内には水5を注入しているがこれが、これが遠赤外線放射機能を有しておらず長時間の歩行等により、足6の血行促進をすることができず、また冬期に於ける足6の冷え性等が克服できないという問題点があり、これを解消するには遠赤外線効果を有すべくシート1、2の追加工程が要請され、該シート1、2、が高価になるという欠点があった。
さらに、人が長時間の歩行することによりシート1、2に異臭が発生し、これを交換するか又は該シート1、2に消臭スプレーを散布しなければならないという問題点があった。
本発明が解決しようとする課題は、上記背景技術に存在する問題点を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る履物の中敷の構造は叙上の問題点を解決すべく発明したものであって、次の構成、手段から成立する。
【0005】
すなわち、請求項1記載の発明によれば、上部材及び下部材の外周縁の下面を融着して足先部分から踵部分までの内部に空間を形成すると共に該上、下部材の土踏まず部分に2個のバリヤ(障壁)を融着形成した中敷に於いて、前記空間内に内服液及び該内服液と混入する遠赤外線発生物質でなる流動液体を充填・封入し、前記2個のバリヤ(障壁)の相互間Wであって前記上、下部材の内面に前記空間内の前記流動液体の流送を制御するオリフィス機構を備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明によれば、上部材及び下部材の外周縁の下面を融着して足先部分から踵部分までの内部に空間を形成すると共に該上、下部材の足踏まず部分に2個のバリヤ(障壁)を融着形成した中敷に於いて、前記空間内に内服液及び該内服液と混入する遠赤外線発生物質でなる流動液体を充填・封入し、前記2個のバリヤ(障壁)の相互間Wであって前記上、下部材の内面に前記空間内の前記流動液体の流送を制御する単一垂直方向開閉弁を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明によれば、上部材及び下部材の外周縁の下面を融着して足先部分から踵部分までの内部に空間を形成すると共に該上、下部材の足踏まず部分に2個のバリヤ(障壁)を融着形成した中敷に於いて、前記空間内に内服液及び該内服液と混入する遠赤外線発生物質でなる流動液体を充填・封入し、前記2個のバリヤ(障壁)の相互間Wであって前記上、下部材の内面に前記空間内の前記流動液体の流送を制御する垂直方向上・下双方弁を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明によれば、請求項1、2又は3記載の履物の中敷の構造に於いて、前記空間内にラメ状のシートの切れ端又はカラフルな粉末を混入したことを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明によれば、請求項2又は3記載の履物の中敷の構造に於いて、前記2個のバリヤ(障壁)の相互間Wであって前記上、下部材の内面に水平方向双方弁を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る履物の中敷の構造は、叙上の構成を有するので次の効果がある。
【0011】
すなわち、請求項1記載の発明によれば、上部材及び下部材の外周縁の下面を融着して足先部分から踵部分までの内部に空間を形成すると共に該上、下部材の土踏まず部分に2個のバリヤ(障壁)を融着形成した中敷に於いて、前記空間内に内服液及び該内服液と混入する遠赤外線発生物質でなる流動液体を充填・封入し、前記2個のバリヤ(障壁)の相互間Wであって前記上、下部材の内面に前記空間内の前記流動液体の流送を制御するオリフィス機構を備えたことを特徴とする履物の中敷の構造を提供する。
このような構成としたので、人の歩行動作で足の踵が接触するシートの後端部や足の爪先部分が接触するシートの足先部に形成された空間内に注入された内服液が流動するので長時間の歩行により足が疲労しないという効果があり、該内服液と混入する遠赤外線発生物質でなる流動液体が足の長時間の歩行により血行を促進するという効果があり、冬期に於ける足の冷え性等を克服できるという効果があり、流動液体が遠赤外線発生機能を有するのでシートに追加加工が不要であるという効果があり、足の血行が改善されるので足の代謝が正常になり履物内の異臭の発生を抑制できるという効果がある。
【0012】
また、請求項2記載の発明によれば、上部材及び下部材の外周縁の下面を融着して足先部分から踵部分までの内部に空間を形成すると共に該上、下部材の足踏まず部分に2個のバリヤ(障壁)を融着形成した中敷に於いて、前記空間内に内服液及び該内服液と混入する遠赤外線発生物質でなる流動液体を充填・封入し、前記2個のバリヤ(障壁)の相互間Wであって前記上、下部材の内面に前記空間内の前記流動液体の流送を制御する単一垂直方向開閉弁を備えたことを特徴とする履物の中敷の構造を提供する。
このような構成としたので、請求項1記載の発明の効果に加えてオリフィス機能に代えて簡素な構成を有する単一垂直方向開閉弁を追加工することによりその目的を達成でき流動液体を更に微細に制御することができるという効果がある。
【0013】
また、請求項3記載の発明によれば、上部材及び下部材の外周縁の下面を融着して足先部分から踵部分までの内部に空間を形成すると共に該上、下部材の足踏まず部分に2個のバリヤ(障壁)を融着形成した中敷に於いて、前記空間内に内服液及び該内服液と混入する遠赤外線発生物質でなる流動液体を充填・封入し、前記2個のバリヤ(障壁)の相互間Wであって前記上、下部材の内面に前記空間内の前記流動液体の流送を制御する垂直方向上・下双方弁を備えたことを特徴とする履物の中敷の構造を提供する。
このような構成としたので、請求項1記載の発明の効果に加えてオリフィス機能に代えて簡素な構成を有する垂直方向上・下双方弁を追加工することによりその目的を達成でき流動液体を更に微細に制御することができるという効果がある。
【0014】
また、請求項4記載の発明によれば、前記空間内にラメ状のシートの切れ端又はカラフルな粉末を混入したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の履物の中敷の構造を提供する。
このような構成としたので、請求項1記載の発明の効果に加えて中敷の美麗感を向上させ量産性に寄与する効果がある。
【0015】
さらに、請求項5記載の発明によれば、前記2個のバリヤ(障壁)の相互間Wであって前記上、下部材の内面に水平方向双方弁を備えたことを特徴とする請求項2又は3記載の履物の中敷の構造を提供する。
このような構成としたので、請求項1、2、又は3記載の効果に加えてオリフィス機構に代えて簡単な構成を有する水平方向双方弁を追加工することによりその目的を達成でき流動液体を更に微細に制御することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る履物の中敷の構造に於ける実施の形態について添付図面に基づき詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る履物の中敷の構造に於ける実施の形態を示す図面であって、(a)は当該履物の一方足側を示す平面図、(b)は(a)の矢視A−A線方向の断面図である。
【0018】
9は例えば人が歩行するとき履くための革製、ゴム製、布製、又は木製等履物の底面部に敷く中敷であって、一方足側、本例では右足側の中敷である。該中敷9は図1(b)に示すように上・下2枚の略薄板状の構造物を加熱手段により融着して張り合わせて構成する。すなわち中敷9は上部材(表)9Aと下部材(裏)9Bとで構成する。又内部を中空状に形成した一体物として構成してもよい。
【0019】
前記上部材(表)9Aは例えばエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)材料やポリエステル材料、ナイロン材料等で薄板状に形成される。該上部材(表)9Aは柔軟性や弾力性に冨み、軽量かつ無公害の素材であり、ポリエチレンの如き塩素を包含せず焼却してもダイオキシンが発生せず環境上好ましい材料である。また風雨や紫外線にも強く劣化せず耐久性に優れている。
【0020】
該上部材(表)9Aの土踏まず部分には所望数のバリヤ(障壁)10、10・・・を形成している。このバリヤ(障壁)10、10・・・は前記上部材(表)9Aと前記下部材(裏)9Bを所定個所で相互をヒータ等の加熱手段で融着し所定の形状、すなわち、図1(a)に示す例では2個の略コ字状のバリヤ(障壁)10、10・・・を作成する。
【0021】
前記2個のバリヤ(障壁)10、10の相互間Wは図1(b)に示すように上、下部材9A、9Bの内部に封入した流動液体11の流れを制御する構成としてのオリフィス機構12を配設している。このオリフィス機構12の配設方法としては上、下部材9A、9Bの内面に一体形成すること又は別異の手段で固定する方法がある。該オリフィス機構12は上部材(表)9Aのオリフィス機構の上方絞部12aと下部材(裏)9Bのオリフィス機構の下方絞部12bとで構成されている。このオリフィス機構12は上部材(表)9Aの踵部分9aから隣接した位置に於ける該上部材及び下部材9A、9Bの内面にオリフィス機構の上方絞部12a、オリフィス機構の下方絞部12bのように山形状に突設して形成している。
【0022】
また上部材(表)9A及び下部材(裏)9Bに於ける足先部分9bから踵部分9aまでの内面には空間Sを形成する。つまり、中敷9の内部に空間Sを形成する。この空間S内に流動液体11としての内服液を封入する。流動液体11は無菌水や食品添加物用プロピレングリコールの内服液でなり、これに遠赤外線発生物質、つまり赤外線のうち波長が長く100〜25(マイクロメートル)程度の光線であって水や高分子物質・有機物に吸収され易く除菌・脱臭に利用できる物質であって、消臭物質、殺菌物質、薬剤等を構成する物質、具体的には墨の粉、炭素繊維を短冊状にした粉末等を混合する。そして該流動液体11に加えて、装飾性物質としての放光するラメ状のシートの切れ端又はカラフルな粉末を混入させる。
【0023】
前記上部材(表)9Aの外周縁部9Cの下面9cと前記下部材(裏)9Bの外周縁部9Cの下面9dは加熱手段を使用して融着する。またほかの成形方法としては前記上部材(表)9Aと前記下部材(裏)9Bを成形型で一体成形すると共に空間Sを作成し、この空間S内に上、下部材9A、9Bの成形と同時に流動液体11を封入した構成としてもよい。
【0024】
次に、本発明に係る履物の中敷の構造に於ける実施の形態についてその動作等を図2及び図3に基づき説明する。
【0025】
図2及び図3は各種履物に中敷9を敷設して、この中敷9を断面にした図であって、図2は人足Lの踵L1を上部材9Aの踵部分9aの上面に踏み付けた状態を示す垂直断面図である。図3は人足Lの足先L2を上部材9Aの足先部分9bの上面に踏み付けた状態を示す垂直断面図である。
【0026】
人が歩行する際の人足Lの動きは概ね図2と図3を繰返して行う。人足Lの踵L1が図2に示すような状態であるとき、中敷9の上部材(表)9Aの踵部分9aは一点鎖線の状態から実線で示すように湾曲する。そこで制御機構としてのオリフィス機構12の上方絞部12aまたはオリフィス機構12の下方絞部12bが矢印P1又はP2の方向に押圧され該オリフィス機構12は開放状態から閉止状態になる。そしてオリフィス機構12の閉止動作により図2に示すようにバリヤ(障壁)10、10の相互間Wの領域に於ける上部材(表)9Aと下部材(裏)9B間に形成された空間S内に内服液等でなる流動液体11が踵部分9aから足先部分9bの方向への流れが阻止され、矢印a方向に示すように旋回する。そして当該空間S内の流動液体11は図1(a)で示すようにバリヤ(障壁)10と一方端の中敷9の外周縁部9Cとの間及びバリヤ(障壁)10と他方端の中敷9の外周縁部9Cとの間を矢印b、bの如く狭い流通路を流過する。つまり踵部分9aに於ける空間Sに封入された当該流動液体11が足先部分9bの空間Sの方向に緩慢に移動する。最後に、上部材(表)9Aの踵部分9aが下部材(裏)9Bの内底面9B1に接触するまで押圧される。これは人足Lの踵L1に荷重を加えるとき、中敷9の踵部分9aにクッション性を保持するためである。
【0027】
また人足Lの足先L2が図3に示すような状態にあるとき、中敷9の上部材(表)9Aの足先部分9bは一点鎖線の状態から実線で示すように湾曲する。そこで制御機構としてのオリフィス機構12は復元して開放状態になる。オリフィス機構12の開放動作により、図1(a)に示すようにバリヤ(障壁)10、10の相互間Wの領域に於ける上部材(表)9Aと下部材(裏)9B間に形成された空間Sが開放され、流動液体11が図1(a)及び図3に示すように矢印d方向及びバリヤ(障壁)10と一方端の中敷9の外周縁部9Cとの間及びバリヤ(障壁)10と他方端の中敷9の外周縁部9Cとの間を矢印c、c方向に移動する。かくして人足Lの足先L2に荷重を掛けたときには、流動液体11が足先部分9bの空間Sから踵部分9aの空間へ急速に移動してその足先L2に於ける上部材(表)9Aの足先部分9bを速やかに下部材(裏)9Bの内底面9B2に接触させる。これにより人足Lが安定した状態で履物の中に収容される。このように、流動液体11の流動速度に変化を付与することにより人足Lの歩行動作を円滑にし路面上等で歩き易くし、長時間の歩行においても人足Lの疲労を無くすことになった。
【0028】
さらに当該流動液体11内に無菌水や、食品添加物用プロピレングリコールでなる内服液の他に遠赤外線物質を混入したので人足Lの足裏の発汗現象等による臭いを消臭し、又殺菌作用を常に行わせるので足裏を清潔にすると共に外部から消臭スプレー等を使用することなく耐久性の高い中敷9を提供できる。また、内服液や遠赤外線物質に加えてカラフルな粉末等の装飾性物質を混入させ中敷9を外部から見て、美麗感を向上させ、購買意欲を促進する効果を出させることが可能である。
【実施例1】
【0029】
次に本発明に係る履物の中敷の構造に於ける実施例1について説明する。
【0030】
図4は本発明に係る履物の中敷の構造に於ける実施例1を示す図面であって、(a)は当該履物に一方足側を示す平面図、(b)は(a)の矢視B−B線方向の断面図である。
【0031】
当該実施例1は前述した図1(a)(b)、図2及び図3に示す本発明に係る実施の形態で示す構成と概ね同一である。そして、前述したオリフィス機構12に代えて単一垂直方向開閉弁を備えたことを特徴とする。他の構成は図1(a)(b)、図2及び図3と同一でありその説明は省略する。
【0032】
ここで、本発明に係る履物の中敷の構造に於ける実施例1についてその動作等を図4(a)(b)等に基づき説明する。
【0033】
図4(a)は各種履物の中敷9の構造を示す平面図、図4(b)はこの中敷9を垂直断面にした図である。
【0034】
人が歩行する際の人足Lの動きはこの実施例1に於いても図2と図3を繰返して行う。人足Lの踵L1が図2に示すような状態であるとき、中敷9の上部材(表)9Aの踵部分9aは一点鎖線の状態から実線で示すように湾曲し又、上部材(表)9Aの表面が一点鎖線L3のように湾曲する。そこで制御機構としての単一垂直方向開閉弁12Aが上部材(表)9Aの表面に押圧され該単一垂直方向開閉弁12Aは開放状態から閉止状態になる。そして単一垂直方向開閉弁12Aの閉止動作により図1(a)に示すようにバリヤ(障壁)10、10の相互間Wの領域に於ける上部材(表)9Aと下部材(裏)9B間に形成された空間S内に内服液等でなる流動液体11が踵部分9aから足先部分9bの方向得の流れが阻止される。そして当該空間S内の流動液体11は図1(a)で示すようにバリヤ(障壁)10と一方端の中敷9の外周縁部9Cとの間及びバリヤ(障壁)10と他方端の中敷9の外周縁部9Cとの間を矢印b、bの如く狭い流通路を流過する。つまり踵部分9aに於ける空間Sに封入された当該流動液体11が足先部分9bの空間Sの方向に緩慢に移動する。最後に、上部材(表)9Aの踵部分9aが下部材(裏)9Bの内底面9B1に接触するまで押圧される。これは人足Lの踵L1に荷重を加えるとき、中敷9の踵部分9aにクッション性を保持するためである。
【0035】
また人足Lの足先L2が図3に示すような状態にあるときも前述した動作を行う。中敷9の上部材(表)9Aの足先部分9bは一点鎖線の状態から実線で示すように湾曲する。そこで上部材(表)9Aの表面が実線で示すように復元し制御機構としての単一垂直方向開閉弁12Aは開放状態になる。この単一垂直方向開閉弁12Aの開放動作により、前述した動作を行う。かくして人足Lの足先L2に荷重を掛けたときには、流動液体11が足先部分9bの空間Sから踵部分9aの空間へ急速に移動してその足先L2に於ける上部材(表)9Aの足先部分9bを速やかに下部材(裏)9Bの内底面9B2に接触させる。これにより人足Lが安定した状態で履物の中に収容される。このように、流動液体11の流動速度に変化を付与することにより人足Lの歩行動作を円滑にし路面上等で歩き易くし、長時間の歩行においても人足Lの疲労を無くすことになった。
上述の説明に於いて、単一垂直方向開閉弁12Aはその一部又は全体が柔軟性材料で形成し弁機能をもたせてもよい。
【実施例2】
【0036】
次に本発明に係る履物の中敷の構造に於ける実施例2について説明する。
【0037】
図5は本発明に係る履物の中敷の構造に於ける実施例2を示す図面であって、(a)は当該履物に一方足側を示す平面図、(b)は(a)の矢視C−C線方向の断面図である。
【0038】
当該実施例2は前述した図1(a)(b)、図2及び図3に示す本発明に係る実施の形態で示す構成と概ね同一である。そして、前述したオリフィス機構12に代えて垂直方向上・下双方弁を備えたことを特徴とする。他の構成は図1(a)(b)、図2及び図3と同一でありその説明は省略する。
【0039】
ここで、本発明に係る履物の中敷の構造に於ける実施例2についてその動作等を図5(a)(b)等に基づき説明する。
【0040】
図5(a)は各種履物の中敷9の構造を示す平面図、図5(b)はこの中敷9を垂直断面にした図である。
【0041】
人が歩行する際の人足Lの動きはこの実施例2に於いても図2と図3を繰返して行う。人足Lの踵L1が図2に示すような状態であるとき、中敷9の上部材(表)9Aの踵部分9aは一点鎖線の状態から実線で示すように湾曲し又、上部材(表)9Aの表面に荷重P3が掛り一点鎖線L4のように湾曲する。そこで制御機構としての上側弁12cと下側弁12dで構成された垂直方向上・下双方弁12Bが上部材(表)9Aの表面に押圧され該垂直方向向上・下双方弁12Bは開放状態から閉止状態になる。
そして垂直方向向上・下双方弁12Bの閉止動作により図1(a)に示すようにバリヤ(障壁)10、10の相互間Wの領域に於ける上部材(表)9Aと下部材(裏)9B間に形成された空間S内に内服液等でなる流動液体11が踵部分9aから足先部分9bの方向への流れが阻止される。そして当該空間S内の流動液体11は図1(a)で示すようにバリヤ(障壁)10と一方端の中敷9の外周縁部9Cとの間及びバリヤ(障壁)10と他方端の中敷9の外周縁部9Cとの間を矢印b、bの如く狭い流通路を流過する。つまり踵部分9aに於ける空間Sに封入された当該流動液体11が足先部分9bの空間Sの方向に緩慢に移動する。最後に、上部材(表)9Aの踵部分9aが下部材(裏)9Bの内底面9B1に接触するまで押圧される。これは人足Lの踵L1に荷重を加えるとき、中敷9の踵部分9aにクッション性を保持するためである。
【0042】
また人足Lの足先L2が図3に示すような状態にあるときも前述した動作を行う。中敷9の上部材(表)9Aの足先部分9bは一点鎖線の状態から実線で示すように湾曲する。そこで上部材(表)9Aの表面が実線で示すように復元し制御機構としての垂直方向上・下双方弁12Bは開放状態になる。この垂直方向上・下双方弁12Bの開放動作により、前述した動作を行う。かくして人足Lの足先L2に荷重を掛けたときには、流動液体11が足先部分9bの空間Sから踵部分9aの空間へ急速に移動してその足先L2に於ける上部材(表)9Aの足先部分9bを速やかに下部材(裏)9Bの内底面9B2に接触させる。これにより人足Lが安定した状態で履物の中に収容される。このように、流動液体11の流動速度に変化を付与することにより人足Lの歩行動作を円滑にし路面上等で歩き易くし、長時間の歩行においても人足Lの疲労を無くすことになった。
上述の説明に於いて、垂直方向上・下双方弁12Bの上側弁12c、下側弁12dはその一部又は全体が柔軟性材料で形成し弁機能をもたせてもよい。
【実施例3】
【0043】
次に本発明に係る履物の中敷の構造に於ける実施例3について説明する。
【0044】
図6は本発明に係る履物の中敷の構造に於ける実施例3を示す図面であって、(a)は当該履物に一方足側を示す平面図、(b)は(a)の矢視D−D線方向の断面図である。
【0045】
当該実施例3は前述した図4(a)(b)、図5(a)(b)に示す本発明に係る実施例1及び2に示す構成に追加した構成を示している。そして、前述した単一垂直方向開閉弁12A又は垂直方向上・下双方弁12Bに水平方向双方弁12Cを加えたことを特徴とする。他の構成及び動作は図4(a)(b)、図5(a)(b)と略同一でありその説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る履物の中敷の構造に於ける実施の形態を示す図面であって、(a)は当該履物の一方足側を示す平面図、(b)は(a)の矢視A−A線方向の断面図である。
【図2】本発明に係る履物の中敷の構造に於ける実施の形態を示す図面であって、人足の踵を上部材の踵部分の上面に踏み付けた状態を示す垂直断面図である。
【図3】本発明に係る履物の中敷の構造に於ける実施の形態を示す図面であって、人足の足先を上部材の足先部分の上面に踏み付けた状態を示す垂直断面図である。
【図4】本発明に係る履物の中敷の構造に於ける実施例1を示す図面であって、(a)は中敷の構造を示す平面図、(b)は(a)の矢視B−B線方向の断面図である。
【図5】本発明に係る履物の中敷の構造に於ける実施例2を示す図面であって、(a)は中敷の構造を示す平面図、(b)は(a)の矢視C−C線方向の断面図である。
【図6】本発明に係る履物の中敷の構造に於ける実施例3を示す図面であって、(a)は中敷の構造を示す平面図、(b)は(a)の矢視D−D線方向の断面図である。
【図7】従来の技術に於ける一例であって中敷の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0047】
9 履物の中敷
9A 履物の中敷の上部材(表)
9a 履物の中敷の上部材(表)の踵部分
9b 履物の中敷の上部材(表)の足先部分
9c 履物の中敷の上部材(表)の外周縁部の下面
9B 履物の中敷の下部材(裏)
9B1 履物の中敷の下部材(裏)の内底面
9B2 履物の中敷の下部材(裏)の内底面
9d 履物の中敷の下部材(裏)の外周縁部の下面
9C 履物の中敷の外周縁部
10 バリヤ(障壁)
11 流動液体
12 オリフィス機構
12A 単一垂直方向開閉弁
12B 垂直方向上・下双方弁
12c 垂直方向上・下双方弁の上側弁
12d 垂直方向上・下双方弁の下側弁
12C 水平方向双方弁
12a オリフィス機構の上方絞部
12b オリフィス機構の下方絞部
S 空間
L 人足
L1 人足の踵
L2 人足の足先


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部材及び下部材の外周縁の下面を融着して足先部分から踵部分までの内部に空間を形成すると共に該上、下部材の土踏まず部分に2個のバリヤ(障壁)を融着形成した中敷に於いて、前記空間内に内服液及び該内服液と混入する遠赤外線発生物質でなる流動液体を充填・封入し、前記2個のバリヤ(障壁)の相互間Wであって前記上、下部材の内面に前記空間内の前記流動液体の流送を制御するオリフィス機構を備えたことを特徴とする履物の中敷の構造。
【請求項2】
上部材及び下部材の外周縁の下面を融着して足先部分から踵部分までの内部に空間を形成すると共に該上、下部材の土踏まず部分に2個のバリヤ(障壁)を融着形成した中敷に於いて、前記空間内に内服液及び該内服液と混入する遠赤外線発生物質でなる流動液体を充填・封入し、前記2個のバリヤ(障壁)の相互間Wであって前記上、下部材の内面に前記空間内の前記流動液体の流送を制御する単一垂直方向開閉弁を備えたことを特徴とする履物の中敷の構造。
【請求項3】
上部材及び下部材の外周縁の下面を融着して足先部分から踵部分までの内部に空間を形成すると共に該上、下部材の土踏まず部分に2個のバリヤ(障壁)を融着形成した中敷に於いて、前記空間内に内服液及び該内服液と混入する遠赤外線発生物質でなる流動液体を充填・封入し、前記2個のバリヤ(障壁)の相互間Wであって前記上、下部材の内面に前記空間内の前記流動液体の流送を制御する垂直方向上・下双方弁を備えたことを特徴とする履物の中敷の構造。
【請求項4】
前記空間内にラメ状のシートの切れ端又はカラフルな粉末を混入したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の履物の中敷の構造。
【請求項5】
前記2個のバリヤ(障壁)の相互間Wであって前記上、下部材の内面に水平方向双方弁を備えたことを特徴とする請求項2又は3記載の履物の中敷の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−56082(P2009−56082A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225446(P2007−225446)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(390018094)株式会社日本ヘルス・サプライ (2)
【出願人】(502437779)
【Fターム(参考)】