説明

履物

【課題】大気を履物内に取り込むと共に、前記取り込んだ大気中の炭酸ガスを吸着固定した後、この炭酸ガスを吸着固定後の大気を履物外に送り出し、大気中の炭酸ガス量の低減を可能とした履物を提供することを課題とする。
【解決手段】外面に外部から大気を吸入する吸入部、内部該吸入部から吸入された大気中の炭酸ガスを固定する炭酸ガス固定部、該炭酸ガス固定部で処理された大気を外部に排気する排気部を外面に有し、前記吸入部と排気部は炭酸ガス固定部に連結させることにより解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気中の炭酸ガスを内部に吸着固定することが可能な履物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、大気中の炭酸ガスの影響による地球温暖化が、全世界で大きな課題となっている。この大気中の炭酸ガスは、樹木、植物等の光合成作用により消費されるが、その消費量は、大気中に放出される炭酸ガスの量に比較して少なく、大気中の炭酸ガスの量が年々増え続け、地球温暖化が進行しているのが現状である。
【0003】
一方、世界の人口は、約60億人に達し、ますます炭酸ガスの放出量は増加傾向にあり、早期段階で炭酸ガス削減の対策を講じることが緊急の世界的な課題となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この約60億人に達した世界中の多くの国の人々は、靴に代表される履物を履く習慣が定着している。
このような多くの人々が着用する履物に着目し、歩くに従い強制的に大気中の炭酸ガスを吸着固定することにより、大気中の炭酸ガスの増加を少しでも抑制可能となる。
そこで、本発明は、上記課題を解決し、大気を履物内に取り込むと共に、前記取り込んだ大気中の炭酸ガスを吸着固定した後、この炭酸ガスを吸着固定後の大気を履物外に送り出し、大気中の炭酸ガス量の低減を可能とした履物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、外面に外部から大気を吸入する吸入部、内部該吸入部から吸入された大気中の炭酸ガスを固定する炭酸ガス固定部、該炭酸ガス固定部で処理された大気を外部に排気する排気部を外面に有し、前記吸入部と排気部は炭酸ガス固定部に連結していることを特徴とする履物である。
【0006】
少なくとも前記炭酸ガス固定部は、底部に具備されていることを特徴とする請求項1記載の履物である。
【0007】
前記炭酸ガス固定部は、ポンプ機構部を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の履物である。
【0008】
前記吸入部および排出部と炭酸ガス固定部は、吸入管と排気管と連結していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の履物である。
【0009】
前記吸入管に吸入逆止弁、及び排気管に排気逆止弁を備えていることを特徴とする請求項4記載の履物である。
【0010】
前記ポンプ部は、下部にスプリングが設けられていることを特徴とする請求項3記載の履物である。
【発明の効果】
【0011】
上記のような本発明によれば、多くの人が、履物を履いて歩くことにより、炭酸ガスを吸着するという特別な意識をせずに、大気中の炭酸ガスは、大気と共にそれぞれの履物に取り込まれ、この取り込まれた大気から炭酸ガスを吸着固定することができる。
また、炭酸ガス固定部にポンプ機構を設けることにより、履物に大気を一定量ずつ取り込み、確実に炭酸ガスを吸着固定することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下本発明の実施の形態を図に従って説明する。
まず、図1に示すように、炭酸ガス固定可能な靴1は、例えば、底部2と甲皮4とからなり、前記底部2の内部に炭酸ガス固定部20を備え、該炭酸ガス固定部20は、外部から大気を吸入する吸入部30、前記炭酸ガス固定部20で処理された大気を外部に排気する排気部31を外面に有する。
前記炭酸ガス固定部20と、吸入部30および排気部31は、それぞれ連結された状態となっており、大気を吸入し、炭酸ガスを除いた吸気を排気できるようになっている。
具体的には、前記炭酸ガス固定部20は、炭酸ガス吸着部22とポンプ機構部21を備え、前記吸入部30と排気部31とが、パイプ等の連結部により連結していて、歩くことにより、大気の吸入、排気を一定量ずつ繰り返し操作することができる。
【0013】
そして、前記吸入部30から吸入された大気は、炭酸ガス吸着部22において、前記吸入した大気中含まれている炭酸ガスが吸着除去され、次に、この炭酸ガスが除去された大気が排出部31から排気される。
前記大気を吸入する取り込み、大気中の炭酸ガスを吸着固定する炭酸ガス固定部20は、底部2に設ける構成とすることができる。
この底部に設ける炭酸ガス固定部20は、図2に示すように、前記ポンプ機構部21は踵部24に、前記炭酸ガス吸着部22は、土踏まず部26に設けた構成とし、前記ポンプ機構部21の下部にスプリング28を設け、ポンプ機構部21が復元し易い構成とすることが好ましい。
また、前記ポンプ機構部21に連通する吸入管23及び排気管25を設け、前記ポンプ機構部21と、前記吸入部30および排出部31と連結した構造となっている。
さらに、前記吸入管23および排気管25には、吸入逆止弁、排気逆止弁(図示せず)が設けられており、吸入に際しては、吸入管に設けられた吸入逆止弁が開き、排気管25に設けられた排気逆止弁が閉じられた状態となる。
また、排気に際しては、吸入管に設けられた吸入逆止弁が閉じ、排気管25に設けられた排気逆止弁が開いた状態となる。
【0014】
前記ポンプ機構部21は、合成樹脂、天然ゴム、エラストマー等で構成した内部が空洞状態で、例えば、略半円形状の弾性を備えたポンプ部材40,41を上下方向から接合して上下方向に凸状に構成し、内部に空気室42を備えている。ポンプ部材40,41は中心部を厚く、外周部を薄く形成することが好ましい。
これによりポンプ部材40,41の応力が増し、効率の良い吸入、排気が行える。
【0015】
ポンプ機構部3のポンプ部材40,41の接合部の対向する二箇所には、吸入逆止弁を備えた吸入管23、及び排気逆止弁を備えた排気管25を連通させている。
前記吸入管23は、前記吸入部30から靴1の内側部分に沿って設置し、ポンプ機構部21に連結する適宜長さとし、前記排出管25は、前記ポンプ機構部21から排気部31に達する適宜長さとする。
前記吸入管23及び排気管25は、合成樹脂を用いて断面円形の管を用いてもよいが、靴内で足との接触による違和感を減少させるために、薄膜状の素材を用いて、空気が通過するときに膨らみ、通過しないときには平たくなるよう構成することが望ましい。
【0016】
前記炭酸ガス吸着部22は、例えば、炭酸ガスを含む気体を、(イ)水と(ロ)アルカリ土類金属含有物質と(ハ)弱塩基と強酸の塩とから得られる水溶液に接触させてアルカリ土類金属の炭酸塩を生成させることで吸着固定する。
ここで、前記水溶液と大気を接触させる手段として、例えば、多孔質体に前記水溶液を吸着させ、この表面に吸入した大気が接触する構成とする。
【0017】
前記アルカリ土類金属含有物質として、例えば天然鉱物、廃材または製造工程で排出される副生物を用いることができる。
ここで、前記天然鉱物からなる前記アルカリ土類金属含有物質としては、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、アルミン酸カルシウムおよびアルミン酸マグネシウムの群から選ばれる1または2以上の混合物、またはこれらの混合物を主体とする岩石あるいはこれらの岩石の風化物ないしは粉砕物を用いることができる。
また、前記廃材または製造工程で排出される副生物からなるアルカリ土類金属含有物質としては、セメント水和固形物で固化させたコンクリート、該コンクリートを含む建築廃材または粉砕物、製鉄工程または製鋼工程で排出される鉄鋼スラグ、または廃棄物の焼却灰または煤塵あるいはこれらの溶融スラを用いることができる。
また、前記弱塩基と強酸の塩としては、塩化アンモニウムまたは硝酸アンモニウムを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図2】図1の炭酸ガス固定部に構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0019】
1・・靴
2・・・底部
4・・・甲皮
20・・・炭酸ガス固定部
21・・・ポンプ機構部
22・・・炭酸ガス吸着部
23・・・吸入管
24・・・踵部
25・・・排気管
26・・・土踏まず部
28・・・スプリング
30・・・吸入部
31・・・排気部
32、33・・・連結部
39・・・空気室
40、41・・・ポンプ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面に外部から大気を吸入する吸入部、内部該吸入部から吸入された大気中の炭酸ガスを固定する炭酸ガス固定部、該炭酸ガス固定部で処理された大気を外部に排気する排気部を外面に有し、前記吸入部と排気部は炭酸ガス固定部に連結していることを特徴とする履物。
【請求項2】
少なくとも前記炭酸ガス固定部は、底部に具備されていることを特徴とする請求項1記載の履物。
【請求項3】
前記炭酸ガス固定部は、ポンプ機構部を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の履物。
【請求項4】
前記吸入部および排出部とポンプ機構部は、吸入管と排気管と連結していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の履物。
【請求項5】
前記吸入管に吸入逆止弁、及び排気管に排気逆止弁を備えていることを特徴とする請求項4記載の履物。
【請求項6】
前記ポンプ部は、下部にスプリングが設けられていることを特徴とする請求項3記載の履物。

【図1】
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【図2】
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