説明

履物

【課題】足の締付け性を適格化しつつ、良好な通気性をもつ履物を提供する。
【解決手段】甲被2の内側に甲被2と空間を設けて足の装着手段を設け、足を固定する。足の装着手段は、締付帯5、6、30、31と形状可変部材8、9、10、甲パッド7及び牽引部材12、13を主要な要素として構成される。締付帯5、30及び6、31は、それぞれ形状可変部材8及び9、及び10によって架橋され、甲パッド7を懸架している。甲パッド7上にある形状可変部材8及び9、10の中点を牽引部材12、13で引いて装着手段の内径を変化させ、足の締付け具合を調節する。牽引部材12、13は、膨出部22を有し、甲パッド7に設けられた孔17、18を利用して締付け状態を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気性や開放性とフォーマル性の両立を図った履物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
足裏は、人体で特に多くの汗腺が分布しているところであるので、温暖な地域や熱帯地方では、足の甲を覆わずに紐やバンドで足を固定する履物(以下サンダルと記す)が、古くから着用されてきた。しかし、フォーマルな場や対面の場では、サンダルはタブーとされ、足の蒸れによる不快感を我慢して革靴が着用されている。そのため、足の甲を甲被で覆った履物の長時間着用による不快感を抑制するために、種々の改良が試みられている。例えば透湿防水性の材料を履物の甲被部材として用いたり、あるいは爪先や土踏まず部のアウトソールを開口し、外気を取り入れる構造のものが知られている(特許文献1)。この他、ヒール部にエアポンプや送風装置を設け、爪先部に換気管路を介して外気を強制的に送り込むものや(特許文献2)、両端が排水孔となっている水路を先芯の肉厚部内に形成し、該水路に沿って穿設した複数の導気孔と複数の通孔とにより該水路をそれぞれ靴外及び靴内へ連通させるとともに、液体水不透過性かつ水蒸気透過性の膜を該水路への該通孔の開口部に配設し、靴内への雨水侵入防止と靴内の通気性とを確保するものがある(特許文献3の図1及び図3)。
【0003】
一方で従来、履物の内側に足の固定手段に類するものを有する履物は、外反母趾など足の障害を抑制するためのものが提案されているが(特許文献4)、足の締付け具合を調整できるものはなかった。さらに履物内部の蒸れや悪臭の発生を防止するために、履物の内側に足の装着手段を設けて履物内部の通気性を向上させる試みはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−327706号公報
【特許文献2】特開平7−23802号公報
【特許文献3】特開2001−37503号公報
【特許文献4】特開2002−165611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のサンダル以外の履物は、甲被と足の固定手段が同一であるため、歩行安定性を得るためには甲被を足に密着させることが必須であった。そのため、履物の内部は密閉状態で高湿状態になることが多く、足蒸れや悪臭などの不快な問題を発生させていた。これを改善するために靴内部と外部とをつなぐ通気孔を設けても、サンダル履きほどの通気性や開放感が得られなかった。足蒸れや悪臭などの不快感を嫌ってサイズの大きめの靴を着用すれば、足の指先に障害が発生したり、靴が脱げ易くなる等の副作用があり、歩行の安全性・安定性に支障をきたすことがあった。
【0006】
本発明は、上述の問題点に鑑みなされたものであり、甲被で覆われた履物であってもサンダルのような履き心地とフォーマルな外形デザイン・足の被覆機能や高い歩行安定性とを両立可能な履物を提供することを課題とする。さらに足の動作状況に応じて足の締付け状態をダイナミックに変化させて、従来の履物には無い快適な機能を有する履物を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る履物の第1の特徴は、履物の甲側にあって前記履物の底に足を密着させる装着手段と、前記装着手段とは密着せずに装着手段の外側を覆う甲被とを備え、甲被に覆われて外部から直接的に足の締付け具合を調節できない前記装着手段に対し前記装着手段は足の締付け具合を調節可能とした。すなわち足の固定機能と履物の外形・被覆機能を分離した。
【0008】
この構成によれば、履物が足に密着する面積が減るので、熱や汗が放散され易くなる。さらに足と甲被との間に空間を設けることができるので、甲被材料に左右されずに蒸れた履物内部の空気が換気され易くなる。すなわち甲被材料は、通気性に関わる材質や厚み、コスト等の制約に左右されずに材料選択が可能となる。同時に、足の装着手段は、甲被7に依存せずに足の締付け具合を調節することができるので、歩行あるいは走行時でも高い安定性や安全性を得ることができる。さらに足のサイズの個人差や一日のうちで変化する足の大きさに対応して適宜、最適な足の締付け状態に調節できる。
【0009】
さらに好ましい態様において、前記装着手段は、少なくとも一部に紐状もしくは帯状の形状可変部を有し、前記履物の底及び/又は前記甲被側面に少なくとも一端を固定された足の締付部材を備えるものであって、前記形状可変部を変形させて足の締付け具合を調節する。すなわち形状可変部を足に対する周囲長(内径)方向とは異なる履き口方向に変形させて周囲長を変化させるか、もしくは周囲長そのものが伸縮するようする。この構成によれば、装着手段の内径を変化させることができるので、甲被の内側であっても容易に足の締付け具合を調節することが可能となる。つまり、締付け具合を調節するために足と甲被との間に大きな空間を必要とせずに、外観的にも優れた履物を提供することができる。
【0010】
さらに好ましい態様において、前記装着手段は、歩行時にほとんど変形しない足の甲の部分を覆う保形性を有する甲パッドを具備する。この構成によれば、締付部材による締付力が甲パッドを介して足に分散して加わるので、足に痛みを生じにくくなるとともに、足のホールド性が向上する。なお甲パッドは、材料の肉厚を薄くするなどして部分的に折り曲げ可能なものであってもよい。
【0011】
さらに好ましい態様において、前記甲パッドは、前記装着手段に対して脱着可能に構成されている。この構成によれば、履物の製造過程で甲パッドを外した状態で甲被を形成することができるので、靴型を用いて製造する従来の製法が適用でき、製造が容易である
【0012】
さらに好ましい態様において、前記甲パッドには、前記形状可変部の変形量を調節し保持する調節機構が具備されている。この構成によれば、強度や信頼性を要求される調節機構が、甲被に無関係に構成できるので、従来の甲被材や製法を大幅に変更する必要がない。また調節機構は甲被で隠すことができるので、外観上の制約なく調節機構を構成することができる。
【0013】
さらに好ましい態様において、前記調節機構は、前記形状可変部を前記履物の履き口方向に引き寄せる連行手段と、前記連行手段を甲パッドに係止する係止手段と、を有している。この構成によれば、適度な柔軟性を有するプラスチックや金属、木質材料及び複合材料などの保形性の材料で形成した甲パッドを調節機構の一部として利用することで、調節機構を少ない部品点数と十分な強度で構成できる。また、足と甲被の狭い空間内に調節機構を配設することが可能となる。さらに締付の調整方向が履き口に向かう足の長さ方向だけとなるので、足を踏ん張りながら片手で容易に締付け具合の調整が可能となる。
【0014】
さらに好ましい態様において、前記連行手段は紐状部材を含み、前記係止手段は、少なくとも前記紐状部材の特定部に特定部以外より大きな外径を有する膨出部と、前記甲パッドに設けられて爪先方向(=反履き口方向)への前記膨出部の移動を阻止する係止部とからなる。例えば、甲パッドに形状可変部近くから履き口近くに貫通する孔を設け、この貫通孔の履き口側の開口形状を前記膨出部が通過可能な大きな孔と通過できない小さい孔とを連結した構造とする。この構成によれば、前記紐状部材を大きな孔から小さい孔に移動することで、膨出部が小さい孔によって移動を阻止されるので、形状可変部の変形状態を所望のところで保持できる。さらに前記紐状部材の履き口側の端を前記形状可変部と紐状部材との結合点に結んで環状にすれば、片手の指1本で締付調節・解除が迅速・容易にできる。
【0015】
さらに好ましい態様において、前記甲パッドは、通気を可能とする複数の孔又は微細構造を有する。すなわち、保形性を有する甲パッドの全面に亘って通気や放湿を可能とする多数の孔や微細構造を形成してもよい。この構造によれば、足の甲から発散される熱や汗が、甲パッドによって放散を妨げられることが減るので、快適さが向上する。
【0016】
さらに好ましい態様において、前記履物の少なくとも爪先部に履物内部と外部とをつなぐ通孔を設けて通気する換気構造を有する。具体的には、アウトソールや甲被に通孔を設ける。この構造によれば、汗腺が多く、最も水虫になりやすい足指部分に冷涼低湿な外気が導入され易くなる。また足と甲被との間に確実にできる隙間が煙突の役目を果たし、歩行をしていない着座時でも爪先部に外気が常に流入する自然換気が行われるので、足指部分が常に快適に保たれ、水虫や悪臭を防止することができる。
【0017】
別の態様において、前記形状可変部の一部又は全部は、電気的に形状変形が可能な高分子複合構造体である。すなわち、前記締付部材の一部又は全部を電気的に伸縮可能な高分子複合構造体で構成する。この構成によれば、締付部材自体が電気的に1秒レベルの瞬時に伸縮するので、足の締付具合の調節を人が直接行わなくても、足の動きを自動検知してダイナミックに調節したり、手元の端末などから遠隔操作で調節したりすることができる。
【0018】
さらに好ましい態様において、前記高分子複合構造体は、少なくとも締付け時に波型状に変形して長さが縮むことで足の締め付け具合を調節する。すなわち、前記高分子複合構造体は、短冊状の高分子素子を長手方向に複数連結し、隣接素子を互い違いに逆方向に湾曲させる、あるいは各素子を同方向に電気的に湾曲させることで、素子全体の長さを伸縮させる。締付け時においては、前記高分子複合構造体と足とは、湾曲の頂点部で接することになるので、密着感・圧迫感を抑制することができる。また前記高分子複合構造体と甲被との対向関係についても同様になるので、通気空間が確保され易くなる。
【0019】
別の態様において、前記履物は、着座時を含む歩行スピードの違いを足の動きから検知する検出手段を備えており、前記装着手段は該検出手段からの信号に基づき足の締付け具合を変える電子的な制御手段を具備している。前記検出手段は、足の加速度や締付帯に掛かる応力を検出し、その度合いに応じた電気的出力を出力する。前記制御手段は、前記検出手段からの出力の大きさや単位時間当たりの頻度分布から、足の動きが今どのような状態なのかを識別し、その結果に基づいて前記高分子構造体の伸縮を自動調整する。
【0020】
この構成によれば、歩行を始めた時には足の締付け力を即座に強めて足と履物の一体感を高め、歩行の安定性を得ることができる。一方、着座して足の動きが止まった時には、足の締付け力を緩めて体温や汗の放散を促し、リラックス感を得られるようにできる。ここで述べた自動調整方法は、制御手段のソフトウェアにより様々に変更可能であることは、言うまでもない。
【0021】
本発明の他の態様において、履物は、履物の底と、履物の甲側にあって前記履物の底に足を密着させる装着手段と、前記装着手段の外側を覆う甲被とを備える。前記装着手段は、電気的に伸縮可能な高分子複合構造体と、前記履物に具備された操作部又は遠隔操作器からの設定情報に基づき前記高分子複合構造体に通電して足の締付け具合を電気的に調節する制御手段とを含む。これにより、装着手段による足の締付け具合を履物の外から簡単に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態1に係わる本発明の履物の構成を示す側面透視図である。
【図2】図1の履物における装着手段を示す平面透視図である。
【図3】図2の履物における後足部の横断面図である。
【図4】図2の履物における中足部の横断面図である。
【図5】本発明の実施形態1に係わる甲パッドの構成を示す平面図である。
【図6】本発明の実施形態2に係わる平面透視図である。
【図7】図6における締付帯の調整冶具を示す平面図である。
【図8】図6におけるスライダー型調節部を示す断面図である。
【図9】本発明の実施形態3に係わる平面透視図である。
【図10】図9の履物の構成を示す側面透視図である。
【図11】図9に係わる電気的に伸縮可能な締付帯の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。以下に示す形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明に限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更可能である。また、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率などを実際のものとは適宜に異なるものとなっている。また、いずれの図面においても本発明の内容が理解され得る範囲で詳細部分は省略した概略図としてある。なお、これらの図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。
【0024】
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1である本発明の足の装着手段を備えた履物の構成を示す側面透視図である。また図2は、甲被2の内側に設けられた前記装着手段の要部を示す平面透視図である。さらに図3、図4は、それぞれ図2のA−B線及びC−D線に沿って横断した横断面図である。
【0025】
図1〜図4において、200は履物全体を示し、履物200は概略的に、アウトソール1(本底)と、インソール3と、甲被(アッパー)2と、足の装着手段から構成されている。足の装着手段は、締付帯5、6、30、31と形状可変部材8、9、10、甲パッド7及び牽引部材12、13を主要構成要素とする。本発明の履物は足の固定機能と履物の外形・被覆機能とが分離されており、甲被1は足の固定機能を主体的に持たない。以下の説明では、皮革製紳士用ビジネスシューズを中心に本発明の詳細を述べるが、これに限定されるものではない。
【0026】
アウトソール1は、例えば革やポリウレタンなどの合成樹脂、弾力のある発泡素材で一体形成される。甲被2は、革や合成皮革、布などの材料が用いられ、甲被2の端部と締付帯5、6、30、31の端部がアウトソール1とインソール3と間に釣込まれて接着あるいは縫い合わされ、アウトソール1に固定されている。足の固定は、装着手段とアウトソール1と甲被2の後端部4とでなされるが、後端部4は必須のものではない。
【0027】
図2に示すようにアーチ型の前締付帯5と前締付帯30とは、形状可変部材8によって接続されている。締付帯や形状可変部材の材質は、合成繊維や革など通常ベルトや紐に使われるものを主材とするものでよい。図5は、甲パッド7の上面から見た平面図である。甲パッド7は、適度な柔軟性を有するプラスチックや金属、木質材料及び複合材料などの保形性の材料で形成される。甲パッド7は、鉤状突起14、37に形状可変部材8を引っ掛けて甲パッド前方部が懸架される。
【0028】
前足部と中足部の締め付け具合を調節するには、形状可変部材8における鉤状突起14、37の中間点部11を牽引部材13で履き口24側に引くことにより行う。締め付け具合を保持するには、牽引部材13の端部にある元々の牽引部材13の径より大きな外径を有する複数の膨出部22と、前記甲パッド7に設けられた前記膨出部22の移動を阻止する係止部とを設けて牽引部材13の移動を制限する。例えば、甲パッド7に形状可変部材8の中間点部11の近くから履き口近くに繋がる孔19、18を設け、この孔のうち爪先側の孔19の開口形状を前記膨出部が通過可能な大きな孔とし、履き口側の孔18の開口形状を前記膨出部が通過できない小さい孔18a(図5)と前記膨出部が通過できる大きな孔18b(図5)とを設け、両者の接触箇所で相互に連結した構造とする。そして、牽引部材13の位置を保持する場合は、牽引部材13を小さい孔18a側に動かし、小さい孔18aの周縁への膨出部22の当接により膨出部22の移動を阻止する。逆に牽引部材13を出し入れする場合は、牽引部材13を大きい孔18b側に動かす。牽引部材13は、牽引部材12と同様に環状にしてもよく、その場合には、端を中間点部11に戻して結わえる。
【0029】
同様に後締付帯6と後締付帯31とは、形状可変部材9、10によって接続されている。甲パッド7は、鉤状突起15、35と16、36に形状可変部材9、10をそれぞれ引っ掛けることで甲パッド後方部が懸架される。そして形状可変部材9、10を鉤状突起15、35と16、36の中間点部38で一つにまとめて牽引部材12で履き口24側に引くことにより、後足部の締め付け具合を調節する。牽引部材12は、中間点部38に戻るように環状に構成されているので、環状の牽引部材12に指を掛けることで指一本で締付け具合を調整できる。
【0030】
牽引部材12の位置を保持する場合は、牽引部材12を孔18と同様に小孔17aと大孔17bとを両者の接触箇所で連結した孔17の小さい孔側に動かし、孔17で膨出部21の移動を阻止する。逆に牽引部材12を出し入れする場合は、牽引部材12を大きい孔側に動かす。
【0031】
なお前記膨出部は、硬質のプラスチックや金属、ゴムなどを用いて形成されるが、牽引部材と一体形成されたものや、別個に形成され牽引部材に取り付けられたもの、あるいはそれらを組み合わせたものが考えられる。本発明ではいずれの方法で形成されたものでもよいが、次に例示する牽引部材と一体形成されたものが好適である。
【0032】
第1の例は、11ナイロンやポリプロピレンなどの適度な柔軟性と引っ張り強度を有する樹脂を用いて、紐と膨出部とを一体成型したものである。膨出部は予め所定の位置に複数形成されている。この場合、図2の係合部38における紐端部の留め具も一体形成でき、コスト面で有利である。
【0033】
第2の例は、ゴム質の芯材の外周を伸縮し難い糸で編んで覆った構造の伸縮可能なもので、編み方を部分的に変えることで膨出部を形成できるようにしたものである。この複合ゴム紐は、引っ張った力に応じて膨出部が縮小し、放置すれば膨出部が形成される。本発明の牽引部材として芯材に適度な弾力を有するゴム材を使用すれば、足の動きや足の大きさの変化に応じた締付け具合の微妙な調整が自然に行われることになり、履き心地が向上する。
【0034】
上記一体形成以外の例としては、(第3の例)紐に対して挟み込み構造をもつ金属珠をかしめて紐の所定部位に固定したものや、(第4の例)紐の所定部位2ヶ所に固定膨出部を設け、中心に貫通穴を有して、貫通穴に紐13を通して移動可能な複数の球状体を前記固定膨出部間に数珠状に設けたものが例示される。牽引部材は、任意の球状体間で小孔に移動できるように前記前記固定膨出部間には、算盤のようにすべての球状体が移動可能な紐の長さを有する。この場合の紐は、ポリエステル、ナイロン、革などの伸縮し難い材質であることが好ましい。
【0035】
図3、図4は、それぞれ図2のA−B線及びC−D線に沿って横断した横断面図である。図3において甲パッド7の上部には空洞部53、54が設けられ、また、図4において甲パッド7の上部には空洞部55が設けられている。図5に示すように、空洞部53の履き口部24側及び反履き口部24側の端はそれぞれ孔17,20となっている。空洞部54,55は相互に連通し、空洞部54の履き口部24側の端は孔18となり、空洞部55の反履き口部24側の端は孔19となっている。空洞部53、54が甲パッドの頂部変曲部分にあることで、甲パッドの強度が高められ、甲パッド7をより薄肉軽量化することができる。
【0036】
また空洞部53、54を形成する甲パッド7の膨らみは、甲被2と甲パッド7の間にある空間52を確保するための支えの役割を担う。空間52は、履物200内の足首より前方の足部分の上面と甲被2の内面との間に形成され(図3及び図4)、履物200内の爪先部25の空間部分(図1)を履き口部24へ連通させて、履物内部の高湿な空気を履き口部24へ導く排出経路となるとともに、足と甲被2とを接触させ難くする緩衝空間となる。前述の特許文献4(特開2002−165611号公報)の履物は、履物内部における爪先部空間を広げて、甲被の内面と足の爪先との間の空間について示唆するものの、足を履物内へ入れた状態で爪先から足首までの足範囲の空間、すなわち爪先部の高湿な空気を履き口部へ導く排出経路を形成することは開示していない。
【0037】
空洞部53、54には、それぞれ牽引部材12、13が通っている。牽引部材12は、甲被2と甲被2の裏側に取り付けられた懸架帯51の間の空間を通って中間点部38につながっている。これにより甲パッド7は、甲被2に吊り下げられた構造となるため、履物を履く際に甲パッド7が足先に引っ掛からないようにできる。
【0038】
さらに甲パッド7の足に接する内側の部分は、通気性がよく体圧分散効果の高い編織布やスポンジ材を取り付けて、履き心地をよくしてもよい。また甲パッドの全面に亘って通気や放湿を可能とする多数の孔や微細構造を形成してもよい。このような構造にすることで、足の甲から発散される熱や汗が、甲パッドを透過して空間52に放散されるので、快適さが向上するとともに足の甲が湿った甲パッドで擦れて痛むことを防止できる。
【0039】
さらに履物の爪先部25に外部に繋がる換気口を設けておけば、履き口24は前記換気口より高い位置になるので、煙突効果により前記換気口には負圧が働き、空気の自然換気が行われる。さらに歩行時には、足の動きによる爪先部25の空間容積が変化するふいご作用により、前述の空間52を介した換気の他に、前記換気口を経由した積極的な吸排気が行われ易くなる。これにより、履物内部には常に新鮮な外気が導入されるようになるので、蒸れによる履物内部の不快感が大幅に軽減されることになる。
【0040】
図4では、締付帯5、6、30、31の端部がアウトソール1とインソール3ならびに中底50と間に釣込まれて接着あるいは縫い合わされ、アウトソール1に固定されている様子が示されている。これにより、牽引部材12、13を履き口24側に引くことで締付帯の内径が縮小することになり、甲パッド7がアウトソール側及び後端部4側に引き付けられて、履物に足が固定される。
【0041】
なお図5に示す甲パッド7は、金型を用いてプラスチックや軽量金属、複合材料などの軽量で剛性のある材料を一体成型して作られる。このため、一体成形時に実施形態3に説明する履物に搭載する電子装置や部品等を実装する構造を作り込むことが容易にできる。
【0042】
[実施形態2]
図6は、本発明の実施形態2である足の装着手段を備えた履物の構成を示す平面透視図である。図7は、前足部と中足部の締め付け具合を調節する調節冶具を示す図である。図8は、後足部の締め付け具合を調節するスライダー型調節部を示す断面図である。実施形態2は、実施形態1に対し形状可変部の変形量を調節し保持する調節手段が異なるものであり、共通部分の説明は省略する。
【0043】
図6、図8において、甲パッド7には、魚骨状のスライダー溝が甲パッド7の上面に刻設されている。該スライダー溝は、図8に示すように、前後方向へ延びる倒立T字型横断面を有する1つの中心溝94と、中心溝94に沿って一定間隔の複数の箇所において中心溝94から左右へ張り出す複数の枝溝97とを有している。これに対し、スライダー90は、図8(c)に示すように、中心溝94の横断面輪郭に一致する横断面の倒立T字型突起93を複数、備えている。スライダー90は、その複数の突起93を中心溝94に嵌入されて、中心溝94の案内により前後方向へ摺動する。
【0044】
図8(a)、(b)は、それぞれ図6のスライダー型調節部をE−F線、G−H線で切断した縦断面図、横断面図を示す。図8(c)、(d)は、それぞれ甲パッド本体側から見たスライダー90の斜視図、E−F線の切断面から見た枝溝97と中心溝94を示す斜視図である。スライダー90は、中心溝94に沿って移動するが、倒立T字型突起93は先端の断面形状が大きくなっているため、スライダー溝から外れ難くなっている。スライダー90は、倒立T字型突起93と枝溝97の位置が合ったとき、枝溝97に沿って左又は右へ移動し図8(a)のように枝溝97と嵌合して、前後方向位置を固定される。
【0045】
スライダー90には、形状可変部材9、10の中間部を一緒に連行するために通す連行溝91、92が設けられている。スライダー90の上部には、スライダー90を片手で操作し易くするための引き革96が設けられている。引き革96は、スライダー90と丈夫な糸98で縫い止めされている。足の締付け具合を調節するには、履き口24に出ている引き革96の端部を指先で摘んで引き出す。丁度よい締付け位置に来たら、引き革96を左又は右に引き、スライダー90の倒立T字型突起93の位置を枝溝97に一致させてからスライダー90を枝溝97に移動させることで、スライダー位置を保持させることができる。枝溝97及び倒立T字型突起93は、スライダー90の枝溝97への出し入れがスムーズに行えるように中足部方向に円弧を描くように形成されていてもよい。
【0046】
図7(a)に示すE字型の締付け調節冶具80は、実施形態1における前足部と中足部の締め付け具合を調節する牽引部材13に関係する構成要素に代わるものである。前足部と中足部の締め付け具合は、履物を最初に履き始めるときに調整すれば、その後の調整変更はほとんど必要ない。したがって形状可変部8の長さを調節するためには、図7(a)に示す爪81の間隔W1とW2と合わせた長さ(通常はW1=W2)が異なる複数の締付け調節冶具80を用意しておき、履物の使用者に合った冶具を選び装着すればよい。締付け具合の調節の仕方は、図7(b)に示すように形状可変部材8を鉤状突起14と37との間で締付け調節冶具80を絡ませて調節する。この時、形状可変部8の左右方向重複長さが中央の爪81の幅及びW2により変化するので、締付け調節冶具80を交換することにより形状可変部8の締め付け具合を調整することができる。
【0047】
なお、締付け調節冶具80は、形状可変部材8と甲パッド7に挟まれて、外れることはない。また、図7に示す締付け調節冶具80は、実施形態1においても適用できることは言うまでもない。
【0048】
[実施形態3]
図9は、本発明の実施形態3である形状可変部の一部又は全部を電気的に伸縮可能な高分子複合構造体(電気変形素子)とした履物の構成を示す平面透視図である。第1及び第2の実施形態では、物理的な力を用いて連行手段(紐あるいはスライダ―)と該連行手段のユーザー操作部を履き口部に配設して、ユーザーが該操作部を操作して、ユーザーが直接調整できない形状可変部の締付量を調整する。同様に、本発明の実施形態3では、電子的手段である導線132と制御手段130及びユーザー操作部135を履き口部に配設して、ユーザーが該操作部を操作して、ユーザーが直接調整できない形状可変部の高分子複合構造体を通電伸縮させることによって締付量を調整する。ユーザー操作部135は、ボタンスイッチが例示される。制御手段130は、ユーザー操作部135からの信号を受けて、内蔵されたソフトウェアでデジタル制御された電気出力を導線132を経由して高分子複合構造体に印加する。
【0049】
本発明の実施形態3では、ユーザー操作部135の機能拡張が容易であり、ユーザー操作部135の補助手段として検出手段134や遠隔操作器140を具備していてもよい。
検出手段134としては、足の加速度を検出する加速度センサが好適である。また前記高分子複合構造体には、外的応力に応じて電圧を発生するものがある。該高分子複合構造体は、締付帯に用いれば歩行時に足から締付帯に加わる力に応じた電圧を発生するので、歩行状態を識別するための検出手段として兼用することができる。
【0050】
この構成によれば、実施形態1、2では得られない効果を得ることができる。すなわち、足の締付具合の調節をユーザーが行なう他に、着座時を含めた歩行スピードの違いを足の動きから検知してダイナミックに締付具合を自動調節したり、手元の遠隔操作器140から制御手段130に無線や人体通信を用いて制御情報を送ることにより締付具合を調節したりすることが可能となる。
【0051】
高分子複合構造体とは、ポリピロール、ポリアニリン、アクリルエステル化合物などの導電性高分子に見られる電気化学的な酸化還元などによって伸縮あるいは変形するものをいう。近年、電気的エネルギ−を運動や変形に変換する場合に変換部の体積をほとんど必要としないエレクトロアクティブアクチュエータが開発されている。例えば誘電性エラストマやエレクトロアクティブポリマーを用いたものがある(特開2005−149894号公報)。
【0052】
エレクトロアクティブポリマーの中でも、イオン伝導性アクチュエータ並びに導電性高分子アクチュエータは、高分子と金属電極を積層した柔軟なアクチュエータ素子であり、2〜5V程度の低電圧で素早く屈曲や伸縮が可能であるとともに、発生力が大きく耐久性があり、かつ軽量で形状成形の自由度が高いので、本発明の形状可変部材や締付部材として好適である。さらに高分子複合構造体において、常温溶融塩を含有させた(ゲル状)固体電解質を用いてドライ化させたものや、電極に炭素微粒子やカーボンナノチューブを混ぜた高分子電極に金属電極で裏打ちして低抵抗化したものがより好ましい。
【0053】
図11は、本発明における高分子複合構造体の構造例を示す図である。図11(a)は、シート状導電性高分子60を電極61と対向電極62とで狭持したものを一つの素子とし、シート状導電性高分子の長手方向に複数の素子を連続してつなげた高分子複合構造体を示す。図11(b)は、図(a)に対し電極が交互に接続されるようにつなげて電圧を印加した場合の湾曲した高分子複合構造体を示す。電極に電圧を印加すると、各素子は交互に逆方向に湾曲するので、印加電圧に応じて高分子複合構造体の長さが縮む。また電圧印加を止めても形状は保持される。逆電圧を印加すれば、元に戻る。
【0054】
図11(c)は、シート状導電性高分子の同一面にある電極間を接続し、各素子に同極性の電圧を印加した場合を示す。本発明の履物に適用する場合は、電極の印加方法や電極形状は、履物の適用する場所に応じて適宜(b)、(c)を組み合わせたり、変形してよい。締付け時においては、前記高分子複合構造体と足とは、湾曲の頂点部で接することになるので、密着感・圧迫感を抑制することができる。また前記高分子複合構造体と甲被との対向部についても同様になるので、通気空間が確保され易くなる。また特に高分子複合構造体自体が伸縮する場合は、足との接触面積の少ないメッシュ状あるいは波型状の表面を有するソフトカバー材で高分子複合構造体を覆うことが好ましい。
【0055】
図9に示すように実施形態3では、実施形態1、2で示した形状可変部材8、9、10、32、33、34と締付帯5、6、30、31の代わりに電気的に伸縮可能な高分子複合構造体122、123が締付部材となる。甲パッド128は、甲パッド128に設けられた対向する鉤状突起124、125並びに126、127によって高分子複合構造体122、123に脱着および摺動可能な状態で取り付けられる。さらに甲パッド128は、実施形態1と同様に甲被2に付けられた懸架帯で吊り下げられるようにしてもよい。高分子複合構造体122、123は、すべての部位が同率で伸縮する必要はなく、甲パッド128上にある部分を最も高い伸縮率とすることが好ましい。伸縮率の調整は、高分子複合構造体の各素子の大きさを変えたり、印加電圧を変えることで実現される。
【0056】
図9、図10において、高分子複合構造体122、123は、薄型の電池123を電源として制御手段130からの制御電圧を導線132、133及び図示してないがコネクタを介して甲パッド128と高分子複合構造体122、123が接続されることで湾曲もしくは伸縮し、足の締付け具合を変える。電池123は、ボタン型一次電池やペーパー電池が薄く軽量で実装上好適であるが、他の形式の一次電池や二次電池、燃料電池やペルチェ素子等を利用した発電装置と蓄電装置を組み合わせたものであってもよい。制御手段130は、足の動きを検出する検出手段134からの信号に基づき歩行状態や着座時を識別して、足の締付け具合をダイナミックに自動調整する。
【0057】
また、制御手段130は、遠隔操作器140から無線又は人体通信を用いて、高分子複合構造体制御の基本設定情報や足の締付け具合の手動操作情報を受信して内蔵の(不揮発性)メモリに記憶し、高分子複合構造体122、123を制御する。通信では、靴紐141や甲パッド128にアンテナ線を埋め込んでもよい。これによって、乗り物や大ホールなどの狭い座席や会議の席などで、履物に指を掛けることなく足の締付け具合を遠隔調節することができるようになる。また、従来ブーツのような足の固定が十分できない履物においても、ブーツを履いたままで足の締付け具合を遠隔調節できるようになり、歩行の安定性を向上できる。
【0058】
なお制御手段130や検出手段134、電池129などの耐湿性や信頼性が要求される電子部品は、プラスチックや金属で一体形成された甲パッド128で保護されるように実装されることが好ましい。すなわち甲パッド128に電子部品の格納スペースや配線構造を設け、電子部品が履物の使用条件に影響を受け難いようにする。さらに甲パッド128と電子部品とを一体にしたモジュールにすれば、履物本体とは別工程で製造でき、生産性に優れたものとなる。
【0059】
以上、本発明の甲被を備えた履物の内部に足の締付け具合が調節可能な足の装着手段を備えた履物の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されず種々の変形、組み合わせが可能である。例えば、装着手段における締付帯の本数や形状は、履物の用途やデザインに合わせて適宜変更してもよい。また締付帯と形状可変部とは、連続した材料を用いて一体形成されたものであってもよい。連行手段を係止する手段は、両手で操作する公知の係止手段を用いてもよい。
【0060】
さらに別の変形例として、本発明の実施形態1〜3では、締付帯の端部がアウトソール1とインソール3と間に釣込まれて接着あるいは縫い合わされ、アウトソール1に固定されている例を示したが、甲被2の内側側面部に締付帯の端部が固定されていてもよい。すなわち、履物内部に設けられた装着手段の締付け具合が調節できること、さらに甲被と装着手段との間に履物内部の高湿な空気を排出する空間を確保できれば、どのように変形してもよい。
【0061】
さらにマイクロエレクトロニクス技術を用いて電子的な制御を知能化することにより、よりきめ細かな装着制御が可能になる。また知能制御部を共用して装着制御以外の機能を装備することも容易になる。図9に示す甲パッドに電子装置を搭載する本発明の実装方法は、履物に各種の電子装置を実装して様々な有用な機能や効果を実現する場合に応用可能である。例えば無線通信機能や表示機能、発電・蓄電機能、健康管理・増進機能などが挙げられる。
【0062】
また本発明は、ビジネスシューズや安全作業靴などフォーマル性や足の被覆保護が要求される履物だけでなく、ファッション性が重視されるパンプスやハイヒールなどの婦人用履物やブーツ、耐久性や耐候性が強く要求される登山靴やウォーキングシューズ、スポーツシューズなどの履物に幅広く適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1・・・・ アウトソール(本底)
2・・・・ 甲被(アッパー)
3・・・・ インソール
4・・・・ 後端部
5、30、122・・・・ 前締付帯
6、31、123・・・・ 後締付帯
7、128・・・・ 甲パッド
8、9、10、・・・・ 形状可変部
12、13・・・ 牽引部材
14、15、16、35、36、37・・・鉤状突起
124、125、126、127・・・鉤状突起
17、18、19、20・・・ 孔
21、22・・・ 膨出部
23・・・ 靴紐
24・・・ 履き口部
25・・・ 爪先部
50・・・ 中底
51・・・ 懸架帯
53、54、55・・・ 空洞部
60・・・ シート状導電性高分子
61、62、63、64、65、66・・・ 電極
80・・・ 締付け調節冶具
90・・・ スライダー
94・・・ 中心溝
91・・・ 連行溝
97・・・ 枝溝
96・・・ 引き革
129・・・ 電池
130・・・ 制御手段
135・・・ ユーザー操作部
134・・・ 検出手段
140・・・ 遠隔操作器
200・・・ 履物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物の底と、履物の甲側にあって前記履物の底に足を締付けて密着させる装着手段と、前記装着手段の外側を覆う甲被とを備え、前記装着手段は足の締付け具合が調節可能であることを特徴とする履物。
【請求項2】
前記装着手段は、少なくとも一部に紐状又は帯状の形状可変部を有し、前記履物の底及び/又は前記甲被側面に少なくとも一端を固定された足の締付部材を備えるものであって、前記形状可変部を変形させて足の締付け具合を調節することを特徴とする請求項1記載の履物。
【請求項3】
前記装着手段は、前記形状可変部に組付けられて足の甲を覆う甲パッドを具備することを特徴とする請求項2記載の履物。
【請求項4】
前記甲パッドは、前記装着手段に対して脱着可能に構成されていることを特徴とする請求項3記載の履物。
【請求項5】
前記甲パッドは、保形性を有するとともに、前記形状可変部の変形量を調節し保持する調節機構が具備されていることを特徴とする請求項3記載の履物。
【請求項6】
前記調節機構は、前記形状可変部を前記履物の履き口方向に引き寄せる連行手段と、前記連行手段の特定部を甲パッドに係止する係止手段と、を有していることを特徴とする請求項5記載の履物。
【請求項7】
前記連行手段は紐状部材を含み、前記係止手段は、少なくとも前記紐状部材の特定部に特定部以外より大きな外径を有する膨出部と、前記甲パッドに設けられて前記膨出部の移動を阻止する係止部とからなることを特徴とする請求項6記載の履物。
【請求項8】
前記甲パッドは、通気を可能とする複数の孔又は微細構造を有することを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の履物。
【請求項9】
前記履物の少なくとも爪先部に履物内部と外部との間を通気する換気構造を有することを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載の履物。
【請求項10】
前記形状可変部の一部又は全部は、電気的に形状変形可能な高分子複合構造体であることを特徴とする請求項2記載の履物。
【請求項11】
前記高分子複合構造体は、少なくとも締付け時に波型状に変形して足の締め付け具合を調節することを特徴とする請求項10記載の履物。
【請求項12】
前記履物は、足の動きを検出する検出手段を備えており、前記装着手段は前記検出手段からの信号に基づき足の締付け具合を変える制御手段を具備していることを特徴とする請求項10又は11記載の履物。
【請求項13】
履物の底と、
履物の甲側にあって前記履物の底に足を密着させる装着手段と、
前記装着手段の外側を覆う甲被と、を備えた履物であって、
前記装着手段は、
電気的に伸縮可能な高分子複合構造体と、前記履物に具備された操作部又は遠隔操作器からの設定情報に基づき前記高分子複合構造体に通電して足の締付け具合を電気的に調節する制御手段とを含むことを特徴とする請求項1記載の履物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−201069(P2010−201069A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52104(P2009−52104)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(507223166)
【Fターム(参考)】