説明

嵌め殺しサッシ

【課題】嵌め殺し障子を簡単に枠に固定できると共に脱着自在な嵌め殺しサッシを提供する。
【解決手段】上枠7の呑み込み溝13の室外側溝壁には嵌め殺し障子の上端部5aの室外側面に当接するタイト材15が設けてあり、下枠9の呑み込み溝17の室外側溝壁17には嵌め殺し障子の下端部5bの室外側面に当接するタイト材15が設けてあり、左右の竪枠11は各々内周側に突設した突設部19と、突設部19の室内側で見込み面の上下方向中間部に設けた係合部25とを有し、竪枠11の突設部19の室内側面にはタイト材23が設けてあり、嵌め殺し障子の竪框21は各々見込み面の上下方向中間部に被係合部39を有し、嵌め殺し障子5をけんどん方式で枠3に組み込んだときに、嵌め殺し障子の各被係合部39が各々竪枠の係合部25を乗り越えると共に竪框21がタイト材23を介して竪枠11の突設部19に当接して、枠内に嵌め殺し障子を固定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵌め殺しサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、嵌め殺し障子の周囲部を上下左右の枠に当接させて配置し、押縁を上下左右の枠に係止して嵌め殺し障子を枠に固定することが開示されている。
また、嵌め殺し障子をけんどん方式で枠に取付けて、ねじ等で枠に固定することが公知である(公知技術1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−146510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の嵌め殺しサッシは、上下左右の枠に各々押縁を取付けて嵌め殺し障子を枠に固定するものであるから、嵌め殺し障子の取付けに手間がかかるという問題がある。
公知技術1では、例えば、二重サッシにおいて内窓と外窓との間の清掃やメンテナンスの為に嵌め殺し障子を脱着するが、嵌め殺し障子の脱着に手間がかかるという問題がある。これに対して、嵌め殺し障子にグレモンロック装置を設けて嵌め殺し障子を脱着自在に枠に固定することが考えられるが、構造が複雑になると共に高価になるという不都合がある。
【0005】
そこで、本発明は、嵌め殺し障子を簡単に枠に固定できると共に脱着自在な嵌め殺しサッシの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、枠と、嵌め殺し障子とを備え、枠は上枠と下枠と左右の竪枠を有し、上枠は嵌め殺し障子の上端部を呑み込む呑み込み溝を有し、上枠の呑み込み溝の室外側溝壁には嵌め殺し障子の上端部の室外側面に当接するタイト材が設けてあり、下枠は嵌め殺し障子の下端部を呑み込む呑み込み溝を有し、下枠の呑み込み溝の室外側溝壁には嵌め殺し障子の下端部の室外側面に当接するタイト材が設けてあり、左右の竪枠は各々室外側で内周側に突設した突設部と、突設部の室内側で見込み面の上下方向中間部に設けた係合部とを有し、竪枠の突設部の室内側面にはタイト材が設けてあり、嵌め殺し障子の竪框は各々見込み面の上下方向中間部に被係合部を有し、嵌め殺し障子をけんどん方式で枠に組み込んだときに、嵌め殺し障子の各被係合部が各々竪枠の係合部を乗り越えると共に竪框がタイト材を介して竪枠の突設部に当接して、枠内に嵌め殺し障子を固定していることを特徴とする嵌め殺しサッシである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、けんどん方式で嵌め殺し障子を枠に固定できるので、嵌め殺し障子の固定が簡単である。
嵌め殺し障子はけんどん方式で枠に組み込んだときに、嵌め殺し障子の竪框と竪枠とを係合により固定しているので、嵌め殺し障子を取外すときにはけんどん方式で外すことができ、嵌め殺し障子の脱着が自在である。しかも、竪枠に係合部を設け、嵌め殺し障子の竪框に被係合部を設けるだけであるから、安価であると共に構成も簡易である。
枠の係合部と嵌め殺し障子の被係合部とは嵌め殺し障子の上下方向中間部で係合する構成であるから、障子の上下方向の反りが防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係る嵌め殺しサッシの図であり、(a)は嵌め殺しサッシの横断面図であり、(b)は(a)で示すA部の拡大図であり、(c)は(a)に示す竪枠の一部を枠の内周側から見た側面図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる嵌め殺しサッシの縦断面図である。
【図3】障子に固定する係合部材の図であり、(a)は正面図であり、(b)は側面図であり、(c)は底面図である。
【図4】本実施の形態に係る嵌め殺しサッシを室内側から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1(a)及び図2に示すように、本実施の形態に係る嵌め殺しサッシ1は、二重窓の内窓である。
嵌め殺しサッシ1は、枠3と、嵌め殺し障子5とを備えており、枠3は上枠7と下枠9と左右の竪枠11、11とから構成されている。
図2に示すように、上枠7には嵌め殺し障子5の上框(上端部)5aを呑み込む呑み込み溝13が設けてあり、この呑み込み溝13は、嵌め殺し障子5をけんどん方式で取付ける為の深さを有している。呑み込み溝13の室外側溝壁13aには溝の開口部にタイト材15が取付けてあり、タイト材15の先端は溝内に位置して、タイト材15が呑み込み溝13内で上框5aの室外側面に当接している。
下枠9には、嵌め殺し障子5の下框(下端部)5bを呑み込む呑み込み溝17が設けてあり、この呑み込み溝17の室外側溝壁17aにも、溝の開口部にタイト材15が取付けてあり、タイト材15の先端は呑み込み溝17内に位置して、タイト材15が呑み込み溝17内で下框(下端部)5bの室外側面に当接している。
【0010】
図1(b)に示すように、左右の竪枠11、11の室外側には、内周側に突設した突設部19が設けてあり、嵌め殺し障子5の竪框(左右側部)21の室外側面を受けている。竪枠11の突設部19には室内側面にタイト材23が設けてあり、嵌め殺し障子5の竪框21の室外側面に当接している。
図1(b)及び(c)に示すように、左右の竪枠11の見込み面には、上下方向の略中央部に係合部材(係合部)25が固定されている。尚、図3に示すように、竪枠11には上下位置に合計2つの嵌合孔27、29が形成されており、係合部材25は上下の2つの嵌合孔27、29に嵌合することにより固定している。
係合部材25は、図1(c)及び図3に示すように、正面が上下方向に長い長方形状をしており、裏面の上下位置にねじ止め突部31と嵌合突部33が形成されている。図3に示すように、ねじ止め突部31は、ねじ固定部32の裏面に位置し、図1(b)に示すように、ねじ止め突部31のねじ孔35にねじ37をねじ込むとねじ止め突部31の先端部が押し広げられて上嵌合孔27の孔径よりも大きくなって、竪枠11に固定される。
【0011】
嵌め殺し障子5には、竪框21の見込み面に被係合部材(被係合部)39が固定されている。被係部材39は、図3に示す係合部材25と同種のものであり、係合部材25の上下を逆にして固定してあり、即ち、係合部材25のねじ固定部32を下にして、竪框21に形成してある上下の嵌合孔に固定している。即ち、図1(c)に示すように、被係合部材39は上部に位置する嵌合突部33を竪框21に形成してある嵌合孔に嵌めこみ、下部に位置するねじ止め突部31を嵌合孔に嵌めて、ねじ固定部32でねじ止め突部31にねじ37をねじ込んでねじ止め突部31を押し広げることにより竪框21に固定してある。
【0012】
ここで、係合部材25と被係合部材39との位置関係について説明する。図1(c)に示すように、係合部材25は上部にねじ固定部32があり、被係合部材39は下部にねじ固定部32があり、係合部材25のねじ固定部32と被係合部材39のねじ固定部32とが係合するようになっている。
また、被係合部材39は係合部材25よりも室外側に位置していると共に係合部材25の上端と、被係合部材39の下端との間隔は寸法Mを有しており、嵌め殺し障子5をけんどん方式により枠3に取り付けるときに、係合部材25に対して寸法Mだけ被係合部39が上になるように嵌め殺し障子5を持ち上げれば、被係合部材39が係合部25を越えて室外側に位置して係合部材25に係合することができる。
図2に示すように、嵌め殺し障子5の左右の竪框21、21の室内側面には上下方向略中に取手41が設けてあり、係合部25及び被係合部39は取手41の上下方向略中間の位置に設けられている。
【0013】
次に、本実施の形態にかかる嵌め殺しサッシにおける嵌め殺し障子5の取付け方法及び作用及び効果について説明する。
嵌め殺し障子5を取付けるときには、嵌め殺し障子5の取手41をもって、嵌め殺し障子5の上端部を上枠7の呑み込み溝13に室内側から挿入するように障子5を持ち上げてけんどん方式で枠3に装着する。
嵌め殺し障子5を持ち上げるときには、嵌め殺し障子の被係合部材39の下端が竪枠11に固定してある係合部材25の上端を越えるように上方に持ち上げて、被係合部39を係合部25よりも室外側に位置させてから、嵌め殺し障子を下げる。これにより、図1(b)(c)に示すように、嵌め殺し障子5に固定した被係合部材39が竪枠11に固定した係合部材25の室外側で係合部材25に係合する。
【0014】
本実施の形態によれば、嵌め殺し障子5をけんどん方式で枠3に固定できるので、嵌め殺し障子5の固定が簡単である。また、嵌め殺し障子5を枠3から外すときにもけんどん方式で簡単に外すことができる。
竪枠11に固定した係合部材25と嵌め殺し障子5に固定した被係合部材39とは嵌め殺し障子5の上下方向中間部で係合する構成であるから、障子5の上下方向の反りが防止できる。
【0015】
係合部材25の上部にあるねじ固定部32と、被係合部材39の下部にあるねじ固定部32とが互いに係合するようにしているので、嵌め殺し障子5をけんどんするときに係合部25と被係合部材39がぶつかった場合でも係合部材25や被係合部材39に回転モーメントが生じ難い。したがって、係合部材25や被係合部材39の位置がずれるのを防止できる。
また、係合部材25は竪枠11に設けてある嵌合孔27、29にねじ止め突部31と嵌合突部33とを嵌合して取付けてあり、被係合部材39も竪框21に設けてある嵌合孔に嵌合して取付けるから、係合部材25及び被係合部材39が容易に取付けできる。
係合部材25及び被係合部材39は各々、2つの嵌合突部31、33を嵌合して取付けているから、けんどん方式によりは嵌め殺し障子5を枠3に脱着するときに係合部材25と被係合部材39とがぶつかったときに、係合部材25や被係合部材39が回転して位置を変えるのを防止できる。
図1(c)に示すように、係合部材25の上部と被係合部材39の下部とを係合するようにしているので、嵌め殺し障子5をけんどんするときの持ち上げ寸法は、嵌め殺し障子5の固定位置よりも寸法Mだけあれば良いので、上枠7の呑み込み溝13の深さを大きくしないで済み且つ嵌め殺し障子5をけんどんするときの持ち上げ寸法を少なくすることができる。
【0016】
係合部材25は嵌合突部33を竪枠11に嵌合してねじ止め突部31をねじ37で止めており、同様に被係合部材39も嵌合突部33を竪框21に嵌合してねじ止め突部31をねじ37で止めしているので、係合部材25及び被係合部材39をねじ37で止めるときにこれらの部材の回転を防止でき、取り付け易い。
係合部材25と被係合部材39とは、同種の部品を用いているので、部品種類を少なくできる。
係合部材25と被係合部材39とは嵌め殺し障子5の上下方向中間部に位置しているから、嵌め殺し障子5の上下方向中間部が室内側に突出するような上下方向の反りがあり、係合部材25が被係合部材39の室外側にうまく位置しない場合には、嵌め殺し障子5の取手41を持って嵌め殺し障子5を室外側に押し付けることにより反りを矯正した状態にして係合部材25の室外側に被係合部39を位置させることができる。
【0017】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、係合部材25はねじ止め突部31をねじ37で押し広げて嵌合孔27に固定することに限らず、係合部材25の上部をねじの螺合により竪枠11に直接固定するものであっても良い。同様に、被係合部材39も下部をねじの螺合により竪框21に直接固定するものであっても良い。
係合部材25にはねじ止め突部31を設けないで、2つ嵌合突部33のみを設けて竪枠11の各嵌合孔27、29に嵌合だけで取付け、同様に被係合部材39も2つの嵌合突部33のみを設けて竪框21の嵌合孔に嵌合だけで取付けるものであっても良い。この変形例によれば、係合部材25及び被係合部材39は嵌合のみにより容易に取付けできる。また、係合部材25及び被係合部材39は複数個所で嵌合しているから、けんどん方式によりは嵌め殺し障子5を枠3に脱着するときに係合部材25と被係合部材39とがぶつかったときに、係合部材25や被係合部材39が回転して位置を変えるのを防止できる。尚、この変形例では、嵌合突部33及び嵌合孔27,29は各々2つに限らず、3つ、4つ等いくつでも良く、数は制限されない。
竪枠11と別体の係合部材25を取付けることに限らず、竪枠11に一体に突設部を形成したものであっても良い。同様に、嵌め殺し障子5に設けた被係合部39も嵌め殺し障子に一体に突設部を形成するものであって良い。
【符号の説明】
【0018】
1 嵌め殺しサッシ
3 枠
5 嵌め殺し障子
7 上枠
11 竪枠
13 上枠の呑み込み溝
17 下枠の呑み込み溝
21 竪框
25 係合部材
32 ねじ固定部(嵌合突部)
29 嵌合孔
33 嵌合突部
37 ねじ
39 被係合部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠と、嵌め殺し障子とを備え、枠は上枠と下枠と左右の竪枠を有し、上枠は嵌め殺し障子の上端部を呑み込む呑み込み溝を有し、上枠の呑み込み溝の室外側溝壁には嵌め殺し障子の上端部の室外側面に当接するタイト材が設けてあり、下枠は嵌め殺し障子の下端部を呑み込む呑み込み溝を有し、下枠の呑み込み溝の室外側溝壁には嵌め殺し障子の下端部の室外側面に当接するタイト材が設けてあり、左右の竪枠は各々室外側で内周側に突設した突設部と、突設部の室内側で見込み面の上下方向中間部に設けた係合部とを有し、竪枠の突設部の室内側面にはタイト材が設けてあり、嵌め殺し障子の竪框は各々見込み面の上下方向中間部に被係合部を有し、嵌め殺し障子をけんどん方式で枠に組み込んだときに、嵌め殺し障子の各被係合部が各々竪枠の係合部を乗り越えると共に竪框がタイト材を介して竪枠の突設部に当接して、枠内に嵌め殺し障子を固定していることを特徴とする嵌め殺しサッシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−207528(P2012−207528A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−142629(P2012−142629)
【出願日】平成24年6月26日(2012.6.26)
【分割の表示】特願2008−142177(P2008−142177)の分割
【原出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)
【Fターム(参考)】