説明

工作物の外観検査用装置

【課題】外観検査に伴い行われる重筋作業を廃止して、それに起因して生じる種々の問題、特に、検査時間の短縮を図る。
【解決手段】本発明である外観検査用装置100は、工作物10を載せ置いて外観を検査するための検査台110と、この検査台110を軸A1周りに回転可能に支持する棚面120aを備える棚台120と、この棚台120を軸A2周りに傾倒可能に保持する台座140とを有し、工作物10を回転体113に載せ置いて、これら回転体113により回転させて工作物10のシャフト部11の外観を検査し、次いで、磁石170により固定されていた検査台110を軸A1周りに90度回転させたのち、更に、検査台110の正面側を持ち上げて軸A2周りに45度だけ傾倒させ、更に、検査台110上で工作物10を回転体113で回転させることでその開口穴13と発光部160とを整列させて、開口穴13に繋がる工作物10の端部に形成した開口穴を照らして当該開口穴内を検査する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転造、切削、研削等の機械加工を行った工作物、例えば、中空のシャフト部を備えた工作物の外観を検査するために用いる装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ベルト式無段変速機を構成する部品としては、プーリを一体に形成した回転軸(以下、「プーリシャフト」という。)があり、こうしたプーリシャフトの内側には、通常、作動油の流路が形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−291317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このため、プーリシャフト10の外観検査は、図12(a)に示すように、検査人が直接手に持ち、それを回転させることによりプーリシャフト10におけるシャフト部11の側面を確認するだけでなく、同図(b)に示すように、検査人がプーリシャフト10を持ち替えてその端部11eに形成された開口穴12を確認し、更には、同図(c)に示すように、ホールライトHLを片手に持ち、シャフト部11の側面に形成された流路開口穴13から当該流路開口穴13に繋がる端部開口穴12の内側を照らすことで、この端部開口穴12内に残った切子等の有無等も検査する必要がある。
【0004】
しかしながら、こうした重筋作業を伴う検査は、検査人に過度の負担を強いるという問題がある。特に、プーリシャフトの場合、その重量が4〜6kgと重いため、検査人が強いられる負担は顕著である。
【0005】
しかも、こうした負担は、検査の質の低下として反映されてしまう可能性がある。加えて、こうした負担による影響には個人差があるため、検査時間にバラツキが生じてしまうという問題がある。
【0006】
また、検査人が手に持って検査する場合、プーリシャフトを落す可能性も否定できない。しかも、こうした落下の可能性は、流路等の開口穴をライトで照らして検査する場合には特に高い。
【0007】
本発明の解決すべき課題は、外観検査を行うにあたって重筋作業が伴われることにあり、本発明の目的とするところは、こうした重筋作業を廃止して、それに起因して生じる種々の問題、特に、検査時間の短縮を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、工作物の外観を検査するために用いる外観検査用装置であって、工作物を載せ置いて外観を検査するための検査台と、この検査台を回転可能に支持する棚面を備える棚台と、この棚台を傾倒可能に保持する台座とを有することを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、前記検査台は、工作物を回転可能に支持する回転体を備えることが好ましい。こうした回転体は、例えば、ローラベアリングで構成できる。また、前記検査台は、工作物に対して光を照射する発光部を備えることが好ましい。こうした発光部は、例えば、光ファイバーケーブルと、この光ファイバーケーブルを通してレーザーなどの光を供給する光源とで構成できる。
【0010】
更に、本発明によれば、検査台の回転を規制するストッパを備えることが好ましい。このストッパは、棚台の棚面に備えられる突起部と、前記検査台の縁部に備えられ、前記突起部が合わさる凹部とからなることが好ましい。
【0011】
なお、上記突起部は、棚台と予め一体に成形し、又は、棚台に対して別途固定するものであってもよい。棚台に対して別途固定される突起部としては、例えば、固定ピンや、ねじやボルト等の締結部材等が挙げられ、特に、締結部材を用いれば、棚台に螺着させることにより簡単に取り付けができる。
【0012】
また、本発明によれば、前記棚台の傾倒を規制するストッパを備えることが好ましい。このストッパは、棚台から垂下する部位に備えられる突起部と、前記台座の縁部とからなることが好ましい。
【0013】
なお、この突起部も、棚台と予め一体に成形し、又は、棚台に対して別途固定するものであってもよい。棚台に対して別途固定される突起部としても、例えば、固定ピンや、ねじやボルト等の締結部材等が挙げられ、特に、締結部材を用いれば、棚台に螺着させることにより簡単に取り付けができる。
【0014】
更に、前記検査台及び前記棚台の少なくとも一方は、棚面上での検査台の位置を着脱可能に固定する位置決め手段を備えることが好ましい。この位置決め手段としては、検査台を貫通して棚台に固定され、若しくは、棚台を貫通して検査台に固定される固定ピン、棚台と検査台とを着脱可能に係合するフック、又は、棚台若しくは検査台に設けられた磁石等が挙げられる。
【0015】
また、前記台座は、検査場に配した作業台又は橋脚等に予め固定された固着物としてもよいが、本発明によれば、検査場に配した作業台又は橋脚等に固定した軌条に沿って移動可能な可動体であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、検査人は、工作物を検査台に載せ置くだけで、工作物を手で持ち上げるといった重筋作業を伴うことなく、工作物の外観を検査することができる。しかも、工作物に形成された穴を検査するにあたっては、棚台の棚面に対して検査台を回転させるだけで、検査人の正面に合わせる位置合わせができ、更に、台座に対して棚台(検査台)を傾倒させれば、検査人は、重筋作業を伴うことなく、比較的楽な姿勢で工作物に形成された穴を検査できる。
【0017】
即ち、本発明によれば、重筋作業という負担を検査人に強いることがないため、検査の質を向上させることができる。また、本発明によれば、重筋作業という負担による影響が無いため、検査人毎に異なる検査時間のバラツキが抑えられると共に、検査人個人として見た場合の検査時間の短縮も図れる。
【0018】
また、本発明によれば、工作物は検査台に載せ置かれるため、検査中における工作物の落下を防止することができる。しかも、こうした落下の防止は、本来手に持ったホールライトで照らして行うべき穴検査の場合に特に有効である。
【0019】
また、本発明によれば、前記検査台が、工作物を回転可能に支持する回転体を備えれば、重筋作業を伴うことなく、検査台に載せ置いた工作物を回転させることにより、この工作物全体の外観を検査できるため、検査時間のバラツキや検査時間の短縮が更に図れる。
【0020】
また、本発明によれば、前記検査台が、工作物に対して光を照射する発光部を備えれば、検査人は、ホールライトを手に持つことなく穴検査をできるため、検査時間のバラツキや検査時間の短縮が更に図れる。
【0021】
更に、本発明において、検査台の回転を規制するストッパを備えれば、このストッパで棚台の回転量を適宜規制することができる。これにより、重点的に検査すべき箇所に、検査人が重筋作業を伴うことなく容易に位置決めできるため、検査時間のバラツキや検査時間の短縮が更に図れる。
【0022】
また、この場合、前記ストッパが、前記棚台の棚面に備えられる突起部と、前記検査台の縁部に備えられ前記突起部が合わさる凹部とからなれば、突起部が凹部に合わされることにより、棚台に対して検査台の回転を規制した状態での安定感が高まるので、検査時間のバラツキや検査時間の短縮が更に図れる。
【0023】
更に、本発明によれば、前記棚台の傾倒を規制するストッパを備えれば、台座に対して棚台(検査台)を傾倒させたときの位置決めが重筋作業を伴うことなく実現されるので、検査時間のバラツキや検査時間の短縮が更に図れる。
【0024】
また、この場合、前記ストッパが、棚台から垂下する部位に備えられる突起部と、前記台座の縁部とからなれば、傾倒した棚台(検査台)の自重で台座に対して保持されることにより、台座に対して棚台(検査台)の傾倒を規制した状態での安定感が高まるので、検査時間のバラツキや検査時間の短縮が更に図れる。
【0025】
また、本発明によれば、前記検査台及び前記棚台の少なくとも一方が、棚面上での検査台の位置を着脱可能に固定する位置決め手段を備えれば、工作物を検査台に載せ置く際の当該検査台の位置決めが重筋作業を伴うことなく安定感を持って実現されるので、検査時間のバラツキや検査時間の短縮が更に図れる。
【0026】
更に、本発明によれば、前記台座が、軌条に沿って移動可能な可動体であれば、工作物を検査台から上げ下げし易い位置、又は、検査人が検査し易い位置に楽に移動させることができるため、検査時間のバラツキや検査時間の短縮が更に図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の好適な形態を詳細に説明する。
【0028】
図1〜3はそれぞれ、プーリシャフト10の外観検査に用いる本発明の一形態である外観検査用装置100の初期状態、同形態において後述する検査台110を回転させてプーリシャフト10を正面に向けた状態及び検査台110を傾倒させてプーリシャフト10を検査人の正面に向けた状態を斜め上方から示す正面図であり、また、図4〜6はそれぞれ、外観検査用装置100の図1〜3に対応する状態を正投影図法における右側から斜め上方から示す右側図である。
【0029】
図面において、符号110は、プーリシャフト10を載せ置いて外観を検査するための検査台である。検査台110は、図1や図5に示すように、その平面形状が略矩形をした平板状の検査台本体111と、検査台本体111の上面に、その長手方向に沿って間隔を空けて固定され、プーリシャフト10を載せ置く2つの工作物支持片(シャフト支持片)112とを備える。
【0030】
シャフト支持片112は、図2及び図4に示すように、プーリシャフト10のシャフト部11と合わせられる凹部112aを有し、この凹部112aを挟んだ位置にそれぞれ、プーリシャフト10を、シャフト部11を介して回転可能に支持する回転体113が設けられている。この回転体113は、既存の樹脂又は金属パイプを切断してリング状に形成したものや、樹脂又は金属材料を切削等の機械加工してリング状に形成したもの等を適宜使用できるが、本形態では、加工に伴う製造工程の煩雑さをし、ローラベアリングを流用して構成している。
【0031】
符号120は、図2,3及び図6に示すように、その平面形状が装置100の左右に沿って伸びる平板状の棚台である。この棚台120は、検査台110を支持する棚面120aを備え、この棚面120a上に載せ置かれた検査台110を、軸(以下、「回転用軸」という)A1を介して回転可能に支持している。
【0032】
符号130は、検査台110の回転を規制するストッパである。ストッパ130は、図5に示すように、棚台120の棚面120aに設けられた円筒形の突起部131と、この突起部131と合わさる位置に検査台本体111の縁部111eに形成された半円筒形の凹部132とからなる。これにより、棚面120aに対して突起部131の位置を、検査台110が初期状態から90度後方に回転させた位置で凹部132に合わさるように設定すれば、検査台110を回転させるだけで、プーリシャフト10の開口穴12を有する端部は、作業者の側に向くことになる。
【0033】
なお、図7は、図1の初期状態にある検査台110を、回転用軸A1を基点に図面右側から90度後方に回転させたときの状態を図面左斜め方向から示す斜視図である。
【0034】
また、ストッパ130の機能のみを考慮した場合、凹部132の有無は任意であり、突起部131と、検査台本体111の縁部111eとで構成してもよい。更に、突起部131としては、本形態のように、固定ピンや、ねじやボルト等の締結部材等が挙げられるが、突起部131は、棚台120と予め一体に成形してもよい。
【0035】
符号140は、検査場に配置した図示せぬ作業台又は橋脚等により固定支持されるレール(軌条)Lに沿って移動可能な可動体(スライダー)として構成される台座である。台座140は、その上面に、当該台座140から一体に起立する支持部141が設けられている。支持部141には更に、その上部に正面側に突出する庇部142が一体に形成されており、この庇部142の上縁部142eが、図1の初期状態にある棚台120の裏面120bを支持している。
【0036】
また、台座140は、棚台120の下面から一体に垂下する逆U字形の基端部121を傾倒可能に保持する。
【0037】
詳細には、基端部121の側面をそれぞれ、当該棚台120の短手方向(長手方向に対して直交する方向)に沿って広がる平面に構成すると共に、支持部141の側面を、基端部121の側面と合わさるように、当該基端部121の側面に沿って広がる平面に構成し、この支持部141の側面に合せた基端部121を、軸(以下、「傾倒用軸」という。)A2を介して回転可能に連結する。これにより、検査台110は、棚台120を介して台座140に対して傾倒可能に支持される。
【0038】
符号150は、棚台120の傾倒を規制するストッパである。ストッパ150は、棚台120から垂下する部位(本形態にあっては、「基端部121」)に設けられた突起部151と、台座140の支持部141における正面側の縁部141e (152)とからなる。これにより、支持部141の縁部152に対して突起部151の位置を、棚台120が初期状態から45度後方に傾倒した位置で合わさるように設定すれば、検査台110を傾倒させるだけで、プーリシャフト10の端部開口穴12は、作業者に対して正面を向くことになる。
【0039】
なお、図8は、図1の初期状態にある棚台120と台座140との関係を図面左斜め方向から示す斜視図であり、また、図9は、図1の初期状態にある棚台120を、傾倒用軸A2を基点に45度後方に傾倒させたときの状態を図面左斜め方向から示す斜視図である。
【0040】
また、ストッパ150の安定感を考慮した場合、検査台110の回転を規制する場合と同様、支持部141の縁部141e(152)に突起部151と合わさる凹部を設けてもよい。更に、突起部151としても、本形態のように、固定ピンや、ねじやボルト等の締結部材等が挙げられるが、棚台120の基端部121と予め一体に成形してもよい。
【0041】
符号160は、シャフト11の側面に形成された流路開口穴13の位置に整列し、この開口穴13に対して光を照射する発光部である。発光部160は、検査台本体111に一体に形成された筒状部111wの内側を通って突出する光ファイバーケーブル161と、この光ファイバーケーブル161を通してレーザーなどの光を供給する光源(図示省略)とで構成されている。なお、発光部160は、プーリシャフト10の外表面を照らしてその外観形状の検査に用いることもでき、更に、光を照射できるものであれば、この形態に限定されるものではない。
【0042】
なお、図10は、図1の初期状態にある検査台110にプーリシャフト10を載せ置いた状態を正面斜め方向から示す斜視図である。
【0043】
符号170は、棚面120上での検査台110の位置を着脱可能に固定する位置決め手段である。位置決め手段170は、棚台120に設けられた磁石であり、この場合、検査台110(検査台本体111や工作物支持片112)を鉄等の磁性体材料で構成する。これにより、検査台110が位置決め手段170と接触する位置を適宜設定すれば、棚台120に対して回転用軸A1を基点に回転する検査台110は、図1の初期状態における位置に安定した状態で保持される。なお、本発明によれば、磁石を検査台110に設けて棚台120に対して着脱可能に固定してもよい。
【0044】
また、位置決め手段170としては、磁石以外にも、例えば、検査台110を貫通して棚台120に固定され、若しくは、棚台120を貫通して検査台110に固定される固定ピン、検査台110と棚台120とを着脱可能に係合するフック等の既存の連結手段を流用できる。
【0045】
次に、外観検査用装置100の作用・効果を説明する。
【0046】
検査人は先ず、図1の初期状態にある装置100に、図10に示すように、プーリシャフト10を回転体113上に載せ置く。これにより、検査人は、回転体113上のプーリシャフト10をその軸線周りに回転させるだけで、プーリシャフト10の側面における外観を検査・確認(キズの有無等)することができる。
【0047】
プーリシャフト10の側面における外観検査が終了したのちは、検査人は、図10の初期状態にある装置100を、プーリシャフト10ごと、図面左側から図面後方に向かって回転させると、この回転は、図2(図5)に示すように、ストッパ130により90度回転させた状態で停止する。そして、更に、検査人が、図2(図5)に示す状態にある装置100の正面側を、プーリシャフト10ごと、図面上方に持ち上げてその後方を図面下方に向かって傾倒させると、この傾倒は、図11(図3,図6)に示すように、ストッパ150により45度回転させた状態で停止する。これにより、検査人は、プーリシャフト10の端部における外観を検査・確認することができる。
【0048】
特に、プーリシャフト10の端部開口穴12内に残った切子等の有無を検査する場合には、検査人が回転体113上のプーリシャフト10をその軸線周りに回転させることで、発光部160とプーリシャフト11の側面に形成された流路開口穴13との位置合わせを行い、この流路開口穴13に向かって当該発光部160から光を照射すれば、流路開口穴13を通して端部開口穴12の内側を照らすことができる。
【0049】
なお、発光部160と流路開口穴13との位置合わせを行うタイミングは、適宜変更することができるが、位置合わせの精度が要求される場合には、上述したように、穴検査の直前に行うことが好ましい。
【0050】
本装置100によれば、検査人は、工作物たるプーリシャフト10を検査台110に載せ置くだけで、プーリシャフト10を手で持ち上げるといった重筋作業を伴うことなく、その外観を検査することができる。しかも、プーリシャフト10に形成された穴、例えば、端部開口穴12を検査するにあたっては、棚台120の棚面120aに対して検査台110を回転させるだけで、検査人の正面に合わせる位置合わせができ、更に、台座140に対して棚台120を傾倒させれば、検査人は、重筋作業を伴うことなく、比較的楽な姿勢で端部開口穴12を検査できる。
【0051】
即ち、本装置100によれば、重筋作業という負担を検査人に強いることがないため、検査の質を向上させることができる。また、本装置100によれば、重筋作業という負担による影響が無いため、検査人毎に異なる検査時間のバラツキが抑えられると共に、検査人個人として見た場合の検査時間の短縮も図れる。
【0052】
また、本装置100によれば、プーリシャフト10は検査台110に載せ置かれるため、検査中におけるプーリシャフト10の落下を防止することができる。しかも、こうした落下の防止は、本来手に持ったホールライトHLで照らして行うべき穴検査の場合に特に有効である。
【0053】
また、本装置100によれば、検査台110が、プーリシャフト10を回転可能に支持する回転体113を備えることにより、重筋作業を伴うことなく、検査台110に載せ置いたプーリシャフト10を回転させることにより、このプーリシャフト10全体の外観を検査できるため、検査時間のバラツキや検査時間の短縮が更に図れる。
【0054】
また、本装置100によれば、検査台110が、プーリシャフト10に対して光を照射する発光部160を備えることで、検査人は、ホールライトHLを手に持つことなく穴検査をできるため、検査時間のバラツキや検査時間の短縮が更に図れる。
【0055】
更に、本装置100によれば、検査台110の回転を規制するストッパ130を備えることで、このストッパ130で棚台120の回転量を適宜規制することができる。これにより、重点的に検査すべき箇所に、検査人が重筋作業を伴うことなく容易に位置決めできるため、検査時間のバラツキや検査時間の短縮が更に図れる。
【0056】
また、この場合、ストッパ130が、棚台120の棚面120aに備えられる突起部131と、検査台110の縁部110eに備えられ突起部131が合わさる凹部132とからなるから、突起部131が凹部132に合わさることで、棚台120に対して検査台110の回転を規制した状態での安定感が高まるため、検査時間のバラツキや検査時間の短縮が更に図れる。
【0057】
更に、本装置100によれば、棚台120の傾倒を規制するストッパ150を備えるため、台座140に対して棚台(検査台110)120を傾倒させたときの位置決めが重筋作業を伴うことなく実現されるので、検査時間のバラツキや検査時間の短縮が更に図れる。
【0058】
また、この場合、ストッパ150が、棚台120に備えられる突起部151と、台座140の縁部141eとからなることで、傾倒した棚台120の自重で台座140に対して保持されることにより、台座140に対して棚台120(検査台110)の傾倒を規制した状態での安定感が高まるので、検査時間のバラツキや検査時間の短縮が更に図れる。
【0059】
また、本装置100によれば、検査台110及び棚台120の少なくとも一方が、棚面120a上での検査台110の位置を着脱可能に固定する位置決め手段170を備えるため、プーリシャフト10を検査台110に載せ置く際の当該検査台110の位置決めが重筋作業を伴うことなく安定感を持って実現されるので、検査時間のバラツキや検査時間の短縮が更に図れる。
【0060】
更に、本装置100によれば、台座140を、レールLに沿って移動可能なスライダーとしたことで、プーリシャフト10を検査台110から上げ下げし易い位置、又は、検査人が検査し易い位置に楽に移動させることができるため、検査時間のバラツキや検査時間の短縮が更に図れる。なお、台座140は、スライダーとすることなく、検査場に配置した図示せぬ作業台又は橋脚等により固定支持してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明にて検査される工作物は、支持片112に形成した凹部112a、支持片112そのものの形状又は配置等を工作物に応じて適宜変更すれば、プーリシャフトに限定されることなく、様々な工作物に適用させることができるが、好適には、プーリシャフトのように、その一部が軸部となるものが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一形態であるプーリシャフトの外観検査用装置の初期状態を斜め上方から示す正面図である。
【図2】同形態において、検査台を回転させてプーリシャフトを正面に向けた状態を斜め上方から示す正面図である。
【図3】同形態において、検査台を傾倒させてプーリシャフトを検査人の正面に向けた状態を斜め上方から示す正面図である。
【図4】図1に対応する状態を正投影図法における右側から斜め上方から示す右側図である。
【図5】図2に対応する状態を正投影図法における右側から斜め上方から示す右側図である。
【図6】図3に対応する状態を正投影図法における右側から斜め上方から示す右側図である。
【図7】図1の初期状態にある検査台を、回転軸を基点に図面右側から90度後方に回転させたときの状態を図面左斜め方向から示す斜視図である。
【図8】図1の初期状態にある棚台と台座との関係を図面左斜め方向から示す斜視図である。
【図9】図1の初期状態にある棚台を、傾倒軸を基点に45度後方に傾倒させたときの状態を図面左斜め方向から示す斜視図である。
【図10】図1の初期状態にある検査台にプーリシャフト10を載せ置いた状態を正面斜め方向から示す斜視図である。
【図11】検査台にプーリシャフト10を載せ置いて図3に示すように傾倒させた状態を正面斜め方向から示す斜視図である。
【図12】(a)は、プーリシャフトの側面についての外観検査を行うにあたり、検査人が手に持って目視する従来の検査方法を説明する模式図であり、また、(b),(c)はそれぞれ、同検査方法によって、プーリシャフトの端部を外観検査する場合を説明する模式図及び、同検査方法において、ホールライトを用いてプーリシャフトの端部開口穴を検査する場合を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0063】
10 プーリシャフト
11 シャフト部
12 端部開口穴
13 流路開口穴
100 外観検査用装置
110 検査台
111 検査台本体
111e 検査台本体縁部
111w 筒状部
112 工作物支持片(シャフト支持片)
112a 工作物支持用凹部
113 ローラベアリング(回転体)
120 棚台
120a 棚面
120b 棚台裏面
121 棚台基端部
130 検査台回転用ストッパ
131 突起部
132 凹部
140 台座
141 支持部
142 庇部
142e 庇部上縁部
150 検査台傾倒用ストッパ
151 突起部
152(141e) 支持部の縁部
160 発光部
161 光ファイバーケーブル
170 位置決め手段
1 回転用軸
2 傾倒用軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物の外観を検査するために用いる外観検査用装置であって、
工作物を載せ置いて外観を検査するための検査台と、この検査台を回転可能に支持する棚面を備える棚台と、この棚台を傾倒可能に保持する台座とを有することを特徴とする工作物の外観検査用装置。
【請求項2】
請求項1において、前記検査台は、工作物を回転可能に支持する回転体を備えることを特徴とする工作物の外観検査用装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記検査台は、工作物に対して光を照射する発光部を備えることを特徴とする工作物の外観検査用装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、検査台の回転を規制するストッパを備えることを特徴とする工作物の外観検査用装置。
【請求項5】
請求項4において、前記ストッパは、棚台の棚面に備えられる突起部と、
前記検査台の縁部に備えられ前記突起部が合わさる凹部とからなることを特徴とする工作物の外観検査用装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、前記棚台の傾倒を規制するストッパを備えることを特徴とする工作物の外観検査用装置。
【請求項7】
請求項6において、前記ストッパは、棚台から垂下する部位に備えられる突起部と、前記台座の縁部とからなることを特徴とする工作物の外観検査用装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項において、前記検査台及び前記棚台の少なくとも一方は、棚面上での検査台の位置を着脱可能に固定する位置決め手段を備えることを特徴とする工作物の外観検査用装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項において、前記台座は、軌条に沿って移動可能な可動体であることを特徴とする工作物の外観検査用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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