説明

工具セッター及び工具の刃先位置合わせ方法

【課題】刃物台に工具が設置された状態で工具の刃先を主軸の軸線と直交する工具切り込み方向の軸線との交点である基準点に高精度に位置合わせすることが可能な工具セッター及び工具の刃先位置合わせ方法を提供する。
【解決手段】主軸台移動型自動旋盤の主軸14に設けられたコレットチャック16に撮像カメラ30をホルダー32を介して着脱可能に把持し、この撮像カメラ30で切削工具22の刃先22aをガイドブッシュ18のガイド孔1802を通して撮像し、撮像された切削工具22の刃先画像をモニタ38に拡大表示するとともに、X−Y座標をモニタ38に表示し、このモニタ38の表示画面を見ながら、切削工具22の刃先22aをX−Y座標50の基準点Pに位置合わせするように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の切削工具を用いてワークを加工する主軸台移動型の自動旋盤や主軸固定型の自動旋盤などの工作機に適用できる工具セッター及びこれを用いた工具の刃先位置合わせ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、時計用部品や光学機器用部品、計測器用部品などの小径ものなどを精密に加工する自動旋盤として、主軸台移動型自動旋盤(スイス形自動旋盤ともいう)が知られている。
この種の自動旋盤は、棒状のワークをコレットチャックで把持して回転する主軸と、主軸を回転可能に支承する主軸台と、ワークを切削加工する複数の工具を有する刃物台と、主軸台を主軸の軸線方向に移動させる駆動装置と、刃物台に設けられコレットチャックの先端から押出されたワークを工具と対向する加工位置の近傍で支持するガイドブッシュとを備える構成になっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような自動旋盤においては、各工具が棒状ワークの半径方向に接近、切り込み、後退の運動を行い、同時に主軸を回転しながらワークをコレットチャックで把持したまま、軸方向に摺動し送りを与えることにより、ワークから所定形状の製品を切削加工することができる。また、この種の自動旋盤に使用されるワークは、その切削位置近傍で常にガイドブッシュにより支持されているため、切削力によって棒状のワークに撓みを生じさせることがなく、精密な切削加工が可能になる。
【0004】
一方、主軸移動型の自動旋盤においても、マシニングセンタなどに適用される工具と同様にプリセット工具が使用される。このプリセット工具は、ワーク切削用の工具を保持する工具ホルダーを備え、この工具ホルダーを介して工具を刃物台に設置するように構成されている。さらに、工具ホルダーには、主軸の軸線と該軸線と直交する工具切り込み方向の軸線との交点である基準点に工具の刃先を位置合わせするための調整機構が設けられている(例えば特許文献2、3参照)。
【0005】
上記のような工具セッター方式は、工具が保持された工具ホルダーを工具室に設置されているツールプリセッターにセットし、内蔵の調整機構を操作することにより、工具の刃先を基準点に位置合わせする。位置合わせされた後のプリセット工具はツールプリセッターから取り外され、主軸台移動型自動旋盤の刃物台に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−38802号公報
【特許文献2】特開2000−107915号公報
【特許文献3】特開2003−165008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような従来の工具セッター方式では、工具室においてツールプリセッターにより工具の刃先を基準点に位置合わせした後のプリセット工具を主軸台移動型自動旋盤の刃物台に取り付ける方式であるため、工具室での工具刃先の位置合わせが高精度になされたものであっても、このプリセット工具を刃物台に取り付けた時に生じる取り付け誤差が工具刃先の位置合わせ精度に悪影響を及ぼし、ひいてはワークの切削加工精度にも悪影響を及ぼすという問題がある。
【0008】
また、工具の刃先の位置合わせに関しては、数値制御方式を用いる方法と、刃物台に設けられた調整機構を用いる方法のほかに、例えばタレット装着できるように用意された工具ホルダー類を用いる構成の刃先位置合わせには、顕微鏡あるいは投影機を用いた別置型のツールプリセッターが使用されている。
しかし、この種のツールプリセッターの場合、機種ごとに、固有の治具などが必要となり、その結果、機械工場現場に設置されている既存の旋盤系工作機械のツールセットには共用できないほか、工具の刃先位置合わせが煩雑になるという問題があった。
【0009】
本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、既存の旋盤系工作機械のツールセットにも共用でき、工具の刃先位置合わせを容易にした工具セッター及びこれを用いた工具の刃先位置合わせ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明は、工具セッターであって、工作機械の主軸のワーク支持用チャックに着脱可能に把持されるホルダーと、前記ホルダーで支持され前記工作機械の工具の刃先を撮像可能な撮像カメラとを備えることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、工具の刃先位置合わせ方法であって、工作機械の主軸のワーク支持用のチャックに、撮像カメラが支持されたホルダーを着脱可能に把持させ、前記工作機械の工具の刃先を前記撮像カメラで撮像し、前記撮像された刃先画像をモニタに表示し、前記ホルダーを回転させながら前記工具を動かし、前記工具の刃先の位置合わせを行なうようにしたことを特徴とする。
【0012】
また本発明は、工具の刃先位置合わせ方法であって、工作機械の主軸のワーク支持用のチャックに、撮像カメラが支持されたホルダーを着脱可能に把持させ、前記工作機械の工具の刃先を前記撮像カメラで撮像し、前記撮像された刃先画像をモニタに表示し、前記工具の刃先の位置を検出し、その検出結果から前記工具の刃先の位置データを得るようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、既存の旋盤系工作機械のツールセットにも共用できるとともに、工具の刃先位置合わせを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明にかかる工具セッターが適用される主軸台移動型自動旋盤の概略側面図である。
【図2】本発明の工具セッターを主軸台移動型自動旋盤の主軸に取り付けた状態を示す説明用の拡大断面図である。
【図3】本発明の工具セッターを用いて工具の刃先の位置合わせを行う場合の動作説明図である。
【図4】本発明の工具センターを構成する撮像カメラ及びその支持用ホルダーの側面図である。
【図5】本発明の工具セッターを用いて工具の刃先画像をモニタに表示した時の説明図である。
【図6】本発明の工具セッターを用いてモニタに表示された工具の刃先画像を見ながら工具の刃先をX−Y座標の基準点に位置合わせする時の説明図である。
【図7】主軸台移動型自動旋盤において、主軸のコレットチャックで把持され、ガイドブッシュで支持された棒状ワークを切削加工する時の要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施の形態1)
以下、本発明にかかる工具セッターを有する主軸台移動型自動旋盤の実施の形態について図1乃至図7を参照して説明する。
本発明の工具セッターが適用される主軸台移動型自動旋盤は、図1に示すように、主軸台12、主軸14、コレットチャック16、ガイドブッシュ18、刃物台20及び切削工具22を含んで構成される。
【0016】
主軸台12は、主軸14を主軸14の軸線14a(Z軸)廻りに回転可能に支承するもので、ベッド24上に水平に設置されたテーブル26上に案内部2602を介して主軸14の軸線と平行な方向に移動可能に設置されている。また、この主軸台12は、周知のようにベッド24に設置されたサーボモータ28と、ベッド24に設置されサーボモータ28により回転駆動されるボールネジ及び主軸台12に取り付けられボールネジと螺合するナット(何れも図示せず)などからなる駆動機構によってZ軸方向に移動できるように構成されている。
主軸台12に支承された主軸14は、その軸心に棒状素材であるワークW(図1、図2及び図7参照)が挿通される挿通孔1402を有し、この挿通孔1402は主軸14の全長に延在して形成されている。
【0017】
コレットチャック16は、挿通孔1402に挿通されたワークWを把持するもので、主軸14の前端部に装着されている。このコレットチャック16は、図2に示すように、ワークWを開閉可能に把持するコレット1602と、図示しないチャック開閉機構により主軸軸線14aの方向に往復移動することでコレット1602を開閉してワークWを把持するチャックスリーブ1604等を含んで構成される。また、コレットチャック16は、切削工具22の刃先の位置合わせを行う時に使用される、後述の撮像カメラ30の把持にも利用される。
【0018】
ガイドブッシュ18は、図1、図2及び図7に示すように、主軸14の先端前方で、主軸14の軸線14aに軸線を一致して配設され、コレットチャック16の先端から突出されたワークWを切削工具22による加工位置の近傍で支持するもので、ワークWの回転及び主軸軸線14a方向(Z軸方向)の移動を妨げることなく、しかも切削抵抗によるワークWの撓みを抑えるようにワークWが挿通支持されるガイド孔1802を有している。
このようなガイドブッシュ18は、主軸14の先端前方でベッド24上に設置されたガイドブッシュホルダ1804にガイドブッシュスリーブ1806を介して取り付けられている。ガイドブッシュ18のガイドブッシュスリーブ1804への取り付けは、ガイドブッシュ18の後端部外周に形成された雄ねじ部1808に固定ナット1810を螺合して締め付けることで行われる。
【0019】
ワークWを切削加工する切削工具22は、図1、図2及び図7に示すように、刃物台20に工具ホルダー2202を介して取り付けられている。また、刃物台20は、ベッド24上に設置された基台40に、軸線14a(Z軸方向)と直交するX方向に移動可能に支持されており、これにより、切削工具22は、図示しないサーボモータや送りねじなどからなる切り込み送り機構によって駆動され、図示しない数値制御部からの指令により切り込み送り機構を制御して、X方向に切り込み送りを与えることでワークWへの加工を行うようになっている。
【0020】
また、刃物台20には、図3に示すように、切削工具22の刃先22aをZ軸と直交する基準点Oに位置合わせする刃先位置合わせ機構34が設けられている。この刃先位置合わせ機構34は、切削工具22を主軸軸線14a(Z軸方向)と直交する矢印X方向、及び矢印Xと直角でかつZ軸と直交する矢印Y方向に位置調整するものであり、切削工具22を工具ホルダー2202に固定する固定ねじ36を備えている。
なお、刃先位置合わせ機構34は上記構成のものに限らず、従来公知の技術を利用してもよいことは勿論である。
【0021】
本実施の形態において、主軸台移動型自動旋盤に使用される工具セッターは、図2及び図4に示すように、撮像カメラ30と、モニタ38とを備える。
撮像カメラ30は、切削工具22の刃先22aをガイドブッシュ18のガイド孔1802を通して撮像するものであり、CCDまたはCMOSイメージセンサからなる撮像素子と、撮像素子に切削工具22の刃先画像を結像する光学レンズと、撮像素子から出力される撮像信号に基づいて刃先画像データを生成する画像処理部を含んで構成される。
このような撮像カメラ30は、コレットチャック16にホルダー32を介して着脱可能に把持される構成になっている。また、撮像カメラ30に接続された画像データ伝送用の信号ケーブル40はホルダー32の途中からホルダー32外に引き出され、その引き出し端はモニタ38に接続されている。
【0022】
また、図2に示すように、切削工具22の撮像カメラ30と反対の側には、刃先22aを含む切削工具22の先端部分を撮像カメラ30と反対の側から照明する照明ランプ42が配置されている。さらに、照明ランプ42と切削工具22との間には、発泡スチロースシートなどからなる半透明な光拡散シート44が配設されている。この光拡散シート44は、切削工具22の先端部分を撮像方向と反対の面から均一な明るさでライトアップし、撮像カメラ30に対する刃先22aの映像を正確に投影させるようにするものである。
【0023】
ホルダー32は、図2及び図4に示すように、コレットチャック16に着脱可能に把持される把持部3202と、把持部3202がコレットチャック16に把持された状態で、把持部3202からガイドブッシュ18に向けて延在する筒体3204とから構成されている。そして、撮像カメラ30は筒体3204の先端部にガイドブッシュ18のガイド孔1802に向けて装着され、ねじ46により筒体3204にねじ止めされている。これにより、撮像カメラ30は主軸軸線14aであるZ軸と同軸に支持される。
【0024】
モニタ38は、撮像カメラ30で撮像された切削工具22の刃先画像を拡大表示し、これに併せて刃先位置合わせ用のX−Y座標を表示するもので、液晶からなる表示部3802と、表示処理部3804と、座標生成部(特許請求の範囲に記載した座標生成手段に相当する)3806とを備える。
座標生成部3806は、主軸軸線14a(Z軸)と直交するX軸と、X軸と直角でかつZ軸と直交するY軸との交点を切削工具22の刃先位置合わせ用の基準点PとするX−Y座標を生成するものである。
【0025】
表示処理部3802は、撮像カメラ30の上記画像処理部から信号ケーブル40を通して供給される刃先画像データを表示信号に変換して刃先画像52(図5、図6参照)を表示部3802に表示させ、併せて座標生成部3806から供給されるX−Y座標データを表示信号に変換し、基準点Pを有するX−Y座標50(図5、図6参照)を表示部3802に表示させるものである。ここで、X−Y座標50の基準点PはZ軸と一致させられるようになっている。
【0026】
次に、本実施の形態の工具セッターを用いて切削工具22の刃先を位置合わせする方法の動作について説明する。
まず、図示省略の駆動機構により主軸台12を図2に示す位置から矢印Z1方向に後退させた状態において、撮像カメラ30を保持したホルダー32の把持部3202をコレットチャック16の先端側からコレットチャック16のコレット1602に差し込む。次いで、チャックスリーブ1604を図示省略のチャック開閉機構で閉方向に操作することにより把持部3202をチャッキングしてホルダー32を含む撮像カメラ30を主軸14に固定する。
【0027】
次に、ホルダー32の途中からホルダー32外に引き出された信号ケーブル40の引き出し端をモニタ38に接続する。その後、撮像カメラ30及びモニタ38に電源を投入して、これらを動作状態にする。また、主軸台12を駆動機構により図2の矢印Z2方向、すなわち撮像カメラ30をガイドブッシュ18のガイド孔1802に接近させて、撮像カメラ30の焦点が切削工具22の先端部分に合う位置に前進移動させ、ガイド孔1802を通して切削工具22の刃先を撮像できる状態にする。この方法により、切削工具22の先端部分のZ方向位置が同一でない場合にも、正しく焦点を合わせることが可能となる。さらに照明ランプ42を点灯して、刃先22aを含む切削工具22の先端部分を光拡散シート44の透過光で後方から均一にライトアップする。
次に、図示しない数値制御部から刃物台20の切り込み送り機構に刃先位置合わせ用の送り指令を与える。これにより、切削工具22の刃先22aがZ軸と一致すると予測される位置まで、刃物台20を軸線14a(Z軸方向)と直交するX方向に移動させる。
【0028】
一方、座標生成部3806で生成されたX−Y座標データは表示処理部3802でアナログ信号に変換され、表示部3802に出力する。これにより、表示部3802には、図5に示すような基準点Pを有するX−Y座標50を表示される。
他方、ガイドブッシュ18のガイド孔1802を通して撮像カメラ30で撮像された切削工具22の刃先画像は、撮像カメラ30が内蔵する図示省略の画像処理部で画像処理され、刃先画像データとして信号ケーブル40を通し表示処理部3802に供給される。表示処理部3802では、刃先画像データを表示信号に変換して表示部3802に出力することにより、表示部3802に切削工具22の刃先画像52を拡大表示する。
【0029】
次いで、撮像カメラ30を把持したまま主軸14を90度乃至180度程度、手動で回転する。これに伴い、撮像カメラ30で撮像された切削工具22の刃先画像52は基準点P(Z軸)を中心に回転される。ここで、切削工具22の刃先22aが基準点Pからずれている場合は、表示部3802上に仮想の円形状軌跡として表示される。この時の仮想軌跡の円半径がX−Y座標50の基準点Pからのずれを示しているので、座標生成部3806の保有している機能を用いて、X−Y座標50を基準点Pに合せ込む。
Z軸を中心に回転されることで、X−Y座標50の基準点Pが現れ、この基準点Pを含むX−Y座標50が表示部3802上に表示される。
【0030】
そこで、本実施の形態では、切削工具刃先22aのずれがモニタ38の表示画面上で視認されたならば、まず、Y方向の位置調整機構を用いて、切削工具22の刃先22aを図3の矢印Y1あるいはY2方向に移動して、切削工具22の刃先22aをX−Y座標50の基準点Pと交わるX軸に合わせる。さらに、モニタ38の表示画面を見ながら、切削工具22を図3の矢印X1方向に移動して、切削工具22の刃先22aをX−Y座標50の基準点Pと交わるY軸に合わせる。これにより、切削工具22の刃先22aを図6に示すようにX−Y座標50の基準点Pに位置合わせることができる。工具刃先22aの基準点Pへの位置合わせが完了した切削工具22は固定ねじ36を締め付けることで工具ホルダー2202に固定される。
なお、ワークWを切削加工する切削工具が複数個ある場合は、これら各切削工具においても、上述した位置合わせ手順により同様に工具刃先の位置合わせが可能になる。
【0031】
次に、各切削工具に対する刃先の位置合わせがなされた後の主軸台移動型自動旋盤を用いてワークWを加工する場合の動作について説明する。
ホルダー32を含む撮像カメラ30を主軸14のコレットチャック16から取り外した状態で、図7に示すように、ワークWを図示省略の棒材供給装置により主軸台12の後方から主軸14の挿通孔1402に挿入し、ワークWの先端部がコレットチャック16内およびガイドブッシュ18のガイド孔1802を貫通してガイドブッシュ18の先端面から所定量突出されるまで送り込む。この状態でコレットチャック16を閉動作させてワークWをチャッキングする。
次いで、コレットチャック16でワークWを把持したまま主軸14を回転させる同時に、製品の加工形状に対応して、主軸台12を駆動機構により、図7の矢印Z3方向に移動させ、さらに、切削工具22を図示省略の切り込み送り機構により主軸14の軸線14aと直交する矢印X方向に切り込み送りをかける。これにより、ワークWから製品を加工することができる。
【0032】
このような本実施の形態に示す工具セッター及び刃先位置合わせ方法によれば、主軸台移動型自動旋盤の主軸14に設けられたコレットチャック16に撮像カメラ30をホルダー32を介して着脱可能に把持させ、この撮像カメラ30で切削工具22の刃先22aをガイドブッシュ18のガイド孔1802を通して撮像しながら、撮像カメラ30を主軸14ごと軸線14aの軸回りに回転し、これにより撮像された切削工具22の刃先画像をモニタ38に拡大表示するとともに、座標生成部3806で生成されたX−Y座標をモニタ38に表示し、このモニタ38の表示画面を見ながら、切削工具22の刃先22aをX−Y座標50の基準点Pに位置合わせするように構成したので、既存の旋盤系工作機械のツールセットにも共用できるとともに、従来のようなプリセット機構が不要になり、工具刃先の位置合わせに要する手数を低減することができ、工具の刃先位置合わせを容易に行うことができるという効果がある。
【0033】
上記実施の形態では、工具の刃先位置合わせを手動で行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ラスタスキャン方式により、X−Y座標50の基準点Pに対するX軸方向及びY軸方向のずれ量を計測し、この計測結果から刃先の位置データを求め、この位置データを基に数値制御部による刃物台20の切り込み送り量を補正すれば、工具の刃先位置合わせを自動的に行うことができ、これと同時に、上記補正された切り込み送り量に基づいてワークに対する切削加工が可能になる。
また、本発明にかかる工具セッターは、上記実施の形態に示す主軸台移動型の自動旋盤に限らず、主軸固定型の自動旋盤などの工作機にも適用できるほか、工具も旋削に用いる、いわゆるバイトのみに限らず、穴加工工具、すなわちドリル、リーマ,ボーリング、タップなどの刃具やミーリング刃具などの刃先位置合わせにも適用できる。
また、本発明にかかる工具セッターは、上記実施の形態に示す構成のものに限らず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0034】
12……主軸台
14……主軸
16……コレットチャック
18……ガイドブッシュ
20……刃物台
22……切削工具
30……撮像カメラ
32……ホルダー
34……刃先位置合わせ機構
38……モニタ
3802……表示部
3804……表示処理部
3806……座標生成部
50……X−Y座標

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の主軸のワーク支持用チャックに着脱可能に把持されるホルダーと、
前記ホルダーで支持され前記工作機械の工具の刃先を撮像可能な撮像カメラと、
を備えることを特徴とする工具セッター。
【請求項2】
前記ホルダーは、軸方向の一端が開放された筒体を有し、前記撮像カメラは前記筒体の内部で前記筒体と同軸上に前記一端に向けて配置されていることを特徴とする請求項1記載の工具セッター。
【請求項3】
工作機械の主軸のワーク支持用のチャックに、撮像カメラが支持されたホルダーを着脱可能に把持させ、
前記工作機械の工具の刃先を前記撮像カメラで撮像し、
前記撮像された刃先画像をモニタに表示し、
前記ホルダーを回転させながら前記工具を動かし、前記工具の刃先の位置合わせを行なうようにした、
ことを特徴とする工具の刃先位置合わせ方法。
【請求項4】
工作機械の主軸のワーク支持用のチャックに、撮像カメラが支持されたホルダーを着脱可能に把持させ、
前記工作機械の工具の刃先を前記撮像カメラで撮像し、
前記撮像された刃先画像をモニタに表示し、
前記工具の刃先の位置を検出し、その検出結果から前記工具の刃先の位置データを得るようにした、
ことを特徴とする工具の刃先位置合わせ方法。
【請求項5】
前記モニタは、前記X−Y座標を生成して前記モニタ画面上に表示する座標生成手段を備えることを特徴とする請求項3または4記載の工具の刃先位置合わせ方法。
【請求項6】
前記工作機械の工具の刃先部分を前記撮像カメラの撮像方向と反対の側から照明ランプでライトアップすることを特徴とする請求項3乃至5に何れか1項記載の工具の刃先位置合わせ方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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