説明

工業用防腐防黴剤組成物

【課題】2−クロロアセトアミドを他の防腐防黴剤と併用した場合にも溶液安定性に優れ、取扱性にも優れた高濃度溶液(工業用防腐防黴剤組成物)を提供すること。
【解決手段】2−クロロアセトアミドをN−アルキル−2−ピロリドン中に含有してなることを特徴とする工業用防腐防黴剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物に対する防腐防黴性を有し、塗料、接着剤、粘着剤、シリコンエマルジョン、ワックスエマルジョン、工業用洗浄剤、繊維油剤、金属加工油などの各種水性工業製品(以下単に「製品」という場合がある)を安定に保存するのに適した2−クロロアセトアミドを含有する工業用防腐防黴剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
2−クロロアセトアミドは、微生物に対し防腐防黴性を有し、塗料、接着剤、粘着剤、シリコンエマルジョン、ワックスエマルジョン、工業用洗浄剤、繊維油剤、金属加工油などの各種製品を安定に保存するために使用する物質である。しかし、この物質は粉末であり、粉末の状態で上記各種製品に添加する場合、添加対象物によっては製品中に粉末が溶解するまでの間、2−クロロアセトアミドが添加対象物と部分的に高濃度で接することになるため、添加対象物の物性に悪影響を与えたり、溶解に時間がかかるため作業性が悪く、確実に溶解したことを確認することも困難である。
【0003】
従って、2−クロロアセトアミドを各種製品中に添加する際には、一般的に水または温水、グリコールまたはグリコールエーテル系の溶剤に5〜10質量%の濃度に溶解させて使用している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の方法による2−クロロアセトアミド溶液は、低温における溶解度が低く、温度降下により沈殿を形成し易いため該溶液は保存性に劣る。従って、2−クロロアセトアミドを各種製品に添加する直前で、2−クロロアセトアミドを上記溶剤に溶解させる必要が生じる。このような作業は手間がかかること、および作業者が2−クロロアセトアミドを取り扱う機会が増えることから、2−クロロアセトアミドによる皮膚刺激の被害を受ける危険性が高くなる。
【0005】
また、安定に取り扱うことが可能な低濃度の2−クロロアセトアミド溶液が有効に作用するためには、クロロアセトアミドを溶解させるための水または溶剤の各種製品に対する添加量が多くなり、各種製品の品質に悪影響を与える可能性があるため実用的ではない。
【0006】
また、2−クロロアセトアミドは単独で使用しても、十分な防腐防黴効果は得られず、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンまたはその塩類(以下纏めて「イソチアゾリン系化合物」という場合がある)を併用すると優れた効果が得られることを本発明者らは見い出している。従って、上記イソチアゾリン系化合物を2−クロロアセトアミドと併用する際にはさらに作業に手間がかかり、粉状の防腐防黴剤を取り扱う機会が増えることから、作業者が皮膚刺激の被害を受ける危険性はますます高くなる。
【0007】
従って、本発明の目的は、温度降下によっても2−クロロアセトアミドの析出が少なく溶液安定性に優れ、取扱性にも優れた2−クロロアセトアミドの高濃度溶液(工業用防腐防黴剤組成物)を提供することである。
また、本発明の他の目的は、2−クロロアセトアミドを他の防腐防黴剤と併用した場合にも溶液安定性に優れ、取扱性にも優れた高濃度溶液(工業用防腐防黴剤組成物)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は以下の構成の本発明によって達成される。
1)2−クロロアセトアミドをN−アルキル−2−ピロリドン中に含有してなることを特徴とする工業用防腐防黴剤組成物。
2)さらに5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンおよびその塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する前記1に記載の工業用防腐防黴剤組成物。
3)N−アルキル−2−ピロリドン100質量部あたり、2−クロロアセトアミドを5〜45質量部含有する前記1に記載の工業用防腐防黴剤組成物。
4)N−アルキル−2−ピロリドンが、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドンまたはN−ブチル−2−ピロリドンである前記1〜3のいずれかに記載の工業用防腐防黴剤組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明者は、前記課題を解決する目的で鋭意研究の結果、N−アルキル−2−ピロリドンが2−クロロアセトアミドに対して優れた溶解性および低温での溶解安定性を有し、従来の水またはグリコール、グリコールエーテル系溶剤と比較して溶解性および低温での溶解安定性が飛躍的に向上することを見いだした。
【0010】
従って本発明によれば、2−クロロアセトアミドを各種製品に添加する際、添加直前に2−クロロアセトアミドを溶解させる手間を省くことが可能となり、作業性と安全性が飛躍的に向上する。また、2−クロロアセトアミドを高濃度溶液として使用できることから、各種製品に対して2−クロロアセトアミドが有効に作用するために、従来のように水や溶剤が製品に多量に添加されることはなく実用的である。
【0011】
また、2−クロロアセトアミドに、他の防腐防黴剤を併用する際にも、2−クロロアセトアミドが高濃度かつ溶解安定性に優れているので、このような併用に際しても作業効率および安全性がさらに向上する。また、本発明の2−クロロアセトアミドの溶液からなる防腐防黴剤組成物は、被添加組成物である塗料、接着剤、粘着剤、シリコンエマルジョン、ワックスエマルジョン、工業用洗浄剤、繊維油剤、金属加工油などの製品に対しても相溶性が良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
本発明で使用する2−クロロアセトアミドは下記化学構造式で表される既知の化合物である。

【0013】
本発明に使用するN−アルキル−2−ピロリドンは下記化学構造式で表される化合物である。

(式中Rはメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基を示す)
具体的には、N−アルキル−2−ピロリドンとしてはN−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドンまたはN−ブチル−2−ピロリドンが挙げられる。
【0014】
上記N−アルキル−2−ピロリドンはアルキル基が異なる複数の化合物の混合物として使用してもよい。また、このN−アルキル−2−ピロリドンはそれ自体単独で使用してもよいし、他の溶剤、例えば、水、温水、グリコールまたはグリコールエーテル系の溶剤との混合溶剤(以下N−アルキル−2−ピロリドン単独および他の溶剤との混合溶剤を「N−アルキル−2−ピロリドン溶剤」と称する場合がある。)として使用してもよい。混合溶剤として使用する場合には混合溶剤中のN−アルキル−2−ピロリドンは全体の10質量%以上を占める割合とすることが好ましい。より好ましくは50質量%を超える割合とする。
【0015】
本発明においてN−アルキル−2−ピロリドン溶剤は、単独でも混合物としても使用でき、さらに水および/またはN−アルキル−2−ピロリドン溶剤以外の溶剤を全溶剤の90質量%未満の量で用いることができる。このような有機溶剤としては、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等、およびこれらの溶剤の混合溶剤が挙げられる。
【0016】
本発明の工業用防腐防黴剤組成物の基本的形態は、上記の通りであるが、防腐防黴性を高めるために、2−クロロアセトアミドと他の防腐防黴剤とを併用することができる。併用する他の防腐防黴剤は特に限定されないが、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンおよびそれらの塩などのイソチアゾリン系化合物を使用することが好ましい。
【0017】
本発明に使用する5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンは下記化学構造式で表される既知の化合物である。

【0018】
また、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンは下記化学構造式で表される既知の化合物である。

【0019】
また、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンは下記化学構造式で表される既知の化合物である。

なお、上記化合物と塩を形成する物質としては、水酸化ナトリウム等の無機アルカリ、アミン類などの有機アルカリが挙げられる。
【0020】
本発明の防腐防黴剤組成物が、前記イソチアゾリン系化合物を含む場合において、イソチアゾリン系化合物の使用量は、イソチアゾリン系化合物が5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの場合には、2−クロロアセトアミド100質量部あたり3〜300質量部であり、イソチアゾリン系化合物が2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの場合には、2−クロロアセトアミド100質量部あたり3〜1,500質量部であり、イソチアゾリン系化合物が1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンまたはその塩の場合には、2−クロロアセトアミド100質量部あたり3〜1,500質量部であることが好ましい。
【0021】
本発明の防腐防黴剤組成物における全防腐防黴成分の濃度は一般的には約5〜50質量%であることが好ましい。上記濃度が5質量%未満であると、製品中に添加する防腐防黴剤組成物の添加量が多くなり、結果として製品中に添加する溶剤が多くなり、製品の物性を損なう場合があるので好ましくない。また、濃度が50質量%を超えると温度低下に伴って前記防腐防黴成分が溶液中で析出する畏れがあるので好ましくない。
【0022】
本発明の防腐防黴剤組成物の用途は特に限定されないが、特に塗料、接着剤、粘着剤、シリコンエマルジョン、ワックスエマルジョン、工業用洗浄剤、繊維油剤、金属加工油などの各種製品の防腐防黴剤として有用である。
【実施例】
【0023】
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、これに限定されるものではない。
【0024】
実施例1:クロロアセトアミドの溶解性確認試験
2−クロロアセトアミドの、溶剤としてのN−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンおよび他の混合溶剤における溶解性を調べるため、2−クロロアセトアミドをN−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンおよび他の混合溶剤にそれぞれ5質量%、10質量%および20質量%溶解させた。これらについて、−10℃で2週間放置し、沈殿の生成を確認した。対比例として、溶剤としてエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量300)を用いた場合についても同様に試験した。
【0025】

評価)○:沈殿の生成が認められない。
×:沈殿の生成が認められる。
【0026】
以上の実施例より、2−クロロアセトアミドの溶解性はN−アルキル−2−ピロリドン溶剤を用いることにより飛躍的に向上することが確認された。
【0027】
実施例2:製剤安定性および各種添加対象物に対する相溶性確認試験
2−クロロアセトアミドとN−メチル−2−ピロリドンと前記イソチアゾリン系化合物とからなる各種配合の工業用防腐防黴剤組成物を調製し、それぞれ0℃、−10℃で2週間放置し、各試料の外観を確認した。また、各種配合の工業用防腐防黴剤組成物の添加対象物との相溶性を確認するため、工業用防腐防黴剤組成物を酢酸ビニル系エマルジョンおよびアクリル系エマルジョンに0.3質量%添加したものを十分に撹拌し、外観を観察した。
【0028】
製剤例1
2−クロロアセトアミド20質量部とN−メチル−2−ピロリドン80質量部とを混合して溶液とする。これを本発明の工業用防腐防黴剤組成物(a)とした。
【0029】
製剤例2
2−クロロアセトアミド15質量部とN−エチル−2−ピロリドン85質量部とを混合して溶液とする。これを本発明の工業用防腐防黴剤組成物(b)とした。
【0030】
製剤例3
2−クロロアセトアミド15質量部と5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン1質量部と水9質量部とN−メチル−2−ピロリドン75質量部とを混合して溶液とする。これを本発明の工業用防腐防黴剤組成物(c)とした。
【0031】
製剤例4
2−クロロアセトアミド15質量部と2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン10質量部と水10質量部とN−メチル−2−ピロリドン65質量部とを混合して溶液とする。これを本発明の工業用防腐防黴剤組成物(d)とした。
【0032】
製剤例5
2−クロロアセトアミド15質量部と1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン10質量部とN−メチル−2−ピロリドン75質量部とを混合して溶液とする。これを本発明の工業用防腐防黴剤組成物(e)とした。
【0033】

【0034】
上記試験結果から明らかな通り、本発明の工業用防腐防黴剤組成物は、安定性並びに添加対象物である塗料、接着剤、粘着剤、シリコンエマルジョン、ワックスエマルジョン、工業用洗浄剤などの製品に相溶性に優れたものである。
【0035】
実施例3(アクリル系エマルジョンの防腐防黴試験)
アクリル系エマルジョンはアクリルモノマーを主成分とし、必要に応じて他のモノマーを混合し、乳化重合により製造される。一般的に塗料やコーティング剤として、工業分野において広く利用されている。
【0036】
アクリル系エマルジョンに対して前記防腐防黴剤組成物(e)を添加し、以下に示す汚染菌液を1質量%接種した。これらを30℃の恒温器に保存し、保存開始から2週間経過毎に生菌数を測定した。なお、防腐防黴効果の持続性を確認するため、汚染菌液の接種は2週間後の生菌数測定後にも行った。また、試験終了後、各試験区の外観および臭気を確認した。判定は2週間後および4週間後における生菌数の増減、外観および臭気の異常の有無によって行った。
【0037】
i)汚染菌液
以下に示す汚染菌の接種にあたって、細菌はトリプトソーヤ液体培地を用い、酵母はモルトエキストラクト液体培地を用いて30℃で20時間振とう培養した。黴はポテトデキストロース斜面培地で培養したものをジオクチルスルホコハク酸0.0005質量%水溶液中に3白金耳懸濁した。以上によって得られた各菌液を等量で混合したものを汚染菌液とした。
【0038】
本名 :略名(以下のように略す)
(細菌)
Alcaligenes faecalis :Alc.f.
Enterobacter aerogenes :Ent.a.
Escherichia coli :Esc.c.
Flavobacterium odoratum :Fla.o.
Pseudomonas aeruginosa :Pse.a.
Proteus vulgaris :Pro.v
(酵母)
Candida albicans :Can.a.
(黴)
Aspergillus niger :Asp.n
Mucor recemosus f.sp.recemosus :Muc.r
Penicillium funiculosum :Pen.f
【0039】

【0040】
上記表3に示すように比較例に比べて、本発明の防腐防黴剤組成物(e)を適用した試験区から臭気の発生は認められず、比較例と比較して生菌数が少なく、著しく優れた効果を発揮した。
【0041】
実施例4(酢酸ビニル系エマルジョンに対する防腐防黴試験)
酢酸ビニル系エマルジョンは酢酸ビニルモノマーを主成分として、必要に応じて他のモノマーを混合し乳化重合により製造される。用途は、紙類、木工類、プラスチック類などの接着に広く使用されている。
【0042】
酢酸ビニル系エマルジョンに対して前記防腐防黴剤組成物(c)を添加し、以下に示す汚染菌液を1質量%接種した。これらを30℃の恒温器に保存し、保存開始から2週間経過毎に生菌数を測定した。なお、防腐防黴効果の持続性を確認するため、汚染菌液の接種は2週間後の生菌数測定後にも行った。また、試験終了後、各試験区の臭気を確認した。判定は2週間後から4週間後にかけて測定された生菌数の増減および外観、臭気の異常の有無によって行った。
【0043】
i)汚染菌液
(細菌)
樹脂エマルジョンの分離菌3種
Staphylococcus aureus
Pseudomonas aeruginosa
Escherichia coli
(酵母)
Candida albicans
以上を生理食塩水に3白金耳懸濁した。
(黴)
樹脂エマルジョンの汚染黴3種
Aspergillus niger
Penicillium citrinum
Cladosporium cladosporioides
以上をジオクチルスルホコハク酸0.0005質量%水溶液中に3白金耳懸濁した。
以上の各汚染菌液を等量で混合し、汚染菌液とした。
【0044】

【0045】
上記表4に示すように比較例に比べて、本発明の防腐防黴剤組成物(c)を適用した何れの試験区からも4週間菌の検出および臭気の発生は見られず、著しく優れた効果を発揮した。
【0046】
実施例5(EVA系エマルジョンの防腐防黴試験)
EVA系エマルジョンはエチレンおよび酢酸ビニルモノマーを主成分として、乳化重合により製造される。用途は、紙類、木工類、プラスチック類などの接着に広く使用されている。
【0047】
EVA系エマルジョンに対して前記防腐防黴剤組成物(d)を添加し、以下に示す汚染菌液を1質量%接種した。これらを30℃の恒温器に保存し、保存開始から2週間経過毎に生菌数を測定した。なお、防腐防黴効果の持続性を確認するため、汚染菌液の接種は2週間後の生菌数測定後にも行った。また、試験終了後、各試験区の臭気を確認した。判定は2週間後から4週間後にかけて測定された生菌数の増減および外観、臭気の異常の有無によって行った。
【0048】
汚染菌液
(細菌)
樹脂エマルジョンの分離菌3種
Staphylococcus aureus
Pseudomonas aeruginosa
Escherichia coli
(酵母)
Candida albicans
以上を生理食塩水に3白金耳懸濁した。
(黴)
樹脂エマルジョンの汚染黴3種
Aspergillus niger
Penicillium citrinum
Cladosporium cladosporioides
以上をジオクチルスルホコハク酸0.0005質量%水溶液中に3白金耳懸濁した。
以上の各汚染菌液を等量で混合し、汚染菌液とした。
【0049】

【0050】
上記表5から、比較例に比べて本発明の防腐防黴剤組成物(d)を適用した何れの試験区からも4週間菌の検出および臭気の発生は見られず、著しく優れた効果を発揮した。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の工業用防腐防黴剤組成物は、安定性に優れ、かつ本組成物を使用する対象物に対し相溶性および防腐防黴性が優れている。従って、本発明により、従来法による工業用防腐防黴剤使用における作業効率および安全性の向上を実現した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−クロロアセトアミドをN−アルキル−2−ピロリドン中に含有してなることを特徴とする工業用防腐防黴剤組成物。
【請求項2】
さらに5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンおよびその塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1に記載の工業用防腐防黴剤組成物。
【請求項3】
N−アルキル−2−ピロリドン100質量部あたり、2−クロロアセトアミドを5〜45質量部含有する請求項1に記載の工業用防腐防黴剤組成物。
【請求項4】
N−アルキル−2−ピロリドンが、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドンまたはN−ブチル−2−ピロリドンである請求項1〜3のいずれか1項に記載の工業用防腐防黴剤組成物。

【公開番号】特開2007−31299(P2007−31299A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213291(P2005−213291)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(593157910)株式会社タイショーテクノス (10)
【Fターム(参考)】