説明

工程管理システムおよび工程管理方法

【課題】 ワークフローの中での工程の状況を、容易に把握することを可能にする工程管理システムおよび工程管理方法を提供する。
【解決手段】 ワークフローの中の各工程で処理される案件の表示用データを作成する工程管理システムであって、各案件を所定長のレコードとして記録しているリレーショナルデータベース31Aを記憶する記憶装置31と、各工程で処理される案件をリレーショナルデータベース31Aから読み出し、読み出した案件を基に作成した案件情報と、この案件を処理する工程の処理内容を文章形式で表した工程情報とから成る表示用データを生成する変換装置30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、知的財産などの案件処理の工程を管理する工程管理システムおよび工程管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
知的財産やその権利に関係する案件(以下、「知財案件」という)は、所定の順序で手続き等の処理をされる。つまり、知財案件を管理する管理業務には、新規発明の受け付け、先行技術の調査、発明者との面談、出願の可・不可の判定、明細書の作成等の、各種の特有な工程から成るワークフローがある。このように多くの工程を経る知財案件を管理する際に、知財案件の管理業務を効率よく行うために、各種のシステムがある。例えば、システムの基礎となるソフトウエアつまりプラットフォームに、ワークフロー機能を持つシステムがある(例えば、特許文献1参照。)。このシステムによれば、ワークフロー機能の業務手順に基づいて、プラットフォームで実行された処理内容が、一定のルールに従ってマッピングされる。これにより、多くの工程から成る知財の管理業務が処理される。
【0003】
また、知財案件の管理業務を効率よく行うシステムには、業務の流れが定義されたワークフローに基づいて、業務の進捗状況を管理するものがある(例えば、特許文献2参照。)。このシステムでは、ワークフローの定義内容を変更することができるようにしている。これにより、このシステムは業務を円滑に遂行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−139761号公報
【特許文献2】特開2004−62439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先に述べた2つのシステムには、次の課題がある。つまり、いずれのシステムもワークフロー機能を基にして、多くの工程を経る知財案件の処理業務をコンピュータで管理している。このとき、発明者や知財担当者(以下、「担当者」という)のコンピュータには、例えば「出願依頼中」、「明細書のチェック中」というように、ワークフローの各工程が表示される。しかしながら、こういった工程の名称だけがコンピュータに表示された場合、知財業務の流れを熟知している担当者以外は、現在の工程が、全体のどの部分に位置するものであり、どういった手続き、処理をこの後進めていかなければならないのか、またはこの手続き、処理は緊急を要するものか、といった工程の進捗状況・次処理内容・緊急度といった状況を把握することが困難となる。特に、担当者ではなく、発明者がこれらのシステムを利用する場合、知財案件の処理業務に慣れていない場合が多く、「出願依頼中」などといった、ワークフローの各工程名称が表示されても、発明者が工程の進捗状況・次処理内容・緊急度を把握することはさらに困難となる。
【0006】
この発明の目的は、前記の課題を解決し、ワークフローの中での工程の状況を、容易に把握することを可能にする工程管理システムおよび工程管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、ワークフローの中の各工程で処理される案件の表示用データを作成する工程管理システムであって、各案件を所定長のレコードとして記録しているリレーショナルデータベースを記憶する記憶手段と、各工程で処理される案件を前記リレーショナルデータベースから読み出し、読み出した案件を基に作成した案件情報と、この案件を処理する工程の処理内容を文章形式で表した工程情報とから成る表示用データを生成する処理手段と、を備えることを特徴とする工程管理システムである。
【0008】
請求項1の発明では、記憶手段がリレーショナルデータベースを記憶している。リレーショナルデータベースは、各案件を所定長のレコードとして記録している。こうした状態で、処理手段は、各工程で処理される案件をリレーショナルデータベースから読み出す。この後、処理手段は、読み出した案件を基に作成した案件情報と、この案件を処理する工程の処理内容を文章形式で表した工程情報とから成る表示用データを生成する。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の工程管理システムにおいて、前記処理手段は、ワークフロー中での工程の処理段階をテキスト形式で表す工程番号と、工程の名称を文章形式で表す工程名称とで、工程情報を生成することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2に記載の工程管理システムにおいて、前記処理手段は、工程情報の工程番号を、数字と符号との組み合わせで形成し、連続して処理される工程を一つの符号で表す、ことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3に記載の工程管理システムにおいて、前記処理手段は、連続して処理される工程を、所定の範囲にある数字で表す、ことを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、ワークフローの中の各工程で処理される案件の表示用データを作成する工程管理方法であって、各案件を所定長のレコードとして記録しているリレーショナルデータベースを記憶し、各工程で処理される案件を前記リレーショナルデータベースから読み出し、読み出した案件を基に作成した案件情報と、この案件を処理する工程の処理内容を文章形式で表した工程情報とから成る表示用データを生成する、ことを特徴とする工程管理方法である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1および請求項5の発明によれば、案件を処理する工程の処理内容を文章形式で表し、この文章形式の処理内容を含む工程情報を、表示用データが含むので、このデータが例えば端末で表示されると、一連の手続きの流れに沿って定義されたワークフローのどの段階の工程で案件が処理されているのか等の、工程の状況を目視により把握することを可能にする。
【0014】
請求項2の発明によれば、工程情報が工程番号と工程名称とで生成されるので、工程番号により工程が一連の手続きの流れに沿って定義されたワークフローのどの処理段階であるかの確認と、工程の処理内容の確認とを、目視により把握することを可能にする。
【0015】
請求項3の発明によれば、連続して処理される工程を一つの符号で表すので、工程情報により、連続して処理される工程が一連の手続きの流れに沿って定義されたワークフローの中でどの段階にあるかを、目視で容易に把握可能にする。
【0016】
請求項4の発明によれば、数字が所定の範囲にあり、数字の始めと終わりがあらかじめ決められているので、連続して処理される工程において、現在の工程の処理段階を、目視で容易に把握可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態1による工程管理システムを示す構成図である。
【図2】発明者データベースの一例を示す図である。
【図3】発明届けデータベースの一例を示す図である。
【図4】出願情報データベースの一例を示す図である。
【図5】登録情報データベースの一例を示す図である。
【図6】変換装置の一例を示す構成図である。
【図7】知財のワークフローの一例を示す図である。
【図8】工程テーブルの一例を示す図である。
【図9】検索テーブルの一例を示す図である。
【図10】リレーショナルデータベースの一例を示す図である。
【図11】変換テーブルの一例を示す図であり、図11(a)は変換テーブルを表す図、図11(b)は変換テーブルの工程情報を表す図である。
【図12】小工程を工程情報に変換する様子を示す図である。
【図13】抽出処理を示すフローチャートである。
【図14】表示データを表示したときの表示画面を示す図である。
【図15】実施の形態2による表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、この発明の実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0019】
(実施の形態1)
この実施の形態による工程管理システムを図1に示す。この工程管理システムは知財案件を管理するものであり、データベースサーバ10と、記憶装置11、31と、管理端末20と、変換装置30と、端末40〜40とを備えている。この実施の形態では、データベースサーバ10、管理端末20、変換装置30および端末40〜40は、ローカルエリアネットワークLANに接続されて、データの送受信が可能な状態にある。
【0020】
管理端末20は、知財案件を管理する担当者によって操作されるコンピュータである。管理端末20は、データベースサーバ10および変換装置30とデータの送受信を行える。端末40〜40は、発明者によって操作されるコンピュータである。端末40〜40は、発明者によって操作される場合に、発明者コードの入力を要求する。この発明者コードとしては、社員を識別するための社員コードが該当する。また、端末40〜40は、変換装置30とデータの送受信を行える。この実施の形態では、発明者が知財案件の問い合わせを端末40〜40に入力すると、端末40〜40は問い合わせの指示を送信する。このとき、端末40〜40は、問い合わせの指示に対して発明者コードを付加して変換装置30に送信する。
【0021】
データベースサーバ10は、知財の管理に必要とする各種のデータを、記憶装置11に記憶し、また、記憶装置11に記憶したデータを管理する。データベースサーバ10が記憶装置11に記憶するデータには、発明者データベース(DB)11Aがある。発明者データベース11Aは発明者に関するデータを記録している。この発明者データベース11Aの一例を図2に示す。図2に示す発明者データベース11Aには、発明者を識別するための発明者コード、発明者の氏名および所属等が記録されている。
【0022】
データベースサーバ10が記憶装置11に記憶するデータには、発明届けデータベース(DB)11Bがある。発明届けデータベース11Bは発明者が提案する発明の内容を記録している。この発明届けデータベース11Bの一例を図3に示す。図3に示す発明届けデータベース11Bには、発明に関する案件を受け付けたときに付けられる受付番号、案件を受け付けた日付、発明者のコード、発明者の氏名、発明の概略などが記録されている。
【0023】
データベースサーバ10が記憶装置11に記憶するデータには、出願情報データベース(DB)11Cがある。出願情報データベース11Cは出願に関係する情報を記録している。この出願情報データベース11Cの一例を図4に示す。図4に示す出願情報データベース11Cには、出願記事の欄に、特許などの四法の区別および出願番号が記録され、公開記事の欄に公開番号が記録されている。また、出願情報データベース11Cには、出願人、発明者などが記録されている。
【0024】
データベースサーバ10が記憶装置11に記憶するデータには、登録情報データベース(DB)11Dがある。登録情報データベース11Dは登録に関係する情報を記録している。この登録情報データベース11Dの一例を図5に示す。図5に示す登録情報データベース11Dには、出願記事の欄に、特許などの四法および出願番号が記録され、登録記事の欄に登録番号が記録されている。また、登録情報データベース11Dには、出願人、発明者などが記録されている。
【0025】
変換装置30は、データベースサーバ10に記憶されている各種のデータを管理するコンピュータである。変換装置30は、図6に示すように、入力部30A、表示部30B、処理部30C、記憶部30D、通信部30Eおよびインターフェース(IF)部30Fを備えている。
【0026】
入力部30Aは操作パネルのような装置であり、入力部30Aには各種の指示等が入力される。表示部30Bは変換装置30の動作状態等を表示する装置である。通信部30Eは、処理部30CをローカルエリアネットワークLANに接続して、管理端末20や端末40〜40とのデータ通信を可能にする。記憶部30Dは、処理部30Cが行うプログラムを記憶している。インターフェース部30Fは、記憶装置31を処理部30Cに接続する。
【0027】
処理部30Cは、記憶部30Dに記憶されているプログラムを実行して、知財案件を管理するための各種の処理を行う。処理部30Cは、データベースサーバ10の記憶装置11に記録されている発明者データベース11A〜登録情報データベース11Dを基に、記憶装置31のリレーショナルデータベース31Aを更新する。この実施の形態で、処理部30Cは、知財案件を1行のレコードで生成し、各レコードを蓄積して、リレーショナルデータベース31Aを形成する。つまり、処理部30Cは、管理端末20から抽出条件を受け取ると、この抽出条件に適合するデータを、データベースサーバ10の記憶装置11から抽出する。この後、処理部30Cは、抽出したデータを集約し、リレーショナルデータベース(DB)31Aとして記録する。
【0028】
具体的に、この実施の形態では、知財のワークフローが図7に示すように、各大工程を表す大工程コードの若番から処理が行われる。図7では、大工程コードの識別番号「01」の「発明届け受け取り」から処理が始まり、大工程コード「15」の「権利終了」で処理が終わる。さらに、図8に示すように、大工程は中工程から成り、中工程は小工程から成る。つまり、図7に示す知財のワークフローが階層構造で形成されて、小工程が最下層になっている。こうした場合、処理部30Cは、図8に示す階層構造のデータを、工程テーブル31Bとして記憶装置31に記憶している。さらに、処理部30Cは、最下層である小工程に該当する知財案件を検索する場合に、検索のための検索条件を記録した検索テーブル31Cを、記憶装置31に記憶している。この検索テーブル31Cの一例を図9に示す。図9の検索テーブル31Cには、小工程の小工程コードに応じて、検索式が記憶されている。
【0029】
処理部30Cは、あらかじめ設定された検索周期または管理端末20の指示で、検索テーブル31Cの検索式を順に呼び出し、この検索式を用いて、データベースサーバ10の記憶装置11の発明者データベース11A〜登録情報データベース11Dの中から、知財案件の受け付け時に与えられる「受付番号」、発明者を表す「発明者コード」などのような、検索式に該当するデータを抽出する。この後、処理部30Cは、抽出したデータを集約して、1件の知財案件を1行のレコードとして生成する。そして、処理部30Cは、生成した各レコードを、小工程を表す小工程コード毎に、記憶装置31のリレーショナルデータベース31Aに記録する。このリレーショナルデータベース31Aの一例を図10に示す。図10に示すリレーショナルデータベース31Aには、各小工程コードに該当する知財案件が1行のレコードとして記録されて蓄積されている。1行のレコードには、明細書データベース(DB)31Dに記録されている書類であり、かつ、受付番号に該当する書類が、添付書類として添付されている。なお、明細書データベース31Dには、出願前後の明細書等の書類、登録後の書類が記録されている。
【0030】
変換装置30の記憶装置31には、変換テーブル31Eが記録されている。変換テーブル31Eには、工程テーブル31B(図8)に記録されている小工程コードに対応して、工程情報が記憶されている。工程情報は、コード化されて記録されている小工程を、目視容易な情報に変換するためのものである。この変換テーブル31Eの一例を図11(a)に示す。図11(a)の変換テーブル31Eは、小工程コード「0100A01」などに対応して、テキスト形式の工程情報を記憶している。この工程情報は、図11(b)に示すように、工程番号と工程名称の2つの部分からなり、例えば、工程情報が「A1 発明届けを提出して下さい」という内容である場合、「A1」の部分が工程番号に該当し、「発明届けを提出して下さい」の部分が工程名称に該当する。
【0031】
この実施の形態では、工程番号は、ワークフローにおける小工程の処理段階を示すものであり、アルファベット「A」〜「Z」の英文字と、「1」から始まる数字とから成る英数字の組み合わせで表されている。そして、連続して処理される小工程の集合が一つの英文字で表されている。具体的には、例えば小工程で「0100A01」〜「0100A07」が連続して処理される場合、アルファベット「A」が、この連続する小工程の集合を表している。しかも、アルファベット「A」〜「Z」の順が、時系列で処理される小工程の各集合を表している。つまり、工程番号の英文字がアルファベット「Z」に近づくほど、小工程の集合がワークフロー(図7)の大工程コード「15」で表される最終の処理段階に近い、ということがアルファベットで表されている。また、工程情報の数字部分により、連続する小工程の集合における各小工程の処理順序が表されている。この実施の形態では、若番の「1」からの数字の順が、時系列で処理される小工程の順を表している。なお、連続して処理される小工程は、例えば所定期間以内に処理されるものである。
【0032】
工程情報の工程名称は、工程番号で表された小工程における処理内容を表したものである。この実施の形態では、工程名称が、
a1.…して下さい。
a2.…待ち。
a3.…が届きました。
のようなテキスト形式であり、かつ、文章形式で表されている。なお、工程名称a1〜a3の「…」は、小工程の処理を表す任意の文章であり、例えば、工程名称a1であれば、「…」が「発明届けを提出」というような内容になる。
【0033】
こうした変換テーブル31Eにより、処理部30Cは、コード化された小工程を、目視による把握容易な工程情報に変換する。工程テーブル31Bが先の図8に示すものである場合、処理部30Cは、図12に示すように、コード化された小工程を工程情報に変換していく。
【0034】
処理部30Cは、知財案件の問い合わせの指示を端末40〜40から受信すると、図13に示す抽出処理を開始する。処理部30Cは、抽出処理を開始すると、問い合わせの指示を送信した発明者および端末を特定する(ステップS1)。この実施の形態では、ステップS1で、処理部30Cは問い合わせの指示に付加されているデータから、発明者コードを調べて、発明者を特定する。また、ステップS1で、処理部30Cは、端末40〜40に付けられている識別情報等により、端末を特定する。なお、ステップS1で、指示を送信した端末に問い合わせて、発明者を特定するための発明者コードを得るようにしてもよい。ステップS1が終了すると、発明者に対応する知財案件をリレーショナルデータベース31Aから抽出する(ステップS2)。この実施の形態では、発明者の発明者コードに対応する知財案件を抽出する。ステップS2が終了すると、処理部30Cは、変換テーブル31Eを参照し、抽出した知財案件が属する小工程を、工程情報に変換する(ステップS3)。これにより、例えば、先に述べた図10に示すリレーショナルデータベース31Aを使用する場合、受付番号「AB0001」の知財案件が小工程「0100A01」に属するので、処理部30Cは、先に述べた図11の変換テーブル31Eを参照し、小工程「0100A01」を工程情報「A1 発明届けを提出して下さい」に変換する。この後、処理部30Cは、ステップS2およびステップS3の処理結果を用いて、表示データを作成する(ステップS4)。この実施の形態では、
b1.表題
b2.知財案件の工程情報
b3.知財案件の整理番号
b4.知財案件の発明の名称
の表示項目から成る表示データを生成する。表示データの表示項目b3と表示項目b4とは、知財案件の内容を表す案件情報である。ステップS4が終了すると、処理部30Cは、知財案件の問い合わせの指示を出した端末に対して、ステップS4で生成した表示データを送信し(ステップS5)、抽出処理を終了する。
【0035】
次に、この実施の形態による工程管理システムを用いた工程管理方法について説明する。発明者が例えば端末40を操作して、知財案件の問い合わせを入力する。これにより、端末40は、知財案件の問い合わせの指示を変換装置30に送信する。
【0036】
変換装置30の処理部30Cは、問い合わせの指示を受信すると、抽出処理を行い、表示データを生成する。そして、処理部30Cは、生成した表示データを、問い合わせの指示を出した端末40に送信する。
【0037】
端末40は、表示データを受信すると、表示装置(図示を省略)に、上記の表示項目b1〜b4から成る表示データを表示する。表示データの表示の様子を図14に示す。図14の表示画面では、表示項目b1の表題の下に、表示項目b2の工程情報と、表示項目b3および表示項目b4の案件情報とから成る知財案件が、縦方向に列記されて、表示されている。
【0038】
こうして、この実施の形態により、知財担当者の管理端末20や、発明者の端末40〜40には、変換装置30からの表示データにより、図14に示されるような表示画面が表示される。これにより、工程情報に含まれる工程番号の英文字から、連続して処理される小工程の集合であり、かつ、知財案件が属する集合がワークフローのどの段階にあるかを目視可能にし、工程番号の数字から、小工程の集合の中で、表示されている知財案件がどの段階にあるのかを目視可能にする。さらに、工程情報に含まれる工程名称から、知財案件に必要とする処理内容を、具体的に把握可能にする。つまり、この実施の形態によれば、ワークフローの中において、知財案件を処理する小工程の状況を、目視により容易に把握することを可能にする。
【0039】
なお、この実施の形態では、工程情報の工程番号として、英数字の組み合わせを用いたが、これに限定されることはない。例えば、英文字の代わりに、平仮名や片仮名を用いてもよい。また、数字も「I、II、…」のようなローマ数字を用いてもよい。つまり、順序関係が視認できる符号であれば、任意のものが工程番号として利用可能である。また、この実施の形態では、数字の始めを「1」としたが、これを「0」を含む別の数字としてもよい。
【0040】
(実施の形態2)
この実施の形態では、工程情報を次のようにしている。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。この実施の形態では、先に説明した工程情報の中で、直ちに処理する必要がある知財案件の工程情報および案件情報を着色する。このために、処理部30Cは、抽出処理のステップS4で、表示データを作成する際に、表示項目b2〜b4の背景色を変えて、表示項目の強調処理を行う。この強調処理により、管理端末20や端末40〜40には、例えば図15に示すように、工程情報「A1 発明届けを提出して下さい」の背景色C1と、表示項目b3と表示項目b4とから成る案件情報の背景色C2、C3とを、例えば赤色にした表示がされる。
【0041】
なお、直ちに行う必要がある知財案件の判別は、例えば次のようにして行われる。処理部30Cは、工程情報中の工程名称を検索し、処理を促すキーワード「してくだい。」や、問いかけのキーワード「ですか。」等の有無を調べる。これらの特定のキーワードが含まれる工程情報および案件情報に対して、処理部30Cは先の強調処理を行う。
【0042】
この実施の形態によれば、直ちに処理する必要がある知財案件を表す工程情報および案件情報を着色するので、この知財案件については、目視による確認を可能にする。
【0043】
なお、この実施の形態では、工程情報と案件情報のすべての背景色を着色したが、工程情報の一部、または、案件情報の一部の背景色を着色してもよい。また、この実施の形態では、背景色を着色したが、各情報を表すフォントを着色してもよい。
【0044】
(実施の形態3)
この実施の形態では、工程情報を次のようにしている。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。この実施の形態では、実施の形態1および実施の形態2で、連続する処理を所定数以内、例えば九つ以内にする。これにより、一連の処理は、「1」〜「9」の数字で表される。
【0045】
この実施の形態によれば、「1」〜「9」の数字を用いて、連続して処理される小工程の集合における各小工程を表している。これにより、最初の数字「1」で表される小工程に属する知財案件が、小工程の集合の中の最初であることが目視により確認でき、最後の数字「9」で表される小工程に属する知財案件が、小工程の集合の中の最後であることが目視により確認できる。
【0046】
(実施の形態4)
この実施の形態では、工程情報を次のようにしている。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。この実施の形態では、工程情報の工程番号において、連続して処理される小工程の集合を、「1」から始まる数字で表し、この集合での各小工程の処理順序を、「A」〜「Z」の英文字で表している。つまり、この実施の形態では、実施の形態1〜実施の形態3とは逆の方法で工程番号を表している。
【0047】
この実施の形態によれば、実施の形態1〜実施の形態3と同等の効果を達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
この発明は、知財案件に限らず、ワークフローに沿って処理される各種の案件について利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 データベースサーバ
11 記憶装置
20 管理端末
30 変換装置(処理手段)
31 記憶装置(記憶手段)
31A リレーショナルデータベース
40〜40 端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークフローの中の各工程で処理される案件の表示用データを作成する工程管理システムであって、
各案件を所定長のレコードとして記録しているリレーショナルデータベースを記憶する記憶手段と、
各工程で処理される案件を前記リレーショナルデータベースから読み出し、読み出した案件を基に作成した案件情報と、この案件を処理する工程の処理内容を文章形式で表した工程情報とから成る表示用データを生成する処理手段と、
を備えることを特徴とする工程管理システム。
【請求項2】
前記処理手段は、ワークフロー中での工程の処理段階をテキスト形式で表す工程番号と、工程の名称を文章形式で表す工程名称とで、工程情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の工程管理システム。
【請求項3】
前記処理手段は、工程情報の工程番号を、数字と符号との組み合わせで形成し、連続して処理される工程を一つの符号で表す、
ことを特徴とする請求項2に記載の工程管理システム。
【請求項4】
前記処理手段は、連続して処理される工程を、所定の範囲にある数字で表す、
ことを特徴とする請求項3に記載の工程管理システム。
【請求項5】
ワークフローの中の各工程で処理される案件の表示用データを作成する工程管理方法であって、
各案件を所定長のレコードとして記録しているリレーショナルデータベースを記憶し、
各工程で処理される案件を前記リレーショナルデータベースから読み出し、
読み出した案件を基に作成した案件情報と、この案件を処理する工程の処理内容を文章形式で表した工程情報とから成る表示用データを生成する、
ことを特徴とする工程管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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