説明

差分データ転送方法、データ更新方法、データ更新装置、および地図データ記録方法

【課題】カーナビゲーションシステムの地図データなど、サイズの大きいデータを差分データにより更新する際に、データ更新処理に必要なディスクまたはメモリ容量を削減する。
【解決手段】放送受信手段108により、データ位置情報と、追加データを別々に受信する。まず、データ位置情報のみを受信し、差分データ合成手段101が新データで使用しない領域を、新旧一致データの移動処理のバッファとして確保する。次に、差分データ合成手段101が確保したバッファを利用して、新旧一致データ位置情報で示される旧データ位置から新データ位置へ、新旧一致データを移動させる。その後、追加データを受信し、追加データ位置情報で示される新データ位置へ、追加データを書き込むことにより、新データへの更新が完了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々のデータを更新するための技術に関し、特に、カーナビゲーションシステムなどの地図データを更新するための差分データ転送方法、データ更新方法、データ更新装置、および地図データ記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のデータ更新装置は、図19に示すように、新旧一致データ情報や追加データ情報からなる差分データなどを処理する差分データ合成手段1901、差分データを記憶する差分データ記憶手段1902、旧データを記憶する旧データ記憶手段1905、新データを記憶する新データ記憶手段1906によって構成されている。
【0003】
図20は、従来のデータ更新装置が処理する差分データの例を示した説明図である。図21は、従来のデータ更新装置が処理する旧データと新データの例を示した説明図である。
【0004】
図20に示した差分データは、図21に示した旧データ2101および新データ2102から生成されたものである。旧データ記憶手段1905に記憶されている旧データ2101は、データa、b、c、d、e、fから構成され、新データ記憶手段1906に記憶されている新データ2102は、データA、b、C、d、f、Gから構成されている。データb、d、fは、旧データと新データで一致するデータである。
【0005】
図20に示した差分データ2001〜2006は、図21に示した新データ2102を構成するデータA、b、C、d、f、Gの順に対応しており、差分データの先頭に設けた識別コードにより新旧一致データ情報である差分データ2002、2004、2005と、追加データ情報である差分データ2001、2003、2006に識別されている。
【0006】
新旧一致データ情報である差分データ2002、2004、2005には、新旧一致データb、d、fのサイズと、旧データ中における位置が格納されており、追加データ情報である差分データ2001、2003、2006には、追加データA、C、Gのサイズと、追加データの実体が格納されている。
【0007】
図22は、従来のデータ更新装置におけるデータ更新処理中のデータの状態を示した説明図である。まず、図22(A)に示すように、旧データ2101が旧データ記憶手段1905に記憶されている。次に、差分データ合成手段1901は、図22(B)に示すように、旧データ2101をそのまま残した状態で、それぞれの差分データの内容に従って差分データ2001〜2006の順にデータA、b、C、d、f、Gを新データ2102として、新データ記憶手段1906に書き込んでいき、新データ2102の作成が完了したら、図22(C)に示すように、旧データ記憶手段1905から旧データ2101を削除してデータ更新処理を完了する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−152136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来のデータ更新装置では、データの更新中に旧データの記憶領域と新データの記憶領域をそれぞれ別に用意する必要があるため、更新するデータのサイズが大きくなるほど、データ更新処理に必要な記憶容量が大きくなるという課題を有していた。
【0009】
特に、上述した従来のデータ更新装置では、地図データを構成する電子ファイルのために数ギガバイトの記憶領域を用意する必要がある場合もあり、記憶装置が組み込まれているカーナビゲーションシステムのような組込み機器として従来のデータ更新装置を用いる場合、組込み機器の記憶装置が予め十分な記憶容量を確保しておくことは難しいという大きな課題があった。
【0010】
本発明は、従来の課題を解決するためになされたもので、データ更新処理に関わる記憶容量を削減することのできる差分データ転送方法、データ更新方法、データ更新装置、および地図データ記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のデータ更新装置は、記憶媒体に記憶されたデータを差分更新するデータ更新装置であって、更新前後で共通する共通データが既に記憶されている旧アドレス、前記共通データが新たに記憶される新アドレス、更新で追加される追加データ及び前記追加データが新たに記憶される追加先アドレスを受信する受信部と、前記記憶媒体に記憶された共通データを前記受信部で受信された旧アドレスから前記受信部で受信された新アドレスに移動する移動処理と、前記受信部で受信された追加データを前記受信部で受信された追加先アドレスに記憶する追加処理とを実行する制御部とを備えた構成を有している。
【0012】
この構成により、共通データを旧アドレスから新アドレスに移動する移動処理と、追加データを追加先アドレスに記憶する追加処理とを行うため、データ更新処理に必要なディスク容量またはメモリ容量を削減することができる。
【0013】
また、本発明のデータ更新装置は、前記制御部は、前記移動処理を前記追加処理よりも先に実行する構成を有している。
【0014】
この構成により、移動処理を追加処理よりも先に実行するため、データ更新処理に必要なディスク容量またはメモリ容量を削減することができる。
【0015】
また、本発明のデータ更新装置は、前記制御部は、更新でデータが削除される領域をバッファ領域として前記移動処理を実行する構成を有している。
【0016】
この構成により、更新でデータが削除される領域をバッファ領域として移動処理を実行するため、データ更新処理に必要なディスク容量またはメモリ容量を削減することができる。
【0017】
本発明のデータ更新プログラムは、コンピュータに対して、記憶媒体に記憶され更新前後で共通する共通データを受信された旧アドレスから受信された新アドレスに移動する移動処理と、受信された追加データを受信された追加先アドレスに記憶する追加処理とを実行させる。
【0018】
このプログラムにより、共通データを旧アドレスから新アドレスに移動する移動処理と、追加データを追加先アドレスに記憶する追加処理とを行うため、データ更新処理に必要なディスク容量またはメモリ容量を削減することができる。
【0019】
また、本発明のデータ更新プログラムは、前記コンピュータに対して、前記移動処理を前記追加処理よりも先に実行させる。
【0020】
このプログラムにより、移動処理を追加処理よりも先に実行するため、データ更新処理に必要なディスク容量またはメモリ容量を削減することができる。
【0021】
本発明の送信装置は、差分更新用の差分データを送信する送信装置であって、
前記差分データとして、更新前後で共通する共通データが既に記憶されている旧アドレス、前記共通データが新たに記憶される新アドレス及び更新で追加される追加データを、前記旧アドレス及び前記新アドレスを含むアドレス群と前記追加データを含むデータ群とに区分して送信する送信部を備えた構成を有している。
【0022】
この送信装置により、旧アドレス、新アドレス及び追加データを、旧アドレス及び新アドレスを含むアドレス群と追加データを含むデータ群とに区分して送信するため、受信側のデータ更新処理に必要なディスク容量またはメモリ容量を削減することができる。
【0023】
また、本発明の送信装置は、前記送信部は、前記アドレス群を前記データ群よりも先に送信する構成を有している。
【0024】
この送信装置により、受信側のデータ更新処理に必要なディスク容量またはメモリ容量を削減することができる。
【0025】
また、本発明の送信装置は、前記送信部は、前記追加データが新たに記憶される追加先アドレスを前記アドレス群に含んで送信する構成を有している。
【0026】
この送信装置により、受信側のデータ更新処理に必要なディスク容量またはメモリ容量を削減することができる。
【0027】
本発明の差分データのデータ構造は、差分更新用の差分データのデータ構造であって、前記差分データは、更新前後で共通する共通データが既に記憶されている旧アドレスと、前記共通データが新たに記憶される新アドレスと、更新で追加される追加データと、前記追加データが新たに記憶される追加先アドレスとを含み、前記共通データを記憶媒体の前記旧アドレスから前記新アドレスに移動する手段と、前記追加データを前記記憶媒体の前記追加先アドレスに追加する手段とを備えるデータ更新装置によって用いられる。
【0028】
このデータ構造により、データ更新装置におけるデータ更新処理に必要なディスク容量またはメモリ容量を削減することができる。
【0029】
また、本発明の差分データのデータ構造の前記差分データは、前記旧アドレス及び前記新アドレスを含むアドレス群と、前記追加データを含むデータ群とに区分され、前記アドレス群を前記データ群よりも先に処理するデータ更新装置によって用いられる。
【0030】
このデータ構造により、データ更新装置におけるデータ更新処理に必要なディスク容量またはメモリ容量を削減することができる。
【0031】
また、本発明の差分データのデータ構造の前記アドレス群は、前記追加先アドレスを含んでいる。
【0032】
このデータ構造により、データ更新装置におけるデータ更新処理に必要なディスク容量またはメモリ容量を削減することができる。
【0033】
また、本発明の差分データのデータ構造の前記差分データは、地図データである。
【0034】
このデータ構造により、地図データのデータ更新処理に必要なディスク容量またはメモリ容量を削減することができる。
【0035】
また、本発明の差分データのデータ構造の前記地図データは、データの種類毎または地域毎に分割されてなる。
【0036】
このデータ構造により、地図データのデータ更新処理に必要なディスク容量またはメモリ容量を削減することができる。
【0037】
本発明のデータ更新装置は、記憶媒体に記憶されたデータを差分更新するデータ更新装置であって、更新前後で共通する共通データを分割してなる分割共通データが既に記憶されている旧分割アドレス、前記分割共通データが新たに記憶される新分割アドレス、前記分割共通データに係る分割データサイズ、更新で追加される追加データ、前記追加データが新たに記憶される追加先アドレス及び前記追加データに係る追加データサイズを受信する受信部と、前記記憶媒体に記憶された分割共通データを前記受信部で受信された旧分割アドレス及び前記分割データサイズで定まる範囲から前記受信部で受信された新分割アドレス及び前記分割データサイズで定まる範囲にコピーするコピー処理と、前記受信部で受信された追加データを前記受信部で受信された追加先アドレス及び前記追加データサイズで定まる範囲に記憶する追加処理とを実行する制御部とを備えた構成を有している。
【0038】
この構成により、分割共通データを、旧分割アドレス及び分割データサイズで定まる範囲から、新分割アドレス及び分割データサイズで定まる範囲にコピーするコピー処理と、追加データを、追加先アドレス及び追加データサイズで定まる範囲に記憶する追加処理とを実行するため、データ更新処理に必要なディスク容量またはメモリ容量を削減することができる。
【0039】
また、本発明のデータ更新装置は、前記制御部は、前記コピー処理を前記追加処理よりも先に実行する構成を有している。
【0040】
この構成により、コピー処理を追加処理よりも先に実行するため、データ更新処理に必要なディスク容量またはメモリ容量を削減することができる。
【0041】
本発明のデータ更新プログラムは、コンピュータに対して、記憶媒体に記憶され更新前後で共通する共通データを分割してなる分割共通データを受信された旧分割アドレス及び受信された分割データサイズで定まる範囲から受信された新分割アドレス及び分割データサイズで定まる範囲にコピーするコピー処理と、受信された追加データを受信された追加先アドレス及び追加データサイズで定まる範囲に記憶する追加処理とを実行させる。
【0042】
このプログラムにより、分割共通データを、旧分割アドレス及び分割データサイズで定まる範囲から、新分割アドレス及び分割データサイズで定まる範囲にコピーするコピー処理と、追加データを、追加先アドレス及び追加データサイズで定まる範囲に記憶する追加処理とを実行するため、データ更新処理に必要なディスク容量またはメモリ容量を削減することができる。
【0043】
また、本発明のデータ更新プログラムは、前記コンピュータに対して、前記コピー処理を前記追加処理よりも先に実行させる。
【0044】
このプログラムにより、コピー処理を追加処理よりも先に実行するため、データ更新処理に必要なディスク容量またはメモリ容量を削減することができる。
【0045】
本発明の送信装置は、差分更新用の差分データを送信する送信装置であって、前記差分データとして、更新前後で共通する共通データを分割してなる分割共通データが既に記憶されている旧分割アドレス、前記分割共通データに係る分割データサイズ、前記分割共通データが新たに記憶される新分割アドレス、更新で追加される追加データ及び前記追加データに係る追加データサイズを、前記旧分割アドレス、前記分割データサイズ、前記新分割アドレス及び前記追加データサイズを含むアドレス群と前記追加データを含むデータ群とに区分して送信する送信部を備えた構成を有している。
【0046】
この送信装置により、旧分割アドレス、分割データサイズ、新分割アドレス、追加データ及び追加データサイズを、旧分割アドレス、分割データサイズ、新分割アドレス及び追加データサイズを含むアドレス群と追加データを含むデータ群とに区分して送信するため、受信側のデータ更新処理に必要なディスク容量またはメモリ容量を削減することができる。
【0047】
また、本発明の送信装置は、前記送信部は、前記アドレス群を前記データ群よりも先に送信する構成を有している。
【0048】
この送信装置により、受信側のデータ更新処理に必要なディスク容量またはメモリ容量を削減することができる。
【0049】
本発明の差分データのデータ構造は、差分更新用の差分データのデータ構造であって、 前記差分データは、更新前後で共通する共通データを分割してなる分割共通データが既に記憶されている旧分割アドレスと、前記分割共通データに係る分割データサイズと、前記分割共通データが新たに記憶される新分割アドレスと、更新で追加される追加データと、前記追加データが新たに記憶される追加先アドレスと、前記追加データに係る追加データサイズとを含み、前記分割共通データを前記旧分割アドレス及び前記分割データサイズで定まる記憶媒体の範囲から前記新分割アドレス及び前記分割データサイズで定まる範囲にコピーする手段と、前記追加データを前記追加先アドレス及び前記追加データサイズで定まる前記記憶媒体の範囲に追加する手段とを備えるデータ更新装置によって用いられる。
【0050】
このデータ構造により、データ更新装置におけるデータ更新処理に必要なディスク容量またはメモリ容量を削減することができる。
【0051】
また、本発明の差分データのデータ構造の前記差分データは、前記旧分割アドレス及び前記新分割アドレスを含むアドレス群と、前記追加データを含むデータ群とに区分され、前記アドレス群を前記データ群よりも先に処理するデータ更新装置によって用いられる。
【0052】
このデータ構造により、データ更新装置におけるデータ更新処理に必要なディスク容量またはメモリ容量を削減することができる。
【0053】
また、本発明の差分データのデータ構造の前記アドレス群は、前記追加先アドレスを含んでいる。
【0054】
このデータ構造により、データ更新装置におけるデータ更新処理に必要なディスク容量またはメモリ容量を削減することができる。
【0055】
また、本発明の差分データのデータ構造の前記新アドレスまたは前記追加先アドレスは、予備領域を考慮して定義されている。
【0056】
このデータ構造により、差分データのサイズを削減することができる。
【0057】
また、本発明の差分データのデータ構造の前記差分データは、地図データである。
【0058】
このデータ構造により、地図データのデータ更新処理に必要なディスク容量またはメモリ容量を削減することができる。
【0059】
また、本発明の差分データのデータ構造の前記地図データは、データの種類毎または地域毎に分割されてなる。
【0060】
このデータ構造により、地図データのデータ更新処理に必要なディスク容量またはメモリ容量を削減することができる。
【0061】
なお、「コピー処理」は、データ更新装置側でバッファ領域の確保・算出を要しない点で「移動処理」と異なっている。また、コピーデータはアドレス順に並んでおらず、データサイズがアドレスの差分から算出されないので、「コピー処理」は、サイズデータを要する点で「移動処理」と異なっている。
【発明の効果】
【0062】
以上のように本発明は、データ更新処理に関わる記憶容量を削減することのできる差分データ転送方法、データ更新方法、データ更新装置、および地図データ記録方法を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
以下、本発明の実施の形態に係る差分データ転送方法、データ更新方法、データ更新装置、および地図データ記録方法について、図面を参照して説明する。
【0064】
(本発明の第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るデータ更新装置のブロック図である。図1に示したデータ更新装置は、データが記憶される記憶領域の位置を示すデータ位置情報や旧データに追加されるデータとなる追加データからなる差分データなどを処理する差分データ合成手段101(制御部)と、差分データを記憶する差分データ記憶手段102と、旧データまたは新データを記憶する新旧データ記憶手段107と、データを配信するデータ配信局(送信装置に相当する)の送信部からの放送によってデータを受信する放送受信手段108(受信部)とで構成されている。
【0065】
差分データ記憶手段102には、データ位置情報と追加データとが格納される。さらに、データ位置情報は、旧データの領域と同じ記憶領域で更新される新データが旧データと一致する部分の位置を示す新旧一致データ位置情報と、追加データの位置を示す追加データ位置情報とで構成される。また、差分データ合成手段101は、例えば、CPUなどの中央演算処理装置(コンピュータに相当する)によって構成され、差分データ記憶手段102および新旧データ記憶手段107は、例えば、メモリやディスクなどの記憶媒体で構成される。
【0066】
具体例としては、カーナビゲーションシステムの場合、新旧データ記憶手段107としてハードディスクドライブ(HDD)などが用いられ、新旧データ記憶手段107に地図データなどが格納される。差分データ記憶手段102としてはメモリが利用され、放送受信手段108で受信した差分データが、差分データ記憶手段102に一時的に格納され、データ更新処理が終わったら消去されても良く、または、HDD上に移動され保存されてもよい。
【0067】
放送受信手段108は、地上デジタル放送の受信機などで構成され、ISO/IEC13818−6で規定されるDSM−CC(Digital Storage Media Command and Control)のデータカルーセル伝送などを用いて放送されたデータを受信する。
【0068】
図2は、差分データ記憶手段102に格納されたデータ位置情報の一例について説明するための説明図である。図3は、差分データ記憶手段102に格納された追加データの一例について説明するための説明図である。なお、図2および図3で示したデータ構造は、差分更新用の差分データのデータ構造の一例である。
【0069】
図2では、データ位置情報201〜206を1つのデータの集合とし、図3では、追加データ301〜303を別のデータの集合としている。データカルーセルによるデータ放送の場合、データ位置情報201〜206および追加データ301〜303はそれぞれ、放送受信手段108によって一定周期毎に繰り返し受信される。
【0070】
図4は、旧データおよび新データについて説明するための説明図である。なお、図2および図3に示したそれぞれのデータは、図4に示した旧データ401と新データ402から生成されたものである。
【0071】
旧データ401は、データa、b、c、d、e、fによって構成され、新データ402は、データA、b、C、d、f、Gから構成されている。旧データ401を構成するデータb、d、fは、新データ402を構成するデータb、d、fとそれぞれ同じデータである共通データを表している。なお、新データ402を構成するデータA、b、C、d、f、Gは、図示している順に並んで配置されている。また、各データの位置の例を図中に示す。
【0072】
図2で説明したデータ位置情報201〜206は、新データ402を構成するデータA、b、C、d、f、Gの順に対応している。データ位置情報201〜206は、データ位置情報201〜206それぞれの先頭に設けた識別コードにより、新旧一致データ位置情報であるデータ位置情報202、204、205(データb、d、fに対応)と、追加データ位置情報であるデータ位置情報201、203、206(データA、C、Gに対応)に識別される。
【0073】
新旧一致データ位置情報となるデータ位置情報202、204、205には、共通データである新旧一致データb、d、fの新データ中における位置を表す新アドレスと、旧データ中における位置を表す旧アドレスの両方が格納されており、追加データ位置情報となるデータ位置情報201、203、206には、新データに追加されるデータA、C、Gの新データ中における位置を表す追加アドレスが格納されている。図2の(2)はデータ位置情報201〜206のデータ格納例を示したものである。新データに追加されるデータA、C、Gの実データは、追加データ301〜303に格納されている。
【0074】
なお、新データ402を構成するデータA、b、C、d、f、Gの各データサイズは、データ位置情報201〜206における新データ位置がデータ順に並んで配置されていることを利用して、隣り合うデータ同士のデータ位置との差分(最終データではデータ全体サイズとの差分)から算出される。図2(3)にデータサイズの算出例を示す。
【0075】
以上のように構成されたデータ更新装置が行うデータ更新処理について、図5および図6を用いてその動作を説明する。図5は、データ更新処理の流れを示すフローチャートである。図6は、データ更新処理に従って、新旧データ記憶手段107上のデータが更新されていく様子を示した図である。
【0076】
前提として、図6(A)に示すように、データ更新処理を開始する前の状態では、新旧データ記憶手段107の記憶領域には、旧データ401として、データa〜fが存在している。なお、本データ更新処理では、旧データ401の記憶領域と同じ領域で新データ402が更新される。
【0077】
まず、データ更新処理が開始されると、放送受信手段108がデータ位置情報を受信する(ステップS501)。前述したデータカルーセルによるデータ放送の場合、データ位置情報201〜206と追加データ301〜303がそれぞれ一定周期毎に繰り返し伝送されるため、放送受信手段108が追加データを受信している間は、受信したデータを読み捨て、データ位置情報が受信されたら、差分データ合成手段101は、データ位置情報を差分データ記憶手段102に格納する。
【0078】
次に、差分データ合成手段101は、データ位置情報の受信が完了したかどうかをチェックし(ステップS502)、受信が完了していなければ、ステップS501に戻る。データ位置情報の受信が完了するまで、ステップS501〜ステップS502が繰り返される。ここでは、データ位置情報201〜206が差分データ記憶手段102に格納されたとする。
【0079】
データカルーセルによるデータ放送の場合、どこからデータの受信を開始しても、一周期分のデータを受信すれば良いため、例えば、データ位置情報205から受信を開始した場合、データ位置情報205、206、201、202、203、204の順に一周期分のデータを受信したところで、データ位置情報の受信を完了する。
【0080】
次に、差分データ合成手段101は、受信されたデータ位置情報に基づいて、旧データ401を構成するデータa〜fのうち、新データ402で使用しないデータを特定し、特定したデータの記憶領域に対応する旧データ401の領域をバッファとして確保する(ステップS503)。例えば、データa、c、eは、新データ402で使用されないため、図6(B)に示すように、更新中データ内の領域609、611、613が、以降の更新処理で用いるためのバッファとして確保される。
【0081】
次に、差分データ合成手段101は、確保したバッファである更新中データを利用し、共通データである新旧一致データb、d、fを、旧データ位置を表す旧アドレスから新データ位置を表す新アドレスへ移動しながら(ステップS504:移動処理)、新旧一致データの移動が完了したかどうかをチェックする(ステップS505)。
【0082】
具体的には、ステップS504で最初の新旧一致データbが領域610から領域617へ移動され、ステップS505で新旧一致データの移動が完了したかどうかがチェックされ、完了していない場合には、ステップS504に戻る。新旧一致データの移動が完了するまで、ステップS504〜ステップS505が繰り返され、データdが領域612から領域619へ、データfが領域614から領域620へそれぞれ移動され、図6(C)に示す状態となる。
【0083】
次に、差分データ合成手段101は、放送受信手段108が受信した追加データを差分データ記憶手段102に一旦書き込む(ステップS506)。なお、ステップS506では、ステップS501によるデータ位置情報の受信処理と同様、データ位置情報を受信している間は受信したデータ位置情報を読み捨て、追加データが受信されたら、追加データを差分データ記憶手段102に格納する。
【0084】
次に、差分データ合成手段101は、更新中データに対しデータ位置情報201の新データ位置を表す追加アドレスにデータAを書き込む(ステップS507:追加処理)。なお、ステップS507では、例えばデータAが受信された場合、図6(D)に示すようにデータ位置情報201の新データ位置となる領域623の位置を表す追加アドレスにデータAが書き込まれる。
【0085】
なお、ステップS506で差分データ合成手段101は、追加データの内容を新データ位置を表す追加アドレスに書き込みを行った後、不要となった追加データを差分データ記憶手段102から削除する。
【0086】
次に、差分データ合成手段101は、追加データの受信が完了したかどうかをチェックし(ステップS508)、受信が完了していなければ、ステップS506に戻る。追加データの受信が完了するまで、ステップS506〜ステップS508が繰り返される。
【0087】
例えば、図6(D)に示すように、ステップS506で追加データ302のデータCが受信された場合も、同様に、ステップS507でそれぞれ領域625の位置を表す追加アドレスにデータCが書き込まれ、差分データ記憶手段102から削除される。また、ステップS506で追加データ303のデータGが受信された場合も、同様に、ステップS507でそれぞれ領域628の位置を表す追加アドレスにデータGが書き込まれる。以上により、更新中データへの更新が完了し、図4で説明した新データ402が新旧データ記憶手段107に記憶される。
【0088】
また、データカルーセルによるデータ放送の場合、どこからデータの受信を開始しても、一周期分のデータを受信すれば良いため、例えば、追加データ302から受信を開始した場合、追加データ302、303、301の順に一周期分のデータを受信したところで、追加データの受信を完了する。
【0089】
以上のように本発明の第1の実施の形態のデータ更新装置は、データ位置情報201〜206と、追加データ301〜303を別々に受信するため、まず、データ位置情報のみを受信し、新旧一致データb、d、fをデータ更新処理用のバッファに書き込み、次に、追加データを受信しながらバッファに書き込みを行う際、一旦受信した追加データを差分データ記憶手段102に格納するが、書き込みを行ったデータはすぐに不要となるため、差分データ記憶手段102から削除することが可能である。これにより、データ更新処理に関わるディスク容量またはメモリ容量を削減できる。
【0090】
なお、以上の説明では、差分データ記憶手段102にデータ位置を格納し、データサイズはデータ位置の差分により算出する構成としたが、差分データ中にデータサイズを格納し、データ位置はデータサイズの積算により算出する構成も可能である。また、データ位置を、相対的なオフセットで表現する構成も可能である。さらに、これらの組み合わせによる構成など、新データを構成する各データのデータ位置とデータサイズが一意に決まる情報であれば、他のデータによる構成も可能である。
【0091】
また、前述した本発明の実施の形態による各処理は、データ更新プログラムとして構成することができ、この処理プログラムは、HDD、CD−ROM、FDD等の記録媒体に格納して提供することができる。
【0092】
(本発明の第2の実施の形態)
図7は、本発明の第2の実施の形態に係るデータ更新装置のブロック図である。図7に示したデータ更新装置は、データ位置情報や追加データからなる差分データなどを処理する差分データ合成手段701(制御部)と、差分データを記憶する差分データ記憶手段702と、旧データまたは新データを記憶する新旧データ記憶手段707と、データを配信するデータ配信局(送信装置に相当する)の送信部からのデータを受信する通信手段708(受信部)とで構成されている。
【0093】
差分データ記憶手段702には、データ位置情報と追加データとが格納される。さらにデータ位置情報は、旧データの領域と同じ記憶領域で更新される新データが旧データと一致する部分の位置を示す新旧一致データ位置情報と追加データの位置を示す追加データ位置情報とで構成される。また、差分データ合成手段701は、例えば、CPUなどの中央演算処理装置(コンピュータに相当する)によって構成され、差分データ記憶手段702および新旧データ記憶手段707は、例えば、メモリやディスクなどの記憶媒体で構成される。
【0094】
具体例としては、カーナビゲーションシステムの場合、新旧データ記憶手段707としてハードディスクドライブ(HDD)などが用いられ、新旧データ記憶手段707に地図データなどが格納される。差分データ記憶手段702としてはメモリが利用され、通信手段708で受信した差分データが、差分データ記憶手段702に一時的に格納され、データ更新処理が終わったら消去されても良く、または、HDD上に移動され保存されてもよい。
【0095】
通信手段708は、有線や無線の通信手段の他、ディスクなどの記憶媒体の読み取り装置からの転送を行うための装置など、データの受信を行える装置であれば、如何なる構成をとっても構わない。
【0096】
図8は、差分更新用の差分データのデータ構造の一例を示すものであり、差分データ記憶手段702に格納された差分データの一例について説明するための説明図である。データ位置情報801〜806が先に配置され、追加データ807〜809が後に配置されている。なお、図8に示したそれぞれのデータは、図4で説明した旧データ401と新データ402から生成されたものである。
【0097】
図8に示したデータ位置情報801〜806は、図4で説明した新データ402を構成するデータA、b、C、d、f、Gの順に対応しており、データ位置情報の先頭に設けた識別コードにより、共通データである新旧一致データ位置情報となるデータ位置情報802、804、805(データb、d、fに対応)と、追加データ位置情報となるデータ位置情報801、803、806(データA、C、Gに対応)に識別される。
【0098】
新旧一致データ位置情報となるデータ位置情報802、804、805には、新旧一致データb、d、fの新データ中における位置を表す新アドレスと、旧データ中における位置を表す旧アドレスの両方が格納されており、追加データ位置情報となるデータ位置情報801、803、806には、新データに追加されるデータA、C、Gの新データ中における位置を表す追加アドレスが格納されている。新データに追加されるデータA、C、Gの実データは、追加データ807〜809に格納されている。
【0099】
なお、新データ402を構成するデータA、b、C、d、f、Gの各データサイズは、データ位置情報801〜806における新データ位置がデータ順に並んで配置されていることを利用して、隣り合うデータ同士のデータ位置との差分(最終データではデータ全体サイズとの差分)から算出される。なお、各データサイズは、後述するバッファを確保するために用いられる。
【0100】
以上のように構成されたデータ更新装置が行うデータ更新処理について、図9および図6を用いてその動作を説明する。図9は、データ更新処理の流れを示すフローチャートである。
【0101】
前提として、図6(A)に示すように、データ更新処理を開始する前の状態では、新旧データ記憶手段107の記憶領域には、旧データ401として、データa〜fが存在している。なお、本データ更新処理では、旧データ401の記憶領域と同じ領域で新データ402が更新される。
【0102】
まず、データ更新処理が開始されると、通信手段708がデータ位置情報を受信し(ステップS901)、差分データ合成手段701は、通信手段708によって受信されたデータ位置情報を差分データ記憶手段702に格納する。
【0103】
次に、差分データ合成手段701は、データ位置情報の受信が完了したかどうかをチェックし(ステップS902)、受信が完了していなければ、ステップS901に戻る。データ位置情報の受信が完了するまで、ステップS901〜ステップS902が繰り返される。ここでは、データ位置情報801〜806が差分データ記憶手段702に格納されたとする。
【0104】
次に、差分データ合成手段701は、受信されたデータ位置情報に基づいて、旧データ401を構成するのデータa〜fのうち、新データ402で使用しないデータを特定し、特定したデータの記憶領域に対応するバッファを確保する(ステップS903)。例えば、データa、c、eは、新データ402で使用されないため、図6(B)に示すように、更新中データ内の領域609、611、613が、以降の更新処理で用いるためのバッファとして確保される。
【0105】
次に、差分データ合成手段701は、確保したバッファである更新中データを利用し、新旧一致データであるデータb、d、fを、旧データ位置を表す旧アドレスから新データ位置を表す新アドレスへ移動しながら(ステップS904:移動処理)、新旧一致データの移動が完了したかどうかをチェックする(ステップS905)。
【0106】
具体的には、ステップS904で最初の新旧一致データbが領域610から領域617へ移動され、ステップS905で新旧一致データの移動が完了したかどうかがチェックされ、完了していない場合には、ステップS904に戻る。新旧一致データの移動が完了するまで、ステップS904〜ステップS905が繰り返され、データdが領域612から領域619へ、データfが領域614から領域620へそれぞれ移動され、図6(C)に示す状態となる。
【0107】
次に、差分データ合成手段701は、通信手段708が受信した追加データを差分データ記憶手段702に書き込む(ステップS906)。
【0108】
次に、差分データ合成手段701は、更新中データに対しデータ位置情報801の新データ位置を表す追加アドレスにデータAを書き込む(ステップS907:追加処理)。なお、ステップS907では、例えばデータAが受信された場合、図6(D)に示すようにデータ位置情報801の新データ位置となる領域623の位置を表す追加アドレスにデータAが書き込まれる。
【0109】
なお、ステップS906で差分データ合成手段701は、追加データを新データ位置を表す追加アドレスに書き込みを行った後、不要となった追加データを差分データ記憶手段702から削除する。
【0110】
次に、差分データ合成手段701は、追加データの受信が完了したかどうかをチェックし(ステップS908)、受信が完了していなければ、ステップS906に戻る。追加データの受信が完了するまで、ステップS906〜ステップS908が繰り返される。
【0111】
例えば、図6(D)に示すように、ステップS906で追加データ808のデータCが受信された場合も、同様に、ステップS907でそれぞれ領域625の位置を表す追加アドレスにデータCが書き込まれ、差分データ記憶手段702から削除される。また、ステップS906で追加データ809のデータGが受信された場合も、同様に、ステップS907でそれぞれ領域628の位置を表す追加アドレスにデータGが書き込まれる。以上により、更新中データへの更新が完了し、更新中データが図4で説明した新データ402となる。
【0112】
以上のように本発明の第2の実施の形態のデータ更新装置は、データ位置情報801〜806が先に配置され、追加データ807〜809が後に配置されているため、まず、データ位置情報のみを受信し、新旧一致データb、d、fをデータ更新処理用のバッファに書き込み、次に、追加データを受信しながらバッファに書き込みを行う際、一旦受信した追加データを差分データ記憶手段に格納するが、書き込みを行ったデータはすぐに不要となるため、差分データ記憶手段から削除することが可能である。これにより、データ更新処理に関わるディスク容量またはメモリ容量を削減できる。
【0113】
なお、以上の説明では、差分データ記憶手段702にデータ位置を格納し、データサイズはデータ位置の差分により算出する構成としたが、差分データ中にデータサイズを格納し、データ位置はデータサイズの積算により算出する構成も可能である。また、データ位置を、相対的なオフセットで表現する構成も可能である。さらに、これらの組み合わせによる構成など、新データを構成する各データのデータ位置とデータサイズが一意に決まる情報であれば、他のデータによる構成も可能である。
【0114】
また、前述した本発明の実施の形態による各処理は、データ更新プログラムとして構成することができ、この処理プログラムは、HDD、CD−ROM、FDD等の記録媒体に格納して提供することができる。
【0115】
(本発明の第3の実施の形態)
図10は、本発明の第3の実施の形態に係るデータ更新装置のブロック図である。図10に示したデータ更新装置は、データ位置情報や追加データからなる差分データなどを処理する差分データ合成手段1001(制御部)と、差分データを記憶する差分データ記憶手段1002と、旧データまたは新データを記憶する新旧データ記憶手段1005と、データを配信するデータ配信局からのデータを受信する通信手段1006(受信部)で構成されている。
【0116】
差分データ記憶手段1002には、旧データの領域と同じ領域で更新される新データに旧データの一部をコピーするためのコピーデータ情報と、旧データに追加されるデータとなる追加データ情報が格納されている。また、差分データ合成手段1001は、例えば、CPUなどの中央演算処理装置(コンピュータに相当する)によって構成され、差分データ記憶手段1002および新旧データ記憶手段1005は、例えば、メモリやディスクなどの記憶媒体で構成される。
【0117】
具体例としては、カーナビゲーションシステムの場合、新旧データ記憶手段1005としてハードディスクドライブ(HDD)などが用いられ、新旧データ記憶手段1005に地図データなどが格納される。差分データ記憶手段1002としてはメモリが利用され、通信手段1006で受信した差分データが、差分データ記憶手段1002に一時的に格納され、データ更新処理が終わったら消去されても良く、または、HDD上に移動され保存されてもよい。
【0118】
通信手段1006は、有線や無線の通信手段の他、ディスクなどの記憶媒体の読み取り装置からの転送を行うための装置など、データの受信を行える装置であれば、如何なる構成をとっても構わない。また、通信手段1006は、第1の実施の形態と同様に、地上デジタル放送受信機などによる放送受信手段による構成も可能である。
【0119】
図11は、差分更新用の差分データのデータ構造の一例を示すものであり、差分データ記憶手段1002に格納された差分データの一例について説明するための説明図である。図12は、旧データおよび新データについて説明するための説明図である。なお、図11に示したそれぞれのデータは、図12に示した旧データ1201と新データ1202から生成されたものである。
【0120】
旧データ1201は、データa、b、cから構成され、新データ1202は、データA、a、B、cから構成されている。旧データ1201を構成するデータa、cは、新データ1202を構成するデータa、cとそれぞれ同じデータである。
【0121】
図11に示した差分データ1101〜1106は、差分データの先頭に設けた識別コードにより、コピーデータ情報である差分データ1101〜1104と、追加データ情報である差分データ1105、1106に識別される。コピーデータ情報となる差分データ1101〜1104には、コピーするデータの旧データ中における位置、新データ中における位置、データサイズが格納されており、追加データ情報となる差分データ1105、1106には、追加するデータの新データ中における位置を表す追加アドレス、データサイズ、追加データの実データが格納されている。
【0122】
また、コピーデータ情報および追加データ情報は、データのコピーまたは追加するデータの書き込みを行う順にデータが格納され、分割されている。例えば、図12に示した例の場合、領域1203にある旧データのデータaを、領域1207にある新データのデータAの位置にコピーするために、データaの先頭バイトから順にコピーを始めてしまうと、コピーを始めた箇所から以降のデータaが壊されてしまうため、一旦、データaをバッファに退避させる必要が生じる。
【0123】
そこで、領域1203にある共通データのデータaを、領域1210と領域1211とに分割してデータa1およびデータa2となる分割共通データとし、分割共通データのデータa2を領域1211から領域1215にコピーした後で、分割共通データのデータa1を領域1210から領域1214にコピーすると、データaをバッファに退避させる必要がなくなる。同様に、領域1205にある共通データのデータcを、領域1212と、領域1213とに分割してデータc1およびデータc2となる分割共通データとし、分割共通データのデータc2のコピーを先に、分割共通データのデータc1のコピーを後から行うように設定する。
【0124】
以上のように構成されたデータ更新装置が行うデータ更新処理について、図13および図14を用いてその動作を説明する。図13は、データ更新処理の流れを示すフローチャートである。図14は、データ更新処理に従って、新旧データ記憶手段1005上のデータが更新されていく様子を示した図である。
【0125】
まず、図13に示すように、データ更新処理が開始されると、通信手段1006が差分データを受信し(ステップS1301)、受信された差分データが差分データ記憶手段1002に格納される。次に、差分データ合成手段1001は、受信された差分データの先頭の識別コードにより、コピーデータ情報(分割共通データ)か、追加データ情報かを判定する(ステップS1302)。
【0126】
差分データがコピーデータ情報(分割共通データ)である場合、差分データ合成手段1001は、コピーデータ情報に従って、旧データ位置を表す旧分割アドレスから新データ位置を表す新分割アドレスにデータサイズ分のデータのコピーを行う(ステップS1303:コピー処理)。また、差分データが追加データ情報である場合には、差分データ合成手段1001は、追加データ情報に従って、データサイズ分の追加データの実データを新データ位置を表す追加アドレスに書き込む(ステップS1304:追加処理)。
【0127】
ステップS1303またはステップS1304の処理が終わると、差分データ合成手段1001は、差分データの受信が完了したかどうかを判定し(ステップS1305)、完了していない場合には、ステップS1301に戻り処理が繰り返される。差分データの受信が完了すると、データ更新処理が完了する。
【0128】
また、以下に図14を参照しながら説明する。前提として、図14(A)に示すように、データ更新処理を開始する前の状態では、新旧データ記憶手段1005には、旧データ1201として、データa、b、cが存在している。なお、図14(B)では、データa、cを分割したイメージを示している。
【0129】
ステップS1301で差分データ1101が受信された場合、ステップS1302でコピーデータ情報と判定され、ステップS1303でデータc2が領域1408から領域1410にコピーされ、旧データ1201が、図14(C)に示すように更新中の状態となる。
【0130】
次に、差分データ1102が受信された場合、データc1が領域1407から領域1412にコピーされ、旧データ1201が図14(D)に示すように更新中の状態となる。次に、差分データ1103が受信された場合、データa2が領域1406から領域1414にコピーされ、旧データ1201が、図14(E)に示すように更新中の状態となる。次に、差分データ1104が受信された場合、データa1が領域1405から領域1416にコピーされ、旧データ1201が、図14(F)に示すように更新中の状態となる。
【0131】
続いて、ステップS1301で差分データ1105、1106が受信された場合、ステップS1302で追加データ情報と判定され、ステップS1304でデータA、Bが、図14(G)に示すようにそれぞれの領域1418、1419にコピーされる。これで、旧データ1201が新データ1202になってデータ更新処理が完了する。
【0132】
以上のように本発明の第3の実施の形態のデータ更新装置において、コピーデータ情報および追加データ情報は、データのコピーまたは追加するデータの書き込みを行う順に格納されているため、空きバッファサイズを算出して空きバッファを確保しなくても、データの格納順にデータのコピーや追加を行うだけで良く、データ更新処理に関わるディスク容量またはメモリ容量を削減し、かつ、データ更新処理の処理内容を簡素化できる。
【0133】
なお、以上の説明では、コピーデータ情報となる差分データ1101〜1104と、追加データ情報となる差分データ1105〜1106が連続して配置される構成としているが、コピーデータ情報と追加データ情報が混在する構成にしても良いし、コピーデータ情報と追加データ情報を分離した構成も可能である。
【0134】
また、前述した本発明の実施の形態による各処理は、データ更新プログラムとして構成することができ、この処理プログラムは、HDD、CD−ROM、FDD等の記録媒体に格納して提供することができる。
【0135】
(本発明の第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態では、旧データおよび新データを地図データに適用した場合について説明しており、旧データ、新データを作成する際の地図データ記録方法に関して説明している。なお、本発明の第4の実施の形態に係る差分データの転送方法や、差分データによるデータの更新法については、本発明の第1から第3までの何れかの実施の形態で説明した方法を流用する。
【0136】
地図データは、一般的に、道路地図、市街地図、索引データ、画像データ、音声データなどのデータの種類毎に、あるいは、地域毎に分割された単位でデータが格納されている。
【0137】
図15は、本実施の形態における旧データと新データを示した説明図である。旧データ1501において、データa、b、cは、データの種類または地域毎に分割された、格納単位を示す。また、データpa、pb、pcは、データa、b、cへアクセスするためのポインタである。
【0138】
本発明の第4の実施の形態では、データa、b、cに対して、それぞれ予備のデータ領域am、bm、cmを付加してデータが格納される。予備のデータ領域のサイズは、格納単位毎に固定のサイズとしても良いし、格納単位のデータサイズに応じて可変的に設定するようにしても良い。
【0139】
新データ1502では、データの種類または地域毎に分割された格納単位として、データA、b、cが格納されている。データb、cは旧データと同じデータである。また、データpA、pb、pcは、データA、b、cへアクセスするためのポインタであるが、旧データ1501におけるデータA、b、cと、新データ1502におけるデータA、b、cの位置は同じであるため、pA、pb、pcの値は、旧データにおけるポインタpa、pb、pcと同じとなる。
【0140】
図16は、図15における旧データ1501と新データ1502から生成された差分データを示す説明図である。本発明の第3の実施の形態と同様の方法により、差分データを生成し、データAに関する追加データ情報のみが設定される。
【0141】
図17は、図15に対する比較例として、格納単位毎に予備のデータ領域を付加しなかった場合の、旧データと新データを示した説明図である。旧データ1501において、データa、b、cは、データの種類または地域毎に分割された、格納単位を示す。また、データpa、pb、pcは、データa、b、cにアクセスするためのポインタである。
【0142】
新データ1502では、データの種類または地域毎に分割された格納単位として、データA、b、cが格納されている。図17に示すように、データb、cは旧データと同じデータであるが、位置が変更されている。また、データpA、pb、pcは、データA、b、cへアクセスするためのポインタであり、旧データ1501におけるデータaの位置を表す旧アドレスと、新データ1502におけるデータAの位置を表す追加アドレスは同じであるため、データpaとpAの値は同じとなるが、データb、cの位置を表す旧アドレスと新データの位置を表す新アドレスとが異なるため、データpb、pcの値は変化して、pb'、pc'となる。
【0143】
図18は、差分更新用の差分データのデータ構造の一例を示すものであり、図17における旧データ1501と新データ1502から生成された差分データを示す説明図である。本発明の第3の実施の形態と同様の方法により、差分データを設定し、データb、cそれぞれを分割して分割共通データとしたデータb1〜b3、c1〜c6を、c6からc1、b3からb1の順にデータを格納する。続いて、データpb'、pc'、Aの追加データ情報が格納される。
【0144】
なお、予備のデータ領域を付加しなかった場合では、図18で説明したように、データb、cの位置を表す旧アドレスと新データの位置を表す新アドレスとが異なるため、差分データとしてデータpb'、pc'が必要になってしまったが、図15では、予備のデータ領域を付加している旧データ1501と新データ1502におけるデータ位置が変わらないため、図18で説明したデータpb'、pc'は不要である。
【0145】
また、図18に示すように、データb、cの分割共通データの旧位置と新位置とに対応した分割データサイズが格納され、データpb'、pc'、Aの追加データに対応した追加データサイズが格納される。
【0146】
以上のように本発明の第4の実施の形態のデータ更新装置は、地図データの格納単位毎に、予備のデータ領域を設定しておくことで、差分データのデータサイズを削減できる。
【0147】
また、前述した本発明の実施の形態による各処理は、データ更新プログラムとして構成することができ、この処理プログラムは、HDD、CD−ROM、FDD等の記録媒体に格納して提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0148】
以上のように、本発明は、データ更新処理に関わるディスク容量またはメモリ容量を削減できるという効果を有し、カーナビゲーションシステムなどの地図データを、差分データにより更新するデータ更新装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるデータ更新装置のブロック図
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるデータ位置情報の説明図
【図3】本発明の第1の実施の形態における追加データの説明図
【図4】本発明の第1および第2の実施の形態における旧データと新データの説明図
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるデータ更新処理のフロー図
【図6】本発明の第1および第2の実施の形態におけるデータ更新処理中のデータの説明図
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるデータ更新装置のブロック図
【図8】本発明の第2の実施の形態における差分データの説明図
【図9】本発明の第2の実施の形態におけるデータ更新処理のフロー図
【図10】本発明の第3の実施の形態におけるデータ更新装置のブロック図
【図11】本発明の第3の実施の形態における差分データの説明図
【図12】本発明の第3の実施の形態における旧データと新データの説明図
【図13】本発明の第3の実施の形態におけるデータ更新処理のフロー図
【図14】本発明の第3の実施の形態におけるデータ更新処理中のデータの説明図
【図15】本発明の第4の実施の形態における旧データと新データの説明図
【図16】本発明の第4の実施の形態における差分データの説明図
【図17】本発明の第4の実施の形態に対する比較例として、予備のデータ領域を設定しなかった場合の旧データと新データの説明図
【図18】本発明の第4の実施の形態に対する比較例として、予備のデータ領域を設定しなかった場合の差分データの説明図
【図19】従来のデータ更新装置のブロック図
【図20】従来のデータ更新装置における差分データの説明図
【図21】従来のデータ更新装置における旧データと新データの説明図
【図22】従来のデータ更新装置におけるデータ更新処理中のデータの説明図
【符号の説明】
【0150】
101、701、1001、1901 差分データ合成手段
102、702、1002、1902 差分データ記憶手段
107、707、1005 新旧データ記憶手段
108 放送受信手段
201〜206 データ位置情報
301〜303 追加データ
401、1201、1501、2101 旧データ
402、1202、1502、2102 新データ
609〜628 領域
708、1006 通信手段
801〜806 データ位置情報
807〜809 追加データ
1101〜1106 差分データ
1203〜1217 領域
1402〜1419 領域
1905 旧データ記憶手段
1906 新データ記憶手段
2001〜2006 差分データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体に記憶されたデータを差分更新するデータ更新装置であって、
更新前後で共通する共通データが既に記憶されている旧アドレス、前記共通データが新たに記憶される新アドレス、更新で追加される追加データ及び前記追加データが新たに記憶される追加先アドレスを受信する受信部と、
前記記憶媒体に記憶された共通データを前記受信部で受信された旧アドレスから前記受信部で受信された新アドレスに移動する移動処理と、前記受信部で受信された追加データを前記受信部で受信された追加先アドレスに記憶する追加処理とを実行する制御部とを備えるデータ更新装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記移動処理を前記追加処理よりも先に実行することを特徴とする請求項1に記載のデータ更新装置。
【請求項3】
前記制御部は、更新でデータが削除される領域をバッファ領域として前記移動処理を実行することを特徴とする請求項1に記載のデータ更新装置。
【請求項4】
コンピュータに対して、
記憶媒体に記憶され更新前後で共通する共通データを受信された旧アドレスから受信された新アドレスに移動する移動処理と、
受信された追加データを受信された追加先アドレスに記憶する追加処理とを実行させるためのデータ更新プログラム。
【請求項5】
前記コンピュータに対して、
前記移動処理を前記追加処理よりも先に実行させることを特徴とする請求項4に記載のデータ更新プログラム。
【請求項6】
差分更新用の差分データを送信する送信装置であって、
前記差分データとして、更新前後で共通する共通データが既に記憶されている旧アドレス、前記共通データが新たに記憶される新アドレス及び更新で追加される追加データを、前記旧アドレス及び前記新アドレスを含むアドレス群と前記追加データを含むデータ群とに区分して送信する送信部を備える送信装置。
【請求項7】
前記送信部は、前記アドレス群を前記データ群よりも先に送信することを特徴とする請求項6に記載の送信装置。
【請求項8】
前記送信部は、前記追加データが新たに記憶される追加先アドレスを前記アドレス群に含んで送信することを特徴とする請求項6に記載の送信装置。
【請求項9】
差分更新用の差分データのデータ構造であって、
前記差分データは、
更新前後で共通する共通データが既に記憶されている旧アドレスと、
前記共通データが新たに記憶される新アドレスと、
更新で追加される追加データと、
前記追加データが新たに記憶される追加先アドレスとを含み、
前記共通データを記憶媒体の前記旧アドレスから前記新アドレスに移動する手段と、前記追加データを前記記憶媒体の前記追加先アドレスに追加する手段とを備えるデータ更新装置によって用いられる、差分データのデータ構造。
【請求項10】
前記差分データは、
前記旧アドレス及び前記新アドレスを含むアドレス群と、前記追加データを含むデータ群とに区分され、
前記アドレス群を前記データ群よりも先に処理するデータ更新装置によって用いられることを特徴とする請求項9に記載の差分データのデータ構造。
【請求項11】
前記アドレス群は、前記追加先アドレスを含んでいることを特徴とする請求項10に記載の差分データのデータ構造。
【請求項12】
前記差分データは、地図データであることを特徴とする請求項9ないし請求項11の何れかに記載の差分データのデータ構造。
【請求項13】
前記地図データは、データの種類毎または地域毎に分割されてなることを特徴とする請求項12に記載の差分データのデータ構造。
【請求項14】
記憶媒体に記憶されたデータを差分更新するデータ更新装置であって、
更新前後で共通する共通データを分割してなる分割共通データが既に記憶されている旧分割アドレス、前記分割共通データが新たに記憶される新分割アドレス、前記分割共通データに係る分割データサイズ、更新で追加される追加データ、前記追加データが新たに記憶される追加先アドレス及び前記追加データに係る追加データサイズを受信する受信部と、
前記記憶媒体に記憶された分割共通データを前記受信部で受信された旧分割アドレス及び前記分割データサイズで定まる範囲から前記受信部で受信された新分割アドレス及び前記分割データサイズで定まる範囲にコピーするコピー処理と、前記受信部で受信された追加データを前記受信部で受信された追加先アドレス及び前記追加データサイズで定まる範囲に記憶する追加処理とを実行する制御部とを備えるデータ更新装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記コピー処理を前記追加処理よりも先に実行することを特徴とする請求項14に記載のデータ更新装置。
【請求項16】
コンピュータに対して、
記憶媒体に記憶され更新前後で共通する共通データを分割してなる分割共通データを受信された旧分割アドレス及び受信された分割データサイズで定まる範囲から受信された新分割アドレス及び分割データサイズで定まる範囲にコピーするコピー処理と、
受信された追加データを受信された追加先アドレス及び追加データサイズで定まる範囲に記憶する追加処理とを実行させるためのデータ更新プログラム。
【請求項17】
前記コンピュータに対して、
前記コピー処理を前記追加処理よりも先に実行させることを特徴とする請求項16に記載のデータ更新プログラム。
【請求項18】
差分更新用の差分データを送信する送信装置であって、
前記差分データとして、更新前後で共通する共通データを分割してなる分割共通データが既に記憶されている旧分割アドレス、前記分割共通データに係る分割データサイズ、前記分割共通データが新たに記憶される新分割アドレス、更新で追加される追加データ及び前記追加データに係る追加データサイズを、前記旧分割アドレス、前記分割データサイズ、前記新分割アドレス及び前記追加データサイズを含むアドレス群と前記追加データを含むデータ群とに区分して送信する送信部を備える送信装置。
【請求項19】
前記送信部は、前記アドレス群を前記データ群よりも先に送信することを特徴とする請求項18に記載の送信装置。
【請求項20】
差分更新用の差分データのデータ構造であって、
前記差分データは、
更新前後で共通する共通データを分割してなる分割共通データが既に記憶されている旧分割アドレスと、
前記分割共通データに係る分割データサイズと、
前記分割共通データが新たに記憶される新分割アドレスと、
更新で追加される追加データと、
前記追加データが新たに記憶される追加先アドレスと、
前記追加データに係る追加データサイズとを含み、
前記分割共通データを前記旧分割アドレス及び前記分割データサイズで定まる記憶媒体の範囲から前記新分割アドレス及び前記分割データサイズで定まる範囲にコピーする手段と、前記追加データを前記追加先アドレス及び前記追加データサイズで定まる前記記憶媒体の範囲に追加する手段とを備えるデータ更新装置によって用いられる、差分データのデータ構造。
【請求項21】
前記差分データは、
前記旧分割アドレス及び前記新分割アドレスを含むアドレス群と、前記追加データを含むデータ群とに区分され、
前記アドレス群を前記データ群よりも先に処理するデータ更新装置によって用いられることを特徴とする請求項20に記載の差分データのデータ構造。
【請求項22】
前記アドレス群は、前記追加先アドレスを含んでいることを特徴とする請求項21に記載の差分データのデータ構造。
【請求項23】
前記新アドレスまたは前記追加先アドレスは、予備領域を考慮して定義されていることを特徴とする請求項20ないし請求項22の何れかに記載の差分データのデータ構造。
【請求項24】
前記差分データは、地図データであることを特徴とする請求項20ないし請求項23の何れかに記載の差分データのデータ構造。
【請求項25】
前記地図データは、データの種類毎または地域毎に分割されてなることを特徴とする請求項24に記載の差分データのデータ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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