説明

差圧ゲージ管式インライン粘度センサー

【課題】 燃料移送ポンプの動力に殆ど影響を与えない範囲の微小差圧を作る絞り管式差圧ゲージ管を実際の燃料移送配管の一部を利用して接続し、これで検出された微小差圧を増幅して電気変換る差圧発信器と組み合わせた構造にする事で、船舶特有の振動、高温等の過酷な条件に耐え、且つ安価な粘度センサーとして使用できるようにすることである。
【解決手段】 燃料移送管の途中に内径縮小率60%、管長0.5mで有効管長0.9mの絞り管に、使用最初の差圧発生値を所定内に収めるための流量加減用バイパス管を装備した構造の差圧ゲージ管11燃料移送管に接続し、これで検出された微小差圧を異径寸法で対向に連結したステンレス製ベローズで増幅させ、これを歪ゲージで検出する構造の差圧発信器21と組み合わせてもので、動粘度約80CSTから約10CSTの目標粘度まで連続した粘度制御を可能する機能を持たせ、比較的安価な構造にした事を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重油を燃料として専焼する船舶用デーゼル機関の燃料油粘度制御用として、燃料油を容積型ポンプで移送中に発生する配管内の粘性摩擦抵抗による圧力損失を利用した差圧ゲージ管式インライン粘度センサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のインライン粘度センサーには電動回転トルク式、振動式、ダイヤフラム式、超音波共振式、等が使用されている。
しかしながら、それらは緻密な構造からなり、船舶特有の振動、電磁ノイズ、140℃の高温油に曝されるなどの過酷な条件にたいし、その精度面と耐久性に影響を受け易い弱点がある。
【0003】
なお、本発明に関連する公知技術として次の特許文献1、2を挙げることができる。
【特許文献1】 特開2004−317367号広報
【特許文献2】 特開2004−316814号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の如く,従来技術係わる粘度センサーは、振動、電磁ノイズなどの外乱が比較的に少ない陸上プラントなどでには有効な機能をもつが、船舶での重質燃料油の粘度センサーには、耐振性、耐熱性,耐ノイズ性、の構造にすることが不可欠であり、その条件を満たすインライン式粘度センサーは必然的に高価である。
【0005】
また、従来の粘度制御方法として、重質燃料油を船舶に搭載する際に油業者が提出する燃料性状表に記載の呼称粘度値を基に、簡易の粘度−温度特性線図を利用して、所要粘度にする加熱温度を設定した方法の粘度制御装置を採用される場合があるが、この方法は、油業者が提示した呼称粘度値の妥当性を確認することなく粘度管理されている事に問題がある。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みて成されたものであり、その目的は、粘性流体の摩擦抵抗による圧力損失が管内流速と粘性に比例する特性を利用して、所定の流速のもとで、燃料移送ポンプの動力に殆ど影響を与えない範囲の微小差圧を生ずる絞り管を差圧ゲージ管として実際の燃料移送配管の一部を利用して接続し、これで検出された微小差圧を増幅して電気変換する差圧発信器と組み合わせた構造にする事で、船舶特有の振動、高温等の過酷な条件に耐え、且つ安価な粘度センサーとして使用できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成する本発明の差圧ゲージ管式インライン粘度センサーは、流体抵抗の差圧を検出する、内径縮小率60%、管長0.5mで有効管長0.9mの絞り管に、その差圧発生値を、使用最初に、所定内に収めるための流量加減操作用のニードル弁付きバイパス管を装備した構造の差圧ゲージ管を燃料移送管に接続し、これで検出された差圧は異径寸法で対向に連結した、耐圧1.2Mpaのステンレス製ベローズと、その中間に圧縮バネを挿入して、歪ゲージを張付け、DC制御電源を接続した構造の差圧発信器に導管接続して、動粘度約80CSTから10CST近くまで連続した粘度制御を必要とする重質燃料油の粘度を検出する事を特徴としたものである。
【0008】
一例として、前記差圧ゲージ管は、燃料油管内の流速がJIS F7101に規定された油管標準流で移送される配管では、移送容量の大小に関係なく、ほぼ同じ内径縮率の形状で、これで発生する摩擦抵抗は移送ポンプの電動機出力に殆ど影響を与えない微小の範囲に納める事ができる。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明によれば、重質燃料油を専焼するデーゼル機関は冷間起動用として、最適粘度が保証されたデーゼル油を同じ燃料移送ポンプと配管を使用して運転されるため、その時に検出した差圧が目標粘度に制御するときの基準値として製作された差圧ゲージ管が、デーゼル油による運転で粘度の検出精度が裏付けられるので、この状態で重質燃料油を専焼とするデーゼル機関の粘度センサーとして極めて有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0011】
図1〜図3は本発明の実施の構造を示すもので、 図1は差圧ゲージ管の側面図、図2は差圧発信器受圧部の断面図、図3はJIS F7103の内燃主燃料油管系統図を参考にして、本発明を配置した場合の配管系統図である。
【0012】
図1は1Mpaのポンプ圧で移送される燃料配管の途中に、内径絞り率60%,管長0.5m,有効管長0.9mの差圧ゲージ管11と,このゲージ管の流量を運転最初に手動で加減操作するためのバイパス管12とニードル弁13及び入口圧力計16を附着し、ここで発生した圧力は導管14,15により差圧発信器21に送られる。
【0013】
図2は差圧ゲージ管11で発生した微小な差圧を増幅して検出するようにした構造の差圧発信器21で、その受圧部には、約10%の受圧面積差で対向して連結された、耐圧1.2Mpaのステンレス製高圧、低圧ベローズ22,23に、移送油圧約1Mpaのもとで検出された微小差圧が導入され、これが両ベローズの中間に挿入された圧縮バネ25を押し、その変位を同バネに張り付けた歪ゲージ26、DC電源27により電気変換され、信号変換器28より制御信号を出力する。
【0014】
図3は船舶デーゼル主機関の燃料油管系統において、本発明の差圧ゲージ管式粘度センサー11、21との関連した機器の配置を系統的に示したものである。
【実施例】
【0015】
図1に示された差圧ゲージ管11の大きさは、一例として、図3の船舶デーゼル主機関燃料配管系統図において、機関出力5000PS及びそれ以下では、燃料移送ポンプ32は容量0.5m3/hが使用され、標準流速約2.5m/secの配管呼径25mmに合わせて、口径絞り率60%、管長0.5mの差圧ゲージ管11となる。
これを粘度制御用加熱器33の手前に据え付けて、動粘度約80CSTからデーゼル機関31が必要とする最適燃焼粘度約10CSTまでの粘度制御において、この差圧ゲージ管11で発生する差圧は最大約110mm水柱、最小約14mm水柱を検出するものである。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は重質燃料油を使用する陸用、舶用デ−ゼル機関で、その燃料油の粘度を加熱又は他の軽質油と混合する方法で粘度制御する装置の粘度センサーとして使用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】目標粘度で基準差圧を作る差圧ゲージ管式差圧管側面図
【図2】微小差圧を異径ベローズで検出する差圧発信器部の断面図
【図3】事例として、重質燃料油を専焼する船舶デーゼル機関の燃料移送系統に本発明の差圧ゲージ管式粘度センサーを組み込んだ配管系統図。
【符号の説明】
【0016】
11、差圧ゲージ管 12、バイパス管
12、バイパス管 13、ニードル弁
14、高圧側圧力検出導管 15、低圧側圧力検出導管
16、入口圧力計
21、異径ベローズ式圧力発信器 22、高圧側ベローズ
22、低圧側ベローズ 23、中間連結棒
24、圧縮バネ 25、歪ゲージ
26、DC電源 27、信号変換器
28、粘度制御盤
31、デーゼル機関 32、燃料移送ポンプ
33、燃料加熱器 34、加熱蒸気自動調整弁
35、燃料主機入口圧力調整弁 36、デーゼル油タンク
37、重油常用タンク 38、燃油切替三方電動弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体抵抗の差圧を検出する、内径縮小率60%、有効管長お0.9mの絞り管に、絞り管内の流量を所定内に収めるための流量加減操作用ニードル弁付きバイパス管を付着した差圧ゲージ管を1Mpa前後のポンプ圧で移送する配管の途中に接続して、これで発生した差圧を、異径寸法で対向に連結した、耐圧1.2Mpaのステンレス製ローズと、その中間に圧縮バネを挿入して、歪ゲージを張付け、DC制御電源に接続した構造の差圧発信器に導管接続した構造で、動粘度約80CSTから10CST近くまで連続した粘度制御を必要とする重質燃料油の粘度センサーとしての特徴をもつ差圧ゲージ管式インライン粘度センサである。
【請求項2】
前記差圧ゲージ管は、燃料油管内の流速がJIS F7101に規定された油管標準流で移送される配管では、移送容量の大小に関係なく、ほぼ同じ内径縮率の形状で、これで発生する摩擦抵抗は移送ポンプの電動機出力に殆ど影響を与えない微小の範囲に納める事ができる特徴をもつ請求項1記載の差圧ゲージ管式インライン粘度センサーである。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−258782(P2006−258782A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−118917(P2005−118917)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(598140434)晃産業株式会社 (8)