説明

差異検出装置、差異出力装置及びプログラム

【課題】少なくともいずれかの画像が、複数の画像からなる組を構成する一の画像であるような2つの画像間において、画像に共通して存在する有色画素に差異が埋れてしまうことを防止すること。
【解決手段】本発明に係る差異検出装置1は、少なくとも1以上の第1の画像と、少なくとも1以上の第2の画像を受け付ける画像受付手段と、第1の共通画像中に含まれる有色画素を含む第1の除外領域、又は第2の共通画像中に含まれる有色画素を含む第2の除外領域、若しくは前記第1の除外領域及び前記第2の除外領域を取得する除外領域取得手段と、前記第1の除外領域、前記第2の除外領域、前記第1の除外領域と前記第2の除外領域の和集合、及び、前記第1の除外領域と前記第2の除外領域の積集合のいずれかの領域を除き、第1の注目画像と、前記第1の注目画像に対応する前記第2の画像である第2の注目画像との差異を検出する第1の差異検出手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差異検出装置、差異出力装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電子文書を紙へ出力した後に手書きの加筆が重畳した状態の加筆重畳画像から加筆画像を抽出する加筆画像抽出装置において、電子文書の原稿画像において文字画像領域と文字画像領域以外の領域を識別し、それぞれの領域について位置ズレを補正して差分処理を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−287682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は、少なくともいずれかの画像が、複数の画像からなる組を構成する一の画像であるような2つの画像間において、画像に共通して存在する有色画素に差異が埋れてしまうことを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の差異検出装置は少なくとも1以上の第1の画像と、少なくとも1以上の第2の画像を受け付ける画像受付手段と、少なくとも複数の前記第1の画像の対応する位置に共通して存在する有色画素からなる第1の共通画像中に含まれる有色画素を含む第1の除外領域、又は少なくとも複数の前記の第2の画像の対応する位置に共通して存在する有色画素からなる第2の共通画像中に含まれる有色画素を含む第2の除外領域、若しくは前記第1の除外領域及び前記第2の除外領域を取得する除外領域取得手段と、前記第1の除外領域、前記第2の除外領域、前記第1の除外領域と前記第2の除外領域の和集合、及び、前記第1の除外領域と前記第2の除外領域の積集合のいずれかの領域を除き、前記第1の画像の少なくとも一つである第1の注目画像と、前記第1の注目画像に対応する前記第2の画像である第2の注目画像との差異を検出する第1の差異検出手段と、を有する。
【0006】
また、本発明の請求項2に記載の差異検出装置は、請求項1記載の差異検出装置であって、前記第1の除外領域における前記第1の共通画像と前記第1の注目画像との差異、又は前記第2の除外領域における前記第2の共通画像と前記第2の注目画像との差異、若しくは前記第1の除外領域における前記第1の共通画像と前記第1の注目画像との差異及び前記第2の除外領域における前記第2の共通画像と前記第2の注目画像との差異を検出する第2の差異検出手段を有する。
【0007】
また、本発明の請求項3に記載の差異検出装置は、請求項1又は2記載の差異検出装置であって、前記除外領域取得手段は、前記第1の共通画像、又は前記第2の共通画像、若しくは前記第1の共通画像及び前記第2の共通画像に含まれる有色画素が文字を構成する場合には、当該文字が占める領域を前記第1の除外領域、又は第2の除外領域、若しくは前記第1の除外領域及び第2の除外領域とする。
【0008】
また、本発明の請求項4に記載の差異検出装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載の差異検出装置であって、前記除外領域取得手段は、前記第1の共通画像、又は前記第2の共通画像、若しくは前記第1の共通画像及び前記第2の共通画像に含まれる有色画素が表の枠を構成する場合には、当該表の枠に囲まれる領域を前記第1の除外領域、又は前記第2の除外領域、若しくは前記第1の除外領域及び前記第2の除外領域とする。
【0009】
また、本発明の請求項5に記載の差異出力装置は、請求項1乃至4のいずれかに記載の差異検出装置と、前記第1の差異検出手段により検出された前記第1の注目画像と前記第2の注目画像との差異を前記第1の注目画像に重畳して出力する出力手段と、を有する。
【0010】
また、本発明の請求項6に記載の差異出力装置は、請求項2乃至4のいずれかに記載の差異検出装置と、前記第1の差異検出手段により検出された前記第1の注目画像と前記第2の注目画像との差異、並びに、前記第2の差異検出手段により検出された前記第1の除外領域における前記第1の共通画像と前記第1の注目画像との差異、又は前記第2の除外領域における前記第2の共通画像と前記第2の注目画像との差異、若しくは前記第1の除外領域における前記第1の共通画像と前記第1の注目画像との差異及び前記第2の除外領域における前記第2の共通画像と前記第2の注目画像との差異を前記第1の注目画像に重畳して出力する出力手段と、を有する。
【0011】
また、本発明の請求項7に記載のプログラムは、コンピュータを、少なくとも1以上の第1の画像と、少なくとも1以上の第2の画像を受け付ける画像受付手段と、少なくとも複数の前記第1の画像の対応する位置に共通して存在する有色画素からなる第1の共通画像中に含まれる有色画素を含む第1の除外領域、又は少なくとも複数の前記の第2の画像の対応する位置に共通して存在する有色画素からなる第2の共通画像中に含まれる有色画素を含む第2の除外領域、若しくは前記第1の除外領域及び前記第2の除外領域を取得する除外領域取得手段と、前記第1の除外領域、前記第2の除外領域、前記第1の除外領域と前記第2の除外領域の和集合、及び、前記第1の除外領域と前記第2の除外領域の積集合のいずれかの領域を除き、前記第1の画像の少なくとも一つである第1の注目画像と、当該第1の画像に対応する前記第2の画像である第2の注目画像との差異を検出する第1の差異検出手段と、を有する差異検出装置として動作させる。
【発明の効果】
【0012】
上記請求項1に記載の差異検出装置によれば、少なくともいずれかの画像が複数の画像からなる組を構成する一の画像であるような2つの画像間において、複数の画像に共通して存在する有色画素に差異が埋れてしまうことを防止することができる。
【0013】
また、上記請求項2に記載の差異検出装置によれば、複数の画像からなる組を構成する一の画像が、当該複数の画像に共通して存在する有色画素の部分において、誤記があることを検出することができる。
【0014】
また、上記請求項3に記載の差異検出装置によれば、少なくともいずれかの画像が複数の画像からなる組を構成する一の画像であるような2つの画像間において、複数の画像に共通して存在する文字の違いにより差異が埋れてしまうことを防止することができる。
【0015】
また、上記請求項4に記載の差異検出装置によれば、少なくともいずれかの画像が複数の画像からなる組を構成する一の画像であるような2つの画像間において、複数の画像に共通して存在する表の内部の記載の違いにより差異が埋れてしまうことを防止することができる。
【0016】
また、上記請求項5に記載の差異出力装置によれば、少なくともいずれかの画像が複数の画像からなる組を構成する一の画像であるような2つの画像間における差異を視覚的に識別することができる。
【0017】
また、上記請求項6に記載の差異出力装置によれば、少なくともいずれかの画像が複数の画像からなる組を構成する一の画像であるような2つの画像間における差異、及び、複数の画像からなる組を構成する一の画像の、当該複数の画像に共通して存在する有色画素の部分における誤記を視覚的に識別することができる。
【0018】
また、上記請求項7に記載のプログラムによれば、コンピュータを、少なくともいずれかの画像が複数の画像からなる組を構成する一の画像であるような2つの画像間において、複数の画像に共通して存在する有色画素に差異が埋れてしまうことを防止することができる差異検出装置として機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る差異検出装置の機能ブロック図である。
【図2】一般的なコンピュータにより実現された差異検出装置のハードウェア構成図である。
【図3A】複数の第1の画像から第1の共通画像取得部により取得された第1の共通画像の例を示す図である。
【図3B】図1Aに示す第1の共通画像の例から得られる第1の除外領域を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る差異検出装置により行われる処理の例を示す図である。
【図5】第1の除外領域のみを求める場合に、差異検出装置により行われる処理の例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る差異検出装置の機能ブロック図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る差異検出装置の機能ブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る差異検出装置により第1の画像について行われる処理の例を示す図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る差異出力装置の機能ブロック図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る差異出力装置の出力部によりなされる処理の例を示す図である。
【図11】本発明の第5の実施形態に係る差異出力装置の機能ブロック図である。
【図12】本発明の第5の実施形態に係る差異出力装置の出力部によりなされる処理の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る差異検出装置1の機能ブロック図である。
【0021】
差異検出装置1は、物理的には汎用の情報処理装置である、一般的なコンピュータを用いて実現される。図2は、一般的なコンピュータにより実現された差異検出装置1のハードウェア構成図である。同図に示すように、差異検出装置1は、CPU(Central Processing Unit)24、RAM(Random Access Memory)25、外部記憶装置26、GC(Graphics Controller)27、入力デバイス28及びI/O(Inpur/Output)29がデータバス30により相互に電気信号のやり取りができるよう接続されている。ここで、外部記憶装置26はHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の静的に情報を記録できる装置である。またGC27からの信号はCRT(Cathode Ray Tube)やいわゆるフラットパネルディスプレイ等の、使用者が視覚的に画像を認識するモニタ23に出力され、画像として表示される。入力デバイス28はキーボードやマウス等の、使用者が情報を入力するための機器であり、I/O29は差異検出装置1が外部の機器やコンピュータと情報をやり取りするためのインタフェースである。そして、かかるコンピュータ上で、コンピュータを差異検出装置1として動作させるためのコンピュータプログラムを実行することにより、差異検出装置1は仮想的に実現される。コンピュータを差異検出装置1として動作させるためのコンピュータプログラムは、たとえばDVD−ROM(DVD−Read Only Memory)やCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)等の任意の情報記録媒体に記録して提供しても、インターネットに代表される公衆回線等の電気通信回線を介して、コンピュータ読み取り可能な電気信号として提供してもよい。なお、図2は差異検出装置1を実現するにあたり用いる情報処理装置としての一般的なコンピュータの一例を示したものであり、同図に示した構成に限定するものではない。一般的なコンピュータ以外にも、マイクロコントローラやDSP(デジタルシグナルプロセッサ)等を用いた専用の装置として差異検出装置1を実現してもよい。また、差異検出装置1は、単独で動作可能な機器として構成しても、コピー機やファクシミリ等の事務機器に実装あるいは追加されるモジュールとして構成してもよい。
【0022】
また、図1に示した差異検出装置1の機能ブロックは、コンピュータプログラムにより実現される差異検出装置1を、その機能に着目して説明の便宜上示したものであり、必ずしも各機能ブロックが物理的に存在する必要はない。
【0023】
画像受付手段として機能する第1の画像受付部2及び第2の画像受付部3は、任意の画像を電子データとして外部より受け付けるインタフェースである。画像受付手段は、少なくとも1以上の第1の画像と、少なくとも1以上の第2の画像を受け付ける手段である。本実施形態では、第1の画像受付部2により第1の画像を、第2の画像受付部3により第2の画像を受け付けるものとしているが、これは説明の便宜上区分したものであり、第1の画像受付部2と第2の画像受付部3を同一のものとしてもよい。いずれにせよ、第1の画像と、第2の画像とは区分して受け付けられる。
【0024】
ここで第1の画像と第2の画像は、紙あるいはマイクロフィルム等の物理的な媒体上に記録されたものであっても、電子データとして記録されたものであってもよい。そして、第1の画像受付部2及び第2の画像受付部3は、画像を電子データとして受け付けるものであればどのようなものであってもよく、例えば、コンピュータ上で実行されているプロセス間で情報の入出力を行う、いわゆるソケットであっても、LAN(Local Area Network)やインターネット等の公衆回線を含むWAN(Wide Area Network)等に接続された電気通信回線、任意の情報記録媒体読取装置等であってもよいし、紙あるいはマイクロフィルム等の媒体上の画像情報を電子化して読み取るスキャナなどの装置であってもよく、これらの複数を備えていてもよい。これらの例について図2に即して説明すれば、物理的には電気通信回線としてのI/O29や、I/O29に接続された情報記録媒体読取装置あるいはスキャナが第1の画像受付部2及び第2の画像受付部3に相当することになる。第1の画像受付部2及び第2の画像受付部3がソケットである場合には、第1の画像受付部2及び第2の画像受付部3はソフトウェアにより仮想的に実現されており、物理的実体は存在しないことになる。また、受け付けられる電子データの形式はどのようなものであってもよく、DXF(Drawing eXchange Format)等のベクトルデータフォーマットであっても、PDF(Portable Document Format)等のページ記述言語を用いたものやXML(eXtensible Markup Language)等のマークアップ言語を用いたもの等のメタデータを有する形式のデータであっても、単なるラスタデータであってもよい。電子データの形式がラスタデータ以外のものである場合には、以降の処理の都合により、ラスタデータに展開してもよいが、必須のものではない。
【0025】
また、第1の画像と第2の画像は、その少なくともいずれかは、複数の画像からなる組を構成するものである。ここで、複数の画像からなる組とは、何らかの共通の目的に用いられる等、互いに関連する一揃いの画像を指しており、例えば、ある製品に用いられる部品それぞれに対応する部品図や、雑誌やパンフレットの一つの記事を構成する連続するページや、プレゼンテーションに用いられる資料等が例示される。
【0026】
複数の画像からなる組に対して承認や校正、修正等の編集を行う際には、かかる組に含まれる個々の画像に対してではなく、組全体を単位として一括してなされる場合がある。そして、たとえ実質的な画像の変化が係る組に含まれる一部の画像に対してのみ生じた場合であっても、組に含まれる画像の全てに対し何らかの操作、例えば、最終の編集日時の付加或いは変更、承認されたことを示す記号の付加、編集者の名前の付加或いは変更などがなされ得る。本実施形態では、二つの画像間に存在する差分のうち、画像を見る者が、その画像に実質的な変化が生じていると認識するような差分を差異と呼び、画像を見るものが実質的な変化であると認識しないものと区別している。例えば、組に含まれる画像の全てに対し一律になされる操作は実質的な変化であるとは認識されないため、本実施形態でいう差異には該当しない。
【0027】
本実施形態の説明では、第1の画像と第2の画像は、複数の画像の組の編集前のものと編集後のものを指すが、第1の画像と第2の画像のいずれが編集前或いは編集後のものに対応するのかは問わない。また、第1の画像の数と第2の画像の数が異なっていてもよく、そのいずれかが単一の画像からなるものであってもよい。また、本実施形態では、第1の画像に対し差異を検出する構成としているが、第1の画像のうちのいずれの画像の差異を検出するかは任意である。すなわち、指定した1つの画像または複数の画像に対し差異を検出するようにしてもよいし、第1の画像全てに対し差異を検出するようにしてもよい。以下の説明において、差異検出装置1が差異を検出しようとする第1の画像を第1の注目画像と呼ぶ。従って、第1の画像のうち差異を検出する対象となる画像が複数ある場合には、それらの画像が順次第1の注目画像として取り扱われることになる。また、第2の画像のうち、かかる第1の注目画像に対応するものを第2の注目画像と呼ぶ。第1の画像と第2の画像の対応関係はどのように取得してもよく、画像の順序や識別情報等により予め対応関係が与えられていても、パターンマッチング等の画像処理を用いて対応関係を取得してもよい。本実施形態では、第1の画像と第2の画像の対応関係は予め与えられているものとする。
【0028】
第1の画像受付部2に受け付けられた第1の画像は、除外領域取得手段として機能する第1の除外領域取得部4に受け渡される。除外領域取得手段は、少なくとも複数の第1の画像の対応する位置に共通して存在する有色画素からなる第1の共通画像中に含まれる有色画素を含む第1の除外領域、又は少なくとも複数の前記の第2の画像の対応する位置に共通して存在する有色画素からなる第2の共通画像中に含まれる有色画素を含む第2の除外領域、若しくは前記第1の除外領域及び前記第2の除外領域を取得する手段を指しており、ここでは、第1の除外領域取得部4は、少なくとも複数の第1の画像の対応する位置に共通して存在する有色画素からなる第1の共通画像中に含まれる有色画素を含む第1の除外領域を取得する手段としての除外領域取得手段に相当する。
【0029】
第1の除外領域取得部4には、さらに、第1の位置合わせ部5、第1の共通画像取得部6、第1の除外領域生成部7が含まれる。第1の画像は、まず、第1の位置合わせ部5へと渡される。
【0030】
第1の位置合わせ部5は、複数の第1の画像において、共通する部分、例えば、第1の画像が図面である場合にはその枠、雑誌やパンフレットの記事であれば雑誌の号数や特集名の表示、プレゼンテーション資料であれば社名やロゴその他の共通するデザインの位置にずれがある場合にその位置のずれを補正する処理である位置合わせを行う。その結果、第1の画像において共通する部分の位置が、複数の第1の画像において同じ位置となるように、各第1の画像に含まれる有色画素の位置が修正される。ここで、有色とは、画像の背景色でない色を意味しており、例えば背景色が白であれば、黒を含む白以外の色は有色である。なお、第1の画像受付部2及び第2の画像受付部3による第1の画像及び第2の画像の受け付け後、各画像を二値化して、白黒二色のみからなる画像に変換しておいてもよい。なお、第1の位置合わせ部5は必須の構成ではなく、第1の画像間の位置のずれがないと考えられる場合には省略しても差し支えない。また、位置の修正方法は特に限定されないが、一例として、アフィン変換を用いてよい。さらに、位置合わせの基準はどのように設定してもよく任意である。本実施形態では、第1の注目画像を基準として位置合わせを行っている。
【0031】
続いて、第1の共通画像取得部6では、複数の第1の画像の対応する位置に共通して存在する有色画素からなる第1の共通画像を取得する。この処理は第1の共通画像が得られる処理であればどのようなものであってもよいが、本実施形態では次のようになされる。すなわち、複数の第1の画像を重ね合わせた際に、ある画素に対し有色画素が出現する数を画素毎に求めた画素毎有色画素数を算出する。換言すれば、画素毎有色画素数は、複数の第1の画像に対し共通する位置において、有色画素をもつ第1の画像がいくつあったかを示すカウント数である。そして、この画素毎有色画素数が予め定められたしきい値以上のときは、当該画素には、複数の第1の画像に共通して有色画素が存在すると判定する。この処理を全ての画素に対し行うと、第1の共通画像が得られる。ここで、上記しきい値は任意に定めて良い。例えば、第1の画像に含まれる画像の数の50%としてよい。
【0032】
そして、第1の除外領域生成部7は、第1の共通画像をもとに、第1の共通画像に含まれる有色画素を含む第1の除外領域を生成する。第1の除外領域の生成方法は特に限定されないが、例えば、第1の共通画像に含まれる有色画素から予め定められた距離の範囲に含まれる領域を第1の除外領域として良い。この方法は、換言すれば、第1の共通画像に含まれる有色画素を膨張させて得られる領域を第1の除外領域とする方法である。
【0033】
本実施形態では、第1の除外領域生成部7は、この第1の共通画像に含まれる有色画素を膨張させて第1の除外領域とする方法に加えて、さらに、第1の共通画像に含まれる有色画素が文字を構成するものである場合と、表の枠を構成するものである場合に追加の処理を行っている。この処理について、図2A及び図2Bを参照して説明する。図2Aは、複数の第1の画像から第1の共通画像取得部6により取得された第1の共通画像の例を示す図である。この例は、図面の枠を模したものであるが、第1の共通画像には、図面の外枠のほか、図面のタイトル等の書誌事項や、部品表と見られる表の部分8と、図中に共通して記載された文字9が含まれている。第1の除外領域生成部7は、表の部分8の枠を構成する有色画素を識別する。そして、かかる枠に囲まれる領域は第1の除外領域に加えられる。すなわち、第1の共通画像に含まれる有色画素が表の枠を構成する場合には、その表の枠に囲まれる領域は第1の除外領域とされる。表の部分8及びその枠を識別する手法は特に限定されず、いかなるものでもよく、公知の表構造解析等を用いてよい。また、第1の除外領域生成部7は、文字を構成する有色画素を識別する。そして、その文字が占める領域、すなわち、当該文字を配置する際に必要とされる領域を第1の除外領域に加える。この領域はさまざまな方法で設定してよいが、一例として、その文字に外接する矩形を用いて良い。この際、矩形の各辺は画像の縦及び横方向に延びるものであることが好ましい。あるいは、その文字を覆う予め定められた大きさの矩形を用いてもよい。この方法は、文字が占める幅が予め定まっている、いわゆる定幅フォントが用いられている場合に有効である。図2Bは、図1Aに示す第1の共通画像の例から得られる第1の除外領域を示す図である。同図中黒塗りで示した部分が第1の除外領域に該当する。図示のとおり、枠の部分8の内部は塗りつぶされ、文字9は各文字が矩形で覆われている。なお、文字の認識は公知のいかなる方法で行ってもよい。例えば、ラベリング等の手法により得られる有色画素が属する図形の大きさやアスペクト比、その図形に含まれる線分長等の特徴量から当該図形が文字であると認識してもよい。また、OCR(Optical Character Recognition)等に用いられる文字認識により文字の認識を行ってもよい。
【0034】
なお、本実施形態で示した第1の除外領域の生成方法は、一例であり、これに限定されない。第1の共通画像に含まれる有色画素が文字を構成する場合と、表の枠を構成する場合の処理は必須ではなく、各々の片方のみを採用してもよいし、双方を不採用としてもよい。また、第1の共通画像に含まれる有色画素を膨張させることなく、第1の共通画像をそのまま第1の除外領域として用いてもよい。
【0035】
図1に戻り、第2の画像受付部3により受け付けられた第2の画像は、除外領域取得手段として機能する第2の除外領域取得部10に受け渡される。ここでは、第2の除外領域取得部10は、少なくとも複数の第2の画像の対応する位置に共通して存在する有色画素からなる第2の共通画像中に含まれる有色画素を含む第2の除外領域を取得する手段としての除外領域取得手段に相当する。
【0036】
そして、第2の除外領域取得部10は、さらに、第2の位置合わせ部11、第2の共通画像取得部12および第2の除外領域生成部13を含む。そして、第2の除外領域取得部10の機能は、第2の画像に対してその処理がなされるということを除き、前述の第1の除外領域取得部4と同等である。すなわち、第2の位置合わせ部11は第1の位置合わせ部5と、第2の共通画像取得部12は第1の共通画像取得部6と、第2の除外領域生成部13は第1の除外領域生成部7と対応しており、処理対象を除けばそれらの機能は等しい。従って、第2の除外領域取得部により、第2の画像から第2の除外領域が得られる。
【0037】
なお、本実施形態では、第1の除外領域取得部4と第2の除外領域取得部10をそれぞれ第1の画像と第2の画像を処理する別個のものとして説明しているが、これは説明の便宜上区分したものであり、両者を同一のものとしてもよい。すなわち、両者は入力が異なるのみでその機能は同一であるから、両者を同一のものとした場合、第1の画像を入力すれば第1の除外領域取得部4として、第2の画像を入力すれば第2の除外領域取得部10として機能することになる。
【0038】
そして、第1の画像と第2の画像に含まれる比較対象である第1の注目画像と第2の注目画像は、第1の画像受付部2及び第2の画像受付部3よりそれぞれ第1の差異検出手段として機能する第1の差異検出部14に受け渡される。第1の差異検出手段は、第1の除外領域、第2の除外領域、第1の除外領域と第2の除外領域の和集合、及び、第1の除外領域と第2の除外領域の積集合のいずれかの領域を除き、第1の画像の少なくとも一つである第1の注目画像と、第1の画像に対応する第2の画像である第2の注目画像との差異を検出する手段である。第1の差異検出部14には、第3の位置合わせ部15、差分抽出部16、第4の位置合わせ部17及び除外部18が含まれる。
【0039】
第3の位置合わせ部15は、第1の注目画像と第2の注目画像間の位置のずれを修正するものである。ここで、第1の注目画像と第2の注目画像は対応するものであるため、互いに共通する部分が多いと考えられる。第3の位置合わせ部15は、例えば、パターンマッチング等の手法により第1の注目画像と第2の注目画像間の共通部分を認識し、その共通部分の位置が互いに等しい位置となるように第1の注目画像又は第2の注目画像、あるいはその両方の画像の位置を修正する。この修正は、第1の位置合わせ部5や第2の位置合わせ部11と同様に、アフィン変換により行ってよい。なお、第3の位置合わせ部15もまた不要である場合には省略して差し支えない。また、第3の位置合わせ部15においてもその基準をどのように設定するかは任意である。本実施形態では、第1の注目画像を基準として位置合わせを行う。
【0040】
続いて、差分抽出部16により、第1の注目画像と第2の注目画像の差分、すなわち、第1の注目画像に存在するが第2の注目画像には存在しない有色画素及び、第2の注目画像に存在するが第1の注目画像には存在しない有色画素が抽出される。
【0041】
そして、抽出された差分は第4の位置合わせ部17に受け渡される。第4の位置合わせ部17は、差分抽出部16により抽出された差分に加え、第1の除外領域取得部4から第1の除外領域を、第2の除外領域取得部10から第2の除外領域を受け取り、これらの間の位置のずれを修正する位置合わせを行うものである。この位置合わせは、第1の位置合わせ部5、第2の位置合わせ部11及び第3の位置合わせ部15と同様に行ってよい。また、第1の位置合わせ部5、第2の位置合わせ部11及び第3の位置合わせ部15によって得られた位置ずれに関する情報、例えば、アフィン変換における変換係数に基づいて位置合わせを行ってもよい。第4の位置合わせ部もまた、不要であれば省略してよい。
【0042】
位置合わせの行われた差分、第1の除外領域及び第2の除外領域は除外部18へと受け渡される。除外部18では、差分抽出部16により得られた差分から、第1の除外領域又は第2の除外領域若しくは第1の除外領域及び第2の除外領域に相当する部分を取り除く。この取り除く方法には種々の方法があり、それらは、次のとおりである。
(1)第1の除外領域に相当する部分のみを取り除く。
(2)第2の除外領域に相当する部分のみを取り除く。
(3)第1の除外領域と第2の除外領域の和集合に相当する部分を取り除く。
(4)第1の除外領域と第2の除外領域の積集合に相当する部分を取り除く。
【0043】
これら(1)乃至(4)のいずれとするかは、第1の画像及び第2の画像の性質や用途に応じて選択してよい。また、差異検出装置1の使用者が適宜選択し得るように構成しておくことも好ましい。本実施形態では、(3)が選択されているものとする。
【0044】
この結果、第1の画像に共通に含まれる部分及び、第2の画像に共通に含まれる部分に対しなされた操作により生じた差分は取り除かれ、実質的な変化であると認識される差分が第1の差異として取り出される。この取り除く操作はどのようなものであってもよいが、具体的には、取り除く部分を背景色で塗りつぶす処理が例示される。
【0045】
第1の差異検出部14は、これにより得られた第1の差異を後段の任意の処理或いは機器で用いるべく出力する。後段でなされる処理は、特に限定されないが、第1の差異が検知されたことを使用者に通知したり、検出された第1の差異を視覚的に使用者に表示したり、もしくは検出された第1の差異を記録したりするなどがある。後段の処理或いは機器が、単に第1の差異が検知されたことを通知するものである場合には、第1の差異検出部14より出力された第1の差異に有色画素が含まれるか否かを調べ、その結果を使用者に通知すればよい。また、後段の処理或いは機器が、第1の差異がどのようなものであるかを表示或いは記録するものである場合には、第1の差異検出部14より出力された第1の差異自体をそのまま表示あるいは記録してよく、あるいは後述の第4の実施形態のように、第1の差異にさらに何らかの操作を加えるものであってもよい。
【0046】
続いて、本実施形態の差異検出装置1により行われる処理を図1及び図4を参照しつつ、具体的に提示して説明する。
【0047】
図4は本実施形態に係る差異検出装置1により行われる処理の例を示す図である。同図中、符号Aは第1の画像、符号Bは第2の画像を示している。この例では、第1の画像Aと第2の画像Bはそれぞれ同数の画像を含んでいるが、上述のとおり、これに限定されるものではなく、それぞれ異なる枚数の画像を含むものであってもよい。また、第1の画像Aと第2の画像Bの最上部に示した画像は、それぞれ、第1の注目画像a1及び第2の注目画像b1である。
【0048】
第1の画像Aは第1の画像受付部2により受け付けられた後、第1の除外領域取得部4へと渡され、第1の位置合わせ部5により位置合わせの後、第1の共通画像取得部6により、第1の共通画像a2が取得される。第1の共通画像a2は、第1の画像Aに共通に含まれる有色画素からなり、この例では、図枠と「NEW」のスタンプを含む。そして、第1の共通画像a2は第1の除外領域生成部7へと受け渡され、第1の除外領域a3が生成される。なお、厳密には、符号a3で図示したものは第1の除外領域を含む画像であり、同画像中黒く示した部分が第1の除外領域である。
【0049】
同様に、第2の画像Bは第2の画像受付部3により受け付けられ、第2の除外領域取得部10の第2の位置合わせ部11による位置合わせの後、第2の共通画像取得部12により第2の共通画像b2が取得され、第2の除外領域生成部13により第2の除外領域b3が生成される。
【0050】
一方、第1の注目画像a1と第2の注目画像b1は第1の差異検出部14へと受け渡され、第3の位置合わせ部15による位置合わせの後、差分抽出部16により両者の差分c1が抽出される。差分c1、第1の除外領域a3、第2の除外領域b3は第4の位置合わせ部17による位置合わせがされ、除外部18により、差分c1から第1の除外領域a3と第2の除外領域b3の和集合に相当する部分が除かれる。なお、前述したようにこの処理は和集合に限定されない。その結果、第1の差異c2が得られ、差異検出装置1により後段の処理或いは機器へと出力される。
【0051】
以上の説明では、差異検出装置1は、第1の画像と第2の画像のそれぞれから第1の除外領域と第2の除外領域を求めるものとした。しかしながら、これに限定することなく、第1の除外領域または第2の除外領域のいずれかのみを求めるものとしてもよい。
【0052】
図5は、第1の除外領域のみを求める場合に、差異検出装置1により行われる処理の例を示す図である。同図において、各符号は図4に示したものと同じものを指している。この場合には、差分c1から第1の除外領域a3に相当する部分を除くことにより、第1の差異c2が得られる。また、第2の共通画像b2及び第2の除外領域b3(図4参照)を求める必要がないため、図1の第2の除外領域取得部10は不要であり、省略しても差し支えない。さらに、第2の画像Bは、必ずしも複数の画像を含むものでなくともよく、第2の注目画像b1のみであってもよい。あるいは、第2の画像Bに含まれる画像の数が少ない場合、すなわち、予め定められたしきい値、例えば2以下である場合には、第2の共通画像b2、ひいては第2の除外領域b3の精度が低いため、このような場合には第2の除外領域取得部10を動作させず、第1の除外領域のみを求めるように差異検出装置1を構成してもよい。同様のことが、第2の除外領域のみを求める場合にもあてはまる。その場合には、第1の除外領域取得部4は不要であり、省略してもよいことになる。
【0053】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る差異検出装置101の機能ブロック図である。本実施形態は、第1の実施形態とは、第1の差異検出部14の構成に差異がある点を除けば、同一のものである。従って、第1の実施形態と同等の構成には同符号を付し、その重複する説明は省略するものとする。
【0054】
本実施形態の第1の差異検出部14は、差分抽出部16より前に除外部18が配置されている。第1の差異検出部14では、まず、第5の位置合わせ部19に第1の注目画像、第2の注目画像、第1の除外領域及び第2の除外領域が受け渡され、それら全ての位置のずれが修正される位置合わせがなされる。この位置合わせも、アフィン変換等の手法によってよい。またその基準も任意であるが、ここでは第1の注目画像を基準としている。そして、除外部18は、第1の注目画像と、第2の注目画像それぞれから、第1の除外領域と、第2の除外領域に含まれる部分を除外する。この除外範囲は第1の実施形態で説明した(1)乃至(4)のいずれであってもよい。ここでは(3)である。その後、必要な部分が除外された第1の注目画像と第2の注目画像の差分を差分抽出部16により抽出する。このようにしても、第1の実施形態と同様の第1の差異が結果として得られる。
【0055】
続いて、本発明の第3の実施形態を説明する。図7は、本発明の第3の実施形態に係る差異検出装置201の機能ブロック図である。本実施形態に係る差異検出装置201は、第1の実施形態に係る差異検出装置1に加え、第2の差異検出手段として機能する第2の差異検出部(1)20及び第2の差異検出部(2)21を有している点が異なり、その他の部分についての構成及び機能は同等であるため、対応する部分には同符号を付し、重複する説明は省略する。
【0056】
第2の差異検出部(1)20は、前述の通り第2の差異検出手段として機能する。第2の差異検出手段は、第1の除外領域における第1の共通画像と第1の注目画像との差異、又は第2の除外領域における第2の共通画像と第2の注目画像との差異、若しくは第1の除外領域における第1の共通画像と第1の注目画像との差異及び第2の除外領域における第2の共通画像と第2の注目画像との差異を検出する手段である。そして、第2の差異検出部(1)20は、第1の除外領域における第1の共通画像と第1の注目画像との差異を検出する手段としての第2の差異検出手段に相当している。
【0057】
第2の差異検出部(1)20では、第1の除外領域に含まれる範囲内における、第1の注目画像と第1の共通画像との差異である第2の差異(1)を検出する。ここで、第2の差異は、複数の画像からなる組において、その組を構成する画像の多くに共通に存在する部分と、その組に含まれる任意の注目画像との間の差分のうち、実質的な変化であると認識されるものを指している。第2の差異が有する実用的な意味を例示すると、例えば、第2の差異は、複数の画像に共通に用いられる様式において、一あるいは少数の画像に誤記がある場合の誤記を指し示すことになる。本実施形態では、第2の差異は、第1の画像についてのものと、第2の画像についてのものの2通りが存在しうるため、前者を第2の差異(1)、後者を第2の差異(2)として区別して表記することとする。
【0058】
第2の差異検出部(1)20で行われる具体的な処理は特に限定されず、第2の差異(1)が検出されさえすればどのようなものであってもよいが、本実施形態では、その処理の例として、まず第1の注目画像と第1の除外領域の積画像を作成し、その後当該積画像と第1の共通画像との差分を抽出している。かかる差分が存在していればその差分は第2の差異(1)である。
【0059】
なお、本実施形態では、第1の位置合わせ部5において、第1の注目画像を基準とした位置合わせを行っているため、第2の差異検出部(1)20による処理に先立って位置合わせを行う必要はないが、第1の位置合わせ部5における基準の取り方如何によっては、第2の差異検出部(1)20による処理に先立って位置合わせを行ってもよい。
【0060】
そして、第2の差異検出部(2)21は、処理の対象が第2の画像であるということを除けば、第2の差異検出部(1)20と同等である。すなわち、第2の差異検出部(2)21は、第2の除外領域における第2の共通画像と第2の注目画像との差異を検出する手段としての第2の差異検出手段に相当している。
【0061】
本実施形態では、第2の差異検出部(2)21は、第2の注目画像と第2の除外領域の積画像を作成し、その後当該積画像と第2の共通画像との差分を抽出する処理を行い、かかる差分が存在していればその差分を第2の差異(2)としているが、この処理は第2の差異(2)が得られる処理であれば特に限定されずどのようなものでもよい。
【0062】
なお、本実施形態では、第2の差異検出部(1)20と第2の差異検出部(2)21をそれぞれ第1の画像と第2の画像を処理する別個のものとして説明しているが、これは説明の便宜上区分したものであり、両者を同一のものとしてもよい。すなわち、両者は入力が異なるのみでその機能は同一であるから、両者を同一のものとした場合、第1の画像を入力すれば第2の差異検出部(1)20として、第2の画像を入力すれば第2の差異検出部(2)21として機能することになる。
【0063】
本実施形態の差異検出装置201では、第1の差異検出部14により第1の差異が、第2の差異検出部(1)20により第2の差異(1)が、第2の差異検出部(2)21により第2の差異(2)がそれぞれ後段の任意の処理あるいは機器に出力される。後段でなされる処理は、限定されず、第1の差異又は第2の差異が検知されたことを使用者に通知したり、それらを視覚的に使用者に表示したり、もしくは記録したりするなどがある。後段の処理或いは機器が、単に第1の差異、第2の差異(1)又は第2の差異(2)が検知されたことを通知するものである場合には、出力された第1の差異、、第2の差異(1)及び第2の差異(2)に有色画素が含まれるか否かを調べ、その結果を使用者に通知すればよい。また、後段の処理或いは機器が、第1の差異、第2の差異(1)及び第2の差異(2)がどのようなものであるかを表示或いは記録するものである場合には、取り出された第1の差異、第2の差異(1)及び第2の差異(2)自体をそのまま表示あるいは記録してよく、あるいは後述の第5の実施形態のように、第1の差異、第2の差異(1)及び第2の差異(2)にさらに何らかの操作を加えるものであってもよい。
【0064】
なお、本実施形態では、第2の差異(1)及び第2の差異(2)の双方の検出結果を後段の処理あるいは機器へと出力するものとしたが、これに限定されず、いずれか片方のみとしてもよい。その場合、出力されない側の第2の差異に係る第2の差異検出部(1)20又は第2の差異検出部(2)21を省略してもよい。あるいは、第2の差異(1)及び第2の差異(2)のそれぞれについて、後段の処理あるいは機器へその検出結果を出力するか否かを適宜選択し得るように構成することも好ましい。
【0065】
続いて、本実施形態の差異検出装置201により行われる処理を図7及び図8を参照しつつ、具体的に提示して説明する。
【0066】
図8は本実施形態に係る差異検出装置201により第1の画像について行われる処理の例を示す図である。ここで、差異検出装置201の第1の除外領域取得部4、第2の除外領域取得部10及び第1の差異検出部14により行われる処理及び結果は図4に示したものと同じであるから、この説明については重複するためここでは省略する。また、図8に示したもののうち、図4と共通するものについては同符号を付している。
【0067】
第2の差異検出部(1)20は、まず、第1の注目画像a1と第1の除外領域a3の積を取り、両者に共通する有色画素からなる積画像a4を作成する。続いて、積画像a4と第1の共通画像a2との差分を抽出し、第2の差異(1)a5を得る。この例では、第2の差異(1)a5の右下に、第1の注目画像a1に含まれる文字「A」と、第1の共通画像a2に含まれる文字「B」に差異があることが示されている。なお、ここでは図示の都合上文字「A」及び文字「B」は同色(黒)で示しているが、両者を区別してもよい。すなわち、第1の注目画像a1に含まれるが第1の共通画像a2に含まれない有色画素及びその逆を区別しておいてよい。区別の方法は任意であり、例えば両者の色を違えたり、各画素にその属性を示す情報を対応させておき、かかる属性を違えたりするなどしてよい。差異検出装置201は、こうして得られた第2の差異(1)a5を後段の処理或いは機器に出力する。
【0068】
また、第2の画像についても第2の差異検出部(2)21により、第2の差異検出部(1)20と同様の処理が行われ、第2の差異(2)が得られることになる。図4に示した例では、第2の除外領域b3において、第2の注目画像b1と第2の共通画像b2との間に差異はないため、第2の差異(2)は背景色のみの画像或いは空集合となる。この場合、第2の差異検出部(2)21は、第2の差異(2)として、背景色のみの画像を出力するようにしても、第2の差異(2)が検出されないことを示す情報を出力するようにしてもよい。
【0069】
続いて、本発明の第4の実施形態を説明する。図9は、本発明の第4の実施形態に係る差異出力装置301の機能ブロック図である。本実施形態に係る差異出力装置301は、第1の実施形態の差異検出装置1に、出力手段として機能する出力部22及びモニタ23が付加された構成となっている。すなわち、差異出力装置301は、差異検出装置1と、出力部22を有する。また、出力手段は、第1の差異検出手段により検出された第1の注目画像と第2の注目画像との差異を第1の注目画像に重畳して出力する手段である。
【0070】
本実施形態では、出力部22はモニタ23へ画像を出力するものである。そして、出力部22には、第1の差異検出部14により得られた第1の差異が受け渡されるものとする。なお、第1の差異を検出するための各部の構成及び動作は、第1の実施形態に係る差異検出装置1と同じであるため、対応する部分には同符号を付し、重複する説明は省略する。
【0071】
出力部22は、第1の画像受付部2より第1の注目画像及び、第1の差異検出部14より第1の差異を受け取り、両者を重畳し出力画像を生成し、モニタ23へと出力する。このとき、本実施形態では、第3の位置合わせ部15、第4の位置合わせ部17のいずれにおいても第1の注目画像を基準とした位置合わせがなされているため、第1の注目画像と第1の差異とを改めて位置合わせする必要はない。しかしながら、位置合わせの基準の取り方如何によっては、出力部22での処理の前段において位置合わせを行ってもよい。また、このとき、第1の注目画像上に第1の差異を重畳するに当たっては、第1の差異がどの部分であるか、使用者が見てとれるように、第1の注目画像に含まれる通常の有色画素と、第1の差異に含まれる有色画素との間に表示上の差異を設けることが好ましい。さらに、この差異は、第1の注目画像に含まれるが第2の注目画像に含まれない有色画素と、その逆を区別し得るように設けることが好ましい。例えば、第1の注目画像に含まれるが第2の注目画像に含まれない有色画素を赤色で、その逆の有色画素を青色で表示するなど色彩を違えて表示してよい。その他にも、画素の大きさ(視覚的には、線の太さが異なるものと認識される)を違えたり、該当する画素を点滅させたりするなどしてよい。このようにして得られた出力画像は、モニタ23へと出力され表示される。
【0072】
図10は、第4の実施形態に係る差異出力装置301の出力部22によりなされる処理の例を示す図である。この例は、図4で用いているものと同じ例を用いているため、第1の画像A及び第2の画像Bから第1の差異c2を得るまでの処理は、図4及び第1の実施形態における記載を参照されたい。出力部22は、図10に示すように、第1の注目画像a1と、第1の差異c2を重畳し、出力画像c3を得ている。出力画像c3中、太線で示した円は青色で表示される。
【0073】
なお、本実施形態では、出力部22はモニタ23に出力画像c3を出力することとしたが、これは例であり、出力先はどのようなものであってもよい。例えば、プリンタに出力し出力画像c3を印刷することとしても、また、他のコンピュータやHDD等任意の情報記録媒体に出力し、出力画像c3を記録することとしてもよい。
【0074】
最後に、本発明の第5の実施形態を説明する。図11は、本発明の第5の実施形態に係る差異出力装置401の機能ブロック図である。本実施形態に係る差異出力装置401は、第3の実施形態の差異検出装置201に、出力手段として機能する出力部22及びモニタ23が付加された構成となっている。すなわち、差異出力装置401は、差異検出装置201と、出力部22を有する。また、本実施形態において、出力手段は、第1の差異検出手段により検出された第1の注目画像と第2の注目画像との差異、並びに、第2の差異検出手段により検出された第1の除外領域における第1の共通画像と第1の注目画像との差異、又は第2の除外領域における第2の共通画像と第2の注目画像との差異、若しくは第1の除外領域における第1の共通画像と第1の注目画像との差異及び第2の除外領域における第2の共通画像と第2の注目画像との差異を第1の注目画像に重畳して出力する手段である。
【0075】
本実施形態においても、第4の実施形態と同様、出力部22はモニタ23へ画像を出力するものである。そして、出力部22には、第1の差異検出部14により得られた第1の差異、第2の差異検出部(1)20により得られた第2の差異(1)及び、第2の差異検出部(2)21により得られた第2の差異(2)が受け渡されるものとする。そして、これら第1の差異、第2の差異(1)及び第2の差異(2)を検出するための各部の構成及び動作は、第3の実施形態に係る差異検出装置201と同じであるため、対応する部分には同符号を付し、重複する説明は省略する。
【0076】
第6の位置合わせ部31は、第1の画像受付部2より第1の注目画像、第1の差異検出部14より第1の差異、第2の差異検出部(1)20より第2の差異(1)、及び第2の差異検出部(2)20より第2の差異(2)を受け取る。そして、これら全てについて任意の基準に基づいて位置合わせを行う。この基準はどのようなものであってもよいが、本実施形態では、第1の注目画像を基準としている。また、第6の位置合わせ部24において、位置合わせに必要な移動量あるいはアフィン変換等の変換に必要な係数は、第1乃至第4の位置合わせ部5,11,15及び17において用いた移動量あるいは係数より得られる。なお、第1の注目画像、第1の差異、第2の差異(1)、及び第2の差異(2)の全てについて統一された基準に基づく位置合わせが既になされている場合には、第6の位置合わせ部24は不要である。
【0077】
そして、出力部22で、第1の注目画像に、第1の差異、第2の差異(1)及び第2の差異(2)をそれぞれ重畳し出力画像を生成し、モニタ23へと出力する。このとき、第1の注目画像上に第1の差異、第2の差異(1)及び第2の差異(2)をそれぞれ重畳するに当たっては、第1の差異、第2の差異(1)及び第2の差異(2)がどの部分であるか、使用者が見てとれるように、第1の注目画像に含まれる通常の有色画素と、第1の差異、第2の差異(1)及び第2の差異(2)に含まれる有色画素との間に表示上の差異を設けることが好ましい。さらに、この差異は、第1の注目画像に含まれるが第2の注目画像に含まれない有色画素とその逆、第1の注目画像に含まれるが第1の共通画像に含まれない有色画素とその逆、さらに第2の注目画像に含まれるが第2の共通画像に含まれない有色画素とその逆をそれぞれ区別し得るように設けることが好ましい。例えば、第1の注目画像に含まれるが第2の注目画像に含まれない有色画素を赤色で、その逆の有色画素を青色で、第1の注目画像に含まれるが第1の共通画像に含まれない有色画素を黄色で、その逆の有色画素を緑色で、そして、第2の注目画像に含まれるが第2の共通画像に含まれない有色画素を紫色で、その逆の有色画素を茶色で表示するなど色彩を違えて表示してよい。その他にも、画素の大きさ(視覚的には、線の太さが異なるものと認識される)を違えたり、該当する画素を点滅させるなどしてよい。このようにして得られた出力画像は、モニタ23へと出力され表示される。
【0078】
図12は、第5の実施形態に係る差異出力装置401の出力部22によりなされる処理の例を示す図である。この例は、図4、図8で用いているものと同じ例を用いているため、第1の画像A及び第2の画像Bから第1の差異c2及び第2の差異(1)a5を得るまでの処理は、図4及び第1の実施形態における記載、並びに図8及び第3の実施形態における記載を参照されたい。
【0079】
出力部22は、図12に示すように、第1の注目画像a1に、第1の差異c2、第2の差異(1)a5および第2の差異(2)b5を重畳し、出力画像c3を得ている。なお、第2の差異(2)b5はこの例では背景画像のみからなる画像である。また、出力画像c3中、太線で示した円は青色で、文字「A」は黄色で、文字「B」は緑色で表示される。
【0080】
なお、本実施形態においても、出力部22の出力先はモニタ23に限定されず、プリンタに出力し出力画像c3を印刷することとしても、また、他のコンピュータやHDD等任意の情報記録媒体に出力し、出力画像c3を記録することとしてもよい。
【0081】
以上説明した実施形態において示した機能ブロックは、それぞれの実施形態を実施する上での一例であり、機能ブロックの構成や配置を例示したものに限定するものではない。
【符号の説明】
【0082】
1,101,201 差異検出装置、2 第1の画像受付部、3 第2の画像受付部、4 第1の除外領域取得部、5 第1の位置合わせ部、6 第1の共通画像取得部、7 第1の除外領域生成部、8 枠、9 文字、10 第2の除外領域取得部、11 第2の位置合わせ部、12 第2の共通画像取得部、13 第2の除外領域生成部、14 第1の差異検出部、15 第3の位置合わせ部、16 差分抽出部、17 第4の位置合わせ部、18 除外部、19 第5の位置合わせ部、20 第2の差異検出部(1)、21 第2の差異検出部(2)、22 出力部、23 モニタ、24 CPU、25 RAM、26 外部記憶装置、27 GC、28 入力デバイス、29 I/O、30 データバス、31 第6の位置合わせ部、301,401 差異出力装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1以上の第1の画像と、少なくとも1以上の第2の画像を受け付ける画像受付手段と、
少なくとも複数の前記第1の画像の対応する位置に共通して存在する有色画素からなる第1の共通画像中に含まれる有色画素を含む第1の除外領域、又は少なくとも複数の前記の第2の画像の対応する位置に共通して存在する有色画素からなる第2の共通画像中に含まれる有色画素を含む第2の除外領域、若しくは前記第1の除外領域及び前記第2の除外領域を取得する除外領域取得手段と、
前記第1の除外領域、前記第2の除外領域、前記第1の除外領域と前記第2の除外領域の和集合、及び、前記第1の除外領域と前記第2の除外領域の積集合のいずれかの領域を除き、前記第1の画像の少なくとも一つである第1の注目画像と、前記第1の注目画像に対応する前記第2の画像である第2の注目画像との差異を検出する第1の差異検出手段と、を有する差異検出装置。
【請求項2】
前記第1の除外領域における前記第1の共通画像と前記第1の注目画像との差異、又は前記第2の除外領域における前記第2の共通画像と前記第2の注目画像との差異、若しくは前記第1の除外領域における前記第1の共通画像と前記第1の注目画像との差異及び前記第2の除外領域における前記第2の共通画像と前記第2の注目画像との差異を検出する第2の差異検出手段を有する請求項1記載の差異検出装置。
【請求項3】
前記除外領域取得手段は、前記第1の共通画像、又は前記第2の共通画像、若しくは前記第1の共通画像及び前記第2の共通画像に含まれる有色画素が文字を構成する場合には、当該文字が占める領域を前記第1の除外領域、又は第2の除外領域、若しくは前記第1の除外領域及び第2の除外領域とする請求項1又は2記載の差異検出装置。
【請求項4】
前記除外領域取得手段は、前記第1の共通画像、又は前記第2の共通画像、若しくは前記第1の共通画像及び前記第2の共通画像に含まれる有色画素が表の枠を構成する場合には、当該表の枠に囲まれる領域を前記第1の除外領域、又は前記第2の除外領域、若しくは前記第1の除外領域及び前記第2の除外領域とする請求項1乃至3のいずれかに記載の差異検出装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の差異検出装置と、
前記第1の差異検出手段により検出された前記第1の注目画像と前記第2の注目画像との差異を前記第1の注目画像に重畳して出力する出力手段と、
を有する差異出力装置。
【請求項6】
請求項2乃至4のいずれかに記載の差異検出装置と、
前記第1の差異検出手段により検出された前記第1の注目画像と前記第2の注目画像との差異、並びに、前記第2の差異検出手段により検出された前記第1の除外領域における前記第1の共通画像と前記第1の注目画像との差異、又は前記第2の除外領域における前記第2の共通画像と前記第2の注目画像との差異、若しくは前記第1の除外領域における前記第1の共通画像と前記第1の注目画像との差異及び前記第2の除外領域における前記第2の共通画像と前記第2の注目画像との差異を前記第1の注目画像に重畳して出力する出力手段と、
を有する差異出力装置。
【請求項7】
コンピュータを、
少なくとも1以上の第1の画像と、少なくとも1以上の第2の画像を受け付ける画像受付手段と、
少なくとも複数の前記第1の画像の対応する位置に共通して存在する有色画素からなる第1の共通画像中に含まれる有色画素を含む第1の除外領域、又は少なくとも複数の前記の第2の画像の対応する位置に共通して存在する有色画素からなる第2の共通画像中に含まれる有色画素を含む第2の除外領域、若しくは前記第1の除外領域及び前記第2の除外領域を取得する除外領域取得手段と、
前記第1の除外領域、前記第2の除外領域、前記第1の除外領域と前記第2の除外領域の和集合、及び、前記第1の除外領域と前記第2の除外領域の積集合のいずれかの領域を除き、前記第1の画像の少なくとも一つである第1の注目画像と、当該第1の画像に対応する前記第2の画像である第2の注目画像との差異を検出する第1の差異検出手段と、
を有する差異検出装置として動作させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−83990(P2012−83990A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230396(P2010−230396)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】