説明

差込プラグ

【課題】
コンセントに接続したプラグ本体の一部をコンセントに当て、てこの利用により、一方の手でプラグ本体の離脱を容易に行うことができる差込プラグを提供する。
【解決手段】
電源コード14を導出する外装体2内に、前記電源コードに接続した一対の差込刃7、7と、前記差込刃7、7間の中心を軸として回動自在に設けた回転摺動装置8とを備え、前記外装体の一部をコンセント9に当ててプラグ本体1を回転し、その際の、てこの利用に伴い回転摺動装置により差込刃を回動させながらプラグ本体の差込刃の離脱を行なうものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭用の壁に埋設されたコンセントやテーブルタップのコンセントに差し込んで接続する差込プラグに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に家庭用として使用される差込プラグは、一端を電気器具等に連結した電源コードの他端に設けたもの、一端にコンセントを連結した電源コードの他端に設けたものが知られている。そして、この差込プラグは、一般家庭用の壁に埋設されたコンセントやテーブルタップのコンセントに差し込んで電気器具等に交流電源を印加し、あるいはテーブルタップのコンセントに交流電源を供給する。
【0003】
また、この差込プラグとコンセントとの連結(接続)は、差込プラグに取り付けられた差込刃を確実に保持するようにコンセント内に設けた一対の刃受自身に弾性を持たせて差込刃を挟持するようにしている。
【0004】
しかし、この差込プラグとコンセントの確実な連結は接続不良を回避できるが、反対に差込プラグの離脱を煩わしくすることになる。すなわち、差込プラグの離脱の際には、一方の手で差込プラグの本体を持ち、他方の手でコンセントを持ちながら力を込めて差込プラグをコンセントから引き抜いている。
【0005】
このため、以前から差込プラグの離脱を容易にするために多くの構造が考えられた。そのひとつの方法として、差込プラグを構成する絶縁性外装体に指を挿入する穴をあけ、この穴に指を入れて引き抜く構造が提案された。(特許文献1、特許文献2)。
【0006】
この構成は、差込プラグの成型時に穴を設けることができるため、構造が簡単になる反面、長期間の使用に伴って穴が大きくなって引き抜き時のストロークが長くなり大きな手の動きが必要となる。また、穴を形成する縁部分が切れて引き抜きができなくなる。このために外装体の材料の選択を慎重に行う必要があるが、経年変化に対応させることは困難であった。
【0007】
他のひとつの方法として、てこの原理を利用して差込プラグをコンセントから引き離す構造が提案された。(特許文献3、特許文献4、特許文献5)。
【0008】
この構成は、差込刃を固定する外装体の側面に軸(ピン)で回動自在に軸支した「くの字形状」のアームやレバーを設け、差込プラグの離脱時には、指によって前記アーム(レバー)の一端を移動させて該アームを回動させ、その街道に伴ってアームの他端をコンセントの外装体に当て差込刃を刃受から引き抜くようにしている。
【0009】
この構成は、外装体にアームやレバーを回動自在に軸支する必要があり、アームやレバーの別部材が必要になるとともに組み立て作業が面倒になる。特に、このように外装体の外側に回動する別部材を設けることは、通常の使用状態に於いて、衣類や布団等の他の物品がアームにひっかかり衣類や布団が破れることや、不意に差込プラグがコンセントから外れる欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−260478号公報
【0011】
【特許文献2】登録実用新案公報 第3004600号
【0012】
【特許文献3】特開平9−63693号公報
【0013】
【特許文献4】特開平9−293563号公報
【0014】
【特許文献5】特開平10−144394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そして、何よりも前述の各特許文献が共通する欠点は、差込プラグを離脱する際に、必ず両手を必要とすること、すなわち、一方の手で差込プラグを持ち他方の手でコンセントを持って引き抜き作業を行うこととなる。さらに、前述したように差込プラグの離脱を行うにはそれなりに大きな力が必要となることである。
【0016】
前者の場合は、差込プラグの離脱作業そのものは健常者にとって何の不具合もないが、両手が使えても力が出ない老人には大変面倒であった。特に、一方の手が不自由な障害者においては、コンセントを持つことができず非常に負担のかかる作業となり、
【0017】
後者の場合は、いくらアームやレバーを使用しているといえども差込プラグをコンセントから確実に離脱するには異方向に働く複雑な手の動きが必要となる。すなわち、差込プラグを持つ手は、アームやレバーを回動させて差込プラグをコンセントから若干引き抜く動作を行い、その後に外装体を持つ手の位置を変えてアームやレバーを回動する方向とは異なる方向の力で差込プラグをコンセントから引き抜く動作が必要なる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、電源コードを導出する外装体内に、前記電源コードに接続した一対の差込刃と、前記差込刃間の中心を軸として回動自在に設けた回転摺動装置とを備え、前記外装体を回転し、てこの利用によって差込刃の着脱を行なうものである。
【0019】
本発明は、前記回転摺動装置は、前記差込刃の回転角度を180度に設定したものである。
【0020】
本発明は、前記外装体は電源コードを導出する把持部と該把持部よりも大径の押当部を一体形成した絶縁性材料から構成し、前記回転摺動装置は押当部内に回動自在に軸支して設けられ、前記差込刃をコンセントに接続するものであって、前記押当部の平面形状を前記把持部よりも長寸の矩形形状に設定したものである。
【0021】
本発明は、前記押当部は、前記差込刃の回動時における一対の差込刃の全体を収納する格納室を備えたものである。
【0022】
本発明は、前記押当部は、その長手方向の少なくとも一側に開口部を設けたものである。
【0023】
本発明は、前記押当部は、長方形の矩形形状とし、少なくともその短辺側の下端縁のエッジを円滑面としたものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明の差込プラグは、外装体に何ら別部材を設ける必要がなく、一方の手だけでも簡単に、プラグ本体の差込刃を離脱することができる。
【0025】
そして、プラグ本体の差込刃とコンセントの刃受を強固、且つ確実に連結接続を行ない接続不良やこれから起因する発熱を未然に防止しながらも、てこの利用により、プラグ本体とコンセントを持つ力が弱くても、また一方の手で差込プラグを持ってプラグ本体の一側を引き起こすだけで簡単にプラグ本体の離脱(取り外し)を行うことができる。
【0026】
また、前記回転摺動装置は、差込刃の回転角度を180度に設定したものであるから、プラグ本体を持つ手が右手、左手のいずれであってもプラグ本体の一側を引き起こすだけで簡単にプラグ本体の離脱(取り外し)を行うことができる。
【0027】
さらに、前記差込刃の回動時には、その一対の差込刃の全体を押当部内に収納する格納室を備えたものであるから、コンセントへの連結を行っていない場合には、外力から差込刃を保護することができるともに、差込刃の先端が手に触れて怪我をするのを防止できる。
【0028】
また、押当部の一側に開口部を設けており、この開口部から差込刃を引き出して回動し、コンセントへの連結接続を行うことができるため、他の器具等を必要としない。
【0029】
加えて、本発明は、前記押当部は、長方形の矩形形状とし、少なくともその短辺側の下端縁のエッジを円滑面としたものであるから、差込プラグの引き抜き時にエッジの円滑面が程よくコンセントのケースにあたり回動がスムースになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の差込プラグと一般のコンセント(テーブルタップ)を連結接続した断面図である。
【図2】同じく差込プラグの取り外し(離脱)動作を示す説明図である。
【図3】同じく差込プラグの側面部分断面図である。
【図4】同じく差込プラグの回転摺動装置の分解斜視図である。
【図5】同じく差込プラグの回転摺動装置の側面図である。
【図6】同じく差込プラグの使用例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
1はプラグ本体で、絶縁性材料(樹脂)により成型した外装体2と、該外装体の上部に一体成型した把持部3と、前記外装体と一体成型し前記把持部よりも下方にあってコンセント側に接近する押当部4と、該押当部内に並行して配設し上部に軸孔5、5を設けた摺動板6、6(図4参照)を形成した一対の差込刃7、7と、該差込刃間の中心を回動自在に軸支する回転摺動装置8とから構成している。この回転摺動装置8は、前記差込刃7、7の回転角度を180度に設定している。
【0032】
図1に示すコンセント9は 、一側に差込プラグ(図示せず)を設け他側にコンセントを有した一般のテーブルタップで代表されるものであり、内部には差込刃7、7を連結接続する一対の刃受10、10を備えており、この刃受10、10は、電源コード11に接続したU字型の金属部材自体に弾性を保持させ、差込刃の差込時における接続を確実なものになるように構成されている。
【0033】
前記把持部3は、外装体のほぼ中央付近にあって上方に突出して成型されており、上部の一側には引掛け孔12を設け、前記押当部4と繋がる領域には差込プラグ本体1の引き抜き等を容易にする括れ13を形成し、中央部からは電源コード14を導出している。一方、前記押当部4は、図3に示すように前記把持部3を中央に配置して横長(左右)に広がった矩形を呈し、短辺側4Aの下端縁のエッジを円滑面Sとしており、長辺側4B、4Bの長さは、差込刃7、7を回動した時にその全体を収納する程度であって、且つ差込プラグをコンセント9から取り外す(離脱)際に、てこの原理を十分に利用できる長さに設定している。
【0034】
つまり、差込プラグ本体1を取り外す際に、押当部4の一側をコンセントに当てて差込プラグ本体1を回動させると、その回動角が小さくても差込刃7、7がコンセント9の刃受10、10から外れるか、もしくは刃受7、7が差込刃を弾性挟持する力が弱くなった位置を脱した位置まで引き上げるだけの移動距離を確保している。
【0035】
一方、短辺4Aの長さは、特に制限はないが、少なくとも回転摺動装置8を収納できて、コンセント9に連結接続する他の差込プラグに接触しない程度のサイズに設定している。
【0036】
さらに、前記押当部4は、図1〜図3に示すように内部に格納室15を設けており、この格納室には、詳細には図3に示すように、両側壁に開口部16、16を設けている。前記格納室には、差込プラグ本体1をコンセント9に連結接続しないような状態にあるときに差込刃7、7を回動して収納する。また、前記開口部16、16は格納室15の両側壁に設けたが少なくとも側壁の少なくとも一側に設ければよい。
【0037】
そして、前記開口部16、16は、差込プラグ本体1をコンセント9に連結接続するようなときに指の爪等をその開口部に入れて差込刃7、7を回動しながら引き出すようにしたものであり、この回動により差込刃が把持部3と同じ鉛直方向に起立し、コンセント9の刃受10、10との連結接続に備える。
【0038】
さらに、前記押当部4は、コンセント9との連結接続時にコンセント側に接近する短辺側の下端縁のエッジをなくすべく円滑面Sとしている。
これは、差込プラグ本体1の回動時に、コンセントの表面に傷をつけないこと、及び押当部の短辺の下端縁がコンセントの表面に摺れて差込プラグの回動をスムースにすることにある。
【0039】
次に、図4、図5に基づいて前記回転摺動装置8を詳細に説明する。前記格納室15内には、軸孔17により回動自在に軸支した絶縁材料よりなる回転子 180と、この回転子の両側面にそれぞれを絶縁状態で添着して設けられ前記電源コード14のそれぞれの異極をスポット溶接して接続する接続端子18、18を有する2枚の摺動子19、19と、前記差込刃の前記摺動板6、6とから構成している。
【0040】
図6は、コンセントが垂直の壁の比較的上方に取り付けられた状態にあって、使用者の手が届かないような高さにある時の使用状態を表している。この図では、引掛け孔12に紐20の端を結びその反対側の端を垂らしている。ただし、差込プラグ本体1の一対の差込刃7、7は上下方向に並ぶようにしてコンセントの刃受10、10に連結接続する。これにより、差込プラグ本体1を引き抜く場合は、紐20の端を下に引き下げると容易にコンセントから外れる。
【0041】
本発明は、差込プラグを連結接続する前記コンセントとして、テーブルタップタイプのコンセントを例示したが、家庭の壁材に埋設されているコンセントであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、電源コードの取り付けた差込プラグの改良にかかり、一般家庭の壁コンセントや所謂テーブルタップに取り付けたコンセントに連結接続するものである。
【符号の説明】
【0043】
1 プラグ本体
2 外装体
3 把持部
4 押当部
7、7 差込刃
8 回転摺動装置
9 コンセント
10、10 刃受
12 引掛け孔
14 電源コード
15 格納室
16、16 開口部
4A 短辺側
4B 長辺側
S 円滑面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源コードを導出する外装体内に、前記電源コードに接続した一対の差込刃と、前記差込刃間の中心を軸として回動自在に設けた回転摺動装置とを備え、前記外装体を回転し、てこの利用によって差込刃の着脱を行なうことを特徴とする差込プラグ。
【請求項2】
前記回転摺動装置は、前記差込刃の回転角度を180度に設定したことを特徴とする請求項1に記載の差込プラグ。
【請求項3】
前記外装体は電源コードを導出する把持部と該把持部よりも大径の押当部を一体形成した絶縁性材料から構成し、前記回転摺動装置は押当部内に回動自在に軸支して設けられ、前記差込刃をコンセントに接続するものであって、前記押当部の平面形状を前記把持部よりも長寸の矩形形状に設定したことを特徴とする請求項1に記載の差込プラグ。
【請求項4】
前記押当部は、前記差込刃の回動時における一対の差込刃の全体を収納する格納室を備えたことを特徴とする請求項3に記載の差込プラグ。
【請求項5】
前記押当部は、その長手方向の少なくとも一側に開口部を設けたことを特徴とする請求項3に記載の差込プラグ。
【請求項6】
前記押当部は、長方形の矩形形状とし、少なくともその短辺側の下端縁のエッジを円滑面としたことを特徴とする請求項3に記載の差込プラグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−100636(P2011−100636A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254832(P2009−254832)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(309036195)
【Fターム(参考)】