説明

巻取りユニット

【課題】下糸捕捉案内装置および上糸捕捉案内装置と、これら両捕捉案内装置を旋回駆動する駆動機構のメンテナンス作業を、ユニットフレームの一側の外面から簡便に行うことができる巻取りユニットを提供する。
【解決手段】ユニットフレーム2の一側の外面に、給糸ボビン4側の糸端である下糸と、パッケージP側の糸端である上糸とを繋ぐ糸継ぎ装置12と、下糸を糸継ぎ装置12に受け渡す下糸捕捉案内装置16と、上糸を糸継ぎ装置12に受け渡す上糸捕捉案内装置17とを配置する。下糸捕捉案内装置16は、第1駆動機構27により上下に旋回可能に構成し、上糸捕捉案内装置17は、第2駆動機構47により上下に旋回可能に構成する。第1駆動機構27、および第2駆動機構47のそれぞれを、ユニットフレーム2の一側の外面に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニットフレームの一側の外面に、糸継ぎ動作時に、下糸と上糸とを繋ぐ糸継ぎ装置へ、給糸ボビン側の糸端である下糸を受け渡す下糸捕捉案内装置と、パッケージ側の糸端である上糸を受け渡す上糸捕捉案内装置とを備えた巻取りユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の下糸捕捉案内装置と上糸捕捉案内装置とを備えた巻取りユニットは、特許文献1〜2に公知である。特許文献1の自動ワインダは、給糸ボビンの糸端を吸引捕捉して糸継ぎ装置に導く中継ぎパイプと、パッケージ側の糸端を吸引捕捉して糸継ぎ装置に導くサクションマウスとを備えている。中継ぎパイプはサイドフレームに取り付けられた軸受部で回動自在に支持されており、カムで揺動操作されるアームと、アームの先端に設けられた部分円弧状のラックと、ラックに噛みあうピニオンとで回動操作される。これらの機構部品は、サイドフレームの内面側に配置されている。
【0003】
特許文献2の自動ワインダの巻取りユニットは、スプライサ装置の下側および上側に、給糸ボビン側の下糸を捕捉して案内する下糸案内パイプと、パッケージ側の上糸を捕捉して案内する上糸案内パイプとが設けられている。ユニットフレームには、上糸案内パイプを回動させるためのステッピングモータが配置されており、ステッピングモータの出力軸には、出力ギアが固定されている。上糸案内パイプの基部には従動ギヤが固定されており、出力ギアと従動ギヤとが歯付きベルトを介して連結されている。上糸案内パイプを回動させるステッピングモータ等の駆動構造は、ユニットフレームの内面側に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−058932号公報(段落番号0014〜0016、0022〜0025、図3、4)
【特許文献2】特開2009−155101号公報(段落番号0030、0035、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の自動ワインダでは、カム等の機構部品で旋回駆動を行うので駆動構造が複雑であり、定期的に点検を実施して機能を維持する必要がある。また、自動ワインダでは巻取り動作時に風綿が発生し、この風綿が機構部品の潤滑油に付着するので、定期的に清掃を行う必要がある。さらに、部品の破損等により修理が必要な場合もある。しかし、フレームの外面側と内面側とに捕捉手段を構成する部品が配置されているので、フレームの両面側からメンテナンス作業を行う必要がある。一人の作業者が作業を行う場合には、外面側と内面側との作業位置を移動しなければならず、メンテナンス作業に多くの手間を要する。また、作業時間が長引くことによる自動ワインダの稼働率の低下を招く不利もある。
【0006】
特許文献2の自動ワインダの巻取りユニットでは、カム等の機構部品で旋回駆動を行う構造に比べて構造が簡単であるため、メンテナンス作業を頻繁に行う必要はない。しかし、特許文献1と同様に、メンテナンス作業の際にはフレームの両面側から作業を行う必要があり、多くの手間を要する。
【0007】
本発明の目的は、下糸捕捉案内装置および上糸捕捉案内装置と、これら両捕捉案内装置を旋回駆動する駆動機構のメンテナンス作業を、ユニットフレームの一側の外面から簡便に行える巻取りユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ユニットフレーム2の一側の外面に、給糸ボビン4側の糸端である下糸と、パッケージP側の糸端である上糸とを繋ぐ糸継ぎ装置12と、下糸を糸継ぎ装置12に受け渡す下糸捕捉案内装置16と、上糸を糸継ぎ装置12に受け渡す上糸捕捉案内装置17とが配置してある巻取りユニットを対象とする。下糸捕捉案内装置16は、第1駆動機構27により上下に旋回可能に構成する。上糸捕捉案内装置17は、第2駆動機構47により上下に旋回可能に構成する。そして、第1駆動機構27、および第2駆動機構47のそれぞれを、ユニットフレーム2の一側の外面に配置する。
【0009】
下糸捕捉案内装置16、および上糸捕捉案内装置17のそれぞれは、サクションパイプ21・41を備えている。第1駆動機構27および第2駆動機構47のそれぞれは、駆動源からの駆動力をサクションパイプ21・41に伝動する巻掛伝動機構29・49と、カバー体26・46とで構成する。カバー体26・46を、少なくとも巻掛伝動機構29・49の周囲を覆うように配置する。
【0010】
下糸捕捉案内装置16と第1駆動機構27、および上糸捕捉案内装置17と第2駆動機構47のそれぞれを、カバー体26・46に組付けてユニット部品化する。
【0011】
カバー体26・46は、巻掛伝動機構29・49の周囲を覆う周壁33・53と、周壁33・53の一端を塞ぐカバー壁34・54と、周壁33・53の開口側周囲に張り出すフランジ壁35・55とで形成する。下糸捕捉案内装置16と第1駆動機構27、および上糸捕捉案内装置17と第2駆動機構47のそれぞれを、カバー壁34・54に固定する。フランジ壁35・55を、ユニットフレーム2の一側の外面に締結具36・56で締結固定する。
【0012】
ユニットフレーム2に形成した取付座38・58に、フランジ壁35・55の取付面を密着状に接合する。
【0013】
駆動源は、第1駆動機構27および第2駆動機構47のそれぞれに設けられた正逆転可能なモータ28・48であり、それぞれのモータ28・48を、それぞれのカバー体26・46に取り付ける。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る巻取りユニットでは、下糸捕捉案内装置16および上糸捕捉案内装置17のそれぞれを旋回駆動する、第1駆動機構27と第2駆動機構47とを、ユニットフレーム2の一側の外面に配置した。これによれば、第1駆動機構27と第2駆動機構47とのメンテナンス作業を外面から行うだけで作業を完結することができる。したがって、外面側と内面側の両面からメンテナンス作業を行う必要があった従来の巻取りユニットに比べて、作業位置を移動する必要がなく、メンテナンス作業を簡便に行うことができる。
【0015】
駆動源と、巻掛伝動機構29・49と、カバー体26・46とで第1駆動機構27および第2駆動機構47を構成し、少なくとも巻掛伝動機構29・49の周囲をカバー体26・46で覆うようにした。これによれば、第1駆動機構27および第2駆動機構47を、ユニットフレーム2の一側の外面に配置した場合でも、風綿等のごみが巻掛伝動機構29・49に付着するのをカバー体26・46で確実に防ぐことができる。したがって、風綿等の付着によるメンテナンス作業を頻繁に行う必要がなく、巻取りユニットの稼働率を向上できる。
【0016】
カバー体26・46に、下糸捕捉案内装置16と第1駆動機構27、および上糸捕捉案内装置17と第2駆動機構47のそれぞれを組付けてユニット部品化すると、メンテナンス作業を効率よく行うことができる。詳しくは、予備のユニットを用意しておけば、メンテナンス作業が必要なユニットを、予備のユニットと交換したのち巻取りユニットを再稼動し、取り外したユニットは、別の場所でメンテナンス作業を行うことができる。このように、巻取りユニットを稼動させながら、メンテナンス作業を行うことができるので、効率よくメンテナンス作業を行うことができる。
【0017】
カバー体26・46のフランジ壁35・55をユニットフレーム2に締結具36・56で締結すると、締結具36・56を着脱するだけで、ユニット部品化された下糸捕捉案内装置16および上糸捕捉案内装置17を着脱できる。したがって、下糸捕捉案内装置16および上糸捕捉案内装置17の着脱作業を簡便に行うことができる。また、メンテナンス作業を短時間で完結することができので、巻取りユニットの稼働率を向上できる。
【0018】
ユニットフレーム2に形成した取付座38・58に、フランジ壁35・55の取付面を密着状に接合すると、巻掛伝動機構29・49が収容される空間の密閉度を向上できる。したがって、風綿等の付着による清掃等のメンテナンス作業を頻繁に行う必要がなく、巻取りユニットの稼働率を向上できる。
【0019】
駆動源を正逆転可能なモータ28・48とし、第1駆動機構27および第2駆動機構47のそれぞれに設けると、モータ28・48の回転方向を制御するだけで、巻掛伝動機構29・49を介して下糸捕捉案内装置16、および上糸捕捉案内装置17を旋回駆動することができる。このように、下糸捕捉案内装置16および上糸捕捉案内装置17を旋回駆動する第1駆動機構27と、第2駆動機構47の構造を簡素化したので、メンテナンス作業を簡便に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る巻取りユニットの側面図である。
【図2】巻取りユニットの正面図である。
【図3】中継ぎパイプおよび第1駆動機構の側面図である。
【図4】図3におけるA−A線断面図である。
【図5】サクションマウスおよび第2駆動機構の側面図である。
【図6】図5におけるB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施例) 図1から図6に、本発明に係る巻取りユニットを自動ワインダの巻取りユニットに適用した実施例を示す。なお、本発明における前後、左右、上下とは、図1および図2に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
【0022】
自動ワインダは、左右方向に沿って配置される一群の巻取りユニット1で構成されている。図1および図2において、巻取りユニット1は、起立する縦長箱状のユニットフレーム2を基体にして構成されており、ユニットフレーム2の左側外面にユニット本体3が設けられている。ユニット本体3は、給糸ボビン4の糸Yをトラバースさせながら巻取ボビン5に巻き直してパッケージPを形成する。給糸ボビン4は、図示していないボビン供給マガジンにより巻取りユニット1に供給される。巻取りユニット1の後部には、巻取りユニット1に負圧を供給するためのダクト6が配置されている。ダクト6は、巻取りユニット1で発生した糸屑あるいは風綿等を回収する回収路として機能する。ダクト6は、ブロアボックスを介して負圧供給源に接続されており、負圧供給源を構成する遠心式のブロワの吸引作用でダクト6内に負圧が供給される。符号7は、ユニットフレーム2が固定されるフレーム枠である。
【0023】
ユニット本体3には、下から上へ延びる糸道に沿って解舒補助装置10と、テンション装置11と、糸継ぎ装置12と、スラブキャッチャ13と、巻取部14などが設けられている。糸継ぎ装置12の糸道上流側には、中継ぎパイプ(下糸捕捉案内装置)16が設けられており、糸継ぎ装置12の糸道下流側には、サクションマウス(上糸捕捉案内装置)17が設けられている。中継ぎパイプ16は、糸継ぎ動作時に給糸ボビン4側の糸端である下糸を捕捉して糸継ぎ装置12に受け渡し、サクションマウス17は、糸継ぎ動作時にパッケージP側の糸端である上糸を捕捉して糸継ぎ装置12に受け渡す。
【0024】
給糸ボビン4から解舒された糸が切れたとき、またはスラブキャッチャ13が糸欠点を検出してカッターで糸を切断したとき、あるいは給糸ボビン4が交換されたときに、糸継ぎ動作が行われる。糸継ぎ動作は、給糸ボビン4側およびパッケージP側の糸端を、それぞれ中継ぎパイプ16とサクションマウス17とで吸引して捕捉する動作と、両糸端を糸継ぎ装置12に受け渡す動作と、糸継ぎ装置12で糸継ぎする動作とからなる。
【0025】
図3および図4に示すように、中継ぎパイプ16は、支軸部20と支軸部20で旋回自在に支持される中空筒状のサクションパイプ21と、サクションパイプ21の先端に設けられるヤーンクランプ22とで構成されている(図2参照)。支軸部20には、中途部が屈曲した負圧供給管23が接続されており、負圧供給管23は、ダクト6に固定された接続具24を介してダクト6に接続されている。負圧供給管23とサクションパイプ21とは、支軸部20を介して接続されており、サクションパイプ21の旋回角度に関係なく負圧を供給できる。これにより、ダクト6の負圧は、ヤーンクランプ22に供給され、ヤーンクランプ22は、糸端を吸引して捕捉することができる。中継ぎパイプ16は、支軸部20が後述するカバー体26に固定されている。
【0026】
中継ぎパイプ16を上下に旋回するために、ユニットフレーム2の左側外面に第1駆動機構27を配置している。図4に示すように、第1駆動機構27は、駆動源と、該駆動源の駆動力を中継ぎパイプ16に伝達する巻掛伝動機構29と、巻掛伝動機構29を覆うように配置されるカバー体26とで構成する。駆動源は正逆転可能なモータ28で構成する。巻掛伝動機構29は、モータ28の出力軸に固定された原動プーリ30と、サクションパイプ21の基端部に固定された従動プーリ31と、両プーリ30・31に巻き掛けられるタイミングベルト32とからなる。モータ28はカバー体26に固定されている。モータ28の正回転および逆回転を、巻掛伝動機構29を介してサクションパイプ21に伝達することにより、サクションパイプ21を上下に旋回駆動できる。中継ぎパイプ16は糸継ぎ動作時に、サクションパイプ21がまず下方に旋回し、給糸側の糸端をヤーンクランプ22で捕捉する。こののち、サクションパイプ21が上方に旋回し、糸端を糸継ぎ装置12の正面の上方に案内することにより、給糸側の糸端が、糸継ぎ装置12に受け渡される。
【0027】
図3および図4に示すように、カバー体26は、巻掛伝動機構29の周囲を覆う周壁33と、周壁33の一端を塞ぐカバー壁34と、周壁33の開口側周囲に張り出すフランジ壁35とで一体に形成されている。カバー体26は、プレス機で金属板材に絞り加工を施して形成されている。これにより、各壁を溶接等で接合して形成した場合に比べて、カバー体26の構造強度を高くすることができ、さらに、カバー壁34およびフランジ壁35の平坦度を向上することができる。先に説明した支軸部20とモータ28とは、カバー壁34にそれぞれボルトで固定してあり、これにより中継ぎパイプ16と第1駆動機構27とをユニット部品化してある。カバー壁34には、サクションパイプ21とモータ28の出力軸とが挿通される挿通口が形成されており、フランジ壁35には、ボルト(締結具)36で締結するための締結座37が4ヶ所に形成されている。
【0028】
図4に示すように、ユニットフレーム2には、カバー体26を固定するための取付座38が、周回状に突出形成されている。中継ぎパイプ16は、カバー体26の締結座37を取付座38にボルト36で締結固定することにより、ユニットフレーム2に取付けられる。これにより、第1駆動機構27はユニットフレーム2の左側外面に配置される。フランジ壁35の取付面と接触する取付座38は、切削加工を施して面精度が高く設定されており、フランジ壁35の取付面が密着状に接合されている。取付座38に切削加工を施すことにより、フランジ壁35と取付座38の密着度を高くすることができ、両者35・38の間にシール材を設けることなく、巻掛伝動機構29を収容する空間の密閉度を向上することができる。
【0029】
上記のように、カバー体26に組付けられて、第1駆動機構27とともにユニット部品化された中継ぎパイプ16によれば、ボルト36を取り外し、負圧供給管23を接続具24から分離するだけで、ユニットフレーム2から簡単に取外すことができる。したがって、メンテナンス作業を外面から行うだけで作業を完結することができる。
【0030】
図5および図6に示すように、サクションマウス17は、支軸部40と支軸部40で旋回自在に支持される中空筒状のサクションパイプ41と、サクションパイプ41の先端に設けられるマウス部42とで構成されている。支軸部40には、中途部が屈曲した負圧供給管43が接続されており、負圧供給管43は、ダクト6に固定された接続具44を介してダクト6に接続されている。負圧供給管43とサクションパイプ41とは、支軸部40を介して接続されており、サクションパイプ41の旋回角度に関係なく負圧を供給できる。これにより、ダクト6の負圧はマウス部42に供給され、マウス部42は、糸端を吸引して捕捉することができる。サクションマウス17は、支軸部40が後述するカバー体46に固定され組付けられる。
【0031】
サクションマウス17を上下に旋回するために、ユニットフレーム2の左側外面に第2駆動機構47を配置している。図6に示すように、第2駆動機構47は、駆動源と、該駆動源の駆動力をサクションマウス17に伝達する巻掛伝動機構49と、巻掛伝動機構49を覆うように配置されるカバー体46とで構成する。駆動源は正逆転可能なモータ48で構成する。巻掛伝動機構49は、モータ48の出力軸に固定された原動プーリ50と、サクションパイプ41の基端部に固定された従動プーリ51と、両プーリ50・51に巻き掛けられるタイミングベルト52とからなる。モータ48はカバー体46に固定されている。モータ48の正回転および逆回転を巻掛伝動機構49を介してサクションパイプ41に伝達することにより、サクションパイプ41を上下に旋回駆動できる。サクションマウス17は糸継ぎ動作時に、サクションパイプ41がまず上方に旋回し、パッケージPに巻き取られた巻取側の糸端をマウス部42で吸引して捕捉する。こののちサクションパイプ41が下方に旋回し、糸端を糸継ぎ装置12の正面の下方に案内することにより、巻取側の糸端が糸継ぎ装置12に受け渡される。
【0032】
図5および図6に示すように、カバー体46は、巻掛伝動機構49の周囲を覆う周壁53と、周壁53の一端を塞ぐカバー壁54と、周壁53の開口側周囲に張り出すフランジ壁55とで一体に形成されている。カバー体56は、プレス機で金属板材に絞り加工を施して形成されている。これにより、各壁を溶接等で接合して形成した場合に比べて、カバー体46の構造強度を高くすることができ、さらに、カバー壁54およびフランジ壁55の平坦度を向上することができる。先に説明した支軸部40とモータ48とは、カバー壁54にそれぞれボルトで固定してあり、これによりサクションマウス17と第2駆動機構47とをユニット部品化してある。カバー壁54には、サクションパイプ41とモータ48の出力軸とが挿通される挿通口が形成されており、フランジ壁55には、ボルト(締結具)56で締結するための締結座57が4ヶ所に形成されている。
【0033】
図6に示すように、ユニットフレーム2には、カバー体46を固定するための取付座58が、周回状に突出形成されている。サクションマウス17は、カバー体46の締結座57を取付座58にボルト56で締結固定することにより、ユニットフレーム2に取付けられる。これにより、第2駆動機構47はユニットフレーム2の左側外面に配置される。フランジ壁55の取付面と接触する取付座58は、切削加工を施して面精度が高く設定されており、フランジ壁55の取付面が密着状に接合されている。取付座58に切削加工を施すことにより、フランジ壁55と取付座58の密着度を高くすることができ、両者55・58の間にシール材を設けることなく、巻掛伝動機構49を収容する空間の密閉度を向上することができる。
【0034】
上記のように、カバー体46に組付けられて、第2駆動機構47とともにユニット部品化されたサクションマウス17によれば、ボルト56を取り外し、負圧供給管43を接続具44から分離するだけで、ユニットフレーム2から簡単に取外すことができる。したがって、メンテナンス作業を外面から行うだけで作業を完結することができる。
【0035】
以上のように、第1駆動機構27と第2駆動機構47とを、ユニットフレーム2の左側外面に配置すると、第1駆動機構27と第2駆動機構47とのメンテナンス作業を左側外面から行うだけで作業を完結することができる。また、カバー体26・46に、中継ぎパイプ16と第1駆動機構27、およびサクションマウス17と第2駆動機構47のそれぞれを組付けてユニット部品化するので、メンテナンス作業を簡便化できる。これは、メンテナンス作業が必要なユニットを予備のユニットと交換することで、巻取りユニット1を再稼動することができるからである。さらに、カバー体26・46のフランジ壁35・55をユニットフレーム2に締結具36・56で締結固定したので、締結具36・56を着脱するだけで、ユニット部品化された中継ぎパイプ16およびサクションマウス17をユニットフレーム2に着脱できる。したがって、メンテナンス作業を簡便に行うことができる。さらに、メンテナンス作業を短時間で完結することができ、巻取りユニット1の稼働率を向上できる。
【0036】
上記の実施例では、本発明に係る巻取りユニット1を、自動ワインダの巻取りユニットに適用したが、精紡機の巻取りユニットに適用することができる。駆動源はモータ28・48で構成したが、サクションパイプ21・41に固定されるアームと、エアシリンダとで構成することができる。巻掛伝動機構29・49を2個のプーリとタイミングベルトで構成したが、その必要はなく、2個のスプロケットおよびチェーンで構成してもよい。モータ28・48は、カバー体26・46とユニットフレーム2とで形成される空間内に配置することができる。取付座38・58は、突出形成する必要はなく、ユニットフレーム2の側面と面一状、また凹み形成してもよい。フランジ壁35・55と取付座38・58との接合面にパッキン等のシール材を設けて、巻掛伝動機構29・49を収容する空間の密閉度をさらに高くし、防塵性を向上することができる。
【符号の説明】
【0037】
2 ユニットフレーム
12 糸継ぎ装置
16 下糸捕捉案内装置(中継ぎパイプ)
17 上糸捕捉案内装置(サクションマウス)
21 サクションパイプ
26 カバー体
28 モータ
29 巻掛伝動機構
33 周壁
34 カバー壁
35 フランジ壁
36 締結具(ボルト)
38 取付座
41 サクションパイプ
46 カバー体
48 モータ
49 巻掛伝動機構
53 周壁
54 カバー壁
55 フランジ壁
56 締結具(ボルト)
58 取付座

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニットフレームの一側の外面に、
給糸ボビン側の糸端である下糸と、パッケージ側の糸端である上糸と、を繋ぐ糸継ぎ装置と、
前記下糸を前記糸継ぎ装置に受け渡す下糸捕捉案内装置と、
前記上糸を前記糸継ぎ装置に受け渡す上糸捕捉案内装置と、
が配置してある巻取りユニットであって、
前記下糸捕捉案内装置は、第1駆動機構により上下に旋回可能に構成されており、
前記上糸捕捉案内装置は、第2駆動機構により上下に旋回可能に構成されており、
前記第1駆動機構、および前記第2駆動機構のそれぞれが、前記ユニットフレームの前記一側の外面に配置されていることを特徴とする巻取りユニット。
【請求項2】
前記下糸捕捉案内装置、および前記上糸捕捉案内装置のそれぞれは、サクションパイプを備えており、
前記第1駆動機構および前記第2駆動機構のそれぞれは、駆動源からの駆動力を前記サクションパイプに伝動する巻掛伝動機構と、カバー体とで構成されており、
前記カバー体が、少なくとも前記巻掛伝動機構の周囲を覆うように配置されている請求項1に記載の巻取りユニット。
【請求項3】
前記下糸捕捉案内装置と前記第1駆動機構、および前記上糸捕捉案内装置と前記第2駆動機構のそれぞれが、前記カバー体に組付けられてユニット部品化されている請求項2に記載の巻取りユニット。
【請求項4】
前記カバー体は、前記巻掛伝動機構の周囲を覆う周壁と、該周壁の一端を塞ぐカバー壁と、前記周壁の開口側周囲に張り出すフランジ壁とで形成されており、
前記下糸捕捉案内装置と前記第1駆動機構、および前記上糸捕捉案内装置と前記第2駆動機構のそれぞれが、前記カバー壁に固定されており、
前記フランジ壁が、前記ユニットフレームの前記一側の外面に締結具で締結固定されている請求項2または3に記載の巻取りユニット。
【請求項5】
前記ユニットフレームに形成した取付座に、前記フランジ壁の取付面が密着状に接合されている請求項4に記載の巻取りユニット。
【請求項6】
前記駆動源は、前記第1駆動機構および前記第2駆動機構のそれぞれに設けられた正逆転可能なモータであり、それぞれのモータは、前記それぞれのカバー体に取り付けられている請求項2から4のいずれかに記載の巻取りユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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