説明

巻取装置、巻回体の製造方法及び巻取システム

【課題】帯状体の巻回精度を向上させることができるとともに、生産効率の向上を図ることができる帯状体の巻取装置、当該巻取装置による巻回体の製造方法、及び、巻取装置を用いた巻取システムを提供する。
【解決手段】巻取装置11は、巻芯21及び巻芯受け31を備える。巻芯21は、基部22と、当該基部22から軸線C方向に延び、巻芯コア2が装着される装着部23と、基部22及び装着部23の間に形成されるテーパ段差部24をと備える。巻芯受け31は、支持部32と、支持部32から軸線C方向に延びる受けピン33と、受けピン33の外周に設けられる受け部34とを備える。巻芯コア2は、断面非円形状の挿通孔8を有しており、装着部23の断面形状は、挿通孔8の断面形状に対応している。受け部34は、巻芯コア2の軸線C方向他端側の当接面9が当接可能な被当接面35を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば二次電池等に内蔵される巻回体を得るための巻取装置、巻回体の製造方法、及び、巻取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、リチウムイオン電池等の二次電池として用いられる電池素子は、プラス電極箔及びマイナス電極箔と、2枚のセパレータとからなる帯状体が巻回されることで構成されている。
【0003】
従来、帯状体を巻取るための巻取装置として、回転軸に対して前記電極箔やセパレータを巻取り、巻取後において巻回された帯状体(巻回体)を前記回転軸から取り外す方法が知られている。ところが、巻回体の巻き圧力によって、回転軸から巻回体を取り外すことが比較的困難となってしまったり、また、取り外しに際して、セパレータや電極箔の破損等を招いてしまったりするおそれがある。さらに、巻き圧力によって巻回体の中心部分に位置する電極箔やセパレータの端部に位置ずれが生じてしまうおそれがある。このような位置ずれが生じてしまうと、電極箔間の距離が開きすぎてしまい、結果として、巻回体の中心部分が電池としての機能を十分に発揮できなくなってしまうおそれがある。
【0004】
そこで、このような不具合を解消すべく、回転軸に高分子材料等よりなる筒状の巻き芯を装着し、当該巻き芯に対して帯状体を巻取り、帯状体の巻取後においては、巻き芯ごと巻回体を取り外す技術が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。当該技術について詳述すると、まず、巻き芯の貫通孔に剛性の比較的大きい材料により形成された筒状のスプライン軸が挿入される。当該スプライン軸の両端部には、割り部(切り欠け)が形成されており、スプライン軸の一端部に先端テーパ状の動力軸が挿入される一方で、スプライン軸の他端部に先端テーパ状の押し当てが挿入される。これにより、スプライン軸の両端部が外周側に広がり、巻き芯を保持することができるとともに、巻き芯の軸線とスプライン軸の軸線とを一致させることができる。また、スプライン軸には長手方向に延びる突条部が設けられており、当該突条部が巻き芯の貫通孔に形成された溝に嵌め込まれることで、巻き芯のスプライン軸に対する相対回転が規制されるようになっている。
【特許文献1】特開平10−144339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記技術においては、スプライン軸の両端に挿入される動力軸及び押し当てが先端テーパ状をなしているため、そのときどきの動力軸及び押し当てのスプライン軸側への押圧力の相違によって、スプライン軸両端部の広がり方も種々異なったものとなってしまう。そのため、スプライン軸両端部の広がり方によって、スプライン軸に対する巻き芯の長手方向の相対位置が変化してしまい、ひいては巻き芯に対する帯状体の巻回位置にばらつきが生じてしまうおそれがある。また、スプライン軸に対する巻き芯の相対回転を規制する手段は設けられているものの、スプライン軸に対する巻き芯の長手方向に沿った相対移動を規制する手段は何ら設けられていない。このため、帯状体の巻取時に巻き芯が長手方向にずれてしまい、ひいては帯状体の幅方向端縁部分が巻回体の中心部分と外周部分とでずれてしまうおそれがある。すなわち、上記技術を採用した場合には、帯状体の巻回精度が低下してしまうおそれがある。
【0006】
さらに、動力軸及び押し当ては先端テーパ状をなしているため、巻き芯を安定した状態で保持するためには、動力軸及び押し当てをスプライン軸に対して常時押し付けておく(押圧力を加えておく)必要がある。ここで、製造の効率化を図るという観点からは、回転軸に巻き芯を着脱する着脱ポジションと、巻き芯に帯状体を巻回する巻取ポジションとを別ポジションとすることが考えられる。ところが、動力軸等からスプライン軸に対して押圧力を加えつつ、両ポジション間で巻き芯を移動させるのは事実上非常に困難である。そのため、巻き芯の移動時には、一時的に押圧力を解除せざるを得ず、結果として、移動の際に巻き芯の長手方向に沿った位置ずれが生じてしまうおそれがある。ひいては、帯状体の巻取前に巻き芯の位置ずれを修正する作業等が必要となってしまい、却って生産効率の低下を招いてしまうことも懸念される。
【0007】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、帯状体の巻回精度の向上を図ることができるとともに、生産効率の向上を図ることができる巻取装置、当該巻取装置を用いた巻回体の製造方法、及び、当該巻取装置を用いてなる巻取システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0009】
手段1.断面非円形状の挿通孔を有する巻芯コアに帯状体を巻取るための巻取装置であって、
軸線方向に延び、当該軸線方向一端側に位置する巻芯と、
前記軸線と同一直線上に位置し、前記巻芯に相対向するようにして前記軸線方向他端側に位置する巻芯受けとを備え、
前記巻芯は、
軸線方向に延びる基部と、
当該基部から前記軸線方向他端側に向けて延びるとともに、前記基部よりも細化され、かつ、前記巻芯コアの前記挿通孔の断面形状に対応する断面形状をなし、前記巻芯コアが装着される装着部と、
前記基部及び前記装着部間に位置し、前記軸線方向他端側に向けて先細り形状をなすテーパ段差部とを有し、
前記巻芯受けは、
前記軸線を回転軸として回転可能に支持される支持部と、
当該支持部から軸線方向一端側に向けて突出する受けピンと、
当該受けピンの外周側に設けられ、前記巻芯コアの両端面のうち、他端側に位置する当接面が当接可能な被当接面を具備する受け部とを有し、
前記装着部の他端側端部は、先割れ部を具備するとともに、その内周側に前記受けピンを嵌合可能な嵌合凹部を有し、
前記巻芯及び前記巻芯受けは、軸線方向に沿って接離可能に構成されていることを特徴とする巻取装置。
【0010】
上記手段1によれば、巻芯のテーパ段差部に対して前記巻芯コアの一端部を当接させる一方で、嵌合凹部に受けピンを嵌合することで外周側に広げられた装着部の先端部によって巻芯コアの他端部を保持することができる。これにより、巻芯コアの中心軸と巻芯及び巻芯受けの中心軸とを一致させることができ、帯状体の巻取時における巻芯コアの「がたつき」を防止することができる。また、巻芯コアの一端部及び他端部を保持できるとともに、装着部の断面形状が巻芯コアの挿通孔の断面形状に対応するように構成されているため、装着部によって巻芯コアをその略全域に亘って支持することができる。このため、巻芯コアに「反り」が生じてしまうことを効果的に抑制することができる。併せて、巻芯コアの挿通孔の断面形状及び装着部の断面形状がともに非円形状をなしている。これにより、巻芯コアが巻芯に対して相対回転してしまうことを防止できるため、巻芯コアに「ねじれ」が生じてしまうことを効果的に抑制することができる。
【0011】
加えて、巻芯コアの一端側端面をテーパ段差部に当接させる一方で、巻芯コアの他端側端面(当接面)を受け部の被当接面と当接させることで、巻芯に対する巻芯コアの長手方向の相対位置をより正確に合わせることができる。その結果、巻芯コアに対する帯状体の巻回位置にばらつきが生じてしまうことをより確実に防止することができる。併せて、巻芯に対する巻芯コアの長手方向に沿った相対移動も規制することができ、巻芯コアの長手方向に沿った位置ずれも抑制することができる。
【0012】
以上のように、本手段1によれば、巻芯コアの「反り」、「ねじれ」、「がたつき」等の不具合を効果的に抑制することができるとともに、巻芯コアの巻芯に対する長手方向の相対位置をより正確に合わせることができ、さらには、巻芯コアの長手方向に沿った位置ずれを規制することができる。これにより、巻芯コアに対する帯状体の巻回精度を飛躍的に向上させることができる。
【0013】
さらに、本手段1によれば、上述の通り、巻芯コアの他端部を、受けピンが嵌合されることで外周側に押し広げられた装着部によって保持することができるが、このとき、受けピンの外周面と装着部の内周面(嵌合凹部)との間には摩擦力が発生することとなる。これにより、巻芯受けの抜け方向(軸線方向他端側)への相対移動を規制することができるため、巻芯コアを移動(例えば、帯状体の巻取ポジションへと移動)させるのに際して、一時的に押圧力を解除したとしても、巻芯コアに位置ずれが生じてしまうことを効果的に抑制することができる。その結果、移動後において巻芯コアの位置ずれを修正することなく、帯状体の巻取を開始することができ、生産効率の向上を図ることができる。
【0014】
また、前記摩擦力が生じることによって、巻芯コアを保持する際の巻芯や巻芯受けによる巻芯コアに対する押圧力が比較的小さなものであっても、巻芯コアを比較的安定した状態で保持することができる。その結果、過度の押圧力が加えられてしまうことに伴う巻芯コアの変形等をより確実に抑制することができる。
【0015】
さらに、帯状体が巻回された巻芯コア(巻回体)を装着部から取り外す際には、嵌合凹部から受けピンを取り外すことによって、装着部による巻芯コアの保持力が解除されることとなり、巻回体を比較的スムーズに装着部から取り外すことができる。これにより、巻芯コアや帯状体の破損等の不具合を防止することができ、巻回体の品質向上を図ることができる。
【0016】
手段2.帯状体を巻取るための巻取装置であって、
軸線方向に沿って延び、当該軸線方向一端側に位置する巻芯と、
前記軸線と同一軸線上に位置し、前記巻芯に相対向するようにして前記軸線方向他端側に位置する巻芯受けと、
前記巻芯の外周に装着され、前記帯状体の巻回後には当該巻回された帯状体とともに、前記巻芯から取り外される筒状の巻芯コアとを備え、
前記巻芯は、
軸線方向に延びる基部と、
当該基部から前記軸線方向他端側に向けて延びるとともに、前記基部よりも細化され、かつ、断面非円形状をなし、前記巻芯コアが装着される装着部と、
前記基部及び前記装着部間に位置し、前記軸線方向他端側に向けて先細り形状をなすテーパ段差部とを有し、
前記巻芯受けは、
前記軸線を回転軸として回転可能に支持される支持部と、
前記支持部から前記軸線方向一端側に向けて突出する受けピンと、
前記受けピンの外周側に設けられる受け部とを有し、
前記巻芯コアは、
前記装着部の断面形状に対応する断面形状をなす挿通孔を有し、
前記受け部の一端側端面は、前記巻芯コアの両端面のうち、他端側に位置する当接面が当接可能な被当接面となっており、
前記装着部の他端側端部は、先割れ部を具備するとともに、その内周側に前記受けピンを嵌合可能な嵌合凹部を有し、さらに、
前記巻芯及び前記巻芯受けは、軸線方向に沿って接離可能に構成されていることを特徴とする巻取装置。
【0017】
上記手段2によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0018】
手段3.前記巻芯に対する前記巻芯受けの相対回動を規制する相対回動規制手段を設けたことを特徴とする手段1又は2に記載の巻取装置。
【0019】
尚、「相対回動規制手段」とは、例えば、装着部の先端部から突出する係合突部と、受け部の先端部に設けられ、前記突部を係合可能な係合凹部とからなる係合手段等を挙げることができる。
【0020】
前記巻芯に対して前記巻芯受けが摺動回転可能である場合には、装着部と受けピンとの間や巻芯コアの当接面と受け部の被当接面との間において摩擦が発生してしまうおそれがある。その結果、磨耗粉が発生してしまい、ひいては巻回体の性能低下を招いてしまうおそれがある。
【0021】
この点、上記手段3によれば、相対回動規制手段によって、巻芯に対する巻芯受けの相対回動を規制することができる。これにより、巻芯受けを巻芯に対して従動回転させることができるため、装着部と受けピンとの間等における摩擦の発生を抑制でき、ひいては磨耗粉の発生を防止することができる。その結果、磨耗粉の混入等に起因する巻回体の性能低下を効果的に抑制することができる。
【0022】
手段4.前記受けピンが前記支持部に対して出没可能に構成されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の巻取装置。
【0023】
上記手段4によれば、軸線方向に沿って受けピンが支持部に対して出没可能に構成されている。これにより、嵌合凹部に対する受けピンの着脱をより容易に行うことができ、ひいては装着部に対する巻芯コアの着脱を一層容易に行うことができる。その結果、生産効率の一層の向上を図ることができる。
【0024】
手段5.前記嵌合凹部の内周面又は前記受けピンの外周面を、軸線方向一端側に向けて先細るテーパ形状に構成するとともに、
前記受けピンの前記支持部に対する出没量を調節可能としたことを特徴とする手段4に記載の巻取装置。
【0025】
上記手段5によれば、嵌合凹部の内周面や受けピンの外周面を軸線方向一端側に向けて先細るテーパ状とするとともに、受けピンの出没量(差込量)を調節可能とされている。これにより、受けピンの出没量を調整することによって、装着部の外周側への広がり量を比較的容易に調節することができる。その結果、内径の異なる種々の巻芯コアを安定した状態で保持することができ、帯状体の巻回精度をより一層向上させることができる。
【0026】
手段6.前記軸線を含む断面における前記装着部の外形線の延長線と前記テーパ段差部の外形線とのなす角度が20度以上70度以下とされていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の巻取装置。
【0027】
軸線を含む断面における前記装着部の外形線の延長線と前記テーパ段差部の外形線とのなす角度(前記テーパ段差部の角度)が大きい場合(直角に近い場合)には、当該テーパ段差部に巻芯コアを当接させたとしても、巻芯コアの中心軸と巻芯の中心軸とを一致させることができないおそれがある。一方、テーパ段差部の角度が小さい場合(0度に近い場合)であって、巻芯コアが伸縮可能な材料(例えば、合成樹脂等)によって形成されている場合には、巻芯コアの一端側端部がテーパ段差部を越えてしまい、巻芯コアの長手方向位置に「ずれ」が生じてしまうおそれがある。
【0028】
この点、上記手段6によれば、テーパ段差部の角度が20度以上70度以下とされている。これにより、巻芯コアの中心軸と巻芯の中心軸とをより確実に一致させることができる。併せて、巻芯コアがテーパ段差部を越えてしまうことをより確実に防止でき、巻芯コアの長手方向の位置ずれをより確実に防止することができる。
【0029】
尚、巻芯コアを形成する材料によって、テーパ段差部の最適な角度は種々異なるものであるが、各種材料よりなる種々の巻芯コアに対応するという観点からは、テーパ段差部の角度を30度程度にすることが望ましい。従って、テーパ段差部の角度は、20度以上50度以下に設定することが好ましく、20度以上40度以下とすることがより好ましい。
【0030】
手段7.上記手段1乃至6のいずれかに記載の巻取装置を用いて、前記巻芯コアに前記帯状体が巻回してなる巻回体を得るための巻回体の製造方法であって、
前記装着部に前記巻芯コアを装着する工程と、
前記巻芯及び前記巻芯受けを接近させることで、前記嵌合凹部に前記受けピンを嵌合するとともに、前記巻芯コアの一端側端部を前記テーパ段差部に当接させる一方で、前記巻芯コアの前記当接面を前記受け部の前記被当接面に当接させる工程と、
前記巻芯コアに前記帯状体を巻回する工程と
前記受けピンを前記嵌合凹部から取り外した後、前記帯状体の巻回された前記巻芯コアを前記装着部から取り外す工程とを含むことを特徴とする巻回体の製造方法。
【0031】
上記手段7によれば、帯状体が精度よく巻回された巻回体を比較的容易に得ることができる。
【0032】
手段8.上記手段1乃至6のいずれかに記載の巻取装置を複数用いた巻取システムであって、
前記各巻取装置は、前記帯状体を巻回する巻取ポジションと、前記巻芯コアを着脱する着脱ポジションとの間を移動可能に構成されていることを特徴とする巻取システム。
【0033】
上記手段8によれば、複数の巻取装置が用いられており、各巻取装置は巻取ポジションと着脱ポジションとの間を移動可能とされている。これにより、少なくとも1の巻取装置においては、巻芯コアに対して帯状体を巻回することができる一方で、その他の巻取装置のうち、少なくとも1の巻取装置においては巻芯コアを装着部に対して着脱することができる。その結果、生産効率のより一層の向上を図ることができる。
【0034】
尚、着脱ポジションや巻取ポジションは複数設けることとしてもよい。また、着脱ポジションに代えて、巻芯コアを装着するポジションと、巻芯コア(巻回体)を取り外すポジションとを別々に設けることとしてもよい。この場合には、より効果的に生産効率を向上させることができる。
【0035】
手段9.前記帯状体の巻回に際しては、前記巻芯及び前記巻芯受けのうち、少なくとも一方により、前記巻芯コアを保持するべく、前記軸線方向への押圧力が付与されるよう構成され、
前記各巻取装置の移動に際しては、前記押圧力が解除されるよう構成したことを特徴とする手段8に記載の巻取システム。
【0036】
上記手段8の巻取システムを用いることで、生産効率の一層の向上を図ることができるが、上述の通り、巻芯等から巻芯コアに対して押圧力を加えつつ、巻芯コアを移動させることは事実上非常に困難である。これに対し、本手段9では、巻取装置の移動時に一時的に押圧力を解除する巻取システムが用いられるが、このように押圧力が解除されたとしても、上述のとおり、嵌合凹部及び受けピン間において摩擦力が生じていることから、巻芯コアの位置ずれを抑制することができる。すなわち、本手段9のような構成下において、上記手段1等の巻取装置を用いることによって奏される作用効果がより有意なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0038】
まず、本実施形態の巻取装置によって得られる巻回体としてのリチウムイオン電池素子の構成について説明する。図4に示すように、リチウムイオン電池素子(以下、「電池素子」と称す)1は、筒状の巻芯コア2に対して、2枚のセパレータ3,4とプラス電極箔5とマイナス電極箔6とによって構成される帯状体7が巻回されることで構成されている。尚、図4においては、説明の便宜上、セパレータ3,4、プラス電極箔5、及び、マイナス電極箔6の相互の間隔をあけて示している。
【0039】
巻芯コア2は、十分な剛性を有する材料(例えば、合成樹脂等)により形成されている。また、当該巻芯コア2は、断面非円形状(本実施形態では、断面正方形状)の挿通孔8を有している。加えて、巻芯コア2の両端面は平坦面状をなし、そのうちの一端面は、帯状体7の巻取に際して、後述する受け部34の被当接面35と当接する当接面9となる(図2,3参照)。
【0040】
セパレータ3,4は、巻芯コア2の長手方向に沿った長さと同一の幅を有するものであり(図3参照)、異なる電極箔5,6同士が互いに接触して短絡を起こしてしまうのを防止すべく絶縁体(例えば、ポリエチレン等)により構成されている。尚、本実施形態においては、セパレータ3,4を2枚用いているが、2枚のセパレータ3,4に代えて、中央部分を2つに折り曲げた1枚のセパレータを用いることとしてもよい。
【0041】
プラス電極箔5及びマイナス電極箔6もまた、セパレータ3,4と同様、巻芯コア2の長手方向に沿った長さと同一の幅を有するものである(図3参照)。さらに、プラス電極箔5及びマイナス電極箔6の表裏両面には活物質が塗布されており(図示せず)、この活物質を介して、プラス電極箔5及びマイナス電極箔6間におけるイオン交換ができるようになっている。より詳しくは、充電時には、プラス電極箔5側からマイナス電極箔6側へイオンが移動し、反対に、放電時には、マイナス電極箔6側からプラス電極箔5側へとイオンが移動する。また、プラス電極箔5の幅方向一端縁からは図示しない複数の正極リードが延出するとともに、マイナス電極箔6の幅方向他端縁からは図示しない複数の負極リードが延出している。
【0042】
リチウムイオン電池を得るに際しては、前記電池素子1が金属製で筒状をなす電池容器(図示せず)内に配設されるとともに、前記正極リード及び負極リードがそれぞれまとめられる。そして、まとめられた正極リードを正極端子部品(図示せず)に接続するとともに、同じくまとめられた負極リードを負極端子部品(図示せず)に接続し、両端子部品を前記電気容器の両端開口に設けることで、リチウムイオン電池を得ることができる。
【0043】
次に、前記電池素子1を製造するための巻取装置11を有する巻回体製造機10(巻取システム)について説明する。図1に示すように、巻回体製造機10は、本発明の特徴である巻取装置11と、当該巻取装置11を備えるターレット12と、着脱ポジションP1において、後述する巻芯コア2の取付及び電池素子1の取外を行うための着脱装置13と、帯状体7が巻芯コア2に巻回される巻取ポジションP2に対して帯状体7を供給するための帯状体供給機構(図示せず)とから構成されている。
【0044】
本実施形態では、円形状のターレット12の中心点を対称にして、複数(本実施形態では、2つ)の巻取装置11が設けられている。より詳しくは、前記ターレット12は、2枚の円盤状のテーブル14,15が相対向するようにして構成されており、両テーブル14,15間に跨って前記巻取装置11が配設されている。尚、両テーブル14,15は時計回り(図中の白抜き矢印方向)に回転可能に構成されているとともに、両テーブル14,15は同期回転するように設定されている。これにより、巻取装置11が着脱ポジションP1及び巻取ポジションP2間を移動することができるようになっている。尚、両テーブル14,15は、180°ずつ反転可能となっていてもよい。
【0045】
次に、巻取装置11について詳述する。前記巻取装置11は、図2,3に示すように、軸線C方向に延び、軸線C方向一端側のテーブル14から他端側のテーブル15に向けて突出する巻芯21と、前記軸線C方向に延び、軸線C方向他端側のテーブル15から一端側のテーブル14に向けて突出する巻芯受け31とから構成されている。
【0046】
前記巻芯21は、所定の金属材(例えば、SKD工具鋼等)によって形成されており、全体として棒状をなしている。当該巻芯21は、軸線C方向他端側に延びる基部22と、当該基部22から軸線C方向他端側に延びる装着部23と、前記基部22及び装着部23間に形成されたテーパ段差部24とから構成されている。また、基部22、装着部23、及び、テーパ段差部24の中心軸はそれぞれ前記軸線Cと一致している。
【0047】
前記基部22は、円柱状をなし、図示しない駆動手段によって、前記テーブル14に対し軸線C方向に沿って相対移動可能(出没可能)に構成されている。これにより、前記巻芯受け31に対して巻芯21が接離可能となっている。加えて、基部22は、図示しない回転手段(例えば、モータ)によって、軸線Cを回転軸としてテーブル14に対して相対回転可能となっており、ひいては巻芯21全体が軸線Cを回転軸として相対回転可能となっている(すなわち、回転手段は帯状体7を巻取る際の巻取動力として機能する)。また、本実施形態において、基部22の外径は、前記巻芯コア2の外径と同径となるように構成されている。尚、基部22の外径が、巻芯コア2の外径よりも小径となるように構成してもよい。
【0048】
前記装着部23は、電池素子1の製造時において、前記巻芯コア2がその外周部分に装着されるものである。当該装着部23は、棒状をなすとともに、前記巻芯コア2の挿通孔8の断面形状に対応すべく断面非円形状(本実施形態では、断面正方形状)に形成されている。さらに、装着部23は、前記基部22よりも細化されており、また、装着部23の先端側面部には、軸線C方向へと延びる一対の先割れ部25が形成されている。加えて、当該先割れ部25の内周部分には、軸線C方向に延び、後述する受けピン33を嵌合可能な嵌合凹部26が形成されており、当該嵌合凹部26の内周面は、軸線Cと略平行となるように構成されている。
【0049】
前記テーパ段差部24は、軸線C方向他端側に向けて先細り形状をなしている。また、前記軸線Cを含む断面における、テーパ段差部24の外形線GS及び前記装着部23の外形線の延長線KSのなす角度α(以下、「テーパ段差部24の角度α」と称す)が20度以上70度以下(本実施形態では、30度)とされている。
【0050】
前記巻芯受け31は、所定の金属材(例えば、SUS等)によって形成されており、断面T字状をなしている。当該巻芯受け31は、円柱状をなす支持部32と、当該支持部32と一体化して形成され、軸線C方向一端側に向けて突出する受けピン33と、当該受けピン33の外周側に設けられ、先端筒状の受け部34とを備えている。尚、支持部32、受けピン33、及び、受け部34のそれぞれの中心軸は、前記軸線Cと一致している。
【0051】
前記支持部32は、前記テーブル15に対して軸線Cを回転軸として相対回転(本実施形態では、自由回転)可能、かつ、軸線C方向に相対移動不能に支持されている。
【0052】
前記受けピン33は、円柱状をなすとともに、その外周面の大部分が軸線Cと略平行となるように構成されている。当該受けピン33は、前記受け部34の内側に配設されており、また、その外径は、前記嵌合凹部26の内径と同径或いは若干大径となるように構成されている。加えて、受けピン33は、前記嵌合凹部26への嵌合をより容易なものとすべく、その先端部分が先細り形状となっている。
【0053】
前記受け部34は、前記巻芯コア2の外径と略等しい外径を有しており、その先端面が前記巻芯コア2の一端面(当接面9)と当接可能な被当接面35となっている。ここで、当該被当接面35は、装着部23に対する巻芯コア2の装着位置を定めるための基準面としての機能を有するものである。また、受け部34と受けピン33との間の環状空間は、装着部23の先端部を収容可能な収容凹部36となっており、前記受けピン33が、前記嵌合凹部26に嵌合された際には、装着部23の先端部が前記収容凹部36に収容されるようになっている。尚、受け部34の外径については、巻芯コア2の外径よりも小さくなるように構成してもよい。
【0054】
次に、上述した巻取装置11を有する巻回体製造機10(巻取システム)を用いて、電池素子1を製造するための方法について説明する。
【0055】
まず、ターレット12を時計回りに回転させることで、一方の巻取装置11を着脱ポジションP1へと移動させる(このとき、他方の巻取装置11は巻取ポジションP2に位置することとなる)。また、この時点において、巻芯21及び巻芯受け31は、相互に離間した状態となっている。
【0056】
次いで、前記着脱装置13によって、装着部23に巻芯コア2が装着される。そして、基部22を軸線C方向に沿って他端側(テーブル15側)へと相対移動させることで、前記受けピン33が前記嵌合凹部26に嵌合されるとともに、前記受け部34の収容凹部36に対して装着部23の先端部が挿入される。このとき、装着部23の先端部が受けピン33によって外周側へ広げられることとなり、ひいては巻芯コア2の他端部が前記装着部23によって内周側から保持されることとなる。併せて、巻芯コア2の一端部が、前記テーパ段差部24に当接・保持されることとなる。さらに、巻芯コア2の当接面9が、受け部34の被当接面35に当接する。
【0057】
尚、前記受けピン33及び嵌合凹部26間では摩擦力が生じるため、巻芯21から離間する方向への巻芯受け31の相対移動が規制される。これにより、巻芯コア2の抜け方向の移動を十分に抑制可能であるが、本実施形態においては、次述する巻芯コア2の移動時を除き、前記駆動手段によって、巻芯21から巻芯受け31側に対して比較的小さな押圧力が加えられている。その結果、巻芯コア2の抜け方向への移動がより確実に抑制されている。
【0058】
次いで、前記ターレット12を時計回りに180°回動させることで、巻芯コア2が装着された巻取装置11を回転移動させ、巻取ポジションP2へと巻芯コア2を移動させる。尚、当該巻芯コア2の移動時においては、上述の通り、前記巻芯21からの押圧力が一時的に解除されることとなる。これは、巻芯コア2を移動させつつ、巻芯21から巻芯受け31側に対して押圧力を加えることが、機械的な構造上、比較的困難なためである。
【0059】
巻取ポジションP2では、移動された巻芯コア2に対して前記帯状体供給機構から供給された帯状体7が巻回される。より詳しくは、巻芯コア2に対して前記セパレータ3(4)の端部を熱溶着した後、前記回転手段によって、巻芯コア2を回転させることで、巻芯コア2に対して帯状体7が巻回される。
【0060】
帯状体7の巻回完了後、ターレット12を時計回りに回転させることで、帯状体7の巻回された巻芯コア2を再度着脱ポジションP1へと移動させる。そして、巻芯21を巻芯受け31から離間する方向へと相対移動させ、前記受けピン33を嵌合凹部26から抜き外す。これにより、装着部23による巻芯コア2の保持力が解除されることとなる。その上で、帯状体7の巻回された巻芯コア2を、巻芯コア2ごと装着部23から取り外すことで電池素子1が得られる。
【0061】
尚、一方の巻取装置11において巻芯コア2が着脱される際には、他方の巻取装置11おいて帯状体7が巻回されるようになっており、また、一方の巻取装置11において帯状体7が巻回される際には、他方の巻取装置11において巻芯コア2が着脱されるようになっている。
【0062】
以上詳述したように、本実施形態の巻取装置11によれば、巻芯21のテーパ段差部24に対して前記巻芯コア2の一端部を当接させる一方で、嵌合凹部26に受けピン33が嵌合されることで押し広げられた装着部23の先端部によって巻芯コア2の他端部を保持することができる。これにより、巻芯コア2の中心軸と巻芯21及び巻芯受け31の中心軸とが一致することとなり、帯状体7の巻取時における巻芯コア2の「がたつき」を防止することができる。また、巻芯コア2の一端部及び他端部を保持できるとともに、装着部23の断面形状が巻芯コア2の挿通孔8の断面形状に対応するように構成されているため、装着部23によって巻芯コア2をその略全域に亘って支持することができる。このため、巻芯コア2に「反り」が生じてしまうことを効果的に抑制することができる。併せて、巻芯コア2の挿通孔8の断面形状及び装着部23の断面形状がともに非円形状をなしている。これにより、巻芯コア2が巻芯21に対して相対回転してしまうことを防止できるとともに、巻芯コア2に「ねじれ」が生じてしまうことを効果的に抑制することができる。
【0063】
加えて、巻芯コア2の一端側端面をテーパ段差部24に当接させる一方で、巻芯コア2の他端側端面(当接面9)を受け部34の被当接面35と当接させることができる。このため、巻芯21に対する巻芯コア2の長手方向の相対位置をより正確に合わせることができ、巻芯コア2に対する帯状体7の巻回位置にばらつきが生じてしまうことをより確実に防止することができる。併せて、巻芯21に対する巻芯コア2の長手方向に沿った相対移動も規制することができるため、巻芯コア2の長手方向に沿った位置ずれも抑制することができる。
【0064】
以上のように、本実施形態によれば、巻芯コア2の「反り」、「ねじれ」、「がたつき」等の不具合を効果的に抑制することができるとともに、巻芯コア2の巻芯21に対する長手方向に沿った相対位置をより正確に合わせることができ、さらには、巻芯コア2の長手方向に沿った位置ずれを規制することができる。これにより、巻芯コア2に対する帯状体7の巻回精度を飛躍的に向上させることができる。
【0065】
さらに、巻芯コア2の他端部を、受けピン33が嵌合されることで外周側に広げられた装着部23によって保持することができるが、このとき、受けピン33の外周面と先割れ部25の内周面(嵌合凹部26)との間には摩擦力が発生することとなる。これにより、巻芯受け31の抜け方向(軸線C方向他端側)への相対移動を規制することができるため、巻芯コア2を移動(例えば、巻取ポジションP2へと移動)させるに際して、一時的に押圧力を解除したとしても、前記摩擦力によって巻芯コア2の相対位置にずれが生じてしまうことを効果的に抑制することができる。その結果、移動後において巻芯コア2の位置ずれを修正することなく、帯状体7の巻取を開始することができ、生産効率の向上を図ることができる。
【0066】
また、前記摩擦力が生じることによって、巻芯コア2を保持する際の巻芯21等による巻芯コア2に対する押圧力が比較的小さなものであっても、巻芯コア2を比較的安定した状態で保持することができる。その結果、過度の押圧力が加えられてしまうことに伴う巻芯コア2の変形等をより確実に抑制することができる。
【0067】
さらに、電池素子1を装着部23から取り外す際には、嵌合凹部26から受けピン33を取り外すことによって、装着部23による巻芯コア2の保持力が解除されることとなり、電池素子1を比較的スムーズに装着部23から取り外すことができる。これにより、巻芯コア2や帯状体7の破損等の不具合を防止することができ、電池素子1の品質向上を図ることができる。
【0068】
加えて、テーパ段差部24の角度αが20度以上70度以下とされている。これにより、巻芯コア2の中心軸と巻芯21の中心軸とをより確実に一致させることができる。併せて、巻芯コア2がテーパ段差部24を越えてしまうことをより確実に防止でき、巻芯コア2の長手方向の位置ずれをより確実に防止することができる。
【0069】
併せて、巻回体製造機10は、複数の巻取装置11を備えており、各巻取装置11は着脱ポジションP1と巻取ポジションP2との間を移動可能とされている。これにより、一方の巻取装置11においては、巻芯コア2に対して帯状体7を巻回することができる一方で、他方の巻取装置11においては巻芯コア2を装着部23に対して着脱することができる。その結果、生産効率のより一層の向上を図ることができる。
【0070】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0071】
(a)上記実施形態では、巻芯21に対して巻芯受け31が平坦周面で当接する構成となっているが、巻芯21に対する巻芯受け31の相対回動を規制する相対回動規制手段を設けることとしてもよい。具体的には、相対回動規制手段として、図5(a)に示すように、巻芯受け31の受け部34から軸線C方向他端側に突出する係合ピン41と、巻芯コア2の当接面9に設けられ、前記係合ピン41を係合可能な係合凹部(図示せず)とからなる係合手段を設けることとしてもよい。また、図5(b)に示すように、受け部34の内周形状(収容凹部36の外周形状)を、非円形状をなす装着部23の断面形状に対応させることで巻芯21に対する巻芯受け31の相対回動を規制することとしてもよい。この場合には、巻芯受け31を巻芯21に対して従動回転させることができるため、装着部23と嵌合凹部26との間や巻芯コア2と受け部34との間における摩擦の発生を防止することができる。ひいては、磨耗粉の発生を防止することができるため、磨耗粉の混入に起因する電池素子1の性能低下を効果的に抑制することができる。
【0072】
(b)上記実施形態では、巻芯コア2の挿通孔8が断面正方形状とされるとともに、装着部23が断面正方形状とされることによって、巻芯21(装着部23)に対する巻芯コア2の相対回転が規制されているが、巻芯コア2の挿通孔8及び装着部23の断面形状については、断面正方形状に限定されるものではない。すなわち、装着部23に対する巻芯コア2の相対回転を規制可能な非円形状の断面形状であればよく、例えば、断面六角形状等の多角形状や断面小判状等としてもよい。
【0073】
(c)上記実施形態では、受けピン33は支持部32と一体化して形成されているが、図6に示すように、受けピン33を支持部32とは別体で設け、受けピン33を支持部32に対して軸線C方向に沿って移動(出没)可能に構成することとしてもよい。この場合には、嵌合凹部26に対する受けピン33の着脱をより容易に行うことができ、ひいては装着部23に対する巻芯コア2の着脱を一層容易に行うことができる。その結果、生産効率の一層の向上を図ることができる。尚、支持部32に対する受けピン33の出没量を調整可能な制御手段を設けることとしてもよい。
【0074】
(d)上記実施形態では、嵌合凹部26の内周面や受けピン33の外周面は軸線Cに略平行となるように構成されているが、図7(a),(b)に示すように、嵌合凹部26の内周面や受けピン33の外周面を、軸線C方向一端側に向けて先細るテーパ形状に構成することとしてもよい。この場合には、嵌合凹部26に対する受けピン33の差込量を変化させることで、装着部23の外周側への広がり量を調整することができる。これにより、内径の異なる種々の巻芯コア2を安定した状態で保持することができる。尚、上記(c)の手段を併せて用いることにより、装着部23の外周側への広がり量を一層容易に調整することができる。
【0075】
(e)上記実施形態では、巻芯コア2の長手方向長さとセパレータ3,4及び両電極箔5,6の幅(帯状体7の幅)とが同一の長さとされている。これに対して、図8に示すように、巻芯コア2の長手方向長さよりも幅の広い帯状体7を巻芯コア2に巻回することとしてもよい。このとき、巻芯コア2の外径と基部22及び受け部34の外径が、巻芯コア2の外径と同径、或いは、巻芯コア2の外径よりも小径とされているため、帯状体7の幅方向端縁部(すなわち、巻芯コア2からはみ出した部分)における「ずれ」の発生をより確実に防止することができる。これにより、帯状体7の巻回精度をより一層向上させることができる。
【0076】
(f)上記実施形態では、巻芯コア2は合成樹脂によって形成されているが、巻芯コア2を形成する材料は、特に限定されるものではない。従って、アルミニウム等の金属等によって巻芯コア2を形成することとしてもよい。
【0077】
(g)上記実施形態では、巻芯コア2に対してセパレータ3(4)が熱溶着されているが、熱溶着に代えて、接着剤や接着テープによって接着することとしてもよい。
【0078】
(h)上記実施形態では、テーパ段差部24の角度αは、20度以上70度以下とされているが、テーパ段差部24の角度は、上記範囲内に限定されるものではない。
【0079】
(i)上記実施形態では、基部22の外径及び受け部34の外径が、巻芯コア2の外径と同径或いは巻芯コア2の外径よりも小径となるように構成されているが、巻芯コア2の外径よりも大径に構成することとしてもよい。
【0080】
(j)上記実施形態では、受け部34には収容凹部36が設けられているが、収容凹部36を設けない構成を採用することとしてもよい。
【0081】
(k)上記実施形態では、巻取装置11によって、リチウムイオン電池の電池素子1が製造されているが、巻取装置11によって製造される巻回体はこれに限定されるものではなく、例えば、電解コンデンサの素子等を製造することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本実施形態における巻回体製造機等を示す正面模式図である。
【図2】本実施形態における巻取装置等を示す斜視図である。
【図3】本実施形態における巻取装置等を示す断面図である。
【図4】電池素子の構成を示すための断面模式図である。
【図5】(a),(b)は、相対回動規制手段の一例を示す部分拡大斜視図である。
【図6】別の実施形態における支持部及び受けピン等を示す部分拡大断面図である。
【図7】(a),(b)は、別の実施形態における嵌合凹部及び受けピンの形状を示す部分拡大断面図である。
【図8】別の実施形態における巻取装置への帯状体の巻回状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0083】
1…巻回体としての電池素子、2…巻芯コア、7…帯状体、8…挿通孔、9…当接面、10…巻取システムとしての巻回体製造機、11…巻取装置、21…巻芯、22…基部、23…装着部、24…テーパ段差部、25…先割れ部、26…嵌合凹部、31…巻芯受け、32…支持部、33…受けピン、34…受け部、35…被当接面、C…軸線、P1…着脱ポジション、P2…巻取ポジション。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面非円形状の挿通孔を有する巻芯コアに帯状体を巻取るための巻取装置であって、
軸線方向に延び、当該軸線方向一端側に位置する巻芯と、
前記軸線と同一直線上に位置し、前記巻芯に相対向するようにして前記軸線方向他端側に位置する巻芯受けとを備え、
前記巻芯は、
軸線方向に延びる基部と、
当該基部から前記軸線方向他端側に向けて延びるとともに、前記基部よりも細化され、かつ、前記巻芯コアの前記挿通孔の断面形状に対応する断面形状をなし、前記巻芯コアが装着される装着部と、
前記基部及び前記装着部間に位置し、前記軸線方向他端側に向けて先細り形状をなすテーパ段差部とを有し、
前記巻芯受けは、
前記軸線を回転軸として回転可能に支持される支持部と、
当該支持部から軸線方向一端側に向けて突出する受けピンと、
当該受けピンの外周側に設けられ、前記巻芯コアの両端面のうち、他端側に位置する当接面が当接可能な被当接面を具備する受け部とを有し、
前記装着部の他端側端部は、先割れ部を具備するとともに、その内周側に前記受けピンを嵌合可能な嵌合凹部を有し、
前記巻芯及び前記巻芯受けは、軸線方向に沿って接離可能に構成されていることを特徴とする巻取装置。
【請求項2】
帯状体を巻取るための巻取装置であって、
軸線方向に沿って延び、当該軸線方向一端側に位置する巻芯と、
前記軸線と同一軸線上に位置し、前記巻芯に相対向するようにして前記軸線方向他端側に位置する巻芯受けと、
前記巻芯の外周に装着され、前記帯状体の巻回後には当該巻回された帯状体とともに、前記巻芯から取り外される筒状の巻芯コアとを備え、
前記巻芯は、
軸線方向に延びる基部と、
当該基部から前記軸線方向他端側に向けて延びるとともに、前記基部よりも細化され、かつ、断面非円形状をなし、前記巻芯コアが装着される装着部と、
前記基部及び前記装着部間に位置し、前記軸線方向他端側に向けて先細り形状をなすテーパ段差部とを有し、
前記巻芯受けは、
前記軸線を回転軸として回転可能に支持される支持部と、
前記支持部から前記軸線方向一端側に向けて突出する受けピンと、
前記受けピンの外周側に設けられる受け部とを有し、
前記巻芯コアは、
前記装着部の断面形状に対応する断面形状をなす挿通孔を有し、
前記受け部の一端側端面は、前記巻芯コアの両端面のうち、他端側に位置する当接面が当接可能な被当接面となっており、
前記装着部の他端側端部は、先割れ部を具備するとともに、その内周側に前記受けピンを嵌合可能な嵌合凹部を有し、さらに、
前記巻芯及び前記巻芯受けは、軸線方向に沿って接離可能に構成されていることを特徴とする巻取装置。
【請求項3】
前記巻芯に対する前記巻芯受けの相対回動を規制する相対回動規制手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の巻取装置。
【請求項4】
前記受けピンが前記支持部に対して出没可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の巻取装置。
【請求項5】
前記嵌合凹部の内周面又は前記受けピンの外周面を、軸線方向一端側に向けて先細るテーパ形状に構成するとともに、
前記受けピンの前記支持部に対する出没量を調節可能としたことを特徴とする請求項4に記載の巻取装置。
【請求項6】
前記軸線を含む断面における前記装着部の外形線の延長線と前記テーパ段差部の外形線とのなす角度が20度以上70度以下とされていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の巻取装置。
【請求項7】
上記請求項1乃至6のいずれか1項に記載の巻取装置を用いて、前記巻芯コアに前記帯状体が巻回してなる巻回体を得るための巻回体の製造方法であって、
前記装着部に前記巻芯コアを装着する工程と、
前記巻芯及び前記巻芯受けを接近させることで、前記嵌合凹部に前記受けピンを嵌合するとともに、前記巻芯コアの一端側端部を前記テーパ段差部に当接させる一方で、前記巻芯コアの前記当接面を前記受け部の前記被当接面に当接させる工程と、
前記巻芯コアに前記帯状体を巻回する工程と
前記受けピンを前記嵌合凹部から取り外した後、前記帯状体の巻回された前記巻芯コアを前記装着部から取り外す工程とを含むことを特徴とする巻回体の製造方法。
【請求項8】
上記請求項1乃至6のいずれか1項に記載の巻取装置を複数用いた巻取システムであって、
前記各巻取装置は、前記帯状体を巻回する巻取ポジションと、前記巻芯コアを着脱する着脱ポジションとの間を移動可能に構成されていることを特徴とする巻取システム。
【請求項9】
前記帯状体の巻回に際しては、前記巻芯及び前記巻芯受けのうち、少なくとも一方により、前記巻芯コアを保持するべく、前記軸線方向への押圧力が付与されるよう構成され、
前記各巻取装置の移動に際しては、前記押圧力が解除されるよう構成したことを特徴とする請求項8に記載の巻取システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−166929(P2009−166929A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−5143(P2008−5143)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】