説明

巻物ユニット

【課題】巻物の輸送に際しても、受け具の損傷の生じない巻物ユニットを提供する。
【解決手段】
円筒状の中芯に帯状または線状の長尺材料を巻回した巻物と、前記巻物を前記中芯の両端で受け止めて前記巻物を宙吊り状態に架設支持する略中央に支持孔を備えた一対の巻物の受け具と、前記中芯の両端および前記支持孔に内嵌し、前記中芯と前記受け具とを連結させて前記巻物を支持する円筒部と鍔部とからなる一対の連結具と、前記巻物、一対の前記受け具および一対の前記連結具にわたって巻き付けられて、これらを一体的に結束する結束バンドと、を少なくとも備えた巻物ユニットであって、前記中芯の内径をd、前記支持孔の内径をd、前記連結具の円筒部の鍔部側端の外径をd、他側端の外径をdとした時に、これらの寸法がd≧d≧d>dの関係を満たすことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートやフィルム等の帯状材料や、糸やロープ等の線状材料のような長尺材料をロ
ール状やコイル状、ボビン状等に巻回してなる巻物の輸送および保管に好適な巻物ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
シートやフィルム等の帯状材料や、糸やロープ等の線状材料のような長尺材料は、その輸送時や保管時等において嵩張らないように、これを紙製や金属製や合成樹脂製の中芯にロール状やコイル状、ボビン状等に巻装した巻物として取り扱われる。
【0003】
前記巻物の輸送方法および保管として、巻物を横向きにして輸送する方法が広く採用されている。具体的には、巻物が特に重量物である場合巻物を痛めることがないように、巻物の製品部分が接地しないように、中芯の両端を受け止めて巻物を宙吊り状態に支持して輸送する方法が一般的に採用されている。
【0004】
図3乃至図5に輸送の際の、一般的な巻物ユニットの一例を示す。円筒状の中芯2にシート材を巻回した巻物1は、巻物1の両側面に側面形状よりも寸法の大きな弾性材料からなるクッション材16が当接され、一辺の長さが巻物の巻き径よりも大きな中央部に支持孔13を備えた略正方形の一対の受け具12と、円筒部14aと鍔部14bとからなる一対の連結具14とにより、中芯2の両端部が支持孔13に連結具14を介して固定され、宙吊り状態に架設支持される。さらに、結束バンド15が受け具12および連結具14にわたって巻き付けられて、これらの部材と巻物1とを一体的に結束し巻物ユニット10となる。受け具12の一辺の長さは、巻物1の巻き径より大きいので、巻物の製品部3は、接地することはなく、また、上に別の巻物ユニットを積み重ねた場合でも、別の巻物の製品部と接触しないようになっている。
【0005】
中芯2の材料としては、巻物の大きさ、重さに応じて、紙、合成樹脂、金属、ゴムなどが使われる。受け具12の材料としては、やはり巻物の大きさ、重さに応じて、ダンボール加工品、合成樹脂成形品、合成樹脂プレート切削品、木質系成形品、木質系切削加工品、金属加工品などが使われるが、強度、重量、コストの点で木質系切削加工品が使われることが多い。木質系切削加工品とは、木材、合板、パーティクルボード,OSB(オリエンテッドストランドボード)、ファイバーボードなどの木質系素材からなるものである。連結具14の材料としては、合成樹脂成形品が主に使用される。結束バンド15の材料としては、合成樹脂繊維、金属などが用いられる。このような巻物ユニットの例が特許文献1に示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−206072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の巻物ユニットに使用される連結具は円筒部の両端の外径が略同じのものが使用されており、支持孔、中芯の内周部への抜き差しが容易に行えるように、その外径寸法が、受け具の支持孔の内径寸法、中芯の内径寸法よりも小さく設計されており、前述したように結束バンドで一体的に結束してあっても、輸送時の振動で、連結具と受け具との間で揺れが生じ、例えば木質系受け具の損傷により製品が接地し損傷する、または損傷部から発生した木くず等の製品への付着などの問題が生じる場合があった。従来技術では、このような課題に十分対処することができず、本発明は、巻物の輸送に際しても、製品や受け具の損傷の生じない巻物ユニットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、巻物ユニットの各構成部材について鋭意検討した結果、前記受け具、連結具、中芯の各部材間での輸送時の揺れを防止に着目し、構成部材、巻物ユニットを下記の構成とすることにより、前述の目的を達成できることを見いだし本発明をなすにいたった。
【0009】
すなわち、円筒状の中芯に帯状または線状の長尺材料を巻回した巻物と、
前記巻物を前記中芯の両端で受け止めて前記巻物を宙吊り状態に架設支持する略中央に支持孔を備えた一対の巻物の受け具と、
前記中芯の両端および前記支持孔に内嵌し、前記中芯と前記受け具とを連結させて前記巻物を支持する円筒部と鍔部とからなる一対の連結具と、前記巻物、一対の前記受け具および一対の前記連結具にわたって巻き付けられて、これらを一体的に結束する結束バンドと、を少なくとも備えた巻物ユニットであって、前記連結具の円筒部は、鍔部側端から他側端にかけてテーパ形状をなしており、前記中芯の内径をd、前記支持孔の内径をd、前記連結具の円筒部の鍔部側端の外径をd、他側端の外径をdとした時に、これらの寸法がd≧d≧d>dの関係を満たすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
受け具の支持孔に挿入され、中芯を支持する円筒部と鍔部とからなる連結具において、前記連結具の円筒部は、鍔部側端から他側端にかけてテーパ形状をなしており、中芯の内径をd、支持孔の内径をd、連結具の円筒部の鍔部側端の外径をd、他側端の外径をdとした時に、これらの寸法がd≧d≧d>dの関係を満たしているので、連結具の円筒部は支持孔、中芯に内嵌でき、かつ受け具は中芯の端部と連結具の円筒部のテーパとで挟まれて固定されるので、輸送時に受け具の支持孔での連結具の揺れがないため、受け具の損傷が生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
前述したように、シートやフィルム等の帯状材料や、糸やロープ等の線状材料のような長尺材料は、その輸送時や保管時等において嵩張らないように巻物として扱われ、受け具で中芯の両端を宙吊り状態に架設支持した巻物ユニットとして取り扱われる。本発明の巻物ユニットも上記の構成からなるが、各部材の形状、寸法関係に特徴がある。
【0012】
以下、図面に基づいて本発明の巻物ユニットを説明する。
【0013】
図1に本発明の一例の巻物ユニットの要部断面を示す。本例の巻物ユニット10は、少なくとも、円筒状の中芯2に製品3である長尺材料を巻回した巻物1と、巻物1の中芯2の両端を受けて支持する一対の板状の受け具12と、中芯2の内周および受け具12の略中央部に設けられた支持孔13に差し込まれる円筒部14aと鍔部14bとからなる一対の巻物支持用連結具14と、巻物1およびこれらの部材を一体的に結束する結束する結束バンド15と、から構成される。なお、巻物1の両側面に側面形状よりも寸法の大きな弾性材料からなるクッション材16を製品の側面3と受け具12の間に挟み込むと製品の巻きズレを防いだり側面3の変形が防げるのでより好ましい。
【0014】
中芯2は、円筒形状からなり、紙、金属、合成樹脂、ゴムなどの従来公知の材料で構成される。
【0015】
長尺材料としては、シートやフィルム等の帯状材料や、糸やロープ等の線状材料などが挙げられる。
【0016】
受け具12は、略正方形の板状で、略中央に支持孔13を備える。受け具12は、巻物1の大きさ、重さに応じて、ダンボール加工品、合成樹脂成形品、木質系成形品、木質系切削加工品、金属加工品、合成樹脂プレート切削品などが使われるが、強度、重量、コストの点で木質系切削加工品が使われることが多い。木質系切削加工品とは、木材、合板、パーティクルボード、OSB(オリエンテッドストランドボード)、ファイバーボードなどの木質系素材からなるものである。
【0017】
連結具14の材料としては、合成樹脂成形品が好ましく使用され、円筒部14aと鍔部14bとからなる。円筒部14aの鍔部14b側端の外径dは円筒部14aの他側端の外径dより大きくなっており、すなわち鍔部側から他側にかけて径が小さくなるテーパ形状をなしている。本発明の巻物ユニット10は、この連結具14の円筒部14aの寸法と中芯2の内径d、受け具12の略中央部に設けられた支持孔13の内径dとの大小関係に特徴がある。すなわち、前記各部の寸法が、d≧d≧d>dの関係を満たすようになっている。円筒部14aの鍔部14bと反対側の他側端の外径dは、中芯2の内径dより小さいために連結具14の円筒部14aは中芯2の内周部にスムーズに差し込む(内嵌する)ことができる。また、円筒部14aの鍔部14b側端の外径dは、受け具12の略中央部に設けられた支持孔13の内径dと等しいか大きいために、支持孔13に連結具14を嵌め込んだ時に鍔部14bは受け具12の一方の平面部12aとちょうど接触するか接触するに至らない位置で固定される。さらに、中芯2の内径dは支持孔13の内径dと等しいか大きいために、結束バンド15でこれらの部材を一体に結束した時には、受け具12の他方の平面部12bは中芯2の端部に押し付けられる。かくして、受け具12は両面から連結具14と中芯2とにより押圧固定されるので、輸送時の巻物ユニット10に揺れがあっても、受け具12と連結具14との間に揺れが生じないので受け具12の支持孔13の損傷が生じない。
【0018】
結束バンド15の材料としては、合成樹脂繊維、金属など強度が大きく可撓性のある従来公知の材料が用いられる。結束バンド15の掛け方としては、2本のバンドを図4で示すように掛けてもよいし、4本のバンドを上下左右に掛けてもよい(不図示)。また、図1の製品の側面3aと受け具12の平面部12bとの間に弾性材料からなるクッション材16を挟み込みシートの巻きズレを防止する構成としてもよい。さらに、図6に示したような、結束バンド15が納まる溝を備えた連結具14を使用すると。輸送中の結束バンドのズレを防ぐことができるので、より好ましい。
【0019】
図2に従来例の一例の巻物ユニットを示す。従来例では、連結具14の円筒部14aがテーパ状になっておらず、d=dとなっている。また、d>dとなっているため、連結具14と受け具12が、しっかりと固定できず、輸送中にがたついて、支持孔13が破損して製品部が接地して損傷する危険性がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一例の巻物ユニットの要部横断面図である。
【図2】従来の一例の巻物ユニットの要部横断面図である。
【図3】従来の一例の巻物ユニットの構成を示す斜視図である。
【図4】従来の一例の巻物ユニットの外観を示す斜視図である。
【図5】従来の一例の巻物ユニットの構成を示す横断面図である。
【図6】結束バンドのズレのない一例の連結具を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
1 巻物
2 中芯
3 製品(シートなど)
3a 製品の側面
10 巻物ユニット
12 受け具
12a 受け具の一方の平面部
12b 受け具の他方の平面部
13 支持孔
14 連結具
14a 円筒部
14b 鍔部
15 結束バンド
16 クッション材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の中芯に帯状または線状の長尺材料を巻回した巻物と、
前記巻物を前記中芯の両端で受け止めて前記巻物を宙吊り状態に架設支持する略中央に支持孔を備えた一対の巻物の受け具と、
前記中芯の両端および前記支持孔に内嵌し、前記中芯と前記受け具とを連結させて前記巻物を支持する円筒部と鍔部とからなる一対の連結具と、
前記巻物、一対の前記受け具および一対の前記連結具にわたって巻き付けられて、これらを一体的に結束する結束バンドと、を少なくとも備えた巻物ユニットであって、前記連結具の円筒部は、鍔部側端から他側端にかけてテーパ形状をなしており、前記中芯の内径をd、前記支持孔の内径をd、前記連結具の円筒部の鍔部側端の外径をd、他側端の外径をdとした時に、これらの寸法がd≧d≧d>dの関係を満たすことを特徴とする巻物ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−84002(P2009−84002A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257066(P2007−257066)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】