説明

布団圧縮袋のシール袋付き吸気弁

【課題】 布団を収容して内部のエアーを抜くことで圧縮することが出来る布団圧縮袋の吸気弁の提供。
【解決手段】 吸気弁2は上シート3に固定される弁本体17と該弁本体17を被覆する弁蓋18、及び弁本体17の中央凹部19にセットされてエアー吸い込み穴21を開閉することが出来る弁22から成り、上記弁蓋18には掃除機のホース先端部が挿入されるシール袋10を取付けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は布団を収容した状態で圧縮袋内部のエアーを吸引して圧縮するための吸気弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
布団はその体積が大きく、都会のマンションなどでは押入れなどに収納する際に問題となる。そこで、近年ではビニール袋に布団を収容して空気を吸引するならば、布団は圧縮されてその体積は小さくなり、押入れへの収納も可能と成る。特に、冬用の布団は多くの綿を入れた厚いもので、夏の間の収納には該圧縮袋は便利である。
【0003】
圧縮袋はその一辺が密閉されると共に開口できる構造とし、中央部には吸込み口が設けられている。該吸込み口に掃除機のホースを当てて吸引するならば、袋内の空気は吸われ、吸引が終わったところで吸込み口が自動的に閉じるように機能する吸気弁が取付けられている。すなわち、吸気弁に内蔵している弁は袋内の負圧によって閉じて外からのエアーが侵入しない構造としている。しかし、現実には僅かなエアー漏れが発生し、長期間経過すると圧縮された布団が膨らんでしまう。
【0004】
エヤー漏れ防止に関する吸気弁に関する技術は従来から色々知られている。例えば、特開2004−338784号に係る「収納袋の排気弁」は、収納袋内と連通する排気孔を設けている弁本体に吸気用孔を設けている蓋体を装着し、この蓋体の上面をドーム形状に形成して該蓋体上に当てがう吸気ノズルを弁本体に対して垂直状態のみならず傾斜させた状態にしてもその吸気口を吸気用孔に連通させた状態にして脱気作用を行わせることが出来、さらに、蓋体の下面と上記排気孔を開閉する弁板の上面とに互いに係脱するカム突起とストッパ片とからなるロック機構を設けて収納袋内の脱気後に弁板を排気孔に圧着させた状態に保持する。
【0005】
すなわち、収納袋内が脱気されて布団などの収納物が圧縮状態に成ると、蓋体に対する電気掃除機の吸気ノズルの押付けが解かれる。そうすると、収納袋内が真空状態であるから、この収納袋側に発生する吸気力によって弁板が下動して排気口を自動的に閉止し、収納袋内に外気が入ることを阻止する。そしてその後、蓋体を弁板回りに一方向に回動させると、蓋体の下面側に設けているロック機構が作動して弁板が直接下方に押圧され、排気孔を密閉した状態に保持することが出来る。
【0006】
又、特開2005−35562号に係る「弁機構」は、吸引装置のノズルの径を意識することなく使用することが出来、外面で積層されたり密閉袋を損傷することがなく、又、積層されたり隣接させた荷姿が平坦で安定した状態とするものである。そこで、孔が形成された密閉袋の外面側に取付けられ、その中央部に通気口が形成された吸引接続部を平坦面とし、密閉袋の内面側に取付けられる弁基材を断面窪状としている。従って、吸引接続部の通気口を覆うようにノズルを当接させるだけでよいからノズル径を意識することなく使用でき、また、密閉袋の外面に突出する部分がなくなるので外面で積層させたり隣接する他の密閉袋を損傷することがない。
【0007】
このように吸気弁自体の構造に関しては色々あって、エアー漏れを防止した工夫がなされている。しかし、近年の掃除機のホースは先端口が平坦でなく、その為に吸気弁に当てがい難い形状と成っている場合が多く、その為に、圧縮袋内部の空気を吸引して布団の圧縮が出来ない。すなわち、吸気弁の表面に隙間なくホース先端を当てがうことが出来ない。
【特許文献1】特開2004−338784号に係る「収納袋の排気弁」
【特許文献2】特開2005−35562号に係る「弁機構」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、布団圧縮袋に取付けられる吸気弁(排気弁)に関する従来技術は色々知られている。ところが、これら吸気弁を備えた圧縮袋を掃除機のホースにて吸気することがし難く、隙間からエアー漏れが発生する。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、掃除機のホースが如何様であってもエアーの吸引が出来る圧縮袋のシール袋付き吸気弁を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の吸気弁が取付けられる布団圧縮袋は、布団を収容するビニール袋で構成されたもので、一辺は開口可能な形態と成っており、閉じた状態ではエアーが漏れないようにシールされる。そして、上記吸気弁は袋のほぼ中央部に取付けられ、該吸気弁にホースの先端を当てがって掃除機で吸込むことが出来る。そして、本発明では吸気弁には薄くて柔軟性のあるシール袋が取付けられている。
【0010】
ところで、本発明の吸気弁は弁本体と弁蓋、及び弁から成り、弁本体は圧縮袋の上シートに固着され、内部に弁を収容すると共に弁蓋が取付けられる。弁本体に収容される弁はゴムなどで柔軟性のある材質からなり、弁本体の中央に設けた吸込み穴に嵌っている。そして、弁蓋にも穴が形成されて、掃除機のホースを当てがって吸引するならば、弁は浮上して圧縮袋内のエアーを吸い込むことが出来、エアーの吸い込みが停止するならば、弁は圧縮袋内部の負圧によって吸い込み穴に密着して閉じ、エアーの漏れが防止される。
【0011】
本発明に係る吸気弁は弁本体と弁蓋、及び弁にて構成しているが、これら各部品の具体的な形状は限定しないことにする。そして、該吸気弁に取付けられるシール袋は柔軟性のある概略筒状であるが、その材質は特に限定するものではない。すなわち、掃除機のホース先端部をシール袋に挿入すると共にシール袋をホースに巻き付けて吸引することが出来る。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る吸気弁はシール袋を取付けている為に、掃除機のホース先端が吸気弁の弁蓋に隙間なく密着しなくてもエアーを吸い込むことが出来る。すなわち、近年の掃除機のホース先端はその形状が色々あって、吸気弁に隙間なく当てがってエアーを吸引し難い場合も多いが、本発明の吸気弁にはシール袋が備わっていることで、該シール袋にホース先端部を差し込むだけでよい。
【0013】
シール袋にホース先端部を差し込むと共にシール袋を巻き付けた状態で吸引するならば、該シール袋はエアーの吸引に伴ってホースに隙間なく密着する。従って、外からエアーが吸い込まれることはなく、圧縮袋内部のエアーを吸気弁を通して吸い込むことが出来る。すなわち、ホース先端が吸気弁の弁蓋に隙間なく密着する必要はなく、ホース先端形状が如何様であってもエアーの吸い込みが可能と成る。
【実施例】
【0014】
図1は布団圧縮袋の外観を示す実施例である。同図の1はビニール袋、2は吸気弁を表している。ビニール袋1は長方形の上シート3と下シート4から成り、その3辺5a,5b,5cは上下シート3,4が密着され、他の辺6は布団を出し入れする為に開口可能と成っている。そして、上記吸気弁2は上シート3のほぼ中央部に取付けられ、該吸気弁2を通してビニール袋内のエアーを吸込むことが出来る。
【0015】
辺6は開閉可能なようにシール構造を有しており、図1のA−A断面拡大図を図2に示している。上シート3には辺6に沿って2本の凹シール7a,7bが一定間隔をおいて沿設され、又下シート4には辺6に沿って2本の凸シール8a,8bが一定間隔をおいて沿設されている。凸シール8a,8bは凹シール7a,7bの凹溝9a,9bに嵌合して互いに噛合い、辺6側に設けた開口を閉鎖することが出来、エアーの漏れを防止する。
【0016】
上記布団圧縮袋としての基本形態は従来のものと共通しているが、本発明の特徴は吸気弁2にある。吸気弁2の基本的な機能は従来と同じであって、掃除機のホースを当てがって吸引するならば、圧縮袋内のエアーは吸い込まれ、吸引が停止すると同時に吸気弁2は閉じるように動作するが、本発明の吸気弁にはシール袋が取付けられている。
【0017】
図3は本発明に係る吸気弁2を示す実施例である。同図の2は吸気弁、10はシール袋を表している。該シール袋10は上辺11が開口した袋であって、例えばビニールシート等の薄くて柔軟性のある材質で構成している。同図に示すシール袋10は図4に示しているように、概略逆台形の2枚のシート(上シート14と下シート15)を重ね合わせてその底辺12と両側辺13,13を閉じ、上辺11は開口可能としたシール袋10を構成している。
【0018】
そして、下シート15には穴16が設けられ、この穴16に位置合わせして吸気弁2に取付けられ、前記図3のようにシール袋10を取付けた吸気弁2と成る。具体的には弁蓋18の内面に接着して取付けられ、該弁蓋18を弁本体17に組み合わせることで該弁本体17とで挟み込むことが出来る。勿論、該シール袋10の具体的な取付け構造を限定するものではなく、しかもシール袋10の形状も同図に示す場合に限定するものではない。
【0019】
ところで、吸気弁10の構造も色々あり、本発明ではその具体的な構造は限定せず、吸気弁2にシール袋10が取付けられている点に特徴を有すものであり、以下に吸気弁2の1具体例を説明する。
図5はシール袋付き吸気弁2の断面図を表し、該吸気弁2は概略円盤形を成し、弁本体17と弁蓋18の組み合わせで構成され、弁蓋18は弁本体17の中央に形成した凹部19に嵌着している。そして、凹部19の中央底20にはエアーの吸い込み穴21が形成され、このエアー吸い込み穴21にお椀形弁22が嵌っている。
【0020】
そして、本発明の吸気弁2の弁本体17の下方には複数の脚23,23・・が延びている。各脚23,23・・間に空間24,24・・が形成され、その為にエアーの流れはスムーズと成る。すなわち、掃除機にて布団圧縮袋内のエアーが吸い取られることで布団生地は弁本体17の底20に密着するが、各脚23,23・・間の空間24,24・・をエアーが流れてエアー吸い込み穴21から吸込まれ、エアーの吸込みが阻害されることがないようにしている。
【0021】
凹部19に嵌着した弁蓋18には穴25,25・・が設けられ、エアーはこの穴25,25・・を通して吸込まれる。そして、弁蓋18には弁押え26が中央下方へ延び、該弁押え26の先端は概略お椀形弁22の凹部に嵌って該お椀形弁が大きく浮上しないように押圧することが出来る。
【0022】
上記弁22は円盤状のツバ27とツバ27の中央に設けている凸部28から成っている。弁22の材質は柔軟な樹脂材又はゴム材であり、適当に変形して上記エアー吸い込み穴21の傾斜内周面29になじんで隙間なく密着することが出来る。凸部28の外側面は滑らかに湾曲した凸状曲面にて形成され、エアー吸い込み穴21の傾斜内周面29には適度に変形して密着する。
【0023】
円盤状ツバ27には複数の穴が貫通して設けられ、エアー吸い込み穴21に生じた隙間を流れるエアーはこれら穴を通過して掃除機のホースに吸込まれる。勿論、穴だけでなく、エアーはエアー吸い込み穴21の隙間からツバ27の外周へ流れてホースに吸込まれる場合もある。
【0024】
ところで、図5において14は上シート、15は下シートを表し、シート袋10は弁蓋18に取付けられている。弁蓋18には円筒状のリブ30が設けられ、このリブ30が下シート15に形成している穴16に嵌り、弁蓋18の内面に接着される。従って、弁蓋18のリブ30及び弁押え26がシール袋10から突出し、上シート14は弁蓋18の表面を覆っている。すなわち、弁蓋18はシート袋10に収容されて、リブ30と弁押え26が穴16から突出している状態と成っている。
【0025】
掃除機によってエアーを吸い込む場合、お椀形弁22の上側の気圧が低く成って弁22は浮上し、その為にエアー吸い込み穴21が一部開口する。すなわち、エアーを吸引することで凸部28が浮上することで、外側面と傾斜内周面29との間に隙間が形成され、この隙間からエアーが流れて布団圧縮袋内のエアーが抜取られる。
【0026】
そして、掃除機が停止してエアーの抜取りが停止すると同時に、弁22の下側の空気圧が低くなると共に上側の空気圧が高くなって、すなわちビニール袋1の内圧がマイナスと成って弁22の外側面はエアー吸い込み穴21の傾斜内周面29に密着する。そこで、エアー漏れを生じることなく、ビニール袋1に収容された布団が膨らむことはない。
【0027】
弁本体17はビニール袋1の上シート3に取着され、この弁本体17にシール袋10を備えた弁蓋18が取付けられる。掃除機のホースにてエアーを吸い込む場合、従来では弁蓋18の表面にホース先端を隙間なく当てがって、穴25,25・・から吸い込んでいたが、ホース先端を表面に当てがっても隙間が発生する場合にはエアーを吸い込むことが出来ない。そこで、本発明ではシート袋10にホース先端部を挿入し、上シート14及び下シート15をホース外側面に密着させることで、エアー漏れを生じることなく吸い込むことが出来る。
【0028】
図6は掃除機のホース31にて、エアーを吸い込んでいる場合を示している。ホース31は弁蓋18に当てがうことなく、シール袋10に挿入し、シール袋10の上シート14及び下シート15をホース31に隙間を残さないように巻き付ける。この状態で掃除機を起動するならば、弁蓋18に形成した穴25,25・・からエアーは吸い込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】布団圧縮袋の外観図。
【図2】図1のA−A断面拡大図。
【図3】本発明に係るシール袋を取付けた吸気弁の実施例。
【図4】シール袋の具体例であって、(a)は平面図、(b)は底面図。
【図5】シール袋を取付けた吸気弁の断面図。
【図6】シール袋に掃除機のホースを挿入してエアーを吸い込む場合。
【符号の説明】
【0030】
1 ビニール袋
2 吸気弁
3 上シート
4 下シート
5 辺
6 辺
7 凹シール
8 凸シール
9 凹溝
10 シール袋
11 上辺
12 底辺
13 側辺
14 上シート
15 下シート
16 穴
17 弁本体
18 弁蓋
19 凹部
20 底
21 吸い込み穴
22 弁
23 脚
24 空間
25 穴
26 弁押え
27 ツバ
28 凸部
29 傾斜内周面
30 リブ
31 ホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
布団を収容して内部のエアーを抜くことで圧縮することが出来る布団圧縮袋の吸気弁において、該吸気弁は上シートに固定される弁本体と該弁本体を被覆する弁蓋、及び弁本体の中央凹部にセットされてエアー吸い込み穴を開閉することが出来る弁から成り、上記弁蓋には掃除機のホース先端部が挿入されるシール袋を取付けたことを特徴とする布団圧縮袋のシール袋付き吸気弁。
【請求項2】
上記シール袋は上シートと下シートを重ね合わせると共に、周囲を閉じて一部をホースが挿入されるように開口した請求項1記載の布団圧縮袋のシール袋付き吸気弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−83505(P2010−83505A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252968(P2008−252968)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(500424773)株式会社ウォム (4)
【Fターム(参考)】