説明

布地着色が低減された複数回使用の布地柔軟化組成物

乾燥機の内側に動作可能に接続できる、複数回使用の布地コンディショニング組成物を含む物品は、布地を着色せずに布地を柔軟化するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数回使用の、乾燥機に添加される、布地柔軟化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥機に添加される布地柔軟化製品は、布地コンディショニング効果を洗濯物に与えるための消費者に便利な方法を提供する。
【0003】
一般に、乾燥機に添加される布地柔軟化製品には主に2つの種類、すなわち、1回使用製品と複数回使用製品とがある。1回使用製品は、最も一般的には布地柔軟化組成物でコーティングされたシート形態であり、乾燥サイクル開始時に、濡れた洗濯物を収容した自動衣類乾燥機の中に1枚のシートを加える必要がある。これらの種類の製品の例は、US3,442,692及びUS3,686,025に開示されている。
【0004】
複数回使用の布地柔軟化製品は、連続する洗濯物に布地コンディショニング構成成分を放出するため、乾燥機の内部に置かれる。複数回使用製品の各々は多数の乾燥サイクルに耐え、それゆえ1回使用製品よりも優れた利便性を消費者に提供する。複数回使用製品の例としては、US3,676,199及びUS2003/0192197A1に記載されているものが挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような複数回使用製品、特に20サイクル、又は30サイクル、又はそれを超えるサイクル数にわたって使用される製品が直面する問題は、濃色の重い洗濯物での布地着色の可能性である。これらの製品への香料の添加も、問題を悪化させる場合がある。理論に束縛されるものではないが、 布地着色は通常、棒状ワックス(the bar)が複数の乾燥機サイクルを通じて「硬化」する後期よりも製品が濃厚でない、製品のライフサイクルの初期(例えば、最初のサイクル)で生じる。布地着色を(特に最初のサイクルで)最小限に抑え、さらには有効な布地柔軟化及び/又はフレッシュニング効果を製品の寿命(例えば、40以上のサイクル数)を通して提供する、複数回使用の布地柔軟化製品を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記及びその他の問題を、本発明の1つの態様では、複数回使用、乾燥機に添加される、布地柔軟化組成物を含む物品を提供することによって解決しようと試みており、該組成物は布地柔軟化物質を含み、該布地柔軟化物質は、布地柔軟化活性物質、ワックス、及びワックス添加物を含み、ワックス添加物はポリエチレン化合物、ポリプロピレン化合物、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0007】
本発明の別の態様は、自動洗濯乾燥機内で布地を本発明の物品と接触させる工程を含む、布地柔軟化方法を提供する。
【0008】
本発明の別の態様は、本発明の物品を含むキットを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
定義
「布地」は、洗濯されるいかなる織物又は布地材料をも指し、例えば衣類を指す。
【0010】
「布地柔軟化活性物質」は、本明細書において、布地柔軟化に適したいかなる化合物を含む、最も広い意味で用いられる。1つの実施形態では、該布地柔軟化活性物質は、第四級アンモニウム化合物である。1つの実施形態では、第四級アンモニウム化合物は、アルキル化第四級アンモニウム化合物、環又は環状第四級アンモニウム化合物、芳香族第四級アンモニウム化合物、ジ第四級アンモニウム化合物、アルコキシル化第四級アンモニウム化合物、アミドアミン第四級アンモニウム化合物、エステル第四級アンモニウム化合物、又はこれらの混合物の少なくとも1つから選択される。更に別の実施形態では、カチオン性布地柔軟化活性物質はUS2003/0195130号、段落14‐17から選択されるものである。このような布地柔軟化活性物質の例として、デグサ社(Degussa Inc)からのバリソフト(Varisoft)が挙げられる。もう1つの例として、メチル‐ビス(水素添加タローアミドエチル)2‐ヒドロキシエチル‐アンモニウム硫酸メチルが挙げられる。第四級アンモニウム化合物は、布地コンディショニング化合物の約5重量%〜約95重量%、あるいは約35重量%〜約60重量%、あるいは約45重量%〜約60重量%、あるいは約46重量%〜約53重量%で含まれる。1つの実施形態では、布地柔軟化物質は水を含まないか、本質的に水を含まない。
【0011】
「複数回使用」は、布地コンディショニング組成物を交換する必要が生じるまでに、布地柔軟化物品が、自動洗濯乾燥機での洗濯物の乾燥で少なくとも2サイクル、好ましくは少なくとも約10サイクル、より好ましくは少なくとも約20サイクル、より一層好ましくは少なくとも約30サイクル、さらにより好ましくは少なくとも約40サイクル、あるいは少なくとも約50サイクル、あるいは少なくとも約60サイクルの間、所望の量の布地柔軟化活性物質を布地に放出するために使用されてもよいことを意味する。1つの実施形態では、用語「複数回使用」は、200サイクルを超えず、あるいは100サイクルを超えない。
【0012】
「乾燥機の内表面に動作可能に接続できる」は、本明細書において、本発明の物品を自動洗濯乾燥機の内表面に取付けるいかなる手段も包含する最も広い意味で用いられる。乾燥機の内表面は、乾燥機の胴、邪魔板又は扉の内側を包含してもよい。取付け手段は、組成物を放出可能に固定するために使用できる接着剤及び乾燥機内表面への組成物担体を包含してもよい。別の方法として、取付け手段は、米国特許第2003/0192197A号(2003年10月16日公開)に記載されているもののような、結合部材も包含してもよい。
【0013】
「香料」は、いかなる芳香材料も指すために使用される。アルデヒド類、ケトン類、及びエステル類のような物質を包含する、多種多様な化学品が香料用途として知られている。より一般的には、様々な化学構成成分の複合混合物を含む、天然起源の植物油、動物油及び滲出物も香料としての用途が知られている。本明細書の香料は、その組成において比較的単純であることもできるし、又は天然及び合成化学構成成分の極めて洗練された複合混合物を含むこともでき、すべていずれかの所望の臭いを提供するように選択される。種々の香料組成物の非限定的な例は、US2003/0104969A1号、US5,714,137号、US6,048,830号に与えられている。本発明の1つの実施形態では、組成物は、布地柔軟化組成物の少なくとも2重量%、あるいは、少なくとも約2.5重量%、あるいは少なくとも約3重量%、あるいは少なくとも約4重量%の香料を含む。理論に束縛されるものではないが、本発明のワックス添加物の添加は、布地柔軟化組成物の自動洗濯乾燥機の第1のサイクル中に布地柔軟化組成物が布地を染めることなく、布地柔軟化組成物に、より高い濃度の香料を与える。
【0014】
「ワックス」は、本明細書において、自動洗濯乾燥機内での使用に適しており、約90℃を超え、あるいは約95℃を超え、あるいは約100℃を超え、あるいは約110℃を超え、又は約120℃を超える融点を有するいかなるワックスも包含する最も広い意味で使用される。ワックスの融解温度は、200℃未満、約180℃未満、又は約170℃未満であることができる。ワックスは、布地柔軟化組成物の約5重量%〜約55重量%、あるいは約10重量%〜約50重量%、あるいは約15重量%〜約45重量%、あるいは約43重量%〜約51重量%、あるいは約33重量%〜約41重量%、あるいは約30重量%〜約40重量%で含まれてもよい。本発明の目的のためのワックスの適した非限定例は、以下のうち少なくとも1つを含む。エチレンビスアミド類、一級アルキルアミド類、アルカノールアミド類、ポリアミド類、少なくとも12個の炭素原子を含有するアルコール類、少なくとも12個の炭素原子のアルキル鎖を含有するアルコキシル化アルコール類、少なくとも12個の炭素原子を含有するカルボン酸類、及びこれらの誘導体。1つの実施形態では、前記ワックスは、エチレンビステルアミド、エチレンビスオレアミド、エチレンビスベヘンアミド、及びこれらの混合物から選択される。別の実施形態では、ワックスはエチレンビスステアラミドを含む。さらに別の実施形態では、ワックスはUS2003−0195130A1号の段落18〜23から選択される。適したワックスは、アクラワックス(ACRAWAX)Cの名称のもののような、ロンザ(Lonza)から市販されているものであってもよい。1つの実施形態では、布地柔軟化組成物は22℃で固体である。
【0015】
ワックス添加物
本発明の1つの様態は、布地柔軟化組成物を含む物品を提供し、該布地柔軟化組成物はとりわけ、ワックス添加物を含む。理論に束縛されるものではないが、本発明のワックス添加物の添加は、複数回使用、乾燥機に添加される、物品の使用による布地の染色を軽減、好ましくは防止でき、更に、製品の寿命の期間中にわたって、商業的に可能な布地柔軟化を提供する。本発明は、ひとつには、ポリエチレン化合物及び/又はポリプロピレン化合物を含むワックス添加物の使用がこれらの技術的な難関を克服するという、驚くべき発見に基づく。
【0016】
本発明で、用語「ポリエチレン化合物」は、ポリエチレン部分を含むいかなる化合物をも含む、と定義される。本発明で、用語「ポリプロピレン化合物」は、ポリプロピレン部分を含むいかなる化合物をも含む、と定義される。1つの実施形態では、本発明の布地柔軟化組成物は、少なくとも組成物の10重量%のワックス添加物、あるいは布地柔軟化組成物の約15重量%〜約45重量%、あるいは約20重量%〜約40重量%、あるいは約25重量%〜約40重量%、あるいは約10重量%〜約45重量%のワックス添加物を含む。本発明のワックス添加物の非限定例には、ポリエチレン酸化ホモポリマー、ポリエチレン高密度酸化ホモポリマー、プロピレン無水マレイン酸コポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレン無水マレイン酸ポリマー、それらの誘導体、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。適したワックス添加物の例としては、ハニーウエル(Noneywell)からのAC316及びAC950P、並びにイーストマンケミカルズ(Eastman Chemicals)からのエポレン(EPOLENE)N−21及びエポレン(EPOLENE)N−43が挙げられる。
【0017】
製造方法
本発明の1つの態様は、本発明のワックス添加物を包含する当該組成物の構成成分を、すべての構成成分を溶融するのに十分な温度で混合する工程を提供する、本発明の布地柔軟化組成物の製造を提供する。混合の工程は、好ましくは約100℃を超える温度で実施する。一般に、構成成分は、組成物の構成成分を損なう又は脱色するほど高い温度で混合すべきではない。布地柔軟化組成物の多数の構成成分について、混合温度は約180℃未満であることができる。本発明の組成物を製造するためのさらなる工程は、US2003/0195130A1、段落25〜26に開示されているものを包含してもよい。
【0018】
キット
本発明の別の態様は、キットを提供し、該キットは本発明の組成物を含む。1つの態様では、該キットは、本発明の組成物を含む物品を、乾燥機の内表面に設置するための使用法を指示する取扱説明書をさらに含む。1つの実施形態では、キットが物品を含み、該物品は本発明による組成物を含む。しかし、該物品は、該穿孔を通じて組成物を物品の表面上に滲出するための穿孔された膜を含まない。本発明の少なくとも1つの実施形態の範囲から除外されるこのような「穿孔された膜」の一例は、US4,014,432に記載されている。別の態様では、キットは物品を含み、該物品は本発明の組成物を含み、そして該物品は乾燥機の内表面に動作可能に接続できる。キットは、任意に、物品を乾燥機の内表面に動作可能に接続するようユーザーに指示する取扱説明書を含んでもよい。
【実施例】
【0019】
【表1】

1ワックス添加物の「AC」シリーズはHoneywell Speciality Additivesから入手可能である。
【表2】

【0020】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0021】
特に記載のない限り、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、「1つ又はそれ以上」を意図する。
【0022】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく制限されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各こうした寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0023】
ここで記述されるすべての百分率は、特に指定のない限り、重量百分率である。本明細書全体を通じて記載されているあらゆる最大数値限定には、それより小さいあらゆる数値限定が、そのようなより小さい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含まれると理解すべきである。本明細書全体を通じて記載されるあらゆる最小数値限定は、それよりも大きいあらゆる数値限定を、あたかもこうしたそれよりも大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書全体を通じて記載されるあらゆる数値範囲は、こうしたより広い数値範囲内に入る、それよりも狭いあらゆる数値範囲を、あたかもこうしたそれよりも狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0024】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数回使用の、乾燥機に添加される、布地柔軟化組成物を含む物品であって、
前記布地柔軟化組成物が、布地柔軟化活性物質、ワックス、及びワックス添加物を含んでなり、
前記ワックス添加物が、ポリエチレン化合物、ポリプロピレン化合物、又はこれらの混合物から選択され、及び
前記物品が乾燥機の内表面に動作可能に接続されてなる、物品。
【請求項2】
前記布地柔軟化組成物が、第四級アンモニウム化合物を含んでなり、
前記ワックス添加物が少なくとも前記組成物の10重量%で含まれてなる、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記第四級アンモニウム化合物が、アルキル化第四級アンモニウム化合物、環又は環状第四級アンモニウム化合物、芳香族第四級アンモニウム化合物、ジ第四級アンモニウム化合物、アルコキシル化第四級アンモニウム化合物、アミドアミン第四級アンモニウム化合物、エステル第四級アンモニウム化合物、及びこれらの混合物の少なくとも1つから選択されてなる、請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記ワックスが、少なくともエチレンビス−ステアラミド、エチレンビスオレアミド、エチレンビスベヘナミド、又はこれらの組み合わせから選択されてなる、請求項3に記載の物品。
【請求項5】
前記布地柔軟化組成物が、前記組成物の2重量%超過の香料を更に含んでなる、請求項4に記載の物品。
【請求項6】
前記布地柔軟化組成物が、前記組成物の少なくとも約3重量%の香料を含んでなる、請求項5に記載の物品。
【請求項7】
前記ワックス添加物が、ポリエチレン酸化ホモポリマー、ポリエチレン高密度酸化ホモポリマー、プロピレン無水マレイン酸コポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレン無水マレイン酸ポリマー、それらの誘導体、並びにそれらの組み合わせの少なくとも1つから選択されてなる、請求項6に記載の物品。
【請求項8】
前記布地柔軟化活性物質が、前記組成物の約45重量%〜約60重量%で含まれてなる、請求項7に記載の物品。
【請求項9】
前記ワックスが、前記組成物の約15重量%〜約45重量%で含まれてなる、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
前記布地柔軟化組成物が、22℃で固体である、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
前記物品が、穿孔された膜を含まないものである、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
布地を柔軟化する方法であって、
自動衣類乾燥機の中で、請求項1に記載の物品に前記布地を接触させる工程を含んでなる、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の物品を備えなる、キット。

【公表番号】特表2009−509054(P2009−509054A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530740(P2008−530740)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【国際出願番号】PCT/IB2006/053450
【国際公開番号】WO2007/034447
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】