説明

布目付き豆腐の製造方法及び布目付き豆腐の製造装置

【課題】 表面に布目が付いた布目付き豆腐を衛生的かつ効率的に製造する。
【解決手段】 ケース体7の豆腐成形空間部9内で湯切り板8とパンチング圧搾板28により豆腐生地3を圧搾して表面に布目5を転写形成し、豆腐成形ユニット6を反転させて豆腐生地3と湯切り板8との間に間隙14を構成下状態で湯切り板8に吹付け材30を吹き付けて豆腐生地3の付着を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木綿布に包んだ状態で圧搾処理が施されて成形されることにより表面に布目が形成された木綿豆腐やソフト豆腐等を効率よく製造する布目付き豆腐の製造方法及び布目付き豆腐の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
豆腐は、型箱内で豆腐生地をそのまま成形して固めた絹ごし豆腐と、湯切り用の木綿布が敷き込まれた型箱内に充填した豆腐生地を圧搾して成形する木綿豆腐或いはソフト豆腐に大別される。絹ごし豆腐の製造方法については、例えば特許文献1に記載されている。また木綿豆腐或いはソフト豆腐の製造方法については、例えば特許文献2に記載されている。なお、ソフト豆腐は、木綿豆腐と同様の工程を経て成形されるが、豆腐生地を崩さない状態で型箱内に充填し、圧搾量も小さくして成形した豆腐である。
【0003】
ところで、木綿豆腐やソフト豆腐の製造においては、木綿布が、圧搾処理により布目に入り込んだ豆腐生地の一部を洗い落としながら何度も使い回しされるために、雑菌等が付着して非衛生的であるといった問題があった。また、木綿豆腐やソフト豆腐の製造においては、型箱内に充填した豆腐生地を木綿布で包み込む作業や圧搾処理後に成形した木綿布を木綿豆腐等から剥離する作業が人力により行われるために、製造効率を低下させるといった問題があった。
【0004】
木綿豆腐等の製造方法においては、木綿布に起因する上述した問題を解決するために、木綿布に代えて金属製の湯切り板を用いる製造方法が注目される。湯切り板は、例えばステンレス板を素材として多数個の湯切り孔を形成してなり洗浄処理も容易で繰り返し使用しても衛生的である。特許文献3には、絹ごし豆腐の製造方法であるが、ろ布に代えて多数個の湯切り孔を形成した多孔板(パンチシート)を用いる方法が記載されている。
【0005】
木綿豆腐等の製造方法においては、上述した湯切り板を型枠の底部に対して着脱自在に取り付けることにより、型枠から成形した豆腐を型くずれを生じさせることなく容易に取り出しすることが可能となる。木綿豆腐等の製造方法においては、かかる構成を採用することにより豆腐製造の自動化が実現される。なお、特許文献4には、型枠の底部に対して湯切り板を着脱自在に取り付ける方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】登録実用新案第3013773号公報
【特許文献2】特開昭62−151152号公報
【特許文献3】特開平2−154659号公報
【特許文献4】特開平10−309172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、木綿豆腐やソフト豆腐は、上述したように型箱内において豆腐生地を湯切り用の木綿布で包み込んだ状態で圧搾処理を施して成形することから、商品として表面に布目が形成された形態でなければならない。上述した多孔板を用いる製造方法においては、型箱内において多孔板により豆腐生地を直接圧搾することから、パンチ孔内に入り込んだ豆腐生地が楔となって成形した豆腐の型箱内からの取り出しが困難となり作業効率が低下するとともに型箱内に豆腐生地が残留して材料効率が悪いといった問題がある。また、かかる製造方法においては、豆腐を型箱内から無理に取り出そうとした場合に、豆腐の形崩れやパンチ孔の転写により形成された布目の破損により歩留りが低下するといった問題があった。
【0008】
したがって、本発明は、表面に布目が付いた布目付き豆腐を衛生的かつ効率的に製造する布目付き豆腐の製造方法及び布目付き豆腐の製造装置を提供することを目的に提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成する本発明に係る布目付き豆腐の製造方法は、内部に豆腐成形空間部を構成したケース体と、多数個の湯切り孔を形成しケース体に豆腐成形空間部の一方開放部を閉塞して設ける湯切り板とからなる豆腐成形ユニットが用いられる。布目付き豆腐の製造方法は、ケース体に対して豆腐成形空間部内に豆腐生地を充填する豆腐生地充填工程と、豆腐成形空間部内に多数個のパンチ孔を有するパンチング圧搾板を進入させて豆腐生地を湯切り板上に押圧して湯切りを行う豆腐生地圧搾工程と、ケース体を反転させるケース体反転工程と、パンチング圧搾板を下降させて湯切り板と豆腐生地との間に間隙を構成した状態で湯切り板に気体或いは液体を吹き付ける吹付け材吹付け処理工程と、ケース体から上記湯切り板を取り外して豆腐成形空間部内で成形した布目付き豆腐を取り出す豆腐取出し工程とを有する。
【0010】
布目付き豆腐の製造方法においては、吹付け材吹付け処理工程を施して湯切り孔内に入り込んだ豆腐生地を豆腐生地の表面と湯切り板の内面との間に構成した間隙内へと戻すことにより、豆腐生地の湯切り板の内面への付着を無くし、豆腐生地の無駄を無くす。布目付き豆腐の製造方法においては、吹付け材として例えば蒸気や空気或いはお湯や水を吹き付けることにより表面を固め、豆腐成形空間部内で成形された布目付き豆腐が型くずれすることなく容易に取り出しが行われるようにする。布目付き豆腐の製造方法においては、吹き付けられた吹付け材が、間隙を介して豆腐生地の表面の硬化を促進させ、後段に施す豆腐生地圧搾工程において豆腐生地の湯切り孔内への入り込みを抑制する。
【0011】
布目付き豆腐の製造方法においては、豆腐生地圧搾工程とケース体反転工程との間において、パンチング圧搾板を上昇させて豆腐生地との間に間隙を構成した状態でパンチング圧搾板に気体或いは液体を吹き付ける第2吹付け材吹付け処理工程を施すようにしてもよい。布目付き豆腐の製造方法においては、第2吹付け材吹付け処理工程を施すことにより豆腐生地のパンチング圧搾板の内面への付着を無くし、豆腐生地の無駄を無くす。
【0012】
布目付き豆腐の製造方法においては、上述した豆腐生地圧搾工程〜吹付け材吹付け処理工程が複数回繰り返し行われ、豆腐成形空間部内において上下面に湯切り板の湯切り孔やパンチング圧搾板のパンチ孔が転写されて布目が付された布目付き豆腐を成形する。布目付き豆腐の製造方法においては、複数回が繰り返えされる豆腐生地圧搾工程について、パンチング圧搾板による豆腐生地の押圧時間を、回数を重ねるにしたがって次第に長時間とするように設定してもよい。豆腐生地圧搾工程は、押圧時間を制御したパンチング圧搾板による多段の圧搾処理を施すことにより、型くずれの発生を防止し湯切り孔やパンチ孔が良好に転写された表面仕上がりのよい布目付き豆腐が成形されるようにする。
【0013】
布目付き豆腐の製造方法においては、所定回数の上述した豆腐生地圧搾工程〜吹付け材吹付け処理工程を施した後に、少なくとも湯切り板に低圧蒸気或いはお湯をかけて布目付き豆腐の表面に形成された布目を保持する布目保持工程を施してもよい。布目付き豆腐の製造方法においては、布目保持工程を施すことにより、布目が付された表面の硬化が促進されて表面仕上がりのよい布目付き豆腐を成形することを可能とする。
【0014】
上述した目的を達成する本発明に係る布目付き豆腐の製造装置は、内部に豆腐生地が充填される豆腐成形空間部を構成したケース体と、多数個の湯切り孔を形成しケース体に豆腐成形空間部の一方開放部を閉塞して設ける湯切り板とからなる豆腐成形ユニットが用いられる。布目付き豆腐の製造装置は、多数個のパンチ孔を形成したパンチング圧搾板を有しこのパンチング圧搾板を豆腐成形ユニットの豆腐成形空間部内に進入させて豆腐生地を湯切り板上に押圧して圧搾する豆腐生地圧搾機構と、豆腐成形ユニットを反転させる豆腐成形ユニット反転機構と、湯切り板と豆腐生地との間に間隙を構成した状態で湯切り板に気体或いは液体を吹き付ける吹付け材吹付け機構とを備える。
【0015】
布目付き豆腐の製造装置においては、吹付け材吹付け機構が、パンチング圧搾板と豆腐生地との間に間隙を構成した状態で、パンチング圧搾板にも気体或いは液体を吹き付ける機構であってもよい。布目付き豆腐の製造装置においては、豆腐生地圧搾機構と豆腐生地圧搾機構と豆腐成形ユニット反転機構と吹付け材吹付け機構とによる豆腐生地圧搾工程とケース体反転工程と吹付け材吹付け工程とを複数回繰り返し行うようにしてもよい。
【0016】
布目付き豆腐の製造装置においては、ケース体に取り付ける湯切り板として、ステンレス金属板を素材として多数個の湯切り孔を打ち抜き形成したパンチングプレートを用いてもよい。また、布目付き豆腐の製造装置においては、湯切り板として、例えばステンレス線材を編んで多数個の湯切り目を形成してなる金網体を用いてもよい。湯切り板及びパンチング圧搾板は、湯切り孔やパンチ孔が成形される豆腐の表面に転写されることにより、布目模様を形成する。
【0017】
布目付き豆腐の製造装置においては、吹付け材吹付け機構と豆腐取出し機構の間に位置して、少なくとも湯切り板に低圧蒸気或いはお湯をかける布目保持機構を設けてもよい。布目保持機構は、成形された布目付き豆腐の表面に湯切り板を介して低圧蒸気或いはお湯をかけることにより、布目が付された表面の硬化を促進して表面仕上がりのよい布目付き豆腐が成形されるようにする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、豆腐滓等が付着残留しやすい湯切り用の木綿布に代えて多数個の湯切り孔を有する湯切り板と多数個のパンチ孔を有するパンチング圧搾板とにより豆腐生地の圧搾を行うことにより、衛生的な豆腐を効率的に製造することが可能である。本発明によれば、豆腐生地に所定の圧搾処理を施した後にケース体を反転させて豆腐生地と湯切り板との間に間隙を構成した状態で湯切り板に吹付け材を吹き付けて湯切り孔内に入り込んだ豆腐生地を豆腐成形空間部内へと戻して湯切り孔の目詰まりを除去することから、豆腐生地の無駄が低減されるとともに、表面に湯切り板の湯切り孔やパンチング圧搾板のパンチ孔が転写されてなる布目が形成された布目付き豆腐が、豆腐成形空間部から型くずれすることなく容易に取り出され、歩留りや生産性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る布目豆腐の製造方法の説明図である。
【図2】布目豆腐の斜視図である。
【図3】豆腐成形ユニットの分解斜視図である。
【図4】本発明を適用した布目豆腐の製造装置の概略構成図である。
【図5】同布目豆腐の製造方法の工程説明図である。
【図6】他の豆腐成形ユニットの分解斜視図である。
【図7】他の布目豆腐の製造方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について図面に示した実施の形態を参照して詳細に説明する。本発明に係る布目豆腐の製造方法(以下、製造方法と略称する。)は、図1に示すように、内部に豆腐成形空間部9を構成したケース体7と、多数個の湯切り孔12を形成した湯切り板8を組み合わせた豆腐成形ユニット6を用いて布目付き豆腐(以下、布目豆腐と略称する)2を製造する。なお、「布目」とは、成形された布目豆腐2の上下両面に形成された適宜の凹凸模様であり、湯切り用の木綿布が転写されて形成される布目模様に限定されるものでは無い。また、布目豆腐2とは、木綿豆腐やソフト豆腐等のように豆腐生地3に圧搾処理を施して水分を絞って(湯切りして)固まらせて製造する種々の豆腐を対象とするものである。
【0021】
製造方法は、図1(A)に示す、ケース体7に対して豆腐成形空間部9内に豆腐生地3を充填する豆腐生地充填工程を有する。製造方法は、同図(B)に示す、ケース体7を反転させる第1ケース体反転工程を有する。製造方法は、同図(C)に示す、豆腐成形空間部9内に多数個のパンチ孔を有するパンチング圧搾板28を進入させて豆腐生地3を湯切り板8上に押圧して湯切りを行う豆腐生地圧搾工程を有する。
【0022】
製造方法は、同図(D)に示す、ケース体7を反転させる第2ケース体反転工程を有する。製造方法は、同図(E)に示す、パンチング圧搾板28を下降させて湯切り板8と豆腐生地3との間に間隙14を構成した状態で、湯切り板8に気体或いは液体等の吹付け材30を吹き付ける吹付け材吹付け処理工程を有する。製造方法は、同図(F)に示すように、ケース体7を反転させることにより、上述したパンチング圧搾板28による豆腐生地圧搾工程以下の工程が繰り返されるようにする。製造方法は、ケース体7から湯切り板8を取り外して豆腐成形空間部9内で成形した布目豆腐2を取り出す豆腐取出し工程を有する。
【0023】
製造方法は、湯切り板8に形成した多数個の湯切り孔12と、豆腐生地3を湯切り板8に圧搾するパンチング圧搾板28に形成した多数個のパンチング孔を豆腐生地3の表面に転写して布目5を形成する。なお、製造方法は、多数個の豆腐成形ユニット6を用いて上述した工程を有する図4に示した後述する布目付き豆腐の製造装置(以下、布目豆腐製造装置と略称する。)1により連続して製造することも可能である。
【0024】
製造方法においても、従来の布目付き豆腐と同様に、水に浸けて柔らかくした大豆をすりつぶした「呉」を絞っておからを分離した豆乳ににがり等の凝固剤を加えてある程度固めた豆腐生地3を素材とし、この豆腐生地3に圧搾処理を施して湯切りすることにより布目豆腐ブロック13を成形する。製造方法は、布目豆腐ブロック13を図2に示す所定の大きさのブロック状の布目豆腐2に切断して包装パック4に装填し、密封した形態の布目豆腐2を製造する。布目豆腐2には、同図に示すように上面2Aに小さな凹凸模様からなる布目5が形成されている。なお、布目豆腐2には、下面2Bにも図示しないが後述するパンチング圧搾板28のパンチング孔が転写された小さな凹凸模様からなる布目5が形成されている。
【0025】
豆腐成形ユニット6は、図3に示すように、ケース体7が、例えば耐熱性や機械的剛性を有する合成樹脂材により、内部空間を相対する2面7A、7Bに開放させた横長矩形の筒状ブロック体に形成される。ケース体7は、内部の空間が、複数個分の布目豆腐2を成形することが可能な大きさを有して豆腐成形空間部9を構成する。ケース体7は、第1開放面7A側に湯切り板8を着脱する湯切り板着脱部10が設けられるとともに、豆腐成形空間部9の第2開放面7B側の開口部が後述する豆腐生地圧搾機構(圧搾機構)25のパンチング圧搾板28を豆腐成形空間部9に出入りさせる圧搾板進入口11を構成する。
【0026】
ケース体7には、第1開放面7A側の外周部に全周に亘って第1フランジ部7Cが一体に形成されるとともに、第2開放面7B側の外周縁に第2フランジ部7Dが一体に形成される。ケース体7は、これら第1フランジ部7Cと第2フランジ部7Dが、後述する搬送操作や反転動作或いは豆腐製造装置1からの取外し操作等におけるハンドリング部として作用する。
【0027】
湯切り板着脱部10は、ケース体7の第1開放面7A側において、長さ方向の両側壁の内面に形成され第1フランジ部7Cの一方側面に開口する嵌合溝により構成される。湯切り板着脱部10には、開口から湯切り板8が嵌合されることにより、この湯切り板8によりケース体7の第1開放面7A、すなわち豆腐成形空間部9の第1開放面7A側が閉塞されるようにする。湯切り板着脱部10は、湯切り板8を引き出すことにより、豆腐成形空間部9の第1開放面7A側が開放されるようにする。
【0028】
なお、ケース体7は、合成樹脂材により形成したが、例えばステンレス材により形成してもよいことは勿論である。また、ケース体7は、上述した構造に限定されないことは勿論であり、豆腐成形空間部9や湯切り板着脱部10と同等の部位を有し、またハンドリング部が形成されていればよい。ケース体7は、豆腐成形空間部9の第1開放面7A側に段部を形成し、この段部により第2開放面7B側から装填した湯切り板8を保持するようにしてもよい。
【0029】
湯切り板8は、豆腐生地3の保持機能と、湯切り機能とともに布目豆腐2に布目5を転写形成する機能を奏する。湯切り板8は、例えばステンレス板を素材とし、図3に示すように湯切り板着脱部10の開口形状と同形の断面形状を有し、豆腐成形空間部9を閉塞する大きさを以って形成される。湯切り板8は、素材に対してパンチ加工を施すことにより全体に亘って多数個の小径パンチ孔を形成してなる。パンチ孔は、湯切り板8がケース体7に取り付けられて第1開放面7Aを閉塞した状態で充填される豆腐生地3がそのまま落下してしまわない孔寸法を以って形成される。
【0030】
湯切り板8は、パンチ孔が、後述するように豆腐成形空間部9内に充填した豆腐生地3に対して圧搾処理を施して布目豆腐2を成形する際に水分を落下させる湯切り孔12を構成する。湯切り板8は、成形される布目豆腐2の上面2Aに湯切り孔12が転写されることで、湯切り孔12の転写痕が布目5を形成する。
【0031】
なお、湯切り板8は、小径パンチ孔により湯切り孔12を形成したが、かかる湯切り孔12に限定されないことは勿論である。湯切り板8は、湯切り孔12を、豆腐生地3が豆腐成形空間部9内に保持される範囲で様々な形状を以って形成したものであってもよく、例えばスリット形状で形成してもよい。また、湯切り板8は、湯切り孔12とともに例えば主面を微細な凹凸を形成した粗面或いは多数個の小さな凸部等を形成し、これらが布目豆腐2の上面2Aに転写されて布目5を形成するようにしてもよい。
【0032】
製造方法は、上述したようにケース体7と湯切り板8を組み合わせた豆腐成形ユニット6を用い、この豆腐成形ユニット6内に充填した豆腐生地3に対してパンチング圧搾板28による圧搾処理を施すことにより布目豆腐2を製造する。製造方法は、湯切り板8に形成した多数個の湯切り孔12と、豆腐生地3を湯切り板8に圧搾するパンチング圧搾板28に形成した多数個のパンチング孔を豆腐生地3の表面に転写して布目5を形成する。
【0033】
製造方法は、豆腐生地充填工程において、図1(A)に示すように、上述した豆腐成形ユニット6内に豆腐生地3を充填する。製造方法は、例えばヨセ桶からくみ取った豆腐生地3を充填した型箱体20を用いて豆腐成形ユニット6内に充填する。型箱体20は、例えば耐熱性や機械的剛性を有する合成樹脂材により、同図に示すように相対する2面を開放面として内部にケース体7の豆腐成形空間部9とほぼ等しい断面形状を有する豆腐生地充填空間部20Aを構成した矩形筒状部材からなる。
【0034】
型箱体20は、第1開放面側が豆腐成形ユニット6の圧搾板進入口11に突き当てられることにより豆腐生地3を豆腐成形空間部9内に充填する豆腐生地充填開口を構成する。型箱体20は、第2開放面側が豆腐生地3を豆腐生地充填開口から押し出す押出板22が進入する進入口を構成する。型箱体20には、押出板22によって閉塞した状態で、豆腐生地充填空間部20A内に豆腐生地充填開口側から所定量の豆腐生地3が供給される。型箱体20は、豆腐生地充填開口を豆腐成形ユニット6の圧搾板進入口11に突き当てた状態で、図1(A)矢印で示すように押出板22を動作させて豆腐成形ユニット6の圧搾板進入口11から豆腐成形空間部9内に豆腐生地3を充填する。
【0035】
製造方法は、第1ケース体反転工程において、図1(B)矢印で示すように豆腐成形ユニット6を180°回転させ、同図に示すように湯切り板8を豆腐成形空間部9の底面側に位置させた上向き状態とする。製造方法は、この状態で粗い食感を有する布目豆腐2を製造するために、滑らかに凝固した状態で供給された豆腐生地3を豆腐成形ユニット6内において適当な大きさに崩す生地崩しを行う。製造方法は、同図に示すようにケース体7の豆腐成形空間部9内に豆腐生地崩し機構(生地崩し機構)23の撹拌部材23Aを進入させて充填された豆腐生地3を適当に撹拌して崩した状態とする。
【0036】
製造方法は、豆腐生地圧搾工程において、図1(C)に示すように、豆腐成形ユニット6に対して、ケース体7の圧搾板進入口11からパンチング圧搾板28を豆腐成形空間部9内に進入させて豆腐生地3を湯切り板8上に押圧して湯切りする。豆腐生地3は、パンチング圧搾板28による圧搾処理を施されることにより、水分が押し出されて湯切り板8の湯切り孔12から落下し、脱水が行われて粗い生地状態のままで次第に固められる。豆腐生地3は、柔らかな状態で湯切り板8とパンチング圧搾板28との間で圧搾されることにより、湯切り板8の湯切り孔12とパンチング圧搾板28のパンチ孔が上下面に転写されて布目5が形成される。
【0037】
製造方法は、第2ケース体反転工程において、図1(D)矢印で示すように、豆腐生地圧搾工程を施した上向き状態の豆腐成形ユニット6を180°回転させて湯切り板8を豆腐成形空間部9の上面側に位置させた下向き状態とする。
【0038】
製造方法は、吹付け材吹付け処理工程において、図1(E)矢印で示すように、豆腐成形空間部9の底面を構成しているパンチング圧搾板28をやや下降させる動作を行う。豆腐生地3は、豆腐成形ユニット6の反転動作とパンチング圧搾板28の下降動作により、豆腐成形空間部9内においてその自重で下方へと移動して湯切り板8の内面との間に間隙14を構成する。
【0039】
豆腐生地3は、一部が湯切り板8の湯切り孔12に入り込んだ状態となり、これがそのまま固まってしまうと楔作用を奏して豆腐成形空間部9から布目豆腐ブロック13の取り出しが困難となって欠け部分を生じさせ或いは布目5の破損を生じさせる虞がある。また、豆腐生地3は、湯切り板8に付着した部分が豆腐成形空間部9内に残ってしまうために無駄が生じる。
【0040】
製造方法は、吹付け材吹付け処理工程において、湯切り板8に気体或いは液体等の吹付け材30を吹き付ける。吹付け材吹付け処理工程は、吹付け材30として蒸気や空気或いはお湯や水を湯切り板8に吹き付けることにより、湯切り孔12に入り込んだ豆腐生地3を豆腐成形空間部9内へと戻して除去する。吹付け材吹付け処理工程は、吹付け材30が湯切り孔12から間隙14内に入り込むことにより、豆腐生地3の表面の硬化を促進させるようにする。
【0041】
製造方法においては、上述した豆腐生地圧搾工程と吹付け材吹付け処理工程を複数回繰り返して豆腐生地3を段階的に固めることにより型くずれの無い布目豆腐ブロック13を製造する。製造方法においては、このために図1(F)矢印で示すように、豆腐成形ユニット6を再度180°回転させて湯切り板8を豆腐成形空間部9の底面側に位置させた上向き状態とし、パンチング圧搾板28による豆腐生地3の圧搾を行う。
【0042】
製造方法は、豆腐成形ユニット6を反転させて上述した豆腐生地圧搾工程と吹付け材吹付け処理工程を、例えば3回繰り返して実施する。製造方法は、複数回を繰り返す豆腐生地圧搾工程について、パンチング圧搾板28による豆腐生地3の圧搾時間を次第に長時間とすることで、型くずれの発生を防止し湯切り孔12やパンチ孔が良好に転写された表面仕上がりのよい布目豆腐2が製造されるようにする。製造方法においては、例えば第1段目の圧搾処理の時間を1分間とし、第2段目の圧搾処理の時間を3分間とし、第3段目の圧搾処理の時間を5分間、合計で9分間で行うようにする。製造方法においては、各段の圧搾処理における押圧時間がかかる時間設定に限定されないことは勿論であり、やや硬めの布目豆腐2を成形する場合には全体時間を長くし、また豆腐生地3の状態、季節等により格段の時間も適宜設定する。
【0043】
製造方法は、豆腐生地3が、前段では流動性が大きいために豆腐生地圧搾工程において湯切り孔12に入り込んでも内層部分は自重で豆腐成形空間部9内に落下し大きな塊となることは少ない。したがって、製造方法においては、豆腐生地圧搾工程に続く吹付け材吹付け処理工程において、前段では例えば温度が高い豆腐生地3となじみがある蒸気やお湯を低圧で吹き付けるとともに、温度が低くなって表面がある程度の硬さとなった後段では空気や水の吹き付けをやや高圧で吹き付けるようにする。なお、製造方法においては、豆腐生地圧搾工程と吹付け材吹付け処理工程を3回繰り返すことに限定されないことは勿論であるが、圧搾時間や吹付け材30の吹付け条件を適宜設定して少なくとも2回以上が繰り返されるようにする。
【0044】
製造方法においては、前段の吹付け材吹付け処理において、湯切り孔12を通過した吹付け材30が柔らかな豆腐生地3の表面に当たって表面破損を生じさせることがある。製造方法においては、上述したように吹付け材30の吹き付けとともに3回の圧搾処理を行うことにより前段の吹付け材吹付け処理で生じた表面破損が修復されるようにし、また湯切り孔12が転写された良好な形状の布目5を形成することを可能とする。
【0045】
製造方法は、上述した工程を経て豆腐成形ユニット6の豆腐成形空間部9内で成形した布目豆腐ブロック13を取り出す。布目豆腐ブロックの取出し工程は、豆腐成形ユニット6からパンチング圧搾板28を抜き出すとともにケース体7から湯切り板8を取り外して底面側を開放した状態で豆腐成形空間部9内で成形された布目豆腐ブロック13の取り出しを行う。なお、製造方法は、豆腐成形ユニット6内において、布目豆腐ブロック13の形を整えるとともに取り出しを容易とするために布目豆腐ブロック13の外周部を縁切りする縁切り工程を施すようにしてもよい。
【0046】
製造方法は、豆腐成形ユニット6から取り出した布目豆腐ブロック13を所定の大きさに切断して布目豆腐2を形成し、図2に示すようにこの布目豆腐2を包装パック4に装填して包装する。製造方法は、布目豆腐ブロック13を取り出した豆腐成形ユニット6について、ケース体7と湯切り板8に分解し、それぞれに洗浄処理等を施して次の工程に使用する。
【0047】
図4は、上述した製造方法の各工程を採用して布目豆腐2を連続して製造する布目豆腐製造装置(以下、製造装置と略称する。)1であり、図5は製造工程図である。製造装置1は、多数個の豆腐成形ユニット6を搬送する豆腐成形ユニット搬送機構16を備える。製造装置1は、豆腐製造槽15内に構成した搬送路に沿って多数個の豆腐成形ユニット6を並べた状態で搬送し、搬送路に沿って設置した後述する各機構により所定の処理を施してパック詰めした布目豆腐2を連続して製造する。
【0048】
豆腐成形ユニット搬送機構16は、詳細を省略するが、豆腐製造槽15内に設置されて豆腐成形ユニット6の搬送路を構成する無端チェーンベルトと駆動モータと制御部等により構成され、豆腐成形ユニット6を所定の速度やタイミングで搬送する。製造装置1は、豆腐製造槽15の前段に位置して、豆腐成形ユニット6を搬送路に1個ずつ順序よく並べて供給する豆腐成形ユニット供給機構17が配置される。
【0049】
製造装置1は、豆腐成形ユニット供給機構17の前段にケース体・湯切り板組合せ機構18を設置し、ケース体7に対して湯切り板8を組み合わせて構成した豆腐成形ユニット6を豆腐成形ユニット供給機構17に自動的に供給するようにしてもよい。豆腐成形ユニット供給機構17は、湯切り板8を豆腐成形空間部9の上方側に位置する下向き姿勢で豆腐成形ユニット6を搬送路に供給する。
【0050】
製造工程は、豆腐生地3を豆腐成形ユニット6のケース体7の豆腐成形空間部9に充填する生地充填工程S−1を施す。製造装置1は、搬送路に沿って豆腐成形ユニット供給機構17の後段に位置して、豆腐成形ユニット6への豆腐生地供給部材である型箱体20を有する豆腐生地供給機構(生地供給機構)19を配置する。製造装置1は、生地供給機構19の前段に位置して豆腐生地供給部21を設置する。豆腐生地供給部21は、豆乳に凝固剤を加えて凝固状態となった豆腐生地3を貯留するとともに、所定量を上述した型箱体20に送り出す部位であるが、自動化された一連の前工程であってもよい。生地供給機構19は、ケース体7の豆腐成形空間部9に対して、型箱体20を介して底面側となる圧搾板進入口11から豆腐生地3を充填する。
【0051】
製造工程は、粗い食感を有する布目豆腐2を製造するために、滑らかに凝固した状態で供給された豆腐生地3を豆腐成形ユニット6内において適当な大きさに崩す生地崩し工程S−2を施す。製造装置1は、図示を省略するが生地供給機構19の後段に位置して豆腐成形ユニット6を、湯切り板8が豆腐成形空間部9の底面側に位置する上向き姿勢とするように反転させる反転機構を配置する。製造装置1は、搬送路に沿って生地供給機構19の後段に位置して、豆腐生地3を粗い生地状態とする豆腐生地崩し機構(生地崩し機構)23を配置する。生地崩し機構23は、撹拌部材23Aが搬送されたケース体7の豆腐成形空間部9内に進入して豆腐生地3を適当に撹拌して崩した状態とする。
【0052】
製造方法は、生地崩し工程S−2の後工程として、圧搾工程S−3と、第1反転工程S−4と、吹付け工程S−5と、第1反転工程S−6を施す。製造装置1は、搬送路に沿って生地崩し機構23の後段に位置して、豆腐生地圧搾機構(圧搾機構)25と、豆腐成形ユニット第1反転機構(第1反転機構)24と、吹付け材吹付け機構(吹付け機構)27と、豆腐成形ユニット第2反転機構(第2反転機構)26を配置する。製造装置1は、これら圧搾機構25〜第2反転機構26の4つの機構を1組として、搬送路に沿って複数組、例えば3組を連続して配置し、それぞれの機構による3段の圧搾工程S−3と第1反転工程S−4と吹付け工程S−5第2反転工程S−6との処理工程が施されるようにする。
【0053】
圧搾機構25は、ケース体7の豆腐成形空間部9内において、生地崩し機構23による崩し処理が施された豆腐生地3を湯切り板8上に押圧することにより湯切り孔12から水分を押し出す圧搾工程S−3を実行する。圧搾機構25は、圧搾板進入口11を介して豆腐成形空間部9内に進入することにより豆腐生地3を湯切り板8に押圧するパンチング圧搾板28を有する。圧搾機構25は、駆動部によりパンチング圧搾板28を豆腐成形空間部9に出入りさせるとともに、圧搾制御部29により豆腐生地3を押圧する押圧時間を制御する。
【0054】
製造装置1は、搬送路に沿って圧搾機構25の後段に位置して、豆腐成形ユニット6を上下反転させる第1反転工程S−4を実行する第1反転機構24を配置する。第1反転機構24は、湯切り板8がケース体7の底面側に組み合わされた上向き状態の豆腐成形ユニット6を上下反転させることにより、湯切り板8を豆腐成形空間部9の上面側に位置させる下向き状態とする。第1反転機構24は、パンチング圧搾板28が豆腐成形空間部9内に進入した状態で豆腐成形ユニット6を180°回転させる。
【0055】
製造装置1は、第1反転機構24により上向き状態とされた豆腐成形ユニット6に対してパンチング圧搾板28をやや下降させる動作を行う。製造装置1は、パンチング圧搾板28の下降動作によって、豆腐生地3が自重によりケース体7の豆腐成形空間部9内において下方へと移動する。製造装置1は、豆腐生地3の移動によりその上面と湯切り板8との間に間隙14が構成されるようにする。
【0056】
製造装置1は、吹付け機構27により湯切り板8に対して蒸気や空気或いはお湯や水を用いる吹付け材30を吹き付ける吹付け材吹付け工程S−6を実行する。吹付け機構27は、ノズル27Aを有し、吹付け材供給部31から供給される吹付け材30を湯切り板8に吹き付けることによりパンチング圧搾板28により押圧されて湯切り孔12に入り込んだ豆腐生地3を豆腐成形空間部9内へと戻して除去する。
【0057】
製造装置1は、上述したように吹付け機構27による吹付け材30の吹き付けにより、豆腐成形空間部9から布目豆腐ブロック13を取り出す際に楔作用を奏する湯切り板8の湯切り孔12に入り込んだ豆腐生地3を豆腐成形空間部9内に戻すようにする。製造装置1は、豆腐成形ユニット6から豆腐成形空間部9内で成形した布目豆腐ブロック13を型くずれ等を生じさせることなく容易に取り出すことを可能とする。また、布目豆腐製造装置1は、湯切り孔12から間隙14内に入り込んだ吹付け材30が豆腐生地3の表面の硬化を促進させる。
【0058】
製造装置1は、第1段組目の吹付け機構27に続いて第2段組目の第2反転機構26を配置し、この第2反転機構26により豆腐成形ユニット6を湯切り板8が豆腐成形空間部9の底面側に位置させた上向き状態に反転させる。製造装置1は、図示を省略するが第2段組目の第1反転機構24の後段に位置して第2段組目の圧搾機構25と、第2反転機構26と、吹付け機構27を配置する。さらに、製造装置1は、第2段組目の吹付け機構27に続いて第3段組目の第1反転機構24を配置し、この第1反転機構24の後段に位置して第3段組目の圧搾機構25と、第2反転機構26と、吹付け機構27を配置する。
【0059】
なお、製造装置1は、図示を省略するが吹付け工程S−5の実施回数、すなわち第3段目の吹付け機構27を通過する豆腐成形ユニット6を検出してカウントする(S−7)。製造装置1は、第1反転機構24と圧搾機構25と第2反転機構26と吹付け機構27との間で豆腐成形ユニット6を往復移動させるようにしてもよい。製造装置1は、吹付け機構27の動作回数をカウントして所定回数の圧搾工程S−3、第1反転工程S−4、吹付け工程S−5、第2反転工程S−6が実施されるようにする。
【0060】
製造装置1は、上述したように圧搾機構25が、パンチング圧搾板28による豆腐生地3の押圧時間を圧搾制御部29により制御可能に構成される。布目豆腐製造装置1は、搬送路に沿って3個の圧搾機構25を配置し、或いは往復移動をさせて豆腐生地3に対して3段の圧搾処理を施すが、各段における押圧時間が異にされる。製造装置1は、上述したように各段の圧搾機構25が、まだ温度が高く流動性も大きな第1段目の豆腐生地3に対しては押圧時間が短く設定され、温度が低下して次第に固くなる第2段目や第3段目になるにしたがって次第に押圧時間が長くなるように設定される。
【0061】
製造装置1は、上述した工程を経て豆腐成形ユニット6の豆腐成形空間部9内に成形した布目豆腐ブロック13に対して、表面に形成した布目5を保持するために布目保持工程S−8を施す。製造装置1は、搬送路に沿って第3段組目の吹付け機構27の後段に位置して、布目保持機構32を配置する。布目保持機構32は、豆腐成形ユニット6内に成形された布目豆腐ブロック13の、湯切り板8の湯切り孔12やパンチング圧搾板28のパンチ孔が転写されて上下面に形成された布目5の形状を保持させる機構である。
【0062】
布目保持機構32は、上述した吹付け機構27と同様の機構であり、ノズル32Aから低圧蒸気或いはお湯からなる吹付け材30を湯切り板8に吹き付けることにより、布目5が形成された表面の硬化が促進されるようにして表面仕上がりのよい布目豆腐ブロック13が成形されるようにする。なお、製造装置1は、独立した布目保持機構32を設けるようにしたが、第3段目の吹付け機構27に同等の機能を持たせるようにしてもよいことは勿論である。
【0063】
製造装置1は、豆腐成形ユニット6内において、布目豆腐ブロック13の形を整えるとともに取り出しを容易とするために布目豆腐ブロック13の外周部を縁切りする縁切り機構34を配置してもよい。縁切り機構34は、搬送路に沿って布目保持機構32の後段に位置して配置する。縁切り機構34は、豆腐成形ユニット6の豆腐成形空間部9内に進入するカッター34Aを有し、成形された布目豆腐ブロック13の縁切りを行うことにより豆腐成形ユニット6からの取り出しが行われるようにする。
【0064】
製造装置1は、豆腐成形ユニット6の豆腐成形空間部9内から成形した布目豆腐ブロック13を取り出す布目豆腐ブロック取出し工程S−9を施る。製造装置1は、搬送路に沿って縁切り機構34の後段に位置して豆腐取出し機構35を配置する。豆腐取出し機構35は、豆腐成形ユニット6からパンチング圧搾板28を抜き出すとともにケース体7から湯抜き板8を取り外して底面側を開放した状態で豆腐成形空間部9内に成形された布目豆腐ブロック13を取り出す。
【0065】
製造装置1は、豆腐成形ユニット6から取り出した布目豆腐ブロック13を所定の大きさの布目豆腐2に切断する切断工程S−10と、この布目豆腐2を包装機構36において包装パック4に装填して包装する包装工程S−11を施して布目豆腐2を製造する。製造装置1は、包装した布目豆腐2を冷却槽37により冷却保管する。
【0066】
製造装置1は、布目豆腐ブロック13を取り出した豆腐成形ユニット6についてケース体7と湯切り板8に分解する豆腐成形ユニット解体工程S−12を施す。ケース体7と湯切り板8は、洗浄処理等が施されて次の工程に使用される。製造装置1は、布目豆腐ブロック13を取り出した豆腐成形ユニット6について、豆腐成形ユニット解体機構38によりケース体7と湯切り板8に分解し、それぞれに洗浄処理を施して次の作業に備える。
【0067】
製造装置1は、上述した実施の形態に限定されず、様々な機構や工程が付加されるが、上述したように圧搾機構25と、第1反転機構24と、吹付け機構27と、第2反転機構26を設ける基本構成が備えられる。製造装置1は、豆腐成形ユニット6を搬送路に沿って搬送して豆腐生地3の供給からパック包装までの工程を自動で行うようにしたが、豆腐成形ユニット6に豆腐生地3を充填し、圧搾工程−吹付け材吹付け工程−反転工程を処理する装置であってもよい。また、製造装置1は、上述した豆腐成形ユニット6や圧搾機構を用いるが、豆腐成形ユニット6を手動で反転操作してもよい。
【0068】
製造装置1は、所定回数の第2反転工程S−6を施した後に布目保持工程S−7以降の工程を施すようにしたが、適宜の硬さ或いは地域的特性等を目的として布目豆腐2を製造するために上述した圧搾機構25或いは第2反転機構26の後段に配置した仕上げ用圧搾機構により豆腐生地3に対して仕上げ圧搾を施すようにしてもよい。仕上げ圧搾は、前段工程において成形した布目豆腐ブロック13に対して圧搾板(パンチング圧搾板28)による圧搾を行って豆腐生地3の湯切りを完了させる工程である。仕上げ圧搾は、布目豆腐2の仕様に応じて10分〜40程度の圧搾を行う。
【0069】
上述した実施の形態においては、ケース体7に組み合わされて豆腐成形ユニット6を構成する湯切り板8が、ステンレス板を素材としてパンチ加工を施して多数個の湯切り孔12を形成してなる。湯切り板8は、上述したようにケース体7の豆腐成形空間部9の一方開口部を閉塞するようにして組み合わされ、豆腐成形空間部9内に進入するパンチング圧搾板28により圧搾される豆腐生地3を保持して押し出された水分を湯切り孔12から落下させる。湯切り板8は、このように圧搾処理時において、豆腐生地3の保持機能と、湯切り機能とともに布目豆腐2に布目5を転写形成する機能を奏する。
【0070】
湯切り板8は、上述した3つの機能を奏する部材であればよく、ステンレス板を素材として多数個の湯切り孔12をパンチ形成した部材に限定されるものではない。図6に示した湯切り部材50は、ケース体7の湯切り板着脱部10の外形寸法とほぼ等しい外形寸法を有するステンレス枠体51と、このステンレス枠体51内にステンレス線材を編み込んで網目52を形成してなる金網体により構成される。湯切り部材50も、湯切り板着脱部10に挿脱されることによりケース体7に対して着脱され、ケース体7に組み合わされた状態で豆腐成形空間部9の一方開口部を閉塞する。
【0071】
湯切り部材50は、網目52が、パンチング圧搾板28により圧搾される豆腐生地3を保持する大きさに形成される。湯切り部材50は、網目52が、パンチング圧搾板28により圧搾されることにより豆腐生地3の表面に転写されて網目模様の布目5が形成されるようにする。湯切り部材50は、適宜の形状の網目52が形成されるようにステンレス枠体51内にステンレス線材を編み込んで形成してもよい。
【0072】
第2の実施の形態として図7に示した製造方法(第2製造方法)は、第1の実施の形態として図1を参照して説明した上述の製造方法(第1製造方法)と基本的な工程を同様とする。第2製造方法は、柔らかな豆腐生地3を使用する場合等において、パンチング圧搾板28による圧搾工程の後工程としてパンチング圧搾板28側から吹付け機構27により蒸気や空気或いはお湯や水を用いる吹付け材30を吹き付ける吹付け材吹付け工程を施すことを特徴とする。
【0073】
第2製造方法においては、パンチング圧搾板28に対する吹付け材吹付け工程を施すことにより、パンチング孔に入り込んだ豆腐生地3を豆腐成形空間部9内へと戻して豆腐生地の無駄を無くすとともに、底面側にもパンチング孔が転写された布目5が良好に形成された布目豆腐2が形成されるようにする。第2製造方法においては、豆腐成形ユニット6を反転させて布目豆腐2の上下面を形成する湯切り板8とパンチング圧搾板28に対する吹付け材30の吹付け工程を施すことにより、豆腐成形空間部9内において豆腐生地3の上下面がバランスのとれた状態となり、きれいな仕上がりとともに取り出しが容易に行われるようになる。
【0074】
第2製造方法においても、図7(A)に示すように、豆腐生地充填工程によりケース体7の豆腐成形空間部9内に豆腐生地3を充填した後に第1ケース体反転工程により豆腐成形ユニット6を反転させる。第2製造方法は、同図(B)に示すように、豆腐成形空間部9内にパンチング圧搾板28を進入させて豆腐生地3を押圧して湯切りを行う豆腐生地圧搾工程を施す。
【0075】
第2製造方法は、図7(C)に示すように、パンチング圧搾板28をケース体7からやや上昇させることによりその内面と豆腐生地3との間に第1間隙14Aが構成されるようにする。第2製造方法は、第1間隙14Aを構成した状態で同図に示すようにパンチング圧搾板28に対して気体或いは液体等の吹付け材30を吹き付ける第1吹付け材吹付け処理工程を施す。第2製造方法においては、圧搾工程において豆腐生地3の一部がパンチング孔に入り込んだ状態となっているが、吹付け材30として蒸気や空気或いはお湯や水の吹き付けにより豆腐成形空間部9内へと戻して除去する。第2製造方法においては、この第1吹付け材吹付け処理工程により吹付け材30がパンチング孔から第1間隙14A内に入り込むことにより、豆腐生地3の表面の硬化を促進させる。
【0076】
第2製造方法は、図7(D)に示すように、豆腐生地圧搾工程を施した上向き状態の豆腐成形ユニット6を再反転させて湯切り板8を豆腐成形空間部9の上面側に位置させた下向き状態とする。
【0077】
第2製造方法は、図7(E)に示すように、上述した第1製造方法と同様に、豆腐成形ユニット6を反転させた状態で吹付け材吹付け処理工程を施す。吹付け材吹付け処理工程は、豆腐成形空間部9の底面を構成しているパンチング圧搾板28をやや下降させることにより豆腐成形空間部9内において豆腐生地3が自重で下方へと移動して湯切り板8の内面との間に第2間隙14Bを構成する。第2製造方法も、この状態で湯切り板8に気体或いは液体等の吹付け材30を吹き付けることにより、湯切り孔12に入り込んだ豆腐生地3を豆腐成形空間部9内へと戻して除去する。第2製造方法においても、吹付け材30が湯切り孔12から第2間隙14B内に入り込むことにより、豆腐生地3の表面の硬化を促進させる。
【0078】
第2製造方法は、図7(F)に示すように、豆腐成形ユニット6を再度反転させて湯切り板8を豆腐成形空間部9の底面側に位置させた上向き状態とし、上述したパンチング圧搾板28による豆腐生地圧搾工程以下の工程が繰り返されるようにする。第2製造方法においても、所定回数のパンチング圧搾板28に対する吹付け材の吹付け工程と豆腐生地圧搾工程と湯切り板8に対する吹付け材の吹付け処理工程を繰り返して実施する。第2製造方法においても、ケース体7から湯切り板8を取り外して豆腐成形空間部9内で成形した布目豆腐2の取り出しが行われる。
【0079】
なお、第2製造方法においても、パンチング圧搾板28による豆腐生地3の圧搾時間を次第に長時間とすることで、型くずれの発生を防止し湯切り孔12やパンチ孔が良好に転写された表面仕上がりのよい布目豆腐2が製造されるようにする。第2製造方法においては、パンチング圧搾板28に対する吹付け材の吹付け工程を1回のみ実施するようにしてもよい。
【0080】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述した実施の形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲及びその要旨を逸脱することなく、様々な変更、置換或いは同等に構成されることは当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0081】
1 布目豆腐製造装置、2 布目豆腐、3 豆腐生地、4 包装パック、5 布目、6 豆腐成形ユニット、7 ケース体、8 湯切り板、9 豆腐成形空間部、10 湯切り板着脱部、12 湯切り孔、13 布目豆腐ブロック、14 間隙、16 豆腐成形ユニット搬送機構、17 豆腐成形ユニット供給機構、18 ケース体・湯切り板組合せ機構、19 豆腐生地供給機構、20 型箱体、21 豆腐生地供給部、23 豆腐生地崩し機構、24 豆腐成形ユニット第1反転機構、25 豆腐生地圧搾機構、26 豆腐成形ユニット第2反転機構、27 吹付け材吹付け機構、28 パンチング圧搾板、29 圧搾制御部、30 吹付け材、32 布目保持機構、34 縁切り機構、35 豆腐取出し機構、38 豆腐成形ユニット解体機構、50 湯切り部材、51 ステンレス枠体、52 網目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に豆腐成形空間部を構成したケース体と、多数個の湯切り孔を形成し上記ケース体に上記豆腐成形空間部の一方開放部を閉塞して設ける湯切り板とからなる豆腐成形ユニットが用いられ、
上記ケース体の上記豆腐成形空間部内に豆腐生地を充填する豆腐生地充填工程と、
上記豆腐成形空間部内に多数個のパンチ孔を有するパンチング圧搾板を進入させて上記豆腐生地を上記湯切り板上に押圧して湯切りを行う豆腐生地圧搾工程と、
上記ケース体を反転させるケース体反転工程と、
上記パンチング圧搾板を下降させて上記湯切り板と上記豆腐生地との間に間隙を構成した状態で上記湯切り板に気体或いは液体を吹き付ける吹付け材吹付け処理工程と、
上記ケース体から上記湯切り板を取り外して、上記豆腐成形空間部内で成形した布目付き豆腐を取り出す豆腐取出し工程と
を有する布目付き豆腐の製造方法。
【請求項2】
上記豆腐生地圧搾工程と上記ケース体反転工程との間において、上記パンチング圧搾板を上昇させて上記豆腐生地との間に間隙を構成した状態で上記パンチング圧搾板に気体或いは液体を吹き付ける第2吹付け材吹付け処理工程を施す請求項1に記載の布目付き豆腐の製造方法。
【請求項3】
上記吹付け材吹付け処理工程において、上記湯切り板に吹き付ける上記吹付け材が、蒸気や空気或いは湯や水である請求項1又は請求項2に記載の布目付き豆腐の製造方法。
【請求項4】
上記豆腐生地圧搾工程は、複数回を繰り返えして行われ、回数を重ねるにしたがって上記パンチング圧搾板による上記豆腐生地の押圧時間が次第に長時間に設定される請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の布目付き豆腐の製造方法。
【請求項5】
所定回数の上記豆腐生地圧搾工程〜上記吹付け材吹付け処理工程を施した後に、少なくとも上記湯切り板に低圧蒸気或いは湯をかけて上記布目付き豆腐の表面に形成された布目を保持する布目保持工程を施す請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の布目付き豆腐の製造方法。
【請求項6】
内部に豆腐生地が充填される豆腐成形空間部を構成したケース体と、多数個の湯切り孔を形成し上記ケース体に上記豆腐成形空間部の一方開放部を閉塞して設ける湯切り板とからなる豆腐成形ユニットが用いられ、
多数個のパンチ孔を形成したパンチング圧搾板を有し、このパンチング圧搾板を上記豆腐成形ユニットの豆腐成形空間部内に進入させて上記豆腐生地を上記湯切り板上に押圧して圧搾する豆腐生地圧搾機構と、
上記豆腐成形ユニットを反転させる豆腐成形ユニット反転機構と、
上記湯切り板と上記豆腐生地との間に間隙を構成した状態で上記湯切り板に気体或いは液体を吹き付ける吹付け材吹付け機構と、
を備える布目付き豆腐の製造装置。
【請求項7】
上記吹付け材吹付け機構は、上記パンチング圧搾板と上記豆腐生地との間に間隙を構成した状態で上記パンチング圧搾板にも気体或いは液体を吹き付ける機構である請求項6に記載の布目付き豆腐の製造装置。
【請求項8】
上記豆腐生地圧搾機構と上記豆腐生地圧搾機構と上記豆腐成形ユニット反転機構と上記吹付け材吹付け機構とによる豆腐生地圧搾工程とケース体反転工程と吹付け材吹付け工程とを複数回繰り返し行い、上記ケース体から上記豆腐成形空間部内で成形した布目付き豆腐を取り出す請求項6又は請求項7に記載の布目付き豆腐の製造装置。
【請求項9】
上記ケース体に取り付ける上記湯切り板は、ステンレス金属板を素材として多数個の上記湯切り孔を打ち抜き形成したパンチングプレートである請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の布目付き豆腐の製造装置。
【請求項10】
上記ケース体に取り付ける上記湯切り板は、ステンレス線材を編んで網目が上記湯切り孔を形成してなる金網体である請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載の布目付き豆腐の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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