説明

布類投入装置

【課題】 布体の乾燥や折り畳みなどの処理工程で、シーツなど広巾のものであってもその送り込みベルト上に対し、円滑且つ綺麗な自動的投入を可能にする。
【解決手段】 布体保持機と送り込みベルトとからなる布類投入装置に於いて、送り込みベルトはその左右側方に対し、これと平行にガイドレールを設け、両ガイドレールを介して一定の高さ寸法を有する吸引箱体を誇設させ、且つその前方側から後方側へ移動可能なさしめると共に、その前方側では立設し、これに対し後方側へ移動するさいはその進行方向へ倒伏される構成になし、前者の立設状態では布体保持機に吊下された布体をその前面側へ吸着保持し、後者の倒伏移動では送り込みベルト上へ上記吸着箱体の前面側へ吸着保持した布体を受け渡しするようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
シーツなどの布類を乾燥や折り畳みする一連の作業工程では、布類を搬送上面へ一定の姿、形に展開して投入することが要求される。本発明は、この技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
特許第2827175号では布類を搬送上面(以下、送り込みベルトと記す)に投入するために、送り込みローラ前面に設けた布類投入保持機で布類を吊り下げ状態に保持させ、これを送り込みローラ上に受け渡すさいに、上記吊り下げた布類の先端部を放すと同時に、布類の上面へエアーを噴射する。このさい、布類の先端部を幅方向に沿って吸引保持する吸引体を送り込みベルト上部に配置し、投入保持機に吊り下げられている布類に接触する前端部に、布類に対して抵抗を与える凹凸上をなす係合部を形成させ、さらに上面に布類先端部を吸引する上面吸引口と、吸引保持した布類の先端部を投入保持機の位置から、送り込みベルト上へ移動させるための前後機構を設けたものとなされる。
【特許文献1】特許第2827175号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の布類投入装置では、吊り下げられた布類に対し、吸引体はほぼ直角に配置されているため、布類の先端部を吸引体の上部吸引部に移動させる手段として、投入保持機が布類を放すと同時に布類先端部の幅方向にエアーを噴射して吸引体上部に移動させるようになっている。ところで、投入保持機が布類を放すと自然落下により布類の先端部が少し落下し、先端部がまっすぐ吸引体の上に乗らない問題がある。また吸引体の先端部で布類を吸引保持してから布類の上記先端部はエアーの力で吸引体の上部へ移動させる構造のため、布類の先端部が必ずしも綺麗に吸引体の上部に乗らない問題を抱えている。
本発明は上記の如き問題点を解消した優れた装置の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、布体保持機と送り込みベルトとからなる布類投入装置に於いて、送り込みベルトはその左右側方に対し、これと平行にガイドレールを設け、両ガイドレールを介して一定の高さ寸法を有する吸引箱体を誇設させ、且つその前方側から後方側へ移動可能なさしめると共に、その前方側では立設し、これに対し後方側へ移動するさいはその進行方向へ倒伏される構成になし、前者の立設状態では布体保持機に吊下された布体をその前面側へ吸着保持し、後者の倒伏移動では送り込みベルト上へ上記吸着箱体の前面側へ吸着保持した布体を受け渡しするようになしたことを特徴とする。
【0005】
このさい、上記に於ける吸引箱体の高さ寸法は一般的に2cm〜20cmとなされ、且つ該箱体前面には多数の吸引孔が穿設されるものとなされる。
【0006】
また、吸引箱体の上面は箱体の後方側へ向かって一定角度の傾斜面を形成し、該傾斜面に対してスリットや吸引孔を穿設したものとなしたりする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は上記の如き構成のため、布体保持機で吊下状態に把持させてなる布体が、可成り大きな広巾のものであっても、その上端縁部に於ける全体面を安定的に吸引箱体の前面側で吸着保持し、布体保持機に於ける把持爪の開放と同時に円滑な移し変えが可能になるものとなる。而して、吸着箱体は送り込みベルト上の進行側へ倒伏しながら進行する構成になされていることから、上記の把持変えした布体はその傾斜状態で送り込みベルト上へ移送可能になされるのである。具体的には吸引箱体がガイドレールに案内されながら送りベルト上をその速さより少し大なる速度で進行し、且つその走行過程で吸着保持が解除されることにより行われるのであり、本発明ではこれら一連の動作が円滑且つ効率良く行われるものとなっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明で使用される布体保持機Aの正面図であって、図示しない左右支柱間の一定高さ位置に横梁1を装設すると共に、該横梁1間を一対の保持金具2,2が夫々れ左右方向へ摺動可能になされ、且つ各保持金具2,2の先端には把持爪3,3を、その上下方向へ移動可能に取付けたものとなされれいる。4は布体であって、図示例の如く各保持金具2,2が横梁1の中央へ引き寄せられた状態下で布体4の両端を把持爪3,3に把持させ、次に一点鎖線で示す如く各保持金具2,2を左右端側へ移動させると共に、各把持爪3,3を次述する送り込みベルトC上へ搬送させるに必要な一定高さ位置へと上昇させるようになさしめるのであり、4’はその上昇させた布体を示す。図2は上記の作動を側面図で説明するものである。
【0009】
図3は上記布体保持機Aの後方側へ配設させてなる布類投入装置B及び送り込みベルトCの正面図、そして図4は同平面図であって、該図から明らかな通り本発明の布類投入装置Bは送り込みベルトCを挟む状態に、即ち該送り込みベルトCの左右側方に対し、これと平行に断面コ字状のガイドレール5,5を配設させてなる。而して、各ガイドレール5,5はコ字状の開放面が対向するようになさしめると共に、対向する開放面を案内にして吸引箱体6が摺動移動するようになさしめるのであり、ここに該吸引箱体6は図示例の如く送り込みベルトCを跨ぐ長さ寸法Lで且つその高さ方向hの寸法を2cm〜20cmとなした長方形の箱体を形成し、該箱体の前面側には多数の透孔7を穿設すると共に、該箱体内の数箇所には小型のモーターファンを取付けて外気を吸引排気するようになしてある。而して、そのさい後述する如く上記透孔7を介して箱体6の前面へ布体4を吸引止着するのである。なお、8はモーターファン作動時の排気口である。
【0010】
図5は上記構成の吸引箱体6とガイドレール5の関係を示す部分詳細図であって、本図から明らかな通り吸引箱体6は、上記ガイドレール5上に断面L字状の取付け板9がタイミングベルト10を介し、一体となって前後方向の摺動可能に取付けてあり、このさい11は吸引箱体6からガイドレール5に対して突出させた支持軸であり、該支持軸先端には転子12が取付けられてコ字状の溝内を上記摺動移動で滑動するようになっている。
【0011】
一方、13はエアシリンダーであって、該シリンダー側の基端は上記取付け板9に取付けられ、これに対し作動側となるピストン側の先端は、吸引箱体6に取付けたブラケット板14にピス15を介し、矢印イ、ロの揺動可能に取付けられるものとなされる。なお、16は取付け板9側からガイドレール5内へ向けて突出させた転子であって、取付け板9の全体が安定的に保持されるようになっている。
【0012】
図6は図2で示した一点鎖線位置の布体4’(4)を、上記布類投入装置Bの吸引箱体6が吸引止着する側面視の作用説明図である。本図で明らかな通り吸引箱体6は、ガイドレール5,5により案内されるその前端縁で立設状態になされて把持爪3に把持され布体4’(4)の上部裏面側を吸引止着するのであり、而して、把持爪3が開放されると図7に示す通り、吸引箱体6が後方側へ倒伏されるものとなるのであり、これら吸引箱体6の立設や倒伏の一連動作は、前記エアーシリンダー12のピストン作動で、ブラケット板13が矢印イ、ロ方向に揺動されることにより行われる。
【0013】
図8は上記した吸引箱体6をその倒伏状態でガイドレール5に沿ってその後方へ走行させる状態の作用説明図であって、このさいその走行は下方に配置されている送り込みベルトcの走行速度より大なる速度で走行されるものとなっており、従って該図面に見られる通り送りベルトcのベルト上面へ布体4を自然な載置状態にするのであり、且つその適時後に吸引箱体6の吸引が解除されると、布体4の上端縁を含む全体の円滑な移し変えを完全に可能にするのである。このさい本発明では別途エアーなどの吹付け作用を何ら必要としないことから円滑且つ綺麗に、しかも適確に行うことのできるものとなる。
【0014】
本発明で吸引箱体6の立設状態に於ける上端縁を箱体の後方側へ向かって一定角度θに傾斜させたものでは、上記布体保持装置Aの把持爪に保持された布体4の移し変え、及び引続いて行われる上記送り込みベルトc上への投入動作のさいに、とりわけ布体4の上端縁を円滑且つ綺麗な状態で移し変えを可能にする上で著効がある。このさい上記角度θは通常10°〜30°になされる。なお、図面上(図5)の該傾斜面には透孔7を穿設したものを示したが、スリットになしても良い。
【0015】
上記した吸引箱体6の前後移動に係る駆動は、タイミングベルト10が回動されることにより行われるのであり、この駆動は片側ガイドレール5の側面箇所に配置した架台17上に取付けたモータ18の駆動で別途タイミングベルト19が回動軸20を、適宜正逆回転させることにより行われる(図3,4参照)。而して、吸引箱体6はガイドレール5,5の前後方向に案内され、その前進側の先端で該吸引箱体6がエアーシリンダー12の作動により立設されて布体4を受取り、次にその後進移動では吸引箱体6が倒伏され、該箱体表面に吸引止着された布体4を送り込みベルトC上へ既述した通り移し変えるのであり、以下の送りベルト上に於ける布体は、乾燥、折り畳みなど従来の仕様態様下で進行されるものとなる。
【0016】
本発明は以上の如く吸引箱体6を構成することにより、布体保持機からの布体を送り込みベルト上へ円滑且つ確実に移し変えさせることのできるものであり、本発明によれば布体の巾寸法が如何様に広くなるものであっても、迅速且つ適確な作業を遂行できるものとなる。このさい、吸引箱体6の高さ寸法hは任意に設計することができるが、通常は2cm〜20cmになされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】布体保持機Aの正面図である。
【図2】上記の側面図である。
【図3】布類投入装置B及び送り込みベルト装置Cの正面図である。
【図4】上記の平面図である。
【図5】上記布類投入装置に於ける吸引箱体とガイドレールの関係を示す部分詳細図である。
【図6】布体保持機Aに保持した布体を上記布類投入装置Bを使用して送り込みベルトcへ投入させる作用説明図である。
【図7】布体保持機Aに保持した布体を上記布類投入装置Bを使用して送り込みベルトcへ投入させる作用説明図である。
【図8】布体保持機Aに保持した布体を上記布類投入装置Bを使用して送り込みベルトcへ投入させる作用説明図である。
【符号の説明】
【0018】
A 布体保持機
B 布類投入装置
C 送り込みベルト
1 横梁
2 保持金具
3 把持爪
4 布体
5 ガイドレール
6 吸引箱体
7 透孔
8 排気口
9 取付け板
10 タイミングベルト
11 支持軸
12 転子
13 エアーシリンダー
14 ブラケット板
15 ピン
16 転子
17 架台
18 モータ
19 タイミングベルト
20 回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
布体保持機と送り込みベルトとからなる布類投入装置に於いて、送り込みベルトはその左右側方に対し、これと平行にガイドレールを設け、両ガイドレールを介して一定の高さ寸法を有する吸引箱体を誇設させ、且つその前方側から後方側へ移動可能なさしめると共に、その前方側では立設し、これに対し後方側へ移動するさいはその進行方向へ倒伏される構成になし、前者の立設状態では布体保持機に吊下された布体をその前面側へ吸着保持し、後者の倒伏移動では送り込みベルト上へ上記吸着箱体の前面側へ吸着保持した布体を受け渡しするようになしたことを特徴とする布類投入装置。
【請求項2】
吸引箱体の高さ寸法を2cm〜20cmとなし、該箱体前面に対し多数の吸引孔を穿設したものとなしたことを特徴とする請求項1記載の布類投入装置。
【請求項3】
吸引箱体の上面を箱体の後方側へ向かって一定角度の傾斜面に形成し、該傾斜面に対してスリットや吸引孔などを穿設したことを特徴とする請求項1又は2記載の布類投入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−63107(P2008−63107A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−244298(P2006−244298)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(591173822)株式会社山本製作所 (4)
【Fターム(参考)】