説明

希薄エチレンをオリゴマー化する方法

本方法及び装置は、FCC生成物から誘導することができる希薄エチレン流中のエチレンをより重質の炭化水素に転化する。本触媒は、第VIII及び/又はVIB族金属を有するアモルファスシリカ−アルミナ基材であってよい。本触媒は、硫化水素、炭素酸化物、水素、及びアンモニアのような供給流不純物に対して抵抗性である。希薄エチレン流中のエチレンの少なくとも40重量%をより重質の炭化水素に転化させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明の分野は、炭化水素流中の希薄エチレンをより重質の炭化水素に転化するための装置及び方法である。これらのより重質の炭化水素は自動車用燃料として用いることができる。
【背景技術】
【0002】
[0002]乾性ガスとは、エタンより低い沸点を有する全てのガスを含む流体接触分解ユニットからのオフガス流の通称である。オフガス流は、圧縮して可能な限り多くのC及びCガスを除去する。アミン吸収剤を用いるスクラバーにおいて、オフガス流からイオウも大いに吸収される。残りの流れはFCC乾性ガスとして知られる。代表的な乾性ガス流は、5〜50重量%のエチレン、10〜20重量%のエタン、5〜20重量%の水素、5〜20重量%の窒素、それぞれ0.1〜5.0重量%の一酸化炭素及び二酸化炭素、並びに0.01重量%未満の硫化水素及びアンモニアを含み、残りはメタンである。
【0003】
[0003]現在、FCC乾性ガス流は燃料ガスとして燃焼器に送られている。一日あたり7,949kL(50,000バレル)を処理するFCCユニットは、一日あたり燃料として36,000kg(40トン)のエチレンを有する181,000kg(200トン)の乾性ガスを燃焼する。燃料ガスと自動車用燃料製品又は純粋エチレンとの間に大きな価格差が存在するため、このエチレンを回収しようという企てが経済的利益をもたらすことは明らかである。しかしながら、乾性ガス流は、オリゴマー化触媒を被毒する可能性がある不純物を含んでおり、希薄であるので、ガス回収システムを用いてもエチレンの回収は経済的見地からみて正当化されない。
【0004】
[0004]濃縮エチレン流を液体生成物にオリゴマー化することは公知の技術である。しかしながら、オリゴマー化は通常は、特に液化石油ガス(LPG)又は脱水素供給材料からのプロピレン又はブチレンを用いてガソリン範囲のオレフィンを製造することを含む。エチレンは、その非常に低い反応性のためにオリゴマー化供給材料としては僅かしか用いられていない。
【0005】
[0005]精製所流中の希薄エチレンを利用する必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]本発明者らは、FCC乾性ガス流のような希薄エチレン流中のエチレンを、アモルファスシリカ−アルミナ上の第VIII族及び/又は第VIB族金属の触媒を用いてより重質の炭化水素に接触オリゴマー化することができることを見出した。より重質の炭化水素は、分離してガソリン及びディーゼルストック中にブレンドすることができる。本発明者らは、エチレンのオリゴマー化のために好適なゼオライト触媒が、炭素酸化物、アンモニア、及び硫化水素のような不純物の存在下で迅速に失活することを発見した。この不純物は、アモルファスシリカ−アルミナ担体上の第VIII族及び/又は第VIB族金属を含む触媒には実質的に悪影響を与えない。したがって、FCC乾性ガス流中の希薄エチレンを、未転化ガス流から容易に分離される液体燃料生成物にオリゴマー化することができる。未転化のガスはその後に燃料ガスとして燃焼させることができるが、より価値のあるエチレンはより重質の炭化水素として取り出される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]有利なことに、本方法及び装置においては、エチレンを希薄流で且つ触媒毒である可能性がある供給流不純物の存在下で用いることが可能である。
[0008]本発明の更なる特徴及び有利な点は、ここに与える発明の詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】[0009]図1は、FCCユニット及びFCC生成物回収システムの概要図である。
【図2】[0010]図2は、実施例6〜8に関するエチレン転化率と運転時間とのプロットである。
【図3】[0011]図3は、実施例9に関するエチレン転化率と運転時間とのプロットである。
【図4】[0012]図4は、実施例10に関するエチレン転化率と運転時間とのプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0013]本発明は、エチレン、好ましくは希薄割合のエチレンを含むいずれの炭化水素流にも適用することができる。好適な希薄エチレン流は、通常は5〜50重量%のエチレンを含んでいてよい。FCC乾性ガス流は好適な希薄エチレン流である。他の希薄エチレン流も、本発明においてコーカー乾性ガス流として用いることができる。本発明はFCC乾性ガスに特に適しているので、本明細書はFCC乾性ガス流からのエチレンの利用に関して記載する。
【0010】
[0014]ここで図1(図において、同じ数字は同じ構成要素を示す)を参照すると、図1は概してFCCユニットセクション10及び生成物回収セクション90を含む精製所複合施設6を示す。FCCユニットセクション10は、反応器12及び触媒再生器14を含む。プロセス変数は、通常は400℃〜600℃の分解反応温度、及び500℃〜900℃の触媒再生温度を含む。分解及び再生はいずれも506kPa(72.5psia)より低い絶対圧において行う。
【0011】
[0015]図1は、分配器16内の重質炭化水素流又は原料油流を、再生触媒立管18から送られる再生分解触媒とその中で接触させる通常のFCC反応器12を示す。この接触は、反応容器22の底部から上向きに伸長している狭い上昇管20内で行うことができる。供給流と触媒の接触は、流動化ライン24からのガスによって流動化される。一つの態様では、触媒からの熱によって炭化水素供給流又は油が気化し、炭化水素供給流は次に触媒の存在下でより軽分子量の炭化水素生成物に分解される。これは両方が上昇管20を上昇して反応容器22中に移動する間に行われる。上昇管20内で不可避的な副反応が起こって触媒上にコーク堆積物が残留し、これによって触媒活性が低下する。分解した軽質炭化水素生成物は、その後、反応容器22内の一次分離器26及び1段階又は2段階のサイクロン28を含み得るサイクロン分離器を用いてコーク化分解触媒から分離される。気体状の分解生成物が、反応容器22から生成物出口31を通して下流の生成物回収セクション90へ移送するためのライン32へ排出される。消費された又はコーク化された触媒は、更に使用するためには再生が必要である。コーク化分解触媒は、気体状生成物炭化水素から分離された後、ストリッピングセクション34内に落下する。ここでは、水蒸気がノズルから注入されて全ての残留炭化水素蒸気がパージされる。ストリッピング操作の後、消費触媒立管36を通してコーク化触媒を触媒再生器14に送る。
【0012】
[0016]図1は、燃焼器として知られている再生器14を示す。しかしながら、他のタイプの再生器も好適である。触媒再生器14では、空気のような酸素含有ガスの流れを空気分配器38に通して導入し、コーク化触媒と接触させる。コーク化触媒からコークを燃焼させて、再生触媒及び燃焼排ガスを供給する。触媒再生プロセスによって触媒に相当量の熱が加えられて、反応器上昇管20内で起こる吸熱分解反応を相殺するエネルギーが供給される。触媒及び空気は、触媒再生器14内に配置されている燃焼器上昇管40に沿って一緒に上向きに流れ、再生された後、まずは分離装置42に通して排出することによって分離される。分離装置42から排出される再生触媒及び燃焼排ガスの更なる回収は、触媒再生器14内のそれぞれ第1及び第2段階分離器サイクロン44、46を用いて行われる。燃焼排ガスから分離された触媒はサイクロン44、46からディップレグを通じて供給され、一方、触媒中の比較的より軽質の燃焼排ガスは引き続いてサイクロン44、46から排出され、再生器容器14から燃焼排ガス出口47を通じて燃焼排ガスライン48内に排出される。再生触媒は、再生触媒立管18を通じて上昇管20に戻される。コークが燃焼した結果として、触媒再生器14の頂部において排出されるライン48内の燃焼排ガス蒸気は、CO、CO、N、及びHOを、少量の他の種と共に含む。高熱の燃焼排ガスが、更なる処理のために、再生器14から燃焼排ガス出口47を通じてライン48内に排出される。
【0013】
[0017]生成物回収セクション90は、生成物出口31と下流連絡している。「下流連絡」とは、下流連絡している構成要素へ流れる物質の少なくとも一部を、それと連絡している構成要素から効果的に流すことができることを意味する。「連絡」とは、示されている構成要素の間での物質流が効果的に可能であることを意味する。生成物回収セクション90においては、ライン32内の気体状FCC生成物をFCC主分留カラム92の下部に送る。主カラム92は生成物出口31と下流連絡している。ライン93内の塔底流からの重質スラリー油、ライン94内の重質サイクル油、出口95aから回収されるライン95内の軽質サイクル油、及び出口96aから回収されるライン96内の重質ナフサ流などのFCC生成物の幾つかのフラクションを、分離して主カラムから回収することができる。任意の又は全てのライン93〜96は冷却されて、通常はより高い位置で主カラム92にポンプで戻されて主カラムは冷却されることが可能となる。ガソリン及び気体状軽質炭化水素を主カラム92から塔頂ライン97内に取り出し、凝縮した後に主カラム受容器99に導入する。主カラム受容器99は生成物出口31と下流連絡しており、主カラム92は主カラム受容器99と上流連絡している。「上流連絡」とは、上流連絡している構成要素から流れる物質の少なくとも一部を、それと連絡している構成要素へ効果的に流すことができることを意味する。
【0014】
[0018]水性流を受容器99内のブーツから取り出す。更に、凝縮した軽質ナフサ流をライン101内に取り出し、一方、塔頂流をライン102内に取り出す。ライン102内の塔頂流は、希薄エチレン流を含んでいてもよい気体状軽質炭化水素を含む。ライン101及び102内の流れは、生成物回収セクション90の蒸気回収セクション120に導入することができる。
【0015】
[0019]蒸気回収セクション120は吸収ベースのシステムであるように示されているが、コールドボックスシステムなどの任意の蒸気回収システムを用いることができる。軽質ガス成分の十分な分離を得るために、ライン102内の気体流を圧縮機104内で圧縮する。1段より多い圧縮機を用いることができるが、通常は二段圧縮を用いる。ライン106内の圧縮された軽質炭化水素流は、ライン107及び108内の流れと合流させられ、冷却され、高圧受容器110に送られる。受容器110からの水性流は、主カラム受容器99に送ることができる。希薄エチレン流を含むライン112内の気体状炭化水素流は一次吸収器114に送られ、この中ではライン101内の主カラム受容器99からの不安定ガソリンと接触させられてC3+とC2−炭化水素の間の分離が行なわれる。一次吸収器114は主カラム受容器99と下流連絡している。ライン107内の液体C3+流はライン106に戻され、その後に冷却される。ライン116内の一次吸収器114からの一次オフガス流は、本発明の目的のための希薄エチレン流を含む。しかしながら、エチレン流を更に濃縮し、より重質の成分を回収するために、ライン116を場合によっては二次吸収器118に向けることができる。ここでは、ライン95から分岐したライン121内の軽質サイクル油の循環流が、一次オフガス流内の残りのC5+の大部分及び若干のC〜C物質を吸収する。二次吸収器118は一次吸収器114と下流連絡している。ライン119内のC3+物質に富む二次吸収器の底部からの軽質サイクル油は、ライン95のためのポンプアラウンドを通じて主カラム92に戻される。硫化水素、アンモニア、炭素酸化物、及び水素を有する主としてC2−炭化水素の乾性ガスを含む二次吸収器118の塔頂流は、ライン122内の二次オフガス流において取り出され、希薄エチレン流を構成する。
【0016】
[0020]ライン124内の高圧受容器110からの液体はストリッパー126に送る。C2−の大部分がストリッパー126の塔頂流において取り出され、塔頂流ライン108を通じてライン106に戻される。ストリッパー126からの液体塔底流はライン128を通じて脱ブタン化カラム130に送られる。ライン132内の脱ブタン化器からの塔頂流はC〜Cオレフィン生成物を含み、一方、安定化ガソリンを含むライン134内の塔底流は更に処理されてガソリン貯留槽に送られてよい。
【0017】
[0021]本発明の希薄エチレン流は、5〜50重量%のエチレン、好ましくは10〜30重量%のエチレンを含むFCC乾性ガス流を含み得る。メタンは、通常は25〜55重量%の濃度の希薄エチレン流中の主成分であり、エタンは通常は5〜45重量%で実質的に存在する。1〜25重量%、通常は5〜20重量%の水素及び窒素がそれぞれ希薄エチレン流中に存在し得る。飽和レベルの水も希薄エチレン流中に存在し得る。二次吸収器118を用いる場合には、5重量%以下のC3+、通常は0.5重量%未満のプロピレンが存在する。
【0018】
[0022]水素に加えて、硫化水素、アンモニア、炭素酸化物、及びアセチレンのような他の不純物も希薄エチレン流中に存在し得る。
[0023]本発明者らは、乾性ガスエチレン流中の多くの不純物によってオリゴマー化触媒が被毒する可能性があることを見出した。水素及び一酸化炭素は金属部位を還元して不活性にする可能性がある。二酸化炭素及びアンモニアは触媒上の酸部位を攻撃する可能性がある。硫化水素は触媒上の金属を攻撃して金属硫化物を形成する可能性がある。アセチレンは触媒又は装置上で重合して粘着する可能性がある。
【0019】
[0024]ライン122内の希薄エチレン流を含む二次オフガス流は、任意的なアミン吸収器ユニット140中に導入され、その結果、硫化水素がより低い濃度になるまで除去され得る。例えばモノエタノールアミン又はジエタノールアミンを含む希薄アミン水溶液をライン142を通じて吸収器140中に導入され、流入する二次オフガス流と接触により硫化水素を吸収し、硫化水素を含む富化アミン吸収水溶液をライン143を通して吸収区域140から取り出され、回収され、おそらくは更に処理されることになる。
【0020】
[0025]ライン144内のアミンで処理された希薄エチレン流は、任意的な水洗浄ユニット146中に導入され、その結果、アミン吸収器140から繰り越された残留アミンが除去されて、ライン144内の希薄エチレン流中のアンモニア及び二酸化炭素の濃度は低下する可能性がある。水はライン145で水洗浄に導入される。ライン145内の水は、通常は僅かに酸性化されてアミンのような塩基性分子の捕捉が促進される。アミン及び場合によってはアンモニア及び二酸化炭素に富むライン147内の水性流は水洗浄ユニット146から排出され、そして更に処理されてよい。
【0021】
[0026]ライン148内の場合によってはアミンで処理された希薄エチレン及びおそらくは水で洗浄された流れは、次に任意的な保護床150内で処理され、その結果、一酸化炭素、硫化水素、及びアンモニアのような1種類以上の不純物がより低い濃度になるまで除去され得る。保護床150は、オリゴマー化触媒を被毒する可能性がある硫化水素のような不純物を吸着する吸着剤を含有することができる。保護床150は、1より多いタイプの不純物を吸着するために複数の吸着剤を含有することができる。硫化水素を吸着するための代表的な吸着剤はADS-12であり、COを吸着するためのものはADS-106であり、アンモニアを吸着するためのものはUOP MOLSIV 3Aである(全てUOP, LLCから入手できる)。吸着剤は単一の床内で混合することができ、或いは連続床内に配置することができる。
【0022】
[0027]おそらくはアミンで処理され、おそらくは水で洗浄され、おそらくは吸着処理されてより多くの硫化水素、アンモニア、及び一酸化炭素が除去されたライン151内の希薄エチレン流は、通常は以下の不純物濃度:少なくとも0.1重量%で5.0重量%以下の一酸化炭素、及び/又は少なくとも0.1重量%で5.0重量%以下の二酸化炭素、及び/又は少なくとも1wppmで500wppm以下の硫化水素、及び/又は少なくとも1で500wppm以下のアンモニア、及び/又は少なくとも5で20重量%以下の水素:の少なくとも1つを有する。存在する不純物のタイプ及びそれらの濃度は、希薄エチレン流の処理及び起源によって変化する。
【0023】
[0028]ライン151によって、希薄エチレン流を、反応器圧力まで加圧する圧縮機152に送る。圧縮機152は、主カラム92、生成物回収セクション90、及び生成物出口31と下流連絡している。圧縮希薄エチレン流は、少なくとも3,550kPa(500psia)、おそらくは10,445kPa(1500psia)以下、好適には4,930kPa(700psia)〜7,687kPa(1100psia)に圧縮することができる。迅速な触媒失活を避けるためには、純粋なエチレンに関して4,992kPa(724psia)であるエチレンの臨界圧よりも高い圧力まで希薄エチレン流を加圧することが好ましい。圧縮機152は中間冷却を有する1以上の段階を含有してよい。圧縮流を反応温度にするためにはヒーターが必要である可能性がある。圧縮希薄エチレンはライン154でオリゴマー化反応器156に送る。
【0024】
[0029]オリゴマー化反応器156は、圧縮機152並びに一次及び二次吸収器(それぞれ114及び118)と下流連絡している。オリゴマー化反応器は、好ましくは固定触媒床158を含む。希薄エチレン供給流は、好ましくは下向流運転で触媒と接触させる。しかしながら、上向流運転が好適である可能性がある。触媒は、好ましくはケミカルアブストラクトサービスの表記法を用いた周期律表の第VIII及び/又は第VIB族のいずれかからの金属を有するアモルファスシリカ−アルミナ基材である。一形態においては、触媒は第VIB金属で促進されている第VIII族金属を有する。一形態においては、触媒は、30以下、好ましくは20以下のシリカ−アルミナ比を有する。通常は、シリカ及びアルミナは基材内にのみ存在しているので、触媒に関するシリカ−アルミナ比は基材に関するものと同等である。金属は、シリカ−アルミナ基材上に含浸させるか、或いはこれとイオン交換することができる。共混練も想定されている。本発明のための触媒は、以下に説明するアンモニア温度プログラム脱離(アンモニアTPD)によって測定したとき少なくとも0.15、好適には0.2、好ましくは0.25より大きい低温酸性度比を有していてよい。更に、好適な触媒は、窒素BETによって測定して50〜400m/gの表面積を有する。
【0025】
[0030]以下に本発明の好ましいオリゴマー化触媒を記載する。好ましいオリゴマー化触媒はアモルファスシリカ−アルミナ担体を含む。本発明において用いる触媒担体の成分の1つはアルミナである。アルミナは、ベーマイト又は擬ベーマイト構造のα−アルミナ一水和物、ギブサイト構造のα−アルミナ三水和物、バイヤライト構造のβ−アルミナ三水和物などのような任意の種々の水和アルミニウム酸化物又はアルミナゲルであってよい。特に好ましいアルミナはSasol North America Alumina Product GroupからCatapalの商標で入手することができる。この材料は非常に高純度のα−アルミナ一水和物(擬ベーマイト)であり、高温でか焼すると高純度のγ−アルミナが得られることが示されている。触媒担体の他の成分はアモルファスシリカ−アルミナである。2.6のシリカ−アルミナ比を有する好適なシリカ−アルミナを、JGC, Japanの子会社であるCCICから入手することができる。
【0026】
[0031]本発明において用いる触媒の製造に使用する他の成分は界面活性剤である。界面活性剤は、好ましくは上記のアルミナ及びシリカ−アルミナ粉末と混合する。得られる界面活性剤、アルミナ、及びシリカ−アルミナの混合物を、次に以下に記載するように成形し、乾燥し、か焼する。か焼により界面活性剤の有機成分が燃焼によって有効に除去されるが、その後でのみ界面活性剤は本発明によるその機能をきちんと果たす。任意の好適な界面活性剤を本発明にしたがって用いることができる。好ましい界面活性剤は、Solvay S.A.によって「Antarox」の商標で販売されている一連の商業的な界面活性剤から選択される界面活性剤である。「Antarox」界面活性剤は、一般に変性線状脂肪族ポリエーテルとして特徴付けられ、低発泡性の生物分解性洗浄剤及び湿潤剤である。
【0027】
[0032]好適なシリカ−アルミナ混合物は、所望のシリカ−アルミナ比を達成するのに見合った体積のシリカ−アルミナ及びアルミナを混合することによって製造される。一態様においては、2.6のシリカ−アルミナ比を有するアモルファスシリカ−アルミナ85重量%及びアルミナ粉末15重量%が好適な担体を与える。一態様においては、担体の最終シリカ−アルミナ比が好適には30以下、好ましくは20以下である限りにおいて、85/15以外のアモルファスシリカ−アルミナ/アルミナの比が好適となり得る。
【0028】
[0033]界面活性剤をシリカ−アルミナ及びアルミナの混合物と共に導入するために任意の好適な方法を用いることができる。界面活性剤は、好ましくはアルミナ及びシリカ−アルミナの混合及び成形中に混合する。好ましい方法は、担体の最終成形を行う前に界面活性剤の水溶液をアルミナ及びシリカ−アルミナのブレンドと混合することである。界面活性剤は、アルミナ及びシリカ−アルミナの重量を基準として0.01〜10重量%の量でペースト又はドウ中に存在させることが好ましい。
【0029】
[0034]硝酸又はギ酸のような一塩基酸を水溶液で混合物に加えて、アルミナをバインダー中に解膠させることができる。更なる水を混合物に加えて、押出又は噴霧乾燥するのに十分なコンシステンシーを有するドウを構成するのに十分な湿分を与えることができる。
【0030】
[0035]ペースト又はドウは成形粒子の形態で製造することができ、好ましい方法は、所望の寸法及び形状の開口をその中に有するダイを通してアルミナ、シリカ−アルミナ、界面活性剤、及び水のドウ混合物を押出し、その後、押出した物質を所望の長さの押出物に破砕して乾燥することである。更なるか焼工程を用いて押出物に更なる強度を与えることができる。一般に、か焼は乾燥空気流中、260℃(500°F)〜815℃(1500°F)の温度において行う。
【0031】
[0036]押出した粒子は、任意の好適な、即ち対称又は非対称の断面形状を有していてよいが、殆どの場合には対称の断面形状、好ましくは球状、円筒形、又は多葉形状を有する。粒子の断面直径は40μm程度の小ささであってよいが、通常は0.635mm(0.25インチ)〜12.7mm(0.5インチ)、好ましくは0.79mm(1/32インチ)〜6.35mm(0.25インチ)、最も好ましくは0.06mm(1/24インチ)〜4.23mm(1/6インチ)である。中でも、例えば米国特許第4,028,227号明細書の図8及び8Aに示されているような三葉クローバーの形状に似ている断面形状が好ましい触媒の形態である。好ましいクローバー形状の粒子は、断面のそれぞれの「葉」が0.51mm(0.02インチ)〜1.27mm(0.05インチ)の直径を有する円の270°の円弧によって画定されるようなものである。他の好ましい粒子は、米国特許第4,028,227号明細書の図10におけるような非対称形状及び対称形状を含む四葉状の断面形状を有するものである。
【0032】
[0037]ここで用いるアモルファスシリカ−アルミナ担体の代表的な特徴は、活性金属成分を堆積させる実質的な空間及び領域を与えるのに十分に大きい全細孔容積、平均細孔直径、及び表面積である。通常の水銀ポロシメーター法によって測定される担体の全細孔容積は、通常は0.2〜2.0cc/g、好ましくは0.25〜1.0cc/g、最も好ましくは0.3〜0.9cc/gである。通常は、100Åより大きい直径の細孔での担体の細孔容積の量は、0.1cc/g未満、好ましくは0.08cc/g未満、最も好ましくは0.05cc/g未満である。BET法によって測定される表面積は、通常は50m/gより大きく、例えば200m/gより大きく、好ましくは少なくとも250m/g、最も好ましくは300m/g〜400m/gである。
【0033】
[0038]触媒を製造するためには、例えばか焼アモルファス耐火性酸化物担体粒子に、周期律表の第VIII又はVIB族からの少なくとも1種類の金属成分の1種類以上の前駆体を単一含浸又は多重含浸させることによって担体材料を配合する。第VIII族金属、好ましくはニッケルは0.5〜15重量%の濃度で存在する必要があり、第VIB族金属、好ましくはタングステンは0〜12重量%の濃度で存在する必要がある。含浸は、例えば金属前駆体を溶解形態で含む溶液を担体粒子上に噴霧する噴霧含浸による当該技術において公知の任意の方法によって行うことができる。他の方法は、担体材料を、中間乾燥を行うか又は行わずに含浸溶液と繰り返し接触させる多重浸漬法である。更に他の方法は、担体を大量の含浸溶液中に浸漬するか又はその中で担体を循環させることを含み、更にもう1つの方法は、担体の細孔を充填するのに丁度十分な体積の含浸溶液中に担体粒子を導入する細孔容積又は細孔飽和法である。時には、細孔飽和法を修正して、細孔を丁度充填する体積よりも10%少ない体積乃至10%多い体積を有する含浸溶液を用いるようにすることができる。
【0034】
[0039]含浸によって活性金属前駆体を導入する場合には、例えば399℃〜760℃(750°F〜1400°F)のような昇温温度における後段又は二次か焼によって、金属をそれらのそれぞれの酸化物形態に転化させる。幾つかの場合においては、か焼の後に個々の活性金属をそれぞれ含浸させることができる。後段か焼によって、活性金属をそれらのそれぞれの酸化物形態で含む触媒が得られる。
【0035】
[0040]本発明の好ましいオリゴマー化触媒は、3.175mm(0.125インチ)の押出物の形態で0.45〜0.65g/mLの密度の0.5〜15重量%のニッケルが含浸されているアモルファスシリカ−アルミナ基材を有する。また、イオン交換及び共混練のような他の方法によって金属を担体上に導入することができることも想定されている。
【0036】
[0041]本発明のために好適な別の触媒は、マクロ球体の形態の担体の利用を可能にする周知の油滴下法によって製造される共ゲル化シリカ−アルミナ担体を使用する。例えば、アルミナ源として用いられるアルミナゾルをシリカ源としての酸性化水ガラス溶液と混合し、混合物を好適なゲル化剤、例えば尿素、ヘキサメチレンテトラミン、又はこれらの混合物と更に混合する。混合物を、未だゲル化温度より低い状態で、ノズル又は回転ディスクを用いてゲル化温度に保持されている熱油浴中に排出する。混合物を油浴中に液滴として分散させ、それを通して通過させる間にほぼ球形のゲル粒子に成形する。アルミナゾルは、好ましくは、アルミニウムペレットを一定量の処理水又は脱イオン水と混合し、アルミニウム金属の一部を温浸して所望のゾルを形成するのに十分な量の塩酸をそれに加える方法によって調製される。好適な反応速度は、混合物の還流温度において達成される。
【0037】
[0042]油滴下法によって製造されたほぼ球状のゲル粒子は、通常は油浴中で少なくとも10〜16時間の間、次に好適なアルカリ性又は塩基性媒体中で少なくとも3〜10時間熟成し、最後に水洗する。油浴中での混合物の適度なゲル化、及びゲル球状体のその後の熟成は、48.9℃(120°F)より低い温度においては容易に達成されず、98.9℃(210°F)においては、迅速な気体発生によって球体が破裂するか又は他の形態で壊れやすくなる傾向がある。液相中に水を保持するために形成工程及び熟成工程中に十分な大気圧以上の圧力を保持することによって、より高い温度を用いることができ、しばしば改良された結果が得られる。ゲル粒子を大気圧以上の圧力において熟成する場合には、アルカリ性熟成工程は必要ない。
【0038】
[0043]球状体は、好ましくは少量の水酸化アンモニウム及び/又は硝酸アンモニウムを含む水で水洗する。洗浄後、球状体を93.3℃(200°F)〜315℃(600°F)の温度において6〜24時間又はそれ以上の間乾燥し、次に426.67℃(800°F)〜760℃(1400°F)の温度において2〜12時間又はそれ以上の時間か焼する。
【0039】
[0044]第VIII族成分及び第VIB族成分は、任意の好適な共含浸法によって共ゲル化シリカ−アルミナキャリア材料を用いて構成される。したがって、キャリア材料を、可溶性の第VIII族塩及び可溶性の第VIB族塩を含む水性含浸溶液中に、液浸、浸漬、懸濁、又は他の形態で浸漬させることができる。他の好適な方法は、キャリア材料を含浸溶液中に浸漬し、それをロータリー蒸気ドライヤー内で蒸発乾固させることを含み、含浸溶液の濃度は、0.1〜0.3のニッケル/ニッケル+タングステンの原子比を有する最終触媒複合体が得られるようなものである。他の好適な方法は、溶液によるキャリアへの完全な浸透が達成されるまで、キャリア材料を室温において水性含浸溶液中に浸漬することを含む。含浸溶液の吸収後、キャリアから自由表面液体を排水し、移動ベルトか焼炉内で乾燥する。
【0040】
[0045]触媒複合体は、通常は、か焼の前に93.3℃(200°F)〜260℃(500°F)の温度で1〜10時間の間乾燥する。本発明によれば、か焼は酸化性雰囲気中、371℃(700°F)〜650℃(1200°F)の温度で行う。酸化性雰囲気は好適には空気であるが、分子状酸素を含む他の気体を用いることができる。
【0041】
[0046]好適な別の触媒は、0.5〜15重量%のニッケル及び0〜12重量%のタングステンを含浸させた3.175mm(0.125インチ)の直径を有する油滴下シリカ−アルミナ球状担体である。他の金属導入法が好適である可能性があり、かつ想定されている。別の触媒に関する好適な密度範囲は0.60〜0.70g/mLである。
【0042】
[0047]希薄エチレン供給流は、200℃〜400℃の温度においてオリゴマー化触媒と接触させることができる。反応は、主として気相中、エチレン基準で50〜1000hr−1のGHSVにおいて行う。本発明者らは、驚くべきことに、触媒を被毒する供給流中の不純物の存在及び供給流中のエチレンの希薄化にもかかわらず、供給流中の少なくとも40重量%で75重量%程度の多さのエチレンがより重質の炭化水素に転化することを見出した。エチレンは、まず触媒上でより重質のオレフィンにオリゴマー化する。より重質のオレフィンの一部は触媒上で環化する可能性があり、水素の存在によって全てエチレンよりも重質の炭化水素であるパラフィンへのオレフィンの転化を促進することができる。
【0043】
[0048]触媒は不純な供給流にもかかわらず安定な状態で保持されるが、失活したら再生され得る。好適な再生条件としては、触媒を例えばその場で500℃の加熱空気に3時間曝露することが挙げられる。再生触媒の活性及び選択率は新しい触媒に匹敵するものである。
【0044】
[0049]ライン160内のオリゴマー化反応器からのオリゴマー化生成物流は、気体流を液体流から分離する簡単なフラッシュドラムであってよいオリゴマー化分離器162に送ることができる。オリゴマー化分離器162はオリゴマー化反応器156と下流連絡している。水素、メタン、エタン、未反応のオレフィン、及び軽質不純物のような軽質ガスを含む塔頂ライン164内の気体生成物流は、燃焼ユニット166に送ってライン167に蒸気を生成させることができる。或いは、塔頂ライン164内の気体生成物は、燃焼してヒーター(図示せず)を加熱するか、及び/又はガスタービン(図示せず)を回して電力を生成させる燃焼排ガスの源を与えることができる。塔頂ライン164は燃焼ユニット166と上流連絡している。ライン168内のオリゴマー化分離器162からのより重質の炭化水素を含む液体塔底流は、バルブの上に降下させ、生成物分離セクション90に再循環して戻すことができる。再循環ライン168はオリゴマー化分離器162の塔底169と下流連絡している。したがって、主カラム92はオリゴマー化反応器156と下流及び上流連絡している。塔底流は、好ましくは再循環ライン168を通して、主カラム92の重質ナフサ出口96aと軽質サイクル油出口95aとの間の位置に再循環させる。或いは、再循環ライン168は軽質サイクル油ライン95又は重質ナフサライン96に供給する。再循環ラインは、オリゴマー化反応器156と下流連絡しており、主カラム92と上流連絡している。或いは、ライン160又は168内のオリゴマー化生成物は、生成物分離区域90に再循環させずに、飽和させるか又は飽和させないで燃料タンクに送ることができる。
【実施例】
【0045】
[0050]以下の実施例によって本発明の有用性を示す。
実施例1:
[0051]本発明の別の触媒に関して上記に示した手順により、アモルファスシリカ−アルミナ油滴下球状基材上のニッケル及びタングステンを合成した。金属は、触媒の1.5重量%のニッケル及び11重量%のタングステンを含んでいた。球状の基材は3.175mmの直径を有していた。触媒は、3のシリカ−アルミナ比、0.641g/mLの密度、及び371m/gの表面積を有していた。
【0046】
実施例2:
[0052]CICCによって提供された2.6のシリカ−アルミナ比を有するアモルファスシリカ−アルミナ及びCatapalの商標で提供された擬ベーマイトを85−15の重量比で混合することによって、押出アモルファスシリカ−アルミナを合成した。擬ベーマイトは、アモルファスシリカ−アルミナと混合する前に硝酸によって解膠させた。ドウを湿潤させるのに十分な量のAntaroxの商標で提供された界面活性剤及び水を混合物に加えた。触媒ドウを、円筒形ダイプレート内の1.59mmの開口を通して押出し、小片に破砕した後、550℃においてか焼した。85重量%のシリカ−アルミナ及び15重量%のアルミナから構成される最終触媒は、1.92のシリカ−アルミナ比を有し、368m/gの表面積を有していた。
【0047】
実施例3:
[0053]3.37gのNi(NO・6HOを32.08gの脱イオン水中に溶解した。ニッケル溶液を4回に分けて加え、添加の間に激しく振盪することによって、ニッケル溶液を実施例2の押出アモルファスシリカ−アルミナと接触させた。明緑色の押出物が得られた。次に、押出物を110℃において3時間乾燥し、次に2℃/分で500℃に昇温して500℃において3時間保持することによってか焼し、次に室温に冷却することによって、ニッケル金属を酸化物に転化させた。明灰色の押出物は1.5重量%のニッケルを含むことが分かった。
【0048】
実施例4:
[0054]シリカ−アルミナ比が40となるようなMTTゼオライトの試料をZeolyst Corporationから得た。MTTゼオライトを擬ベーマイトと混合し、円筒形ダイプレート内の3.175mmの開口を通して押出した後、550℃においてか焼した。最終触媒は80重量%のMTTゼオライト及び20重量%のアルミナから構成されていた。
【0049】
実施例5:
[0055]実施例1の触媒を、280℃、6,895kPa(1000psig)、58OGHSV(オレフィンガスの空間速度)において、10mLの触媒上での固定床運転でオレフィンオリゴマー化に関して試験した。供給流は30重量%のC及び70重量%のCHから構成されていた。結果を表Iに示す。
【0050】
実施例6:
[0056]実施例2の触媒を、280℃、6,895kPa(1000psig)、586OGHSVにおいて、10mLの触媒上での固定床運転でオレフィンオリゴマー化に関して試験した。供給流は23重量%のC、14重量%のC、35重量%のCH、13重量%のH、13重量%のN、1重量%のCO、1.5重量%のCO、10wppmのHSから構成されており、オリゴマー化反応に供給する前に25℃及び3,447kPa(500psig)において水蒸気で飽和した。結果を表I及び図2に示す。
【0051】
実施例7:
[0057]実施例3の触媒を、280℃、6,895kPa(1000psig)、586OGHSVにおいて、10mLの触媒上での固定床運転でオレフィンオリゴマー化に関して試験した。供給流は23重量%のC、14重量%のC、35重量%のCH、13重量%のH、13重量%のN、1重量%のCO、1.5重量%のCO、10wppmのHSから構成されており、オリゴマー化反応に供給する前に25℃及び3,447kPa(500psig)において水蒸気で飽和した。結果を表I及び図2に示す。運転27〜44時間の間に、1ppmのNHも供給流に加えた。転化率又は選択率の変化は見られなかった。
【0052】
実施例8:
[0058]供給流中のHSの濃度が10wppmではなく50wppmであった他は、実施例7の実験を繰り返した。結果を表I及び図2に示す。
【0053】
[0059]図2は、実施例6〜8に関するC転化率と運転時間とのプロットである。実施例3のアモルファスシリカ−アルミナ上ニッケルの触媒は、エチレン転化に関して実施例2のシリカ−アルミナ基材よりも良好に機能した。実施例2及び3の触媒はまた、供給流の不純物によって少ししか影響を受けなかった。
【0054】
実施例9:
[0060]実施例4の触媒を、280℃、6,895kPa(1000psig)、586OGHSVにおいて、10mLの触媒上での固定床運転でオレフィンオリゴマー化に関して試験した。供給流は23重量%のC、14重量%のC、35重量%のCH、13重量%のH、13重量%のN、1重量%のCO、1.5重量%のCO、10wppmのHSから構成されており、オリゴマー化反応に供給する前に25℃及び3,447kPa(500psig)において水蒸気で飽和させた。結果を表I及び図3に示す。
【0055】
[0061]図3は、実施例9に関するC転化率と運転時間とのプロットであり、実施例4のMTTゼオライト触媒を被毒する可能性のある不純物の影響を示す。反応20時間後に、転化率は10重量%より低く低下し、一方、実施例7及び8における実施例3からの触媒による転化率は約60重量%に保持された。
【0056】
実施例10:
[0062]実施例4の触媒を、280℃、6,895kPa(1000psig)、613OGHSVにおいて、10mLの触媒上での固定床運転でオレフィンオリゴマー化に関して試験した。供給流は30重量%のC及び70重量%のCHから構成されていた。運転21時間目に、水素を加えて27重量%のC、63重量%のCH、及び10重量%のHから構成される供給流を得た。運転45時間目に、H中の500wppmのNHを加えて、27重量%のC、63重量%のCH、10重量%のH、及び50wppmのNHの供給流を得た。結果を表I及び図4に示す。
【0057】
[0063]図4は、実施例10からのC転化率と運転時間とのプロットであり、実施例4のMTTゼオライト触媒に対する不純物H及びNHの影響を示す。図3から分かるように、エチレン転化率は運転20時間目に供給流に水素を導入することによって低下した。更に、運転45時間目にアンモニアを導入することによって、エチレン転化率は速やかに大きく減少した。
【0058】
【表1】

【0059】
実施例11:
[0064]アンモニア温度プログラム脱離(アンモニアTPD)試験は、250mgの触媒試料をまず、100mL/分の流速のヘリウム雰囲気中、20体積%の酸素の存在下において、5℃/分の速度で550℃の温度に加熱することを含む。1時間保持した後、ヘリウムを用いて15分間系をフラッシングし、試料を150℃に冷却する。次に、試料を40mL/分のヘリウム中においてパルス状のアンモニアで飽和させた。用いるアンモニアの全量は、試料上の全ての酸部位を飽和するのに必要な量を大きく超えるものである。試料を40mL/分のヘリウムで8時間パージして、物理吸着したアンモニアを除去した。ヘリウムパージを継続しながら、温度を10℃/分の速度で600℃に最終温度に上昇させた。較正熱伝導度検出器を用いて脱離したアンモニアの量を観測した。積分によってアンモニアの全量を求めた。
【0060】
[0065]試料の乾燥重量に対する脱離したアンモニアの全量の比によって全酸性度が得られた。ここで用いる全酸性度の値は、乾燥試料1gあたりのアンモニアのミリモルの単位で与えられる。希薄エチレン流のオリゴマー化に関して活性な触媒は酸性であり、即ちアンモニアTPDによって測定して少なくとも0.15、好ましくは少なくとも0.25の全酸性度を有する。
【0061】
[0066]試料の乾燥重量に対する300℃の温度に達する前に試料から脱離したアンモニアの全量の比によって低温ピークが得られた。ここで用いる低温ピークの値は、乾燥試料1gあたりのアンモニアのミリモルの単位で与えられる。希薄エチレン流のオリゴマー化に関して活性な触媒は低温ピークを有し、即ちアンモニアTPDによって測定して少なくとも0.05、好ましくは少なくとも0.06の低温ピークを有する。
【0062】
[0067]全酸性度に対する低温ピークの比によって、低温酸性度比として知られる無単位の比が与えられる。希薄エチレン流のオリゴマー化に関して活性の希薄エチレン流中の供給流不純物に対して抵抗性の触媒は、アンモニアTPDによって測定して少なくとも0.15、好適には少なくとも0.2、好ましくは0.25より大きい低温酸性度比を有する。
【0063】
【表2】

【0064】
[0068]実施例から、ゼオライト触媒は供給流不純物によってエチレン転化に関してそれほど有効ではないことが示され、一方、本発明の触媒は、典型的な触媒毒である供給流中の不純物の存在にもかかわらず有効なエチレンのオリゴマー化触媒のままであることが分かる。本発明の触媒は、少なくとも40重量%、通常は60重量%、好ましくは70重量%より大きいエチレン転化率を維持する。
【0065】
[0069]当業者であれば、更なる詳細な説明なしに、上述の記載を用いて本発明をその最大範囲まで利用することができると考えられる。したがって、上述の好ましい特定の態様は単なる例示として解釈すべきであり、いかなるようにも開示の残りの部分を限定するものではないと解釈すべきである。
【0066】
[0070]上記において、他に示さない限り、全ての温度は摂氏温度で示し、全ての部及びパーセントは重量基準である。
[0071]当業者であれば、上記の記載から本発明の本質的特徴を容易に確認することができ、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、それを種々の用法及び条件に適合させるために本発明の種々の変更及び修正を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
5〜50重量%のエチレン、並びに少なくとも0.1重量%の一酸化炭素、少なくとも1wppmの硫化水素、少なくとも1wppmのアンモニア、少なくとも5重量%の水素、及び少なくとも0.1重量%の二酸化炭素からなる群から選択される少なくとも1種類の不純物を含む供給流を提供すること;
供給流を、周期律表第VIII族及び第VIB属からなる群から選択される金属を有するアモルファスシリカ−アルミナ基材を含む触媒と接触させること;及び
供給流中のエチレンの少なくとも40重量%をより重質の炭化水素に転化させること;
を含むエチレンのオリゴマー化方法。
【請求項2】
触媒が30以下のシリカ−アルミナ比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
触媒が、0.5〜15重量%のニッケルを含浸させたアモルファスシリカ−アルミナ基材である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
触媒がアンモニア温度プログラム脱離試験によって測定して少なくとも0.15の低温酸性度比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
供給流が0.5重量%以下のプロピレンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
接触工程をエチレンに関する臨界圧力より高い圧力で行う、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
分解触媒を炭化水素供給流と接触させて、炭化水素をより低い分子量を有する分解生成物炭化水素に分解し、分解触媒上にコークを堆積させてコーク化分解触媒を提供すること;
分解生成物からコーク化分解触媒を分離すること;
コーク化分解触媒に酸素を加えること;
酸素を用いてコーク化分解触媒上のコークを燃焼させて分解触媒を再生すること;
分解生成物を分離して、5〜50重量%のエチレンを含む希薄エチレン流を得ること;
希薄エチレン流を4,826〜7,584kPaの圧力に圧縮すること;及び
希薄エチレン流をオリゴマー化触媒と接触させること;
を含む方法。
【請求項8】
接触工程を触媒の固定床内で行う、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
分解触媒を炭化水素供給流と接触させて、炭化水素供給流をより低い分子量を有する分解生成物に分解し、分解触媒上にコークを堆積させてコーク化分解触媒を提供するための流体接触分解反応器;
分解生成物を反応器から排出するための生成物出口;
酸素と接触させることによってコーク化分解触媒からコークを燃焼させるための再生器;
分解生成物をエチレン含有流を含む複数の生成物流に分離するための、生成物出口と連通している生成物回収セクション;
エチレン含有流を圧縮するための、生成物回収セクションと連通している圧縮機;及び
エチレン含有流中のエチレンをより重質の炭化水素にオリゴマー化するための、圧縮機と連通している固定床オリゴマー化反応器;
を含む装置。
【請求項10】
生成物出口と連通している主カラム受容器、エチレン含有流を含む一次オフガス流を与えるための、主カラム受容器と連通している一次吸収器を更に含む、請求項9に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−522109(P2012−522109A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503469(P2012−503469)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/026889
【国際公開番号】WO2010/117539
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(598055242)ユーオーピー エルエルシー (182)
【Fターム(参考)】