説明

希釈器及びその製造方法

【課題】排水性に優れた希釈器及びその希釈器を容易に製造し得る製造方法を提供する。
【解決手段】燃料電池から排出された燃料オフガスと該燃料オフガスを希釈する希釈ガスとが導入されて、燃料オフガスを導入前よりも希釈させた状態で外部に排出する希釈器61であって、複数の分割体62,63が接合媒体Bを介して互いに接合されて燃料オフガス及び希釈ガスの導入空間Sが形成されていると共に、それら分割体62,63同士の接合箇所Aのうち、燃料オフガスの器内への導入口37cと当該燃料オフガスとともに器内へ流入する水の器外への排水路51aとを繋ぐ排水経路P上に配置された接合箇所Aにあっては、接合時に導入空間S側に突出した接合媒体Bの突出部が非突出化処理されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに設けられる希釈器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
反応ガス(燃料ガス及び酸化ガス)の供給を受けて発電を行う燃料電池システムには、燃料電池から排出された燃料オフガスを当該燃料電池から排出された酸化オフガスに希釈させて排出させる希釈器を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−132915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
希釈器としては、比較的自由な形状に容易に成形可能であり、しかも絶縁性を有する樹脂からなる分割体を成形し、これら分割体同士を溶着や所定の接合媒体を用いて接合することが行われている。
【0005】
これらの分割体は、型割り上の制約から、縦割り構造にならざるを得ないという事情がある。また、例えば二つの箱状をなす分割体を互いに接合する場合には、各分割体の開口端側に十分な接合代を確保するためのフランジを設け、両分割体のフランジ同士を突き合わせるようにして、接合媒体を介して両者を互いに接合することになる。
【0006】
このとき、接合強度不足を防ぐ観点から接合面積を大きめに確保するべく、余剰分を見込んで接合媒体を使用するが、燃料オフガスの器内への導入口と当該燃料オフガスとともに器内へ流入する水の器外への排水路とを繋ぐ排水経路上に当該接合媒体の余剰分が突出することがあり、かかる場合には、燃料オフガスに含まれる水の排水性が悪化してしまう。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、排水性に優れた希釈器及びその希釈器を容易に製造し得る製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明に係る希釈器は、燃料電池から排出された燃料オフガスと該燃料オフガスを希釈する希釈ガスとが導入されて、前記燃料オフガスを導入前よりも希釈させた状態で外部に排出する希釈器であって、複数の分割体が接合媒体を介して互いに接合されて前記燃料オフガス及び希釈ガスの導入空間が形成されていると共に、それら分割体同士の接合箇所が燃料オフガスの器内への導入口と当該燃料オフガスとともに器内へ流入する水の器外への排水路とを繋ぐ排水経路上からは外れて配置されている。
【0009】
かかる構成によれば、燃料オフガスの導入口と水の排水路とを繋ぐ排水経路上に、排水を阻害し得る接合媒体の導入空間側への突出部が位置しなくなるので、接合箇所における良好な排水性を確保することができ、導入口からの水を排水路へ円滑に流して器外へと排水させることができる。
【0010】
また、本発明に係る希釈器は、燃料電池から排出された燃料オフガスと該燃料オフガスを希釈する希釈ガスとが導入されて、前記燃料オフガスを導入前よりも希釈させた状態で外部に排出する希釈器であって、複数の分割体が接合媒体を介して互いに接合されて前記燃料オフガス及び希釈ガスの導入空間が形成されていると共に、それら分割体同士の接合箇所のうち、燃料オフガスの器内への導入口と当該燃料オフガスとともに器内へ流入する水の器外への排水路とを繋ぐ排水経路上に配置された接合箇所にあっては、接合時に前記導入空間側に突出した前記接合媒体の突出部が非突出化処理されている。
【0011】
かかる構成によれば、燃料オフガスの導入口と水の排水路とを繋ぐ排水経路上に接合箇所が位置するものの、当該接合箇所における接合媒体の導入空間側への突出が抑制されるので、排水経路上における接合箇所の存在による排水性の悪化を抑え、導入口からの水を排水路へ円滑に流して器外へと排水させることができる。非突出化処理としては、例えば物理的に切断等して除去する他、変形させることにより突出を抑制する等がある。
【0012】
また、上記構成において、少なくとも三つの分割体が接合されて希釈器が構成される場合には、前記導入口を有する第一の分割体と前記排水路を有する第二の分割体とが互いに接合されていると共にその接合箇所が前記排水経路上に配置されてなり、前記接合箇所における前記接合媒体が前記第一及び第二の分割体の内底面と面一又は該内底面よりも低位にある構成としてもよい。
【0013】
また、本発明に係る希釈器は、燃料電池から排出された燃料オフガスと該燃料オフガスを希釈する希釈ガスとが導入されて、前記燃料オフガスを導入前よりも希釈させた状態で外部に排出する希釈器であって、複数の分割体が互いに接合されて前記燃料オフガス及び希釈ガスの導入空間が形成されていると共に、それら分割体同士の接合箇所のうち、燃料オフガスの器内への導入口と当該燃料オフガスとともに器内へ流入する水の器外への排水路とを繋ぐ排水経路上に配置された接合箇所における分割体同士の第一接合代が、他の接合箇所における分割体同士の第二接合代よりも長く設定されている。
【0014】
かかる構成によれば、第一接合代の部分では、接合媒体を導入空間側へ食み出させなくても十分な接合面接を確保することができる。よって、接合媒体を導入空間側へ突出させて排水性の悪化を招くような事態を生ずることなく、十分な接合強度を確保しつつ、導入口からの水を排水路へと円滑に流して排水させることができる。
【0015】
ところで、分割体間の接合強度は接合面積が大きいほど強固となるので、例えば分割体の開口端側に接合のためのフランジを設けた場合の接合代を確保するには、このフランジ長さを長くすることになる。ところが、単にフランジ長さを当該フランジの延在方向外方に延長したのでは、その延長した分だけ希釈器の外寸が大きくなる。したがって、設置スペースの制約等の理由により、外寸を変えずにフランジ長さを延長することが不可欠な場合(例えば、車載燃料電池システム)には、全体的にフランジの基端側を希釈器の内側に配置せざるを得なくなり、希釈器の内容積低下を招いてしまう。
【0016】
そこで、そのような内容積の低下を抑制するために、前記第一接合代は、前記分割体のうち当該第一接合代を構成する部分に連なる底面部分を前記導入空間側に凹ませることにより、前記第二接合代よりも長くされていても良い。
【0017】
かかる構成によれば、希釈器の外寸の拡大と内容積の低下とを同時に抑制しつつ、接合箇所における接合媒体を導入空間側へ突出させてしまって排水性の悪化を招くというような事態を生ずることなく、十分な接合強度を確保しつつ、導入口からの水を排水路へと円滑に流して排水させることができる。
【0018】
また、本発明の希釈器の製造方法は、少なくとも三つの分割体を互いに接合してなり、燃料電池から排出された燃料オフガスと該燃料オフガスを希釈する希釈ガスとが導入されて、前記燃料オフガスを導入前よりも希釈させた状態で外部に排出する希釈器の製造方法であって、燃料オフガスの器内への導入口を有する第一分割体と、燃料オフガスとともに器内へ流入する水の器外への排水路を有する第二分割体とを、それらの接合箇所が前記導入口と前記排水路とを繋ぐ排水経路上に配置されるように接合媒体を介して互いに接合した後、前記排水経路上に配置された接合箇所における前記接合媒体を前記第一及び第二の分割体の内底面と面一又は該内底面よりも低位となるように処理し、その後、他の分割体を接合する。
【0019】
かかる方法によれば、導入口と排水路とを繋ぐ排水経路上に配置される第一分割体と第二分割体との接合箇所にて、十分な接合強度を確保するために接合面積を大きくとろうとした結果、接合媒体が導入空間側に突出するように食み出したとしても、第二分割体の他方の接合側、つまり他の分割体を接合する開口側から、当該接合媒体の導入空間側への突出部が第一及び第二の分割体の内底面と面一又は該内底面よりも低位となるような処理、例えば当該接合媒体の導入空間側への突出部を除去する処理が行なえる。
【0020】
よって、排水経路上に配置される分割体の接合箇所での接合媒体による排水性の悪化が抑えられた希釈器を容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、排水性に優れた希釈器及びその希釈器を容易に製造し得る製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。
【図2】希釈器の構造を説明する希釈器の概略断面図である。
【図3】他の実施形態にかかる希釈器の構造を説明する希釈器の概略断面図である。
【図4】他の実施形態にかかる希釈器の構造を説明する希釈器の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る希釈器及びその製造方法について説明する。
【0024】
まず、図1を用いて、燃料電池10を用いた発電システムである車載燃料電池システム1の構成について説明する。
【0025】
燃料電池システム1は、反応ガス(酸化ガス及び燃料ガス)の供給を受けて電力を発生する燃料電池10を備えるとともに、燃料電池10に酸化ガスとしての空気を供給する酸化ガス配管系2、燃料電池10に燃料ガスとしての水素ガスを供給する水素ガス配管系3、燃料電池10を冷却する冷却系4等を備えている。
【0026】
酸化ガス配管系2は、図示略の加湿器により加湿された空気を燃料電池10に供給する空気供給流路20と、燃料電池10から排出された空気のオフガスを希釈器21に導く空気排出流路22と、希釈器21から車外に空気のオフガスを導くための排気流路23とを備えている。空気供給流路20には、空気を燃料電池10に圧送するエアコンプレッサ24と、空気供給流路20を開閉する入口弁25とが設けられている。空気排出流路22には空気圧を調整するエア調圧弁26と、空気排出流路22を開閉する出口弁27とが設けられている。
【0027】
水素ガス配管系3は、高圧の水素ガスを貯留した燃料供給源である水素タンク(燃料ガス供給源)30から水素ガスを燃料電池10に供給するための水素供給流路31と、燃料電池10から排出された水素ガスのオフガスを水素供給流路31に戻すための循環流路32とを備えている。
【0028】
水素供給流路31には、循環流路32の合流位置よりも上流側に水素タンク30からの水素ガスの供給を制御するインジェクタ35が設けられている。インジェクタ35は、弁体を電磁駆動力で直接的に所定の駆動周期で駆動して弁座から離隔させることによりガス流量やガス圧を調整することが可能な電磁駆動式の開閉弁である。
【0029】
循環流路32には、気液分離器36および排気排水弁(排出弁)37を介して、排出流路38が接続されている。気液分離器36は、水素ガスのオフガスから水分を回収するものである。排気排水弁37は、気液分離器36で回収した水分と、循環流路32内の不純物を含む水素ガスのオフガスとを外部に排出(パージ)するものである。また、循環流路32には、燃料電池10から排出された循環流路32内の水素ガスのオフガスを加圧して水素供給流路31側へ送り出して燃料電池10に戻す水素ポンプ(循環ポンプ)39が設けられている。なお、排気排水弁37および排出流路38を介して排出される水素ガスのオフガスは、希釈器21によって空気排出流路22の空気のオフガスと合流して希釈されるようになっている。
【0030】
上記した燃料電池システム1の通常運転時においては、水素タンク30からインジェクタ35で制御されて水素ガスが水素供給流路31を介して燃料電池10の燃料極に供給されるとともに、エアコンプレッサ24の駆動により空気が空気供給流路20を介して燃料電池10の酸化極に供給されることにより、発電が行われる。そして、水素ガスの燃料電池10から排出されたオフガスが、水素ポンプ39の駆動により、気液分離器36で水分が除去されてから水素供給流路31に導入され、水素タンク30側の水素ガスと適宜混合されて再び燃料電池10に供給される。
【0031】
また、適宜のタイミングで排気排水弁37が開弁させられると、気液分離器36で回収した水分と、循環流路32内の不純物を含む水素ガスのオフガスとが希釈器21に導入される。すると、希釈器21では、水分と水素ガスのオフガスを、燃料電池10から空気排出流路22を介して排出された空気のオフガス(希釈ガス)を混合することで希釈した後、排気流路23を介して車外に排気する。
【0032】
冷却系4は、燃料電池10に冷却水を循環させる冷却流路40を有している。冷却流路40には、冷却水の熱を外部に放熱するラジエータ41、および冷却水を加圧して循環させる冷却水ポンプ42が設けられている。
【0033】
図2に示すように、希釈器21は、排気流路23に接続される排気路51が形成されている。
【0034】
また、この希釈器21における排気路51の近傍には、取付口52が形成されており、この取付口52には、排気排水弁37の取付部37aが差し込まれて取り付けられている。
【0035】
この排気排水弁37には、その流入口37bに気液分離器36からの配管が接続される。そして、適宜のタイミングで排気排水弁37が開弁させられると、気液分離器36で回収した水分と循環流路32内の不純物を含む水素ガスのオフガスとが排気排水弁37を介し、この排気排水弁37の取付部37aの下端の導入口37cから希釈器21に導入される。
【0036】
そして、この希釈器21では、排気路51を介して排気流路23へ水素ガスのオフガスを希釈した空気のオフガス及び回収した水が送り出される。
【0037】
なお、排気路51には、排気排水弁37側に、この排気排水弁37からの水を排気路51内に導く排水路51aが形成されており、排気排水弁37の導入口37cと排気路51の排水路51aとの間の最短距離の経路が排水経路Pとされている。
【0038】
この希釈器21は、樹脂を射出成形した縦割りの分割体53,54からなるもので、これら分割体53,54を接合することにより、その内部に水素オフガスと空気オフガスの導入空間Sが形成されるように構成されている。
【0039】
それぞれの分割体53,54には、互いの接合箇所に、外方へ突出する接合フランジ部53a,54aが形成されている。そして、これら分割体53,54は、その接合フランジ部53a,54a同士を接合媒体Bを介して溶着することにより接合されて一体化されている。
【0040】
一般に、このような縦割り構造の希釈器においては、上記のとおり、各分割体の開口端側に十分な接合代を確保するためのフランジ部を設け、両分割体のフランジ同士を突き合わせるようにして、接合媒体を介して両者を互いに接合することになるが、このときの接合強度不足を防ぐ観点から接合面積を大きめに確保するべく、余剰分を見込んで接合媒体を使用せざるをえない。その結果、燃料オフガスの器内への導入口と当該燃料オフガスとともに器内へ流入する水の器外への排水路とを繋ぐ排水経路上に当該接合媒体の余剰分が突出してしまう場合があり、かかる場合には、燃料オフガスに含まれる水の排水性が阻害される。
【0041】
そこで、かかる不具合を解消するべく、本実施形態では、これら分割体53,54の接合箇所Aは、排水経路Pから外れた位置に配置されている。
【0042】
また、この分割体53,54の接合箇所Aでは、接合フランジ部53a,54aでの十分な接合強度を確保すべく、接合フランジ部53a,54aの全面にて接合している。このため、これら接合フランジ部53a,54aでは、接合媒体Bが希釈器21の内底面21Aよりも内側(導入空間S側)へはみ出して突出した状態となる。
【0043】
ここで、接合フランジ部53a,54aを大きくして接合代を広くすれば、希釈器21内へ接合媒体Bを突出させることなく十分な接合面積を確保することができる。しかしながら、この場合、外部への接合フランジ部53a,54aの突出寸法が大きくなり、限られた設置スペースに設置される希釈器21は、その容積を小さくしなければならなくなり、パージ量の減少により起動時間の増加を招いてしまう。
【0044】
これに対して、本実施形態では、接合媒体Bが内側にはみ出るように接合フランジ部53a,54aの全面にて接合しているため、接合フランジ部53a,54aの外部への突出寸法を極力抑えつつ十分な強度にて分割体53,54を接合している。また、この場合、接合箇所Aでは、その接合媒体Bが希釈器21内に突出するが、接合箇所Aは、排気排水弁37の導入口37cと排気路51の排水路51aとの間の排水経路Pから外れた位置に配置されているので、希釈器21内に突出した接合媒体Bが、排水経路Pにおける排水の邪魔となることがない。
【0045】
以上、説明したように、本実施形態によれば、分割体53,54の接合箇所Aが、排気排水弁37の導入口37cと排気路51の排水路51aとの間の排水経路Pから外れた位置に配置されているので、排水経路Pにおける良好な排水性を確保することができ、排気排水弁37の導入口37cからの水を排水路51aへ円滑に流して排水させることができる。
【0046】
次に、他の実施形態について説明する。
【0047】
図3は他の実施形態に係る希釈器を示す概略断面図である。
【0048】
図3に示すように、この希釈器61は、3つの分割体62,63,64から構成されている。分割体62,63は、分割体(第一分割体)62の接合フランジ部62aと分割体(第二分割体)63の接合フランジ部63aとを接合することにより互いに接合されており、分割体63,64は、分割体63の接合フランジ部63bと分割体(他の分割体)64の接合フランジ部64aとを接合することにより互いに接合されている。
【0049】
そして、この希釈器61では、分割体62,63の接合箇所Aが、排水経路Pに配置されている。
【0050】
ここで、この希釈器61では、排水経路Pに配置された分割体62,63の接合箇所Aでは、内部に突出した接合媒体Bが除去されている。
【0051】
このように、この希釈器61の場合は、排水経路Pにおける分割体62,63の接合箇所Aにおける内部に突出した接合媒体Bが除去されているので、接合箇所Aの存在による排水性の悪化を抑え、排気排水弁37の導入口37cからの水を排水路51aへ円滑に流して排水させることができる。
【0052】
この希釈器61を製造する場合は、まず、接合箇所Aが、排水経路Pに配置される分割体62,63同士を接合させる。
【0053】
次に、両端が開口した筒状の分割体63における当該分割体63と分割体62との接合箇所Aとは反対側の開口端から工具を挿入する等して、排水経路Pに配置された分割体62,63の接合箇所Aにおける接合媒体Bの内部への突出部分を除去する。
【0054】
その後、分割体63に排気路51を取り付け、残りの分割体64を分割体63に接合させる。
【0055】
このように製造することにより、排水経路Pに配置される分割体62,63の接合箇所Aでの接合媒体Bによる排水性の悪化が抑えられた希釈器61を容易に製造することができる。
【0056】
また、3つの分割体62,63,64から構成された希釈器61としては、図4に示すように、排水経路Pに配置された分割体62,63のうち、接合代Xを構成する接合フランジ部62a,63aの一方の接合フランジ部63aに連なる一方の分割体63の底面部分を内側(導入空間S側)に凹ませても良い。つまり、接合フランジ部62a,63aの接合代Xを、分割体63,64同士の接合箇所Aにおける接合フランジ部64a,63bの接合代Yよりも長くしても良い。
【0057】
このようにすると、分割体62,63同士の接合箇所Aにおける接合媒体Bを内側に突出させることなく、十分な接合面積を確保して十分な接合強度が得られる。なお、分割体63,64同士の接合箇所Aにおける接合媒体Bは、排水経路P上に配置されていないので内側に突出していても構わなく、図4でも内側に突出している。
【0058】
つまり、この希釈器61では、排水経路Pに配置される接合箇所Aにおける接合媒体Bの内側への突出を抑えることができ、接合箇所Aによる排水性の悪化を招くようなことなく、十分な接合強度を確保しつつ、排気排水弁37の導入口37cからの水を排水路51aへ円滑に流して排水させることができる。
【0059】
しかも、接合箇所Aから排気路51の排水路51aまでの底面部分が、内側(導入空間S側)に凹まされることにより、排水路51aへ向かって下方へ傾斜した傾斜面61Aとなるので、排気排水弁37の導入口37cからの水をより円滑に排水路51aへ導くことができる。
【符号の説明】
【0060】
10…燃料電池、21,61…希釈器、37c…導入口、51a…排水路、53,54,62,63,64…分割体、A…接合箇所、B…接合媒体、P…排水経路、S…導入空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池から排出された燃料オフガスと該燃料オフガスを希釈する希釈ガスとが導入されて、前記燃料オフガスを導入前よりも希釈させた状態で外部に排出する希釈器であって、
複数の分割体が接合媒体を介して互いに接合されて前記燃料オフガス及び希釈ガスの導入空間が形成されていると共に、それら分割体同士の接合箇所のうち、燃料オフガスの器内への導入口と当該燃料オフガスとともに器内へ流入する水の器外への排水路とを繋ぐ排水経路上に配置された接合箇所にあっては、接合時に前記導入空間側に突出した前記接合媒体の突出部が非突出化処理されている希釈器。
【請求項2】
少なくとも三つの分割体が接合されてなる請求項1に記載の希釈器であって、
前記導入口を有する第一の分割体と前記排水路を有する第二の分割体とが互いに接合されていると共にその接合箇所が前記排水経路上に配置されてなり、
前記接合箇所における前記接合媒体が前記第一及び第二の分割体の内底面と面一又は該内底面よりも低位にある希釈器。
【請求項3】
燃料電池から排出された燃料オフガスと該燃料オフガスを希釈する希釈ガスとが導入されて、前記燃料オフガスを導入前よりも希釈させた状態で外部に排出する希釈器であって、
複数の分割体が互いに接合されて前記燃料オフガス及び希釈ガスの導入空間が形成されていると共に、それら分割体同士の接合箇所のうち、燃料オフガスの器内への導入口と当該燃料オフガスとともに器内へ流入する水の器外への排水路とを繋ぐ排水経路上に配置された接合箇所における分割体同士の第一接合代が、他の接合箇所における分割体同士の第二接合代よりも長く設定されている希釈器。
【請求項4】
請求項3に記載の希釈器において、
前記第一接合代は、前記分割体のうち当該第一接合代を構成する部分に連なる底面部分を前記導入空間側に凹ませることにより、前記第二接合代よりも長くされている希釈器。
【請求項5】
少なくとも三つの分割体を互いに接合してなり、燃料電池から排出された燃料オフガスと該燃料オフガスを希釈する希釈ガスとが導入されて、前記燃料オフガスを導入前よりも希釈させた状態で外部に排出する希釈器の製造方法であって、
燃料オフガスの器内への導入口を有する第一分割体と、燃料オフガスとともに器内へ流入する水の器外への排水路を有する第二分割体とを、それらの接合箇所が前記導入口と前記排水路とを繋ぐ排水経路上に配置されるように接合媒体を介して互いに接合した後、前記排水経路上に配置された接合箇所における前記接合媒体を前記第一及び第二の分割体の内底面と面一又は該内底面よりも低位となるように処理し、その後、他の分割体を接合する希釈器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−48098(P2013−48098A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−212712(P2012−212712)
【出願日】平成24年9月26日(2012.9.26)
【分割の表示】特願2008−149780(P2008−149780)の分割
【原出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】