説明

帯状体処理装置及び方法

【課題】スリットが形成された帯状物にメクレ又はシワが形成されるのを抑制しつつシート片を転写する。
【解決手段】製造装置20は、スリット形成ロール21と、転写ロール22と、これらスリット形成ロール及び転写ロールにそれぞれ対面配置されたアンビルロール23と、を具備する。カバーシートウエブW8は、スリット形成ロール21とアンビルロール23との間のスリット形成位置PSを通り次いで転写ロール22とアンビルロール23との間の転写位置PTを通るように搬送される。スリット形成ロール21は、スリット形成位置PSにおいて、カバーシートウエブW8に複数のスリットを搬送方向に間欠的に形成する。転写ロール22は、転写位置PTにおいて、スリットをそれぞれ跨ぐように剥離シート片12をカバーシートウエブW8に間欠的に転写する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は帯状体処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カッタロールと、カッタロールに対面配置されたアンビルロールと、アンビルロールに対面配置されたニップロールと、を備え、連続シートがカッタロールとアンビルロールとの間に供給され、カッタロールは連続シートを間欠的に切断して剥離シート片を形成し、帯状体はアンビルロールとニップロールとの間の転写位置を通るように搬送され、アンビルロールは剥離シート片を転写位置まで搬送し次いで帯状体に間欠的に転写する、間欠切断転写装置が公知である(特許文献1参照)。
【0003】
一方、液透過性トップシート、液不透過性バックシート、及びこれらトップシートとバックシートとの間に配置された吸収体を含む吸収性本体と、トップシートを覆うように吸収性本体に取り付けられたカバーシートであって、吸収性本体を衣類に固定するための一対のフラップを区画するためのスリットが形成されているカバーシートと、カバーシートの外面に設けられた粘着剤と、スリットを跨ぎつつ粘着剤を覆う剥離シート片と、を備えた、吸収性物品も公知である(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平9−512454号公報
【特許文献2】特開平10−218471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に開示される吸収性物品を実際に製造する場合、例えば、カバーシートの連続体であるカバーシートウエブにスリットを間欠的に形成し、次いで粘着剤が塗布された剥離シート片を、スリットを跨ぐようにカバーシートウエブに間欠的に転写する工程が考えられる。
【0006】
この場合、カバーシートウエブにスリットをあらかじめ形成しておき、このスリット付きのカバーシートウエブを特許文献2における帯状体と考えれば、上述の工程は簡単に実現できるかに見える。
【0007】
しかしながら、カバーシートウエブにスリットが形成されていると、転写位置に到るまでの搬送経路中で、スリット周りのカバーシートウエブにメクレ又はシワが形成されるおそれがある。メクレ又はシワを有するカバーシートウエブに剥離シート片が転写されると、このメクレ又はシワをなくすことは極めて困難となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、帯状物にスリットを間欠的に形成すると共に該帯状物にシート片を間欠的に転写する帯状物処理装置であって、スリット形成ロールと、転写ロールと、これらスリット形成ロール及び転写ロールにそれぞれ対面配置されたアンビルロールと、を具備し、帯状体は、スリット形成ロールとアンビルロールとの間のスリット形成位置を通り次いで転写ロールとアンビルロールとの間の転写位置を通るように搬送され、スリット形成ロールは、スリット形成位置において、帯状体に複数のスリットを搬送方向に間欠的に形成し、転写ロールは、転写位置において、スリットをそれぞれ跨ぐようにシート片を帯状体に間欠的に転写する、帯状体処理装置が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、帯状物にスリットを間欠的に形成すると共に該帯状物にシート片を間欠的に転写する帯状物処理方法であって、スリット形成ロールと、転写ロールと、これらスリット形成ロール及び転写ロールにそれぞれ対面配置されたアンビルロールと、を具備し、帯状体を、互いに対面配置されたスリット形成ロールとアンビルロールとの間のスリット形成位置を通り、次いで互いに対面配置された転写ロールとアンビルロールとの間の転写位置を通るように搬送し、スリット形成位置において、スリット形成ロールにより、帯状体に複数のスリットを搬送方向に間欠的に形成し、次いで、転写位置において、転写ロールにより、スリットをそれぞれ跨ぐようにシート片を帯状体に間欠的に転写する、帯状体処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
スリットが形成された帯状物にメクレ又はシワが形成されるのを抑制しつつシート片を転写することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】吸収性物品の正面図である。
【図2】図1の線II−IIに沿ってみた吸収性物品の概略横断面図である。
【図3】フラップを展開した吸収性物品の正面図である。
【図4】吸収性物品の製造プロセスを示す概略図である。
【図5】カバーシート複合体の製造装置の概略図である。
【図6】製造装置の駆動方式を説明する概略図である。
【図7】アンビルロールの周面の模式図である。
【図8】製造装置におけるカバーシート複合体C8の製造過程を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び2を参照すると、生理用ナプキン、パンティーライナ、失禁パッドのような吸収性物品1は吸収性本体2を具備する。この吸収性本体2は液透過性のトップシート3と、液不透過性のバックシート4と、これらトップシート3とバックシート4との間に配置された液保持性の吸収体5とを具備する。トップシート3及びバックシート4はほぼ同じ大きさであり、これらの周縁部分2Pにおいてヒートシール加工、ホットメルト接着剤等により互いに接合され、シールされる。また、使用時に下着のような衣類に向けられるバックシート4の外面には、吸収性本体2を下着に固着するための粘着剤6が適用され、この粘着剤6は剥離シート片7によって覆われている。
【0013】
なお、図1において2F,2B,2L,2Rはナプキン1ないし吸収性本体2の前端縁、後端縁、左側縁、右側縁をそれぞれ示している。この場合の前後左右は装着者の身体の前後左右に対応している。また、図2において5Aは吸収体5とバックシート3との間に配置されたティッシュを示している。
【0014】
使用時に装着者に当接するトップシート3の表面は液不透過性のカバーシート8によって覆われている。このカバーシート8は吸収性本体2とほぼ同じ大きさであり、したがってトップシート3のほぼ全面を覆っている。また、カバーシート8はその環状の周縁領域8Pにおいてヒートシール加工、ホットメルト接着剤等によりトップシート3ないし吸収性本体2に接合される。これに対し、周縁領域8P以外の領域である中央領域8Cはトップシート3に接合されない。
【0015】
カバーシート8の中央領域8Cには、スリット9があらかじめ形成されており、このスリット9によって中央領域8Cに、吸収性本体2を下着に固定するための複数のフラップが区画ないし形成される。
【0016】
ここで、スリット9はカバーシート8を完全に切断する切断線から形成される。しかしながら、スリット9をミシン目のような弱め線から形成することもできる。
【0017】
図1に示される例では、スリット9は、前端縁2Fに向け拡開するU字状曲線部分9Fと、後端縁2Bに向け拡開するU字状曲線部分9Bと、カバーシート8のほぼ中央においてこれら曲線部分9F,9Bの頂点を互いに結ぶ直線部分9Sとから構成される。その結果、中央領域8Cには、4つのフラップ、すなわち半長円状の前フラップ10F及び後フラップ10Bと、台形状の左フラップ10L及び右フラップ10Rとが区画される。この場合、前後フラップ10F,10Bは互いに対称的に位置し、左右フラップ10L,10Rも互いに対称的に位置している。
【0018】
ここで、曲線部分9F,9Bと直線部分9Sとの連結点では、スリット9が3つに分岐していると見ることもできる。すなわち、スリット9は分岐部分9Dを含んでいる。
【0019】
これらフラップ10F,10B,10L,10Rの外面にはそれぞれ対応するフラップ10F,10B,10L,10Rを下着に固着するための粘着剤11が適用されている。また、これら粘着剤11は共通の剥離シート片12によって覆われている。
【0020】
この場合、剥離シート片12はスリット9を跨ぐように設けられており、特に分岐部分9Dを覆うように設けられている。このようにすると、フラップ10F,10B,10L,10Rにメクレ等が生ずるのを確実に抑制することができる。
【0021】
次に、各要素の素材について説明する。
【0022】
トップシート3は例えば有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスチックシートから構成される。
【0023】
バックシート4は例えば疎水性の不織布、不透水性のプラスチックフィルム、不織布と不透水性プラスチックフィルムとのラミネートシート、耐水性の高いメルトブローン不織布、強度の強いスパンボンド不織布で挟んだSMS不織布から構成される。
【0024】
吸収体5は例えばフラッフ状パルプ又はエアレイド不織布と高吸収ポリマとから構成される。ここで、フラッフ状パルプは例えば化学パルプ、セルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維から構成され、エアレイド不織布は例えばパルプと合成繊維とを熱融着させ又はバインダで固着させた不織布から構成され、高吸収ポリマは例えばデンプン系、アクリル酸系、アミノ酸系の粒子状又は繊維状のポリマから構成される。
【0025】
粘着剤6,11は例えばスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−エチレン共重合体(SEBS)等のホットメルト粘着剤から構成される。
【0026】
カバーシート8は例えば疎水性の不織布、不透水性のプラスチックフィルム、不織布と不透水性プラスチックフィルムとのラミネートシート、耐水性の高いメルトブローン不織布、強度の強いスパンボンド不織布で挟んだSMS不織布から構成され、好ましくは疎水性不織布から構成される。カバーシート8の坪量は15g/mから60g/mが好ましい。プラスチックフィルムから構成される場合には、プラスチックフィルムのドレープ性はカンチレバー法で20mmから100mmが好ましく、30mmから70mmが更に好ましい。ドレープ性が20mmよりも小さいと、カバーシート8が撚れ易くなるからである。一方、ドレープ性が100mmよりも大きいと、カバーシート8が硬くなるので、ナプキン1の使用感を悪化させるおそれがあり、下着への追従性が低下して被吸収液が漏れるおそれがあるからである。
【0027】
なお、上述のカンチレバー法はJIS−L1018に準じて次のように行われる。すなわち、長さ150mm、幅25mmの測定対象を5枚重ねて測定サンプルを得る。次いで、大栄科学精器製作所製のカンチレバーを用い、測定サンプルをカンチレバーの押さえ板下に挟み、斜面方向に滑らせ速度5mm/secで移動距離を自動測定する。測定サンプルの表面を下にした場合と、測定サンプルの裏面を下にした場合の両方について測定し、これらの平均を測定結果とする。
【0028】
さて、吸収性物品1は次のようにして下着に固着される。すなわち、まず、バックシート4側の剥離シート片7が取り外され、吸収性物品1ないし吸収性本体2が粘着剤6を介し下着に固着される。このときトップシート3はカバーシート8によって覆われているので、トップシート3が汚れるのが阻止されている。
【0029】
次いで、図3に示されるように、これらフラップ10F,10B,10L,10Rがそれぞれ拡げられる。すなわち、前フラップ10Fは前端縁2Fに沿う折り曲げ領域14Fにおいて折り曲げられて前方向に拡げられ、後フラップ10Bは後端縁2Bに沿う折り曲げ領域14Bにおいて折り曲げられて後方向に拡げられる。また、左フラップ10Lは左側縁2Lに沿う折り曲げ領域14Lにおいて折り曲げられて左方向に拡げられ、右フラップ10Rは右側縁2Rに沿う折り曲げ領域14Rにおいて折り曲げられて右方向に拡げられる。その結果、トップシート3が露出される。
【0030】
次いで、フラップ10F,10B,10L,10Rがそれぞれの粘着剤11を介し下着に固着される。すなわち、前フラップ10F及び後フラップ10Bが下着の内面に固着され、左フラップ10L及び右フラップ10Rが吸収性物品1の下方において下着の外面にそれぞれ固着される。
【0031】
その結果、吸収性本体2にさまざまな方向の外力が作用しても、吸収性本体2の捩れや位置ずれを抑制することができる。すなわち、吸収性本体2を下着に確実に固定することができ、したがって被吸収液の漏れを抑制することができる。また、漏れに対する装着者の不安をなくすことができる。
【0032】
図4は吸収性物品1の製造プロセスを概略的に示している。
【0033】
図4を参照すると、ティッシュ5Aの連続体であるティッシュウエブW5Aが搬送方向MDに搬送されており、このティッシュウエブW5A上に吸収体5が間欠的に、すなわち搬送方向MDに間隔をおいて配置される(S1)。ティッシュウエブW5Aの上面には、ホットメルト接着剤のような接着剤があらかじめ適用されており(S1A)、この接着剤によって吸収体5がティッシュウエブW5Aに固定される。次いで、トップシート3の連続体であるトップシートウエブW3が吸収体5に重ね合わされる(S2)。トップシートウエブW3の内面、すなわち吸収体5に向かう面には接着剤があらかじめ適用されており(S2A)、この接着剤によってトップシートウエブW3が吸収体5に固定される。
【0034】
次いで、トップシートウエブW3の外面にカバーシート複合体C8が重ね合わされる(S3)。カバーシート複合体C8はカバーシート8の連続体であるカバーシートウエブW8に粘着剤11及び剥離シート片12が間欠的に設けられたものである。
【0035】
また、ティッシュウエブW5Aの下面にバックシート複合体C4が重ね合わされる(S4)。バックシート複合体C4はバックシート4の連続体であるバックシートウエブに粘着剤6及び剥離シート片7が間欠的に設けられたものである。ティッシュウエブW5Aの底面、すなわちバックシート複合体C4に向かう面には接着剤があらかじめ適用されており(S4A)、この接着剤によってバックシート複合体C4がティッシュウエブW5Aに固定される。
【0036】
次いで、吸収体5の全周にわたってシールされ、シール部分Sが形成される(S5)。次いで、搬送方向MDに直交する直交方向に沿って、シール部分Sが切断され(S6)、したがって吸収性物品1が完成される。
【0037】
図5はカバーシート複合体C8の製造装置20を示している。この製造装置20では、帯状物例えばカバーシートウエブW8にスリット9が搬送方向MDに間隔をおいて形成され、スリット9を跨ぐように剥離シート片12がカバーシートウエブW8に転写され、それによってカバーシート複合体C8が形成される。また、図5に示される例では、剥離シート片12の連続体である連続シートW12が間欠的に切断され、それによって剥離シート片12が形成され、次いでカバーシートウエブW8に間欠的に転写される。ここで、連続シートW12には粘着剤11があらかじめ適用されており、したがって剥離シート片12は粘着剤11と共にカバーシートウエブW8に転写される。
【0038】
図5を参照すると、製造装置20は、スリット形成ロール21と、転写ロール22と、これらスリット形成ロール21及び転写ロール22にそれぞれ対面配置されたアンビルロール23と、転写ロール22に対面配置されたカッタロール24とを具備する。これらロール21,22,23,24の回転軸線は互いに平行になっている。なお、図5に示される例では、スリット形成ロール21及びアンビルロール23はフレーム25に回転可能に支持され、転写ロール22及びカッタロール24はフレーム26に回転可能に支持される。
【0039】
スリット形成ロール21、転写ロール22、アンビルロール23及びカッタロール24は同一の駆動機によって回転駆動される。すなわち、図6に示されるように、サーボモータのような駆動機27の駆動力が無限ベルトV1及び共通プーリ28を介して無限ベルトV2に伝達される。無限ベルトV2はアンビルロール23のプーリ23P周り及び転写ロール22のプーリ22P周りに掛けられており、したがってアンビルロール23及び転写ロール22が無限ベルトV2によって回転駆動される。
【0040】
ここで、スリット形成ロール21及びアンビルロール23はギア(図示しない)によって互いに連結されており、転写ロール22及びカッタロール24もギア(図示しない)によって互いに連結されている。したがって、4つのロール21,22,23,24が同一の駆動機27によって回転駆動されるのである。
【0041】
この場合、スリット形成ロール21及びアンビルロール23は互いに逆方向に回転され、転写ロール22及びカッタロール24は互いに逆方向に回転され、転写ロール22及びアンビルロール23は互いに逆方向に回転される。なお、図6においてPIはアイドラプーリを示している。
【0042】
再び図5を参照すると、ロールの形のカバーシートウエブ源R8から巻き戻されたカバーシートウエブW8は、搬送ロールRF8及びアイドルロールRIにより、スリット形成ロール21とアンビルロール23との間のスリット形成位置PSに搬送される。
【0043】
アンビルロール23の周面には図7に示されるような圧力ポート23Pを介して負圧が印加されており、したがってアンビルロール23に到達すると、カバーシートウエブW8はアンビルロール23の周面に保持される。
【0044】
続くスリット形成位置PSでは、スリット形成ロール21の刃21Aと、受け刃として作用するアンビルロール23の周面とによって、カバーシートウエブW8にスリット9が間欠的に形成される。この場合、カバーシートウエブW8がアンビルロール23に保持されつつスリット9が形成されるので、スリット9を正確に形成することができる。なお、図7に示されるように、圧力ポート23Pはスリット形成ロール21の刃21Aと干渉しないように、配置されている。スリット9が形成されたカバーシートウエブW8はアンビルロール23に保持されたまま転写位置PTまで搬送される。
【0045】
一方、ロールの形の連続シート源R12から巻き戻された連続シートW12は、搬送ロールRF12により、転写ロール22とカッタロール24との間の切断位置PCに供給される。ここで、切断位置PCに到る前に、粘着剤適用器30によって、連続シートW12に粘着剤が間欠的に適用される。
【0046】
転写ロール22の周面にも圧力ポートを介して負圧が印加されており、したがって転写ロール22に到達すると、連続シートW12は転写ロール22の周面に保持される。
【0047】
続く切断位置PCでは、連続シートW12がカッタロール24の刃24Aと、受け刃として作用する転写ロール22の周面とによって間欠的に切断され、したがって剥離シート片12が形成される。この場合も、連続シートW12が転写ロール22に保持されているので、剥離シート片12を正確に形成することができる。
【0048】
このようにして形成された剥離シート片12は転写ロール22に保持されたまま転写位置PTまで搬送される。この場合、転写ロール22の回転速度ないし搬送速度は、切断位置PCまでの連続シートW12の供給速度よりも高く設定されており、その結果、剥離シート片12が後続の連続シートW12に対し搬送方向MDに離間することになる。このようにして剥離シート片12がカバーシートウエブW8に間欠的に転写される。なお、連続シートW12の供給速度と転写ロール22の搬送速度とを考えると、切断される前の連続シートW12は転写ロール22に対し滑りながら、転写ロール22に保持されているということになる。
【0049】
転写位置PTでは、剥離シート片12が転写ロール22からカバーシートウエブW8に転写され、したがってカバーシート複合体C8が形成される。この場合、粘着剤がカバーシートウエブW8に向かうように、また、スリット9を跨ぐように、剥離シート片12がカバーシートウエブW8に転写される。転写位置PTにおいて、カバーシートウエブW8がアンビルロール23に保持されながら剥離シート片12が転写されるので、剥離シート片12をカバーシートウエブW8ないしスリット9に対し正確に位置決めすることができる。なお、転写ロール22の圧力ポートには正圧が印加され、剥離シート片12がカバーシートウエブW8に容易に転写するようになっている。
【0050】
カバーシート複合体C8は次いで、転写ロール22及びアンビルロール23を離れ、次工程まで搬送される。
【0051】
このように、スリット形成位置PS及び転写位置PTが同一のアンビルロール23上に設けられているので、スリット形成位置PSから転写位置PTまでの、カバーシートウエブW8の搬送距離を短くすることができる。その結果、カバーシートウエブW8にメクレ又はシワが形成されるのを確実に抑制することができる。
【0052】
すなわち、スリット9が形成されたままのカバーシートウエブW8が長距離にわたって搬送されると、搬送途中でメクレ等が形成されるリスクが大きくなる。これに対し、本発明による実施例では、同一のアンビルロール23上でスリット9が形成されると共に、スリット9を跨ぐように剥離シート片12がカバーシートウエブW8に転写され、したがってメクレ等が形成されるリスクを極めて低減することができる。
【0053】
この理由から、図8に示されるように、スリット形成位置PSから転写位置PTまでのカバーシートウエブW8の搬送距離Lは、スリット9が形成されるピッチSP以下に設定するのが好ましい。
【0054】
また、スリット9が形成されたままのカバーシートウエブW8がアンビルロール23から別のロールに移転される場合には、この移転時にカバーシートウエブW8にメクレ等が生ずるおそれがある。更に、スリット9が搬送方向MDを横切る方向に延びる部分を含む場合、特に分岐部分9D(図1)を含む場合には、メクレ等が生ずるリスクはいっそう高くなる。しかしながら、本発明による実施例では、アンビルロール23上で、分岐部分9Dを覆うように剥離シート片12が転写されるので、メクレの発生を更に抑制することができる。
【0055】
また、図6を参照して説明したように、4つのロール21,22,23,24が同一の駆動機27によって駆動される。その結果、4つのロールの回転を容易に同期させることができ、したがって部材同士間の位置ズレを抑制することができる。
【0056】
これまで述べてきた実施例では、カッタロール24を設け、転写ロール22とカッタロール24との間の切断位置PCにおいて連続シートW12を切断し、剥離シート片12を形成している。しかしながら、カッタロール24を省略することもできる。すなわち、あらかじめ形成された剥離シート片12を転写ロール22に間欠的に供給し、カバーシートウエブW8に転写するようにしてもよい。
【0057】
また、スリット9はどのような形状でも構わない。しかしながら、スリット9がカバーシートウエブW8に切り抜きを形成するような形状の場合には、アンビルロール23の負圧保持作用が弱められるので好ましくない。すなわち、スリット9は切り抜きを形成しない形状が好ましい。
【符号の説明】
【0058】
1 吸収性物品
8 カバーシート
9 スリット
12 剥離シート片
21 スリット形成ロール
22 転写ロール
23 アンビルロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状物にスリットを間欠的に形成すると共に該帯状物にシート片を間欠的に転写する帯状物処理装置であって、
スリット形成ロールと、転写ロールと、これらスリット形成ロール及び転写ロールにそれぞれ対面配置されたアンビルロールと、を具備し、
帯状体は、スリット形成ロールとアンビルロールとの間のスリット形成位置を通り次いで転写ロールとアンビルロールとの間の転写位置を通るように搬送され、
スリット形成ロールは、スリット形成位置において、帯状体に複数のスリットを搬送方向に間欠的に形成し、
転写ロールは、転写位置において、スリットをそれぞれ跨ぐようにシート片を帯状体に間欠的に転写する、
帯状体処理装置。
【請求項2】
前記スリット形成位置から前記転写位置までの帯状体搬送距離がスリットのピッチ以下である、請求項1に記載の帯状体処理装置。
【請求項3】
前記転写ロールに対面配置されたカッタロールを更に具備し、連続シートがこれら転写ロールとカッタロールとの間の切断位置に供給され、カッタロールは、切断位置において、連続シートを間欠的に切断してシート片を形成し、前記転写ロールは、形成されたシート片を連続シートの供給速度よりも高い搬送速度でもって転写位置まで搬送し次いで帯状体に間欠的に転写する、請求項1又は2に記載の帯状体処理装置。
【請求項4】
帯状体が前記アンビルロールに負圧でもって保持されながら、帯状体に前記スリット形成ロールによりスリットが形成されると共に、前記転写ロールによりシート片が転写される、請求項1から3までのいずれか一項に記載の帯状体処理装置。
【請求項5】
前記スリット形成ロール、転写ロール及びアンビルロールが同一の駆動機によって回転駆動される、請求項1から4までのいずれか一項に記載の帯状体処理装置。
【請求項6】
前記スリットが分岐部分をそれぞれ含み、これら分岐部分をそれぞれ覆うようにシート片が帯状体に転写される、請求項1から5までのいずれか一項に記載の帯状体処理装置。
【請求項7】
前記帯状体が、吸収性物品のトップシートを覆うカバーシートの連続体から構成され、前記シート片が、カバーシート上の粘着剤を覆う剥離シート片から構成される、請求項1から6までのいずれか一項に記載の帯状体処理装置。
【請求項8】
帯状物にスリットを間欠的に形成すると共に該帯状物にシート片を間欠的に転写する帯状物処理方法であって、
スリット形成ロールと、転写ロールと、これらスリット形成ロール及び転写ロールにそれぞれ対面配置されたアンビルロールと、を具備し、
帯状体を、互いに対面配置されたスリット形成ロールとアンビルロールとの間のスリット形成位置を通り、次いで互いに対面配置された転写ロールとアンビルロールとの間の転写位置を通るように搬送し、
スリット形成位置において、スリット形成ロールにより、帯状体に複数のスリットを搬送方向に間欠的に形成し、
次いで、転写位置において、転写ロールにより、スリットをそれぞれ跨ぐようにシート片を帯状体に間欠的に転写する、
帯状体処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−177275(P2011−177275A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43041(P2010−43041)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】