説明

帯状部材挟持具

【課題】2本の帯状部材の各端部同士を正確かつ迅速に接続するために、この2本の帯状部材を一直線状に正確に固定することができる挟持具の提供を目的とするものである。
【解決手段】本発明は、直線状のガイド面を有するガイド部と、上記ガイド面の直線方向と平行に、かつガイド面を挟んで互いに対向してガイド部に立設される第一のシート部及び第二のシート部とを備え、上記第一のシート部が中央部分に切欠部を有し、上記第一のシート部及び第二のシート部の少なくとも一方が、他方のシート部に向かって内側に湾曲するような弾性を有し、帯状部材を挟持する際に上記弾性を有する少なくとも一方のシート部が内側に湾曲し、両シート部が互いに対向方向に付勢される帯状部材挟持具である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2本の帯状部材を接続するための挟持具に関し、詳細には、電池の電極板などの2本の帯状部材を接続するために、この2本の帯状部材の各端部同士を当接させ、一直線状に挟持する帯状部材挟持具に関する。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器においては、その電源として様々なタイプの電池が使用されている。これらの電池の中でも、充電により繰り返して使うことが可能な二次電池が多く使用されている。この二次電池には、リチウムイオン電池、アルカリ蓄電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池等がある。
【0003】
このような二次電池は、形状として円筒型や角型のものがあるが、断面構造としてはいずれも、一般的に図5に示される構造を有している。二次電池21は、正極板22と負極板23とがセパレーター24を介して巻回された渦巻状電極体25、この渦巻状電極体25と所定量の電解液とを収容できる大きさを有し、上方が開口した有底筒状の電池外装缶26、及びこの電池外装缶26の上方開口を塞ぐ封口体27を主に有している。
【0004】
この二次電池21の組み立ては、一例として、以下の手順で行われる。まず、電池外装缶26内に、渦巻状電極体25等を収容した後に、例えば負極板23に設けられた負極集電タブを電池外装缶26の内側底部に溶接し、正極板22に設けられた正極集電タブを開口部側の端子板(図示しない)に溶接する。次いで、電池外装缶26の開口部から所定量の非水電解液が注入された後に、電池外装缶26の開口部に封口体27を挿入し、封止することにより組み立てられている。
【0005】
上述のように渦巻状電極体25は、正極板22、負極板23及びセパレーター24が重ね合わされた一本の帯状の電極板を渦巻状に巻いて形成されるものである。この帯状の電極板は、工場における電池生産工程において高速で巻き取られるため、その生産工程において途中で切断される場合がある。このような場合、切断された2本の電極板の各端部同士を繋ぎ合わせる必要が生じる。また、生産工程において帯状の電極板の末端まで巻き取られた場合は、この電極板の末端と新たな電極板の先端とを繋ぎ合わせる必要が生じる。
【0006】
このように2本の帯状の電極板を接続する際、この2本の電極板が一直線になるように接続されていない場合は、巻き取られた渦巻状電極体25の形状にずれが生じ、大量の不良品が発生することとなる。従って、この電池の電極板の接続作業においては、正確性が要求される一方で、生産ラインを長時間ストップさせないために迅速性が要求される。しかしながら、通常、電池の生産ラインにおいて、この電極板の接続作業は手作業によって行われている。すなわち、2本の電極板の各端部を合わせ、この各端部同士を粘着テープ等で固定することによってなされており、一直線となっているか否かも作業者の目測で行われているため、正確性及び迅速性が十分であるとは言えない。
【0007】
なお、テープの切断部同士を正確かつ容易に接続できるテープ接続治具は、例えば特開2004−161420号公報、特開平6−336362号公報等に開示されている。しかし、これらのテープ接続治具は送り孔を有するテープを接続するものであり、この送り孔にピン等を掛けることで2本のテープの位置を正確に固定することができるような構造となっているものである。従って、このようなテープ接続治具を用いても、電池の電極板のような送り孔を有さない2本の帯状部材を正確に一直線状に固定し、接続することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−161420号公報
【特許文献2】特開平6−336362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、2本の帯状部材を一直線状に正確に固定し、この2本の帯状部材の各端部同士を正確かつ迅速に接続することができる挟持具の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた発明は、
直線状のガイド面を有するガイド部と、
上記ガイド面の直線方向と平行に、かつガイド面を挟んで互いに対向してガイド部に立設される第一のシート部及び第二のシート部と
を備え、
上記第一のシート部が中央部分に切欠部を有し、
上記第一のシート部及び第二のシート部の少なくとも一方が、他方のシート部に向かって内側に湾曲するような弾性を有し、
帯状部材を挟持する際に、
上記弾性を有する少なくとも一方のシート部が内側に湾曲し、両シート部が互いに対向方向に付勢される帯状部材挟持具である。
【0011】
当該帯状部材挟持具によれば、2本の帯状部材を直線状のガイド面に沿って一直線状になるように挟持し、この2本の帯状部材の各端部同士を当接した状態で正確に固定することができる。従って当該挟持具を用いることで2本の帯状部材を正確かつ迅速に粘着テープ等を用いて接続することができる。
【0012】
具体的には、当該挟持具によれば、第一のシート部及び第二のシート部の少なくとも一方が、他方のシート部に向かって内側に湾曲するような弾性を有し、帯状部材を挟持する際に、上記弾性を有する少なくとも一方のシート部が内側に湾曲し他方のシート部を付勢するため、この2枚のシート部間に2本の帯状部材を挟むことができ、この湾曲するシート部の反発力により生じる両シート部の対向方向の付勢力によって帯状部材を固定することができる。また、当該挟持具は、ガイド部が直線状のガイド面を有するため、このガイド面に沿って2本の帯状部材を固定することで2本の帯状部材を正確に一直線状に固定することができる。さらに当該挟持具は、第一のシート部の中央部分に切欠部を有することで、当接する2本の帯状部材の各端部をこの切欠部から露出させることができ、この切欠部から粘着テープ等によって2本の帯状部材の各端部同士を固定することで、容易に2本の帯状部材を接続することができる。
【0013】
上記切欠部が、ガイド面との対向縁側から切り欠かれた矩形形状を有し、ガイド面に対して垂直方向に設けられていることが好ましい。当該挟持具によれば、切欠部がガイド面に対して垂直な矩形形状を有していることで、この切欠部が当接して固定される2本の帯状部材の各端部に対して垂直に位置することとなる。また、この切欠部がガイド面との対向縁側から切り欠かれているため、使用の際に、第一のシート部及び第二のシート部のどちらを湾曲させた場合も、粘着テープ等により各端部同士を接続する際に、シート部の延出方向先端側の縁が作業を妨げることがない。従って、当該治具によれば、粘着テープ等による2本の帯状部材の各端部同士の接続をより正確かつ容易に行うことができる。
【0014】
上記第一のシート部及び第二のシート部が透明であることが好ましい。当該治具によれば、このように両シート部が透明であることで、2つの帯状部材がガイド面に沿って一直線状になっているか否かを容易に確認することができるため、2本の帯状部材の接続作業をより確実に行うことができる。
【0015】
上記湾曲するシート部の曲げ弾性率としては、50MPa以上50GPa以下が好ましい。当該挟持具によれば、湾曲するシート部を上記範囲の曲げ弾性率とすることで、接続作業において確実に2本の帯状部材をシート部間に固定することができ、またこのシート部間への帯状部材の挿入及び抜取作業を効率的に行うことができる。
【0016】
従って、当該帯状部材挟持具は、2本の同型の帯状部材、特に電池の電極板の接続の際に好適に用いることができる。
【0017】
ここで、「直線状の面」とは、面内に直線を含む面をいい、この直線に傾いた方向に曲がっている曲面であってもよい。また、「曲げ弾性率」は、JIS−K6911に準拠し試験片の幅15mm、長さ40mm、支点間距離15mm、支点と圧子との曲率半径3mm、荷重速度2mm/minとして測定した値である。また、第一のシート部は、切欠部によって2枚に分断されていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、当該帯状部材挟持具によれば、2本の帯状部材の各端部同士を正確かつ迅速に接続するために、この2本の帯状部材を一直線状に正確かつ容易に固定することができる。従って、当該帯状部材挟持具によれば、例えば電池の電極板の接続を正確かつ迅速に行うことができるため、不良品の発生を抑制させ、さらに生産ラインの停止状態を短縮することができ、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る帯状部材挟持具を示す模式的斜視図。
【図2】図1の帯状部材挟持具の使用方法を示す模式的斜視図。
【図3】図1の帯状部材挟持具とは異なる帯状部材挟持具を示す模式的斜視図。
【図4】図1及び図3の帯状部材挟持具とは異なる帯状部材挟持具を示す模式的側面図。
【図5】一般的な二次電池の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳説する。
【0021】
図1の帯状部材挟持具1は、ガイド部2と、第一のシート部3と、第二のシート部4とを備えている。当該帯状部材挟持具1は、後に詳述するように、ガイド部2のガイド面に沿って、第一のシート部3と第二のシート部4との間に2本の帯状部材を一直線状に挟持して固定することができる構造となっている。
【0022】
ガイド部2は、細長い略直方体形状を有している。また、ガイド部2は、直線状のガイド面5を有している。このガイド面5は、直線状、すなわち面内に直線を含む形状でありこの直線方向を長手方向とする細長い長方形状(帯状形状)となっている。ガイド部2のこの略直方体形状としては、全ての面が平面から構成される正確な直方体形状に限定されず、少なくとも上記ガイド面5が直線状、すなわち、ガイド面5内に直線を含む面であれば、他の面はどのような形状でもよい。このガイド部2によれば、この直線状のガイド面5に沿って2本の帯状部材を配置することができるため、2本の帯状部材を正確に一直線状に固定することができる。
【0023】
ガイド部2の材質としては、特に限定されず、合成樹脂、金属等を適宜用いることができるが、軽量であることによる取扱性や成形性などの点から、合成樹脂が好ましく、透明な合成樹脂が特に好ましい。この合成樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ABS、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンやポリ(4−メチルペンテン−1)等のポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂等を挙げることができる。
【0024】
ガイド部2のサイズとしては、特に限定されず、接続する帯状部材の大きさ等を適宜考慮して設定される。例えば、当該帯状部材挟持具1を電池の電極板の接続のために用いる場合のガイド部2の長手方向の長さ(ガイド面5の長さ)としては、4cm以上20cm以下が好ましく、6cm以上15cm以下が特に好ましい。ガイド部2の長さが4cm未満の場合は、ガイド面5の長さが不十分であるため、このガイド部2に沿って2本の帯状部材を正確に一直線状に固定しにくくなるおそれがある。逆に、ガイド部2の長さが20cmを超えると、ガイド部2が長すぎ、帯状部材挟持具1自体が大型化されるため、挟持具1を片手で取り扱いにくくなり、かつ、2本の帯状部材をガイド部2に沿って2つのシート部間に挟持しにくくなるため作業性が低下するおそれがある。
【0025】
また、ガイド部2の厚さ(ガイド面5の幅)は、電池の電極板の接続のために用いる場合においては、0.5mm以上3mm以下が好ましく、1mm以上2mm以下が特に好ましい。接続部2の厚さが0.5mm未満の場合は、ガイド面5に好ましい厚さの第一のシート部3及び第二のシート部4(以下、「両シート部」ともいう。)を設けることが困難となる。また、両シート部を設けた場合も、この両シート部間の間隔が狭くなり、帯状部材たる電池の電極板を正確かつ容易に挟持し、固定することが困難となるおそれがある。逆に、ガイド部2の厚さが3mmを超えると両シート部の厚さによっては、両シート部間の間隔が広くなりすぎ、帯状部材を挟持し固定しにくくなるおそれがある。
【0026】
なお、ガイド部2の幅(ガイド面5に対して垂直方向の長さ)としては、ガイド部2が一定程度の強度を有することができれば特に限定されず、例えば、2mm以上6mm以下程度である。
【0027】
第一のシート部3は、ガイド部2のガイド面5の上側に、ガイド面5の直線方向と平行に立設されている。また、第一のシート部3は、中央部分にガイド面5との対向縁側から切り欠かれた切欠部6を有し、この切欠部6によって2枚に分断されている。
【0028】
第一のシート部3の形状(切欠部6によって切り欠かれていないとした状態の形状)としては、特に限定されないが、帯状部材の挟み易さ等の取扱性の点から、方形であることが好ましい。なお、この第一のシート部3が方形である場合、安全性の点などから各頂点が丸められていてもよい。
【0029】
第一のシート部3のサイズとしては、特に限定されないが、長さ(ガイド面5の直線方向の長さ)としてはガイド部2の長さと同一長さであることが好ましい。
【0030】
また、第一のシート部3の幅(ガイド面5と垂直方向の長さ)としては、この挟持具1によって固定する帯状部材のサイズ等によって適宜設定されるが、電池の電極板の接続の際に用いる場合は、例えば、4cm以上10cm以下が好ましく、5cm以上8cm以下が特に好ましい。第一のシート部3の幅が4cmより短いと電池の電極板の両シート部間による挟持状態が不安定になり正確に一直線状に固定しにくくなるおそれがある。逆に、この幅が10cmを超えると、電池の電極板の挿入及び抜取作業の効率が低下するおそれがある。
【0031】
第一のシート部3の厚さも特に限定されず、一般的なシートの厚さであればよく、例えば0.1mm以上1mm以下程度である。
【0032】
第一のシート部3の材質としては、特に限定されず、合成樹脂、金属等を適宜用いることができるが、軽量であることによる取扱性や成形性などの点から合成樹脂が好ましい。また第一のシート部3は透明であることが好ましい。第一のシート部3が透明であると、2つの帯状部材がガイド部2のガイド面5に確実に接して一直線状になっているか否かを容易に確認することができるため、2本の帯状部材の接続作業をより確実に行うことができる。
【0033】
第一のシート部3に用いられる合成樹脂としては、例えばガイド部2で用いられるものと同様のポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ABS、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンやポリ(4−メチルペンテン−1)等のポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂等を挙げることができる。なお、この第一のシート部3は、弾性を有していてもいなくてもよい。
【0034】
切欠部6は、矩形形状を有し、第一のシート部3を二等分するようにガイド面5に対して垂直方向に切り欠かれている。当該挟持具1によれば、このように第一のシート部3の中央部分に切欠部6を有することで、この切欠部6から2本の帯状部材の各端部分を露出させることができ、この切欠部6から粘着テープ等によって2本の帯状部材の各端部分を容易に接続することができる。また、この切欠部6がガイド面5との対向縁側から切り欠かれているため、使用の際に、粘着テープ等により各端部同士を接続する際に、第一のシート部3のガイド面5と対向する側の縁が作業を妨げることがない。
【0035】
この切欠部6の幅(ガイド面5の直線方向の長さ)は、2本の帯状部材を接続するための粘着テープ等の幅より広いものであることが好ましく、具体的には、0.8cm以上3cm以下が好ましい。切欠部6の幅が0.8cmより小さいと、粘着テープ等の幅より狭くなることで、粘着テープ等の貼り付けが困難になる場合がある。逆に、この幅が3cmを超えると、切り欠かれた第一のシート部3自体が小さくなることで、帯状部材の固定においてぐらつきが生じるなど、作業性が低下するおそれがある。
【0036】
第二のシート部4は、ガイド部2のガイド面5の下側に、ガイド面5の直線方向と平行に立設されている。すなわち、第一のシート部3と第二のシート部4とは、ガイド面5を挟んで対向するようにガイド部2から立設している。また、第二のシート部4は、第一のシート部3に向かって内側に湾曲するような弾性を有し、少なくとも帯状部材を挟持する際に、第一のシート部3に向かって内側に180°湾曲する。当該挟持具1は、このように第二のシート部4が湾曲することができるので、この湾曲するシート部(第二のシート部4)と他のシート部(第二のシート部3)とが、切欠部6を挟んだ左右で帯状部材を介して当接し、互いに対向方向に付勢されることとなる。
【0037】
当該挟持具1によれば、このような状態で2枚のシート部(第一のシート部3及び第二のシート部4)が当接し、付勢されることができるため、この2枚のシート部間に帯状部材を挟むことができ、この湾曲しているシート部(第二のシート部4)の反発力により生じる両シート部の対向方向の付勢力によって帯状部材を固定することができる。
【0038】
第二のシート部4のサイズ(長さ、幅及び厚さ)としては、特に限定されないが、第一のシート部3と同サイズであることが成形性の点などから好ましい。
【0039】
ここで、第一のシート部3と第二のシート部4との間隔としては、接続される帯状部材の厚さを考慮して適宜設定することができる。当該挟持具1を電池の電極板の接続のために用いる場合においては、この間隔としては、0.05mm以上2mm以下が好ましく、0.1mm以上1.5mm以下がさらに好ましく、0.2mm以上1.2mm以下がさらに好ましい。この間隔が0.05mmより小さいと、帯状部材たる電池の電極板の側面がガイド面5に完全に当接するまで電極板を2枚のシート部間に差し込むことが困難となり2つの電極板を一直線状に挟持し、固定できなくなるおそれがある。逆にこの間隔が2mmより大きいと、電極板を挟持した際にぐらつきが生じやすくなり、2枚の電極板を一直線状に正確に接続できないおそれがある。
【0040】
第二のシート部4の材質としては、上述の弾性を有するものであれば特に限定されないが、第一のシート部3と同様な合成樹脂を用いることが好ましい。また、第二のシート部4においても透明であることが好ましい。第二のシート部4が透明であると、2つの帯状部材の側面がガイド面5に確実に接して一直線状になっているか否かを下側(裏側)からも容易に確認することができるため、2本の帯状部材の接続作業をより確実に行うことができる。
【0041】
この第二のシート部4(湾曲するシート部)の曲げ弾性率の下限としては、50MPaが好ましく、100MPaが更に好ましく、200MPaが特に好ましく、500MPaが更に特に好ましい。一方、この曲げ弾性率の上限としては、50GPaが好ましく、30GPaが更に好ましく、10GPaが特に好ましく、4GPaが更に特に好ましい。当該挟持具1によれば、第二のシート部4の曲げ弾性率を上記範囲にすることで、両シート部において好適な付勢力を発揮することができ、接続作業において確実に2つの帯状部材をシート部間に固定することができ、またこのシート部間への帯状部材の挿入及び抜取作業を効率的に行うことができる。
【0042】
第二のシート部4の曲げ弾性率が上記下限より小さいと、この湾曲する第二のシート部4の反発力(両シート部の付勢力)が弱く、2つの帯状部材を両シート部によって挟持した際に、固定されにくくなるおそれがある。また、粘着テープ等により接続する際に、第二のシート部4が変形しやすくなるため、正確に2つの帯状部材を接続しにくくなるおそれがある。逆に、この曲げ弾性率が上記上限を超えると、この湾曲する第二のシート部4の反発力(両シート部の付勢力)が強すぎるため、シート部間への帯状部材の挿入及び抜取がしにくくなり、作業効率が低下するおそれがある。
【0043】
当該帯状部材挟持具1によれば、図2に示すように、2本の帯状部材A及びBを2枚のシート部(第一のシート部3及び第二のシート部4)間に挿入し、この2本の帯状部材A及びBの各端部同士を当接し、かつ、ガイド部2のガイド面5に沿って一直線状になるように正確に固定することができる。この際に、2本の帯状部材A及びBは、湾曲した第二のシート部4の反発力によって生じる両シート部の対向方向の付勢力によって固定されている。
【0044】
また、この当接している帯状部材A及びBの各端部同士が中央部分に位置するように挟み込むことによって、この帯状部材A及びBの各端部の当接部分は切欠部6から露出した状態となっている。また、この切欠部6は、延出方向先端側から切り欠かれており、さらに、この当接している帯状部材A及びBの各端部の面に対して垂直に位置しているため、この切欠部6から粘着テープC等によって2本の帯状部材の各端部分を容易に固定することができ、容易に2本の帯状部材A及びBを接続することができる。
【0045】
なお、粘着テープC等によって2本の帯状部材A及びBの各端部分を固定した後は、この帯状部材A及びBを第一のシート部3及び第二のシート部4の延出方向(ガイド部2の逆方向)に引っ張ることで、帯状部材A及びBを容易に抜き出すことができる。
【0046】
図3の帯状部材挟持具11は、ガイド部2と、第一のシート部13と、第二のシート部14とを備えている。ガイド部2は、図1の帯状部材挟持具1と同様のものであるので、同一番号を付して説明を省略する。
【0047】
第一のシート部13は、ガイド部2のガイド面5の上側に、ガイド面5の直線方向と平行に立設されている。また、第一のシート部13は、中央部分にガイド面5との対向縁側から切り欠かれた切欠部16を有している。なお、この第一のシート部13は、図1の第一のシート部3と異なり、ガイド部2のガイド面5までは切り欠かれていないため、分断されず1枚のシート状となっている。第一のシート部13は、第二のシート部14に向かって内側に湾曲するような弾性を有し、少なくとも帯状部材を挟持する際、第二のシート部14に向かって内側に180°湾曲する。
【0048】
第二のシート部14は、ガイド部2のガイド面5の下側に、ガイド面5の直線方向と平行に立設されている。すなわち、第一のシート部13と第二のシート部14とは、ガイド面5を挟んで対向するようにガイド部2から立設している。なお、第二のシート部14は弾性を有していてもいなくてもよい。
【0049】
第一のシート部13のサイズ(長さ、幅及び厚さ)及び材質は挟持具1の第一のシート部3と同様であり、第二のシート部14のサイズ(長さ、幅及び厚さ)及び材質は挟持具1の第二のシート部4と同様である。また、湾曲する第一のシート部13の好ましい曲げ弾性率としては、挟持具1の第二のシート部4と同様である。
【0050】
当該帯状部材挟持具11は、上述のように第一のシート部13が内側に湾曲するので、帯状部材を挟持する際、この湾曲するシート部(第一のシート部13)の外側の面と、他方のシート部(第二のシート部14)の内側の面とが、切欠部16を挟んだ左右で帯状部材を介して当接し、両シート部が対向方向に付勢されることとなる。
【0051】
当該挟持具11によっても、このような状態で2枚のシート部(第一のシート部13及び第二のシート部14)が当接し、付勢さるため、この2枚のシート部間に2本の帯状部材を挟むことができ、この湾曲しているシート部(第一のシート部13)の反発力すなわち、両シート部の対向方向への付勢力によって帯状部材を固定することができる。
【0052】
図4の帯状部材挟持具17は、ガイド部2と、第一のシート部3と、第二のシート部18とを備えている。ガイド部2及び第一のシート部3とは、図1の帯状部材挟持具1と同様のものであるので、同一番号を付して説明を省略する。
【0053】
第二のシート部18は、ガイド部2のガイド面5の下側に、ガイド面5の直線方向と平行に立設されている。すなわち、第一のシート部3と第二のシート部18とは、ガイド面5を挟んで対向するようにガイド部2から立設している。
【0054】
第二のシート部18は、第一のシート部3に向かって内側に湾曲するような弾性を有しており、少なくとも帯状部材を挟持する際に、第一のシート部3に向かって内側に湾曲する。この際、第二のシート部18は、略三角形状に湾曲され、第一のシート部3と面状に当接している。
【0055】
当該帯状部材挟持具17によれば、このような形状に第二のシート部18が湾曲するため、帯状部材を第一のシート部3と第二のシート部18との両方の平面で挟持することができる。また、2本の帯状部材の各端部同士を粘着テープ等にて接続する際に、粘着テープ等を介して第二のシート部18を押さえ込んでも曲がりにくく、作業性が向上する。従って、当該挟持具によれば、帯状部材を挟持した際の固定安定性が向上し、より正確かつ確実に、帯状部材を一直線状に接続することができる。
【0056】
当該帯状部材挟持具の製造方法としては、特に限定されず、例えば、それぞれに成型したガイド部、第一のシート部及び第二のシート部を接続して成形する方法、溶融押出成型法などにより一体的に成型する方法、第一及び第二のシート部となるシート状部材を接着剤等の樹脂を介して接続して成形する方法、一枚のシート状部材を折り曲げて成形する方法などが挙げられる。
【0057】
なお、当該挟持具を上述のように2枚のシート状部材を接続して形成した場合や、一枚のシート状部材を折り曲げて形成した場合などにおいて、ガイド部のガイド面において両シート部間の間隔が限りなく狭くなっていてもよい。このように両シート部間の間隔が狭くなり、ガイド面において、両シート部間の間隔が、挟持される帯状部材の厚さよりも狭くなっていても、ガイド面が直線状であれば、このガイド面の直線にそって帯状部材を一直線状に挟持することができる。
【0058】
なお、本発明の帯状部材挟持具は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、切欠部が矩形形状以外の形状、例えば頂点が丸められた矩形形状や半円状を有していてもよい。当該帯状部材挟持具の切欠部が、このような形状である場合は、帯状部材の2枚のシート間への挿入がスムーズに行われ、この接続の作業性がさらに向上される。
【0059】
また、本発明の帯状部材挟持具は、常には、弾性を有する少なくとも一方のシート部が内側に湾曲していなくてもよい。つまり、この弾性を有するシート部を通常又は流通段階等においては平面状とし、使用の際(帯状部材を挟持する際)に湾曲させて使用するものであってよい。このように、通常又は流通段階等においては平面状としておくことで、保管をコンパクトなサイズで行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上説明したように、本発明の帯状部材挟持具は、帯状部材の接続作業が必要となる生産工程、例えば、帯状の電池の電極板を取り扱う電池製造工程などにおいて利用される。さらに、当該帯状部材挟持具によれば、生産性の向上により電池の電極板の更なる薄型化が可能となり、例えば、ハイブリッド車のバッテリーなど、高品質な電池の生産の際に、好適に用いられる。その他、当該帯状部材挟持具は、帯状部材としてテープ、フィルム、シート等の部品が組み込まれる様々な家電製品等の生産ラインにおいても好適に用いられる。
【符号の説明】
【0061】
1 帯状部材挟持具
2 ガイド部
3 第一のシート部
4 第二のシート部
5 一の側面
6 切欠部
11 帯状部材挟持具
13 第一のシート部
14 第二のシート部
16 切欠部
17 帯状部材挟持具
18 第二のシート部
A 帯状部材
B 帯状部材
C 粘着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状のガイド面を有するガイド部と、
上記ガイド面の直線方向と平行に、かつガイド面を挟んで互いに対向してガイド部に立設される第一のシート部及び第二のシート部と
を備え、
上記第一のシート部が中央部分に切欠部を有し、
上記第一のシート部及び第二のシート部の少なくとも一方が、他方のシート部に向かって内側に湾曲するような弾性を有し、
帯状部材を挟持する際に、
上記弾性を有する少なくとも一方のシート部が内側に湾曲し、両シート部が互いに対向方向に付勢される帯状部材挟持具。
【請求項2】
上記切欠部が、ガイド面との対向縁側から切り欠かれた矩形形状を有し、ガイド面に対して垂直方向に設けられている請求項1に記載の帯状部材挟持具。
【請求項3】
上記第一のシート部及び第二のシート部が透明である請求項1又は請求項2に記載の帯状部材挟持具。
【請求項4】
上記湾曲するシート部の曲げ弾性率が50MPa以上50GPa以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の帯状部材挟持具。
【請求項5】
上記帯状部材が電池の電極板である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の帯状部材挟持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−157177(P2011−157177A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19938(P2010−19938)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【特許番号】特許第4564587号(P4564587)
【特許公報発行日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(510028729)
【Fターム(参考)】