説明

帯鋸盤

【課題】帯鋸刃(20)用のガイド(4621,4622)が設けられた帯鋸盤において、鋸引き中に発生した細片がガイド(4621,4622)の隙間に入り込むのを防止する。
【解決手段】前記ガイド(4621,4622)は、その間にある中間チャンバ(47)内で帯鋸刃(20)を囲み、前記チャンバ(47)内での帯鋸刃(20)の位置に影響する力を帯鋸刃(20)に及ぼす少なくとも2つの磁石(56a,56b,56a’,56b’)を備えているとともに、前記チャンバ(47)内に気流を発生させ、細片を除去する吹き出し装置(80)が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯鋸刃を有する帯鋸盤に関するものである。帯鋸刃は帯鋸刃用のガイドを備え、そのガイドは、その間にある隙間内で帯鋸刃を包囲し、空間内のその位置に影響する力を帯鋸刃に及ぼす少なくとも2つの磁石を備えている。
【背景技術】
【0002】
上述した種類の帯鋸盤は、下記特許文献1より公知である。
公知の帯鋸盤では、帯鋸刃が、互いに隣接して配置された2つの磁石ガイドの間の隙間を通って、垂直方向に案内される。
かなりの量の細片(通常は木片)が、鋸引き中に発生し、これらの細片は、鋸引き台の下方に配置された磁石ガイドの間の隙間へと入り込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2007 005 581号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
帯鋸刃を最適に案内することを考えると、この隙間は、磁石ガイドの磁石の間の距離を可能な限り小さくするために、狭い空隙として寸法をとられていなければならない。発生した細片が隙間に詰まり、それがブレーキとなったり、または帯鋸刃の強制停止をさえ引き起こしたりする場合がある。同様に、ガイドの精度、特に切断の直線性が、それによって悪化する場合がある。
【0005】
隙間が詰まることは、隙間を通って動き細片を吸い込む帯鋸刃により隙間内に発生する真空によっても生じる。
ゆえに、発明の目的は、上述した欠点を回避できるように、冒頭に述べた種類の帯鋸盤を改良することである。
特に、帯鋸盤が誤作動なしに動き、鋸引き台の下方に配置された磁石ガイドが細片により詰まらないことが保証されていなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
隙間に接続された吹き出し装置を設けることで、冒頭に述べた種類の帯鋸盤により、この目的は達成される。本発明の根底にある目的は、このようにして完全に解決される。
吹き出し装置を設けることにより、細片は、帯鋸刃の軌道に入り込む前に、折よく除去されるため、磁石ガイドの間の隙間に引き入れられて誤作動を引き起こすことがない。
本発明に係る帯鋸盤の好ましい改良形態では、帯鋸刃は、所定の鋸引き方向に鋸引きされる物体を通って動き、吹き出し装置は、鋸引き方向に見て、鋸引きされる物体のすぐ後ろに置かれたガイドに配置されている。この措置には、細片の除去が特に必要とされるまさにその位置で、発明の効果が現れるという利点がある。
【0007】
上記実施形態の改良形態では、吹き出し装置は、鋸引きされる物体に対向するガイドの側に配置される。この措置も、帯鋸刃の軌道から細片をできるだけ速やかに除去することに貢献する。
上記実施形態の別の変形例では、帯鋸刃は、長手方向側に歯が設けられており、吹き出し装置は、歯の反対側の帯鋸刃の長手方向側で、気流を導く。この措置には、鋸引き方向に垂直な方向に、かつ帯鋸刃に向かって後から前へと気流を導くことにより、帯鋸刃から離れるように細片が除去されるという利点がある。
【0008】
本発明の特に好ましく実用的な実施形態では、本質的に平坦な横面によって、かつ所定の距離で、前記ガイドがその間に帯鋸刃を包囲しており、鋸引きされる物体に対向する側で距離が大きくされており、それにより、第1チャネルがそれぞれ、ガイドと帯鋸刃との間の側に形成されている。この措置には、吹き出し装置により生成される気流を案内する所定のチャネル内で帯鋸刃の横側によって、帯鋸刃により、その歯に向かって、次いで歯から離れるように横方向に、制御された空気の案内(エアガイド)が起きるという利点がある。
【0009】
上記実施形態の改良形態では、吹き出し装置は、気流を放出するための2つの第2チャネルを備えており、第1チャネルは第2チャネルと同じ高さである。この措置には、吹き出し装置からの気流が、最小の損失で、帯鋸刃の側部により搬送されるという利点がある。
最後に、本発明の別の実施形態は、ワイパがそれぞれ、ガイドと帯鋸刃との間に設けられている点で好ましい。この措置には、上記第1チャネルと組み合わせたときに特に、十分に閉じられたチャネルが形成され、空気の特に効果的な案内が可能になるという利点がある。
【0010】
さらなる利点が、詳細な説明および添付図面より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】先行技術に係る帯鋸盤の正面図である。
【図2】図3のII-II線に沿った、本発明の吹き出し装置と組み合わせた図1の帯鋸盤の磁石ガイドの拡大頂面図である。
【図3】図2のIII-III線に沿った、図2の構成の後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態は図に示されており、以下の説明においてさらに詳細に記載される。
図1において、参照番号10は全体として、丸木を切断するため、板を切断しへりをつけるためなどに製材所で一般に使用される帯鋸盤を示している。帯鋸盤10は、製材所の設備に固定的に取り付けられてもよく、または可動式のユニットとして構成されていてもよい。
【0013】
帯鋸盤10は、水平上側軸16および水平下側軸18の周りをそれぞれ回転する上側ホイール12および下側ホイール14を備えている。帯鋸刃20が、張力を加えた状態で、ホイール12および14に巻かれている。帯鋸刃20の、図1の正面側には、歯21および細片空間22が設けられている。しかし、前方向にも後方向にも切断する両歯の鋸刃も使用することができる。
矢印23および24は、ホイール12および14の回転方向を示している。ホイール12および14の配置は、少なくとも軸16および18と交差する垂直軸26に対して、および軸16と18との中間に延びる水平軸28に対して、おおよそ対称となっている。
【0014】
図1では、右の鋸刃部が32で、左の鋸刃部が34で示されている。ホイール12および14の回転方向23および24から、矢印37で示されるように、鋸刃20は、その左の鋸刃部34において、下方への移動方向となる。右の鋸刃部32および左の鋸刃部34は、ホイール12および14に対して接線方向に延びている。しかし、左の鋸刃部34は、それ自体公知のように、ホイール12および14の左手側で、接線との距離を維持していてもよい。
【0015】
左の鋸刃部34は、上側ガイドおよび下側ガイドを通って動く。ガイドはそれぞれ、対の磁石ガイド4611,4612および4621,4622として構成されている。対の磁石ガイド4611,4612および4621,4622は、互いに隣り合って配置されており、帯鋸刃20が通過する隙間47をその間に包囲している。
対の磁石ガイド4611,4612および4621,4622はそれぞれ、互いに上下に配置されている。その間に鋸引き台48が設けられており、鋸引き台48の上で、鋸引きされる物体50(例えば木の板)が帯鋸盤10を通って(すなわち図1では紙面に垂直な方向へ前から後に)押される。
【0016】
磁石ガイド4611,4612および4621,4622はそれぞれ、鋸引き中に鋸刃部34を横方向に案内することができ、これを、垂直軸を中心に回転させることができる。この詳細が、上記特許文献1に記載されている。
図1の下側の対の磁石ガイド4621,4622の平面図を図2に、背面図を図3に示す。図2の底部で、鋸引きされる物体50が、水平の供給方向52へと、帯鋸刃20の歯21に向かって押されているのを見ることができる。
【0017】
図2において、磁石ガイド4621および4622にそれぞれ、前側磁石56aおよび56a’ならびに後側磁石56bおよび56b’が、それぞれ供給方向52から見て設けられている。磁石56a,56a’,56bおよび56b’を選択的に作動させることにより、帯鋸刃20は、図2において右から左に移動されてもよく、それ自体公知のように垂直軸を中心に回転されてもよい。磁石ガイドは通常、20×Bcmと5×Bcm(Bは、鋸刃後部と歯21の底部との間における鋸刃20の幅である)との間の有効表面を有している。両歯の鋸刃に関しては、Bは2つの前歯底部および後歯底部の間の距離とする。
【0018】
図3は、上部で鋸引き台と対向している磁石ガイド4621および4622の上面60に、ボルト64によりプレート62がそれぞれボルト留めされていることを示している。プレート62は、供給方向52から見て、磁石ガイド4621および4622と同じ長さであるが、面60の領域では、横方向に、より離れている。磁石ガイド4621および4622と帯鋸刃20との間の距離がそれぞれ、わずかd1(実用的には通常1mm)であるのに対し、プレート62の内側面66は、帯鋸刃20から通常2〜7mmの距離d2を有している。
【0019】
ワイパ70を、ボルト64によりプレート62に取り付けるのが好ましい。ワイパ70は、供給方向に帯鋸刃20の両側に持たせかけて、歯21から少し離れるように置かれており、それにより、間に帯鋸刃20をしっかりと包囲している。ワイパ70,70’は、弾性のプラスチック材料または他の低摩耗材料(例えば、薄いバネ鋼)からなっているのが好ましい。ワイパ70はまた、プレート62に似たプレートからなっていてもよく、その残留位置において、帯鋸刃20から1mmの距離に同様に配置されている。これは、数Nの小さな力で、帯鋸刃20の両側を恒久的に押圧していてもよい。
【0020】
プレート62の距離をその横側66の間で拡大することにより、かつ、特にワイパ70,70’を最適に設けることにより、第1チャネル72,72’が、帯鋸刃20の両側に形成される。
供給方向52における磁石ガイド4621および4622の後方に、図2に明瞭に示すように、吹き出し装置80が設けられている。吹き出し装置80には、図3に示すように、第1チャネル72,72’と同じ高さにされている2つの第2チャネル82,82’が設けられている。吹き出し装置80は、圧縮空気源(図示せず)に接続されている。
【0021】
これにより、吹き出し装置80は、帯鋸刃20の後側から第1チャネル72,72’に入り帯鋸刃20に沿って横方向に流れる2つの気流84,84’を生成する。鋸引きされる物体50の鋸引き中、細片86が、帯鋸刃20の歯21の領域で生成され、磁石ガイド4621および4622の領域へと下方に運ばれ、次いで、これらの細片86は、気流84,84’により捕捉され、図2に矢印88,88’により示すように外部へと運び去られる。気流84,84’は特に、第1チャネル72,72’内の圧力を高め、それにより帯鋸刃20の通過中に発生する真空を補償(compensate)または過補償(over-compensate)する。
【0022】
2つの反対の供給方向52を有する両歯の帯鋸刃を使用する場合、主たる供給方向に応じて交替に起動される、対称に配置された2つの吹き出しアセンブリ80を設けることが好ましい。
任意のワイパ70,70’を上述した仕方で弾性要素またはプレートとして設けた場合、これらは第1チャネル72,72’を上方から覆い、それにより、磁石ガイド4621および4622と帯鋸刃20との間の隙間47に細片86が入り込むことを実質的に防止する。この状況で依然として第1チャネル72,72’に入り込む細片86は、その中を気流84,84’によって運ばれ、前方に向かって外部空間へと除去される。これにより、隙間47は、細片86が事実上存在しない状態に保たれる。
【0023】
上述した特徴は、特に示された組み合わせだけでなく、他の組み合わせまたは単独でも、本発明の範囲を逸脱することなしに使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯鋸刃(20)を有し、帯鋸刃(20)用のガイド(4611,4612,4621,4622)を備える帯鋸盤であって、
前記ガイド(4611,4612,4621,4622)は、その間にある隙間(47)内で前記帯鋸刃(20)を包囲し、空間内のその位置に影響する力を前記帯鋸刃(20)に及ぼす少なくとも2つの磁石(56a,56b,56a’,56b’)を備え、
前記隙間(47)に接続された吹き出し装置(80)が設けられている、帯鋸盤。
【請求項2】
前記帯鋸刃(20)は、鋸引きされる物体(50)を所定の鋸引き方向(37)に通過し、
前記吹き出し装置(80)は、前記鋸引き方向(37)に見て、前記鋸引きされる物体(50)のすぐ後ろに置かれたガイド(4621,4622)に配置されている、請求項1に記載の帯鋸盤。
【請求項3】
前記吹き出し装置(80)は、前記鋸引きされる物体(50)に対向する前記ガイド(4621,4622)の側(60)に配置されている、請求項2に記載の帯鋸盤。
【請求項4】
前記帯鋸刃(20)は、長手方向側に歯(21)が設けられており、前記吹き出し装置(80)は、前記歯(21)の反対側の前記帯鋸刃(20)の長手方向側で、気流(84,84’)を導く、請求項2または3に記載の帯鋸盤。
【請求項5】
前記ガイド(4621,4622)は、本質的に平坦な横面(68)によって、かつ所定の距離(d1)をおいて、その間に前記帯鋸刃(20)を包囲しており、前記鋸引きされる物体(50)に対向する前記側(60)で、前記距離が大きくされており(d2)、それにより、第1チャネル(72,72’)がそれぞれ、前記ガイド(4621,4622)と前記帯鋸刃(20)との間の前記側(60)に形成されている、請求項3または4に記載の帯鋸盤。
【請求項6】
前記吹き出し装置(80)は、前記気流(84,84’)を放出するための2つの第2チャネル(82,82’)を備えており、前記第1チャネル(72,72’) は 前記第2チャネル(82,82’)と同じ高さである、請求項5に記載の帯鋸盤。
【請求項7】
ワイパ(70,70’)がそれぞれ、前記ガイド(4621,4622)と前記帯鋸刃(20)との間に設けられている、請求項3〜6のいずれか1項に記載の帯鋸盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−516285(P2011−516285A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503348(P2011−503348)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際出願番号】PCT/EP2009/001552
【国際公開番号】WO2009/124620
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(510267960)エステラー ヴェーデー ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】