帯電装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
【課題】 帯電ロールと感光体ドラムとの間の放電規制部材を備えるにもかかわらず、帯電ロールの周面の放電生成物の生成を抑えた帯電装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】 帯電装置20において、周面が周回移動する感光体ドラム10に周面が接触しこの感光体ドラム10の周面移動に伴って周面が周回移動する、直流電圧が印加されて被付与部材の周面に電荷を付与する帯電ロール21、および、帯電ロールと同電位の導体板221と、導体板221の表面を被覆し、抵抗率が空気の抵抗率よりも高い被覆体222とを有し、感光体ドラムと帯電ロールとの間の位置のうち、感光体ドラムの周面の移動方向における、感光体ドラムと帯電ロールとが接触する位置Cよりも上流側に配置された放電規制部材22とを備えたことを特徴とする。
【解決手段】 帯電装置20において、周面が周回移動する感光体ドラム10に周面が接触しこの感光体ドラム10の周面移動に伴って周面が周回移動する、直流電圧が印加されて被付与部材の周面に電荷を付与する帯電ロール21、および、帯電ロールと同電位の導体板221と、導体板221の表面を被覆し、抵抗率が空気の抵抗率よりも高い被覆体222とを有し、感光体ドラムと帯電ロールとの間の位置のうち、感光体ドラムの周面の移動方向における、感光体ドラムと帯電ロールとが接触する位置Cよりも上流側に配置された放電規制部材22とを備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
帯電ローラを感光体に接触させて帯電する帯電器において、帯電ローラと感光体で挟まれた空間に、帯電ローラから感光体への放電を規制するブレードを配置し、ブレードと感光体との間の放電が生じないよう、感光体に対するブレードの電圧を、ブレードと感光体との間の帯電開始電圧未満とした帯電器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−72705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電荷付与部材の周面での放電生成物の生成を抑えた帯電装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る帯電装置は、
周面が周回移動しこの周面に電荷が付与される被付与部材に周面が接触しこの被付与部材の周面移動に伴って周面が周回移動する、直流電圧が印加されてこの被付与部材の周面に電荷を付与する電荷付与部材と、
上記電荷付与部材と同電位の導体と、この導体の表面を被覆し、抵抗率が空気の抵抗率よりも高い高抵抗被覆体とを有し、上記被付与部材と上記電荷付与部材との間の位置のうち、この被付与部材の周面の移動方向における、この被付与部材とこの電荷付与部材とが接触する位置よりも上流側に配置された放電規制部材とを備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る帯電装置は、上記放電規制部材が、上記電荷付与部材に接触したものであることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係るプロセスカートリッジは、
周面が周回移動し該周面に電荷が付与され、該周面に像が形成され該像を保持する像保持体と、
周面が上記像保持体の周面に接触しこの像保持体の周面移動に伴って周面が周回移動する、直流電圧が印加されてこの像保持体の周面に電荷を付与する電荷付与部材と、
上記電荷付与部材と同電位の導体と、この導体の表面を被覆し、抵抗率が空気の抵抗率よりも高い高抵抗被覆体とを有し、上記像保持体と上記電荷付与部材との間の位置のうち、この像保持体の周面の移動方向における、この像保持体とこの電荷付与部材とが接触する位置よりも上流側に配置された放電規制部材とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項4に係るプロセスカートリッジは、上記放電規制部材が、上記電荷付与部材に接触したものであることを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る画像形成装置は、
周面が周回移動し該周面に電荷が付与され、該周面に像が形成され該像を保持する像保持体と、
周面が上記像保持体の周面に接触しこの像保持体の周面移動に伴って周面が周回移動する、直流電圧が印加されてこの像保持体の周面に電荷を付与する電荷付与部材と、
上記電荷付与部材と同電位の導体と、この導体の表面を被覆し、抵抗率が空気の抵抗率よりも高い高抵抗被覆体とを有し、上記像保持体と上記電荷付与部材との間の位置のうち、この像保持体の周面の移動方向における、この像保持体とこの電荷付与部材とが接触する位置よりも上流側に配置された放電規制部材とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項6に係る画像形成装置は、上記放電規制部材が、上記電荷付与部材に接触したものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る帯電装置、請求項3に係るプロセスカートリッジ、及び請求項5に係る画像形成装置は、放電規制電荷付与部材の周面での放電生成物の発生を抑えることができる。
【0012】
請求項2に係る帯電装置、請求項4に係るプロセスカートリッジ、及び請求項6に係る画像形成装置は、放電規制電荷付与部材の周面に放電生成物が生成してしまった場合の放電生成物の除去も行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態であるプリンタの概略構成図である。
【図2】図1に示す帯電装置の概略構成を示す断面図である。
【図3】図2に示す帯電装置および感光体ドラムを帯電装置の側から見た平面図である。
【図4】第2の実施形態の帯電装置の概略構成を示す断面図である。
【図5】第3の実施形態の帯電装置の概略構成を示す断面図である。
【図6】第4の実施形態の帯電装置の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【0016】
図1に示すプリンタ1は、モノクロプリンタであり、感光体ドラム10と、この感光体ドラム10の周面を帯電させる帯電装置20と、感光体ドラム10の周面を露光するレーザ露光器12と、感光体ドラム10の周面をトナーで現像する現像器13と、記録用紙を収容する用紙収容部18と、用紙収容部18から記録用紙を引き出して搬送する用紙搬送装置17と、トナー像を記録用紙上に転写する転写ロール14と、そのトナー像を記録用紙上に定着させる定着装置15と、感光体ドラム10の周面を清掃する清掃装置16とを備えている。感光体ドラム10、帯電装置20、および清掃装置16は、プロセスカートリッジ1C内に設けられており、プロセスカートリッジ1Cはプリンタ1に対し交換可能に装着されている。
【0017】
感光体ドラム10は円筒状の部材であり、帯電装置20、レーザ露光器12、および現像器13によって周面上に形成される静電潜像およびトナー像を保持する像保持体として機能し、回転軸10aの回りに矢印Aで示す方向に回転する。
【0018】
帯電装置20は、感光体ドラム10の周面に電荷を付与する円筒状の帯電ロール21を有している。帯電ロール21は、周面が感光体ドラム10の周面に接触しており、感光体ドラム10の回転に従動して回転する。すなわち、帯電ロール21の周面は、感光体ドラム10の周面の移動に伴って周回移動する。帯電装置20のより詳細な構造については、後に説明する。
【0019】
ここで、帯電ロール21が、本発明にいう電荷付与部材の一例に相当する。また、感光体ドラム10が、本発明にいう被付与部材の一例に相当する。
【0020】
レーザ露光器12は、画像信号に基づくレーザ光で感光体ドラム10の周面を走査して、感光体ドラム10の周面に画像信号に基づく静電潜像を形成する。現像器13は、感光体ドラム10に対向する位置に配置された現像ロール133を有する。現像ロール133は、回転することで、帯電したトナーを含んだ現像剤を感光体ドラム10との間の領域に搬送し、静電潜像を現像してトナー像を形成する。転写ロール14は、感光体ドラム10との間に記録用紙を挟み付けて回転する。転写ロール14には、トナーの帯電極性と逆極性の電位が印加されており、転写ロール14は、感光体ドラム10の周面に形成されたトナー像を記録用紙へと転写する。清掃装置16は、感光体ドラム10の周面に先端が接触した清掃ブレード161を有している。清掃装置16は、この清掃ブレード161で感光体ドラム10の周面に付着した付着物を掻き取って周面を清掃する。
【0021】
定着装置15は、加熱ロール151および定着ロール152を備えている。加熱ロール151は図示しないヒータを内蔵しており、定着ロール152は加熱ロール151に押し付けられている。加熱ロール151および定着ロール152は、間を通過する記録用紙上のトナー像を加熱および加圧することでトナー像を記録用紙上に定着する。
【0022】
[プリンタ1の動作]
プリンタ1における画像形成の動作の流れを簡単に説明する。
【0023】
プリンタ1では、矢印A方向に回転する感光体ドラム10の周面に、帯電装置20によって電荷が付与され、電荷が付与された周面に、レーザ露光器12によって外部から送信されてきた画像データに基づいたレーザ光が照射されることで静電潜像が形成される。現像器13に収容されているトナーを含んだ現像剤は、現像ロール133によって、現像ロール133と感光体ドラム10の周面との間の領域に運ばれ、現像剤中のトナーが静電潜像上に付着する。この結果、感光体ドラム10の周面上にトナー像が形成される。
【0024】
この一方、用紙収容部18に収容された記録用紙は、用紙搬送装置17によって用紙収容部18から取り出され、転写ロール14と感光体ドラム10の間に向かって矢印B方向に搬送される。搬送されてきた記録用紙は、転写ロール14と感光体ドラム10の間に挟み付けられ、感光体ドラム10の周面上のトナー像が、転写ロール14によって記録用紙上に転写される。トナー像が転写された記録用紙は、さらに定着装置15に搬送される。記録用紙は定着装置15によって加熱および加圧され、記録用紙上のトナー像が溶融して記録用紙上に定着する。トナー像が定着した記録用紙は、プリンタ1の外に排出される。感光体ドラム10の周面の、転写ロール14を通過した部分に残留したトナーは、清掃装置16の清掃ブレード161によって掻き取られる。
【0025】
[帯電装置]
ここで、図1に示すプリンタ1を構成する帯電装置20について説明する。帯電装置20は、本発明の帯電装置の一実施形態である。
【0026】
図2は、図1に示す帯電装置20の概略構成を示す断面図であり、図3は、図2に示す帯電装置20および感光体ドラム10を帯電装置20の側から見た平面図である。
【0027】
図2および図3には、感光体ドラム10も示されている。感光体ドラム10は、金属製の円筒状基体101の上に、感光体ドラム10への入射光が基体表面で反射することを防止するための下引層102、光を受けて電荷を有するキャリアを発生する電荷発生層103、キャリアが輸送される電荷輸送層104、および感光体ドラム10を保護する保護層105が順に重なった構造を有する。
【0028】
図2に示す帯電装置20は、円筒状の帯電ロール21と板状の放電規制部材22とを備えている。図3に示すように、帯電ロール21および放電規制部材22は、感光体ドラム10の回転軸10aに沿った軸方向Xに長く延びた部材であり、軸方向Xにおける、感光体ドラム10の周面上のトナー像が形成され得る範囲Wよりも長い。
【0029】
[帯電ロール]
帯電ロール21は、円柱状の軸心211と、軸心211の外周を覆った弾性層212と、弾性層212の外周を覆った表面層213とを有する。
【0030】
軸心211は金属材料で形成されているが、軸心211の材料としては、樹脂の基体に、金属またはカーボンブラックからなる導電性粒子を分散させたものも採用し得る。弾性層212は、帯電ロール21が感光体ドラム10に押し付けられた状態で、帯電ロール21の周面が感光体ドラム10の周面に隙間なく密着するように変形する程度の弾性を有する。弾性層212の材料としては、ゴム材料に、ゴム材料よりも導電性の高い導電性粒子を分散したものが用いられる。導電性粒子としては、カーボンブラックの粒子、金属の粒子、もしくは、金属酸化物の粒子、またはこれらの粒子の組合せが採用され得る。表面層213は、弾性層212を保護するための層であり、表面層213の外周は、帯電ロール21の周面を構成する。帯電ロール21の周面は感光体ドラム10の周面に接触部分Cで接触している。表面層203の材料としては、樹脂材料に弾性層212と同様の導電性粒子を分散したものが用いられる。なお、帯電ロール21としては、例えば、電気抵抗を調整するための抵抗層を弾性層の上に設けた構造や、表面層を有さない構造も採用され得る。
【0031】
帯電装置20は、いわゆる直流電圧型の接触式帯電装置である。帯電ロール21の軸心211には電源Pが電気的に接続されており、帯電ロール21には、電源Pから、感光体ドラム10を基準として負極性の直流電圧が印加されている。この電圧は、例えば−1000V程度である。ただし、電圧は、装置の仕様や動作速度、およびトナーの種類に応じて異なり、−100V以下−1500V以上の範囲の電圧である。帯電ロール21は、感光体ドラム10の周面に接触して負極性の電荷を付与する。
【0032】
[放電規制部材]
放電規制部材22は、帯電ロール21と感光体ドラム10との間の位置のうち、感光体ドラム10の周面の移動方向aにおける、帯電ロール21と感光体ドラム10とが接触する位置よりも上流側に配置されている。
【0033】
放電規制部材22は、板状の導体板221と、導体板221の表面を被覆した被覆体222とを備えている。導体板221は、金属材料で形成されている。ただし、導体板221には、樹脂の基体に、例えば金属およびカーボンブラックに代表される導電性粒子を分散させた材料も採用し得る。被覆体222は、抵抗率が空気の抵抗率よりも高い材料で形成されている。被覆体222の材料としては、樹脂材料が用いられる。樹脂材料としては、例えば、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、FEP(フッ化エチレンプロピレン)、およびPET(ポリエチレンテレフタラート)に代表される材料が採用され得る。
【0034】
放電規制部材22の導体板221には電源Pから電圧が印加されており、放電規制部材22の導体板221は帯電ロール21と同電位となっている。
【0035】
ここで、放電規制部材22が、本発明にいう放電規制部材の一例に相当する。また、導体板221が、本発明にいう導体の一例に相当し、被覆体222が、本発明にいう高抵抗被覆体の一例に相当する。
【0036】
図2に示す帯電ロール21には、電源Pから負極性の直流電圧が印加されており、帯電ロール21は、感光体ドラム10の周面に接触して負極性の電荷を付与する。また、帯電ロール21の周面と感光体ドラム10の周面とが接触している接触部分C以外でも、空気中での放電により電荷が移動する場合がある。特に、帯電ロール21に直流電圧が印加される直流電圧型では、感光体ドラム10の周面のうち、移動方向aにおける接触部分Cよりも上流側の電荷が付与される前の部分は、下流側の部分に比べて、帯電ロール21の周面と感光体ドラム10の周面との電位差が大きくて、両者間の電界が大きいため、空気中の放電が生じやすい。
【0037】
本実施形態の帯電装置20は、帯電ロール21と感光体ドラム10との間の位置のうち、感光体ドラム10の周面の移動方向aにおける接触部分Cよりも上流側に、板状の放電規制部材22が配置されているため、この放電規制部材22が存在しない場合に比べて、帯電ロール21と感光体ドラム10との間の空間における、空気中の放電が抑制されている。
【0038】
例えば、仮に、帯電ロール21と感光体ドラム10との間で空気中の放電が起きると、放電生成物が生じて帯電ロール21の周面に付着する。この放電生成物は、放電の場所が移動方向aにおける接触部分Cから上流方向に離れているほど多く生成されて、帯電ロール21の周面に付着する。ここで、放電生成物の主な成分は、窒素酸化物(NOx)である。また、帯電ロール21の周面のうち、放電生成物が付着した部分は、感光体ドラム10の周面に対する放電がさらに起きやすく、放電生成物がさらに蓄積しやすい。帯電ロール21の周面に放電生成物が蓄積すると、感光体ドラム10周面に付与される電荷にムラが生じる。この結果、トナー像に感光体ドラム10の回転軸10aに沿った軸方向Xに延びた、いわゆる横筋が生じる。この横筋は、最終的に、記録用紙上に形成される画像の横筋として現れる。
【0039】
さらに、放電規制部材22の導体板221は、帯電ロール21と同電位となっている。このため、帯電ロール21と放電規制部材22との間では放電が生じない。したがって、導体板221が備えられるにもかかわらず、帯電ロール21の周面での放電生成物の発生がさらに低減する。よって、帯電ロール21の周面での放電生成物に起因する、記録用紙上に形成される画像の欠陥(上述の横筋)が低減される。
【0040】
本実施形態の帯電装置20では、放電規制部材22の導体板221が、帯電ロール21と同電位となっている。このため、周面の移動方向aにおける接触部分Cよりも上流側における、放電規制部材22の導体板221と感光体ドラム10の周面との間の電位差は、帯電ロール21と感光体ドラム10の周面との電位差とほぼ等しくなっている。しかし、放電規制部材22の導体板221の表面は、高抵抗材料からなる被覆体222に被覆されている。このため、放電規制部材22の表面、すなわち、被覆体222の表面と感光体ドラム10の周面との間の電位差は、被覆体222による電位差分だけ低下するため、放電規制部材22と感光体ドラム10の周面との間の空気中での放電も回避される。
【0041】
[第2の実施形態]
次に、本発明の帯電装置における第2の実施形態について説明する。以下の実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0042】
図4は、第2の実施形態の帯電装置の概略構成を示す断面図である。
【0043】
図4に示す帯電装置30は、放電規制部材32の位置が、図2に示す帯電装置20と異なる。帯電装置30の放電規制部材32は、帯電ロール21の周面と感光体ドラム10の周面とが接触している接触部分Cに向かって延びた先の縁が、帯電ロール21の周面に接触している。放電規制部材32は、帯電ロール21の周面を清掃する清掃部材としても機能する。放電規制部材32の導体板321は、帯電ロール21と同電位となっているため、放電規制部材32と帯電ロール21が接触することによる不要な電流や、部材間の電位の変動は生じない。
【0044】
帯電ロール21が回転すると、帯電ロール21に縁が接触した放電規制部材32は、帯電ロール21の周面に付着した付着物を掻き落とす。このため、特別な清掃手段を設けなくとも、帯電ロール21の周面に放電生成物が生成してしまった場合に、放電生成物が掻き落とされて除去される。したがって、この実施形態の帯電装置30では、放電規制部材32が帯電ロール21から離れている場合に比べて、放電生成物の蓄積がさらに抑えられる。
【0045】
[第3の実施形態]
次に、本発明の帯電装置における第3の実施形態について説明する。以下の実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0046】
図5は、第3の実施形態の帯電装置の概略構成を示す断面図である。
【0047】
図5に示す帯電装置40は、放電規制部材42の形状が円柱状である点が、図2に示す帯電装置20と異なる。図5に示す放電規制部材42は、感光体ドラム10の回転軸10aに沿った軸方向X(図3参照)に延びた、導体ワイヤ421と、導体ワイヤ421の周面を被覆した円筒状の被覆体422とを備えている。
【0048】
ここで、導体ワイヤ421が、本発明にいう導体の一例に相当し、被覆体422が、本発明にいう高抵抗被覆体の一例に相当する。
【0049】
放電規制部材42の配置位置は、放電規制部材42無しで感光体ドラム10および帯電ロール21を実験で動作させた場合に、最も強い放電が生じる位置に決定される。例えば、印加される直流電圧がー1kV、感光体ドラム10の直径が30mm、帯電ロール21の直径が10mmの場合には、放電規制部材42は、例えば、感光体ドラム10の周面の移動方向aにおける接触部分Cの上流2mm以上4mm以下の範囲内の位置に配置される。放電規制部材42は円柱状であっても、帯電ロール21と感光体ドラム10との間の空気中の放電を妨げる。また、放電規制部材42の導体ワイヤ421は、帯電ロール21と同電位となっている。このため、帯電ロール21と放電規制部材42との間でも放電が生じない。
【0050】
[第4の実施形態]
次に、本発明の帯電装置における第4の実施形態について説明する。以下の実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0051】
図6は、第4の実施形態の帯電装置の概略構成を示す断面図である。
【0052】
図6に示す帯電装置50は、放電規制部材52の形状が、図2に示す帯電装置20や図5に示す帯電装置40と異なる。図6に示す放電規制部材52は、感光体ドラム10の回転軸10aに沿った軸方向X(図3参照)に延びた、感光体ドラム10の周面および帯電ロール21の周面のそれぞれの形状に相応した凹面を有する導体部材521と導体部材521の周面を被覆した被覆体522とを備えている。放電規制部材52は、接触部分Cよりも上流側で、感光体ドラム10と帯電ロール21との間の空間をほぼ埋める形状となっている。
【0053】
ここで、導体部材521が、本発明にいう導体の一例に相当し、被覆体522が、本発明にいう高抵抗被覆体の一例に相当する。
【0054】
図6に示す放電規制部材52も、帯電ロール21と感光体ドラム10との間の空気中の放電を妨げる。また、放電規制部材52の導体部材521は、帯電ロール21と同電位となっている。このため、帯電ロール21と放電規制部材52との間でも放電が生じない。
【0055】
なお、上述した実施形態では、本発明にいう電荷付与部材の例として、帯電ロール21を示したが、本発明にいう電荷付与部材は周面が周回移動すればロールに限られるものではなく、例えば、無端のベルトであってもよい。
【0056】
また、上述した実施形態では、本発明にいう放電規制部材の例として、板状の放電規制部材22、円柱状の放電規制部材42、および、凹面を有する導体部材521を示したが、本発明にいう放電規制部材はこれに限られるものではなく、例えば、断面が半円状、楕円状、三角形状であってもよい。
【0057】
また、上述した実施形態では、本発明にいう帯電装置の例として、帯電ロールと放電規制部材とを有する構成を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、放電規制部材とは別に、電荷付与部材と接触して電荷付与部材を清掃する清掃器を備えたものであってもよい。
【0058】
また、上述した実施形態では、本発明にいう被付与部材の例として感光体ドラムを示したが、本発明にいう被付与部材はこれに限られず、例えばベルト状の部材であってもよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、画像形成装置の例としてモノクロプリンタを示したが、本発明にいう画像形成装置はこれに限られず、例えば、カラー画像を形成するカラープリンタであってもよい。
【0060】
また、上述した実施形態では、画像形成装置の例としてプリンタを示したが、本発明にいう画像形成装置はプリンタに限られず、例えば、複写機やファクシミリであってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 プリンタ
1C プロセスカートリッジ
10 感光体ドラム
20,30,40,50 帯電装置
21 帯電ロール
22,32,42,52 放電規制部材
221 導体板
222 被覆体
321 導体板
421 導体ワイヤ
422 被覆体
521 導体部材
522 被覆体
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
帯電ローラを感光体に接触させて帯電する帯電器において、帯電ローラと感光体で挟まれた空間に、帯電ローラから感光体への放電を規制するブレードを配置し、ブレードと感光体との間の放電が生じないよう、感光体に対するブレードの電圧を、ブレードと感光体との間の帯電開始電圧未満とした帯電器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−72705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電荷付与部材の周面での放電生成物の生成を抑えた帯電装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る帯電装置は、
周面が周回移動しこの周面に電荷が付与される被付与部材に周面が接触しこの被付与部材の周面移動に伴って周面が周回移動する、直流電圧が印加されてこの被付与部材の周面に電荷を付与する電荷付与部材と、
上記電荷付与部材と同電位の導体と、この導体の表面を被覆し、抵抗率が空気の抵抗率よりも高い高抵抗被覆体とを有し、上記被付与部材と上記電荷付与部材との間の位置のうち、この被付与部材の周面の移動方向における、この被付与部材とこの電荷付与部材とが接触する位置よりも上流側に配置された放電規制部材とを備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る帯電装置は、上記放電規制部材が、上記電荷付与部材に接触したものであることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係るプロセスカートリッジは、
周面が周回移動し該周面に電荷が付与され、該周面に像が形成され該像を保持する像保持体と、
周面が上記像保持体の周面に接触しこの像保持体の周面移動に伴って周面が周回移動する、直流電圧が印加されてこの像保持体の周面に電荷を付与する電荷付与部材と、
上記電荷付与部材と同電位の導体と、この導体の表面を被覆し、抵抗率が空気の抵抗率よりも高い高抵抗被覆体とを有し、上記像保持体と上記電荷付与部材との間の位置のうち、この像保持体の周面の移動方向における、この像保持体とこの電荷付与部材とが接触する位置よりも上流側に配置された放電規制部材とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項4に係るプロセスカートリッジは、上記放電規制部材が、上記電荷付与部材に接触したものであることを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る画像形成装置は、
周面が周回移動し該周面に電荷が付与され、該周面に像が形成され該像を保持する像保持体と、
周面が上記像保持体の周面に接触しこの像保持体の周面移動に伴って周面が周回移動する、直流電圧が印加されてこの像保持体の周面に電荷を付与する電荷付与部材と、
上記電荷付与部材と同電位の導体と、この導体の表面を被覆し、抵抗率が空気の抵抗率よりも高い高抵抗被覆体とを有し、上記像保持体と上記電荷付与部材との間の位置のうち、この像保持体の周面の移動方向における、この像保持体とこの電荷付与部材とが接触する位置よりも上流側に配置された放電規制部材とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項6に係る画像形成装置は、上記放電規制部材が、上記電荷付与部材に接触したものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る帯電装置、請求項3に係るプロセスカートリッジ、及び請求項5に係る画像形成装置は、放電規制電荷付与部材の周面での放電生成物の発生を抑えることができる。
【0012】
請求項2に係る帯電装置、請求項4に係るプロセスカートリッジ、及び請求項6に係る画像形成装置は、放電規制電荷付与部材の周面に放電生成物が生成してしまった場合の放電生成物の除去も行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態であるプリンタの概略構成図である。
【図2】図1に示す帯電装置の概略構成を示す断面図である。
【図3】図2に示す帯電装置および感光体ドラムを帯電装置の側から見た平面図である。
【図4】第2の実施形態の帯電装置の概略構成を示す断面図である。
【図5】第3の実施形態の帯電装置の概略構成を示す断面図である。
【図6】第4の実施形態の帯電装置の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【0016】
図1に示すプリンタ1は、モノクロプリンタであり、感光体ドラム10と、この感光体ドラム10の周面を帯電させる帯電装置20と、感光体ドラム10の周面を露光するレーザ露光器12と、感光体ドラム10の周面をトナーで現像する現像器13と、記録用紙を収容する用紙収容部18と、用紙収容部18から記録用紙を引き出して搬送する用紙搬送装置17と、トナー像を記録用紙上に転写する転写ロール14と、そのトナー像を記録用紙上に定着させる定着装置15と、感光体ドラム10の周面を清掃する清掃装置16とを備えている。感光体ドラム10、帯電装置20、および清掃装置16は、プロセスカートリッジ1C内に設けられており、プロセスカートリッジ1Cはプリンタ1に対し交換可能に装着されている。
【0017】
感光体ドラム10は円筒状の部材であり、帯電装置20、レーザ露光器12、および現像器13によって周面上に形成される静電潜像およびトナー像を保持する像保持体として機能し、回転軸10aの回りに矢印Aで示す方向に回転する。
【0018】
帯電装置20は、感光体ドラム10の周面に電荷を付与する円筒状の帯電ロール21を有している。帯電ロール21は、周面が感光体ドラム10の周面に接触しており、感光体ドラム10の回転に従動して回転する。すなわち、帯電ロール21の周面は、感光体ドラム10の周面の移動に伴って周回移動する。帯電装置20のより詳細な構造については、後に説明する。
【0019】
ここで、帯電ロール21が、本発明にいう電荷付与部材の一例に相当する。また、感光体ドラム10が、本発明にいう被付与部材の一例に相当する。
【0020】
レーザ露光器12は、画像信号に基づくレーザ光で感光体ドラム10の周面を走査して、感光体ドラム10の周面に画像信号に基づく静電潜像を形成する。現像器13は、感光体ドラム10に対向する位置に配置された現像ロール133を有する。現像ロール133は、回転することで、帯電したトナーを含んだ現像剤を感光体ドラム10との間の領域に搬送し、静電潜像を現像してトナー像を形成する。転写ロール14は、感光体ドラム10との間に記録用紙を挟み付けて回転する。転写ロール14には、トナーの帯電極性と逆極性の電位が印加されており、転写ロール14は、感光体ドラム10の周面に形成されたトナー像を記録用紙へと転写する。清掃装置16は、感光体ドラム10の周面に先端が接触した清掃ブレード161を有している。清掃装置16は、この清掃ブレード161で感光体ドラム10の周面に付着した付着物を掻き取って周面を清掃する。
【0021】
定着装置15は、加熱ロール151および定着ロール152を備えている。加熱ロール151は図示しないヒータを内蔵しており、定着ロール152は加熱ロール151に押し付けられている。加熱ロール151および定着ロール152は、間を通過する記録用紙上のトナー像を加熱および加圧することでトナー像を記録用紙上に定着する。
【0022】
[プリンタ1の動作]
プリンタ1における画像形成の動作の流れを簡単に説明する。
【0023】
プリンタ1では、矢印A方向に回転する感光体ドラム10の周面に、帯電装置20によって電荷が付与され、電荷が付与された周面に、レーザ露光器12によって外部から送信されてきた画像データに基づいたレーザ光が照射されることで静電潜像が形成される。現像器13に収容されているトナーを含んだ現像剤は、現像ロール133によって、現像ロール133と感光体ドラム10の周面との間の領域に運ばれ、現像剤中のトナーが静電潜像上に付着する。この結果、感光体ドラム10の周面上にトナー像が形成される。
【0024】
この一方、用紙収容部18に収容された記録用紙は、用紙搬送装置17によって用紙収容部18から取り出され、転写ロール14と感光体ドラム10の間に向かって矢印B方向に搬送される。搬送されてきた記録用紙は、転写ロール14と感光体ドラム10の間に挟み付けられ、感光体ドラム10の周面上のトナー像が、転写ロール14によって記録用紙上に転写される。トナー像が転写された記録用紙は、さらに定着装置15に搬送される。記録用紙は定着装置15によって加熱および加圧され、記録用紙上のトナー像が溶融して記録用紙上に定着する。トナー像が定着した記録用紙は、プリンタ1の外に排出される。感光体ドラム10の周面の、転写ロール14を通過した部分に残留したトナーは、清掃装置16の清掃ブレード161によって掻き取られる。
【0025】
[帯電装置]
ここで、図1に示すプリンタ1を構成する帯電装置20について説明する。帯電装置20は、本発明の帯電装置の一実施形態である。
【0026】
図2は、図1に示す帯電装置20の概略構成を示す断面図であり、図3は、図2に示す帯電装置20および感光体ドラム10を帯電装置20の側から見た平面図である。
【0027】
図2および図3には、感光体ドラム10も示されている。感光体ドラム10は、金属製の円筒状基体101の上に、感光体ドラム10への入射光が基体表面で反射することを防止するための下引層102、光を受けて電荷を有するキャリアを発生する電荷発生層103、キャリアが輸送される電荷輸送層104、および感光体ドラム10を保護する保護層105が順に重なった構造を有する。
【0028】
図2に示す帯電装置20は、円筒状の帯電ロール21と板状の放電規制部材22とを備えている。図3に示すように、帯電ロール21および放電規制部材22は、感光体ドラム10の回転軸10aに沿った軸方向Xに長く延びた部材であり、軸方向Xにおける、感光体ドラム10の周面上のトナー像が形成され得る範囲Wよりも長い。
【0029】
[帯電ロール]
帯電ロール21は、円柱状の軸心211と、軸心211の外周を覆った弾性層212と、弾性層212の外周を覆った表面層213とを有する。
【0030】
軸心211は金属材料で形成されているが、軸心211の材料としては、樹脂の基体に、金属またはカーボンブラックからなる導電性粒子を分散させたものも採用し得る。弾性層212は、帯電ロール21が感光体ドラム10に押し付けられた状態で、帯電ロール21の周面が感光体ドラム10の周面に隙間なく密着するように変形する程度の弾性を有する。弾性層212の材料としては、ゴム材料に、ゴム材料よりも導電性の高い導電性粒子を分散したものが用いられる。導電性粒子としては、カーボンブラックの粒子、金属の粒子、もしくは、金属酸化物の粒子、またはこれらの粒子の組合せが採用され得る。表面層213は、弾性層212を保護するための層であり、表面層213の外周は、帯電ロール21の周面を構成する。帯電ロール21の周面は感光体ドラム10の周面に接触部分Cで接触している。表面層203の材料としては、樹脂材料に弾性層212と同様の導電性粒子を分散したものが用いられる。なお、帯電ロール21としては、例えば、電気抵抗を調整するための抵抗層を弾性層の上に設けた構造や、表面層を有さない構造も採用され得る。
【0031】
帯電装置20は、いわゆる直流電圧型の接触式帯電装置である。帯電ロール21の軸心211には電源Pが電気的に接続されており、帯電ロール21には、電源Pから、感光体ドラム10を基準として負極性の直流電圧が印加されている。この電圧は、例えば−1000V程度である。ただし、電圧は、装置の仕様や動作速度、およびトナーの種類に応じて異なり、−100V以下−1500V以上の範囲の電圧である。帯電ロール21は、感光体ドラム10の周面に接触して負極性の電荷を付与する。
【0032】
[放電規制部材]
放電規制部材22は、帯電ロール21と感光体ドラム10との間の位置のうち、感光体ドラム10の周面の移動方向aにおける、帯電ロール21と感光体ドラム10とが接触する位置よりも上流側に配置されている。
【0033】
放電規制部材22は、板状の導体板221と、導体板221の表面を被覆した被覆体222とを備えている。導体板221は、金属材料で形成されている。ただし、導体板221には、樹脂の基体に、例えば金属およびカーボンブラックに代表される導電性粒子を分散させた材料も採用し得る。被覆体222は、抵抗率が空気の抵抗率よりも高い材料で形成されている。被覆体222の材料としては、樹脂材料が用いられる。樹脂材料としては、例えば、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、FEP(フッ化エチレンプロピレン)、およびPET(ポリエチレンテレフタラート)に代表される材料が採用され得る。
【0034】
放電規制部材22の導体板221には電源Pから電圧が印加されており、放電規制部材22の導体板221は帯電ロール21と同電位となっている。
【0035】
ここで、放電規制部材22が、本発明にいう放電規制部材の一例に相当する。また、導体板221が、本発明にいう導体の一例に相当し、被覆体222が、本発明にいう高抵抗被覆体の一例に相当する。
【0036】
図2に示す帯電ロール21には、電源Pから負極性の直流電圧が印加されており、帯電ロール21は、感光体ドラム10の周面に接触して負極性の電荷を付与する。また、帯電ロール21の周面と感光体ドラム10の周面とが接触している接触部分C以外でも、空気中での放電により電荷が移動する場合がある。特に、帯電ロール21に直流電圧が印加される直流電圧型では、感光体ドラム10の周面のうち、移動方向aにおける接触部分Cよりも上流側の電荷が付与される前の部分は、下流側の部分に比べて、帯電ロール21の周面と感光体ドラム10の周面との電位差が大きくて、両者間の電界が大きいため、空気中の放電が生じやすい。
【0037】
本実施形態の帯電装置20は、帯電ロール21と感光体ドラム10との間の位置のうち、感光体ドラム10の周面の移動方向aにおける接触部分Cよりも上流側に、板状の放電規制部材22が配置されているため、この放電規制部材22が存在しない場合に比べて、帯電ロール21と感光体ドラム10との間の空間における、空気中の放電が抑制されている。
【0038】
例えば、仮に、帯電ロール21と感光体ドラム10との間で空気中の放電が起きると、放電生成物が生じて帯電ロール21の周面に付着する。この放電生成物は、放電の場所が移動方向aにおける接触部分Cから上流方向に離れているほど多く生成されて、帯電ロール21の周面に付着する。ここで、放電生成物の主な成分は、窒素酸化物(NOx)である。また、帯電ロール21の周面のうち、放電生成物が付着した部分は、感光体ドラム10の周面に対する放電がさらに起きやすく、放電生成物がさらに蓄積しやすい。帯電ロール21の周面に放電生成物が蓄積すると、感光体ドラム10周面に付与される電荷にムラが生じる。この結果、トナー像に感光体ドラム10の回転軸10aに沿った軸方向Xに延びた、いわゆる横筋が生じる。この横筋は、最終的に、記録用紙上に形成される画像の横筋として現れる。
【0039】
さらに、放電規制部材22の導体板221は、帯電ロール21と同電位となっている。このため、帯電ロール21と放電規制部材22との間では放電が生じない。したがって、導体板221が備えられるにもかかわらず、帯電ロール21の周面での放電生成物の発生がさらに低減する。よって、帯電ロール21の周面での放電生成物に起因する、記録用紙上に形成される画像の欠陥(上述の横筋)が低減される。
【0040】
本実施形態の帯電装置20では、放電規制部材22の導体板221が、帯電ロール21と同電位となっている。このため、周面の移動方向aにおける接触部分Cよりも上流側における、放電規制部材22の導体板221と感光体ドラム10の周面との間の電位差は、帯電ロール21と感光体ドラム10の周面との電位差とほぼ等しくなっている。しかし、放電規制部材22の導体板221の表面は、高抵抗材料からなる被覆体222に被覆されている。このため、放電規制部材22の表面、すなわち、被覆体222の表面と感光体ドラム10の周面との間の電位差は、被覆体222による電位差分だけ低下するため、放電規制部材22と感光体ドラム10の周面との間の空気中での放電も回避される。
【0041】
[第2の実施形態]
次に、本発明の帯電装置における第2の実施形態について説明する。以下の実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0042】
図4は、第2の実施形態の帯電装置の概略構成を示す断面図である。
【0043】
図4に示す帯電装置30は、放電規制部材32の位置が、図2に示す帯電装置20と異なる。帯電装置30の放電規制部材32は、帯電ロール21の周面と感光体ドラム10の周面とが接触している接触部分Cに向かって延びた先の縁が、帯電ロール21の周面に接触している。放電規制部材32は、帯電ロール21の周面を清掃する清掃部材としても機能する。放電規制部材32の導体板321は、帯電ロール21と同電位となっているため、放電規制部材32と帯電ロール21が接触することによる不要な電流や、部材間の電位の変動は生じない。
【0044】
帯電ロール21が回転すると、帯電ロール21に縁が接触した放電規制部材32は、帯電ロール21の周面に付着した付着物を掻き落とす。このため、特別な清掃手段を設けなくとも、帯電ロール21の周面に放電生成物が生成してしまった場合に、放電生成物が掻き落とされて除去される。したがって、この実施形態の帯電装置30では、放電規制部材32が帯電ロール21から離れている場合に比べて、放電生成物の蓄積がさらに抑えられる。
【0045】
[第3の実施形態]
次に、本発明の帯電装置における第3の実施形態について説明する。以下の実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0046】
図5は、第3の実施形態の帯電装置の概略構成を示す断面図である。
【0047】
図5に示す帯電装置40は、放電規制部材42の形状が円柱状である点が、図2に示す帯電装置20と異なる。図5に示す放電規制部材42は、感光体ドラム10の回転軸10aに沿った軸方向X(図3参照)に延びた、導体ワイヤ421と、導体ワイヤ421の周面を被覆した円筒状の被覆体422とを備えている。
【0048】
ここで、導体ワイヤ421が、本発明にいう導体の一例に相当し、被覆体422が、本発明にいう高抵抗被覆体の一例に相当する。
【0049】
放電規制部材42の配置位置は、放電規制部材42無しで感光体ドラム10および帯電ロール21を実験で動作させた場合に、最も強い放電が生じる位置に決定される。例えば、印加される直流電圧がー1kV、感光体ドラム10の直径が30mm、帯電ロール21の直径が10mmの場合には、放電規制部材42は、例えば、感光体ドラム10の周面の移動方向aにおける接触部分Cの上流2mm以上4mm以下の範囲内の位置に配置される。放電規制部材42は円柱状であっても、帯電ロール21と感光体ドラム10との間の空気中の放電を妨げる。また、放電規制部材42の導体ワイヤ421は、帯電ロール21と同電位となっている。このため、帯電ロール21と放電規制部材42との間でも放電が生じない。
【0050】
[第4の実施形態]
次に、本発明の帯電装置における第4の実施形態について説明する。以下の実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0051】
図6は、第4の実施形態の帯電装置の概略構成を示す断面図である。
【0052】
図6に示す帯電装置50は、放電規制部材52の形状が、図2に示す帯電装置20や図5に示す帯電装置40と異なる。図6に示す放電規制部材52は、感光体ドラム10の回転軸10aに沿った軸方向X(図3参照)に延びた、感光体ドラム10の周面および帯電ロール21の周面のそれぞれの形状に相応した凹面を有する導体部材521と導体部材521の周面を被覆した被覆体522とを備えている。放電規制部材52は、接触部分Cよりも上流側で、感光体ドラム10と帯電ロール21との間の空間をほぼ埋める形状となっている。
【0053】
ここで、導体部材521が、本発明にいう導体の一例に相当し、被覆体522が、本発明にいう高抵抗被覆体の一例に相当する。
【0054】
図6に示す放電規制部材52も、帯電ロール21と感光体ドラム10との間の空気中の放電を妨げる。また、放電規制部材52の導体部材521は、帯電ロール21と同電位となっている。このため、帯電ロール21と放電規制部材52との間でも放電が生じない。
【0055】
なお、上述した実施形態では、本発明にいう電荷付与部材の例として、帯電ロール21を示したが、本発明にいう電荷付与部材は周面が周回移動すればロールに限られるものではなく、例えば、無端のベルトであってもよい。
【0056】
また、上述した実施形態では、本発明にいう放電規制部材の例として、板状の放電規制部材22、円柱状の放電規制部材42、および、凹面を有する導体部材521を示したが、本発明にいう放電規制部材はこれに限られるものではなく、例えば、断面が半円状、楕円状、三角形状であってもよい。
【0057】
また、上述した実施形態では、本発明にいう帯電装置の例として、帯電ロールと放電規制部材とを有する構成を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、放電規制部材とは別に、電荷付与部材と接触して電荷付与部材を清掃する清掃器を備えたものであってもよい。
【0058】
また、上述した実施形態では、本発明にいう被付与部材の例として感光体ドラムを示したが、本発明にいう被付与部材はこれに限られず、例えばベルト状の部材であってもよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、画像形成装置の例としてモノクロプリンタを示したが、本発明にいう画像形成装置はこれに限られず、例えば、カラー画像を形成するカラープリンタであってもよい。
【0060】
また、上述した実施形態では、画像形成装置の例としてプリンタを示したが、本発明にいう画像形成装置はプリンタに限られず、例えば、複写機やファクシミリであってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 プリンタ
1C プロセスカートリッジ
10 感光体ドラム
20,30,40,50 帯電装置
21 帯電ロール
22,32,42,52 放電規制部材
221 導体板
222 被覆体
321 導体板
421 導体ワイヤ
422 被覆体
521 導体部材
522 被覆体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面が周回移動し該周面に電荷が付与される被付与部材に周面が接触し該被付与部材の周面移動に伴って周面が周回移動する、直流電圧が印加されて該被付与部材の周面に電荷を付与する電荷付与部材と、
前記電荷付与部材と同電位の導体と、該導体の表面を被覆し、抵抗率が空気の抵抗率よりも高い高抵抗被覆体とを有し、前記被付与部材と前記電荷付与部材との間の位置のうち、該被付与部材の周面の移動方向における、該被付与部材と該電荷付与部材とが接触する位置よりも上流側に配置された放電規制部材とを備えたことを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
前記放電規制部材が、前記電荷付与部材に接触したものであることを特徴とする請求項1記載の帯電装置。
【請求項3】
周面が周回移動し該周面に電荷が付与され、該周面に像が形成され該像を保持する像保持体と、
周面が前記像保持体の周面に接触し該像保持体の周面移動に伴って周面が周回移動する、直流電圧が印加されて該像保持体の周面に電荷を付与する電荷付与部材と、
前記電荷付与部材と同電位の導体と、該導体の表面を被覆し、抵抗率が空気の抵抗率よりも高い高抵抗被覆体とを有し、前記像保持体と前記電荷付与部材との間の位置のうち、該像保持体の周面の移動方向における、該像保持体と該電荷付与部材とが接触する位置よりも上流側に配置された放電規制部材とを備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記放電規制部材が、前記電荷付与部材に接触したものであることを特徴とする請求項3記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
周面が周回移動し該周面に電荷が付与され、該周面に像が形成され該像を保持する像保持体と、
周面が前記像保持体の周面に接触し該像保持体の周面移動に伴って周面が周回移動する、直流電圧が印加されて該像保持体の周面に電荷を付与する電荷付与部材と、
前記電荷付与部材と同電位の導体と、該導体の表面を被覆し、抵抗率が空気の抵抗率よりも高い高抵抗被覆体とを有し、前記像保持体と前記電荷付与部材との間の位置のうち、該像保持体の周面の移動方向における、該像保持体と該電荷付与部材とが接触する位置よりも上流側に配置された放電規制部材とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記放電規制部材が、前記電荷付与部材に接触したものであることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項1】
周面が周回移動し該周面に電荷が付与される被付与部材に周面が接触し該被付与部材の周面移動に伴って周面が周回移動する、直流電圧が印加されて該被付与部材の周面に電荷を付与する電荷付与部材と、
前記電荷付与部材と同電位の導体と、該導体の表面を被覆し、抵抗率が空気の抵抗率よりも高い高抵抗被覆体とを有し、前記被付与部材と前記電荷付与部材との間の位置のうち、該被付与部材の周面の移動方向における、該被付与部材と該電荷付与部材とが接触する位置よりも上流側に配置された放電規制部材とを備えたことを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
前記放電規制部材が、前記電荷付与部材に接触したものであることを特徴とする請求項1記載の帯電装置。
【請求項3】
周面が周回移動し該周面に電荷が付与され、該周面に像が形成され該像を保持する像保持体と、
周面が前記像保持体の周面に接触し該像保持体の周面移動に伴って周面が周回移動する、直流電圧が印加されて該像保持体の周面に電荷を付与する電荷付与部材と、
前記電荷付与部材と同電位の導体と、該導体の表面を被覆し、抵抗率が空気の抵抗率よりも高い高抵抗被覆体とを有し、前記像保持体と前記電荷付与部材との間の位置のうち、該像保持体の周面の移動方向における、該像保持体と該電荷付与部材とが接触する位置よりも上流側に配置された放電規制部材とを備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記放電規制部材が、前記電荷付与部材に接触したものであることを特徴とする請求項3記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
周面が周回移動し該周面に電荷が付与され、該周面に像が形成され該像を保持する像保持体と、
周面が前記像保持体の周面に接触し該像保持体の周面移動に伴って周面が周回移動する、直流電圧が印加されて該像保持体の周面に電荷を付与する電荷付与部材と、
前記電荷付与部材と同電位の導体と、該導体の表面を被覆し、抵抗率が空気の抵抗率よりも高い高抵抗被覆体とを有し、前記像保持体と前記電荷付与部材との間の位置のうち、該像保持体の周面の移動方向における、該像保持体と該電荷付与部材とが接触する位置よりも上流側に配置された放電規制部材とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記放電規制部材が、前記電荷付与部材に接触したものであることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2012−63684(P2012−63684A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209355(P2010−209355)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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